〜レイside〜
【デスフォレスト】中枢部で
アラタとムラクは黒いドットフェイサー似のLBXと対峙していた。
そして僕の目の前に現れたのは、4年前世界を巡っていた時に遭遇したLBX。
あの時は見逃されたような感じで何とかなった。が、敗北。
あの強さは今でも覚えてる。その時使っていた相機[カオス]が大破寸前だったのだ。
当時でそれだ、今ではさらに改良され強くなってる可能性がある。
あの時はたまたま僕の知り合いが来て、あのLBXが何処かへと姿を消して何とかなった。
けど、今は違う。
あの時よりもLBXの練度も性能も上がってる。
なにより、僕も成長した。
あの時、4年ぶりに観た時は少し怖気付いたけど、今は違う。
目の前のコイツを―――
「倒す・・・・・・っ!」
宣告するや[コスモスオリジン]を操作して武装の『スターブレイカー』を構えて光弾を放つ。
目の前の青いLBXは外套のような。蝙蝠みたいなマントを翼状に広げ展開。右手には穂先が二重螺旋を描いたような真紅の槍。
放たれた光弾を避け、一瞬でこっちに迫ってくる。
コチラも瞬時に武装を切り替え、『スターブレイカー』を仕舞い、本来の武装『ルミナスソード』を構え迎え撃つ。
ガギンッ!と互いの得物がぶつかり距離を取りすぐさま攻撃に入る。
「相変わらず速い・・・・・・!!」
ポテンシャルはコスモスオリジンと同等かそれ以上。
恐らく、僕本来のLBXほどのポテンシャルは無いだろうけど、それでも十分と言えるほどに強い。
ガギンッ!ガギンッ!と絶え間なく続く戦闘音。
【
造って良かったとホント思う。
チラッと下を視るとアラタとムラクがあの黒いバンデットのLBXと戦闘をしていた。
あの二人だけであのLBXを相手にするのはキツい。助けに入りたいけど、コイツ相手に気は抜けない。通信をする暇すらもない!
ジンに任せるしかない。
「くっ・・・・・・!!」
鍔迫り合いからの蹴りを食らい吹き飛ばされる。
だがすぐに体制を整え反撃に移る。
高機動ならではの三次元戦闘。
縦横無尽に飛びまわる。
「こっ、の・・・・・・っ!!」
集中力を一瞬で高め相手の動きを予測し、カウンターでお返しの右蹴りを放つ。
蹴りを食らいつつも距離を取りマントを閉じビームを放ってくる。
ビーム砲を躱し切り付けるが高機動でかわされる。
躱すや再びマントを展開し槍で薙ぎ払ってくる。
「ちっ・・・・・・!」
『ルミナスソード』の二刀を『ルミナスランス』と『ルミナスシールド』の槍盾に変更して『ルミナスシールド』で薙ぎ払われる槍を受け止め、そのまま滑らす。
槍を滑らせ、振り抜きざまに『ルミナスランス』で切り付ける。
だがその攻撃を相手は神速の速度で避けた。
「この速度・・・・・・まさか・・・・・・!!」
相手のLBXの尋常じゃない速度に驚く。
どうみても機体の性能だけで出来ることじゃない。
考えられるとすれば・・・・・・
「なら・・・・・・」
相手から距離を取り武装を『ルミナスソード』と『ルミナスマグナム』の銃剣武装に変更する。
「―――さぁ・・・・・・ゼロから始めて、ゼロで終わらせようか」
僕の
眼を開け、自身の相機コスモスオリジンを動かす。
動かすと視界の風景の
一瞬で相手の懐に潜り込み右手の『ルミナスソード』で斬り裂く。
反撃してくるがすでにそこには居ない。
後ろに回り込み『ルミナスマグナム』の引き金を引き、立て続けに弾丸を放つ。
弾幕を張り、相手をそこに
誘導された場所で、すでに放たれていた『ルミナスマグナム』の弾丸が相手を襲う。
左手の武装を『ルミナスマグナム』から『スターブレイカー』に持ち替え光弾を浴びせる。
相手は旋回して避ける。
だが、避けるのは想定通り。
そして、そのまま槍で突いてくるのも
槍をパリィして回し蹴りで叩き落す。
「遅い・・・・・・」
反撃してくるがさっきよりも遅い。
全部が止まって視える。
眼下の消し飛ばされたデスフォレストの跡地には、アラタとムラクの他に、ジェノック第1小隊の残り二人。ハルキとヒカルがいた。
少し離れた場所にはジェノック第1小隊のクラフトキャリアが遠ざかって行く姿が。
ハルキの[オーヴェイン]はともかく、ヒカルの[バル・スパロス]は左腕を欠損している。アイツ相手では戦力不足なのだが。
誰が送り込んだのかはすぐに想定が付く。
大方美都先生がバンデットを排除しなさい、と命令したのだろう。
あの人たまに戦局を見誤るからな。強情な程に。
ま、あの場所の入口を見つけたのだからここを死守したいのは当然か。
「ふっ・・・・・・」
蹴り叩き落とされた相手は少しふらつきながらも体勢を整え、マントを閉じで再度ビームを放つ。
それを避けずに『スターブレイカー』で相殺、そのまま『スターブレイカー』で狙い撃つ。
僕の眼には全てが視える。
それ故に何をどうするべきか最適にして効率のいいことが、これまでの経験から瞬時に、身体が勝手に動く。
「ははっ・・・・・・!」
ニヤリと笑い、相手へと接近。
武装の『
斬撃を浴びせ、上空からクルクルと舞い降りてくる『
「墜ちろ・・・・・・!」
至近距離。いや、ほぼ零距離から『スターブレイカー』の一撃を喰らい、相手はすでに瀕死な状況。
機体のあちこちからスパークが出てる。
けど、ここで手を止める訳には行かない。
下がった相手に再び武装を『ルミナスソード』の二刀に切り替え。
「必殺ファンクション!【アタックファンクション!サウザンド・レイン!!】」
コスモスオリジンの背後に、蒼白い燐光のエフェクトを纏った剣が魔法陣を通って空間の狭間より現れる。
その数はサウザンドの名の通り、千ほどある。
右手の剣先を相手へと向け、蒼白い燐光を纏った剣を射出する。
射出された無数の剣は雨のように相手へと降り注ぎ、剣を突き立てていく。
弾丸のような速度で次々と射出される無数の剣を喰らい相手は、ラージドロイドの爆発で出来たクレーターの壁にぶつかる。
そのまま身動きが取れない相手に。
「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ヴォーパル・ストライク―
右手の『ルミナスソード』に紅よりさらに深い、深紅の燐光のエフェクトが覆う。
突き放たれた深紅の閃光は、『スターブレイカー』で放たれた【スターライトブレイカー】と同等の大きさと濃密さを誇り、一直線に身動きの取れない相手へと突き進み、相手をそのまま深紅の一閃が呑み込み、背後のクレーターの壁すらを抉りとり爆発した。
本気の。久しぶりの手加減無しの【ヴォーパル・ストライク】。
さすがにこれを喰らって無事でいるとは思えないけど・・・・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・・」
さすがに疲れた。
けど、まだ―――
動こうとした途端、背後から凄まじい爆発音が響き渡った。
「っ!?」
慌てて振り返ると、岩のひとつが真っ二つに割れ、大破ギリギリのドットフェイサーの姿があった。
あの黒いバンデットのLBXの姿はない。
なにより―――
「さっき感じたあの波動って・・・・・・まさかアラタ・・・・・・」
戦闘の途中大きなエネルギーの波動を感じ取っていた僕は、目の前の状況に驚いていた。
何せさっき感じたあのエネルギーの波動は・・・・・・
そう思ってるとセカンドワールド終了のサイレンが鳴り響き、システムアナウンスが流れた。
それと同時に視界がグリーンの、コントロールポッド待機状態になる。
バイザーを外すと、コントロールポッドが動き稼働前の状態に戻り、ハッチが開いた。
降りようとするのだが、身体が言うことを聞かない。
なにより―――
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
虚脱感が凄い。
久しぶりに使ったからか、虚脱感がハンパない。
ヤバいかも・・・・・・これ・・・・・・。
「「「レイ!」」」
「レーくん!!」
メアたちが駆け寄ってくるが、返事を返せない。
なにより、頭が痛い。
ガンガンと来る。
僕はそのまま、コントロールポッドの椅子から滑り落ちるように地面に崩れ落ち。
「レイっ!!」
「レイ!しっかり!!」
「レイ!!」
「レーくん!!しっかりして!!カゲトラくん!シスイくん!レーくんを保健室に連れてくから手伝って!!」
「あ、ああ!」
「分かった!」
ヤバい・・・・・・マジで・・・・・・
意識が途絶える中、僕は同じように倒れたアラタの姿を見て、完全に気を失った。
〜レイside out〜
〜ムラクside〜
デスフォレスト内部で、ラージドロイドにやられそうになった所をアラタに助けられ、アラタとともに来たレイの指示の元ラージドロイドを撃破した。
レイの指示で動いたのは初めてだったが、さすがだ。
未来を見据えたように動かす。
アイツの経験がこれを成しているのだろう。
レイの指示通り、ラージドロイドのレーザー発射口が閉じる前にコア部分へ必殺ファンクションを叩き込む。
最後のレイの必殺ファンクションには驚かされた。
何せラージドロイドのコア部分を丸ごと吹き飛ばしたのだから。
アイツの本気を俺はまだ知らないし体験したことない。
呆れながらそう思ったのも束の間、ラージドロイド内部に高エネルギー反応を検知し俺たちはデスフォレスト中枢部から退却。
だが、ラージドロイドの爆発に巻き込まれた。
何とか3人とも無事だったが、デスフォレストは跡形もなく、存在のその字すらないほどに消し飛ばされた。
跡にはセカンドワールドの構造材が剥き出しの、隕石が衝突したようなクレーター。
それだけで、とんでもない威力だったのが分かる。
もし、間近で受けたら3人ともロストだったのは確実だ。
それだけでも、ロストする危険性を犯してまで助けてくれた2人には感謝しかない。
そこへ、俺とアラタの前に『タンデムの港』で戦ったバンデットが現れた。
宙を浮くレイの前には先日『ギガントの壁』で襲って来た例の謎のLBXが、光学迷彩を解いて現れた。
「アラタ、気をつけろ」
通信回線越しにアラタへ忠告する。
『わかってる。けど、レイは・・・・・・!』
目の前にブースターで浮かんでるバンデットに注意しながらレイを見る。
すでにレイは例のLBXと戦闘に入っていた。
互いに空を飛び高機動で動き回ってる。
どうみても俺たちが入れる余地はない。
「わかってる。だが、ヤツはレイに任せるしかない」
『っ。わかった。俺たちは今日こそアイツを・・・・・・』
「・・・・・・必ず倒す!」
迫ってくるバンデットのLBXを俺はカゲトの造った『ベリアルライフル』で。アラタもライフルで反撃する。
だがヤツは避けながら一直線にこっちに迫り、漆黒の鎌を振るってきた。
アラタと左右に避け、アラタがライフルで攻撃した先に先回りして『ベリアルライフル』を放つが上に避けられる。
上空から振り下ろされる鎌を後退して躱しアラタと合流するが。
「『っく!』」
強い。
しかも速い。
レイと戦ってなかったら即殺られていた。
レイ並の速さだ。
そのままアラタと連携して攻撃するが全く掠りもしない。
機動力が桁違いだ。
レイの方を視ると例のLBXと互角な戦いをしていた。
どちらも速い。
そこへ、アラタの元へジェノックが援軍を送ってきた。
片方は左腕を欠損して右手に銃を構えてる。
まさかこんな所で。
「きせずして、ジェノックと共闘とはな」
俺は自身に笑みが出ているのに気づいた。
敵国と共闘して一つの敵を相手する。
そんなことがこのセカンドワールドでできるとは思わなかった。
むしろそんなこと現時点では不可能だと思っていた。
だが、現に今アラタたちと共闘している。
これで4対1。数では圧倒的に有利だ。
有利なはずなのだが、バンデットはそれをものともせずに次々と援軍に来たジェノック第1小隊の2機を撃破していく。
「くっ・・・・・・!」
攻撃した隙を狙い背後へ移動して狙い撃とうとするが、一瞬で逆に背後を取られた。
「なにっ!?」
バックパックのブースターを斬り付けられ地面に倒れふす。
動こうとするが操作を受けつけない。
恐らく駆動系の一部がダメージを受けたのだろう。
動けない[ガウンタ・イゼルファー]の頭部に足を乗せてくるバンデット。
「っ・・・・・・!」
忌々しく感じる。
ここまで一方的にやられるとは・・・・・・。
動けない俺の代わりにアラタがバンデットと切り結ぶ。
だが、スペックや機動力に差があり、防戦一方だ。
その上、左のカメラアイを殺られた。
「アラタ・・・・・・っ!」
ガチャガチャとレバーを動かすが全く動かない。
上空で激しい戦闘を行うレイには助ける余地はない。
「このままでは・・・・・・!」
鎌を受け止めるアラタだが、出力に差がある為徐々に押されてる。
このままではアラタのLBXは切り裂かれロストする。
そう予感した次の瞬間、アラタは左横に避け鎌の一撃を避けた。
その後のアラタの速度は残像が見えただけだった。
先程までとは違い、逆に一方的に攻撃。
ものすごい速度で斬りつけていく。
「?」
アラタが一方的に攻撃して行く中、その頭上の上空ではレイがアラタなんて目じゃないほどの。
捉えられないほどの速さで戦闘していた。
僅かに聞こえるガギンッ!という音やキュイーンっ!と言う音だけがそこにいた証拠を出してる。
直後ドガンッ!!とクレーターの壁に例のLBXがぶつかり、蒼白い燐光を灯った無数の剣が突き刺さった。
さらにレイの[コスモスオリジン]から深紅の巨大な砲撃のような閃光が貫き、壁を抉った。
それと同時に、アラタがバンデットを穿き、その後ろにあった岩を一刀両断した爆発音が響いた。
その光景に俺は声も出なかった。
アラタもだが、レイについても。
レイとはセカンドワールドでは何度も戦ってる。
だが、今までの戦いであんな見たことない。
つまり本気を出していなかったということ・・・・・・。
唖然。それしか出ない。
圧倒的すぎる。
そのままウォータイムが終了し、俺はコントロールポッドから降りる。
降りると。
「ムラクっ!」
小隊メンバーのバネッサとミハイルが心配そうな顔でやってきた。
「済まない、ムラク」
「いや。お前たちが無事でよかった」
あのラージドロイドとの戦いで二人はブレイクオーバーだけで済んだが、ロストしたプレイヤーはかなり居る。
生き残ったのは俺たちを含め数人。
いや、あそこでレイとアラタが助けに来なかったら俺もロストしたプレイヤーの一人になっていたかもな。
そう思いつつ、ジェノックとハーネスのコントロールポッドがある場所へ向かう。
向かうと、倒れるアラタとその奥で同じように倒れアラタより酷そうなレイの姿があった。
「ムラク。一体何があったんだ」
「わからない・・・・・・」
何が起こったのか分からない。
それしか言えない。
あのチカラは一体なんなのか・・・・・・
俺はバネッサたちと二人が運ばれていくのを見てそう思わざるをえなかった。