〜レイside〜
「ねぇ、レイ」
ジンさんとの話し合いが終わり、僕たちは寮であるダック荘の部屋へと帰ってきていた。
寮長であるトメさんに挨拶を済ませ、それぞれの部屋に荷物を置きフランたちは僕の部屋へとやってきた。
「ん?なにフラン」
「さすがに、明日ニーズシティは無理があるんじゃないかしら?」
「うん。私もそう思う」
「そうだねぇー。私も、明日いきなりジンさんにやってもらうのは難易度高いと思うよ?」
ジンさんの実力を実感して貰うためのテストである明日のウォータイムの作戦である『ニーズシティ攻略作戦』についてフラン、ルナ、メアの順に言われる。
「いや、ニーズシティは丁度いいんだよ」
「え、どういうこと?」
「ニーズシティは結構大きなエリアだってことは知ってるでしょ?」
「そうね・・・・・・エリア区間を三箇所に区切れるわ」
「だからさ。ハーネスは僕らを含めれば第五小隊までしかない。僕らはともかく、第四小隊は後方支援向きだ。つまり、この三箇所にはそれぞれ第一小隊、第二小隊、第三小隊の全てを突入させるしかない」
「でも、アラビスタにとってもニーズシティは重要な場所だよ?『ラボ』があるし」
「うん。でも、僕らがここ最近占領してきたエリアを思い出して」
「えーと、確か今日は『グランデの港』で、昨日は『ニコルド草原』・・・・・・」
「一昨日は『グレスト山地』で、先週は『オアシス8』、『アカマ砂漠』・・・・・・だっけ?」
「・・・・・・ああ、なるほど。だから、今日グランデの港を攻めたのね」
「え?どういうことフランちゃん」
「グレスト山地とオアシス8、アカマ砂漠はニーズシティのすぐ近く。そして、グランデの港は南部。着実にアラビスタの勢力を落としてるのよ。―――!もしかして、海道ジンがいなくてもいずれはニーズシティを落とすつもりだったの?」
「That's Right」
「うわぁ。悪い顔してるよレーくん」
「あはは。でも、なんで手順を変えたの?」
「それはなんで急にニーズシティを落とすことにしたか?ってこと?」
「うん。レイ、本当はまだ先だったんじゃない?」
「そうだね。ジンさんが来なければもう少しあとに落とすつもりだった。けど、ジンさんが来たから作戦を変えた」
「それって、海道ジンが作戦指揮を取ればレイが出撃できるから?」
「あ、そうか!ここ最近レイはブリーフィングルームに篭って指揮を執ってばかりだったもんね」
「最後に出撃したのってもう二ヶ月くらい前?」
「あ、そんなに経つのか」
「日暮先生がもう少しまともにやってくれれば・・・・・・」
「あはは」
「僕が出られれば、ニーズシティを落とせる確率は格段に上がる。それに―――」
僕は言葉を区切り、フラン、ルナ、メアの顔を見る。
「僕ら四人が揃えば勝てない戦いはない。そうでしょ?」
「そうね。その通りだわ」
「うん!私達は最強!」
「そうだね。それが私たち!」
「明日、僕らをジンさんがどういう配置に振るのか分からないけど・・・・・・余程のイレギュラーが起きない限り僕らハーネスが負ける道理は無い。それにこっちにはタケルがいる」
「古城アスカの弟にして天才メカニック古城タケルね」
「そうだね。タケル君なら大丈夫だよ」
「あ、そうだ!せっかくだからレーくん、明日の戦闘新武装使ってみない?」
「なに?」
「え、もしかしてメア、あれのこと?」
「うん。元々レーくんの戦闘スタイルは近接戦闘だからね。だから、遠近両方出来る武装を考えてたの。ちょっと待ってて」
そう言うとパタパタと部屋を出ていくメア。
その十数秒後。
「おまたせぇ〜」
アタッシュケースを三個持ってメアが戻ってきた。
「?三個?」
「うん。せっかくだからフランちゃんとルナちゃんの分も作ったの。あ、タケル君にも手伝ってもらったんだぁ」
「私たちの!?」
「ええっ!」
驚く僕らに満足したようにメアはベッドの上にアタッシュケースを置き、アタッシュケースの蓋を開ける。
「レーくんにはこの、『ルミナスソード』。
「ま、またトンデモナイ武装を創り出したね!?」
メアのトンデモ武装に僕はツッコミを入れる。
え、なにこの可変武装。多分だけど、あの人たちの得意武装をモデルにしたんだろうなぁ。
「この説明聞いただけで私たちの装備がトンデモナイ武装になること間違いないわね」
「う、うん」
「それでMGSじゃないけど、フランちゃんのは遠距離武器の『アステリブラスタ』とビームシールドの『アスタリスクガーター』。ルナちゃんのは同じく遠距離武器の『ムーンフォース』」
残りのアタッシュケースには、ピンクの銃身の長い銃に
「ほっ。結構真面ね」
「うん。どんなトンデモ武装が出てくるのかなって思ったけど」
意外に二人の武装は比較的まともだった。
「この『アスタリスクガーター』のモデルってもしかして兄さんのやつ?」
「うん。バン兄のシールドをモデルにしてるよ」
「遠距離武装は確かに有難いわね。私たち全員、近接武装だから」
「遠距離武器相手は基本最速で倒してたもんね」
確かにここに来る前も基本、近接武装だった。単純に知り合い全てが(一部を除いて)近接武器持ちだったからなのもあるけど。
「『アスタリスクガーター』は銃だけじゃなく剣でも使えるわね。機動力が落ちるかもだけど、そこは私が何とかすればいいわね」
「この『ムーンフォース』は私嬉しいかも。動きながら撃てるから」
フランとルナには中々好評だ。
「うーん、僕はこれ少し慣れないといけないかも」
「レイは様々な武器種の必殺ファンクションを使えるからね」
「じゃあ早速やろうか!」
「ルナが相手してくれるの?」
「もちろん!私も慣れないとね」
「じゃあ早速―――」
僕はDキューブを取り出し展開する。
「ほんと、こういうのには助かるよね」
この部屋は他の生徒たちと違い離れている為、戦闘音があまり聞こえはしない。
「早くやっちゃおうか」
「そうだね」
僕とルナは向き合い、それぞれウォータイムで使ってるLBXを取り出しメアの創ってくれた新武装を装備する。
「いくよ、ファンタズマゴリア!」
「行け、コスモスオリジン!」
「それじゃあ〜。バトルゥー、スタァート!!」
メアの開始声とともに僕とルナはCCMを操作しはじめた。
翌日
ハーネス ブリーフィングルーム
「それではニーズシティ攻略作戦のブリーフィングを始める!」
ウォータイム開始前のブリーフィングルームにはハーネス一年三組の全員が揃っていた。
床にはニーズシティを上空から撮った地図が映されている。
「これがニーズシティの構造図だ」
「広い・・・・・・」
タケルの言う通りニーズシティはとんでもなく広い。
そう思っている中、ジンさんの作戦指示が入る。
「その通り。ニーズシティは三つのブロックに分かれている。この広さ故に、現在のアラビスタの戦力では守りきることが困難な状況だ」
「!?誘導ですか?」
「その通りだ。まず、北ブロックを第二小隊が、東ブロックを第三小隊が攻撃を開始する。そしてその十五分後、郊外で待機していた第一小隊が西ブロックに進行。残存戦力を排除し、速やかに占領ポイント〈フラッグ〉を占領する」
「ってことは俺さまたちは第一小隊の引き立て役かよ」
「いや、各自フラッグを占領出来るのであればして欲しい。それと、これは諜報班から齎されたものだが、なんでもニーズシティには『ヒドラ』というモノがあるらしい。十分注意してくれ」
「わかりました。ちなみに第四小隊と第五小隊は?」
「第四小隊は郊外から来るアラビスタの排除だ。第五小隊はライディングソーサでニーズシティ上空に待機」
「了解しました」
「了解」
「それでは準備が出来しだい、作戦を開始する!諸君の検討を祈る」
ジンさんの指示が終わり僕らはコントロールポッドへと移動する。
移動する最中、カゲトラたちはジンさんの作戦に驚いたような表情を出していた。
久しぶりにコントロールポッドへと乗り込み、LBXコスモスオリジンとCCMをセットし、バイザーを装着する。
「よし。コントロールポッド、起動!」
『『コントロールポッド、起動!』』
バイザーの通信から同じ小隊のフランとルナの声が聞こえる。
バイザーには今LBXが見ている景色が映る。
《セカンドワールド、稼働チェック完了。ウォータイム開始まで―――5・4・3・2・1・・・・・・ウォータイム開始》
『クラフトキャリア、発進!』
「『『ライディングソーサ、発進!』』」
システムアナウンスの開始宣言がなされるとメアの操るクラフトキャリアと、僕らのLBXがハーネスの基地を出て空を飛ぶ。
続いて続々と第一小隊から第四小隊までのクラフトキャリアが飛んでくる。
「メアはN3で待機。フラン、ルナ。僕らはニーズシティ上空だ」
『『『了解』』』
しばらく飛ぶと目標地点。ニーズシティが見えた。
「ニーズシティを目視にて確認」
『こちら第三小隊。降下ポイントに到達』
『こちら第二小隊!同じく降下ポイントに到達したぜ!』
『第四小隊、降下ポイントに到達』
『第一小隊も到達した』
「了解。ドルドキンス!」
『ああ!作戦開始!』
ジンさんの合図に従って次々と降下ポイントへと降下する。
『いくぜいくぜ!ブレイクオーバーしたいやつは列びな!』
『シェリー!スイ!行きますわよ!』
『『了解!!』』
作戦通り、オトヒメとギンジの部隊がニーズシティへ突入。アラビスタのLBXをブレイクオーバーしていく。
「シスイ、そっちはどう?」
『問題ない。侵入してくる敵勢力は確認できない』
「了解。カゲトラ、そっちは?」
『こちらも問題ない。あと五分後に突入する」
オトヒメとギンジたちが突入して既に十分近く経っている。両小隊とも全く衰えずに殲滅していく。
五分後、カゲトラたちが突入し、残存戦力を排除していく。
このままフラッグを占領できると思いきや。
『っ!!気をつけろ!レーダーに探知!何かが第一小隊に向かってる!数はひとつだ!』
シスイの警告が走った。
『何もいないぞ?』
『どこや・・・・・・?』
第一小隊のいる近くにライディングソーサを飛ばす。目視で下を見ると。
「っ!?あれは!」
そこにはLBXより遥かに大きい生物。しかもよく知っているモノが居た。
「ドルドキンス!キラードロイドだ!」
『なにっ!?』
まさかセカンドワールドにキラードロイドが居るとは思わなかった。キラードロイドは四年前、ディテクター事件の時Dr.マミーこと檜山真実が創り出したLBXを破壊するための兵器だ。そしてそれは後のミゼル事変でも使われ、確認したキラードロイドは【
「まさかあれがコードネーム『ヒドラ』・・・・・・!?」
七つの頭に蛇のような体躯。八岐大蛇に似ているが、凶悪な外見だ。
「ドルドキンス、あれは第一小隊だけでは無理だ!」
とう言うより第二小隊、第三小隊が加わっても無理だろう。
『くっ。まさか、またここでKDを見ることになるとは・・・・・・!レイ、倒せるか?!』
可能性があるとすれば僕らだけだ。
この中でKDと戦ったことのあるのは僕らだけ。勿論、それと戦ったのはシミュレーションとしてだが。
弱点が同じなら―――。
『な、なんだこの化け物は!?』
『こ、攻撃が全然効かへん!』
迷っている時間はない。
カゲトラとスズネの困惑声を耳にして即決する。
「フラン!ルナ!あれは、僕らが討伐する!」
『わかったわ』
『うん!』
「カゲトラ、スズネ!今すぐそこから離脱しろ。そいつは僕らが引き受ける!」
『了解した。スズネ!』
『う。うん!気いつけてやレイ!』
「分かってる!この隙に他の小隊と合流してフラッグを!」
すぐにカゲトラたちに指示をして僕は目の前のKDを相手する。
「相変わらずデカい・・・・・・!」
『なんて巨体なの・・・・・・ミノタウロスもだったけど、総面積ではコイツの方がデカイわ』
『うん。でも、弱点は変わらないと思う。コアさえ破壊すれば』
フランとルナと対峙すると。
『『「っ!?」』』
ヒドラの真ん中が開いたかと思うとそこから光が溢れ、僕らを包み込んだ。
「これは・・・・・・K・フィールド!?」
次の瞬間、僕らはニーズシティからヒドラが造り出した特別な場所。K・フィールドに取り込まれていた。
フィールドは火山の火口のようだった。
「ちぃっ!!これじゃ外からの援護も・・・・・・!」
『っ!来るわよレイ!』
フランの忠告通り、ヒドラが真っ直ぐこっちに向かって突っ込んできた。
「っ!?速い!」
『ルナ、散開して攻撃するわよ!』
『うん!』
二人とも武器をメアから受け取った遠距離武器に変更してヒドラを攻撃する。
「二人は遠距離から攻撃!僕が引きつける!」
双剣から槍と盾に変更してヒドラに突撃した。
一寸のミスも許されない戦闘が今、始まった。