ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 Ⅲ 選ばれた戦士

 

〜バンside〜

 

「―――ダメだ・・・・・・父さんだけじゃなくてレイにも繋がらない」

 

トキオシティの危機を救い、コブラから[エルシオン]について聞かされた後、明日再びここに集まってからシブヤタウンで開かれる武闘大会に行く事になった。

ヒロはすでに帰宅し、旧シーカー本部に残ったのは俺と拓也さん、コブラだけになった。

もうそろそろで結城さんや里奈さんが来てくれると思うけど。

 

「アイツはアイツで忙しいみたいだからな。元々アイツは訳があって世界を巡ってるようだし」

 

「え?」

 

そう言えば、レイが世界を旅する理由聞いてない気がする。

ちょっと見聞を深めに。自分の眼で世界を見てくるって言ってたけど・・・・・・

ん?いや、ちょっと待とうか。

今更だけど、レイって10歳だよね?

サバ読んでないよね!?

4歳も年下の弟に俺は疑問を感じずにはいられなかった。

ま、まぁ、イノベーター事件の後も何かと忙しく動いてたからなぁレイ。

 

「コブラ、レイは今どこにいる?」

 

「確か今はイギリスにいんじゃなかったか?」

 

拓也さんの問いにコブラが右後頭部をガリガリと掻きながら思い出しながら言う。

 

「レイなら一昨日まではイギリスにいたそうです。メアが写真と一緒に連絡を貰っていたので」

 

「そうか・・・・・・」

 

時差を考えるとすでにイギリスにはいない可能性もある。

何より、父さんの指示で動いているなら連絡も取りづらいはずだ。

母さんなら解るかもしれないけど。

 

「レイのことも心配だが、今はまずコチラの方を優先しよう」

 

拓也さんは旧シーカー本部の止めていたシステムをあらかた復旧させる。

そこに。

 

「社長、お待たせしました!」

 

結城さんがシーカーのオペレーターたちとともにやってきた。

 

「すまないが早速復旧を頼む。出来次第、破壊された装置の解析を行う」

 

「分かりました!」

 

拓也さんの指示で結城さんたちがそれぞれ動き出す。

 

「八神にも連絡をしておこう」

 

「え、八神さんにもですか?」

 

「ああ。アイツは今財前総理直属のエージェントだからな」

 

「そうなんですか・・・・・・」

 

あの一件の後、イノベーターに与していた人全ては何かしら処罰を受けている。

それはもちろん八神さんたちも例外ではない、とレイから聞いていた。

けど、まさか八神さんが財前総理直属のエージェントになってるなんて。

 

「バン、明日は頼んだぞ」

 

「はい!」

 

そうして激動の一日が終わり翌日、俺とヒロ、コブラはシブヤタウンにあるシブヤ武闘会館にいた。

武闘会館で行われた武闘大会を観た俺は、最後の一人が誰なのか見た。

 

「花咲ラン・・・・・・あの子が3人め・・・・・・」

 

今まさに表彰式が行われ、LBXのパッケージを持って喜んでいる赤髪の少女。

 

「コブラ、アレが父さんの・・・・・・」

 

「ああ。彼女が3人めだ」

 

父さんからLBXを受け取ったコブラが言うなら間違いないのだろう。

LBXのパッケージを遠目から視る。

LBXの名前は[ミネルバ]と書かれ、描かれている武装はクロー系のナックル。

近接格闘系のLBXだと言うことが解る。

 

「さて、3人めも分かったことだし、さっそく勧誘に行くぞ」

 

「はい!」

 

「ああ」

 

コブラの後を付いていき俺とヒロは、早速3人めになった花咲ランに会いに行くことになった。

その後、何故かディテクターのLBXと戦っていたランとその親友を助けに入りランと共にこれを撃退。

その際[アキレス・ディード]が[オーディーン]や[アキレス]と同じく特殊モードを発動させた。

特殊モード発動時にアキレス・ディードは赤紫色に発光し、機体性能もオーディーンらと同様に上昇。

3対1だったのに軽くあしらわれ、アキレス・ディードは逃走。

まさか特殊モードが搭載されているとは思わず驚愕した。

特殊モードは短時間ではあるが、機体性能が数倍以上になる。

実際にアキレスの【Vモード】やオーディーンの【エクストリームモード】を使っていたからこそ分かる。

アキレス・ディードが逃走し、ディテクターを退けた俺たちはランを仲間に引き入れることに成功し、そのまま迎えに来た拓也さんの車で、トキオシアの地下にあるシーカー本部へ向かった。

 

「本部の機能は取り敢えず回復したわ。本格稼働は、まだ先になりそうだけど」

 

シーカー本部に入り、本部にいた里奈さんが拓也さんに告げる。

 

「そうか」

 

「カズとアミ、メアの行方は分かったんですか?」

 

「それは結城君が調査中よ」

 

里奈さんに訪ねるが、まだ分からないようだった。

3人の安否が心配になる。

 

「うおぉぉ!カッコイイ!!」

 

「だんだん秘密基地ぽくっなって来ましたね!」

 

「すっげー!!」

 

「ランさん!僕たち3人の勇者はこれから世界を救うんです!正しくRPGですよ!!」

 

「世界を救う勇者?ヒロ、お前面白いやつだな!これから頑張ろうな!!」

 

「はい!」

 

ヒロとランは子供のようにはしゃいでる。

いや、まぁ、俺も拓也さんたちから見たらまだまだ子供なんだけどな?

ヒロとランもたぶん俺とひとつしか歳離れてはないと思うし。

 

「これで山野博士のLBXを操る4人のプレイヤーがそろったな。いや、アイツはすでに動き出してるからここにいる3人か?」

 

4人。

俺のエルシオンに、ヒロの[ペルセウス]、ランのミネルバ。そしてここにいない、海外で行動しているレイ。

そう言えばレイのLBXどんなのか知らないな・・・・・・

そう思ってると、拓也さんがコブラに。

 

「コブラ、バンとレイの2人はともかく、なんでこの2人が選ばれたんだ?」

 

と訪ねた。

確かに俺もそれは気になった。

なんでこの2人が選ばれたのか。

昨日からLBXを始めた初心者のヒロに、俺に憧れて1年前から始めたと言うラン。

選ばれる要素がなんなのか分からない。

確かに2人とも俺の予想を超えた実力を兼ね備えているとは思うけど。

 

「ヒロはトキオシアのゲームマシンでの反射神経と精度の高い、緻密な動きを評価され、ランは武闘大会で身体能力の格闘センスの高さを評価された」

 

コブラの説明を聞き納得する。

たしかにシーカー本部がディテクターのLBXに占拠され、奪還した際のヒロの反射神経や精度の高い緻密な動きを看てる。

始めたばかり故に荒いところもあるけど、少しずつ無くなり動きがスムーズになっている。

ランは武闘大会で観たようにLBXの動きを、自身のセンスと重ねていて戦闘能力が高い。

 

「ダンナもLBXの操作は子どもの方が優れてるって知ってるだろ?四の五の言わずにアイツらを信じてみようぜ」

 

「ふっ。そうだな」

 

拓也さんが信じるなら、俺も信じてみる。

正直まだ不安なところはあるけど・・・・・・

はしゃいでる2人を見てそう感じてると。

 

「社長!カズ君とアミ君、メア君のCCM反応が出ました!」

 

結城さんが告げてきた。

 

「えっ!?」

 

結城さんのいるところに行き、端末の画面に表示されてるモニターを見る。

モニターには、アミたち3人のCCMの反応と、右下に980k.p.hが表示されていた。

モニターに表示された3人CCMの反応の場所を見て俺は驚いた。

なにせ反応が示している場所は日本国内ではなく太平洋上空なのだから。

しかも恐らく。

 

「この移動速度・・・・・・飛行機に乗せられているってことか!?」

 

「どこに向かっているのでしょうか」

 

「このルートだと恐らくA国だろう」

 

「拓也さん!すぐに助けに行きましょう!」

 

3人の向かってる場所が分かった。

ならすぐに行けば!

 

「これは・・・・・・!」

 

「「「「っ!!」」」」

 

「反応が、消失しました・・・・・・」

 

「カズ・・・アミ・・・メア・・・・・・」

 

「どうやら気づかれたようだな」

 

気づかれたようで3人のCCMの反応は消失してしまった。

 

「拓也さん」

 

「心配するな。ヤツらはアミとメア、カズを必要としている。手荒な真似はしないだろう」

 

「それに、行先は分かったわ」

 

「A国。そこにディテクターの本拠地があるんですね」

 

「よし、みんなすぐに渡航準備をするんだ。出発は明日だ」

 

拓也さんに言われ俺とヒロ、ランはすぐさま自宅に帰り親に説明の後、渡航準備に入った。

家に着き、母さんに説明する。

 

「それじゃあ、アミちゃんとメアちゃん、カズ君がA国に?」

 

「だから行かなくちゃいけないんだ。3人を助けるために」

 

母さんは静かに俺を見る。

 

「それに見たよね、母さんも。ディテクターはLBXを使って世界を支配しようとしている。父さんは、前からそれを察知していて密かに戦う準備を進めていたんだ」

 

「だからこのエルシオンをバンに託して、レイももう動いて・・・・・・」

 

レイのことも話した。

どうやらレイはまだ話していなかったようだ。

 

「わかったわ。行ってらっしゃい、バン」

 

「母さん」

 

「それじゃ、ご飯にしましょうか」

 

「ありがとう母さん、俺父さんと戦う。LBXを守るために。カズとアミ、メアを助け出すために」

 

LBXを。そして3人を助けることを胸に抱き、俺は決意を固めた。

 

〜バンside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

 

『―――日本のトキオシアで発生した謎のLBXの暴走により、トキオシア空港は全便欠航でしたが、現在は一部の便が再開しています。また、ディテクターと名乗るの男の声明に日本の財前総理は、"断じてテロには屈さない"と声明を公表しており、ディテクターへの調査を進めています。次に―――』

 

 

「ついに動き出したんだ、ディテクター」

 

フランスのホテルの一室で僕はホテルの室内に取り付けられたテレビで日本で起こったニュースの速報を観ていた。

ニュースには日本でついに起こったディテクターの事件が。

LBXの暴走事件が連日連夜放送されていた。

 

「一旦日本に帰った方がいいかな・・・・・・」

 

メアや兄さん、アミ姉、カズ兄たちが心配だ。

事件があった日は丁度トキオシアデパートでタイニーオービット社の新製品発表会が行われる日だった。

しかもメアや兄さんたちは観に行くって連絡が来てたし。

てか僕も滅茶苦茶観たかった新製品!

拓也さんいくら聞いても教えてくれなかったし!!

聞けばビックリするぞ、とは言っていたけど、帰国したくてもまだ出来なかったし。

メアに聞けばいいかな!

そう思ってメアへ連絡を取る。

現在のフランスの時刻は15時。日本との時差は7時間のため、今の日本の時間は22時だ。

たぶんまだ起きてるとは思うけど・・・・・・

 

「あれ?」

 

連絡しようとしてそこで少しあれ?っと思った。

何時もならもう連絡してきてもいいはずなのに、今日はまだ無い。

いや、まあ、いつも連絡してるってわけじゃないけど、発表会どんなのだったか連絡するね!って言ってたのに。

あれ?と思っていると。

 

「コブラ?」

 

父さんの助手にしてエージェントであるコードネーム、コブラが連絡を寄越してきた。

確か今コブラは父さんの指示で日本にいるはずだけど?

兄さんとあと2人に父さんのLBXを渡すために。

 

「もしもし?」

 

不思議がりながら連絡を繋げる。

 

『ようやく繋がったぜ!』

 

「?」

 

なんか焦ってるけどなんで?

モニター越しに映るコブラ。

それに拓也さんと里奈さん。

って、あれ?

3人が写ってる場所を観てポカンとなる。

何せ、その場所はすでに使われなくなった場所だからだ。

 

「あれ、なんで旧シーカー本部が稼働してるの?ってか、なんで拓也さんと里奈さんも映ってるの!?」

 

驚く僕にコブラたちは真剣な顔だ。

それを見て何かあったと分かり驚きから冷静に意識を戻す。

 

「何があったのコブラ」

 

僕の問いに答えたのはコブラではなく、拓也さんだった。

 

『レイ。いいか、落ち着いてよく聞け』

 

「ん?」

 

『アミとメア、カズがディテクターに拐われた』

 

「っ!?」

 

拓也さんの言葉を聞きガタンっと大きな音を立てて椅子から立ち上がる。

 

「コブラ、兄さんは?」

 

『バンなら無事だ。無事に博士から預かったエルシオンを渡した』

 

「そう」

 

取り敢えず父さんがコブラに託した兄さんの新型機は渡せたようだ。

つまりそれは兄さんが無事だということ。

 

「拓也さん、ディテクターに拐われたたのはメアとアミ姉、カズ兄の3人だけ?」

 

『ああ。昨日トキオシアデパートでウチの新製品発表会があったのは知ってるだろ?』

 

「うん」

 

『その際、ウチの新製品LBXアキレス・ディードを筆頭に大量のLBXがデパート内を暴走。その対処にそれぞれ当たっていたアミたちが・・・・・・』

 

「・・・・・・」

 

アキレス・ディード。

それが拓也さんの話していた新製品LBXで、ビックリするLBX。

アキレス。

まさか僕と兄さんにとって思い出深いLBXが敵に落ちるなんて・・・・・・

しかも、筆頭・・・・・・

 

『すまない。俺がもう少し注意していれば』

 

「拓也さんのせいじゃない。相手が1枚上をいっていただけだ」

 

そう言うが右手の握り拳は血が出そうになるほど握られている。

 

「里奈さん、ルナとかは?」

 

『あの場にいなかったルナやキヨカちゃん、郷田君、仙道君たちは無事を確認しているわ』

 

「そう」

 

つまり連れ去られたのはトキオシアデパートにいたメア、アミ姉、カズ兄のみ。

 

『詳細なデータを今から送る。確認してくれ』

 

「了解」

 

コブラに言われ、すぐさま端末に詳細なデータが送られる。

データでは、トキオシアデパートで暴走したLBXを操っていたのは、旧シーカー本部に設置された大型コンピューター装置からだそうだ。

ディテクターの使うLBXを操る技術、ブレインジャックについては父さんからすでに聞いている。

 

「なるどね・・・・・・だから旧シーカー本部が稼働してるわけか」

 

『そういう事だ』

 

ようやく納得がいった。

何故今旧シーカー本部が再稼働したのか。

 

「でも、僕はまだそっちに合流出来ないよ?」

 

父さんからの指示と僕のやるべき事でまだ合流出来そうにない。

 

『分かってる。そっちはそっちで気をつけてくれ』

 

「了解。それで、メアたちはどこに拐われたの?」

 

『A国だ』

 

「A国?」

 

まさかの海外に拐われた。

つまり、兄さんたちもA国に向かう。

 

『A国にある、ネオ・インターナショナル・コズミック・セクション。通称、NICSに協力をお願いするつもりだ』

 

「に、NICS?」

 

インターナショナルは国際。コズミックは確か宇宙って意味だったような気がする。

 

『NICSに行けばなにか手がかりが掴めるかもしれないからな』

 

「そう」

 

『レイも行けるならNICSに行ってくれ』

 

「分かった」

 

『今ディテクターに乗っ取られたコンピューターを探索する探査プログラムと、コンピューターを正常化するワクチンプログラムを作成している。出来次第レイにも送る』

 

「助かる」

 

恐らく僕も父さんの指示でディテクターの操る暴走LBXと戦うことになるだろう。

そのための対策として助かる次第だ。

 

『何かあったら連絡する。お前も気をつけてくれ』

 

「うん」

 

『そんで今、お前さんは何処にいんだ?』

 

コブラの問いに窓から見える、今いるフランスを象徴する建造物を映す。

 

『それは【リュテティア塔】・・・・・・フランスか』

 

「正解」

 

フランスのルテティアにある電波塔リュテティア塔。

リュテティア塔は観光地としても有名で、A国の通信衛星パラダイスと地上との交信を繋げる役割も持っているらしい。

 

「コブラ、兄さんたちをお願いね」

 

『おう、任せとけ』

 

「拓也さん、里奈さん、そっちはお願い」

 

『ああ』

 

『任せて。レイくんも気をつけて。貴方に何かあったらルナが悲しむから』

 

「うん。じゃあ」

 

コブラとの通信を切り、送られてきたデータを見る。

データには兄さんとアキレス・ディードとの録画された戦闘映像も入っており、早速観ることにした。

観た後、まさかアキレス・ディードに特殊モードが搭載されているとは思わず、えっ!?と驚いた。

兄さんとあとの2人。

ペルセウスのプレイヤー、大空ヒロ。

ミネルバのプレイヤー、花咲ラン。

その2人も看て中々面白い2人だなっと思った。

 

「こっちのことが終わったら一旦日本に帰るか」

 

窓の外に映るリュテティア塔を見てボソッと口に出す。

座っていた椅子の前にある机の上には紳羅さんの協力の元集まったある人の情報が紙に記載されていた。

その人物の一番上にはこう書かれていた。

 

 

 

―――行方不明(Missing person)―――

 

 

 

 

 

 

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