~レイside~
拓也さんがタイニーオービット社新社長に就任した翌日。
僕は今日もエターナルサイクラー捜索のためオタクロスの所に行こうとしていた。
昨日の時点で神谷重工本社工場、通称【5-RAI-AS《ゴライアス》】にエターナルサイクラーがある可能性が高いことを知るが、敵の本陣も真っ只中の中潜入するのは不可能に近い。
そのため、今オタクロスが調べ、もしあった際何処かにゴライアスへの潜入ルートがないか調べてもらってる。それと同時に、イノベーターの次の行動も探してもらってる。
シーカーも真野さんが中心となって調べているが、オタクロスほど情報は得てない。
そして僕は―――
「兄さん」
『・・・・・・・・・・』
「兄さん、何時まで塞ぎ込んでいるの?」
兄さんの部屋の前で兄さんと話していた。
『・・・・・・・・・・』
「今、世間がどうなっているか知ってるよね。エターナルサイクラーがイノベーターに奪われて、地殻動発電の最終実験が認可された。けど、今拓也さんたちがそれを阻止するために全力を尽くしている。アミ姉やカズ兄、郷田もみんな頑張ってる。なのに、兄さんは何時までそうしてるの?」
『・・・・・・・・・・』
「兄さん、僕は立ち止まっていられないから進むよ。祐介さんの意志を受け継ぐためにも」
『なんで・・・・・・なんでレイはそんなに平気なんだよ!!』
そう言って兄さんは部屋から出て言ってきた。
「悠介さんが目の前で死んだんだぞ!!俺やお前だっていつ死ぬか分からないんだぞ!!」
「だから?」
「だから・・・・・・?だからってなんだよ!死ぬのが怖くないのかよ!!」
「怖いか怖くないかって言われたら、そんなの怖いに決まってるだろ!!」
「っ!」
「僕は兄さんやジンより近くで・・・・・・眼前で悠介さんが轢かれたのを見たんだ!逆の立場だったら怖いに決まってるだろ!」
睨みつけるように鋭くして兄さんに言う。
「僕が平気だって?平気なわけないじゃないか!!けどね!僕は、今兄さんみたいに立ち止まっていられないんだよ!!」
「っ・・・・・!」
「僕は、これ以上海道たちイノベーターで被害者を出したくないんだ!!そんな経験をするのは僕らだけで十分だ!!」
「れ、レイ・・・・・・」
「兄さんがそんなんならずっとそうしてれば!?僕らが何とかするから!兄さんはずっと部屋に篭もって戦いから退いてなよ!!」
そういうや否や足速にその場から立ち去り玄関に向かった。
正直、兄さんがもうあんなだとはガッカリだった。
確かに戦いでキズが付くのは当然だ。
そして、恐怖を覚えるのも無理はない。
なにより、まだ僕らは子ども。精神面も幼く、色々情緒不安定な所もある。
そう考えたら僕は異質で異様。他の人から見たら異常なのかもしれない。
まぁ、子供にしては大人すぎるってたまに言われるし。
自分でも自覚してる。何処か他人と違うって。
けど、それが分からない。何がどう違うのかが。
そんな事を思いながら玄関で靴を履いてると。
「バンと喧嘩したの?」
「母さん」
後ろから母さんが心配そうに声を掛けてきた。
「ねぇ、レイ。貴方はまだ10歳にもなってないのよ?いくら父さんやルナちゃんのためだからって、無理してない?」
「無理なんかしてないよ。それに、これは僕がやらないといけないんだ。これ以上アイツらの好きにはさせない」
僕があの時、海道を倒していればこんなことにはならなかったのかもしれない。
だから―――
「・・・・・・そう。けど、貴方はまだ子供だということを忘れないでね。貴方は私とお父さんの大切な宝物なんだから」
「うん。ありがとう、母さん。・・・・・・行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい。気をつけてね」
母さんからの声を聞いて僕は外に出た。
まだ時間は9時前。そんなに人の通りはない。
僕は歩きなれた道を通り、駅へと向いそこからアキハバラに向かった。
向かう道中とある人物に兄さんの事をお願いすることをメールで送って。
そして数時間後―――
「はい?!メアやキヨカたちと連絡がつかない!?どういうこと里奈さん!」
オタクロスのところでエターナルサイクラーが《ゴライアス》にある事が確定判明し、どう潜入して奪取するか悩みあぐねていたところに里奈さんからそんな連絡が来た。
『実はエターナルサイクラーが神谷重工本社工場の《ゴライアス》にある事が分かったんだけど、その事がわかった時アミちゃんたちもいたの。その後無茶してないか連絡しようとしたんだけど・・・・・・』
「連絡がつかなかった、と?」
『そうなのよ』
「・・・・・・・・・・」
里奈さんの言葉を聞き、メアたちの予測行動を考える。
「(手を拱いている状況なら・・・・・・アミ姉ならどうする?考えろ!)」
思考をアミ姉が考える事にし―――
「っ!まさか・・・・・・!?」
とてつもなくイヤーな予感がした。
アミ姉は兄さんに似て、かなり行動派だ。
理知的ながら行動派。そんなアミ姉が考えることは―――。
「里奈さん、メアたちのCCMかLBXの反応は!?」
『ちょっと待ってて』
里奈さんがそう言い少しして。
『最後の反応は今から1時間前。場所はトキオシティ、シンジュクエリアの・・・・・・・・・・神谷重工本社工場内部!?』
確定。
絶対アミ姉たち《ゴライアス》にいるわ。
で、捕まったと考えて間違いないね。
「里奈さん、ジンにこの事を連絡してください!」
『分かったわ!』
『レイ、俺だ』
「拓也さん?」
里奈さんから拓也さんに相手が変わった。
『まさかと思うが、《ゴライアス》に乗り込む気じゃないだろうな?』
「そのまさかですけど?」
何を当然、と言うように拓也さんの問いに返す僕。
すぐ側にいるオタクロスの前のウインドウには《ゴライアス》の見取り図が表示されていた。
『なっ!?き、危険だ!いくらなんでも無謀過ぎる!!』
「大丈夫です。こっちには最強のアドバイザーがいますので」
視線をオタクロスに向けると、受けたオタクロスがグッ!と右手の親指を立てた。
それを見てフッと笑い。
「それじゃあ。一応、真野さんたちを《ゴライアス》周辺に待機させといてください。メアたちと合流ししだいそっちに向かいます」
『・・・・・・わかった。気をつけろ』
「ええ」
渋々といった様子で返してきた声に返事をして。
「オタクロス、行ける?」
「問題ないデヨ。エターナルサイクラーのある場所もバーッチリじゃ」
「了解」
左耳にイヤホンをハメ、近くに置いてあった端末を取り仕舞う。
「下に雪斗がすでに待機しておる」
「わかった。行ってくる」
「ウム」
エレベーターを駆け、階下に移動する。
アキハバラタワーを出て、眼前の階段を降りると紳羅さんの車が丁度目の前に止まった。
「紳羅さん、お願いします」
「ああ。行くぞ!」
シートベルトを着けると、紳羅さんはすぐに車を発進させた。
発進させると、イヤホンからオタクロスの声が響く。
『レイ、《ゴライアス》への侵入にはお主一人でなければならぬ』
「どういうこと?」
『現在《ゴライアス》は超厳重警戒網が敷かれてるようじゃ。その中で《ゴライアス》内部へ潜入するには裏から行くしかないデヨ。しかも、大人では目立つし少々厳しい所もあるのでな』
「わかった。紳羅さん、車を《ゴライアス》の裏に」
「ああ、了解した」
紳羅さんの運転する車は素早く移動し、30分と経たずに《ゴライアス》が見える位置にまで来た。
「オタクロスの言う通り、警戒網が凄いな」
「ええ。侵入出来そうにない」
《ゴライアス》から少し離れた位置に車を停め、《ゴライアス》を観る。
「侵入場所は・・・・・・・・・・・・あった」
少し先に人気が全く無い場所があった。
「紳羅さん」
「ああ、任せろ」
紳羅さんに頷き、僕はその場から姿勢を低くして侵入場所に移動する。
侵入場所に着くなり。
「オタクロス」
『ほいデヨ』
オタクロスの所から持ってきた端末から、オタクロスがハッキングにより扉のロックを解除する。
『レイ、恐らくエターナルサイクラーがある場所をCCMに転送しておいた。気をつけて進むのじゃぞ』
「了解」
扉を静かに開け、スルッと中に入りこむ。
まるでスパイのようだ。
「場所は上か」
取り敢えず降りる為、近くの階段を探しそこから上層エリアへ向かう。
カメラになるべく入り込まないように、慎重に進む。
そのまま進み、上層エリアに降りた。
「今いる場所は・・・・・・」
壁に隠れてCCMのマップを見ようしたその時。
「っ!」
すぐ側の扉が開き、そこから一人の男が現れた。
「海道!?」
扉から出てきたのは海道義光だった。
しかも、護衛もつけずに一人でいる。
海道が一人でいることに疑問を覚えつつも警戒態勢をとる。
「ここから先には行かせんぞ」
「邪魔するな海道!メアやアミ姉たちはどこにいる!!」
「・・・・・・・・・・」
僕の問いに海道は沈黙をもって答える。
「?」
目の前にいる海道に、僕はどこか違和感を覚えた。
以前対峙した時に出会った海道と、目の前にいる海道。本当に同一人物なのか、と。
「邪魔するなら、強引に突破する!」
足を前に出す。
「この先に行きたければ、私を倒すのだな」
そう言って海道は懐から一機のLBXを取りだした。
「?月光丸じゃない・・・・・・?」
取り出されたLBXは、紫をベースにした細身の機体だった。
紫のカバーフレームに、双翼の紫の羽。なんか悪魔のような風貌だ。右手には反り返ったエナジー刃。
いくら海道と言えど、自身の愛機である月光丸を出さないのは違和感を感じる。
「まぁ、いい。お前を倒せば進めるなら!」
睨みつけるような視線を送り、僕も愛機の[カオス]を取り出し。
「疾くと舞え!―――カオス!!」
カオスを出撃させる。
海道も。
「カイザ!!」
[カイザ]。恐らくあのLBXの名前を言って出撃させる。
「行くぞ海道!!」
言うと同時にカオスを操作する。
右の黒剣『フェンガーリ』を防御もせずに受けるカイザ。
そのまま左の白剣『アステール』で連続の剣戟を叩き込む。
対する海道は何も操作せずにいる。
操作しないなら―――
「一気に畳み掛ける!」
瞬殺を決める!
縦横無尽に動き、両の剣をカイザに食らわせる。
だが、少しして徐々にカイザに攻撃が当たらなくなり始めた。
最初は遅かったカイザの動きが徐々に良くなって、もう連撃は半々な感じだ。
「どういうことだ・・・・・・!?」
動きが見切られてるように動くカイザ。
同時にカイザのカメラアイが赤く点滅しているのに気づいた。
「っ!まさか、人工知能。AI搭載型LBXか!?」
LBXにAIを搭載させられるのは、先のタイニーオービットでの戦いで分かってる。
だが、まさか海道が使うなんて。
やはりおかしい。以前、海道はAIなんて使ってなかった。なのに、何故今AI搭載型を使っているのか・・・・・・・。
「マズい・・・。このままじゃ・・・・・・」
このままでは読み手が読み切られる。
もう既に八割見切られてる。
そして―――
「反撃開始だ」
「っ!」
カオスの背後を取ったカイザ。
カイザはそのままエナジー刃で切りつけ、蹴りを放つ。
「ちっ!」
反撃を許さないように続けて追撃してくるカイザ。
カイザの動きを予測しながらカオスを操作する。
「遅い」
カオスの動きを学習したカイザは素早く動き猛攻してくる。
「勝つ可能性は0だ。無に等しい」
「ふざけんな!!」
海道の言葉に言い返す。
「可能性が0?そんなのどこにも確証はない!可能性が0なら、0から1にすればいいだけだ!」
少しずつだがカオスの攻撃もまた掠り始める。
「なにっ!?」
「AIが人より優れてるなんて誰が決めた!ニンゲンを舐めるな!!」
人とは可能性の存在の塊だ。
人それぞれに無限の可能性が秘められている。
もちろん、AIは優れているが、そのAIを創り出したのは僕らヒトだ。可能性は無くなったりしてない。
カオスの操作も少しずつ早くなる。
意識もカオスと同化してるように感じる。
やがて―――
「どうなっている?何故だ?何故互角に戦えている!?」
海道が理解出来ないとでもいいたげに言う
「これがヒトの・・・・・・いや。僕の可能性だ!!」
『【エクシードモード】!!』
僕の声に呼応するようにCCMが光り輝き、CCMが変形した。
それは[クロノス]の【クロノスタシスモード】と同等の特殊モード発動形態だった。
変形したCCMは両端が広がりクロノスの【クロノスタシスモード】と同じく羽のような感じになり。CCM頭頂部から、今度は時計を催したホロウインドウではなく、菱形のようなホロウインドウが現れ、その両脇に翼のようなウインドウが展開される。
そして、CCMから突き出た両端には白銀の文字で【
カオスを黒金のエフェクトが包む。
「なにっ?!」
「一気に決める!!」
動揺する海道に、僕はカオスの攻撃をカイザに叩き込む。
そしてそれと同時に一気に集中力を高める。
カオスの機体性能が上がり、カイザの動きを凌駕し始める。
カイザの動きがスローペースで見える。
縦横無尽に駆け回り、高速でカイザにダメージを与える。
カイザの関節部を攻撃し、動けなくさせたところに。
「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ヴォーパル・ストライク!!】」
カオスの右の剣から一筋の、深紅に輝く光槍がカイザを貫いた。
深紅の槍に貫かれたカイザは爆発する。
爆発したカイザの破片が海道の持っていたCCMに直撃し、CCMがショートした。すると、何故か海道も動きが鈍くなり。
「オ・・・・・・ノレ・・・・・・」
機械混じりの声が海道の口から出てきた。
やがて、喋りもせず海道が動かなくなった。
突然の海道の異変に唖然とした。
「ど、どういうこと?」
海道を倒したというのに、なぜか喜べない。
困惑していると。
『どうしたのじゃレイ』
左耳につけているイヤホンからオタクロスの声が聞こえてきた。
「いや、なんかよく分からないんだけど、急に海道の様子がおかしくなって」
『なんじゃと?』
オタクロスも怪訝な声を出す。
そこに。
『レイ君、海道の様子がおかしいとは具体的にどんなだ?』
紳羅さんも入ってきて聞いてくる。
「えーと、急に声が機械混じりになって、さっきいきなり動かなくなった。まるでロボットみたいに」
『ふむ・・・・・・』
紳羅さんも怪訝な声を出す。
『レイよ。その海道の様子をこっちに動画で送ってくれんか?』
「え?いいけど」
すぐにCCMをカメラモードにしてオタクロスにリアルタイム転送をする。
『ふむ。確かに変じゃの』
そう言いながらオタクロスの方からカチャカチャと音がする。
しばらくして。
『なっ!?なんじゃと!?』
驚愕の声が聞こえてきた。
「どうしたの?」
『どうしたオタクロス?』
『どうしたもこうしたもないデヨ!!二人とも、これを見るのデヨ!!』
オタクロスから送られてきた画像を表示する。
それを見た僕と通話先の紳羅さんは、オタクロスと同じ驚愕の声を出した。
『オタクロス、これはホントなのか?』
『嘘を言ってどうするんじゃ。紛れもなく、今レイから送られてきたものを解析した結果デヨ』
「こんなことって・・・・・・!」
画像には海道が映し出されている。
だが、それは海道をスキャニングした結果画像だった。
そこには、機械ボディの海道が写っていた。
「この海道は、アンドロイド・・・・・・っ!?」
『一体どういうことだ・・・・・・いつから海道がアンドロイドになっていた?』
戸惑いを隠せない僕ら。
まさか海道がアンドロイドだとは、誰も思うまい。
『この海道がアンドロイドなら、本物は何処だ?』
紳羅さんの問いの通りだ。
アンドロイド海道がここにいるということは、本物の海道は何処にいる?
そこで僕はとある仮説に辿り着いた。
「ねぇ、海道が死んでるって考え・・・・・・どう思う?」
『・・・・・・まだ分からん。だが―――』
『その可能性は大きいかもしれんのぉ』
もし海道が死んでるなら、今イノベーターを動かしてるのは誰?
イノベーターの連中は恐らく知らないと考え、アンドロイド海道を操っている黒幕が背後にいるはずだ。
だが、それが誰なのか分からない。
「今はとにかくメアたちを助けないと」
アンドロイド海道をその場に放置し、僕は先に進んだ。
先に進む中、所々に違和感を感じ始めた。
「おかしい・・・・・・さっきから人を全く見ない」
そう。この建物の中にいる人を、全くと言っていいほど見かけないのだ。
それに―――
「なんか誘導されてる気がする」
オタクロスのハッキングにより、この建物内のマップはCCM内にコピーされてる。
本来ならあるはずの通路が無かったり、塞がっていたりしているのだ。
そして僅かだが、何かが開閉する音も聴こえる。
「まさか、ね―――」
順路を駆け足で掛けて行き―――
「ふっ・・・・・・。いいだろう。乗ってやる、その誘導に」
確実に誘導されていることが分かりその誘いに乗ることにした。
しばらくして―――
「・・・・・・彼処か」
通路の横が開いているのを見て呟く。
CCMの目的地でもその先だ。
壁際からチラッと通路の先を見る。
「っ!メア!キヨカ!」
「れ、レーくん!?」
「レイ!?」
そこにはメアやキヨカ。アミ姉やカズ兄、郷田、さらにダイキさんまでいた。
そして。
「っ!レイ」
兄さんとジンもいた。
え、いや、なんでここに兄さんとジンがいるの?
ってかどうやって入ったの?
そんな疑問が浮かぶが、それは横に置いといて。
「兄さん、なんでここにいるの?」
「なんでって、バンは私たちを助けに来てくれたのよ」
「そうなの?」
アミ姉の言葉に首をかしげながら兄さんに問う。
「で・・・・・・アレは、なに?」
視線を左に向け、窓の奥にある生産ラインらしきものを見て言う。
どう見ても、碌でもないものは確かだ。
窓上中央部にあるスクリーンには、その生産ラインの拡大映像が映し出されてる。
「【ドングリ】、とか言ってたよ」
「ど、【ドングリ】?」
なんとも言えない名前に微妙な顔をする僕。
「恐らく、エターナルサイクラーを利用した兵器かもしれない」
「なに・・・・・・?」
ジンの言葉で映像を観る。
オタクロスの所から持ってきた端末を中継モードにし。
「紳羅さん、見えてる?」
『ああ。観えてる』
車で待機している紳羅さんに映像を送る。
「これで此処って強制査察出来ないの?」
『難しいな。そもそもこの映像自体に証拠能力がない。正規の手続きで得た物なら可能だが、違法なものは証拠にならない。いくら俺たち公安が違法捜査が得意といっても限度があるからな』
「つまり、結局のところ海道を操っている黒幕をどうにかしないとならないわけね」
『そうなるな。あるいは・・・・・・』
紳羅さんとイヤホン越しに会話してると。
「あ、そうそう!イノベーターのトップは海道じゃないらしいの」
「誰かに連絡してたぜ。確か、【フェアリーテイル計画】がどうのって」
アミ姉とカズ兄が言ってくる。
【フェアリーテイル計画】?
直訳すると【妖精の尾】って意味だけど・・・・・・
「やはりか」
「ああ」
「ん?兄さんとジンは海道がアンドロイドだって知ってるの?」
やはりか、と声に出す兄さんたちに聞く。
「えっ!?」
「なにっ!?海道がアンドロイドだと!?」
「レーくん、それどういうこと!?」
知らなかったメアたちが驚愕の表情で聞いてくる。
その質問にジンが答えた。
「これが今の海道義光だ」
自身のCCMの画面を見せる。
それにはオタクロスが解析したのと同じ、海道をスキャニングし中身が機械ボディとなった姿があった。
それを見たアミ姉たちは信じられないと声にだす。
僕だってついさっきまで海道がアンドロイドだなんて思わなかったからね。
「レイ、君は何時お爺様がアンドロイドだと気づいた?」
「ここに来る前。さっき海道と戦った後」
「なんだって!?」
「海道義光と戦ったのか?」
「うん。勝ったけど。確か、AI搭載型LBXで名前を・・・・・・」
「[カイザ]」
「そう。カイザ・・・・・・って、なんでジン知ってるの?」
「僕とバンくんも戦ったからな」
「ジンと兄さんも?」
「ああ」
兄さんがそう返す。
そこに。
「・・・・・・誰だ?」
僕の耳に足音が聴こえ、聴こえた方に視線を向けて問う。
「へぇ。僕に気付いたんだ」
扉が開き、そこから右目に眼帯をした金髪の半裸の男が現れた。
歳は僕らと大して離れてないと思う。
上半身裸の上にベストを羽織った、郷田と似たようなスタイルの少年だ。
「ネズミにしてはなかなか目敏いじゃないか」
「誰だお前!」
「バン、ジン、レイ気をつけて。アイツが私たちをここに閉じこめたの」
アミ姉たちを倒したということだろう。
確か目の前にいる少年の名前は―――
「神谷コウスケ」
ジンが僕が言う前に告げる。
「ジン、アイツを知っているのか?」
「神谷コウスケ。神谷重工会長の一人息子にして、天才的なセンスを誇るLBXプレイヤー。確か今はA国に留学していたはずだけど」
兄さんの質問には僕が言う。
「レイ、なんで知ってんだ?」
「なんでって、調べたから。敵を調べるのは基本でしょ?」
ダイキさんの問いに、何を当然のことをと言うふうに返す。
と言っても、僕が知ったのは、紳羅さんから提供された情報で知ったからなんだけどね。
「海道ジン。キミだよね?海道先生の恩を仇で返した少年は」
「・・・・・・」
「当然報いは受けてもらうよ。何故ならそれが世界のルールだからね」
「・・・・・・」
神谷コウスケの言葉になんとも言えない僕。
いや、世界のルールとか以前に・・・・・・。
「質問いいか神谷コウスケ?」
「ん?なんだい、山野レイ」
どうやら僕のことは知っているらしい。
「聞いているよ。海道先生にキズを負わせた少年がいると。海道ジンにも劣らない操作速度に反射神経。イノベーターでもトップクラスの脅威者となっているしね」
「お褒めに預かり光栄だ。それはそれとして・・・・・・」
神谷コウスケの嫌味を返すように返し―――
「・・・・・・なんで、半裸なの?」
ずっと気になっていた質問を訊ねた。
「は?」
「え?」
「え、え?」
神谷コウスケもジンも、兄さんも唖然としている。
それはメアたちもで。
「いや、ずっと気になってたんだよね。郷田も上半身裸に学ラン一つだし・・・・・・。流行ってるの?会長の子供って」
郷田はプロメテウス社の。神谷コウスケは神谷重工の子息だ。
共通点は、会長の子息ってこと。
だから気になっていたのだが・・・・・・。
「いやいやいやいや!!今聞くことじゃないよね!?」
「シリアスブレイク・・・・・・」
「痛いよメア!?」
メアにペチンっ!と頭を叩かれた。
「ちょっとは状況見ようよ!?」
「いや、だって気になるし・・・・・・。メアは気にならないの?」
「それは・・・・・・気に・・・・・・・・・・・・なるけどぉ!」
「メア!?」
僕とメア、キヨカがそんなやり取りをしてる中。
「確かに・・・・・・郷田、なんでそんな恰好なんだ?」
「せ、仙道!?」
「確かに気になるわね。寒くないのかしら」
「ああ、そうだな」
とそんな会話をしていた。
「ふふっ。何故僕がこんな格好なのかというとだね」
神谷コウスケがカッコつけて言ってくる。
「その方が美しいからさ!」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
神谷コウスケの言葉に呆然とする。
え、美しいって・・・・・・。
「そうなの郷田?」
「んなわけねぇだろ!?俺のはこっちの方が楽だからだ!!」
アミ姉がホントなの?と問い掛け、郷田は全力で否定している。
似てる二人だが、全く違うらしい。
いや、これで二人とも同じだったらそれはそれでなんだけど。
「まぁ、それはさておき・・・・・・。海道ジン。山野レイ。僕とバトルだ」
「っ!」
「随分と手が込んでいるな」
「美学だよ。君も掛かっておいで。まとめて倒してあげよう」
「なにっ!」
兄さんにも言う。
どうやら僕ら三人を相手にするようだ。
「さぁ、ここから出るには僕を倒すしかないよ」
Dキューブを取り出し、僕らとの間に展開する。
神谷コウスケは既に準備万端だ。
ここから出るには、彼の言う通り彼を倒すしかない。
「やるしかないね。いくよ、兄さん!ジン!」
「ああ!」
「わかってる!」
僕らも続けてそれぞれLBXを取り出し。
「ルシファー!降臨!!」
「ゼノン!」
「オーディーン!」
「疾くと舞え!カオス!!」
Dキューブは峡谷ステージ。
峡谷ステージの高台にそれぞれのLBXが降り立つ。
神谷コウスケのLBX[ルシファー]は、アーマーフレームは恐らくナイトフレーム。フレームは金色で、神々しくもある。背面には大型ブースターがあり、常に浮遊している。円盤状のパーツからは五対十翼の紫のビーム翼がある。
武装はビーム刃の片手剣に盾。
「いけ、ゼノン!」
「オーディーン!」
ジンのゼノンと兄さんのオーディーンが同時に先行する。
「二人とも!?」
愚直に突っ込む二人。
ゼノンのハンマーとオーディーンのビーム刃の槍が同時にルシファーへ迫る。
が、兄さんとジンの攻撃をルシファーは当たる直前に直上に飛び上がり二機の背後を取る。
すぐさまゼノンが振り返りルシファーに攻撃するが、ルシファーは軽やかにバックステップで下がる。
「逃しはしない!」
続けて繰り出すゼノンの攻撃をルシファーはなんともないように余裕を持って避ける。
そして反撃として凪いだ刃がゼノンにヒットしてゼノンが倒れる。
「っ!?」
「ゼノンが!」
「ジンでもダメか!?」
「僕は神に選ばれし者。僕のLBXには、誰も触れることは出来ないのさ」
「なにが神だ!」
今度は兄さんのオーディーンがルシファーに迫る。
オーディーンの猛攻をルシファーはゼノン同様、余裕を持って避ける。
オーディーンとゼノンの連携もなんともないように軽やかに避ける。
「ふははははっ!!遅い。遅すぎる。その程度のスピードじゃ、僕のLBXに触れることすらも出来ないよ」
オーディーンの背に軽やかに飛び乗るルシファー。
圧倒的過ぎる。
兄さんとジンの連携をいとも簡単に避ける神谷コウスケ。
天才的なセンスを持ったプレイヤーってのは過剰じゃないようだ。
ルシファーの性能もながら、プレイヤー本人の操作スキルも高い。
オーディーンとゼノンの同時攻撃すらも軽々と避け、簡単に反撃してくる。
まだ動いていないが、見るだけでもかなりの強者だとわかる。
「聞いてなかったのかい?僕のLBXには触れることは出来ないって。そろそろこっちから行くよ!」
そう言った神谷コウスケはルシファーに攻撃を指示する。
ルシファーの攻撃は速く、剣を振るたびに風鳴りがなる。
ゼノンは受け止めてばかりで反撃すらできない。
オーディーンの不意打ちすらも軽々と避け、カウンターを喰らわせる。
二人が手も足も出ないとは・・・・・・。
「二体まとめて片付けてやる」
防御に精一杯な二人。
絶体絶命のオーディーンとゼノン。
「そろそろ行くよ!!」
そこに僕のカオスが割り込んだ。
「来たか、山野レイ!」
カオスとルシファーが睨み合い、同時に動く。
カオスの双剣『フェンガーリ』と『アステール』がルシファーのビーム刃とぶつかり合う。
「互角か!」
「バンとジンが相手にならなかったアイツと互角かよ」
「
「レーくん・・・・・・」
「レイ・・・・・・」
メアたちが心配している。
けど、目の前にいる神谷コウスケ相手に余所見は厳禁。
気を抜いたらヤラれる。
「ふははははっ!!まさかルシファーの速度に追いついてくるとはね!」
ルシファーのCPUは結構性能がいいのか、動きが滑かだ。
僕のカオスに搭載されてる、『カオスレイン
そのお陰で何とかここまで食いついている。
それほどまでに、このルシファーはスペックもながら、プレイヤーのスキルも高い。
「どうした!?海道先生にキズを付けた君の力はそんなものか!?」
「んなわけないでしょ!!」
神谷コウスケの挑発に乗るのは癪だけど。
「そっちこそ。世界のルールって言ってた割には、遅い!!」
ルシファーが攻めれば、カオスは受け止め防御し。カオスが攻めえばルシファーが受け止め防御する。
尋常じゃないLBXの剣速に風鳴りが絶え間なく響く。
必殺ファンクションは使えば発動前と、発動後に僅かな隙が出来る。この状況下でそれは得策では無い。
「(なんだろ。こんな状況なのに、楽しくて仕方ない僕がいる)」
不謹慎かもしれない。
でも、何故かわからないけど、神谷コウスケはそこまで憎めない。
イノベーターで、敵であるのにそこまで苛立ち等といった悪感情が湧かない。
《そう。憎しみで敵は倒せないわ》
「(っ!?)」
突然頭に響いた声に一瞬思考が止まった。
聞いたことのない声だ。
兄さんや、ジンはもちろん。神谷コウスケ。アミ姉やカズ兄、郷田、ダイキさん。イヤホン越しの紳羅さんやオタクロス。そしてメアやキヨカとも違う、神聖で優しい温かみのある女性の声だ。
《集中しなさい。あなたの底力はこのようなものではないわよ》
また聞こえた。
この声の主が誰なのか知りたいけど、今は誰かなんて知っている暇はない。
声の主の言う通り、集中だ。
「っ!さらに上がってきただと!?」
視界の風景が、ゆっくり流れているように見える。
ルシファーの動きもどこか遅く感じられる。
「神に選ばれしこの僕を超えるだと・・・・・・!?ふざけるなっ!世界のルールは絶対だ!!」
「遅い」
激情した神谷コウスケ。
その隙に、カオスの双剣がルシファーを捕らえダメージを与える。
「なにっ!?」
目を見開き、驚愕の表情を露わにする。
「すげぇ・・・・・・」
「神谷コウスケにダメージを与えたぜ」
「ええ。それもだけど・・・・・・」
「レーくんの動きが見えなかった」
「ええ。速すぎる」
メアたちの声も聴こえる。
「ダメージを与えたのは、僕だけじゃないよ」
「っ!」
よく見ると、ルシファーの左腰にオーディーンのビーム刃の槍の先端が刺さっていた。
「触れたな・・・・・・僕のルシファーに・・・・・・世界のルールに逆らうものは許されない・・・・・・!まずはお前だ!お前からトドメを刺してやる!」
兄さんを指差し、憤怒の表情を浮かべる神谷コウスケ。
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
神谷コウスケの声に呼応するように、ルシファーは凄まじい風が起こる。
そして、まさに一触即発になろうとしたその瞬間―――
『時間だコウスケ。いつまで遊んでいるつもりだ』
部屋のスピーカーから声が響いた。
恐らく、神谷コウスケの父。神谷重工の会長だろう。
「・・・・・・タイムオーバーか。少し手を抜きすぎたかな。了解、ダディ。すぐ行くよ」
そう言うと言うと、スピーカーの方からこっちに身体を向け。
「終わりだ。君たちもさっさと帰るんだね」
と告げた。
ルシファーを回収したことから、これでバトル終了ということだろう。
少し不完全燃焼だけど、しょうがない。
「そこから行けば、誰にも見つからずに帰れるよ」
左奥の隠し扉が開く。
「ちょっと!私たちのCCM返しなさいよ!」
「そうだったね」
中央扉から少し離れた、小物入れのようなスペースが開き、そこからメアたちのCCMが姿を現した。
中には黒いアタッシュケースも納められており。
「それから、これも」
「っ!」
アタッシュケースを兄さんに向かって投げ渡してきた。
キャッチし、アタッシュケースを開き中を見る。
中には―――
「っ!?エターナルサイクラー!?」
「でも、どうして?」
イノベーターに奪われた、エターナルサイクラーのサンプルユニットが収められていた。
「渡してやれって言われたのさ。たぶん、【グラビティポンプ】が完成したからだろうねぇ」
「おい。【グラビティポンプ】ってなんだ」
「エターナルサイクラーの技術を応用して造られた、【ドングリ】製造マシンだよ。一度動き出せば、永遠に【ドングリ】を作り出すことが出来る出来る。まさに神の所業」
「【ドングリ】とは?」
「ふっ。肝心の事を知らないんだねぇ。まぁいいか、教えてやるよ。【ドングリ】とは、〈超小型メガトン爆弾〉の事さ」
「「「「「「「っ!!!?」」」」」」」
神谷コウスケの言葉に息を呑む。
エターナルサイクラーを利用したメガトン爆弾。
父さんの言ったことが頭を過ぎった。
【人類の希望にも、絶望にもなる】と言っていたこと。
これは正しく、人類の絶望だ。
「爆弾!?」
「じゃあ、そこで造られてるのって全部爆弾」
「そうさ。【フェアリーテイル計画】は動き出した。もう誰にも止めることは出来ない!」
「【フェアリーテイル計画】」
「山野バン君だったね。僕のルシファーに触れることが出来るなんて、名前くらいは覚えといてあげるよ。そして、山野レイ」
「なに」
「君とはいずれ決着を付ける。覚えとくんだね」
そう言うと、神谷コウスケは部屋から出ていった。
「ああ。そのつもりだ」
扉越しに神谷コウスケへ言う。
次会うときは、必ず決着を付ける。
「【フェアリーテイル計画】ってなんだろ」
「とんでもなくイヤな計画ってことは確かだと思うよ」
「ええ。間違いないわね」
「とりあえず、ここから脱出するよ。拓也さん達には後で報告しないと」
僕がそう言うと、兄さんを先頭に神谷コウスケが開けた扉の奥へと入っていく。
僕は念のための証拠として、【ドングリ】製造ラインを撮っておく。
最後に行き、僕ら全員が奥へと入る。
そこは暗く、通路とかも何もない場所だった。
どうやって出るんだろと思っていると。
「え・・・・・・」
突然床が傾き、滑るように悲鳴を上げて僕らは落ちていった。
しばらくして出口の光が見え―――
「っう〜!!」
「痛たた」
「あの野郎、俺たちをゴミ扱いしやがって」
どうやらあの部屋はゴミ置き場だったらしく、ダストボックスを通って下のゴミ置き場へと滑ってきたらしい。
脱出出来たのはいいけど、この扱いはあんまりじゃないかな神谷コウスケ!!?
なんか今、『僕にとって君たちはゴミ以下さ』って神谷コウスケの声が聞こえたような気がする!!
って!
「ま、真野さん!?」
何故か、僕らの下に真野さん、細井さん、矢壁さんがいた。
「れ、レイ!?」
「無事だったんすネ!」
「いやー、心配しましたよ」
「あー、うん。まぁ」
この状況で無事とは言い難いが・・・・・・
「真野さん、どうやってここまで?」
ゴミの山から降り、服を軽く叩いて聞く。
「人気が全くなかった裏道からここまで来たんだよ」
「なるほど」
全員揃っている。
はぐれたりはしてない。
「真野さんたち車ですよね」
「ああ、そうだよ」
「じゃあ兄さんたちをそっちに。僕は待ってる人がいるので」
「了解。ほんじゃ、こっちだよ。着いてきな」
兄さんたちが真野さんに連れられて行ったのを見て、左耳のイヤホンに手を置き。
「紳羅さん、聴こえます?」
『ああ。ご苦労だったな』
「ええ。今どこに?」
『近くのパーキングエリアだ。すぐに迎えに行く』
「了解」
紳羅さんと通信を切り、
「オタクロス」
『聴こえるデヨレイ』
「OK。話は聞こえてた?」
『うむ』
「じゃあ」
『既にやっておる。あヤツらの目的じゃな』
「そう。分かったらタイニーオービット社のシーカー本部にまで送って」
『任せるデヨ』
オタクロスとの通信も切り、近くの壁に寄り掛かり息を吐く。
どっ、と疲れが来た。
「メアたちの救出は完了っと。真野さんたちの車で向かってる、と」
拓也さんと八神さんにメールで状況報告し、さっきの頭の中に響いた声をついて考える。
「なんだったんだろ、あの声」
幻聴かもしれない。
けど、聞こえたのは確実だ。そして、それを聞いたのは僕だけ。
あの場にいた、僕以外の人には聞こえてないみたいだし。
「なんか、懐かしいような、そうでも無いような・・・・・・」
何かわからないけど、僕の中でアレは僕の味方だって解ってしまう。
直感なのか、感覚なのか。よく分からないけど、それは断言出来る。
よく分からない現象に頭を悩ませていると、紳羅さんが迎えに来てそのままタイニーオービットへ直行した。
道中、【5-RAI-AS《ゴライアス》】で入手した情報などを紳羅さんに転送する。
「ふむ・・・・・・」
「これから公安としてはどうするの?」
「とりあえず、海道の行方を捜索する。それと平行して、神谷重工に強制査察を上に具申する」
「出来るの?」
「元々、神谷重工は我々も目を付けていたからな。だが、神谷コウスケの言葉とこの映像で何とかなるはずだ。だが・・・・・・」
「【フェアリーテイル計画】を阻止するのが前提だね」
「ああ。神谷重工に査察が入るのは、イノベーターを潰してからだ」
そんな会話を紳羅さんとして、僕らはタイニーオービット社に着いた。
その後!タイニーオービット社内部のシーカー本部で、兄さんにLEXから届いたイノベーターの最終目的が、【タイラントプレイス】を破壊しエターナルサイクラーで世界支配を目論んでいることと、【サターン】と呼ばれる超弩級ミサイル要塞に、大量の自律稼動型LBX[フェアリー]という【ドングリ】が搭載されていると思われるLBXが運び込まれていることを衛生映像で確認し、ヤツらが超高度厳重警戒のタイラントプレイスを破壊するのか解った。
そして、そのミサイルの発射準備が始まっていることを知った。
「―――ミサイル発射は、明日20時!」
もう24時間もない。
今の時間から後残り、21時間。
ついに、僕らとイノベーターの最終決戦が始まろうとしていた。
現在
神威島
「今更なんだけど、レイって本当に同い歳?」
「何を今更!?」
ルナの質問にギョッとする。
「あー、私もレーくんって本当に同い歳なのかなぁーってよく思ってたよ~」
「そうね。まだ10歳にもいってないのに警察関係者と知り合いになってたり、単独捜査や潜入したりしてたし」
「いやいや!僕一人だけの力じゃないからね!?オタクロスや紳羅さんたちの助けがあったからだし!?」
ちょっと悲しくなりつつ返す。
僕ってホント、同い歳に見られないんだよね・・・・・・。
「でも、レイのその行動があったからこそ、今私たちはここにいると思うわ」
「フラン・・・・・・」
「私だって、レイが全力で私にぶつかってきたから今ここに居るわけだし」
「まぁ、その全力が過剰ってのもあるけどね?」
「それは・・・・・・反論できないわね」
「ちょっ!?酷いよそれはキヨカ!?」
クスクスと朗らかに笑い合いながら話す。
静かな時間。
午後の陽の光に、海から吹く風。草木の揺れる音。
誰にも邪魔されることない、秘密の花園だ。
「それで、イノベーターと決戦はどうなったの?」
「あ、うん。僕や兄さんたちは全力でぶつかったよ」
「あの時は大変だったわね」
「うん。100機以上いたコッチのLBXの9割が対空防御のフェンスとかでやられちゃったし」
「最終的にサターンに到達できたのは僕らだけだったしね」
イノベーターとの最終決戦に参加した僕とメア、キヨカは思い懐かしむように言う。
正直、あの戦いは正しく最終決戦だったと思う。
各々の戦いがあり、ジンの戦い。
そして、最後の黒幕であったあの人との、僕と兄さんの決戦。
けど、今思い返しても涙が出てくる。
被害者でもあり、加害者になったあの人を。
そして、目の前で悠介さんと同じくいなくなったあの人を。
助けられたのに、助けられなかった。
無力な自分。
けど、あの人から託された思いは今も悠介さんと同じく僕の胸に刻み込まれている。
「それじゃあ、僕らシーカーとイノベーターの最終決戦について話そうか」
お茶を飲んで口を潤わせて続ける。
「最終決戦の作戦名は―――
《オペレーション・デイブレイク》」