ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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雪原の死闘

 

〜レイside〜

 

「今日のウォータイムはアラビスタ北部にある雪原地帯。『フェンレス雪原』を攻略してもらう」

 

ジェノックが『ブラックウィンドキャンプ』を制圧した翌日、僕はハーネスの司令室で司令官席でクラスメイトに告げた。

 

「っ!『フェンレス雪原』!?」

 

「一気にアラビスタの内陸部に攻め込みましたわね・・・・・・」

 

クラスメイトから動揺と困惑の声が広がる。

 

「『フェンレス雪原』は、雪原の名の通り、一面雪に覆われたフィールドだ。そして、ロシウス領内に繋がる道でもある」

 

「ロシウス・・・・・・」

 

「先日言った通り、僕らはこれからロシウスも相手をする予定だ。だが、まずここを落とせなければロシウス領内への進行は困難を極める」

 

床のモニターに地図を表示する。

 

「『リバーエンドブリッジ』を制圧済みのため、そこからの援軍は来ない。だが、『フェンレス雪原』はアラビスタの本拠地からそう遠くない」

 

「アラビスタの本拠地から援軍が来る可能性があるということか、ゼロ?」

 

シスイの問いに頷く。

 

「ああ。そのため、『フェンレス雪原』の制圧には全小隊で望む!」

 

「ぜ、全小隊やて!?」

 

「それほどまでに『フェンレス雪原』の攻略はハーネスにとって重要だということですわ」

 

スズネとオトヒメが冷や汗を流しながら言う。

それは他のみんなも。メアたち以外もだ。

メアたちにはすでに伝えてある。

 

「まず、第一小隊はフラッグを目指してもらう」

 

『フェンレス雪原』のマップを表示する。

 

「第二小隊と第三小隊は付近の敵LBXを排除。誘導と撹乱に回れ。第四小隊は、遠距離からの援護。そして、増援の排除だ」

 

カゲトラたちが静かに頷いて返事をする。

 

「そして第五小隊は第一小隊をバックアップする」

 

メアたちも同じように頷き。

 

「僕ももちろん出撃する」

 

「っ!レイが!?」

 

「ああ」

 

「作戦指揮はドルドキンスに執ってもらう」

 

『了解した』

 

僕のすぐ側に空間ウインドウが現れ、遠距離通信でいるジンの姿が映る。

 

「今回の作戦は、ハーネスの未来を掛けた戦いだ。失敗は許されない」

 

僕のその一言に全員が意気込む。

それと同時に―――

 

《各システム、稼働チェック完了。ウォータイム開始まで、180秒》

 

とシステムアナウンスが流れる。

 

「時間だ。総員準備に入れ!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

メアたちが司令室から出て行き、僕と日暮先生、通信先のジンだけになる。

 

「ジン、あとの指揮は任せた」

 

『了解した。レイ、気をつけろ』

 

「分かってる」

 

ハーネスの服に戻り、司令室からコントロールポッドへと駆ける。

コントロールポッドに着き、メアたちとともにそれぞれ乗り込む。

 

「[コスモスオリジン]、行くよ」

 

コントロールポッドを起動させてLBXをセットする。

バイザーを装着し、視界がLBXの見てる風景と同じに変わる。

 

《5・・・・・・4・・・・・・3・・・・・・2・・・・・・1。ウォータイム、開始》

 

システムアナウンスと同時にウォータイムが始まる。

コスモスオリジンらを乗せたクラフトキャリアが発進し、フェンレス雪原へと向かう。

しばらくして―――

 

『フェンレス雪原まで距離残り150!』

 

「了解。各自、所定ポイントで降下。降下次第、すぐさま作戦に入る!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

「さぁ・・・・・・ゼロから始めて、ゼロで終わらせようか!」

 

フェンレス雪原に到着し、次々と降下を始める。

降下すると同時に、眼下にいるアラビスタのLBXを倒す。

 

「『フェンレス雪原攻略作戦』開始!」

 

『行くぞスズネ!』

 

『了解!』

 

「ギンジ!オトヒメ!」

 

『おう!第二小隊、俺様に付いてこい!!』

 

『ええ!第三小隊、行きますわよ!』

 

「シスイ!」

 

『任せろ』

 

各小隊が予定通りの行動を取る。

 

「ルナ、フラン!僕らも行くよ!」

 

『うん!』

 

『ええ!』

 

フラッグへと向かう第一小隊をサポートするため、第一小隊に攻撃を仕掛けるアラビスタのLBXを排除する。

フェンレス雪原は辺り一面が雪に覆われたフィールドだ。

周囲には雪の掛かった雑木林。中間部には谷を横断するための鉄橋がある。

そして、目的のフラッグは鉄橋の中間地点にある。

アラビスタのLBXの数は18機。つまり、6個小隊が防衛に着いてるわけだ。

カゲトラとスズネがフラッグを目指しつつ、最低限の障害を排除。

ギンジとオトヒメたちが大半の敵を倒し、シスイたちが狙撃によって援護。

これが、僕らハーネスの全小隊で出た時の戦略だ。

もちろん、パターンをいくつも変える。

そして、ここは戦場。

何時だって予想外の事は起こる。

 

『レイ、南東から敵の増援!』

 

まぁ、大体予想していたけど、その事は。

 

「了解。シスイ、ムネモリ、オオジ可能な限り撃ち落とせ!」

 

『了解した』

 

『・・・・・・了解!』

 

『了解だぜ!』

 

「オトヒメ、そっちの方は?」

 

『こちら側の残存敵戦力残り6!』

 

「ギンジ、第二小隊だけで受け持てる?」

 

『おうよ!!この程度、俺様にとっちゃなんの事ねぇぜ!行くぞお前ら!!』

 

「よし。第三小隊は増援部隊の殲滅に。ルナは第二小隊の方に。フランは第三小隊とともに第四小隊の援護に!」

 

『『『『了解!!』』』』

 

フランとルナが散開してそれぞれの場所に向かう。

 

「カゲトラ、スズネはフラッグに向かえ!」

 

『『了解!!』』

 

高速でコスモスオリジンを操作し、次々と来るアラビスタの防衛部隊をブレイクオーバーさせる。

そのままフラッグが目前に控えたその瞬間。

 

「っ!カゲトラ、スズネ、止まれ!」

 

鉄橋の向こう側に突如新たなLBXが現れた。

そのLBXは向こう側にいたアラビスタのLBXを次々とブレイクオーバーさせる。

僕らの前に現れたLBX。それは―――

 

『アレは・・・・・・[ガウンタ・イゼルファー]!?』

 

『ば、【バイオレットデビル】!?』

 

「ムラク・・・・・・!!」

 

本来ならここに居ないはずのLBX。

ロシウス第六小隊隊長にして、僕のライバルである法条ムラクの操作する[ガウンタ・イゼルファー]だったのだ。

さらに、続けてロシウスのLBX、[ガウンタ]と[グレイリオ]が次々と現れた。

 

「まさかここでロシウスと相対(エンカウント)することになるとはね・・・・・・!」

 

確認しただけでもロシウスのLBXは15近くある。

恐らくムラクの小隊メンバーである、バネッサとミハイルもいる。

あの二人もかなりの強敵だ。

この状況はかなりヤバい。

まさか、アラビスタだけでなく、ロシウスとまでもとはね。

三つ巴の戦いだ。

 

「メア。フランたちの戦況は?」

 

『今フランちゃん達がそっちに向かってる。増援に来たアラビスタのLBXはオトヒメちゃんたち第三小隊が対処してる!』

 

「了解」

 

オトヒメたちもロシウスが来たことが分かり、フランをコッチに来させる。

けど―――

 

「まさか漁夫の利を狙ってくるとはなぁ」

 

粗方倒したところで、対岸からロシウス。

ロシウスの司令官イワン・クロスキーの考えそうな事だ。

まぁ、戦争の戦術としては理にかなっているけど。

 

『ど、どうするんレイ!』

 

スズネが切羽詰まった声で聞いてくる。

まぁ、無理もない。なんせ、急にセカンドワールド一の大国、ロシウス連合が来たんだから。

 

「どうするも無いよ。僕らは当初の予定通り、『フェンレス雪原』を制圧する。邪魔をするなら、例えそれがロシウスであっても倒すまでだ!」

 

向こうも動きを見せない。

おそらく、僕がいるから下手な動きが出来ないのだろう。

けど、その硬直も長くは続かない。

 

「シスイ、遠距離から第一小隊のサポートを頼む」

 

『了解した、今向かってる』

 

アラビスタもハーネスだけでなく、ロシウスも来たとなっては下手に手が出せないはずだ。

それも、ロシウス最強のプレイヤーである【バイオレットデビル】ことムラクがいるなら尚更。

そして、僕もいる。

 

「カゲトラ、スズネはフランが来しだい、フラッグの占有を」

 

『了解。レイ、お前はどうするつもりだ』

 

「決まってる・・・・・・[ガウンタ・イゼルファー]の相手をする!」

 

そういうや否や、僕とムラク。

コスモスオリジンとガウンタ・イゼルファーは同時に動きだし―――

 

「っ!!」

 

鉄橋中央部でそれぞれの武装をぶつけた。

ガキンッ!と金属がぶつかる音ともに、次の攻め手に移す。

右突きからの左薙ぎ。

ガウンタ・イゼルファーも受け止め流し、カウンターを繰り出す。

武装を双剣から銃剣に変形(シフト)して銃と剣の連撃をお見舞いする。

 

「はははっ!!」

 

ムラクと久しぶりの戦いに胸が高鳴る。

本気じゃないとはいえ、ムラクとの戦いは面白いし、ワクワクする。

ガウンタ・イゼルファーを強攻撃の一撃で、ロシウス側へと吹き飛ばす。

 

「フラン、あとは任せた!」

 

『任されたわ』

 

フランにフラッグのことは任せ、僕は目の前の敵。

ムラクを倒すことに集中する。

接近するコスモスオリジンにロシウスのガウンタやグレイリオが銃器で攻撃してくるが、瞬殺で二、三機ブレイクオーバーしてムラクを追う。

しばらくして、ガウンタ・イゼルファーが一人で佇んでいる姿が観えた。

 

「へぇ・・・・・・」

 

僕が追い付き、向かい合っていると。

 

「通信・・・・・・このタイミングってことは」

 

チャンネルを開くと―――

 

『・・・・・・』

 

「やっばりね・・・・・・ムラク」

 

目の前に空間ウインドウが開き、ムラクの姿が映った。

 

『レイ。まさかお前たちがここに居るとはな』

 

「それは僕の台詞だよ。まったく・・・・・・まさかロシウス。君たちが攻めてくるとは思いもしなかった」

 

『お互い様だ』

 

クスッと軽く笑いあう。

けど、ここはセカンドワールド。

僕はハーネス。ムラクはロシウス。

友達であり、ライバルであっても、今このセカンドワールドでは―――

 

「それじゃあ」

 

『ああ。始めよう』

 

通信を切り、再び同時に雪を蹴り動く。

高速戦闘と言っても過言ではない。

コスモスオリジンはセカンドワールドに存在するLBXの中でも群を抜いているが、それはガウンタ・イゼルファーも同様だ。

ムラクのガウンタ・イゼルファーは、同小隊のメカニックである木場カゲトがムラクの為に、ガウンタを極限までカスタマイズした機体だ。

ガウンタ・イゼルファーには【ダブルトルネードシステム】が採用されており、脚部のホバークラフトやバックパックに備えたブースターによって、高出力、重量級なパワー型のアーマーフレームである。

ブロウラーフレームの機体ながら、ナイトフレームやストライダーフレーム並の高い機動力を持つ。

もちろん、僕のコスモスオリジンも、僕とメアが中心となり、タケルの助力があって出来た機体だ。

ここに来た当初は、僕も[DCシリーズ]で戦っていたのだが・・・・・・・・僕の反応速度に追い付けず、逆に不具合を起こしたり、途中でショートしてしまったりと、動作不具合が頻繁に起こってしまい問題になったのだ。

もちろん、ちゃんと手を抜いていたよ?

全力の本気でやったら多分機体が耐えきれなくなると思うし。

その為、僕は新たな自分だけのLBXを創る事にした。

パーツはDCシリーズや猿田教官に事情を説明してLBX塚から拝借したりして。

僕が今まで使ってきたLBXは基本父さんが、僕専用に仕上げた特注品だ。それ故に、今まで問題なく出来たが、ここで特例をもらって保持しているがおいそれと使えないため、一から新たに創り出すことした。

開発当初はかなり難航した。

開発テーマとだが、僕の操作技術に耐えられる程のカバー強度やCPUが中々見つからなかったのだ。

これでも、イノベーターの最後ら編辺りまで調整していたのだが、無意識なのか、それとも成長しすぎたのか・・・・・・。

ジェノックにいるキヨカの助けは借りられないため、僕とメアで難航していたところに、タケルが協力してくれたため、セカンドワールドでの僕の新たなLBX[コスモスオリジン]が誕生した。

そして、[コスモスオリジン]のデータを元に、フランとルナの新たなLBX。[アステリローザ]と[ファンタズマゴリア]が完成したのだ。

元々フランとルナも本来の使用LBXに加え、最新とはいえ機体スペックがかなり低いDCシリーズでは全力が出せなかったからね。

日暮先生に許可をもらい、実戦使用し正式に僕らのLBXとなったのだ。

それからまもなく、僕はハーネスの司令官に就任した。

司令官になった当初はやることが多く徹夜続きだったが、過去の事件の影響か、作戦指揮や戦術戦略。予測などは特に問題もなかった。

過去の事件様様だが、今の僕がここにいるのは過去の事件があったからだと自覚してる。

僕もメアもルナもフランもキヨカも色んな戦いを潜り抜いてきた。

実戦経験で言うならこの神威大門で僕らに勝るものはいない。

つまりは経験が違うのだ。

実戦という経験が。

 

「ふっ!」

 

ムラクのガウンタ・イゼルファーとの高速戦闘は苛烈を極めていた。

手を出すことは許されない。

互いを友であり、ライバルであると認めているからこそ、手を抜けない。

そして今この状況は敵国同士。

私情もあるが、仲間のため、僕はムラクを、倒す!!

 

「もっとだ・・・・・・!もっと速く!」

 

アレは使わない。

けど、全力の本気で。

ムラク相手に手加減無用。

むしろ、今のこの状況を楽しんでる。

久方ぶりのムラクとの真っ向勝負だから。

ガウンタ・イゼルファーの二刀流をコスモスオリジンの武器、MGS(マルチギミックサック)の双剣で反撃する。

全力(フル)全力(フル)

本気(マジ)本気(マジ)で。

僕もムラクも、今この瞬間にも経験値を得ている。

ガウンタ・イゼルファーも段々コスモスオリジンに追い付いてきている。

すでに何合とも知れぬぶつかり合い。

武装変更(シフト)する暇すらない。

そんな永遠に続くとも感じられた勝負。

その勝負の終了は唐突に訪れた。

 

「っ!」

 

ガウンタ・イゼルファーの眼前に『ルミナスソード』の片方の切っ先を突き出したところに、突然セカンドワールドシステムの制圧完了のサイレンが鳴り響いたのだ。

つまり、それはハーネスかロシウスのどちらかがこのエリア。『フェンレス雪原』を制圧したという事だが・・・・・・。

 

 

《―――拠点制圧完了。フェンレス雪原の所有権は、アラビスタ同盟よりハーネスに移ります。戦闘を直ちに終了し、アラビスタ同盟の登録機体はフェンレス雪原の敷地内より退去してください》

 

 

「どうやらフランたちがフラッグを制圧したようだね」

 

ふぅっ、と息を吐いて言う。

ハーネスがロシウスに勝った。

つまりは、小国が大国に勝ったという事だ。

それも、アラビスタをも跳ね除けて。

予定とは少し違った感じになったけど、これでカゲトラたちの士気も高まるかな。

武装を収め、戦闘を終了させる。

それと同時に、セカンドワールドのアナウンスが今日のウォータイム終了を告げ、コントロールポッドの景色が緑の起動前になる。

バイザーを外し、コントロールポッドから降りる。

コントロールポッドから降り、軽く伸びをして身体を解す。

 

「お疲れ様レイ」

 

「お疲れ様〜、レイ〜」

 

身体を解していると両側のコントロールポットから降りて来たフランとルナが声をかけてきた。

 

「うん。お疲れ〜」

 

二人とハイタッチして互いを労う。

そのまま司令室へと向かう。

途中でカゲトラたちとも合流して―――

 

「お疲れ様。『フェンレス雪原』制圧完了だ」

 

司令官席に立ってみんなに言う。

 

『フェンレス雪原を制圧した事により、ロシウス領内進行への足掛かりが出来た。諸君、良くやってくれた』

 

ジンも続けて言う。

 

『にしても、まさかロシウスが同時に攻めてくるとはな』

 

「ええ。予想外でしたね」

 

全小隊で出撃したから何とかなったものの、もし第一小隊から第三小隊のみとかだったらどうなっていた事やら。

もちろん、ロシウスでも大抵のプレイヤーなら相手は出来るけど、ムラクに限ってはそうでは無い。

それに、アラビスタもロシウスが。いや、バイオレットデビルのムラクが出撃して来たから増援を止めたのだろうし。

おそらく、それは僕がいたと言うのも含まれてるんだろうね。

なんか最強にして最凶だって言われてるし。(失礼だなぁー)

 

「レイが法条ムラクを押さえてくれていたのでなんとか制圧出来ました」

 

「そうやね・・・・・・もしレイらがいなかったらと思うと恐ろしいわ・・・・・・」

 

「ちなみにだが、レイと法条ムラクの戦闘映像が残っているが・・・・・観るか?」

 

「ひ、日暮先生!?」

 

唐突に口を開いた日暮先生の一言にギョッとする。

僕が何か言う間すらなく、

 

「「「「「観ますっ!!」」」」」

 

クラスメイト全員の満場一致により、先程の戦闘映像が流れることになった。

僕の意見?ハハッ。そんなのあるわけないじゃん・・・・・・。悲しいけど。

で、その戦闘映像を見た結果。

 

「おぅふ。相変わらず、両者とも化け物レベルだぜ・・・・・・」

 

「ああ。法条ムラクもだが、レイもレイだな」

 

「なんやねんこの戦闘速度。実際相対したら瞬殺もんや」

 

「そうですわね・・・・・・さすがハーネス最強のプレイヤーですわ」

 

クラスメイトからそんな意見が次々と言われた。

いや、アレ使ってないから本気も本気じゃないけどね?

苦笑していると。

 

『レイ、少し手を抜いてないか?』

 

ジンが疑問形で聞いてきた。

 

「「「「「は?」」」」」

 

「あ、さすがにジンにはバレるか」

 

「「「「「はああああっ!!?」」」」」

 

またしてもクラスメイト全員の絶叫。

鼓膜が破れそうなほどだ。

 

「レーくん、楽しんでたでしょ?」

 

「あはは。まぁね。でも、本気だったよ?」

 

そう。

アレは使わなかったが、本気も本気だった。

最後にアレを使ったのは第三小隊救出作戦の時、ほんの数秒だけだけど。

それ以降は全く使ってない。

むしろ、ここに来て以来アレは使った回数が片手で数えるぐらいだ。

 

「手は抜いてはいないけど、力は抜いているかな」

 

『そうか』

 

そう言うと、ジンはふっ、と笑って返した。

そもそも僕のアレはヒロとは系種が違うらしい。

ヒロは瞳が金色に輝くけど、僕は虹色。

どういう理屈なのか全くわからないけどね。

どうやら僕のは異色らしい。

その後、明日のことなどを話して解散。

司令官室でジンと日暮先生とこれからのことを話して、色々作業を終えて学園から出る頃にはもう夜だった。

学園の門から出るとメアとフラン、ルナが待ってくれていた。

ダック荘への帰り道、

 

「レーくん、本当に大丈夫?」

 

メアが心配気に聞いてきた。

 

「ん?大丈夫だよ。アレを使った訳じゃないし。そもそも、使う相手がいないからね」

 

アレは僕の切り札だ。

だから、あれの存在を知っているのはここにいるメアたちとキヨカ、ジンだけ。

それにウォータイムで使うとしても、ほんの数秒だけだからね。

 

「それで、しばらくは哨戒ってことでいいのかしら?」

 

「今の所はね」

 

『フェンレス雪原』を制圧した今、特に急いで他の拠点を攻める必要は無い。

故にしばらくは哨戒任務でもしようと思う。

けど、問題が一つ。

神出鬼没のバンデットをどう対処するかだ。

 

「そう言えばメア、最近なにか造ってるらしいけど?」

 

「・・・・・・また何か作ってるの?」

 

昔からメアは『思い立ったが吉日』を行動に表したように良く新武装の開発をしている。

昔はこんなんじゃ無かったのになぁ・・・・・・

 

「レーくん、今『昔はこんなんじゃ無かったのになぁ』って思わなかった?」

 

「君はエスパーか!?」

 

思わずツッコミを入れるが。

 

「顔に出てたよ」

 

「む・・・・・・」

 

しかめっ面を浮べる。

一応ポーカーフェイスは得意なんだけど・・・・・・

 

「メア、お願いだから無茶だけはしないでよ?」

 

「大丈夫だよぉ〜」

 

「「「・・・・・・・・・・」」」

 

「あれぇ〜?私信用ない!?」

 

僕とルナ、フランの眼差しにメアは心外だと言うように言うが、無理もない。

だって―――

 

「無茶して熱出したのは誰だったけ?」

 

「ウグッ!」

 

「寝不足でレイの部屋に入ってレイのベッドに潜り込んだのは誰だったかしら?」

 

「ふグッ!!」

 

「しかも、そのままレイを抱き枕にして寝間着を脱いでいたのは誰だったかな?」

 

「グハッ!!!」

 

僕、フラン、ルナの順に言う。

グサグサっ!とメアに槍が刺さる幻影が見えるが・・・・・・。

 

「あのネ、メア。お願いだから、僕の部屋で服を脱ぐのだけは勘弁して」

 

「ぜ、善処します・・・・・・」

 

メアはここに来てから何故か何徹かした後、深夜テンションみたいに部屋に入ってくるわ、急に抱きしめてくるわ、服を脱いで下着を見せてくるわ、で理性がガンガン削られているのだ。

まあ、それはメアだけじゃなくて、フランやルナ。たまにキヨカもなのだが・・・・・・。

他の人が見たら妬ましさとかで殺されそう。

てか、本当に理性が飛びそうで大変なのだ。

ジンにたまに相談したりしているが、何故かジンはなんとも言えない表情で僕の肩をポンと置くだけなのだ。

カゲトラたちに相談なんて出来ないし・・・・・・。

出来るのは昔からの知り合いであるジンくらいなのだ。

なのだが・・・・・・。

 

「それで、今度は一体何を造ってるのよ?」

 

少々不安になるがメアに聞く。

 

「実は対LD(ラージドロイド)用の武装をね」

 

「対LD用?」

 

「うん」

 

「・・・・・・お願いだから、常識の範疇でお願いね」

 

「レーくんにだけは言われたくないかな」

 

「レイが言っても説得力ないわよ」

 

「レイが言ってもなぁ・・・・・・」

 

「あれぇ~?」

 

メアたちの反応に今度は僕が何かおかしなこと言った?と言う感じで返した。

そのまま僕らは仲良くダック荘へと帰った。

で、メアだが―――

 

「はぁ・・・・・・・・・・」

 

翌朝、目を覚ますと何故かメアが寝間着を脱いではいないが、何故か僕のベットに潜り込んでいた。

目の前にあるメアの寝顔を驚きながらも、メアを起こさないように気をつけてベットから抜け出し、窓からの朝日を浴びながら溜息を吐いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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