〜レイside〜
「会場でダミー電波を探してる者は、ダミー電波を発見した場所を逐一報告!。オタクロスは報告された場所をマーキングして!」
『『『『『『了解!!』』』』』』
電波探知に反応があった場所を近いところから探し除去して行く。
発見した場所を報告させる理由は、ダミー電波が設置された場所から暗殺者の人物像を少しでも判明させるためだ。
ちなみに、紳羅さんやクリスさんたち仕込みの捜査方法の一種だ。
「レイ、見つけたわ」
「こっちも見つけた」
キヨカと捜索して発見したダミー電波発生装置は小型で、見つけるのが一目では難しそうな物だった。
「オタクロス。2階東側の自販機と、ベンチの下にあった」
『了解デヨ』
ダックシャトルでサポートしてるオタクロスに見つけた場所を報告する。
すでに僕とキヨカだけで6つは回収しているが、全てがダミー電波だ。
人海戦術で虱潰しに探してるが正直言って手が足りない。
一体どれだけ仕掛けているのやら・・・・・・
だが―――
「アルテミス会場にこんなに仕掛けられるなんて、やはり情報が漏れてる?」
僕たちが今いる地上エリアはまだ良しとする。しかし、地下フロアの電気制御室など、事前に教えて貰っていたりしなければ分からないはず。
そもそも地下フロアは基本一般人は立ち入り禁止で、関係者しか入れないはずだ。なのにも関わらず、暗殺者は地下フロアにもダミー電波の発生装置を仕掛けてる。
去年のアルテミスで起こった、イノベーターによるメタナスGX強奪事件によって会場の警備は去年と比べて上がってると聞いてる。
にも関わらずこうも警備を掻い潜っている。
「まさか・・・・・・」
思考と動きの同時並行をし、ある仮説が浮かび上がる。
アルテミスの主催はLBX管理機構のオメガダインだ。
つまりオメガダインには予めアルテミス会場内部のマップや警備の配置、人員などが報告されている。
もしオメガダインと暗殺者が繋がっているなら―――
いや、これはただの仮説。空想の推理に過ぎないはずだ。
ディテクターによる犯行声明によって僕らはここに来た。
ディテクター=オメガダイン。という方式は無いはずだ。
だが、こちらの電波探知を察していることや、撹乱させて撒いていることから、会場内にも暗殺者の協力者がいることは間違いないと思う。
だが・・・・・・いや、しかし、れっきとした証拠がある訳でないし、これはただの僕の推理に過ぎない。
『応・・・・・・レ・・・・・!・・・・・・デヨ・・・・・・イ!・・・・・・応答するデヨ、レイ!!』
「っ!」
危うく思考の海に沈みかけていたところに、CCMからオタクロスの声が聞こえ、沈みかけていた意識を浮かび上がらせた。
同時並行しているのに、意識がここに在らず状態にまたなってしまっていた。
「ごめん。なに、オタクロス?」
オタクロスに一言謝り、内容を訊ねる。
『バンとヒロがアルテミス会場から800M地点の海の上を調べたところ、アンテナがあったデヨ。そして、海中にはLBXが』
「アンテナ?それにLBXが?」
『うむ』
会場から800M地点の海の上にアンテナ。それにLBX。
もし、これと同じものが1600M地点にもあったとしたら?
「・・・・・・中継?」
頭の中でパズルのピースが完成していく。
「あーー!!!!そうか!!その手があったぁぁ!!!!」
「れ、レイ!?」
突然叫びだしその場に蹲った僕を見て唖然とするキヨカ。
「何でこのこと忘れてたんだろ!!あーー!僕のバカ!!」
「ど、どうしたのレイ?」
「ルーターだよ!」
「ルーター?それってネットワークの構築を中継するとかの?」
「そう!!アルテミス会場から平和公園でどうやってLBXを動かせるか。スパークブロード通信を使わない手がもう一つだけあるんだよ!」
「それって?」
「CCMの電波を中継して動かすんだよ!」
至極原始的だが、確かに誰も思いつかないし想像すらしてない。
「あぁぁ!!以前父さんに聞いたばかりなのになんで忘れてたのよ僕!!」
イギリスのブリントンでLBXの研究をしている父さんに呼ばれ、ディテクターについてと、新たな機体[エレボス]を渡された際、数日間僕は父さんの研究室で過ごしていた。と言っても次の週にはフランスに行っていたため、たったの3、4日ほどだけど。
その時僕はLBXを長距離操作する方法はスパークブロード通信以外に無いの?と質問してみた。
僕の質問に父さんは、
「あるにはあるが、まずスパークブロード通信のようにスムーズにいく訳では無いし、距離も短い。それに予め準備をしておかねばならない。なにより、手間が大きくかかる」
と前置きを言ってから答えた。
「まず、自身の使ってるCCMと同じ電波を用意しなければならない」
「同じ電波?」
「ああ。そして、自身の使ってるCCMと同じ電波を、操作可能範囲内の限界地点に置き、さらにその電波から同じように限界地点に置いて、電波が途切れないようにするんだ」
「ぇ、えーと?」
「ふむ・・・・・・わかりやすく言うなら、ネットワークを構築するルーターのようなものを限界地点のその場所に置き、同じく電波を中継させることでスパークブロード通信を使わないLBXの長距離操作が可能だ」
「へぇー。でも、それってかなり難しい気がしない?」
「そうだな。今のLBX操作可能範囲は1000Mだが、以前はその十分の一、100Mしかなかった。それに加え、同じ電波を用意して設置しなければ中継自体不可能だ」
「つまり、労力と手間が大きくかかるってこと?」
「そうだ。だからスパークブロード通信をタイニーオービットが開発したことは人類にとって画期的な発明といえるだろう」
「父さんの開発したLBXやエターナルサイクラーに比べたら微々たるものな気が・・・・・・いや、十分凄いんだけど」
「LBXはともかく、エターナルサイクラーはたまたま発見したからな」
「ぇー・・・・・・」
僕の作った夕食を食べながら、父さんの話を聞き思わず、ぇー、となってしまったが・・・・・・
とにかく、スパークブロード通信以外での遠距離操作はほぼほぼ不可能だってことは分かった。
その事を思い出し、その場に蹲りながら自問する。
「みんなゴメン!!ホントゴメン!!この方法の事すっかり忘れてたァぁ!!!」
穴があったら入りたい、とはまさにこの事だろうね。
うん。
「お、落ち着いてレイ!?だ、大丈夫だから!みんな分かってるから!!」
キヨカがあたふたして慰めてくれるが。
「ぅぅ・・・・・・穴があったら入りたいぃ〜・・・・・・」
重要な手掛かりを父さんから聞いていたのに忘れてるなんてぇぇ〜!!
『お、落ち着くデヨレイ!?ワシらもこんな方法予想だにせんかったからの!?』
「ぅぅ〜」
『と、とにかく!バン!ヒロ!そのLBX。ルーターLBXを速やかに対処するデヨ!!そやつさえ対処すれば暗殺者のLBXは動かなくなるはずデヨ!!』
『『りょ、了解!!』』
『オタクロスの言う通りだ。今は暗殺を阻止することを最優先に。ミスター宇崎氏たちは平和公園内で稼働している暗殺LBXの捕獲を。アルテミス会場にいる者は暗殺者の発見を急げ』
『『『『『『了解!』』』』』』
「了解です」
カイオス長官に言われうじうじしている場合ではないと切り替える。
「?キヨカ?」
そこでさっきから反応のないキヨカを見る。
キヨカはウインドウの郷田とダイキさんの試合を観ていた。
「どうしたの?」
「レイ、お兄ちゃんたちの相手のLBX、なんかおかしい」
「え?」
キヨカに言われて僕もウインドウに映る試合を観る。
郷田とダイキさんのLBX[ハカイオー絶斗]と[ナイトメア]を相手にしているのは[マッドドッグ]1機。
あの二人を相手にまだ試合していることに驚く中、僕は試合を観て違和感を感じた。
「・・・・・・攻撃してない?」
さっきから反撃をする素振りすら無く、ただ避けているだけのマッドドッグ。
攻撃する間もない、のかも知れないが、マッドドッグはただ避けてるだけだ。
しかも動きがどこか変・・・・・・
「っ!?まさか
アルテミスで。
しかも予選決勝でLBXを自動制御化させるなんて可笑しい。
考えろ。
相手が僕の上をいくなら、僕はさらにその上を行けばいい。
ああ、認めよう。遠隔操作については僕の上を。いや、僕ら全員の上手を行かれた。
けど、今度はそうはいかない。
「キヨカ取り敢えず、今はダミー電波の発生装置を除去しよう」
「・・・・・・分かったわ」
試合中に第三者か関与することは禁じられてる。
つまり、例え暗殺者があのジャッカルという人だとしても、まだ手が出せない。
けど、試合さえ終われば手が出せる。
だから―――
生きてるだけでも幸せだと思わせてあげる
ふふっ、と冷たい微笑を浮かべてダミー電波を潰すため、ダミー電波発生装置を探す。
少しして、兄さんとヒロがルーターLBXの破壊をした事が来た。
ジンやオタクロスたちはルーターLBXの撃破で安堵してる。
けど、僕の予測が正しければ―――
「気を抜かないで兄さん!ヒロ!」
『え!?どういうことだレイ?』
『どうしてですか?』
「ここまで用意周到な暗殺者が、第一次中継地点のルーターLBXを一つだけのはずがない。恐らくバックアップがある!」
『『っ!!』』
僕がそういうのと同時に。
『た、大変デヨ!!レイの言う通り、暗殺者はもう一つ。850M地点にもルーターLBXを用意していたデヨ!!急いでこれを破壊するデヨ!!』
オタクロスの狼狽した声が聞こえてきた。
『分かった!』
『分かりました!』
兄さんとヒロがもう一つのルーターLBXを撃破しに行き。
「紳羅さんたち聞こえる?恐らく暗殺用LBXは、狙撃に適した場所にいると思う!」
僕は平和公園にいる紳羅さんやクリスさんたちに言う。
『狙撃に適した場所・・・・・・上か!』
『ということは、足場の不安定な木とかは除外していいわね』
『ああ。安定した足場でなければ、例えLBXと言えど狙撃は不可能だ』
『よし、手分けして探すぞ!』
僕の言葉の意味を理解し、紳羅さんたちが素早く動く。
『オタクロス、現時点でダミー電波が見つけた場所を教えて』
『分かったデヨ』
オタクロスからジンたちがダミー電波発生装置を見つけた場所を聞く。
現時点の情報から、暗殺者の性別は男性。身長はおそらく高く、175CM前後。
推測出来る予測からある程度絞り込めたが・・・・・・
「リズさん、レアさん、聞こえる?」
右耳に着けてるインカムの先にいるリズさんとレアさんに訊ねる。
『おう、どうした?』
『どうかしましたか?』
「2人に、ちょっと見張っていて欲しい人が1人いる」
『・・・・・・誰をだ?』
「今予選Cブロック決勝で戦ってるジャッカルって選手」
『どういうことか聞いてもよろしくて?』
レアさんの疑問は最もだ。
「恐らくだけど、ジャッカルって選手が暗殺者」
『『っ!?』』
僕の推測を2人に話し説明する。
説明し終えると。
『なるほどな』
『一理ありますわね。アルテミスの予選決勝で自動制御LBXを使ってる・・・・・・』
「ええ」
『分かった。任せな、ヤツの監視はアタシとレアがやる』
『ええ。それと、その者のCCMの画面を記録出来たらしますわ』
「お願いします」
ジャッカルの監視を任せ、僕は再びダミー電波の探索に移る。
途中ウインドウに移る試合を観ると、郷田とダイキさんの試合はまだ続いてる。
会場の観客からブーイングの嵐が起こるほどだ。
なのにアルテミスの大会関係者はなにも行動を起こさない。
いくら時間無制限の試合とはいえ、何もしない、逃げ回ってばかりのプレイヤーになんの警告もなしだなんて可笑しい。
この時点でもうこのジャッカルが暗殺者だというのは9割確定していた。
「キヨカ、もうダミー電波は探さなくていいよ」
「いいの?」
「うん」
探すのを止め、少しして郷田のハカイオー絶斗とダイキさんのナイトメアの必殺ファンクションを食らいマッドドッグがついにブレイクオーバーした。
それと同時に、兄さんとヒロから2つめのルーターLBXの破壊完了の通達と、平和公園内にいる拓也さんたちから暗殺用LBX[アサシン]の機能停止を確認したと連絡が来た。
「キヨカは兄さんたちを呼んできて」
「レイは?」
「ん?僕は〜・・・・・・」
冷たい眼差しでステージから下り、立ち去っていくジャッカルを見て告げる。
「アイツを捕まえてくる」
「・・・・・・そう。わかったわ。けど、程々にね」
僕の言葉を聞き、キヨカは小さくため息を吐いて言った。
程々、ね。
やり過ぎないようにしないとな〜。
キヨカと分かれ、リズさんとレアさんと連絡を取り確たる証拠を掴んだことを聞き、挟み撃ちで捕えることを伝える。
そして―――
「―――チェックメイト。逃げられると思った?」
会場の通路でジャッカルにそう告げた。
「っ!?」
「お、お前!?」
何故かジャッカルの行く手を遮るように古城アスカがいるけど。
「悪いけど、お前を捕らえさせてもらう」
そう言うと僕は懐からDエッグを取り出し、Dエッグを展開する。
展開された緑色のエネルギー幕が僕とジャッカル、そして古城アスカを包み込む。
「さぁ。これで逃げるには僕を倒さなきゃならなくなった」
「ちっ!」
舌打ちするジャッカル。
「古城アスカ、手を出すなよ?」
「えぇーっ!」
不満そうに返す古城アスカ。
「今
「っ!!わ、分かった」
僕の怒気に気圧されたのか渋々と引き下がる古城アスカ。
「それじゃあ、やろうか?」
「ちぃっ!」
Dエッグのバトルフィールド、城壁にLBXアサシンを投入するジャッカル。
「疾く来たれ!―――[エレボス]!!」
僕も自身の相機エレボスを投入する。
先に攻撃を仕掛けたのはジャッカルのアサシンだ。
アサシンの武装は片手銃系の機関銃『スキャッターガン』。
『スキャッターガン』から放たれる弾丸をエレボスは右手の剣『ノワール』で切り払う。
「っ!」
「・・・・・・」
続けて接近して格闘しながら機関銃を至近距離で放つ。
何気に強い。
普通に戦っていたら大会上位に食い込むんじゃないかな?
そう思いつつアサシンの猛攻を軽く防ぐ。
この程度、本気を出すまでもないな。
「強いけど、LBXを悪事に利用したんだ。覚悟・・・・・・出来てるよね?」
「っ!」
今度はこちらから行く。
接近して撹乱。背後に陣取り、アサシンの左足を斬る。
「なにっ!?」
そしてバランスを崩したところで、右手を吹き飛ばし、さらに右足、左手の四肢すべてを絶つ。
「つ、つぇー・・・・・・」
古城アスカが感嘆の声を漏らしてるけど、どうでもいい。
「これで・・・・・・・・・・終わり・・・・・・!」
アサシンを蹴飛ばして空中に浮かせて、『ノワール』と『ブラン』の双剣でアサシンをクロスの形に斬って破壊。ブレイクオーバーさせる。
「ば、バカな・・・・・・っ!」
一方的な攻撃。
アサシンの攻撃はカスリすらしてない。
動揺からかジリジリと下がるジャッカル。
バトルが終わり、Dエッグのエネルギー幕が消える。
「さぁ、その場にひざまづけ。無駄な抵抗は止めた方がいいと忠告しておく」
「っく・・・・・・!」
歯噛みしているジャッカルに冷たく警告する。
そこに。
「レイ!」
僕の後ろ側から兄さんやキヨカたちがやって来た。
古城アスカが塞いでる左の通路からはリズさんとレアさんが。
そして、正面からは平和公園にいた拓也さんたちが。
「どうする?逃げ場なんかないよ?」
「山野レイ・・・・・・っ!!」
忌々しげにサングラス越しに睨んでくるジャッカル。
僕はそのままジャッカルの右手首を掴み捻りあげて、すぐ横の壁に叩きつけた。
「
「っぁ・・・・・・!」
「れ、レイ!?」
拓也さんや兄さんたちが困惑してる気配が伝わってくる。
僕はそれを無視してジャッカルに質問した。
「貴様の背後に誰がいる?」
と。
〜レイside out〜
〜バンside〜
2つめのルーターLBXを破壊し、大統領の暗殺を阻止できた俺たちはキヨカに呼ばれ、暗殺者の後を追った。
追うと通路の途中でDエッグによるエネルギー幕が展開されているのを見つけた。
見つけると同時にエネルギー幕が消えると、そこには弟のレイとアスカ。そして暗殺者のジャッカルがいた。
「どうする?逃げ場なんかないよ?」
「山野レイ・・・・・・っ!!」
レイの宣告に忌々そうに話すジャッカル。
すぐ側の左の通路からはレイの協力者と思わしき2人の女性が。向かいの通路からは拓也さんや八神さんたちが道を塞いでる。
すでに逃げ場はない。
俺がそう思ってると、レイが予想にしない行動をした。
「
「っぁ・・・・・・!」
「れ、レイ!?」
ジャッカルの右手首を掴み捻りあげて、すぐ横の壁に叩きつけたのだ。
しかも声音が冷たい。
普段の声じゃない。
困惑してる中レイはジャッカルに質問した。
「貴様の背後に誰がいる?」
と。
ジャッカルはビクッ!と小さく動いた。
「答えろ」
「・・・・・・・・・・!!」
レイの今まで聞いたことの無い声。
冷たいってどころじゃない。絶対零度。永久凍土を彷彿させる声だ。
一人称も違う。
「ダミー電波発生装置にルーターLBX。それに平和公園内にLBXを仕掛ける。個人で出来るものじゃない。大きな権力を持つ者が背後にいるのは確実だ」
「ぁっ・・・・・・!!」
痛みで声が漏れでるジャッカル。
なのに俺たちは一言も発せずにいた。
近くにいた古城アスカなんか拓也さんたちの方に下がってる。
動けない。
動いた途端死ぬ。そんな感覚を感じる。
「それと貴様、去年の財前総理暗殺未遂についても何か知ってないか?」
「っ!?」
なんで今去年の財前総理暗殺未遂のことを?
理解出来ずにいる中、ジャッカルは動揺を隠せないほどの驚きを見せた。
「沈黙は答えだ。貴様か、去年の件も。頼んだのは海道義光・・・・・・イノベーター、ってところか?」
「な、なぜ、そのことを・・・・・・」
「貴様のやり方だ。財前総理についてはカマをかけただけだが、こうも面白いようにみせるとはな」
誰だ?
レイじゃない?
レイの口調と感じ取れる気配。存在感全てがレイとは違う。
いや、レイなんだろうけど、レイじゃない。
クスクスと冷たい微笑を浮かべ、見るものによっては恐怖を感じる笑みを浮かべてる。
「
ふ、普段のレイなら絶対に言わない言葉が出た!?
え!?いや、え、えぇ!?!?
「
今絶対尋問とか拷問とか言おうとした!
てか、隠せてない!!しかも、何時まで持つって一体何をするつもりなのかな俺の弟は!!?
「
「ぁがっ・・・・・・!!」
「故に、ここは専門家に任せるとしよう。まぁ、
「ヒィっ・・・・・・!!」
「ふふ。命拾いしたね、ジャッカル?」
そう言うとレイは掴んでいたジャッカルの手を離した。
何時もの表情に戻ったレイ。痛みからかその場に蹲るジャッカル。
「拓也さん、この人連行してもらえる?」
「あ、ああ。分かった・・・・・・」
「紳羅さんも、この人に去年の事色々聞きたいことあるよね?」
「そ、そうだな。NICSと協力して背後関係を調べるとしよう」
元に戻ったレイ。
だが、さっきまでのレイの怒気と冷たい鋭い刃のような気配に、誰も彼もが震えていた。
「ば、バンさん。さっきのは本当にレイさん・・・・・・なんでしょうか?」
「わ、分からない。あんなレイ、始めてみた」
ヒロの質問に俺は震えながら返した。
あそこまで怒ったレイは初めてだ。
俺やアミ、カズたちに対して怒ったのとは違う。
アレが優しく見えるほどだ。
そんな中1人だけ。キヨカだけが、やり過ぎ、と呟いていた。
もしかして、俺の知らないところでレイのあの状態を見たことがある?
そう疑問に思いながら、俺はレイを見たのだった。