ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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宿命対決

 

〜レイside〜

 

「―――現在の経過報告は以上です」

 

ダック荘の自室で、僕は【―――】の―――に経過報告を連絡していた。

 

『ご苦労だった。いつも子供の君には済まないと思ってる』

 

「いえ。それと―――、二つ調べて欲しいことがあります」

 

『なんだろうか?』

 

「ジェノック第3小隊隊長、東郷リクヤについて調べて貰えませんか」

 

『東郷リクヤ?日本の現総理大臣、東郷義一総理の息子か?』

 

「はい。それともう一つ、ジェノック第3小隊にこれまで配属された生徒についてもお願いします」

 

『・・・・・・どういう事か説明してくれるか?』

 

「はい。実は―――」

 

通信相手に僕はずっとおかしいと思っていたことを話した。

 

『―――ふむ、普通・・・・・・ではないのか?』

 

「確かに、部下が隊長を守ろうとするのは当たり前かもしれませんが、数が尋常ではないんです。今日転入し配属された二人も、今日早速彼を守ってロストしました。これで20人です」

 

『確かに、おかしな数だ・・・・・・。君が言うにはその生徒たちは全員ロストするのを躊躇ってすらいないと見えるのだな?』

 

「はい。ロストしたら退学のこの学園で、ロストするのを躊躇わないのはどう見てもおかしいとしか思えません。しかも、今日は最速で、一日すら持ってません」

 

『ふむ・・・・・・・・・・分かった。こちらでも調べてみよう』

 

「お願いします」

 

『構わないさ。それと、―――から伝言だ。まだ子供なのだから学生として学園生活を満喫して下さい。とのことだ』

 

「あははは・・・・・・一応、今の状況でも十分満喫してはいるんですけど、ね・・・・・・一応」

 

『それでもだ』

 

「分かりました。―――にお礼をお願いします」

 

『分かった。では、頼まれたことは調べておこう』

 

「お願いします。では、失礼します」

 

通信を切り、腰掛けてる椅子の背もたれに寄り掛かる。

 

「東郷リクヤについては―――に調べてもらうとして、コッチはこっちで調べるか」

 

そう言いながら、固まった筋肉を解していると。

 

「彼らについては私もずっとおかしいと思っていたのよ」

 

「私もよ。他仮想国とはいえ、入れ替わりが激しいもの」

 

丁度僕の室内に入り、そのままベッドに座りながらキヨカとフランが優雅に紅茶を飲む。

僕も足を組み紅茶を飲む。

 

「キヨカ、例の転入生二人は?」

 

「夕方にはもう船で本土へ渡ったわ」

 

「早いな・・・・・・」

 

「そうね・・・・・・まるでこの学園には長くいるつもりはない、って言ってるようだわ」

 

「東郷リクヤ本人は、ロストした彼らになにか思うところはないのかって言うアラタの質問に、それが何か?ってアラタに言ってたし」

 

「へぇー。ますます気になってくるな・・・・・・東郷リクヤの隠し事について。ちょっと本気で探ってみるか」

 

ニヤリとほくそ笑む僕にキヨカとフランは・・・・・・

 

「また悪い顔をしてるわ」

 

「レイって何かよからぬことを企む時っていつもあの顔をするわよね」

 

と呆れた顔で言った。

失礼だなぁ・・・・・・。

 

「それでキヨカ。『エンジェルピース』落とせそう?」

 

「無理ね。不可能よ」

 

「即答!?」

 

無表情で告げるキヨカの即答にツッコム。

 

「現状の戦力じゃ無理しかないわ」

 

「あぁ、やっぱりね」

 

「レイ、貴方ならどう視る?」

 

「そうだねぇ〜」

 

キヨカからの問いに僕はウォータイム中に猿田教官に言ったことと同じことを言った。

 

「・・・・・・相変わらず、未来予測みたいな思考回路ね」

 

「そう?」

 

「そうよ。しかもその予測が大抵当たってるもの」

 

「私は未来予知出来るのだけど、レイは予知では無く、予測に予測を重ねた条理予測だもの。まぁ、私と同じ能力(・・・・)を持っているというのもあるから、少し一般人からは離れてるけど」

 

「少しどころじゃない気がするわ」

 

「あ、ははははは」

 

キヨカのジト目に僕は苦笑を浮かべる。

キヨカとフラン。後から来たメアとルナと話をして時間を過ごし時間も時間でお開きとなりそれぞれの部屋に戻って床についた。

その夜、僕は嫌な夢を見た。

その夢の世界は白黒の世界で、周りは何も無く一面砂の山。

草木が一本も生えず、何も無い荒廃した世界。

その世界でたった一人だけ生きている。

空から照らすのは、どんよりとした雲の隙間から漏れでる太陽の光。

僕はそのたった一人だけの世界にいる少女を後ろから眺めてる。

声を掛けたくても掛けられない。

近寄りたくても近寄れない。

触れたくても触れられない。

もう何もかもが死に絶えた絶望の世界。

その世界でたった一人で生きる少女。

 

 

《これは全てが無になった世界。誰にも救われずに、悲しみ、嘆き、憎み、絶望した、有り得たかもしれない世界》

 

 

その声は哀しみを奮わせて告げた。

 

「っ!!」

 

そこで僕は目が覚めた。

最悪な夢だ。

目覚めた僕は寝汗が酷かった。

呼吸も乱れてる。

ここまでの夢は久しぶりだ。

最近は見てなかったのに・・・・・・

時刻を見ると朝の7時前だ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・最悪・・・・・・」

 

夢だけど、実際に体感したような感覚。

繋がっているからこそ視てしまう。

 

「この記憶はキミの記憶か・・・・・・」

 

小さく呟いたその声は誰にも聞かれずに部屋の壁へと吸い込まれて消えた。

それから数時間後、学園で―――

 

 

「まさか『エンジェルピース』におまえ達が来るとはな」

 

「俺もお前がいるとは思わなかったぜ」

 

学園の屋上にいるとアラタとムラク。それとムラクの小隊のメンバーがやって来た。

ムラクの小隊メンバーの3人は離れたところからアラタとムラクの話を眺めてる。

僕は邪魔しないように隠れてその様子を見る。

 

「『ギガントの壁』で戦うまで、[ガウンタ・イゼルファー]に傷をつけられるのはアイツだけだと思っていた」

 

「レイか・・・・・・」

 

「ああ」

 

「あの時のあれは、たまたま上手く行っただけさ。ホント、この学校に来て良かったぜ。お前やレイのような凄いやつと出会えて!」

 

興奮したように言うアラタ。

それは心からの本心なのだろう。

その言葉に僕は少し嬉しくなる。

 

「俺、子供の時から色んなホビーやって来たけど、LBXを初めて持った時"これだ!"って思ってさ。それからはLBX一直線さ。とにかくワクワクするんだ、LBXを動かしてると!!だからさ、戦争だ戦争だって言われても、俺にはセカンドワールドってデカいDキューブにしか見えないんだよな」

 

デカいDキューブか・・・・・・。

なかなかに、面白い表現だと思う。

 

「なぁ!国とか敵とか関係なく、今度二人でバトルしようぜ!」

 

「ふっ」

 

珍しく微笑むムラクは少し意外だ。

ムラクもアラタの事を認めてるってことかな?

こうして話してるわけだし。

 

「そういう日を迎えるために、俺は戦ってる」

 

「まぁ、いいや!きっとだぜ!!」

 

ムラクの言葉によく分からないって顔をしながらも、ムラクに約束を取り付けてアラタは屋上から走り去った。

アラタがいなくなり少しして。

 

「何時まで隠れてるつもりだレイ」

 

視線をこっちに送ってムラクが聞いてきた。

 

「あ、バレてた?」

 

塔屋の縁に座ってムラクに返す。

ムラクの小隊メンバーである3人は驚いているけど。

 

「さっき気がついた。それより、盗み聞きか?」

 

「たまたまだよ。先に来ていたのは僕。後からムラクたちが来たんだから」

 

「なるほどな」

 

ふっ、とほくそ笑むムラクに僕も不敵な笑みを浮かべる。

 

「ミハイル。バネッサ。カゲト。すまんが先に戻っていてくれ」

 

「ムラク!?」

 

ムラクの言葉にバネッサたちが戸惑う。

まぁ、顔見知りとはいえ、その反応が普通だよなぁ。

 

「よっ、と。別に僕はいてくれても構わないけど?」

 

塔屋から飛び降りてムラクの近くに歩く。

 

「お前は相変わらずだな」

 

呆れたように言うムラク。

別に内密な話をする訳でもないんだし。

 

「あ、3人とも、ここでの会話は秘密にね」

 

右手の人差し指を口に当ててバネッサたちに言う。

 

「わ、分かった」

 

「君の顔に免じて見なかったことにしよう」

 

「お、おう」

 

何故か3人ともビクッと身体をふるわせて、顔を赤く染め視線を合わせずに言った。

僕の顔なにかついてる?

 

「やれやれ。お前のそれは計算してやってるのか?」

 

「計算?なにが?」

 

ムラクの呆れたように言う言葉に首を傾げる。

計算って、なにか計算するような事でもあったかな?

 

「天然か・・・・・・」

 

「???」

 

ムラクの言っている意味がよく分からないが・・・・・・

 

「ムラクはアラタと決着をつけるつもり?」

 

「ああ。『ギガントの壁』から始まり、『タンデムの港』でも決着がつかなかった。なら、『エンジェルピース』で決着をつける」

 

「正直、アラタがムラクに勝てる確率は低いんだけど、勝つという、その可能性を引き出すのがアラタの仲間かな」

 

「俺にも、頼れる仲間はいる」

 

小隊の仲間を見て言うムラク。

僕もつられて見ると、3人とも力強い眼差しをその瞳に宿していた。

 

「"汝、望まば、他者の望みを炉にくべよ"」

 

「なんだそれは?」

 

「己が望みのために、他者の望みを踏み躙る覚悟を問われてるんだよ」

 

「覚悟、か・・・・・・」

 

「そう。人は傲慢で我儘だ。己が我を押し通す力こそすべて・・・・・・僕はずっとこの覚悟を持ってここまで来た」

 

そう。あの時から、ずっと・・・・・・この覚悟を持って生きてきた。

傲慢で我儘。それが人間の本質。

自分の望みを叶えるために、他者を蹴り落とす。

いつの時代、何処でも変わらない。

 

「今日のウォータイム、楽しみにしてるよ」

 

「ああ」

 

ムラクが返すのと同時に予鈴が鳴った。

さぁ、『エンジェルピース』での攻防は、どっちに勝利の女神が微笑むのかな。楽しみだよ。

そんな会話から数時間後―――

 

「始まったか」

 

僕は司令室からカゲトラたちのウォータイムを観るのと平行して、『エンジェルピース』でのジェノックとロシウスの攻防を観ていた。

今回もジンがハーネスの指揮を取ってる。

 

「やはりムラクの相手はアラタじゃないとね」

 

キヨカから、アラタがムラクと会っていたことが問題視されたって聞いてたけど。

くだらん。全くもってくだらないしか言えない。

機密を漏らしたならともかく、会って会話することの何処が問題なんだ?

まぁ、現在戦闘中なら仕方ないのかもしれんが。やれやれ。

 

「同盟を組む前か後に一度、模擬戦でもするか・・・・・・」

 

ジェノックが僕らハーネスに勝てるわけないけど。

だって、クラスの息がバラバラなんだもん。それじゃ、勝てる戦いも勝てるわけない。

特に、東郷リクヤと風陣カイトは。

 

「要塞の外でも戦闘が始まったか」

 

『エンジェルピース』は距離的にジェノックの方が本拠地が近い。

そのため、ロシウスより先に援軍が到着する。

ロシウスの本拠地である『ローズシティ』は『エンジェルピース』の西部。グレンシュテイムやロンドニア領の近くにある。現実世界でのモスクワの辺りだ。

そうなると、ウォータイムが始まってからクラフトキャリアで移動するとしても、どうしてもジェノックとロシウスの到着に時間差がでる。

結果、先に到着していたジェノック第2小隊と第5小隊により、降下するロシウスの援軍は撃ち落とされてる。

スラスターとかあるLBXならともかく、大抵のLBXは空中での回避が出来ない。

 

「要塞内はロシウス第6小隊のみか。バネッサが第4小隊。ミハイルがヒカルとハルキの相手をしてるのか」

 

戦況的に、アラタがムラクを抑えてくれてるからなってるが、もしアラタがムラクに負けたらこの状況は180度ひっくり返る。

そうなった場合、フラッグ制圧の時間が勝敗を分ける。

今のジェノックに、ムラクを相手出来るのはアラタだけだから。

そのアラタでもムラクに勝てる見込みは低いが。

 

「さてと・・・・・・これだから面白いんだよね。観るのは」

 

思わず口角を上げる。

アラタとムラク。宿命の対決に心震えないわけない。

二人の戦いは互角、と言うより僅かにムラクに軍杯が上がる。

ライディングアーマーを脱ぎ身動きがしやすくなった[ドットフェイサー]を[ガウンタ・イゼルファー]は得物をランチャーから二刀流に切り替えて、互いに接近戦で戦う。

ドットフェイサーの武装は槍と盾。攻防一体の武装だ。

ガウンタ・イゼルファーは長剣とナイフの二刀流と、攻めに特化してる。

攻めては防ぎ、防いでは攻める。

互いに譲らない、一進一退の戦いだ。

けど―――

 

「ムラクの方が優勢かな。アラタは隙が多い」

 

リアルタイムで繰り広げられてる戦闘に、僕はその戦闘の先が見えていた。

 

「現状だとムラクの勝ちだね。アラタが勝てるかどうかは・・・・・・」

 

画面にはドットフェイサーの武装をガウンタ・イゼルファーが跳ね上げ、ドットフェイサーの武装が『エンジェルピース』の天井に突き刺さる。まさに絶体絶命。

その瞬間、ガウンタ・イゼルファーに横槍が入りトドメが中断される。

 

「風陣カイトか。それにあの武装は・・・・・・」

 

風陣カイトのLBX[DCオフェンサー]の左手には大きな銃器。

ガトリングガンが握られていた。

ガウンタ・イゼルファーが投げた左のナイフで、DCオフェンサーは倒れるが、放り投げたガトリングガンをドットフェイサーはガウンタ・イゼルファーから離れて手に取った。

 

「決まったな」

 

その先の未来は既に見えていた。

ドットフェイサーの新たな武装のガトリングガンの3×2の砲門から嵐のような弾丸が放たれ、ガウンタ・イゼルファーに命中する。

命中率はガトリングガンなので高くはないが、雨のようにばら撒かれてるので当たってる。

ガウンタ・イゼルファーは残った武装の長剣でガードするが、威力の高いガトリングに左目のスコープをやられる。

が、ムラクも意地が強いので、天井に突き刺さったドットフェイサーの武装を掴み、ブースターを掛けて最後の攻撃をした。

結果は両者すれ違うように、ガウンタ・イゼルファーはドットフェイサーの右腕を吹き飛ばし、そしてドットフェイサーはガウンタ・イゼルファーをブレイクオーバーさせた。

それと同時に、ジェノックが『エンジェルピース』を制圧したアナウンスが響いた。

 

「お疲れ様、ムラク。そして、アラタ」

 

二人の戦いに拍手を送った。

まさかアラタがムラクをブレイクオーバーさせるとはね。

仲間の助けを借りて倒す。

昔の僕らみたいだ。

でもまぁ。

 

「結果オーライ、かな?」

 

クスッと微笑む中、僕は嫌な予感がした。

 

「あれ?この事があの学園長の耳に入ったら・・・・・・」

 

あの学園長の事だ。

絶対アラタの所に行く。

という事は―――

 

「はぁ・・・・・・ジン、後よろしく」

 

『りょ、了解した』

 

ジンに一言言って司令室から出る。

手にあるものを握って。

そのままコントロールポットルームに行くと。

 

「凄いわねアラたん!噂は聴いていたけど!!あら、超可愛いのねぇ」

 

案の定、学園長がアラタと話してた。

 

「あ、は、はぁ・・・・・・ありがとうございます。でも、俺一人で倒せたわけじゃないですから。今回のミッションは、クラス全員の勝利です」

 

「殊勝な事言うじゃなぁい!これからが楽しみだわぁ〜ぁぁ!」

 

抱きつこうとして躱されて床に顔をぶつける学園長。

さて、と!

 

「生徒と話すのは良いですが、抱きついたりするのはどうかと思いますけどねぇ、学園長?」

 

「ギクッ!?」

 

「ん?」

 

コツンコツンと歩く音が響き、視線が僕に集まる。

学園長は顔を青ざめてヤバー、って顔だ。

 

「あ、レイ!」

 

「お疲れ様アラタ。そして、『エンジェルピース』制圧おめでとうジェノックの諸君」

 

その場にいたアラタやユノたち、ジェノックの面々にそう言う。

 

「一人じゃなく、クラス全員の勝利。仲間で得たものだ。忘れないようにね」

 

「おう!何時かお前にも勝ってやるぜ!」

 

拳を突き出して言うアラタ。

 

「ふふっ。それはそれは・・・・・・楽しみだよアラタ。まぁ、今の君じゃ無理だろうけどね?」

 

僕は微笑みながら片目を瞑りアラタに返した。

 

「それでもだ!!」

 

「楽しみに待ってるよ」

 

「おう!とまぁ、それは置いといて・・・・・・なぁ、レイ?」

 

「ん?」

 

「なんで、ハリセンなんか持ってんだ?」

 

全員の視線が僕の右手にあるハリセンに注目する。

 

「なんでって、そりゃあ・・・・・・・・・・どこに行こうとするんです学園長?」

 

「っ!!」

 

こっそり逃げようとした学園長に視線を向ける。

冷や汗を流す学園長。

 

「そ、そのね、レイたん。これには、わけが・・・・・・」

 

「ほぉー。ではそのわけを、聞かせてくれます?」

 

「え、えーと、その・・・・・・・・・・」

 

「んん?」

 

学園長にニコやかに尋ねる。

なんか後ろからヒッ!って声が聴こえたけど。

 

「とりあえず〜・・・・・・学園長、お仕置き。しますね?」

 

「ひゃぃ!?ま、待って!!レイたん、お願いだから待っ―――!!」

 

「雷・鳴・八・卦!!!」

 

「グホッ!!」

 

バチコーンといい音が鳴り、学園長がその場に倒れ伏した。

あちこちから怯えた視線が来るが。

 

「さぁ、駄犬(学園長)、今回はたぁ〜ぷり、O★HA★NA★SHIするから、覚悟しろよ?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

沈黙を持って返す学園長。

学園長の服の襟を持ち、引きずって学園長室へと向かう。

学園長室に着くなり、そこにいたメタ沢を含め、学園長にお説教を開始した。

お説教後、学園長は燃え尽きたように真っ白く、メタ沢はプシューとなっていたが、自業自得である。

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜アラタside〜

 

 

レイが学園長を引き摺って去ったのを見た俺は、レイの威圧感にビクビクした。

 

「が、学園長をハリセンでしばくとか・・・・・・怖いもの知らずか?」

 

「あ、ああ。それもだが、レイのあの威圧半端なかったぜ・・・・・・」

 

ヒカルと俺が言うと。

 

「ま、まぁ、学園長にお説教出来るのはアイツだけだしな」

 

「「は?」」

 

ハルキがビクつきながら言った。

 

「いや、実は以前アラタと同じような事をレイがされたんだよ。その際のレイの威圧感といったら・・・・・・」

 

サクヤの言葉に俺は顔が青くなった。

 

「な、なぁ、俺とヒカル、レイにされないよな?あれ?」

 

「わ、わからん・・・・・!」

 

転入当初、レイに色々したけどレイからあれされないよな!?

俺とヒカルがあたふたしてると。

 

「レイが怒ることは滅多に無いから安心していいわよ」

 

「そうだね。それに本気で怒ってたら話しかけたりしないもん」

 

「その本気も最後にしたのいつだったかしら?」

 

「えーと、メアが言うにはバンさんたちがまた無茶苦茶した時だったから・・・・・・ここに来る前ね」

 

「ってことは2年前ね」

 

「うん。ここに来てからも、私たち関連や学園長のこと以外でなったことは無いから」

 

「まぁ、その分気苦労が耐えないんだけど・・・・・・」

 

レイのチームメンバーであるフランと石森ルナがやって来た。

 

「それにしても、一人じゃなく仲間で彼を倒したんだ」

 

フランが目を細めて俺を見た。

 

「ああ。仲間のおかげで」

 

「そう」

 

続けてヒカルやハルキ。ユノやジェノックのみんなを視る。

その視線は何かを見ているようで。

 

「ルナ、貴女から視てどう?」

 

「んー。フランと同じでまぁまぁ、かな?」

 

「そうね」

 

彼女たちの会話がさっぱり分からない。

まぁまぁ、って・・・・・・!

 

「おい。さっきから聞いていたら、まぁまぁ、ってなんだ?!」

 

カイトが二人に喧嘩口調で聞く。

 

「ん?こっちの話よ。自分のことしか考えてない、自己利益の人」

 

「なっ!?」

 

フランの言葉にカイトは驚嘆してる。

じ、自己利益の人って・・・・・・

 

「言っとくけど、別に私は貴方たちに喧嘩を売ってるわけじゃないわ。レイが許したとはいえ、あの時の事、まだ許したわけじゃないし私たちは」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

フランの言葉に俺たちは何も言えない。

特に俺とヒカルは。

重い空気が漂う中。

 

「おーーい、フラン〜!ルナ〜!行くでー!!」

 

「行きますわよ二人とも」

 

ハーネスのクラスメイトから二人に声がかかった。

 

「今行くわ」

 

「今行くよ〜!」

 

二人はそのままクラスメイトの元に向かい、談笑してコントロールポッドルームから去って行った。

 

「そ、そろそろ私たちも行きましょ」

 

「ああ」

 

ユノに促されて俺たちも司令室へと向かう。

向かうなかカイトは忌々しそうな顔を浮かべ、ゲンドウはヤレヤレと言った顔をし、キャサリンはオドオドしている。

他のみんなもそんな感じだ。

俺も、ムラクを一人で倒したレイに追いついたわけじゃないと分かってる。

でも、レイには何時か勝てると自信があった。

 

 

 

 

けど、この時の俺はまだ知らなかった。

レイがこの学園で本気を全く出してさえいなかったことに。

そして、レイに秘密があることを。

 

 

 

〜アラタside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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