ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 Ⅰ レイの居ない日常で

 

〜メアside〜

 

レーくんが世界を廻る旅に出てもう少しで半年近くが経とうとしていた。

私も一緒に行きたかったけど、さすがにお姉ちゃんやレーくんに止められた。

レーくんも数日毎に連絡をして来ることを条件に旅に出てるし。もっとも、数日毎と言う割にはほぼ毎日連絡が来るけど。

レーくんから送られてくる連絡には、世界各国の文化遺産やそれと一緒に写ったレーくん。各国の食べ物などと何かしら写真付きで来る。

うん。ズルい!!

私も一緒に観たかった〜!!!

レーくんからメッセージが来る度にそう返信してる。

だってそれ程までにズルいんだもん。

レーくんと一緒に観たかったし・・・・・・。

あ、メッセージだけじゃなくて、よくレーくんと電話したりしてる。キヨカちゃんやルナちゃんが一緒にいる時とか。

時差もあるから頻繁には出来ないけど。

で、レーくんが居ない日常の中、私はよくキヨカちゃんとルナちゃんのお見舞いに行ったり、キヨカちゃんのお兄さんのダイキさんにLBXを看てもらったり、メンテナンスやカスタマイズについて教えてもらったりと、レーくんがいなくて寂しいけど楽しい日々を過ごしていた。

そして今日。

私は今トキオシティにある大型ショッピングモール、トキオシアデパートに来ていた。

トキオシアデパートの地下には旧シーカー本部があり、私としても懐かしい場所だ。

滅多にトキオシアに来ないってのもあるんだけどね。

ちなみにここにいるのは私だけでなく、お姉ちゃんとカズ兄もいる。あと、バン兄も来る予定なんだけど・・・・・・。

 

「遅い」

 

「まーた、遅刻かアイツは」

 

どうやら遅れてるみたい。

お姉ちゃんとカズ兄の苦言に苦笑しながら時間を見る。

そろそろ時間なんだけどなぁ・・・・・・

何故私たちがここにいるのかと言うと、それは―――

 

「カズ!アミ!メア!」

 

「遅せぇよバン」

 

ようやくバン兄が来たようだ。

 

「ゴメン」

 

「レイが居ないとホント時間ギリギリなんだから」

 

「うグッ・・・・・・」

 

「あはは」

 

「レイか〜。アイツ今何処にいんだ?」

 

「確かイギリスだったかな。一昨日の夜レーくんからブリタニア時計台と一緒に写った写真が送られてきたから」

 

そう言って私はCCMを取り出してカズ兄に写真を見せる。

写真にはレーくんとブリタニア時計台が写っていた。

 

「イギリスって・・・・・・アイツ半年前からいろんな国行き過ぎだろ」

 

やれやれと言う感じのカズ兄。

 

「A国にB国、イタリア、フランス、オーストラリア、エジプトって、結構行ってるね」

 

私がむーっと言うと、お姉ちゃんはクスッと笑い。

 

「まぁまぁメア。さ、急ぎましょ。イベントフロア、もう人でいっぱいよ」

 

と言った。

確かに時間ギリギリもギリギリだ。

 

「うわっ!急がねぇと始まっちまうぜ!」

 

「ああ!」

 

私たちは急いでイベントフロアのある場所へ行く。

お姉ちゃんの言ったとおりイベントフロアはすでに沢山の人でいっぱいだった。

 

「どんなLBXが発表されるのかな?」

 

「拓也さん、いくら聞いても教えてくれなかったし」

 

「でも、ぜってぇ驚くって言ってたぞ」

 

私たちがここにいる理由は、今日トキオシアデパートのイベントフロアでタイニーオービット社の新製品発表会に参加するためだ。

ホントはキヨカちゃんやルナちゃんも誘われてたんだけど、キヨカちゃんは家の用事で、ルナちゃんは今日は経過観察のための病院に行っているためいない。

で、レーくんは海外を飛び回っているためもちろん不参加。

少ししてステージに深緑色のスーツを着た拓也さんが登壇し。

 

『お集まりの皆さん。大変お待たせいたしました』

 

拓也さんが喋り出すと、その頭上に巨大な拓也さんのホログラムが現れた。

 

『只今より、新製品発表会を始めさせていただきます。では、早速我がタイニーオービット社の新製品をご紹介させて頂きましょう。これが我が社の新製品LBX、[アキレス・ディード]です!!』

 

「え!アキレス!?」

 

拓也さんから発せられた単語に驚くバン兄。

それはもちろん、私もお姉ちゃんもカズ兄もだ。

白い布が被せられていた台をコンパニオンの二人が同時に、白い布を引き台の上に鎮座する一体のLBXと、そのLBXのアーマーフレームが収められた箱を露わにした。

顕になったLBXに向けてイベントフロアにいる記者たちが次々とカメラを切る。

そのLBXはアキレスの原型を残しつつ、色はバン兄のアキレスとは違い黒。白だったアキレスと逆に黒いアキレスだ。

 

『このアキレス・ディードは、我が社の主力商品として全世界に発売予定です』

 

「アキレスが全世界で発売!?」

 

「黒いアキレスか!」

 

「素敵!」

 

「凄い!」

 

私たちにとってアキレスは、とっても馴染み深いLBXなため嬉しさが半端ない。

ホログラムの拓也さんの周りには、ウインドウでアキレス・ディードについて表示されていた。

 

『アキレス・ディードは、過去に無い機動性を有し、更なる軽量化を成し遂げました。そして新搭載の小型ノズルで空中飛行も可能となっております。ご覧下さい』

 

拓也さんがCCMを操作すると、アキレス・ディードが収められていたクリアパネルが解除され、アキレス・ディードが宙に上がった。

 

「スゲェー!」

 

「うん!!」

 

これに興奮しないなんて有り得ない!

レーくんがいたら、レーくんもきっと興奮するはず!!

 

「アキレス・・・・・・」

 

「バンのはじめての機体だものね、アキレスは」

 

「レイがいたら涙流すかもな」

 

「ああ。俺にとっても、レイにとってもアキレスは大事な機体だならな」

 

アキレスはレーくんとバン兄のお父さんの山野博士がバン兄のために造り上げ、タイニーオービット社がアーマーフレームを作成した機体だ。

それを作り上げたのは今は亡き悠介さんで、きっとレーくんもアキレスが全世界に、皆の手に渡ることになり嬉しいはずだ。

そのまま拓也さんによる新製品発表会が続いて行き。

 

『―――以上で、本発表会のプログラムを終了いたします。みなさま、本日は誠にありがとうございました』

 

30分が過ぎたころには発表会が終わっていた。

 

「アキレス・ディードか〜」

 

「バン兄としては、嬉しい反面少し微妙な、複雑な感じじゃない?アキレスはバン兄だけのものだったんだから」

 

「そんなことないさ。むしろ逆に嬉しいよ。アキレスがみんなの物になるんだから」

 

私の皮肉めいた言葉にバン兄は逆に嬉しそうに言う。

 

「なんかバトルしたい気分だぜ!キタジマに寄ってくか!」

 

「ああ!」

 

「じゃあ私たちも寄って行きましょうかメア」

 

「うん!お姉ちゃん!」

 

「アキレス・・・・・・」

 

バン兄が歓喜の眼差しで展示されてるアキレス・ディードを観る。

その瞬間。

 

「え?」

 

「ん?」

 

私たちの眼に、アキレス・ディードの目が光り動き出したのが入った。

突然動き出したアキレス・ディードにコンパニオンの二人はもちろんのこと、イベントフロアにいる人全員が驚く。

アキレス・ディードは小型ノズルのジェット噴射で飛び、近くにあった展示スペースの屋根に着地した。

アキレス・ディードはそのまま右手に装備された銃で壇上を攻撃し始めた。

しかも攻撃は壇上だけではなく、さらに飛び周囲。四方八方に銃を乱射し始めたのだ。

 

「な、なに!?」

 

いきなりの事態に困惑する。

しかもトキオシアデパート全体から悲鳴が響き渡ってきたのだ。

イベントフロアから下の階を観ると、他のお客さんが悲鳴を上げて逃げ回っている姿があった。

なにより、大量のLBXが暴走している姿が見られた。

 

「どうなっているんだ一体?!」

 

「な、なんなの?!」

 

「これは!?」

 

まさかの事態にお姉ちゃんたちも困惑気味だ。

 

「とにかく、俺たちで動き回ってるLBXを抑えるぞ!」

 

「ええ!」

 

「うん!」

 

「おう!」

 

イベントフロアから出て近くで暴走して動いているLBXの元に向かう。

 

「オーディーン!」

 

「フェンリル!」

 

「パンドラ!」

 

「行くよ、アテナ!」

 

それぞれLBXを出撃させ一番近くにいるLBX。[デクー改]を攻撃する。

オーディーンとフェンリルが遠距離から狙撃するが、デクー改は機敏に避ける。

 

「お姉ちゃん!」

 

「ええ!」

 

お姉ちゃんのパンドラと私のアテナで連携して攻めていくが、デクー改は有り得ないほどの動きで私とお姉ちゃんの連携攻撃を避けた。

 

「あいつらこんなに高性能だった!?」

 

驚くお姉ちゃんに同感だ。

ここまで高性能じゃなかったはずだけど・・・・・・

アテナの細剣とパンドラの短剣で接近して攻撃し、飛び上がって避けたところをオーディーンとフェンリルの狙撃が当たり爆発した。

 

「LBXが人を襲うなんて・・・・・・」

 

「まさか、またイノベーターが?」

 

「けどイノベーターはあの後、警察や政府によって壊滅したってレイが言ってたじゃねぇか!」

 

「ああ。確かレイが警察官の紳羅さんたちがイノベーター関連の人は全員捕らえたって言ってたって」

 

「そう、よね・・・・・・」

 

「じゃあ、この状況って一体・・・・・・」

 

一体なにが起こっているのか全くわからない。

イノベーターは壊滅したって聞いてたのに。

そこに。

 

「みんな!怪我はないか?」

 

拓也さんが走ってやってきた。

 

「はい。でも拓也さん、これって一体」

 

「わからない」

 

拓也さんも状況が分かってないようで困惑している。

 

「とにかく、暴れてるLBXを止めなければ。アミはこのフロア。カズはこの上。メアはそのさらに上を。バンは下を頼む。少しでも数を減らすんだ」

 

「「「「はい!」」」」

 

拓也さんに指示されて私たちはそれぞれ移動する。

お姉ちゃんはこの階に。バン兄は下の階。カズ兄はひとつ上の。私はその上の階に向かう。

上の階に到達した私はすぐにアテナを出撃させる。

 

「行くよアテナ!」

 

辺にいるLBXはさっきのデクー改に、[デクー]、[インビット]、[アマゾネス]、[クノイチ]、[ウォーリアー]、[グラディエーター]、[クイーン]、[ブルド]、[オルテガ]、[タイタン]、[ムシャ]、[カブト]・・・・・・ともう数えるのが嫌になるほどいる。

私はアテナを遮蔽物で隠れながら操作する。

一対多。

さすがに厳しい。

もしレーくんがいたら何とかなったのかもしれないけど・・・・・・!!

 

「っく!」

 

遠距離系の銃にマシンガン、ランチャー、ミサイル。

近距離系の剣やハンマー、槍などもう武器は様々だ。

なんとか一撃で倒してるけど、ひとつ操作を誤ればコッチが殺られる!

 

「お姉ちゃんたちの方はどうなってるの!」

 

私のところでこんなんなら、お姉ちゃんやバン兄、カズ兄の方も同じだと思う。

さすがにこんな数を一人で相手出来るのはレーくんぐらいだ。

レーくんが本気でやれば恐らくだけど対処できると思う。

けど、今レーくんはいない。

キヨカちゃんやルナちゃんも。ダイキさんや郷田さんもいない。

ここにいるのは私一人。

なら、やれるだけのことはやるしかない!

ストライダーフレームの特徴である俊敏差を生かして動き回る。

 

「必殺ファンクション!【アタックファンクション!フラッシング・ペネトレイター!!】」

 

レーくんの使う必殺技と同じ、高威力のある突進系の必殺ファンクションを放つ。

彗星を彷彿とさせる突進で直線上のLBXを全て破壊する。

 

「ぐっ!」

 

必殺ファンクション発動後ほんの少しの技後硬直が解けると同時にその場から避け上にいる銃系を持つLBXを倒す。

だが、他方からも来るので避けるので精一杯。

 

「こんなのいつまでも持てないよ!」

 

苦言が漏れる。

相手の動きがどう考えても普通のに比べて高い。

こんなに高性能だったのかと何度も思いたくなる。

 

「必殺ファンクション!【アタックファンクション!ストームソード!!】」

 

細剣から発せられた剣の竜巻が周囲のLBXを引き込み切り刻む。

 

「まだ終わらないの・・・・・・?」

 

さすがに一人でのこの戦況を持つのはキツイ。

そう思った時。

 

「っ!」

 

突然目の前にアキレス・ディードが現れアテナを攻撃し始めた。

 

「アキレス・ディード!?」

 

咄嗟に反撃するが小型ノズルで空中を飛ぶアキレスディードにアテナは押され気味だ。

それに加えて他のLBXも襲ってくる。

さすがに持ち堪えられるはずもなく。

 

「っ!しまっ・・・・・・!!」

 

アキレス・ディードの銃から放たれた光弾がアテナに直撃し、立て続けに放たれたアキレス・ディードの光弾がアテナに被弾して、アテナがブレイクオーバー。破壊されてしまった。

 

「アテナっ!!―――っ!?」

 

アテナがアキレス・ディードに破壊され動揺したその隙に私の眼前にデクー改が現れ、デクー改が持っていたスプレーから何かを吹き付けられた。

 

「きゃアッ!!」

 

何かを噴霧され悲鳴をあげる。

何かを吹き付けられ、急に私に眠気が襲ってきた。

その場にドサッと倒れ、意識が朦朧とする中、レーくんに連絡を取ろうとCCMを操作しようとする。

が、操作してる中意識が無くなりその場に倒れる。

 

「レー・・・・・・くん・・・・・・」

 

最後にレーくんの名前を口にして私の意識は暗闇に落ちた。

 

 

 

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