ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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攻略への考案

 

〜ムラクside〜

 

「おいムラク、掲示板の告知を見たか?」

 

学園に登校した俺は、小隊メンバーであるミハイルに問われた。

掲示板の告知。

それは瀬名アラタらのジェノックと、レイの率いるハーネスが今日のウォータイムより無期限の同盟を結ぶということだろう。

 

「ああ」

 

「ああ、って・・・・・・ハーネスがジェノックと同盟を組んだんだぞ!?そんな呑気な」

 

「落ち着けってミハイル」

 

慌てるミハイルを落ち着かせる同じく小隊メンバーであるバネッサ。

 

「ジェノックだけならまだしも、ハーネスはレイがいる。警戒を高めるのは当然だろう?」

 

「そりゃ、まぁな」

 

「そうっスね」

 

落ち着きを取り戻したミハイルの言葉に同意するバネッサと、小隊メンバーにしてメカニックであるカゲト。

確かに、レイは警戒を怠らざる相手だ。

 

「それに彼はハーネスの現副司令らしい」

 

「はぁ?生徒が一国の司令官になれるもんなのか?」

 

俺はすでにレイがハーネスの司令であることを知っている。

レイ自身から聞かされているからな。それに、彼が何処から来たのか、も。何より、彼らの目的も知っている。

正直、敵である俺に話すのはどうかと思うが、俺とレイは協力関係を結んでる。

だが、セカンドワールド。戦場で敵として相対した場合は別だ。

 

「なにも慌てることは無い。俺たちは、俺たちに与えられた役目を全うするだけだ」

 

そう。慌てることなんて何も無い。

俺たちは俺たちらしくいくだけだ。

俺自身の目的のためにも。このセカンドワールドを運営する側になり、この学園のみんなを解放する。

そして、少しでもアイツに並び立てるように・・・・・・!!

 

〜ムラクside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

「どうする、かなぁ・・・・・・」

 

ジンと二人きりになった司令室で椅子の背もたれに寄り掛かりながら目を閉じ思考の海に潜る。

現在の戦況と地理。

地の理はロシウスにあるのは当然。

戦況は、ロシウスの守備隊は約半数が【LD(ラージドロイド)】のレーザーでロスト。残りはムラクら10小隊ぐらい。

コチラは【RD(ライディング)アーマー】が損壊。

ヒカルの[バル・スパロス]は左腕を欠損。各所にもダメージがある。

カゲトラの[BCライアン]は右足を欠損。ヒカル同様ダメージを各所にも受けてる。

東郷リクヤたちジェノック第3小隊は戦略外。

下手に動かれてもさっきみたいになるのが目に見えてる。

けど、【デスフォレスト】を攻略するにしても、想定される被害は大きいのは確実。

ラージドロイドなら僕、ルナ、フランだけでも倒せる。

しかし、あの高密度のレーザーに圧倒的パワー。そして防御力。

弱点はあのレーザー発射口にあるセンターコア。

ラージドロイドの四肢とふたつのアームにはダメージを与えてある。とはいえ、ラージドロイドからしてみれば微々たるものと感じてるのだろう。

それに、問題はラージドロイドがデスフォレスト内部へ戻ったため、戦う場合は狭い通路で戦闘を行わなければならない。

そして恐らくだけど、あの黒い[ドットフェイサー]似のLBXがいると思う。

あの時の薄紫色の光点の画像を拡大鮮明化で確認した結果、何か黒いのが高高度上空にいるのが分かった。

そこまで考えて少し疑問に思った。

何故ラージドロイドは僕らへの攻撃を止めてデスフォレスト内部と戻って行った?

『スターブレイカー』の攻撃で怯んだから?

いや、それは無いはずだ。

じゃあ何故?

疑問に思い、すぐに目の前のコンソールを操作しラージドロイドがデスフォレストにぶつかった瞬間の映像を観る。

そもそもあのラージドロイドは別のところから強引に侵入してきた。

あの場所に現れたのは偶然?

もし、あのラージドロイドにKD(キラードロイド)と同等のアルゴリズムが組み込まれているなら、僕らを逃すはずはない。

となると、あの場に現れたのは偶々・・・・・・?

デスフォレスト内部へ戻って行ったのは目的を果たしに?

じゃあなんでデスフォレスト内部へ戻った?

何をしに?バンデットの目的はパラサイトキーの奪取。

となると、パラサイトキーの他にあの場所。ロストエリアへの入口も探してるはず・・・・・・。

様々な考えを巡らせた結果、僕はひとつの結果を出した。

 

「ジン」

 

「なんだ?」

 

「ジンはどっち?撤退か、現状維持か、続行か」

 

「キミはどうなんだ?」

 

僕の質問に、ジンは質問を質問で返す。

 

「撤退」

 

僕はラージドロイドがデスフォレスト内部へと戻った映像を観て返す。

 

「たぶん、あのラージドロイドの目的は僕らの殲滅じゃない。ましてや、ロシウスの殲滅でもないと思う」

 

「その根拠は?」

 

「殲滅が目的なら、あの場でやってる。それこそ、あのレーザーでね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「そうなると、考えられるのはデスフォレスト自体の破壊か制圧。ロシウスは全力でデスフォレストを死守しようとあのラージドロイドを追い掛けるだろうけど、僕らはそうじゃない。拠点防衛ならまだしも、攻略作戦だ。となると、ここは一度撤退するのが最善策。闇雲にラージドロイドと戦闘にでもなったら、僕やルナ、フランはともかく、他のみんなには荷が重い。なにより、対ラージドロイド戦に於いては邪魔」

 

「酷い言い方だな・・・・・・」

 

苦笑しながら言うジンに、僕もあはは、と苦笑する。

 

「けど、事実。カゲトラたちならともかく、アラタたちはなぁ・・・・・・」

 

指示通り動いてくれるか分かんないし。

 

「で、ジンの考えは?」

 

「今キミが全て言っただろう。僕も撤退には同意だ」

 

「そう」

 

ジンもどうやら同じみたい。

でも。

 

「美都先生は何がなんでも撤退はしないんだろうなぁ・・・・・・」

 

あの人のことだ。

何がなんでも撤退はしないはず。

あの人もあの人で、よくジェノックはここまで機能してきたなぁ、と度々思う。

 

「美都先生については僕が何とかしよう」

 

「お願い」

 

「あのラージドロイド。キミたちなら倒せるか?」

 

「無論」

 

ジンの問いに即答で返す。

 

「伊達に場数を踏んでないよ。ジンでも倒せるでしょ?弱点分かってんだし」

 

「それは・・・・・・な」

 

僕らは4年前。KDが現れた時から結構な数倒してる。

ドロイドシリーズはどれも弱点がセンターコアなど、何処かにあるコアと決まってる。

 

「まぁ、メアたちも同じこと考えていると思うけどね」

 

「そうか」

 

「それに、もう一つ懸念がある」

 

「なに?」

 

「コレを観て」

 

新たにモニターに映像を映す。

 

「コレは・・・・・・」

 

その映像にはデスフォレストの高高度上空に浮かぶ、黒い何かが写ってた。

 

「たぶんバンデット。コイツが何もしてこない可能性が無いとは思えない」

 

「確かに・・・・・どうする?」

 

「どうしようかね。正直言って、嫌な予感がさっきからする」

 

「どういう意味だ?」

 

「分かんない。けど、嫌な感じ」

 

言葉に言い表せない。

こう、なんて言うか、具体的に表現出来ないけど、感覚が嫌な予感を感じさせる。

ピリピリするって言うか。落ち着かないって言うかなんて言うか。

そんな言葉に表せない予感を抱きながら、僕はモニターを観た。

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜メアside〜

 

ウォータイムが終わり、ダック荘に帰ってきた私たちは、着替えるなり早速あのラージドロイドへの対策について話し合った。

と言っても、私やルナちゃん、フランちゃん、キヨカちゃんは聞いてるだけだけど。

 

「―――作戦続行なんてありえない!」

 

「今日ばかりは君に同感だね。退却が最善だよ」

 

「あそこ迄デスフォレストにこだわる理由ってなんだろ」

 

ジェノックの方ではこんな会話をしていて。

 

「どう致します?」

 

「ラージドロイドについてかい?」

 

「ええ。レイからは、考えて於いてと言われてますけど、ロシウスはともかくラージドロイドについては正直言って被害が大き過ぎますわ」

 

「だよなぁ。レイたちならともかく、俺様たちじゃ足を引っ張るぜたぶん」

 

「アラアラ。随分と自信なさげですわねギンジさん」

 

「しゃーねぇだろシズカ。あの攻撃力に防御力。俺様たちじゃ歯が立たないぜ」

 

「だが、何故ラージドロイドがデスフォレスト内部へ戻ったのかも気になる」

 

「言われてみれば・・・・・・そうですわね」

 

「確かに、僕らを殲滅させるならその場でやってますよね」

 

「ということはラージドロイドの別ってこと?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

オトヒメちゃんたちはジェノックより深く話してる。

さすが、レーくんが鍛え上げただけはあるね!

 

「なぁ!RDアーマーの突撃槍(チャージランス)ならコイツを倒せるんじゃないか?」

 

「アラタ・・・・・・」

 

端の一角では、アラタ君たちジェノック第1小隊がカゲトラ君やタケル君たちと話していた。

 

「いや、あれだけの強度を持った外装だ。無理だろうね」

 

「そこまで硬いのかよ?!」

 

「しかも、RDアーマーさえ潰すパワーを持っている。やはり作戦の続行は不可能だな」

 

「んぁぁあっ。なにか手はないのか?!」

 

「ラージドロイドに対して、何か特別な対策を取らないとダメだろう」

 

「そんな余裕はない。敵はロシウスなんだぞ」

 

確かに。

三竦みの対決になってる。

ラージドロイドを倒しても、ロシウスを相手にしなければならない。

対策を取らないとダメ。

タケル君たちの会話を紅茶を飲みながら聞きそう思ってると。

 

「それだ!!ロシウス!ムラクだよ!!」

 

「ん?」

 

立ち上がってそれだ!とアラタ君が言う。

 

「ムラクたちと一緒に戦えば、ラージドロイドを倒せるかもしれない!」

 

まさかのムラク君たちとの共闘。

彼の発言に思わず突っ伏した。

ありえないわァ〜〜。

 

「はぁ。ロシウスが協力するわけない」

 

「どうして?」

 

「僕たちは、ロシウスのデスフォレストを攻略しようとしているんだぞ?」

 

「敵と協力するわけが無い」

 

二人の言う通りである。

例えムラク君が承諾しても、ロシウスの司令官イワン・クロスキーが承諾するわけがない。

 

「でも、バンデットは敵味方関係なく攻撃してくるんだ。あいつを倒すだけだけでも!」

 

「ラージドロイドを対処している時に後ろから狙われでもしたら・・・・・・」

 

「ムラクはそんな事はしない!!直接ムラクに聞いてくる!」

 

直接って・・・・・・この時間となると、まさか、ロシウスの寮のスワン荘に行くつもりなの!?

えぇー、と思いつつ、アラタ君の行く手を遮る。

 

「退いてくれ!」

 

「その感情だけで動くの止めたら?貴方は良いかもだけど、周りにとっては迷惑極まりないよ」

 

「なんだと!?」

 

「あのね、ハーネスとジェノックの混成軍の総司令はレーくんなの。つまり、貴方の行ったことは全て、レーくんへの迷惑に繋がるの。解る?」

 

そう。彼が何かしたら、その責任は全て総司令。つまり上司であるレーくんが責任を取らなければならない。

そして、この行動を聞いたイワン・クロスキーは絶対レーくんに何かしてくる。

ただでさえレーくんの心労は酷いのに、これ以上酷くは出来ない。

 

「なにより、例えムラク君が君の提案を呑んでも、他のロシウスの生徒が呑むわけないでしょ?」

 

「そ、それは・・・・・・!」

 

「まさかこんな事も考えないでいたの?」

 

うグッ!と言葉を詰まらせるアラタ君。

直ぐに考えつくのに。

 

「で、でも!レイだって解ってくれるかもしれないだろ!?」

 

「確かに、レーくんだったら解ってくれるかもしれないね」

 

「だったら!!」

 

「でも、レーくんは承諾しない」

 

「は?」

 

「レーくんは私たちの安全を一番に考えてるの。危険なことは絶対にしない」

 

レーくんがハーネスの司令になってからのハーネスのロスト率はほぼ0。

レーくんの指揮は安全が何より。

生きてさえ居れば、次に繋がるからこその動き。

 

「貴方はその貴方の判断で仲間の命を守れるの?」

 

「っ・・・・・・」

 

「レーくんが考えてって言ったのは決して、仲間の命を危険に晒させるわけじゃない」

 

「・・・・・・・・・・っ!!」

 

私の言葉を聞いても尚、アラタ君は食堂から出て行った。

 

「はぁー・・・・・・」

 

ヤレヤレ、とため息を吐く。

 

「ああいう所、嫌いじゃないけどね」

 

タケル君が苦笑しながら言うけど、私は正直好きにはなれない。

命懸けの戦いをしてきた私たちにとって、彼の動きは仲間の命を危険に晒すようなこと。

 

「あ。メア、ちょっと聞きたいんだけど」

 

「ん?どうしたのタケル君?」

 

唐突にタケル君が質問してきた。

 

「メアの作ったアレ、ラージドロイドに効いてたよね?」

 

「『スターブレイカー』のこと?」

 

「うん、そう」

 

タケル君の言葉にギョッ!?とサクヤ君たちがこっちを見てくる。

 

「まぁ、アレ対LD(ラージドロイド)武装だし・・・・・・」

 

「それって量産出来たり・・・・・・」

 

「それは無理」

 

「あー、ダヨネ」

 

タケル君の問いに即答で返す。

 

「なんで量産出来ないんだい?簡単だろう?」

 

風陣カイトはアホなの?

簡単なわけないでしょ!?

 

「あのねぇ、作るにしても時間掛かるし、予算も部品も掛かるの。なにより、今から作ったとしても間に合うわけないでしょうが。そんな事も理解出来ないの?」

 

呆れたように言い放つ。

作れたとしても精々二丁ぐらいだし。

まぁ、例え作れたとしても―――

 

「それに、あの『スターブレイカー』は扱いが結構難しいの。レーくんや私たちなら使えるけど、キミには絶対使えない」

 

「なに?!」

 

「私たち以外で使えそうなのは・・・・・・シスイ君と・・・・・・」

 

私は一人のジェノックの男子生徒にチラッと一瞬だけ視線を向けた。

今は握ってないけど、彼の射撃能力は高い。

過去の出来事で捨てた腕だけど、いつかまた復活するかもしれない。私はレーくんがそう言ってたのを思い出す。

 

「とにかく、癖が強いから使いこなせるのはレーくんぐらいって事ね」

 

自分で作ったのもなんだけど、ピーキーにし過ぎた。

んーー、まぁ、私ってレーくん第一だからなぁ〜。

レーくんが望むなら何でもするし、何でもしてあげる。

ちょっとレーくんに依存してるかもだけど。

レーくんが私を望むなら、私は私の全てをレーくんに捧げる。

 

「メア、ひとつ聞かせてくれ」

 

「なに、ハルキ君?」

 

「レイなら、あのラージドロイドを討伐出来るか?」

 

ハルキ君からの問いはラージドロイドをレーくんが討伐出来るか。

討伐出来るか?そんなの決まってる。

 

「出来るよ」

 

「出来るわ」

 

「出来るね」

 

「出来るわね」

 

私、フランちゃん、ルナちゃん、キヨカちゃんは異口同音の言葉を口にして返す。

 

「レイだけじゃなく、私たちにも出来るわ」

 

「うん。昔は今より不利な戦況でも戦ったしね」

 

「そう言えばそうだったわね」

 

懐かしむ。思い返すようにして言うフランちゃんたち。

最初は山野博士のスーパーLBX[Σオービス]じゃないと太刀打ち出来なかったけど、パラダイスの辺りからは私たちだけでも対処出来るようになったからね。

あの頃は今みたいな技術はなかったし。

 

「あ、言っておくけどだからって私たちに任せるのはナシだからね?レーくんからも言われてるし」

 

レーくんからあの後メッセージで、ラージドロイドの討伐で僕らだけ、ってのは却下で、と書かれてたし。

 

「何故だ?討伐出来るなら、出来るに越したことは無いはずだ」

 

「あのねぇー。ルナちゃんとフランちゃんはともかく、私とキヨカちゃんはメカニック。出撃許可は出てないの」

 

まだレーくんから出撃してくれって言われてないしね。

 

「それに、ただの戦闘ならいいけど、今回は何が起こるかわからない。だから私たちは動かせないの」

 

「確かにそうだ。キヨカはともかく、メアたちはハーネスだ。指示する権利はレイか、海道先生だ。俺たちがどうこう言えることじゃない」

 

さすがゲンドウ君。

ジェノックの中でレーくんが認める人なだけあるね。

それに、ラージドロイドの弱点とかレーくんが言うなって言うし・・・・・・たぶん、レーくん試してるんだろうなぁ・・・・・・

彼らがどうするのか。

全く。意地が悪いんだからホント。

クスクスッと小さく笑って私はレーくんを思った。

 

〜メアside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

「―――まぁ〜〜。アラたんが、ムーくんに情熱的な告白ぅ〜?ロミオとジュリエットみたいねぇ〜!あら?じゃあムーくんがジュリエットってこと?ふむぅ〜。ステキねぇ〜」

 

「それと、美都先生と海道先生が深夜の密会中ダモ」

 

「同盟を組んだジェノックとハーネスの司令官の二人が?面白そうな組み合わせね。ぁー・・・・・・・・・・・ありえないわネ。あの堅物どうし。どうせ、ただの作戦会議。興味な〜し!NOロマンティック、NOライフ〜。そう思わないレイたん?」

 

「クックク・・・・・・あははははっ!」

 

学園長室でジョセフィーヌ学園長に問われた僕は笑って返した。

 

「堅物ねぇー。あははは。面白い言い方」

 

美都先生はともかく。ジンの色恋沙汰って聞いたことないなぁ。そう言えば。

 

「笑いすぎダモ」

 

「仕方ないでしょメタ沢。あの二人に限ってそんななんて無いんだし」

 

「そうねぇ。逆にレイたんは青春真っ只中だものねぇ」

 

「それが何か?」

 

「急にスんとしないでほしいモ」

 

「まぁ、それはそれとして、また盗撮盗聴ですか?」

 

「うグッ・・・・・・」

 

ギクッ!と肩をビクンと震わせる学園長。

 

「以前しないようにと言いましたよね?」

 

「いやぁー、えっと・・・・・・た、たまたまよ?たまたま」

 

「・・・・・・」

 

ジトー、と目を細めて視る。

僕の目線に学園長はダラダラと汗を流してる。

面白い光景だ。

 

「はぁー。まあ、今回は見逃しますけど」

 

「ほっ・・・・・・」

 

安堵したようにホッと息を吐く学園長。

ったく。なんで僕の周りの大人ってなにかと問題があるんだろうね?

 

「それに、メタ沢からアラタについても聞けましたし」

 

まさかムラクに会いに、直接スワン荘へ行くとは・・・・・・

 

「メタ沢。アラタは?」

 

「法条ムラクの小隊仲間に締め出されて只今ダック荘に帰還中ダモ」

 

「そう」

 

はぁー。頭痛い。

アラタは僕になにか恨みでもあるのか?

メタ沢の入れてくれた紅茶を飲みながら思わざるを得ない。

 

「うん。美味しいよメタ沢」

 

「恐縮ダモ」

 

「レイたんのお陰でメタちゃんの紅茶の淹れがどんどん上手くなってるわ」

 

学園長も僕と同じ紅茶を飲んでいる。

 

「それで、なんの用です学園長?」

 

帰宅する直前、端末から呼び出されたのだ。

無視しようかと思ったけど仕方なく来た。

 

「いえね〜。ハーネスとジェノックの総司令となったレイたんに同盟を組んだ初日はどうだったか聞いてみたくてね」

 

学園長の言葉に微妙な表情を浮かべながら紅茶を飲む。

飲んだ紅茶をソーサーの上に置き。

 

「疲れた。その一言に限る」

 

「あら?そうなの?」

 

「ハーネスはともかく、ジェノックは疲れる。なにかと問題ありますし、ね?」

 

意味深に言いながら学園長を視る。

学園長は一瞬目尻が上がったが、すぐに元に戻った。

 

「なにより今は現状の事が第一ですし」

 

「そうね。期待しているわ。貴方の指揮を」

 

「ええ。十分に期待をしてください」

 

フッフッフ、と互いに含み笑いを浮かべ、夜の秘密のお茶会は続く。

 

 

 

 

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