ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 Ⅱ 反乱と出撃

 

〜バンside〜

 

トキオシアデパートで起きたLBXの暴走をなんとか退けた俺とヒロ。

ヒロとはここに来る前に近くの公園でLBXを通じて知り合った。

見た事ない、一目でレア物のLBXだと分かるLBXを持っていたのだが、取説を持ちながらだったから一目で初心者だと分かり、軽くレクチャーをしたのだ。

ヒロの助けもあり、暴走LBXは倒せたのだが、[アキレス・ディード]との戦闘で[オーディーン]が大破してしまった。

サングラスをかけた男からLBXの最新式バトルフィールドであるDエッグを投げ渡され、Dエッグを展開。

バトルフィールドにアキレス・ディードと俺のオーディーン。ヒロの[ペルセウス]が取り込まれ、アキレス・ディードとの戦いになったが、アキレス・ディードはオーディーンの必殺ファンクション【グングニル】に耐え、逆に必殺ファンクションでオーディーンをブレイクオーバーにしたのだ。

アキレス・ディードはそのままDエッグの外壁部の障壁に穴を開けて飛び去ってしまい、Dエッグのバトルフィールドが解除された。

大破されたオーディーンを悲壮しつつ回収してると、拓也さんがやってきた。

 

「バンっ!」

 

「拓也さん」

 

「暴走していたLBXは、トキオシアから居なくなったようだ」

 

「そうですか」

 

取り敢えずはなんとか撃退出来たようで安堵する。

 

「ん?キミは?」

 

「大空ヒロといいます」

 

「拓也さん、アミとカズ、メアは?!」

 

姿が見えない3人について拓也さんに尋ねる。

けど答えたのは拓也さんではなく―――

 

「君の友達はヤツらの手に落ちた」

 

さっきDエッグを渡してくれたサングラスを掛けた男だった。

 

「川村アミと川村メア。そして青島カズヤはヤツらに連れ去られたんだ」

 

「ヤツらって・・・・・・まさかイノベーターが!?」

 

まさかイノベーターの残党が俺たちに報復するために!?

そう思ったが、男の返しは。

 

「いや、そんな生易しいもんじゃない、今度の敵は」

 

「敵だと?」

 

イノベーターじゃない?

意味がわからずにいる所にいきなり爆発音と地響きが襲って来た。

 

「しまった・・・・・・!」

 

トキオシアデパートを出る男を追い掛ける。

ヒロと拓也さんも追いかけて来る。

男はトキオシアデパートの近くにあるビルに視線を向けた。

ビルの外壁部は炎に包まれ、黒煙が立ち上っていた。

 

「なんてことだ!」

 

「これもヤツらの仕業だ。新たなる闇が、世界を包もうとしている」

 

「どういうこと」

 

なにか知ってそうな男に問うと、急にノイズとひび割れたような音が走ったような音がトキオシアデパートのモニタースクリーンに流れた。

ノイズが収まると、スクリーンには仮面を被った人物が映し出された。

 

「誰だ?」

 

 

『地球上全ての人間たちに告ぐ。我々はディテクター。世界をこの手にいただくことにした』

 

 

「ディテクター・・・・・・」

 

仮面を被った人間。

恐らく男がそう宣告した。

ディテクター・・・・・・聞いたことない。

我々ということはディテクターというのは何らかの組織なのだろう。

 

 

『見よ。ダイソンビジネスセンターの惨状を。この一帯の都市機能は、ディテクターが支配した。これはお前たちに現実を突きつけるためのデモンストレーションに過ぎない。世界中に存在するLBXは、我々の意のままにすることが出来るのだ。今、世界はディテクターの手の中にある!』

 

 

仮面の男がそう告げるとスクリーンは元のトキオシアデパートのロゴに戻った。

 

「目的は世界征服・・・・・・なんて悪いヤツらなんでしょう!」

 

「キミは、あのディテクターについて何か知っているようだな」

 

「おっと。俺は味方だぜ。俺のコードネームは【コブラ】」

 

拓也さんの問いにコブラと言った男はニッと笑った。

 

「カッコイイ!コブラさんですか!」

 

「ふっ、コブラでいい」

 

「・・・・・・・・・・」

 

拓也さんはいまいち信用して無さそうだけど・・・・・・まぁ、俺も少し拓也さんと同じだ。

その後、拓也さんが車を持って来てトキオシアデパートの入口に止め、助手席部でコブラが持っていたアタッシュケースから端末を取り出し、何か操作し始めた。

キーボードの上のホロウインドウに様々な文字や図が表示される。

 

「何をする気だ?」

 

「まぁ、見てなって宇崎のダンナ」

 

「俺を知っているのか?」

 

「ああ」

 

驚く拓也さん。

コブラはそのままキーボードの操作を止め、俺たちの方を向き。

 

「お前は山野バン」

 

「ぇ」

 

「そして大空ヒロ」

 

「え」

 

と俺とヒロの名前を当てた。

拓也さんはタイニーオービットの社長だから知ってるとは思うけど、俺とヒロのことまで知ってるなんて・・・・・・

 

「お前がここにいるのは偶然じゃない。ヤツらと戦うために選ばれたんだ」

 

「っ!選ばれた?僕は選ばれた!!」

 

「??」

 

コブラの選ばれたという言葉に何故か興奮してるヒロ。

何故興奮しているのか疑問符が浮かぶ。

 

「そういう事だ。まず、この街をコントロールしているシステムが何処にあるのか逆探知するぞ。コイツなら大抵のブロックは破れる」

 

「アミとカズ、メアはディテクターに連れ去られたって言ってましたよね?」

 

「ああ」

 

「何故あの3人が?」

 

俺の質問にコブラは。

 

「ヤツらは、世界中から優れたLBXプレイヤーを誘拐しているんだ」

 

と答えた。

世界中から優れたLBXプレイヤーを誘拐!?

 

「え、なんのために?!」

 

「それは分からん。ディテクターはお前たちが想像出来ない強大な組織だ。世界各国で同時テロを引き起こせるぐらいにな」

 

「そんな・・・・・・」

 

それが事実からイノベーターより強大な相手ということだ。

つまり今度は―――

 

「これは世界・・・・・・。いや、地球という惑星の運命を左右する戦いになる」

 

俺が思ったことと同じことをコブラが口にする。

運命を左右する戦い・・・・・・その一言に緊張が走る。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「怖いか?」

 

震えるヒロにコブラが尋ねる。

 

「いえ。怖くなんかありません。さっき言ってくれましたよね。僕は選ばれたって?」

 

「ああ」

 

「やります!僕戦います!世界征服を企む悪を、許すことは出来ません!!」

 

「ヒロ・・・・・・」

 

ヒロの熱意に少し押される。

まるでヒーローを目指すような感じに見える。

そう思ってると、コブラの操作していた端末からピコンっと音が鳴った。

 

「ようし、逆探知完了だ」

 

コブラが操作をすると、ウインドウにある場所が映し出された。

その場所は―――

 

「おいおい、マジかよ」

 

「この場所って・・・・・・トキオシアデパートじゃないですか!」

 

そう。今まさに、目の前にあるトキオシアデパートだったのだ。

 

「ああ、間違いない。ここの地下に強い電磁波を探知した。どうやら、大型のコンピュータシステムが制圧されているようだな」

 

続けてコブラが操作をし、さらに画面が詳しくなる。

表示されたその場所を観て俺と拓也さんは目を見開く。

何せその場所は俺と拓也さんにとって縁がある場所だったからだ。

 

「っ!拓也さん、ここって!」

 

「ああ、旧シーカー本部だ」

 

トキオシアデパートの地下にある初代のシーカー本部。

イノベーター事件の際にイノベーターに制圧され、本部をタイニーオービットに移して以降放置されていた、最初のシーカー本部。

 

「中は無人だが、敵LBXが待ち構えているぞ」

 

旧シーカー本部内部の地図を映すウインドウにはあちこちに赤い点が着いていた。

それは全てLBXの反応を示すものであり、数は10以上いる。

 

「僕、ペルセウスで戦います」

 

「ヒロ・・・・・・だが、俺は・・・・・・」

 

俺も戦いたいが、俺のLBXオーディーンはさっきアキレス・ディードに・・・・・・

何も出来ずに打ちのめされていると。

 

「おっと、忘れてた。ほら」

 

コブラが俺に一つの箱を手渡してきた。

箱には見た事ないLBXが画かれており、エルシオン、と左上に表記されていた。

 

「これは・・・・・・?」

 

「お前の新たなLBX、[エルシオン]だ」

 

「エルシオン?」

 

「山野博士が、お前のために用意した」

 

「父さんが?」

 

まさかの父さんが用意したLBXに驚く。

けど、なんで父さんが俺のために?

 

「父さんって・・・・・・?」

 

「山野淳一郎博士。LBXの生みの親だ」

 

「ペルセウスも博士の作品だ」

 

「え!?」

 

ヒロのペルセウスも父さんの作ったLBX!?

何故父さんのLBXをヒロが持っているのかも不思議だが・・・・・・

 

「バンさんのお父さんってそんなに凄い人だったんですね。感動です!」

 

ヒロが感動の眼差しを向けてくるが、微妙な気持ちだ。

凄いのは父さんであって、俺じゃないからなぁ・・・・・・

苦笑を浮かべると、拓也さんがコブラに聞く。

 

「キミは、山野博士の指示を受けて行動しているのか?」

 

「ああ。こう見えても俺は山野博士の有能なスタッフなんだぜ!」

 

「でも、父さんは海外でLBXの研究をしているはずだけど」

 

半年前に父さんは家を出て海外に渡った。

その際LBXの研究をしてるって連絡が来たんだけど?

 

「表向きはな。でも、ディテクターの動きに勘づいた博士は密かに戦う準備を進めてたんだよ」

 

「そうだったのか・・・・・・」

 

だからエルシオンを俺に・・・・・・

コブラの言葉に父さんの意図が分かり納得する。

 

「で、この俺がお前たちと接触する重要任務を託されたのさ」

 

「ああ!そう言えば僕のセンシマン、貴方が持っているんじゃないんですか!!?」

 

「おおっと。またまた忘れてた」

 

コブラはそう言うとアタッシュケースの底からひとつのフィギュアを取り出した。

その瞬間。

 

「うあぁぁぁっ!!」

 

「な、なんだ!?」

 

「素手で触ってます!レア物なのに!!」

 

「お、おお、そうか・・・・・・悪かった・・・・・・」

 

「もう」

 

な、なんか分かんないけど、ヒロが猛烈に怒っているのはわかった。

ヒロはコブラからそのフィギュアを慌てて取ると、ハンカチであちこち拭いている。

そんなにレアな物なの・・・・・・?

ちょっとギョッとするが、俺は拓也さんに大破したオーディーンを慎重に渡す。

 

「拓也さん、オーディーンの修理お願いします」

 

「うん。分かった」

 

拓也さんも丁寧に受け取り、オーディーンを仕舞う。

オーディーンの事は拓也さんに任せれば大丈夫だ。

車のリア部を開け、カーゴスペースでエルシオンを作り始める。

 

「あれ、ペルセウスの時とは違う」

 

「LBXはコアスケルトンにアーマーフレームを装着して出来上がる。ペルセウスは完成品の状態だったんだ」

 

「そうなんですか」

 

LBXを始めたばかりのヒロは知らなくても仕方ないか。

俺はコブラから借りた工具でエルシオンのアーマーフレームをコアスケルトンに装着していく。

既に何度かしているため15分近くで終わらせられた。

エルシオンのアーマーフレームを全部つけ終え、槍と盾を装備させ自身のCCMと同期させる。

 

「よし。行くぞ!」

 

「はい!」

 

「気をつけるんだぞ」

 

「はい」

 

暗視装置とスピーカーとマイクの着いたゴーグルを装備して旧シーカー本部へと向かう。

行く途中ヒロがトキオシアデパートの中に入ってしまったので、前回使った駐車場からではなく、デパートの中からコブラのナビゲーションの元、向かうことになった。

どうやらヒロは自分の荷物を取りに行きたかったらしい。その中にさっきのレア物のフィギュアってやつを入れてたし。そんなに大切なものなんだ。

旧シーカー本部へと向かう中、スピーカーから拓也さんとコブラの言い争う声が聞こえたが・・・・・・

こういう時レイが居てくれたら一喝してくれるんだけど・・・・・・

正直そう思ってしまい、兄として情けないと言うか不甲斐ないというか・・・・・・

ま、まぁ、俺レイに口喧嘩で勝ったことないし、レイの言う事っていつも正論だからなぁ・・・・・・

何より怒らせると母さんより怖い。

それで何度父さんと一緒に怒られたか・・・・・・

思い出すだけでぶるっと身震いする。

しかも、レイのLBXの操作スキルは俺より優れてる。

 

「?バンさん、顔が青いですけどどうしたんですか?」

 

「い、いや。なんでもない」

 

旧シーカー本部へ向かう通路を歩く中ヒロが不思議そうに俺を見る。

そのまま旧シーカー本部へと繋がるギミックを解いたりして旧シーカー本部の地下にたどり着いた。

床下の隠し扉からこっそり中に入ると、中央の台に以前来た時は無かった、大きな機械が置かれていた。

すぐにそれがLBXをコントロールしている物だと判り対処しようとするが、中にいたLBXがその機械を護ろうと襲ってきた。

襲って来たLBXを撃破し機械を壊そうとするが、さらに新手のLBX[Gレックス]が2機、そしてアキレス・ディードが立ちふさがった。

Gレックスを見るとLEXのことを思い出すが、今は目の前の敵に集中する。

ヒロとともにGレックスを相手にしていたが、さすがに強い。

そこへ何処からか赤いデクーが飛び込んできて、Gレックスを瞬殺の如く撃破した。

あそこまで高性能のデクーは見たことが無い。

驚いている隙にアキレス・ディードは閃光弾を放ち、その場から姿を消した。

追い掛けようとヒロが言うが、俺はまずこの装置をどうにかしようと告げた。

装置をどうにかしようとした時、またしてもあの赤いデクーが自身の武器を装置に投げ付け、装置を破壊した。

突然のことに唖然としていると、俺たちの入って来た所から誰かが入ってきた音がした。

見ると、そこには一人の男が立っていた。

 

「そのデクーは、キミが?」

 

「そうさ」

 

俺の問い掛けに男は肯定した。

あんな高性能なデクーをカスタマイズして操作出来るとは、俺は一目でこの人物が只者じゃないのを察した。

 

「僕たちを助けてくれたんですね、ありがとうございます!」

 

「ふっ。勘違いしないで欲しいな。悪いけど俺は、山野バン、君を倒すために来たんだ」

 

「なにっ?!」

 

俺を倒すために来た!?

意味が分からずにいる俺とヒロに。

 

「俺の名前は、風摩キリト。山野バン、君にはガッカリしたよ。この程度で苦戦するなんて、評判程ではないのかな?」

 

「っ」

 

「これなら、彼の方が強かったね」

 

「どういう意味だ?」

 

彼?誰のことを指してるんだ?

男。風摩キリトの口振りから俺の知っている人物だと予想がつく。

だが、誰なのか分からない。

 

「まぁ、いい。次会った時君を倒す」

 

俺の質問に対する回答をせず、風摩キリトは入って来た床下の扉へ飛び入って消えた。

 

「風摩キリト・・・・・・」

 

「不思議な人ですね・・・・・・」

 

正体不明のLBXプレイヤー。

只者ではないことは分かるが・・・・・・

彼が何者なのか問答していると。

 

「バン!ヒロ!無事か!」

 

本部の扉から拓也さんとコブラが走って入っきた。

 

「はい、無事です」

 

「今のアイツ、何者だ」

 

「バンを倒すと言っていたな」

 

「はい。でも、どういうことでしょうか」

 

コブラと拓也さんの疑問に、俺も疑問で答えた。

何故俺を・・・・・・

それに、彼って・・・・・・

俺より優れてる。俺の関係者で、優れてるLBXプレイヤーなら二人しか思い浮かばない。

二人とも今日本にはいないが・・・・・・

そう思っていると。

 

「僕が思うに、彼は最終的には味方になると思いますよ。きっとそうです!センシマンにもそういう人いましたから」

 

ヒロがそう言った。

 

「ま、取り敢えずよくやった」

 

「そうか。僕たちトキオシティの危機を救ったんですよね!」

 

「ああ!」

 

風摩キリトの事は気になるが、今はとにかくトキオシティの危機を救えたことを良かったとしよう。

その後、拓也さんが再びシーカーを復活させると宣言。

すぐさま、タイニーオービット社にいる結城さんや里奈さんに連絡を取り何人かスタッフを送って貰うことになった。

だが、ここのシステムを完全復旧させるにはかなりの時間が掛かるらしい。

俺も父さんに連絡を取るが―――

 

「ダメだ。出ない」

 

何度連絡しても出ない。

 

「山野博士はすでにディテクターとの戦いに備えている。当分連絡は無理だろうな」

 

「そう、ですか」

 

コブラに言われ少し気落ちする。

父さんが無事か心配だ。

 

「博士からの伝言だ。安全な場所にいるから心配するなよってさ」

 

コブラからの父さんの伝言を聞き少し安堵する。

けど、父さんたまに無茶をするからなぁ。

 

「コブラ、ディテクターの事はどのくらい知っているんだ?」

 

「ああ、そのことか・・・・・・」

 

拓也さんの問いにコブラは少し沈黙する。

俺とヒロはゴクリと唾を飲み、緊張が走る。

 

「実は―――まだ、ほとんどわかってないのよ」

 

「え!?」

 

「は?!」

 

コブラの答えに間が抜ける。

いや、全く分かってないって・・・・・・

 

「まぁ、山野博士ですらヤツらが何者か把握出来ちゃいないんだよ」

 

「つまり、正体不明な敵って事ですか?」

 

「ディテクターについて分かっているのは、世界的な巨大テロ組織だってこと。何かの目的のために世界中から有能なLBXプレイヤーを集めていること」

 

「カズ・・・アミ・・・メア・・・・・・」

 

連れ去られた3人が心配になる。

 

「そして世界中のLBXをヤツらは思うがままに操ることが出来るということ。今俺たちが把握しているのはこれくらいだな」

 

「あの、ディテクターはどうやって世界中のLBXを操るんですか?」

 

確かに、ヒロの質問は気になる。

普通LBXを操ることなんて出来ないはずなんだけど。

 

「ブレインジャックだ」

 

「ブレインジャック?」

 

「CCMの電波を遮断して、LBXのコントロールを乗っ取るんだ」

 

「っ」

 

CCMからの電波を遮断して、コントロールを乗っ取る・・・・・・そんなの対処のしようがない!

なにより父さんが作ったLBXを勝手に操ってこんなことするなんて。

俺はコブラの言葉に歯痒くなった。

 

「じゃあ敵はなんで僕とバンさんのLBXをブレインジャックしないんですか?」

 

確かに。

ヒロの疑問で俺はそれも不思議に思った。

もし敵が全てのLBXの操作をコントロールすることが出来るのなら俺とヒロのLBXもブレインジャックできたはず。

ヒロの問いにコブラは。

 

「できないからさ」

 

と返した。

 

「え?」

 

「できないって・・・・・・どうして?」

 

「お前たちのLBXには【Mチップ】が搭載されていないからだ」

 

「Mチップだと?!」

 

「なんですかそれ?」

 

「LBXの管理組織、オメガダインによって商品として出荷される全てのLBXに、搭載が義務付けられた回路のことだ。MチップにはLBXの識別と、周囲への安全性を保つため稼働しているLBXを強制的に停止させる役割を持つんだ」

 

ヒロへ拓也さんが説明する。

まさかMチップを媒介してLBXをコントロールするなんて。

 

「山野博士によると、ディテクターはそのMチップを悪用してLBXを操っているって事だ」

 

「そんなことになったら世界中のLBXが敵になっちゃうじゃないですか!!?」

 

ヒロの言う通りだ。

世界中のLBXはMチップを搭載している。

もし世界中のLBXを一斉にコントロールなんてされる事があれば、俺たちではもう対処もできない。

 

「ああ。だが、お前たちのLBXは山野博士のハンドメイドで出来てる。Mチップを積んでいない。だから、ブレインジャックされる心配はない」

 

「それってつまり、ディテクターから世界を守るために作られたLBXを僕とバンさんが託されたってことになりますよね!」

 

「ああ」

 

「しかも、立ち向かうのは得体の知れない悪。バンさん!僕、燃えてきましたよ!!」

 

「俺たち2人だけのLBXが戦える・・・・・・」

 

ヒロ程じゃないが、気が引き締まる。

父さんが俺のために、戦う武器をくれた・・・・・・。

そして、戦えるのは俺とヒロだけ―――

 

「いいや、4人だ」

 

「「え?」」

 

コブラが俺の言葉を否定して言う。

 

「俺が山野博士から託されたLBXは3体ある。1体目バンのエルシオン。2体目はヒロのペルセウス。そして最後の3体目は、明日開かれるシブヤタウン武闘大会の賞品にしろって言われたんだよ」

 

「シブヤタウン武闘大会?」

 

「ああ」

 

武闘大会ということは何かの格闘技の大会なのだろうけど・・・・・・

 

「確か、女子無差別級の空手大会が開催されるはずだ」

 

「か、空手大会、ですか」

 

「ああ」

 

拓也さんの言葉にヒロが微妙な表情を浮かべる。

しかも女子無差別級ということは、もう一人は女子だということになる。どんな人なのか気になるところだ。

 

「あれ?でも、さっき4人って言ってましたよね?ここにあるのはエルシオンとペルセウス。そして明日の賞品のLBX・・・・・・。じゃあ、最後の1体って・・・・・・?」

 

「それはもう渡されている」

 

ヒロの問いにコブラが即答で返した。

 

「え?」

 

「何?」

 

「渡されてるって・・・・・・」

 

コブラの言葉に俺、拓也さん、ヒロがコブラを見る。

 

「最後の1体は今回の事件が始まる前に、すでに渡されているのさ」

 

「渡されてるって、一体誰に渡したんだ?」

 

「―――山野レイ」

 

「っ!?レイに!?」

 

「レイだと!?」

 

コブラの告げた、4人目に俺と拓也さんは驚く。

まさかレイにも渡されているとは思わなかったのだ。

 

「山野レイって?」

 

「あ、ああ。レイは俺の弟なんだ」

 

「えっ!!?」

 

ヒロにレイについて話す。

 

「だが、レイは今海外にいるはずだ。一体何時受け取ったんだ?」

 

「レイには山野博士が直々に渡したのさ」

 

「え!?」

 

この数分だけで何度目かの驚き。

父さんがレイに直々に渡した・・・・・・

 

「レイはすでに、山野博士の指示を受けて行動している」

 

「じゃあ、半年前から世界中を飛び回ってるのって・・・・・・」

 

「いや、それは違う。レイが山野博士から今回のことを。ディテクターについて聞かされたのは1週間ほど前の事だ」

 

1週間も前からレイは動いていた。

我が弟ながら、相変わらず行動が速い。

イノベーターの時も動きが早く、単独で情報収集したりしていたし。

 

「まぁ、その時レイの手料理を食べたが、アイツ本当に10歳か?」

 

「あー・・・・・・」

 

コブラの疑問に俺と拓也さんはなんとも言えない表情を浮かべた。

レイってたまに俺より歳上じゃない?って思うことがある。

料理は母さんから習っていて上手いし、家事・炊事・洗濯も出来るし。

なにより、怒らせるととにかくヤバい。

一体何度レイを怒らせたことがあるか・・・・・・。

拓也さんも怒られた事があるため、ぶるっと身震いしていた。

 

「んなわけで、山野博士制のハンドメイドLBXは4体。バンのエルシオンにヒロのペルセウス。シブヤタウン武闘大会の賞品。そしてレイのLBXだ」

 

「レイはコッチに来れないんですか?」

 

「しばらくは無理だな。アイツは山野博士の指示で動いているから」

 

「そうですか」

 

レイのことが心配になるが・・・・・・

 

「とにかく、明日またここに集まってくれ。明日最後の一人が決まるからな」

 

「はい」

 

「分かりました」

 

 

 

 

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