ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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ドルドキンス

 

〜レイside〜

 

アラタたちジェノックが僕とジン。ゼロとドルドキンスを探し始めた翌日。

 

「レイ、ゼロの正体はお前か?」

 

「いきなり何さ、ゲンドウ?」

 

学園の外にある雑木林でゲンドウに唐突に問われた。

学園の廊下で会ったゲンドウに呼び止められ、僕はゲンドウと綾部さんとともにここに来た。

いきなりの質問に怪訝そうな顔でゲンドウを見る。

 

「ハーネスの司令官がゼロと呼ばれる者だと聞いた」

 

「ふうん・・・・・・で?」

 

「ゼロが現れた時期と、お前が出撃しなかった時が重なるが偶然か?」

 

「そんなの偶然でしょ?僕にだってやることはあるし。知ってるでしょ?日暮先生の仕事をやったりしてるって」

 

「・・・・・・では、ゼロはどんな男だ?」

 

「ん?ゲンドウはゼロが男だってなんで分かるの?僕一言も男だって言ってないよ?」

 

「・・・・・・」

 

「女かもしれないのに。ほかの相手だったら引っかかるかもだけど、僕相手にそんなの、通用しないよ」

 

「っ!!」

 

軽い殺気を入り混ぜた威圧をゲンドウに送る。

ゲンドウは珍しくビクッ!として動きを止める。

 

「まぁたとえ君でもゼロについては教えてあげないよ。悪いね」

 

右手を振ってゲンドウから離れる。

 

「ああ、それと・・・・・・不本意に踏み込まない方がいいよ。親友として忠告するけど」

 

そう言ってゲンドウから隠れるように校舎の陰に入り。

 

「まさか僕に直接聞いてくるとはな」

 

予想通り、ゼロとドルドキンスがハーネスの司令官という噂が広まっている。

カゲトラたちがアラタたちに聞かれた際、スワローには少なくない数の生徒がいたらしい。

その生徒たちから伝わって、学園に広まった。

まったく・・・・・・アイツらはなんでこうもまぁ、僕らに迷惑ばかりかけるんだ・・・・・・!?

もう呆れてものが言えない。

キヨカから疲れると連絡も来たし・・・・・・

今度またキヨカを甘やかそうっと。

 

「にしても・・・・・・直球で当ててくるとは・・・・・・綾部さんかな調べたの」

 

警戒心を高くしながら僕はクラスへと向かった。

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜キヨカside〜

 

第1小隊が美都先生からゼロとドルドキンスを探るよう極秘任務を受けた翌日。

クラスに入るなり、すでに昨日のことで持ち切りだった。

 

「ハーネスの司令がドルドキンスとゼロ、ねぇ・・・・・・」

 

「すでにクラスどころか学園全体で話題になってるよ」

 

ゼロとドルドキンスの正体を知っている私としては昨日のアラタに説教したいぐらいだった。

これのどこが極秘任務なのかしらね?

自分の席に座り、窓の外を見る。

私の席は窓際左の列の一番前。左には窓がある。

正直ため息を吐きたい。

こんなんで大丈夫なのかしら?

セカンドワールドの真実を知って、どうするのか本当に気になる。

 

「どうかしたのキヨカ?」

 

「別に。なんでもないわ」

 

右斜め後ろの席のユノが聞いてくるが、私はいつも通り返す。

あーあ。レイと一緒にいたい。

小学の頃から一緒だったのだ、事情が事情故に仕方ないけど、やっぱり、私一人は寂しい。

寂しいし、つまらない。退屈・・・・・・

レイやメアたちに比べたらみんなレベルが低い。

あの程度で天狗になってる。

考えもせずに動くアラタに、仲間を見殺しにする東郷リクヤ。自己利益のことばかり考える風陣カイト。

ホント、疲れる。

あーぁあ。レイに甘えたいわ。

今日の夜一緒に寝ようかしら。

その時は下着とか裸でもいいかも。これでも、スタイルには自信がある。胸はメアと同じかそれ以上あると自負してるし。

てか、それよりレイ成分補充したい。

そんな事を思考していると、時間が過ぎホームルームが始まり、今日も一日。退屈な一日が始まった。

そうして時間が過ぎ、昼休み。

 

「―――今日のウォータイム中に例のデータを解析するみたい」

 

壁を背中合わせに、レイと密談する。

 

「そう」

 

「私はユノと一緒にアラタとヒカルとともに日暮先生を訪ねるつもり。ハルキ、サクヤ、キャサリン、ハナコはメカニックルームで解析よ」

 

「わかった。大変だと思うけど、サポートお願い」

 

「任せて。貴方のためなら大丈夫」

 

「あははは。この埋め合わせは必ず」

 

「なら、今日の夜一緒に寝て」

 

「えぇー・・・・・・」

 

もう既に今更な気もするけど、レイは微妙な声を出す。

 

「どうせならそのまま一線越えてもOK」

 

「キヨカ・・・・・・メアの影響受けて来てないかな?」

 

「そんなことないわ」

 

特にメアの影響なんか受けてる気はしないのだけど?

不思議に思いながら返す。

そこに。

 

「キヨカ〜!」

 

ユノが声を掛けてきた。

 

「それじゃあ、何かあったら連絡するわ」

 

「了解」

 

それを気に会話を終らせる。

 

「?誰か一緒にいなかった?」

 

「誰もいなかったわよ?ちょっとタロット占いをしていただけ」

 

ユノの質問に無表情で言う。

 

「んー?気の所為かな。ま、それより行こっ!キャサリンとハナコも待ってるわよ!」

 

「ええ」

 

ユノに引き摺られる感じでその場から離れる。

後ろをチラッと見ると、レイが苦笑していたけど・・・・・・

けど、まぁ・・・・・・こうしてみるのも、悪い気はしないわね。

ユノたちとともにお昼を過ごし、午後の授業を受けウォータイムが始まった。

ウォータイム中、それぞれ二人ずつに分かれキャサリンとハナコはハルキとサクヤとともに。私とユノはアラタ、ヒカルとともに日暮先生のいる保健室を訪れた。

 

「―――ハーネスは司令官を公表していない。つまり、教える訳にはいかない」

 

案の定、アラタの問いに日暮先生はそう返した。

まぁ、当然ね。

 

「そんな・・・・・・!」

 

「先生は2年3組の担任です。先生からドルドキンス司令か、ゼロ司令に話を繋いで貰えませんか?」

 

「いいだろう。ただし、ドルドキンスとの連絡は時間が掛かる。かなり待ってもらうことになるが」

 

「時間が無いんです!今日の夕方までに会わないと・・・・・・」

 

「ドルドキンス司令がダメならゼロ司令は・・・・・・」

 

「ゼロとの連絡はドルドキンス以上に時間が掛かるが?」

 

「そんな・・・・・・っ!ならせめてゼロに関する事をなにか・・・・・・!」

 

「諄いぞ瀬名アラタ。そもそもだ、何故そんなにゼロに会いたがる?昨日の件も報告を受けてる。これ以上は、ジェノックに対して正式に抗議することも出来るが?」

 

「っ・・・・・・!」

 

日暮先生の言い分はもっともだ。

瀬名アラタは何故考えもなしに動くのか分からない。

もし4年前や5年前にアラタがいたら真っ先にやられてる。

それどころか世界さえ救えなかった気がする。

レイや私たちでさえ思慮深く行動していたのに。

こういうのを、単細胞のバカ、というのかしら?

 

「悪いが人と会う約束がある。保健室を閉めるぞ」

 

そう言った日暮先生は私たちを保健室の外に出し、保健室の鍵を閉めどこかに歩き去った。

 

「手強いわね」

 

歩き去る日暮先生の後ろ姿を見ながらユノが言う。

 

「そう簡単に秘密を教えてくれるはずないさ」

 

「こうなったら後をつけましょう」

 

「え?」

 

「日暮先生を追えば、何かわかるかもしれない。尾行は諜報活動の基本よ」

 

いや、確かに基本かもしれないけど・・・・・・

ユノの言葉に表情に出さずに端末を操作し、インストールしてあるタロット占いで占う。

 

隠者(ハーミット)の正位置。密かに進められる計画。秘密をあばく」

 

占った結果を見せて告げる。

 

「ほらね!絶好のスパイ日和でしょ!」

 

「スパイ日和って・・・・・・」

 

やれやれ、ね。

心の中で思いながら私はユノたちとともに日暮先生の跡をつけた。

跡をつけ、商店街に入ると日暮先生は古書店ふくろうに入り、店内の本を読んだ。

私たちは気づかれないよう、近くの陰に隠れて観察する。

 

「人に会うって言ってたよな?あそこで待ち合わせか」

 

「なんかのんびりしてるよね・・・・・・」

 

アラタとユノがそう言うや、私は日暮先生に気づかれそうになり二人の襟首を掴み影の奥へと引っ張った。

バランスを崩して倒れる二人に巻き込まれてヒカルも尻もちを着く。

 

「いたたたたた!」

 

「痛いのはこっちよ!」

 

「静かにしろ!」

 

全く。

尾行するにしてももう少し警戒心を持ってやらないと・・・・・・

まぁ、同い年の学生だししょうがないかしら。

腕を組み、チラッと影から日暮先生を視る。

 

「動いた」

 

「え」

 

日暮先生は古書店から出ると、再び歩き出し今度は婦人服店のガラスウィンドウに展示された服を立ち止まって見る。

私たちは近くに停められてるリヤカーの影から隠れて見る。

 

「待ち合わせの相手、現れないな・・・・・・」

 

「もう・・・・・・時間が無いのに・・・・・・!」

 

時刻は既に午後4時近く。

残り時間はもうあまりない。

ヒカルとユノが焦りを生じさせてると、日暮先生はそのまま婦人服店の中に入った。

 

「参ったなぁ・・・・・・」

 

婦人服店にはさすがのアラタも入りづらいのか、困惑したようだった。

 

「私たちに任せて」

 

仕方なく、私とユノで婦人服店に入る。

アラタとヒカルは外で待機。

店内に入ると、日暮先生はちょうど奥の方にある試着室に入るところだった。

試着室に入るのに手に何も持ってないのに気付きすぐに察した。

けど、まぁ、悪いけどユノにはもう少し黙っておこう。

その内にレイに連絡して―――

 

「・・・・・・」

 

返信には了解。タイミングを見てバラして、と書かれていた。

さすが、レイ。

私の思考を熟知している。

日暮先生が試着室に入ってから10数分が経ち―――

 

「出てこないわね」

 

ユノが小さな声で言う。

 

「ちょっと見てくる」

 

「え!キヨカ!?」

 

静止しようとするユノを無視して試着室の遮るカーテンを開ける。

開けると案の定部屋の奥には通用口があり、その扉が開きっぱなしになっていた。

 

「やられた・・・・・・!」

 

口ではそう言うが、心の中ではやっぱりね、と告げていた。

ユノと一緒に店の外に出て、外に居たアラタとヒカルに逃げられたことを伝える。

 

「尾行、気づかれていたのかも」

 

「作戦失敗か・・・・・・」

 

いや、まぁ、そりゃぁ、気づかれるわよ。

ユノの言葉にそう思ってると、アラタの端末から着信音が響いた。

 

「はい。―――サクヤ?」

 

どうやら通信相手は学園で調べてるサクヤらしいけど。

 

「え。ドルドキンスの居場所が分かった!?」

 

アラタの言葉に驚く私たち。

ヒカルとユノは居場所が分かったことに驚いているけど、私は居場所がようやく分かったことに驚いた。

サクヤ曰く、確証はないけどドルドキンスの居場所はビリヤードの出来る場所。遊技場にいるらしい。

そしてそれを突き止めたのはなんとハナコらしい。

ハナコの父親がビリヤードにハマってたことがあって、微かに残されていたビリヤードの音に気づいて解析した結果、遊技場にいることが分かったそうだ。

 

「そうか!分かった!遊技場か・・・・・・ビリヤードってなんだ?」

 

アラタのその一言に脱力した。

ビリヤード知らないの・・・・・・?

 

「玉突きだよ」

 

呆れたようにアラタに言うヒカル。

その後、ハルキたちと合流し商店街にある遊技場へ向かう。

遊技場は窓がカーテンが閉められており中を見ることができない。

 

「ここにドルドキンスが・・・・・・」

 

「よし!乗り込むぞ!!」

 

「じゃあ、後はよろしく。この先は第1小隊の仕事だから」

 

「「えっ!?」」

 

「アタシたちはあくまでも陰で動く」

 

「それがスパイの宿命」

 

「うん」

 

ハナコから聞いた限り、キャサリンはずっと寝ていて役に立たなかったそうだけど?

ていうか、スパイの宿命のわりには結構踏み込んでたような?

 

「わかった」

 

アラタたちにあとは任せ、私たちはその場から離れる。

同時に、任務完了、とレイにメッセージを送る。

彼らこの世界のことを知ってどう反応するかしらね。

歩きながら私はそう思ったのだった。

 

〜キヨカside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜アラタside〜

 

第4小隊の助けもあり、俺たちはドルドキンスのいる可能性のある場所。遊技場へ来た。

第4小隊と分かれ、俺たちは遊技場の中に入る。

遊技場の中は薄暗く、僅かな明かりがあるぐらいだ。

そのまま中へ入ると―――

 

「美都先生!?」

 

何故か、美都先生か待ち構えていた。

 

「遅い」

 

呆れたように言う美都先生の後ろから2年3組の担任の日暮先生が現れる。

 

「じゃあ、あたしは行くぞ」

 

「ありがとう、日暮先生」

 

「その時が来たらちゃんと教えろよ。何をしようとしているのか」

 

「わかったわ」

 

意味が分からない事を話して日暮先生は遊技場から出て行った。

けど、なにより美都先生がここに居るってことは・・・・・・!

 

「先生、まさか最初から・・・・・・?」

 

「この程度のミッションに時間をかけ過ぎよ。もっと訓練が必要ね」

 

いや、なんの訓練だよ。

と思ってると―――

 

「―――情報解析能力はA+。尾行はC-と言ったところか」

 

奥の方から男の声が聞こえてきた。

 

「ハーネスの司令官を紹介します」

 

美都先生がそう言うと、一人の男が出てきた。

年は俺たちより少し上な感じで、紺のコートを着ている。そして手には細長い棒を持っている。

その男を見てヒカルが声を上げた。

 

「海道ジン!」

 

「え、海道ジンって?あの有名な!?」

 

海道ジンの名前は俺でも知ってる。

第3回アルテミス準優勝者にして【秒殺の皇帝】の異名を持つ、レイと同じく【ミゼル事変の英雄】の一人。

 

「海道ジンが、ドルドキンス・・・・・・」

 

「ハーネスの司令官・・・・・・」

 

有名人の登場に声が出ない。

なによりハーネスの司令官、ドルドキンスの正体が海道ジンだなんて・・・・・・

 

「彼は半年前にこの島に来ていました。以来、2年3組の副担任をしながらハーネスの司令官を務めています」

 

「何故、美都先生はその事を?」

 

「私たちは、すでに手を結んでいたのよ」

 

美都先生の告げた言葉に驚く俺たち。

 

「美都先生」

 

「ええ。我々は明日、この密約を正式に公表し、ジェノックとハーネスの同盟を宣言します」

 

美都先生の言葉にさらに衝撃が走る。

 

「デスフォレストの攻略が、最初の共同戦線となるわ。そして、この作戦は必ず成功させなければならない。瀬名アラタ。約束通り、質問に答えましょう」

 

「っ・・・・・・!」

 

つまりムラクから聞いた事の答えが聞けるということだ。

 

「法条ムラクの話は本当よ。セカンドワールドでの戦いは、現実世界の平和のためではない。現実における国家間の代理戦争。私たちの戦いは、国の運命を左右するものなのよ」

 

美都先生の答えた質問の回答に俺はハンマーで殴られたような衝撃が襲った。

現実世界の平和ではなく、国家間における代理戦争。

そして、俺たちの戦いは国の運命を左右するもの・・・・・・。

衝撃を受けていると。

 

「ま、待ってください!ドルドキンスの正体が海道ジンだと言うのは分かりました。では、ゼロは一体誰なんですか!?」

 

サクヤが美都先生と海道ジンさんに質問する。

その質問に対する回答をしたのは美都先生でも、海道ジンさんでも無かった。

 

 

『今回の任務。情報解析能力はB。尾行はD。情報保持能力はE-と言ったところだね』

 

 

何処からか声が響いて来た。

 

「だ、誰だ!?」

 

声を変えているのか、声の主が誰なのか分からない。

あちこち見回してると、美都先生と海道ジンさんの近くにある台の上に突然空間ウインドウが現れ、そこに仮面とフードを被った人物が現れた。

 

 

『はじめまして。ジェノック第1小隊。僕はゼロ。君たちが探してる、ハーネスのもう一人の司令官だよ』

 

 

「ぜ、ゼロっ!?」

 

突然現れた人物に驚く。

 

「ゼロ、先程の評価はどうしてだ?」

 

海道ジンさんがゼロに対して訪ねる。

 

『この場所は、出雲ハルキと細野サクヤではなくジェノック第4小隊の園山ハナコが気づいたらしいからね。故に情報解析能力はB。尾行のDについては、日暮先生は簡単に気づいたらしいしね。そしてなにより情報保持能力については話にすらならない。瀬名アラタ、君は極秘任務の意味を理解してるのかな?極秘任務の内容を衆目の面前で話し、なによりハーネスの生徒に聞くこと自体が問題だ。以上の評価だよジン』

 

「なら、妥当な評価か」

 

ゼロの辛辣な評価に俺たちはぐうの音も出せない。

 

「瀬名アラタ、貴方については日暮先生から苦情も来てます」

 

「うっ・・・・・・」

 

美都先生に鋭い眼光で見られ後ろに下がる。

そのまま美都先生はゼロについて話し始める。

 

「ゼロは海道ジンが来るまでハーネスで司令官を務め、現在はハーネスの副司令を務めています」

 

「元司令!?」

 

「ちょっと待ってくれ。ゼロ、貴方は何故そんなに僕らのことに詳しい?」

 

「確かにそうだね・・・・・・ハナコのことを知ってるのは僕らや第4小隊だけのはず」

 

『僕は全てを知っている。もっとも、分かるのはジェノックに関してだけさ』

 

答えになってない答えを言うゼロ。

ハルキもヒカルもサクヤも理解不能と言った様子だ。

 

『ジン。美都先生』

 

「ああ」

 

「ええ」

 

ゼロが二人を呼び。

 

『僕の正体が気になる?瀬名アラタ?』

 

「ああ!お前は誰なんだ!!」

 

『なら、教えてあげる。でも、それは今じゃない』

 

「なに!?」

 

『明日のウォータイムでまた会おう』

 

そう言うと空間ウインドウが消え、ゼロの声が聞こえなくなった。

 

「貴方達に伝えておきます。明日のウォータイム、ジェノックはハーネスと模擬戦を行う予定です」

 

「模擬戦!?」

 

美都先生の宣告にハルキが驚く。

何故だ?

 

「美都先生、模擬戦なんて可能なんですか?」

 

「ええ。模擬戦の条件は、同盟国であり、尚且つ両仮想国の司令官が承諾していること」

 

「つまり明日は、ハーネスとジェノックの戦闘ということですか」

 

「そうなるわね」

 

ハーネスとガチでやれる!

ということは、レイと直接対決出来るってことだよな!!

そう思うとワクワクしてきた。

 

「ですが、何故模擬戦を?明日はデスフォレスト攻略では?」

 

「出雲ハルキ君。君は、急に同盟を組んだ相手と一緒に戦闘が出来るか?」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「それと、これはゼロの案だ。僕も美都先生も承諾してる。オーダーを変えるつもりはない」

 

海道ジンさんのそれは確定事項だということだろう。

俺たちは何も言えずに、遊技場を後にした。

模擬戦が楽しみだというのもあるが、胸の中にセカンドワールドについて、モヤモヤした気持ちになった。

 

〜アラタside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ジンside〜

 

 

瀬名アラタたちが遊技場から立ち去って少しして。

 

『ふぅ。疲れた』

 

再びビリヤードの台の上に空間ウインドウが展開されそこから仮面とフードを外したゼロ。レイが映った。

 

「随分と手の込んだ登場だったな」

 

『仕方ないでしょ?今明かすわけにはいかないんだから』

 

ため息を吐きながら言うレイ。

 

『それにしても、手助けがなかったら今頃まだ探してたんじゃない、美都先生?』

 

「そうね」

 

『取り敢えず、橋渡しの件については及第点をあげようかな』

 

やれやれと、呆れたように言いながらも面白そうだと言うレイ。

 

『あの時に彼らがいたら全滅していたけどね』

 

あの時、とは恐らく4、5年前のディテクターやイノベーター事件の事だろう。

確かに、彼ら。特に、瀬名アラタがいたら全滅していた可能性が高い。

 

「ところで、明日のウォータイム貴方も出撃(でる)のかしら?」

 

美都先生の問いにレイは頷いて返し。

 

『もちろん出ますよ。それに、ジェノック全体に教えてあげる必要があるからね』

 

「というと?」

 

『明日の模擬戦、ハーネスは手加減無しの本気でジェノックを叩き潰すつもりですから』

 

レイの宣言にすぐに察した僕と驚く美都先生。

 

『一度、わからせる必要がある。これからの戦いで生き抜く為にもね』

 

レイの眼は相変わらず先の先の未来を視ている。

予測に予測を重ねた条理予測。レイの固有能力とも言うべきスキル。

昔から未来視のように見てきていたけど、ここに来てさらにそのスキルに磨きがかかってる。

半年前に久しぶりにあった時から感じていたけど、ホント、バンくんの先を行く。

彼が居たからこそ、彼女を救えた。

この事はあの場にいた僕らが知っている。

恐らく、彼はこれから先起こりうる闘争の中心人物となってみんなを引っ張って行くのだろうな。

レイを見ながら僕はそう思わずに居られなかったのだった。

 

 

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