ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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古城タケル

 

〜ユノside〜

 

私たちジェノックが『エンジェルピース』を制圧した翌日、学園ではアラタの事が話題になっていた。

 

「誇張し過ぎね〜」

 

「あははは」

 

クラスでもその事で話題が絶えてない。

 

「これで調子に乗らないと良いけど」

 

「さ、さすがにそれは無いんじゃないかな?」

 

キヨカのズバリな指摘に私は無いと思いたかった。

調子に乗ってサインとかして無きゃ良いけど。

 

「言ったそばからみたいね」

 

「え?」

 

キヨカの呟きを聞きキヨカの端末を見る。

キヨカの端末には数秒前に投稿された、アラタのサイン色紙が売られていた。

どうやら転売してるらしい。

なんて言うか・・・・・・

 

「はぁー・・・・・・」

 

今頃のアラタの反応に想像がつき、ため息を吐いた。

キヨカは相変わらずの無表情で端末を弄ってる。

前々から私はキヨカの事が少し気になっていた。

何時も無表情で、反応も素っ気なかったりして。

でも、メカニックの腕は私たちの誰よりも優れてる。

何度かキヨカのメンテナンスを見せてもらったことがあるけど、完璧な仕上がりだった。けど、何処か手を抜いてはいないけど、全力じゃないような気がした。

それに、この落ち着きよう。同じ年齢とはとても思えない。

まるで慣れているような・・・・・・

それこそ、彼。レイと同じように。

私はキヨカの事が気になりながらキャサリンとハナコと話した。

話していると、続々クラスメイトが登校して来た。

アラタもハルキたちと登校してきて一日が始まった。

ホームルームの際、美都先生が転入生男女一人ずつ連れて来た。二人とも第3小隊に配属されるみたい。

名前はそれぞれ男子がロイ・チェン。女子は篠目アカネ。

二人ともハキハキとして、今まで第3小隊に配属されて来たプレイヤーとは違った感じだった。

転入生に驚きながらも、午前の授業が終わり、私はキャサリンたちと、アラタたちと食堂でお昼を取っていた。

話題は今朝転入して来た二人についてだった。

キヨカのタロット占いは、『スターの正位置。調和』との事らしいけど。

けど、これで第3小隊がまとまればジェノック全体にいい事だと思う。

お昼を食べていると、後ろに座ってるアラタが。

 

「―――男にされてもなぁ・・・・・・?」

 

と呟いたのが聴こえた。

 

「え?なに?」

 

「あ、いや!別に!!」

 

アラタの視線の先にはレイやメアと同じハーネスの制服を着た男女三人が立ち去る姿があった。

 

「んん?」

 

アラタの言葉の意味がわからずに昼休みが過ぎ、午後の授業が終わり放課後になった。

今日最後の授業は美都先生が担当の数学だったので、授業終わりに今日のウォータイムについて言われた。

『エンジェルピース』の安全確保を第2小隊と第5小隊でやるらしい。

つまり、私たちの第4小隊とアラタたちの第1小隊、リクヤの第3小隊は出撃無しだと言うことだ。

私はアラタたちと帰ることにした。

キャサリンたちもそれぞれ帰ったり用事を済ませたりしている。

アラタたちと昇降口で靴を履き替えて外に出てどうするか相談する。

 

「この後どうする?スワローに寄っていく?」

 

「良いね!行こ行こ!」

 

サクヤの提案に私は賛成する。

アラタも賛成のようだが。

 

「ああっ!!」

 

突然声を上げ立ち止まったアラタに私たちは怪訝な顔をする。

当の本人たるアラタは門の方を見て、微妙な顔を浮かべてる。

 

「どうしたアラタ?」

 

「俺・・・・・・もしかしたら告白されるかもしれない」

 

「え?」

 

「しかも・・・・・・男に」

 

「はぁ?」

 

男に告白されるって何・・・・・・

いや、異性なら分かるけど、同性って・・・・・・

アラタの言葉に、私は半ば呆れと困惑半分な感じだった。

 

「えーと、実はね。今朝―――」

 

サクヤの説明によると、サクヤが夢でアラタが告白される夢を見たらしい。しかも男に告白される夢。

それを聞いた私はなんじゃそりゃ、と思ってしまった。口には出てないけど。

キャサリンが聞いたら絶対言いそうだ。

で、アラタ曰く、今朝からずっとあの男子に視られてるとの事らしい。

 

「ふうん。そういうこと」

 

でも、少し面白そうでもあるかも。

こう言ってはなんだけど、結構気になる!!

 

「サクヤ!お前のせいだぞ!!お前が変な夢なんか観るから!!」

 

「いや、夢に文句言われても仕方ないような・・・・・・」

 

アラタの焦燥な言葉にツッコム私。

夢なんて自由に選択できるわけないんだから。

 

「そうだよ。そんなの関係ないよ・・・」

 

サクヤもえぇー、って感じ。

 

「ぁあぁー!どうしたらいいんだ!!?」

 

なんかマジで困惑してる。

こんなアラタを見るのは初めてだ。

 

「アラタはどう思ってるわけ?」

 

「はぁ!?」

 

「相手が男子でも女子でも、好かれるのは悪いことじゃないわ?」

 

「あのなぁ・・・・・・!」

 

「ふふっ・・・」

 

「あぁっ!もう!俺、確かめてくる!」

 

そう言ってズンズンと柱の影に隠れてるその男子に向かって歩いて行った。

その後ろ姿を見てニヤリと笑う。

 

「どう思う?」

 

「興味ない」

 

「相変わらずねぇ、ヒカルは」

 

同じ男子であるヒカルたちに問てみるが、ヒカルは相変わらずの素っ気なさ、ハルキは微妙な顔を浮かべ、サクヤは悩んでる。

三者三様な反応だ。

 

「後ついて行ってみようっと」

 

どうなるのか気になった私はアラタの後をついていく。

ハルキたちも気になるようで一緒に来る。

柱の影から見ると、アラタが倒れてるその男子に手を差し出していた。

 

「あ!?あれって・・・・・・!!」

 

「サクヤ?」

 

その男子を見てサクヤが何故か声を上げる。

アラタたちに向かうサクヤの後を追い。

 

「古城タケル!!」

 

「え?サクヤ、知っているのか?」

 

サクヤの言った古城タケルという名前に私は聞き覚えがあった。

古城タケル。彼はレイやメアと同じハーネス所属にして―――

 

「うん・・・・・・話した事は無いけど、メカニックだよ。ハーネスのメカニック。古城タケル・・・・・・」

 

「あの、天才メカニックって呼ばれてる?」

 

「そうなんだ」

 

「小国のハーネスが快進撃を進めてるのはレイと彼のチカラだって言われてるわ。その上、彼のお姉さんはアルテミスでも優勝したことのある、プロLBXプレイヤー古城アスカらしいわ」

 

「へぇー。そんなやつが俺のことを・・・・・・?」

 

「アラタくん!」

 

「うぇっ!?」

 

「僕のLBX、使ってみてください!」

 

「は?」

 

彼。古城タケルが取り出したLBXは全体が迷彩塗装されていて、猫のようなヘッドパーツが付けられていた。

それから私たちは場所を移して、ダック荘の2階の談話室にいた。

 

「へぇー。[ヴァンパイアキャット・ミリタス]か・・・・・・」

 

「でも、ハーネスの機体はジェノックと同じDCシリーズなんじゃ?」

 

確かに、ハーネスの機体はジェノックと同じくDCシリーズとセイレーンだ。

けど、つい最近、アラタたちの[ドットフェイサー]と同じ頃に新型機が幾つか突入されていたはず。

それ以降のハーネスの快進撃は目まぐるしいもので、アラビスタと対等に渡り合ってるほど。

 

「これは、まだテスト段階の機体だよ。ヴァンパイアキャット・ミリタスは、僕が昔造った[ヴァンパイアキャット]を元にして、持てる全ての技術を駆使した最高のLBXなんだ。そして、そのチカラを100%引き出すには、それを引き出す最高のLBXプレイヤーが必要だ。でも、そういう人は中々いなくて・・・・・・」

 

「え?レイはダメだったの?」

 

古城タケルの言葉に私は訪ねた。

レイは私が知る中でも最高のLBXプレイヤーだ。

正直に言うと、アラタや私たちよりも次元が上。プロレベルと言っても過言ではないんだけど・・・・・・

 

「あーー。実は、レイにも頼んだんだけど、レイ曰く僕がやったら壊れるかもしれないって苦笑してて・・・・・・」

 

「え、壊れる?」

 

古城タケルの言葉に私たち全員唖然とした。

いや、壊れるって何・・・・・・

 

「そう言えば噂で聞いたことがあるな。山野レイは普通のLBXでは、彼の操作に追い付けずに逆にLBXの方に処理落ちや異常が出ると」

 

「ああ。その噂なら僕も聞いたことあるよ。なんでも、以前使っていたDCシリーズが故障するほどだって」

 

「こ、故障!?LBXってそう簡単に故障したりする物だったか!?」

 

そう言えばそんな噂を一年の頃に聞いた気がする。

確かに、いつの間にかレイのLBXがDCシリーズから今のに変わってたし。

 

「他にはいなかったのか?」

 

「いや、その・・・・・・いるにはいたんだけど、みんな何かと癖が強かったり忙しかったり色々・・・・・・」

 

なんでか古城タケルは遠い目をしている。

一体何があったんだろう。

 

「あ、メアたちは?」

 

「彼女たちもレイと同等だからちょっと・・・・・・」

 

同じ仮想国の古城タケルに言われるって、メアたちどんだけなの?

古城タケルの言葉に友人である私はそう思った。

 

「それで、誰かいないか探してたんだ。で、そんな時アラタくんの噂を聞いたんだ。以来、君のバトルはずっと注目してて。そして、昨日のバトルで確信した。この人こそ、僕の探していた最高のプレイヤーだって!アラタくん、お願いだ!このLBXを使ってみてよ。僕、見てみたいだ。ヴァンパイアキャット・ミリタスの限界性能を!」

 

「そこまで言われたんじゃ、断れないな。喜んで使わせてもらうぜ!」

 

「俺は反対だ。そのLBXを使うということは、他の仮想国のテストプレイヤーになるってことだ」

 

「そんな大袈裟な」

 

「いいじゃないハルキ。ちょっとぐらいなら。僕もタケルくんの造ったLBXの性能見てみたいし」

 

「お願いだよ!」

 

サクヤの一声と古城タケルの強い頼みにハルキも折れたようで、溜息を吐いて許可を出した。

私?私は興味あったから元々反対しないよ。

ハルキからも許可が出て、早速アラタは端末兼CCMをヴァンパイアキャット・ミリタスと同期させる。

相手はヒカルがしてくれる。

そうしてヒカルの[バル・スパロス]とアラタのヴァンパイアキャット・ミリタスとの試合が始まった。

ヴァンパイアキャット・ミリタスの武装はアラタのドットフェイサーの武装を装備してる。

始まったバトルで、先に動いたのはアラタの方だ。

ヴァンパイアキャット・ミリタスの速さに私たちは驚愕した。

ありえない程動きが速いからだ。

ヴァンパイアキャット・ミリタスは神速とも言える速さでヒカルのバル・スパロスに迫る。

だが、攻撃は当たらず明後日の方向へと逸れる。

 

「危ないっ!」

 

今度はバル・スパロスが攻める。

ヴァンパイアキャット・ミリタスはなんとか防御して攻撃を防ぐ。

ヴァンパイアキャット・ミリタスも攻撃するが、掠りもしない。

性能が良すぎるせいか、操作が追い付いてないと思う。

 

「ダメだ。反応が良すぎて制御出来ない!」

 

見てる私ですら思うのだから、実際操作してるアラタにとっては難題ものだろう。

 

「大丈夫だよ!アラタくんならやれる!」

 

古城タケルがアラタにそう言うが、アラタは悪戦苦闘中だ。

少しずつ当たってきてはいるが、まだ機体に振り回されてる。

 

「っ!?あんな動きができるの!?」

 

「バル・スパロスの攻撃が決まったと思ったが・・・・・・」

 

バル・スパロスの攻撃を前方宙返りして避け、そのまま返りざまに背後を切りつける。

あんな動き、普通のLBXでは出来ない芸当だ。

 

「そうか!今の感じか!」

 

アラタもヴァンパイアキャット・ミリタスの操作に慣れてきたのか、バル・スパロスの攻撃を簡単に避けていく。

その動きは正しく、キャット。猫のようだ。

身軽に動き、縦横無尽に駆ける。

 

「スゴい・・・・・・」

 

私は思わず洩らした。

これが古城タケル。ハーネスの天才メカニックの造った機体。

それと同時に、これを壊しかねないというレイの実力にも、思わず寒気が走った。

もしジェノックにハーネスが攻めてきたら?

その場合、私たちはハーネスを止められるのか。

いや、恐らく無理だろう。

たとえ、レイやフラン、ルナが出撃しなくても、ハーネスの進撃は止められない。

 

「操作は難しい。だけど、これは・・・・・・!」

 

「いいぞ。その調子だ!」

 

「今度はこっちの番だ!!」

 

防戦一方だったヴァンパイアキャット・ミリタスが今度は攻撃に転じる。

ヴァンパイアキャット・ミリタスと立場が逆転し、今度はバル・スパロスが防戦を強いられる。

素早い動きで移動しバル・スパロスを攻めていく。

ヒカルの表情からピンチなのが伝わってくる。

 

「いまだ!」

 

動きを止めたバル・スパロスにトドメを刺そうと神速の速度で迫るヴァンパイアキャット・ミリタス。

ヴァンパイアキャット・ミリタスの突進をバル・スパロスは真上に飛んで避け。

 

「え!?」

 

ヴァンパイアキャット・ミリタスはそのまま止まることなく、バル・スパロスの背後にあった壁に激突した。

 

「あぁれぇっ!?」

 

困惑の声を出すアラタになんとも言えない状況の私たち。

ヴァンパイアキャット・ミリタスは壁に面白いように、めり込みバタンキューといった感じで倒れた。

 

「ありがとう!やっぱり、僕が思った通りアラタくんは最高のLBXプレイヤーだ!おかげで、ヴァンパイアキャット・ミリタスの改善点もわかったよ」

 

「お礼を言うのは俺の方さ!こんな凄いLBXを使わせてもらって!!またいつでも声を掛けてくれよな!タケルの造ったモノなら大歓迎だ!!」

 

「うん!!」

 

古城タケルと仲良くなったアラタが話してる中、私たちは今のを見て改めて驚異を見せられた。

 

「さすが天才メカニック・・・・・・あそこまで高性能な機体が造れるなんて」

 

「噂通りの技術ね」

 

「ハーネス・・・・・・やはり、敵対することになったら手強い相手になる」

 

「ああ。恐らく、ロシウスよりも脅威になるだろうな」

 

「だろうな。それに、ハーネスには学園最強のプレイヤー。【黒衣の剣士】、レイがいるからな・・・・・・」

 

レイの異名である【黒衣の剣士】

黒いLBXに双剣を使うことから付けられた異名。

バンデットより色は少し明るい黒。

レイのLBXの武装はMGS(マルチギミックサック)を搭載しているらしく様々な形態が確認されてる。

その中でも主武装なのが片手剣か双剣。

そのことから付けられた異名が【黒衣の剣士】なのだ。

レイには他にも異名が付けられているが、通ってる名は【黒衣の剣士】が多い。

確か、外の方でも結構付けられていたはず。

何回か特集を組まれたことがあったから。

確か【黒閃の双剣】や【恐皇帝(シェキナー)】とか色んなのがあったはず。

他にも、メアたちにも異名が付けられていたはずだけど・・・・・・

思い出そうとしていると。

 

「それじゃあ、また!!」

 

「おう!またなタケル!!」

 

古城タケルが談話室から去り、部屋には私たちだけになった。

 

「いやー、すっげぇ機体だったなヴァンパイアキャット・ミリタス!」

 

「感心してる場合か。もしアレが実際に使われたらどうする?」

 

「あの動き・・・・・・関節が特殊なのか。それとも、駆動系がいいのか分からないけど、もし使われたら厄介だね」

 

「実際に対戦してみて判ったが、もし知らないままウォータイムで使われたら恐ろしい」

 

興奮するアラタに、ハルキたちは落ち着きを見せてる。

だが、言葉の所々に恐れも含まれていた。

 

「大丈夫だって!ムラクにもみんなでなんとか勝てたんだからさ!」

 

「お前はなんでそう短絡的なんだ?」

 

アラタの言葉にハルキが呆れたように返す。

 

「アラタ。はっきり言って、私たちじゃレイたちには勝てないわ」

 

「やってみなきゃわかんないだろ?」

 

「分かるのよ!!」

 

アラタの返しに私は思わず声を荒らげる。

 

「レイたちは以前3人でLD(ラージドロイド)を討伐したことがあるのよ」

 

「LDを!?」

 

「ああ。確か、半年ほど前の事か」

 

私たちでは手に負えないLDをレイたちはたった3人で討伐した。

しかも、私たちのようにライディングアーマーも無しでだ。

 

「しかも、レイの実力はまだ未知数。その気になれば私たちなんて簡単にやられてるほどよ」

 

「っぐ・・・・・・!」

 

私の言葉にアラタはぐうの音も出ないのか反論してこなかった。

レイと対等で戦えるのは、法条ムラクといった各国のエースプレイヤー級のみ。

法条ムラクにはなんとか新武器で勝てたけど、レイにはそんなのおそらく通用しない。

彼は。いや、彼らは全員戦闘慣れしてるのだ。

私たちよりも、長く。いや、この学園の誰よりも。

それ故に、彼らの実力は未知数。

そんなこと、この学園に長くいる生徒なら誰でも知ってる。

だから、レイは学園最強の異名が付けられてるのだ。

本人は全く興味無いそうだけど。

誰が言ったのかは知らない。けど、学園最強の名はこの学園ではレイを指し示す。

もしレイがハーネスを率いてジェノックに攻めてきたらと思うと身震いが止まらない。

アラタを見てるとなんていうか、私の中でほっとけないという気持ちが強くなる。

なんでか分からないけど、アラタの無茶には何時もハラハラさせられてる。

そう思いながら時間が過ぎていき、今日一日が終わった。

 

〜ユノside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

「タケルがアラタの事を凝視してた?」

 

「ああ」

 

放課後の教室。

僕はクラスメイトにして委員長であるカゲトラからそんな事を聞かされた。

 

「ここ最近、タケルのやつ。瀬名アラタの戦闘記録を観ているようでな」

 

「あーー、もしかしてアレの候補者か?」

 

僕は以前タケルからお願いされ、やむ無く断った事のやつを思い出した。

 

「アレ?」

 

「うん。タケル、今新しいLBX造ってるみたいでさ、そのテストプレイヤーになってくれないかってこの間聞かれたんだよね」

 

「それで?」

 

「いや、僕の場合下手したらLBXの方がお釈迦になっちゃうじゃない?だからしょうがなく断ったんだよ」

 

「そう言えば、お前が以前使っていたDCブレイバーは、お前の操作に追い付けずに壊れたんだったか?」

 

「うん。壊れたって言っても、エラーが起こっただけだけどね」

 

「そもそも、普通エラーなんか起きないはずなんだが?」

 

「そう?昔はドルドキンスもあったよ?」

 

「お前たちと一緒にするな。俺たちからしたら普通は無いんだ」

 

「あははは・・・・・・よっ、と。後はコレを・・・・・・」

 

「こっちもこれで終わりだ」

 

「OK〜。・・・・・・・・・・よしっ!終わった!」

 

僕とカゲトラは教室で資料作成に取り掛かっていたのだ。

これも本来は日暮先生のやる事なのだが、仕方なくやってる。

話しながら手を動かし、ようやく終わった。

 

「それで?」

 

「ん?」

 

「明日からはどうするんだウォータイム」

 

「ロシウスはジェノックに。アラビスタはクルセイドにかかりっきりだからねぇ〜。占領拠点の哨戒任務かなー。まぁ、状況によって変わるから、その都度言うわ」

 

「了解した」

 

「ああ、でも予定ではロシウスに進出するかも」

 

「ロシウスか・・・・・・」

 

「うん。それに・・・・・・」

 

「ん?」

 

それに、そろそろ言う頃かもしれない。

カゲトラたち、クラスメイトに。この世界の真相。

セカンドワールドとウォータイム。神威大門が存在する理由。

正直、みんなにこの事を隠していたのはずっと気が引けていた。

けど、これから先ジェノックと共闘するとなると、やはり真実を知っていた方が良いかもしれない。

僕らがここに来た理由もね。

怪訝そうに首を傾げるカゲトラに。

 

「いや、なんでもない。そろそろ帰るか」

 

「そうだな」

 

カゲトラに先に帰ってもらい、僕は出来上がった資料を日暮先生に渡す。

ダック荘に帰る際、途中で遊技場に居るジンに話し、僕のタイミングで話すことに了承を得た。

まだ話す時じゃない。

もしこれから先の事を視るなら、協力者は他にもいた方がいい。

そうなると、各仮想国で信用に足る人物がいる。

僕は先を見据えて次々と予測を立てて帰って行った。

 

 

 

 

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