ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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転入生 INジェノック

 

〜レイside〜

 

ジンさんが来てはや半年。僕らは進級し、二年三組になった。担任は変わらず日暮先生。副担はジンさんだ。

そんな日々のある日の朝。僕は朝から学園長に呼ばれ話していた。

 

「学園長、そろそろ始業時間なのですけど?」

 

「あらあら。もうそんな時間?朝早い時間帯に悪かったわねぇレイたん」

 

「いえ」

 

学園長との会話に苦笑を浮かべつつ立ち上がる。

 

「あー、そうだ」

 

「?」

 

「今日新たに二人来るらしいわよ?」

 

「ハーネスにですか?そんな情報聞いてませんが?」

 

「いいえ〜。ジェノックによ」

 

「ジェノックに?ああ、そう言えば先月ジェノックからロストが出たんでしたっけ?」

 

「ええ」

 

先月のあるウォータイムで、当時ジェノック領土だったノースシティを防衛していたジェノックの生徒が二名、バイオレットデビルことムラクにロストされこの学校から去ったのだ。三人いた内、二人がロスト。最後の一人は拠点制圧が完了したため運良く生き残ることが出来た。

ノースシティの占領をたった一人でやるのだから相変わらずムラクはなんというか、って思ったけどあの時。まあ、ムラクの願望を知っているからこそ何も言えないけど。

それからしばらくジェノックには新入りが入って無かったが、どうやら今日。ようやく入るらしい。

 

「楽しみですね。その転校生がどう活躍するのか」

 

「そうねぇ。私も楽しみだわ」

 

「では失礼します」

 

一礼して学園長室を去る。

学園長室からある程度離れた所で僕は息を吐いた。

 

「はぁ。朝早くから学園長の相手は疲れるよ」

 

「ふふ。お疲れねレイ?」

 

「フラン・・・・・・」

 

壁に寄りかかりながら手に持っていたペットボトルを渡してくる。

 

「はい、これ」

 

「ああ、ありがとう。ところでルナとメアは?」

 

「二人とも教室よ」

 

「そう」

 

フランと並んで教室へ向かっていると。

 

「ん?あれは美都先生?それに、あの二人は・・・・・・」

 

反対側から、見慣れない顔の男子二人と二年五組担任の美都先生が歩いているのが見えた。

 

「おはようございます美都先生」

 

「おはようございます」

 

「ええ。おはよう」

 

「美都先生、後ろの二人は?」

 

「私のクラスの転校生よ」

 

美都先生がそう言うと、片方の男子。オレンジっぽい赤い髪の方が自己紹介してきた。

 

「おっ!はじめまして!俺は瀬名アラタ!よろしくな!」

 

「星原ヒカル。よろしく」

 

もう片方の白金(プラチナ)ブロンドの一見女子に見えなくもない男子も自己紹介してきた。

 

「はじめまして。僕は山野レイ。よろしく」

 

「フラン・フルーリアよ。よろしく」

 

自己紹介してきたからには一応こちらも自己紹介をしておく。

 

「二人とも行くわよ。貴方たちもそろそろ時間よ」

 

「ええ。レイ」

 

「それじゃあ」

 

僕とフランは通り過ぎて教室に向かう。

 

「あの二人がジェノックの新人か・・・・・・」

 

「中々面白そうね」

 

瀬名アラタと星原ヒカル。あの二人が新たにジェノックに加わる。中々見どころがありそうだ。

そう思いつつ二年三組の教室に着くと。

 

「?何騒いでるのかしら?」

 

「この声・・・・・・スズネとギンジ?」

 

なにか騒いでる声が聴こえてきた。

一応この学校の教室は丈夫に防音対策されている。まあ、一応他クラスは敵だからね。情報漏洩防止のためだ。

のだが、ドアの近くでこれだけ僅かに聴こえるということは。

溜息を吐きながら後ろのドアを開け中に入る。

 

「なに騒いでるのスズネ、ギンジ」

 

「外まで少し漏れてたわよ?」

 

僕とフランが入ると騒ぎがシンっと静まった。

 

「あ・・・・・・れ、レイ、フラン・・・・・・」

 

ヤバっと表情が出ているスズネとギンジ。ルナとメア以外全員顔を引きつらせていた。

 

「で、何を騒いでいたの?」

 

「い、いや、別に騒いでいたわけじゃねぇよ?」

 

「そ、そうやでレイ!」

 

「・・・・・・カゲトラ。オトヒメ」

 

「お、おう」

 

「な、なんでしょうか」

 

「何してたか全部話して」

 

視線をカゲトラとオトヒメに向けて訊ねる。

 

「うわぁ。レーくんの威圧感増してるよ」

 

「はぁ。あの二人は学習しないのかしら?」

 

「あはは。今更だよ」

 

フランたちは少し離れた位置で話している。

 

「えーと、実はですね―――」

 

カゲトラとオトヒメから聞いた言い争いの内容に、僕は呆れたように溜息を吐く。

 

「ギンジ」

 

「お、おう」

 

「スズネ」

 

「な、なんや?」

 

「二人とも、正座」

 

「え、えっと・・・・・・」

 

「聞こえなかった?今すぐ、せ・い・ざ」

 

「「・・・・・・はい」」

 

スズネとギンジが正座するためにテッペイとタケル。フウとスイが机を退かしスペースを空ける。そしてそこにギンジとスズネが正座する。

そこに。

 

「諸君、おはよ・・・・・う―――何故、無敵ギンジロウと金箱スズネは正座をしている?まさか、またか?」

 

副担のジンさんがやって来た。

他のクラスにジンさんの事を知られる前に終わらせないといけないんだけど、ジンさんは正座しているギンジとスズネを見て察したようだ。

 

「せ、先生ぇ!何とかしてくれまへん!?」

 

スズネがジンさんに懇願するが。

 

「すまないが無理だ。レイが怒るとあの二人でも反論できないからな」

 

思い返すように上をむくジンさん。

あー、そう言えば何度か兄さんと父さんに怒ったことあったけ?ジンさんたちの前で。

ちなみに過去最高の激怒した時は四年前のディテクター事件の時、ディテクターの正体が父さんだったことだ。その時はマジで怒った。父さんのトラウマに刻みつけるほどで、その場にいた全員がしばらくは僕に敬語で話してきたほどである。父さん曰く、怒った時の迫力は母さんそっくりらしい。

 

「ジンさん、今日のウォータイムは僕が指揮を執ります」

 

「わ、分かった。分かったからその威圧感は収めてくれ!さすがに心臓に悪い!」

 

「???」

 

「何故そこで不思議そうに首を傾げる・・・・・・!!まさか無自覚なのか!?」

 

ジンさんの言葉に首をかしげつつ席に座る。

 

「あ、ギンジ、スズネ。二人はしばらく正座ね」

 

「「そ、そんな殺生なァァァァァァァ!!!」」

 

二人の悲鳴が響く中、朝のホームルームが始まった。

ちなみに一時限目の授業担当は猿田教官だったのだけど、事情を説明してギンジとスズネには正座で授業を受けてもらった。事情を説明した際珍しく猿田教官が引いていたけど何故だろうか?

まあ、二限目からは普通に椅子に座って受けてもらったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハーネス ブリーフィングルーム

 

 

ウォータイム前のブリーフィング。僕は司令官の席に立ち、クラスメイトを見て告げる。

 

「今日のウォータイムだけど、第四小隊はいつも通り各仮装国の諜報を。第三小隊、第五小隊は自由行動。そして、第一、第二小隊はなんだけど」

 

ジトっとスズネとギンジに向け。

 

「本当はスズネとギンジには今日のウォータイム出撃禁止にしようかなって思ったんだけど―――」

 

僕の言葉にガーンっ!とショックを受けたように固まる二人。

 

「それは止めにして。朝のくだらない言い争いのバツとして、カゲトラ、タケル、テッペイ、シズカ、ジョニーには悪いんだけど、第一小隊と第二小隊にはエンカ古代遺跡を攻略して来てもらう」

 

僕の言葉に目を見開くスズネとギンジ。

 

「本当はそこのおバカさん二人だけで行ってもらいたかったんだけど、心配だからカゲトラたちには悪いんだけどついて行って、ね」

 

ホント済まなそうにしてカゲトラたちに言う。

 

「いや、ゼロが謝ることじゃないだろ。スズネとギンジが悪いんだからな」

 

「そうですわね。お陰で私たちも巻き添えをくらってしまいましたが」

 

カゲトラとシズカが答える中、当の本人たちは。

 

「スズネ!ここで決着をつけるぞ!」

 

「ええで!先にフラッグを取った方が勝ちや!」

 

と燃えていた。

 

「スズネ、ギンジ?」

 

その二人に僕は静かに近づき。

 

「「あ・・・・・・」」

 

「二人とも。一ヶ月出撃禁止の方がいいのかな?」

 

冷たい眼差しで二人に問う。

 

「まあ、その場合は第一小隊と第二小隊をくっつけて、隊長をカゲトラに。シズカとテッペイをつけるけど。いや、むしろその方がいいかも?」

 

苦労人であるカゲトラだ。シズカたちと組めば少しは休まると思うが。

 

「ゼロ、そろそろ時間だ」

 

「ああ、そうですね。以上が今日のウォータイムでの任務だ。それじゃあ各自準備に入れ!」

 

次々とコントロールポットに向かって行く中、ジンさんと話す。

 

「ドルドキンス、お願いなので距離を取らないでくれません?」

 

「い、いや。その、昔の記憶がな」

 

微妙に距離を取るジンさんに僕はお願いするが、なにかトラウマスイッチでも入ったのかジンさんは遠い空を見上げて言う。

 

「ドルドキンスに怒ったことありましたっけ?」

 

「いや、ないはずだが・・・・・・。その、あの二人に怒ってるのを見せられたらな」

 

「なんかいつもすみません」

 

うん。ジンさんには苦労かけてると思う。昔から。

やがてウォータイム開始時刻となり、セカンドワールドが稼働する。

第一小隊、第二小隊は指示通りエンカ古代遺跡に向かい、第三小隊は領土内のグランデの港に。第五小隊はニーズシティに向かった。

 

「さて。このウォータイム、どうなるかな。特にジェノックは」

 

別のモニタにはジェノックがロシウス領内のオアシス3に進行しているのが映ってる。

 

「ゼロ、ジェノックがどうかしたのか?」

 

「ジェノックに新人が入ったんですよ。今朝顔合わせしましたけど、なかなか面白そうでしたよ」

 

モニタにはハーネスでも使ってる汎用型LBX[DCオフェンサー]が三機映っていた。その機体にはジェノック第一小隊の小隊番号が書かれているため、すぐ分かった。以前ロストしたジェノックの生徒は第一小隊所属だったのだ。

 

「ほう。動きは悪くない。けど、些か自信過剰過ぎるな」

 

「ええ。あれでは作戦も何もあったもんじゃない。特にこのセカンドワールドではあんなのは通用しない」

 

「ゼロたちを除いてだろ?」

 

「ええ。さて、こちらはどうかな?」

 

エンカ古代遺跡に行ってる第一小隊と第二小隊を見ると、両端から攻めるらしく、それぞれ一小隊ずつ降り立ちフラッグを目指していた。

 

「このまま行けばフラッグ占領出来ますね」

 

「ああ。だが、何事にも想定外は付き物だ」

 

確かに。ニーズシティにKD(キラードロイド)―――いや、LD(ラージドロイド)がいた事から用心しといて損は無い。

ニーズシティで戦ったあのヒドラはKDではなく、LDと言う全くの別物らしい。自律稼動型巨大兵器。KDとは違い、LBXを全て殲滅することは無いらしい。どこからこのデータが流出したのか分からないけど、脅威には違いない。調べでは、ロシウスも開発してるらしく、ロンドニアもグレンシュテイムにも存在するらしい。ちなみにだが、クルセイドにポルトン、ジェノックにはない。

視線を再度ジェノックの方に移す。

モニターには一機のDCオフェンサーがグレイリオに馬乗りして素手でぶん殴ってる映像が映っていた。

 

「はぁ?!まさかのぶん殴り!?」

 

まさかの攻撃手段に変な声が出る。

 

「えぇー。あの機体は素手による格闘戦は無理なんだけどなぁ」

 

隣のジンさんも同じことを思っていたようで、顔を顰めて眺める。

なんとか殴っていたグレイリオをブレイクオーバーしたみたいだけど、そのDCオフェンサーの両手は当然ボロボロだった。支給されてる銃さえ、持てはしても構えることは出来ない。

しかもそれどころか―――。

 

「罠にハマってるじゃん」

 

引いたガウンタを追い掛けて多数のガウンタとグレイリオに囲まれ集中砲火を浴びせさせられそうだった。

そしてその瞬間丁度、ジェノックによるフラッグの占領が完了したのか、システムアナウンスで戦闘終了のアナウンスが流れた。

それと同時に。

 

 

 

《拠点制圧完了。エンカ古代遺跡の所有権はアラビスタ同盟よりハーネスに移ります。戦闘を直ちに終了し、アラビスタ同盟の登録機体はエンカ古代遺跡の敷地内より退去してください》

 

 

 

こっちの戦闘も終わったようだ。

全てのモニターを消し、インカムを外してジンさんと今のを観てどうだったか話す。

 

「―――C-だな。レイ、キミはどう見る?」

 

「そうですね。初日ということを考慮すればギリギリCですね。あのやり方じゃ早々にロストするのがオチ。小隊長の人は大変そう。あ、メカニックも」

 

「そうだな」

 

その後戻ってきたみんなに今日の各成果や国家の動きを伝え、一応ギンジとスズネのバツは終わらせ、次あったら出撃禁止にすると伝えた。

やることを終え学校から出るとすでに夕陽が差し込み夜に近い時間帯だった。

 

「レイ、あの二人の初陣観てたのでしょう?」

 

「うん。けど―――」

 

いつも通りフラン、ルナ、メアと帰っていると丁度、話題の二人がユノとともに現れた。

僕らの姿に気づいた瀬名アラタが声を掛けてきた。

 

「あ!レイ!フラン!」

 

「瀬名アラタ」

 

「・・・・・・」

 

瀬名アラタに名前を呼ばれたフランは少しムッとしてる。まあ、出会ったばかりの人に名前で呼びれたくないのだろう。実際、今ではクラスメイトから名前で呼ばれるけど、前は苗字のフルーリアさんって呼ばれてたからね。

ちなみにフルーリアは僕が考えた苗字だ。フルーリアは、フランス語で『開花』を意味する『fleurir』だ。花が好きなフランによく似合う名前だ。

 

「アラタで良いって!にしてもすげぇなセカンドワールドって!」

 

「そうだね」

 

興奮し気味で語るアラタに少し引く。

対する星原ヒカルはクールに話に入ってきてない。

 

「俺もLBXの操作の腕には自信があったけどやっぱすげぇや!」

 

「そ、そう」

 

「こらアラタ!」

 

引き攣り笑いを浮かべていると、ユノがアラタを制止してくれた。

 

「簡単に敵国の人にベラベラ喋っちゃいけません!」

 

「えぇー。いいじゃん、レイとは朝知り合ったんだし」

 

「そういう問題じゃないの。それに情報漏洩で処罰されちゃうよ?レイたちもゴメンね」

 

「いえ、大丈夫よ鹿島ユノ。それにしても貴女も大変ね」

 

「ホントよ。さっきまでのウォータイムだって・・・・・・」

 

「ああ、そう言えばコントロールポッドルームで言い争っていたわね。お宅の委員長と」

 

「え!?そんなに目立ってた!?」

 

「寧ろ、アレで目立たないわけないでしょ?」

 

「あー、それもそっか」

 

ユノとフランが軽く会話し。

 

「ああ、それと二人には言っておくけど、この学園では外の大会とかでの常識は通じないから。覚えておいてね」

 

僕はアラタと星原ヒカルに助言をする。多分二人ともまだ分かってないから。セカンドワールドが外とは違うことに。

 

「それじゃあユノ。またね」

 

「うん!行くよ二人とも!」

 

「おう!またなレイ!フラン!」

 

「・・・・・・」

 

ユノに連れられて寮であるダック荘に向かう二人。

その後ろ姿を見つつ、僕らもダック荘へと帰った。途中の商店街で必要な物を買って。

 

 

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