ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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月下聖零

 

〜レイside〜

 

「―――バンデットによってアラビスタの機体五機がロストしたか・・・・・・」

 

ウォータイムの終わった司令室で僕は椅子に座りコンソールを操作して呟く。

各国から提供されたバンデットに関するものだ。

もっとも、提供された情報のどれもが、バンデットによる被害状況なのだが。

 

「にしても、まさか『ギランの森』に隠されていたのがロシウスの要塞基地とはねぇ・・・・・・」

 

片手間に観戦したジェノックのウォータイムで判明した情報に感嘆の声が出る。

まさに木を隠すなら森の中だ。

要塞基地には無数の対空砲に長距離砲・・・・・・

まさに要塞と呼ぶにふさわしい防衛装備が配置されてる。

これに比べたら『エンジェルピース』なんてカワイイものだ。

 

「ジェノックはどうでるかな・・・・・・まぁ、僕だったら真っ先に此処を落とすけど」

 

その場所は『ギランの森』・・・・・・いや、『デスフォレスト』か。

『デスフォレスト』から近くにあるロシウスの拠点。『ギガントの壁』だ。

 

「ま、そこはジェノック次第か。まぁ、それは置いといて、コッチはどうしようかなぁ〜」

 

ウインドウに映る地図をアラビスタの方に移し。

 

「『フェンレス雪原』、『リバーエンドブリッジ』は落としてある。となると、残りはやはり、ここか?」

 

アラビスタを攻める上で重要なポイントに赤いマークが着く。

 

「『グレートリンク湖』」

 

アラビスタとクルセイドの領域境界線にある湖上要塞『グレートリンク湖』。

『グレートリンク湖』は『エンジェルピース』と同様、対空砲に大口径超電磁砲が配備されており、守備力は万全。

簡単には落とせない湖上要塞となってる。

『グレートリンク湖』はクルセイドとの領域境界線にある為、クルセイド側からの侵入を拒んでる。

現在、アラビスタがクルセイドを攻めるのに最前線基地としているのがこの『グレートリンク湖』だ。

故に―――

 

「警備が高いから手は出せないんだよなぁ・・・・・・」

 

配置されてる部隊の数が多いため、簡単には手が出せない。

逆に返り討ちに遭う。

そうなると・・・・・・

 

「ロシウスか?」

 

恐らく今ロシウスは『デスフォレスト』に戦力を割いてるはずだ。

そうなると、残りの防衛が手薄になる。

のだが―――

 

「しばらくは哨戒任務だな」

 

そう結論付けることにした。

 

「それにしても、ジェノック第3小隊に新メンバーがもう来たんだ」

 

ウインドウを新たに開き、ジェノックに転入してきた男女二人。

篠目アカネとロイ・チェンについて見る。

 

「キヨカからは、タロット占いは『スターの正位置。調和』って出たってきたけど・・・・・・」

 

調和と言われても、東郷リクヤが調和するかどうか未知数だ。

けど・・・・・・

 

「キヨカのタロット占い当たるからなぁ・・・・・・」

 

キヨカの占いで出たならそうなるのだろう。

まぁ、いい。

どうなるのか、楽しみだ。

そう思いながら片付けをして司令室を後にする。

施錠をして学園から出る。

学園を出るともう夜で、メアから早く帰って来て〜、とメッセージが来ていた。

メアのメッセージに苦笑しながらダック荘に帰り、ダック荘に着くと―――

 

「ん?」

 

なんか知らないけど、ジェノック第4小隊隊長のキャサリン・ルースがドタバタ2階の談話室に走っているのが見えた。

 

「な、なんだ〜?」

 

キャサリンの後にキヨカやユノまでついて行っているけど・・・・・・

驚きながら2階に上がると。

 

「―――明日まで待てないの!!」

 

「わざわざ待たなくてもいいよ」

 

と言う、キャサリンとタケルの声が聞こえて来た。

どうやらタケルも上にいるみたいだ。

ちょこっと覗いて見てみると、キャサリンがタケルに挨拶していた。

なんでも、キャサリンはタケルの姉、アスカの大ファンらしい。

それを聞いた僕はなんとも言えない微妙な表情を浮かべた。

キヨカもキヨカで微妙な顔だ。

なんかサインが貰える事が嬉しいらしく、めちゃくちゃはしゃいでる。

その証拠にぴょんぴょんとジャンプしてるし。

 

「でも、ここを卒業しないと会えないから、かなり先になるよ?」

 

タケルの言葉にキャサリンの落ち込みが凄い。

そんなに好きなんだアスカの事。

 

「やっほー、タケル〜」

 

覗き見を止め、タケルに声をかける。

 

「あ、レイ。ちょうど良かった。[ヴァンパイアキャット・ミリタス]について話があったんだ」

 

「ん〜?」

 

タケルに言われてタケルに近寄る。

 

「れ、レイ!?」

 

「今帰ってきたの?」

 

ユノとハナコが聞いてくる。

 

「まぁ、ねぇ〜」

 

苦笑しながら返す。

それぞれ飲み物を買い、談話室にある椅子に座る。

 

「そんなに好きなんだ」

 

「将来はアスカ様のようなプロになるのが私の夢だから!」

 

「キャサリンもプロに?俺と同じだ!」

 

「プロになるだけだったら簡単。操作だったら誰にも負けない自信があるし。問題は、アスカ様のような素敵な女性になれるかどうかなのよね」

 

キャサリンのその言葉に僕とタケルは苦笑を浮かべるしかない。

昔のアスカを知ってるからなぁ。

 

「そりゃ無理じゃないか?」

 

「なんですって?」

 

アラタの言葉に反論するキャサリン。

いや、前から思ってたけど、キャサリンとアスカって似てるよね。

 

「大丈夫だと思うよ?」

 

「え?」

 

「まぁ、確かに大丈夫かもね」

 

タケルと僕の言葉にみんなこっちを見る。

 

「君、昔のお姉ちゃんになんとなく似てるから」

 

「私が?ホント!?」

 

「うん!子供っぽいくせに、妙に自信家で、気が強いところが」

 

「クスっ!」

 

タケルのその一言に僕は笑いを堪えられなかった。

アスカの弟であるからこその一言だ。

 

「確かに、昔のアスカって子供っぽいくせして、変なところで自信家で、結構気が強かったんだよねー」

 

「ん?なんでレイがタケルのお姉さんのこと知ってるんだ?」

 

アラタが不思議そうに聞いてくる。

 

「なんでって、アスカと知り合いだし。なんなら、昔一緒に旅したし」

 

ってか。

アスカも【ミゼル事変】の英雄の一人だってこと忘れてない?

まぁ、それはキヨカもなんだけど。

 

「そう言えばレイってお姉ちゃんと知り合いだったよね」

 

「まぁね。あの頃のアスカには本当に苦労したよ。気が強いから喧嘩っぱやいし」

 

「あーー」

 

「そう言えばタケル。アスカって料理できるようになったの?」

 

「え、えーっと・・・・・・」

 

タケルのこと反応から察した。

 

「アイツ・・・・・・」

 

呆れたように言いため息を吐く。

 

「って、よくサイバーランスのイメージガールになれたな」

 

今のアスカは昔と全く違ってるし。

人って変わるものだねぇ・・・・・・。

いや、ここに来る前にあった時は全然変わってなかったな中身。

変わったのは外見だけか。

 

「レイって他にも知り合いって結構いそうだよね」

 

ユノが場の空気を変えようとそう言ってきた。

 

「そうだな。他にはどんなのがいるんだ?」

 

「知り合い?」

 

「ああ」

 

ヒカルの質問にみんなこっちを見てくる。

 

「んーー。アレキサンダー・シスターズや、オタレンジャーたち。ハッカー軍団に、森上ケイタたち、メテオトレインとか・・・・・・?」

 

「ほ、ほとんどがアルテミス常連のチームじゃない・・・・・・!!」

 

キャサリンが驚愕して言う。

 

「他にも幾つか知ってはいるけど?」

 

アレキサンダー・シスターズや森上ケイタたちとかはここに来る前に大会とかでよく戦ってたし、オタレンジャーやハッカー軍団もしかり。

 

「あ、相変わらず凄いわね」

 

「そう?」

 

普通だと思うけどなぁ。

そう思ってると―――

 

「ん?」

 

端末のバイブレーションが鳴りメッセージが届いた。

送り主はキヨカからだ。

内容は、これ以上話してるとボロが出るかもしれないわよ、って書いてあった。

さすがにそれはないと思いたいけど、断片から察する者がいるかもしれないね。

キヨカに了解と返信して。

 

「ごめん。僕はそろそろ行くね」

 

「もしかしてメアからかい?」

 

「まぁね」

 

タケルの問いにそう返してカバンを持って下に降りて行く。

下に降り、僕らの部屋へと繋がる扉の前に立ち周囲を見渡して扉の鍵を開けて中に入る。

中に入るのと同時に、後ろから追いかけて来たらしいキヨカが入り込んできた。

 

「キヨカ!?」

 

誰にも見られてないよね!?と思いながらキヨカに尋ねる。

 

「キャサリンたちには先に部屋に戻るって言って来たから大丈夫よ。みんなまだ話してるし」

 

「そ、そう?ってか、どうしたの?なにかあった?」

 

「レイに会いたいじゃダメ?」

 

「うっ・・・・・・」

 

普段しないキヨカの眼差しに息が詰まる。

取り敢えず、ここじゃなんなので僕の部屋に行く。

部屋に着き、カバンを机の上に置くと。

 

「キヨカ?」

 

キヨカが背中越しに抱き着いてきた。

 

「やっぱり、メアたちが羨ましい」

 

「あの、キヨカさん?その・・・・・・当たってるんだけど・・・・・・」

 

僕の背中にキヨカの豊満な胸が当たってる感触が伝わる。

僕らの中でメアとの一、二を争う胸の柔らかな感覚に戸惑う。

帰ってきたばかりなので制服のままの僕に対して、キヨカはピンクの寝巻きだ。

 

「当ててるの。ダメ?」

 

「いや・・・・・・その・・・・・・ダメじゃ・・・・・・ないです」

 

「なら、もっと当てる」

 

ぎゅうっとさらに強く抱きしめてくるので、服越しにむにゅりとした感触が伝わる。

それだけでも顔が熱くなる。

自身の理性を耐えさせてると

 

「メアたちが羨ましい」

 

「え・・・・・・」

 

「私もレイと一緒に過ごしたい」

 

ポツリと、キヨカの口から洩れた。

 

「こうして隠れてないと会えないし、触れ合えないし。ハーネスでのメアたちとの事はよく聞くし」

 

「あーー・・・・・・」

 

「ちょっと限界・・・・・・」

 

キヨカの言葉になんとも言えない僕。

別に僕は誰とも付き合ってはない。

メアやルナ、フラン、キヨカの事はもちろん好きだ。

4人からの好意も分かってる。

けど―――

 

「レイ、こっち向いて」

 

拘束を解いたキヨカに言われ、キヨカの方に向き直る。

向き直るや。

 

「んぅ、ちゅっ・・・・・・ちゅ、ちゅぅ、ちゅっ・・・・・・」

 

「んむっ!」

 

キヨカにキスをされた。

しかも舌を絡めてくる。

そのままキヨカにベッドに押し倒され。

 

「んちゅ、んん・・・・・・んちゅる、ちゅ・・・・・・」

 

さらに激しく舌を絡めてきた。

まるで、獲物を絡みとる蛇のように。

 

「んちゅ・・・・・・ぷはっ」

 

「き、キヨカ!?」

 

普段のキヨカならしないはずの事に目を見開いて驚く。

何時もならこうも積極的に来ないはずなのに!?

 

「限界って言ったでしょ?」

 

「あ、ああ。うん」

 

「レイ成分を補給」

 

「はいっ!?」

 

レイ成分って何!?

いや、待って。なんかメアが前に言っていたような・・・・・・

記憶を思い出そうとしていると。

 

「今だけは私に集中」

 

キヨカが両手で顔を挟んで目と目を合わせるようにしてきた。

 

「いや、あの・・・・・・服にシワが着くから着替えたいんですけど・・・・・・それにお風呂とか夕飯もまだなのですが・・・・・・」

 

「む・・・・・・」

 

しょうがない、と言いたげにキヨカは僕の上から退いてくれた。

うん。理性がよく持ってくれた!!

だってキヨカだよ?

4人のなかで一番胸が大きく?(メア談)小学校の頃から一緒だったんだよ?

そんな子にこんな事されたら普通は理性が持たないよね?

そう思いつつ、制服のブレザーを脱ぎハンガーに架ける。

ネクタイを外しシャツを脱ごうとして―――

 

「あのぉ、キヨカさん?」

 

「?」

 

「いや、そのー、着替えるのでちょっと目をつぶっててくれます?」

 

「今更?」

 

「今更だから、だからね!?」

 

キヨカの発言にツッコミを入れつつ素早く青のパジャマに着替える。

着替え終わると―――

 

「レーくん、ご飯行こー」

 

扉の外からメアのそんな声が聞こえてきた。

あれ?なんで僕がいるって分かるの!?

この部屋防音対策されてるのに。

そんな疑問が湧くが、もう今更な気もして。

 

「OK〜」

 

メアに返事をして何時もの端末をズボンのポッケに仕舞う。

 

「キヨカは行かないの?」

 

「私はもう食べたから」

 

「そうなの?」

 

「ええ。だからここで待ってる」

 

「あ、はい。分かりました」

 

断固としてこの部屋にいると眼で訴えてるキヨカに気圧され返事を返した。

部屋を出るとメアたちがいて。

 

「キヨカちゃん部屋にいるの?」

 

とメアに聞かれた。

 

「うぇっ!?なんで知ってるの!?」

 

たまにメアの事が分からなくなる。

なんでいるの知ってるの?

 

「いや、声聞こえたし」

 

「あー」

 

ルナの返しに納得したよう返す。

 

「それで、キヨカなんて?」

 

「・・・・・・メアたちが羨ましいって」

 

「羨ましい?」

 

「うん。僕と一緒にいられて」

 

「「「あ・・・・・・」」」

 

なんとなく察したようで3人とも気まずそうな表情を浮かべる。

もしこの学園がこうじゃなかったら5人で学園生活を過ごせていたのかもしれないのだ。

僕ら4人にキヨカは1人だけ。

キヨカの心情は察せる。

しかも、基本的に他の仮想国との人とは関わりをもてない。

色々煩いからだ。

だから、キヨカとはこうして隠れてではないと無理だ。

でも―――

 

「近いうちにそれも無くなるかもしれないな」

 

「「「え?」」」

 

僕のつぶやきに、3人がこっちを見る。

 

「どういうことかしら?」

 

「たぶん、そろそろ動くよ」

 

僕の眼には未来のさらなる光景(ビジョン)が写っていた。

不思議そうに見てくる3人に小さく微笑んで夕食を食べに食堂へ向かった。

その後、お風呂にも入り、自室に戻りやることをやる。

自室に戻った際、キヨカはいたが疲れているのかベッドで寝ていたため、毛布を掛けそのまま寝かせることにした。

で、その翌日、何故か僕が寝た反対側のベッドにキヨカが潜り込んで、僕を抱き枕状態にして、これまた態となのかキヨカの寝巻きがはだけていたのだが・・・・・・・・・・

それはまた別の話で・・・・・・

 

 

 

 

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