〜ジンside〜
「まさかセカンドワールドに
Kフィールドに取り込まれたレイたちをブリーフィングルームから視て呟く。まさかヒドラとコードネームで呼ばれた存在が、あのキラードロイドシリーズとは誰が信じようか。
というより、どこからキラードロイドのデータが流出した?
一応、タイニーオービットとA国のNICSにはデータはあるが、それは四年前の事件で得たものだ。KDの産みの親たるレックスの妹、檜山真実は今現在、NICS長官オーウェン・カイオスの下、保護観察処分を受けながら客室職員である大空博士の下で職員として働いているはずだ。兄であるレックスの意志と思いを新たに受け継ぎ、次代へと繋ぐことをしているらしい。
ちなみにだが、ガーダインとビショップはまだA国の刑務所に収監されてるらしい。ディテクター事件の黒幕なのだから当然と言えば当然だが。
なのでこのセカンドワールドにKDが存在するわけがないのだが・・・・・・。
「まさか、仮想国が独自に開発した?もしくは誰かしらにデータを渡されたか・・・・・・」
今考えていても仕方ない。
「第一小隊、被害状況は?」
ヒドラと直接対峙した第一小隊に聞く。
『スズネとも問題ありません』
「了解した。ヒドラは第五小隊に任せて、ただちにフラッグ占領に向かえ!第二、第三小隊は第一小隊の援護だ、第四小隊は引き続き郊外から侵入してくる敵の排除!」
『了解したぜ!』
『了解しましたわ!』
「了解した』
指示に従いそれぞれ行動を開始する。
「頼んだぞレイ・・・・・・!」
ヒドラの展開したKフィールド内部の映像を観ながら僕はレイたちに頼んだ。
〜ジンside out〜
〜レイside〜
『ルナ、散開して攻撃するわよ!』
『うん!』
二人とも武器をメアから受け取った遠距離武器、『アステリブラスタ』と『ムーンフォース』に変更してヒドラを攻撃を開始する。
「二人は遠距離から攻撃!僕が引きつける!」
『『了解!!』』
「さぁ―――ゼロから始めて――」
『『ゼロで、終わらせましょう!!』』
僕らを奮い立たせる合言葉。正確には僕の口癖なんだけどね。
「いくよ!」
六つの頭で這いずって迫るヒドラ。
それを避け、頭のひとつを
〈――――――!!〉
甲高い悲鳴を上げるヒドラ。
どうやら効いてるみたいだ。
「効いてはいるけど、コアはどこだ・・・・・・?」
ヒドラの巨体を見るがどこにもコアはない。
「待てよ。確かKDがKフィールドを展開する時いつもコアから発していた。ってことは!」
今までのKDを思い出しさっきのことを思い出す。
「つまり、コアの位置は・・・・・・っ!」
考えている最中もヒドラは七つの頭を駆使して攻撃してくる。
「まずはヒドラの動きを止めないと・・・・・・!」
高機動に動きながらヒドラの攻撃を躱し、MGSを駆使して次々攻撃する。
その間にもフランとルナによる遠距離からの攻撃がヒドラを襲う。
「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!蒼拳乱撃!!】」
隙を見て必殺ファンクションを叩き込む。
ヒドラの上から蒼い四つの気弾をぶつける。
〈――――――!!!〉
気弾がヒドラの七つの頭のうちの二つを破壊する。
破壊され獣の声を上げ動きを止めた。その隙を逃さず。
「フラン!ルナ!」
『ええ!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ハイパーエネルギー
『うん!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ウィングシューター!!】』
フランとルナから遠距離必殺ファンクションがヒドラへ命中する。
『効いてるみたいだけど、気が抜けない・・・・・・!』
『うん・・・・・・。でもワイバーンとかみたいに特殊能力があるかも』
「確かに・・・・・・。二人とも、このままいくよ!」
この世界ではLBXが破壊されたらロスト。つまり、戦死扱いとなってこの学校から退学になる。故に一瞬も気が抜けない。
警戒心を緩めずにいたその瞬間。
「『『!!!』』」
ヒドラが頭を上げ口を開くと、そこから電撃を帯びた玉が現れた。
「避けろ!」
発射されたのと同時に僕らは距離を大きく取る。
その雷撃球は速度はそんなに早くはないが、僕たちがいた場所に着弾。着弾と同時に小さな範囲にスパークが発生した。放たれた雷撃球の威力は窪みが出来るほどだった。
「なっ!?あれを喰らったらスタンが発生するのか!?」
スタングレネードのような現象に僕は思わず目を見開く。
「二人とも、長時間の戦闘は不利だ!短期で決める!!」
『そうするしかないわね・・・・・・!』
『うん。でも、まだ何かありそうだよ!』
槍盾、《ルミナスランス》と《ルミナスシールド》から両手銃、《ルミナスライフル》に切り替える。
「二人とも集中攻撃だ!」
《ルミナスライフル》からエネルギー弾が放たれヒドラの真ん中の頭部にヒットする。
『『了解!!』』
フィールドを囲む高台に登り、そこからヒドラに向けて弾丸を放つ。三方からヒドラに集中攻撃が襲い、ヒドラは獣のような叫び声を上げる。
ヒドラの六つの頭部から今度は雷撃球ではなく、火球が現れ火炎弾のように一直線に僕らに迫る。
ステップで避け、《ルミナスライフル》からハンマーの《ルミナスハンマー》に変え、上空から勢いよく振り下ろす。
「はあああっ!!」
ガギンッ!と真ん中の頭部に命中し。
〈――――――!!!!!!!〉
今までにないほどの声を上げた。
「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ブレイクゲイザー!!】」
地が割れ、蒼き炎の奔流がヒドラを呑み込む。
その蒼き炎からヒドラは飛び上がり、誰もいない高台へと着地した。
「!?」
まるで休憩でもするように側頭部のケーブルを突き出すヒドラ。
すでにヒドラの頭部は中央部を残して残りは破壊された。だが、行動パターンが変わりあちこち移動するためヒドラに致命的な攻撃を与えらてない。
《ルミナスハンマー》から双剣、《ルミナスソード》に切り替える。
「ちっ!コアさえ露出させられれば!」
『落ち着いてレーくん!』
「っ!メア!」
悪態吐く僕にメアが声をかけてくる。それと同時に目の前に空間スクリーンが現れメアの顔が映る。
『何時もの冷静さを失っちゃダメ!』
「メア・・・・・・」
『レーくん。ステイクール。焦ったら見えてるものも見えないよ』
「ステイクール・・・・・・」
メアの言葉に僕は焦っていた頭の熱が下がり、思考が回ってきた。
『レーくんが教えてくれたんだよ?―――どんなときも冷静に、落ち着いて、視界を広くすれば、負けはしないって』
「っ!」
『そうよ、レイ』
『そうだよレイ』
「フラン・・・・・・ルナ・・・・・・」
メアに続いてフランとルナの声ととともにスクリーンが映り二人の顔が映る。
『あの時、言ってくれたよね。仲間と協力すれば、どんな相手にも勝てる。それが例えどんな強敵であろうと、って』
「・・・・・・」
『それに、まだ約束を果たしてくれてないわよ。私を・・・・・・もう一人にしないってこと』
「フラン・・・・・・」
フランの言葉はあの時フランに言った言葉だ。
あの時フランは誰も信じられなくなっていた。フランと出会った、当時まだ10歳だった僕でもフランの哀しみは伝わってきた。だって、僕も兄さんと同じだったから。あの悲しい別れがあったからこそ、いまここに居る。けど、やっぱりまだ思い返す事がある。檜山蓮―――レックスに、この世界を見せられないのが虚しい。妹の真実さんは最初レックスの意志を間違えて捉えていたけど、今は違う。ちゃんとレックスの意志を持って生きている。
そして、それはレックスだけじゃなくて宇崎悠介―――悠介さんもだ。
五年前のイノベーター事件があったからこそ僕は成長出来たし、父さんにも出逢えた。
『レイ。昔、病気で苦しんでいた私に言ってくれたでしょ。この広い世界を見ようって』
「ルナ・・・・・・」
『レイがここから居なくなったら私は・・・・・・ううん。私たち三人とも悲しいよ。だから、ね』
昔のルナは病院に入院している事が多かった。クラスメイトととして。友達として、よく幼馴染みであるメアとともによくお見舞いに行った。お見舞いに行った時ルナが苦しんでいるのを目にした僕とメアは、何も出来ない自分を恨んだ。けど、オプティマを使った医療技術によってルナの身体は良くなった。それでも、今も薬を飲んでいるけど。
だから、ルナが動けるようになった時メアと一緒に約束した。ルナが見れなかった景色を観ようって。
その事を思い出し僕は再び三人の顔を映すスクリーンを見る。
「そうだね。ああ、慌てていたよ」
高台から大きくジャンプして落ちてくるヒドラを避け、冷静になった思考を回す。
「この世界は偽物じゃない。本物だ」
『レーくん』
『レイ』
『レイ・・・・・・』
「ふぅ・・・・・・。ステイクール・・・・・・」
息を落ち着かせて整える。
それによって狭まっていた視界がクリアになっていく。
「よし」
クリアになった眼でヒドラを見る。
ヒドラを見るとコアの光が真ん中の頭部の下から漏れているのに気づいた。
「ありがとう三人とも。お陰で冷静になった」
『『『!!』』』
「さぁ・・・!もう一度、ゼロから始めて―――!」
『『『ゼロで終わらせましょう!!!』』』
「いくよ!!」
『ええ!!』
『うん!!』
僕たちの合言葉を言い、僕、フラン、ルナはヒドラに迫った。
「はあっ!」
〈――――――!!〉
『せいやあぁぁっ!!』
〈――――――!!〉
『やああぁぁっ!!』
〈――――――!!〉
ヒットアンドアウェイ戦法を繰り返して近接戦闘を続ける。
フランは片手長剣型《ローズセイバー》。ルナはナギナタ型の槍《クレセントグレイブ》に切り替える。
『もうそれは見切ってるわ!』
雷撃球を放ってきたヒドラの動きを見切りながら連携攻撃を仕掛ける。
「・・・・・・・・・・」
コスモスオリジンを操りヒドラを攻撃する。
攻撃するなか、段々速くなっているような感覚がした。こんな感覚は結構久しぶりだ。
集中力が高まっているからかヒドラの動きが遅く感じる。
「はあああっ!!!」
ヒドラのコア付近下部に強攻撃をしコアを露出させた。
「今だ!!」
『必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ミスティックソーン!!】』
『必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ルーナクレスケンス!!】』
フランとルナのダブル必殺ファンクションがヒドラのコアに命中する。
〈――――――――――!!!!!!〉
今までにないほどの悲鳴を上げるヒドラ。
無作為に火炎弾を放ってくるがそれは僕らに当たることなく。
『レイ!』
『レイ、止めだよ!』
「ああっ!!これで決める!―――必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!真―ヴォーパル・ストライク!!!】」
カタパルトのように上げた右の《ルミナスソード》に真紅のエフェクトが輝く。勢いよく穿いた【ヴォーパル・ストライク】は深紅の槍となってヒドラのコアを貫いた。
〈――――――――――!!!!!〉
声にならない雄叫びの悲鳴を上げヒドラは爆散した。
爆散し、ヒドラがいなくなるのと同時にKフィールドが解除され、元のニーズシティへと戻ってきた。
そしてそれと同時に。
《拠点制圧完了。ニーズシティの所有権はアラビスタ同盟よりハーネスに移ります。戦闘を直ちに終了し、アラビスタ同盟の登録機体はニーズシティの敷地内より退去してください》
セカンドワールドのシステムアナウンスがそう告げた。
「ふぅ。終わったぁ・・・・・・」
アナウンスと同時にセカンドワールド終了の放送が流れ、コントロールポッドの景色が緑の起動前になる。
バイザーを外し、コントロールポッドから降りる。
コントロールポッドから降りると、とてつもない疲労感が襲った。頭は疲れてないけど、精神的な疲労だ。
「レイ〜!」
「ルナ!?」
すぐ隣のコントロールポッドから降りてきたルナが抱き着いて来るのに驚きながら受け止める。
「ルナ、嬉しいのは分かるけど人の目を気にしなさい?」
「いや、それ、人の目がないところだったら良いって事にならない?!」
フランの言葉にツッコミながらルナを放そうとする。いやだって、めっちゃ目立ってるもん!
ほら!そこでグレンシュテイムの女子生徒がコソコソ話してる!って、遠くからはジェノックのユノたちが視てる!
「はいはい。ルナちゃん、そろそろ離れようねぇ〜」
「むう、メアったら。メアも抱き着きたいなら抱きつけばいいのに」
「いやいやいや!!結構目立ってるからね!?」
「はいはい。二人ともそろそろブリーフィングルームに行くわよ」
「はぁーい」
「はーい」
フランが仲裁してくれたおかげで何とかなったけど、せめてもう少し早くしてほしかった。
目立ちながらブリーフィングルームに移動するなか、僕は身体を伸ばしブリーフィングルームへと入った。
ブリーフィングルームに入ると、僕ら以外の小隊が揃っていた。
「お!今日のMVPが来たな!」
「あはは。お疲れ様ギンジ」
「おう!レイ、お前もな!」
「お疲れ様でしたレイさん」
「お疲れさんレイ」
「まさかあの化け物に勝つとはな・・・・・・」
「ホンマや。さすがウチらの最強プレイヤーや!」
「そうだね!」
「お疲れ様でしたわレイ」
「凄かったよ第五小隊のみんな!」
「うん!私たちじゃすぐロストされてたかも」
次々とクラスメイトの賞賛と労いの声が掛けられる僕ら。
「ありがとうみんな。でも、今回のニーズシティ攻略成功はみんなのおかげだよ。それと―――」
視線を一段上にいるジンさんに向ける。
「ニーズシティ制圧、ご苦労だった。それと済まなかった。まさか、あんなものが存在するとは思わなかった」
「いえ、ジンさんのせいではありません。俺たちもまさかあんな化け物がいるとは思いませんでしたから」
ジンさんの謝罪にカゲトラが答える。
「それでみんな。ジンさんの事は認めてくれる気になった?」
ジンさんの隣に移動しみんなに聞く。
僕、フラン、ルナ、メアはもうとっくにジンさんのことを認めてる。けど、他は―――
「ええ。レイ。私たちはジン様のことを認めますわ!」
あれ、オトヒメがジンさんの事をジン様って言わなかった?いや、まさか、オトヒメ・・・・・・ジンさんに惚れた?
そんな事が過ぎるが、それは置いといて。
「私らはもうジンさんのことを認めてる。あの英雄を認めないわけないからな」
シスイも同意だ。
「俺さまたちもだ!ジンさんに付いていけばもっと活躍できそうだしな!」
ギンジも同意してくれる。
あとはカゲトラたちだが。
「俺も他のみんなに同意だ」
「ウチもや!」
「僕もだね」
これでみんなジンさんの事を認めてくれた。
今回のニーズシティ攻略作戦が良い結果になった。
「ジンさん、これから僕らハーネスをよろしくお願いします」
「ああ。こちらこそ、よろしく頼む」
クラスメイトを代表して僕がジンさんと握手をする。
これでジンさんも僕らハーネスの一員だ。
放課後。ウォータイム終了後、僕らはジンさんとともにある場所に向かっていた。
「ここは・・・・・・遊技場?」
それは商店街にある遊技場だった。
中に入るジンさんを追いかけて僕らも中に入るとそこには一人の女性がいた。
「美都先生?」
そこに居たのは一年五組担任にしてジェノック司令官の美都玲奈先生だった。
ジンさんは美都先生に近づき。
「美都先生」
「時間通りね海道先生」
「はい」
「後ろにいるのはハーネスの生徒みたいだけど?」
「彼らは僕らと同じです」
「!そう。改めて紹介させてもらうわ。美都玲奈よ。知ってると思うけど、一年五組担任でジェノックの司令官よ」
「はじめまして、僕は山野レイ。ハーネス第五小隊の隊長です」
「ええ。そっちの女子は右から石森ルナ。フラン・フルーリア。川村メアね」
「ええ」
さすが先生。他クラスの生徒といえど知っているみたいだ
「ジンさん、何故ここに美都先生が?」
「レイ、ルナ、フラン、メア。これから話すことは他言無用だ」
「?どういうことです?」
疑問符を浮かべる中答えたのはジンさんではなく、美都先生だった。
「私たちジェノックとハーネスはこれから秘密裏に同盟を結びます」
「「「「!?」」」」
「時期が明らかになるまであなた達には黙っていてもらいます」
「ジンさんどういうことです?何故ジェノックと秘密裏に同盟を?」
「それは僕らと美都先生の目的が同じだからだ」
その発言に僕らは目を見開いた。もう既にいたということに。
そしてそれから半年後。とある件で、転入してきた彼らによってハーネスとジェノックの秘密裏同盟は公となり、事態はさらに進んで行くことになるのは、まだ先の話――――――