〜レイside〜
『LBXの頂点を極めるアルテミスもいよいよクライマックス、ファイナルステージ!!各ブロックを勝ち上がってきた強者たちがナンバーワンを決めることになりまぁすっ!!!それでは改めてご紹介致しましょう!!Aブロック、単独出場の古城アスカ!!Bブロック、ブレンダ&ジャスミンのアレキサンダー・シスターズ!!Cブロック、郷田・仙道チーム!!Dブロック、オタレンジャーZ!!そしてEブロックは、激闘を繰り広げた2チーム!山野バンチームと大空ヒロチーム!!最後に、Fブロックはアルテミス出場者最年少の山野・仙道チーム!!ファイナルステージは代表者1名によって闘われます。さぁ、各チーム誰を代表として送り込んで来るのでしょうか!!?』
会場でMCの実況が響く中、僕とキヨカはFブロック決勝が終わりファイナルステージ進出を決めた為、係の人に案内されファイナルステージ進出者の控え室にいた。
すでに部屋には他のファイナルステージ進出者のチームがいる。
もちろん、兄さんたちもだ。
「ん〜。どっちが出る?」
どちらがファイナルステージに出るかキヨカと話す。
「?レイが出るんじゃないの?」
「へ?」
何故かキヨカは何言ってるの、と言わんばかりに首をかしげて言ってくる。
え?僕が出ることは確定事項なの?
「え?僕が出ていいの?」
「いや、そもそもレイじゃないと意味無いでしょ」
「えぇ〜・・・・・・」
いや、キヨカが出てもいいと思うんだけどなぁ・・・・・・
キヨカに対してそう思ってると。
「ジィ〜〜・・・・・・・・・・」
キヨカが超至近距離で僕の顔を見てきた。
てか、おでことおでこがくっつきそう。
「な、なに、キヨカ?」
「レイ、自分を卑下するのはよくない」
「へ?」
「レイの一番悪い点。自己評価が低い。もしここでレイじゃなくて私が出たらレイの評価もだし、ジェイソンさんやシャドールの人たちに申し訳がたたない」
「い、いや、でもキヨカも一緒のチームなんだし」
「そもそも私は貴方に誘われて参加した。欧州地区チャンピオンの貴方を差し置いて出場するなんて、レイ自身が納得しても、私や他の人が納得しない」
「うグッ・・・・・・」
キヨカの言葉はご尤もである。
「いや、でも、折角一緒のチームで参加したんだし・・・・・・」
「なにより、私が貴方が優勝したところを観たい」
「・・・・・・」
「それはルナも同じ」
そこまで言われてはさすがの僕も反論出来ず。
「わ、分かった。じゃあ、僕が参加するね」
「ええ」
半ば・・・・・・というよりほぼ強引に僕がファイナルステージに出ることが決まった。
で、僕とキヨカの方は決まったのだが―――
「「・・・・・・・・・・」」
ユジンさんたちオタレンジャーZは何故か高速ジャンケンをしていて、郷田とダイキさんは何故かトマト缶ジュースの早飲み対決をしていた。
てかそのトマト缶ジュースってもしかして古城アスカの・・・・・・・
「ね、ねぇ、トマト缶ジュース見えるだけでも30本近くない?」
「う、うん。あるね」
古城アスカのバックは四次元ポケットなのか?!
あのバックの中にどれだけトマト缶ジュースが押し込められてるのやら・・・・・・
そしてそれを互いに罵り合いながら息も絶え絶えに飲む郷田とダイキさん。
トマト缶ジュースってドロドロしてるから一気飲みとかキツイんだけど・・・・・・
唖然としていると、ついにダイキさんが、もう無理、と言って後ろに倒れた。
しかも全力でフルマラソンを走った後のような感じだ。
「お、お兄ちゃん!?」
倒れたダイキさんに慌てて駆け寄るキヨカ。
「だ、大丈夫お兄ちゃん!?」
「ぉ、ぉぅ」
全然大丈夫じゃない!!
めっちゃ息切れしてるし声も掠れてるよ!?
郷田の方も今にも吐きそうって顔で青ざめてるし。
「2人とも・・・・・・」
もう一生治らないと思うこの2人の犬猿の仲に頭が痛くなったが・・・・・・
まぁ、急に仲良くなられてもそれはそれで気持ち・・・・・・ゴホンゴホン。―――ちょっと不気味だけど。
「はぁ・・・・・・2人とも、少し横になりなさい」
「お、ぉう。そうさせて、もらうぜ」
幸いにもファイナルステージが始まるまではまだ少しだけあるので、休む時間はある。
もう既に倒れてるダイキさんに、郷田も壁に寄りかかるようにしてその場に座り込んだ。
「やれやれ・・・・・・」
散らばってるトマト缶ジュースの空き缶をため息を吐きながら片付ける。
テキパキと素早く片付け、空き缶をゴミ箱に捨てる。
何故か兄さんたちが僕を見ていたけど・・・・・・何故?
疑問符を浮かべているとブレ姉がやって来て。
「レイ、貴方まるで主婦みたいよ?」
となんとも言えない表情で告げた。
「はい?」
主婦?
「ていうか、慣れ過ぎてないかしら?」
しかもジャス姉までもそんなこと言ってくる始末。
まぁ、片付けとかは兄さんや父さんの部屋を掃除したりするので慣れてるからなぁ。
「まぁ、慣れてるから」
「「慣れてるって問題じゃない(わよ)!?」」
oh・・・・・・
ブレ姉とジャス姉のツッコミ。
なんか新鮮かも。
そんな場違いな事を考えてしまったのは、もはや慣れどころか、それが日常となってしまっているからだろうか?
とまあ、そんなこんながあり、ついにアルテミスファイナルステージが始まろうとしていた。
『レディース&ジェントルメン!!各チーム代表の勇者たちが出揃いました!これよりファイナルステージ、バトルロワイヤルをスタート致します!!』
MCの実況とともに僕らのいる中央ステージが上がる。
MCの実況は続き、古城アスカにライトアップされ。
『では出場者を紹介します!Aブロック代表!鮮やかな快進撃で勝利を攫った脅威の新星!古城アスカ!!』
「イェーイ!!」
『Bブロック代表!華麗なバトルで観客を魅了する【カリブの赤いハリケーン】!ジャスミン・アレキサンダー!!』
古城アスカから今度はジャス姉がライトアップされる。
ジャス姉、観客に向かって投げキッスしてる・・・・・・。
それを見たオタゴールドが目をハートに(ヘルメットをしていて見えないけど)してジャス姉を口説いてる。
弟子がこれなら、師匠たるオタクロスもジャスミンた〜ん!って言ってるんじゃないかと、思ってしまった。
頭が痛い・・・・・・
『Cブロック代表!圧倒的な力で相手をねじ伏せる豪腕の持ち主!郷田ハンゾウ!!』
「優勝はオレ様だ」
郷田は拳を握りしめ勝つ気満々だ。
ダイキさんは観客席で、負けたら許さねぇ、って言ってるんじゃないかな?
そんなダイキさんを想像し苦笑が内心に漏れる。
『Dブロック代表!オタ道スピリットを極めたナイスガイ。愛と正義のLBXバトラー!オタゴールド!!』
「ラブ・イズ・ピース!!」
・・・・・・今ユジンさんこと、オタレッドとオタシルバーの「ピース・イズ・ラーブ」って声が聞こえたような・・・・・・。
『そしてEブロック代表は、激的な結末で会場を熱狂させた2人の戦士が再登場!山野バン&大空ヒロ!!』
MCの兄さんとヒロの紹介に観客席から歓声が湧き上がる。
やはり兄さんとヒロのバトルはこの場にいるみんなの心に響いた。熱く残ったってことかな。
そして最後に、僕がライトアップされ。
『最後に、Fブロック代表!アルテミス出場者の中で最年少の記録を更新し、僅か10歳で欧州地区チャンピオンの称号を獲得。予選決勝では同じくオセアニア地区チャンピオン率いるチームをたった2人で撃破した超絶規格外な少年剣士!山野レイ!!』
なんか兄さんたちの時より少し長めに紹介されたような・・・・・・。
そう思いながらも、観客席に向かって微笑みながら手を振る。
手を振ると、歓声の声とともに「きゃ〜!レイくーん!!」とかなどという、まるでアイドル?・・・・・・を呼ぶような?・・・・・・黄色い歓声がチラホラと響いてきた。
いや、え〜〜・・・・・・。
正直微妙な感情になんとも言えない僕だ。
「っ!?」
今一瞬背筋になにか寒いモノが・・・・・・。
冷たい気配を感じた。気の所為だと思うけど・・・・・・。
いや、気の所為だと思いたい!!
「?どうしたレイ?」
右隣にいる郷田が心配した表情で訊いてきた。
「い、いや、なんでもない」
ちなみに、僕から右に、郷田、古城アスカ、ジャス姉、オタゴールド、兄さん、ヒロの順で立っている。
ジャス姉は兄さんに宣戦布告をして、ヒロは僕を挟んで郷田と話してる。
まぁ、ジャス姉は、"打倒兄さん"、だからなぁ。
去年のアルテミス、ファイナルステージを観て火が点いたらしい。
「レイ、貴方にも勝つから、覚悟しといてね」
バンッ、と右手を銃の形にして人差し指から弾丸を放つ仕草をするジャス姉。
「うん。久しぶりにジャス姉とやれるんだから楽しみだよ」
クスッと微笑んで返すと、何故かジャス姉の顔が少し赤くなった。
???暑いのかな?
「お前なぁ・・・・・・」
「ん?」
隣で郷田がはァー、と呆れたようにため息を吐いてるけど・・・・・・なんでだろ?
首をかしげてると、バトル開始時間になり僕たちの間に大きなジオラマが床下から現れた。
ジオラマは普通のジオラマではなく、独特なフィールドのジオラマだ。
荘厳でもあり、神聖さを感じる、少し薄暗いライトがフィールドを照らす。
そのバトルフィールドは天空神殿。
遙か空の彼方。
『7人の勇者の戦場が姿を現しました!勝ち残るのは誰か!?それでは栄光のファイナルステージ!レディー!!』
「[ヴァンパイアキャット]!!」
「[アマゾネス]!!」
「[ハカイオー絶斗]!!」
「[ビビンバードゴールド]!!」
「[ペルセウス]!!」
「[エルシオン]!!」
「疾く来たれ!―――[エレボス]!!」
7体のLBXがバトルステージに投下され、それぞれの武装を構える。
『バトル、スタァーートッ!!!!』
MCのバトル開始宣言とともにアルテミスファイナルステージの戦いの火蓋が切られた。
―――火蓋が切られて、それぞれのLBXは散開し中央ステージでの戦闘・・・・・・いや、乱闘を回避した。
もちろん僕もその場から離脱してフィールドの端にいる。
全員を警戒すべきだが、一番警戒するのは古城アスカだ。
出来ることなら彼女をいの一番に退場させたい。
予感だが、古城アスカはこの戦場を撹乱させる。
優勝するのは兄さんか、古城アスカのどちらかだと僕は予想している。
もちろん、僕も優勝するつもりだが・・・・・・
「・・・・・・・・・・」
フィールド全体を看ていると近くに独特のフォルムをしたLBXを見つけた。
―――いた。
「っ!」
一気に距離を詰めエレボスの黒剣『ノワール』を相手のLBXに斬り付ける。
「っと!!」
「・・・・・・・・」
「まさか不意打ちとはな。やるな!」
「古城アスカ」
そう。
相手のLBXは古城アスカのヴァンパイアキャットだ。
三叉の茶色い槍を持つ、猫のような頭部パーツが特徴なLBX。
僕を見てニヤリと笑う古城アスカ。
「お前にはリベンジしたいと思ってたんだ!」
「奇遇だね。僕もキミは真っ先に脱落させたいんだ」
そう互いに言うと、隅の浮いてる大理石で互いの武器をぶつけ合う。
ガンッ!と武器がぶつかり合う音が響く。
『山野レイと古城アスカのバトルが始まった!!エレボスとヴァンパイアキャット、互いに譲りません!!』
攻めては防ぎ、防いでは攻める。
二刀の連撃を巧みに避け捌くヴァンパイアキャット。
けど、あまり深追いはしないべきだろう。
深追いしたらそれこそ古城アスカの罠にハマる。
逃げる隙を逃さないようにしているが・・・・・・
互いの駆け引きが重要なのがバトルロワイヤル。
ある程度の攻防の後。
「ここまでかな・・・・・・」
僕は強攻撃を与えた後、後ろに飛び降りその場から去る。
「・・・・・・っ!」
古城アスカの表情はやられた!って顔だ。
自分がやろうとしていた事を相手にやられたって感じ。
今ので古城アスカの戦術は大体把握出来た。
素早い動きで躱して攻撃し、隙を見て一気に勝負を掛けてくる。
ほぼ僕と同様のスタイルだ。
あれ以上踏み込んでいたら、十中八九彼女のスタイルにハマっていたのは間違いない。
だから、それをさせる前に離脱した。
エレボスを見失ったヴァンパイアキャットは悔しそうにその場から離れどこかに行く。
反対側ではオタゴールドのビビンバードゴールドとジャス姉のアマゾネスが対峙していた。
うーん・・・・・・ジャス姉の猛攻にオタゴールドが耐えられるかなぁ。
心の中で苦笑していると。
「―――良かったわ〜、あなたに会えて」
「ほ、ホントですか!?」
「ええ。お陰で探す手間が省けたわ!!」
「えぇっ!!?」
あ、やっぱりそうなった。
アマゾネスの持つ『キラーガトリング』から放たれた嵐のような弾丸が、ビビンバードゴールドを雨のように襲う。
雨=弾丸ではあるが。
弾丸を慌てて避けるビビンバードゴールド。
てか、よくLBXであんな動きが出来るなぁ。逆にすごい。
感心していると・・・・・・
「っ!エルシオン・・・・・・」
兄さんのエルシオンがエレボスの前に立ちふさがった。
「勝負だ、レイ!」
「勝負だ、兄さん!」
兄さんと異口同音の言葉を発してエレボスとエルシオンがぶつかり合う。
先に仕掛けてきたのはエルシオン。
エルシオンの槍『エルシオンハルバード』を『ノワール』で弾き、左の白剣『ブラン』で攻撃するが、エルシオンの盾『エルシオンシールド』で防がれ、そのまま盾で攻撃される。
瞬時に距離を取り間合いから離れる。
「やるな!」
「流石!」
エルシオンとの勝負に熱中していると。
『ビビンバードゴールド、ブレイクオーバー!!!オタゴールド敗退!!』
「ラブisバトル、バトルisデストロイ!♪」
MCの実況とジャス姉の興奮した声が聞こえてきた。
どうやらジャス姉がオタゴールドを倒したようだ。
うん。今、オタクロスのジャスミンた〜んって声が小さく聞こえた気がする。
いや、弟子を応援しろよ
呆れつつも兄さんとの攻防に集中する。
兄さん相手に油断なんか出来ない。
『エルシオンハルバード』の連続突きを『ノワール』で弾いてそのまま距離を詰めてこちらも連続突きをお返しで放つ。
『ノワール』の連続突きを『エルシオンシールド』で受け止め滑らせる。
左半回転からの『ブラン』で攻撃。
「っ!」
『ブラン』の攻撃は、エルシオンが咄嗟に下がったため空を斬ることになる。
今の一撃は軌道を読ませないために持ち手の部分を隠していたのだが。
この前アングラテキサスの時にランに教えたのと同じ芸当だ。
そのまま追撃をしようとエルシオンに接近したその瞬間。
「「っ!!?」」
エレボスとエルシオンの上横から弾丸の雨が襲ってきた。
弾丸の放たれた場所を見ると、そこには深紅のアマゾネスがガトリング砲を構えてそこに居た。
咄嗟にそれぞれ剣と盾で防ぎ、瞬時にその場から離れる。
「ジャス姉!」
「私も混ぜてもらおうかしら!山野バン!レイ!勝負よ!!」
「来い!ジャスミン!!」
「【カリブの赤いハリケーン】の名に掛けて、貴方たちを倒す!!」
兄さんと1対1から、ジャス姉も含めた1対1対1の三竦みが出来上がった。
ジャス姉のアマゾネスから放たれた弾丸の雨、弾雨はエルシオンとエレボスを襲う。
「防ぎ切れるかしらレイ!!」
「っく!!」
ガトリング砲の一番の強みは途切れることの無い弾丸の雨が襲ってくること。
もちろん、重量もランチャーやハンマー並にあるが、その分威力もある。
しかも銃ゆえに射程範囲が広い。
エレボスとエルシオンへ交互に放たれる『キラーガトリング』の弾丸を双剣で切り裂き防ぎその場から離れ距離を取る。
近づこうにも、近づけばその分命中率も上がる。
隙さえ見つければ反撃出来るが・・・・・・
「余所見している暇なんか無いわよ!!」
その隙も無い。
エルシオンの攻撃を防ぎつつ、アマゾネスからの弾雨の嵐を避け捌く。
熱くなってきた!
「面白いっ!!」
「「っ!!」」
こういう戦いを待っていた。
熱く、心を震わせる、熱き闘い!
口角を上げて笑みを浮かべてCCMを操作する。
場所を移動しながらエルシオンと斬りむすびつつ、アマゾネスの弾丸を対処する。
「っ!」
「ははっ!」
思わず笑い声が小さく洩れる。
『エルシオンハルバード』を避け、『キラーガトリング』の弾丸を上に躱して、足を上の岩場の床下地面に着けるのと同時に勢いよくアマゾネスとの距離を詰める。
「もらったわよレイ!!」
逃げ場のないエレボスにアマゾネスの弾雨が襲い来る。
襲い来る弾雨の前に『ノワール』を突き出し、高速回転させて弾く。
「なにィ!?」
「コッチがもらったよジャス姉!!」
驚きで動きの止まったアマゾネスを『ブラン』で振り抜きざまに斬り裂き、アマゾネスをブレイクオーバーさせる。
青白いエフェクトを発光させてその場に倒れるアマゾネス。
『アマゾネス、ブレイクオーバー!!!』
「あぁぁぁ〜〜〜っ」
MCの実況とともに、その場に悲鳴を上げて崩れるジャス姉。
『ジャスミン、敗退!!』
中央ステージではヒロのペルセウスと郷田のハカイオー絶斗がガチバトルを繰り広げている。
これで残りは5人。
「油断大敵だレイ!」
「油断なんかするわけないでしょ兄さん!!」
背後から襲ってきたエルシオンの斬撃を『ノワール』と『ブラン』でクロスブロックして防ぐ。
またしても再び兄さんと一騎討ち。
ダメージ総量ではコッチが少し不利かな。
でも、負ける気はない!!
クロスブロックからの弾き上げでエルシオンの胴体部を右脚で蹴り、奥に吹き飛ばす。
そこに。
『ハカイオー絶斗、ブレイクオーバー!!!郷田、敗退!!』
ヒロと郷田の勝負の結果がMCから実況される。
これで残りは4人。
「兄さん、決着をつけよう!」
「ああ!!」
「「必殺ファンクション!!」」
同時に必殺ファンクションを発動させる。
「【アタックファンクション!!真―ヴォーパル・ストライク!!!】」
エレボスの黒剣『ノワール』を真紅のエフェクトが包み輝く。
そして兄さんのエルシオンは。
「【アタックファンクション!!超プラズマバースト―改!!!】」
「なにっ!?」
エルシオンの頭上に高密度のプラズマエネルギーが発生する。
僕の記憶している【超プラズマバースト】よりエフェクトが明るい。
いつもエルシオンが使ってる必殺ファンクション【ホーリーランス】ではなく、僕が記憶してる限り過去3回。
1回目は、去年のアルテミス予選決勝でアジア
そして3回目はサターンで、LEXの[イフリート]を止めるラストアタックに。
たった3回しか使ってないLEX直伝の必殺ファンクション【超プラズマバースト】。しかもそれを僕同様進化させた【改】に目を見開いている中、エレボスの『ノワール』から真紅の光槍と、エルシオンから雷光の速度で放たれる雷槍が互いの技の中央で拮抗し合う。
眩い閃光が会場全体を照らす。
僕と兄さんの。エレボスとエルシオンの戦いに誰も彼もが息を呑んでいた。
やがて眩い閃光が治まり、フィールドが見えるようになった。
フィールドには、エレボスとエルシオンが背を向かい合って立っていて・・・・・・
「っ!」
『エレボス、ブレイクオーバー!!山野レイ、敗退!!!』
青白いエフェクトを発光させてその場に倒れるエレボス。
負けた、か。
でも―――
「はははっ!さすが、兄さんだよ!!僕の予想を大きく超えてきた!!」
笑わずにはいられなかった。
まさか僕に【ホーリーランス】ではなく、LEXから教わった【超プラズマバースト】を使うなんて。
しかもその【超プラズマバースト】が進化した。
全くの予想外。想定外。意外。驚愕。驚嘆。
これを笑わずにいられるか。
悔しい感情もあるけど、なにより、やっぱり兄さんは強い!!
さすが僕の兄さんだ!!
「頑張って兄さん」
「ああ!」
最後にそう言って僕は残った3人。
兄さん、ヒロ、古城アスカの戦いを見届けた。
中央ステージで繰り広げられる三竦みの戦いは拮抗しあい、一瞬の隙も、油断も出来ない戦いだ。
やがて、エルシオンとペルセウスが中央ステージの階下近くにある浮遊石台に移り、そこをチャンスと捉えた古城アスカはヴァンパイアキャットの必殺ファンクションを発動させ、ヴァンパイアキャットの必殺ファンクション【デビルソウル】は階下で戦っていたエルシオンとペルセウスに直撃、2機とも同時に青白いエフェクトを発光させてブレイクオーバーとなった。
まさかの展開に会場全体がシンと静まり返る。
『これは!?な、なんと!!エルシオンとペルセウス、同時にブレイクオーバー!!勝ち残ったのはヴァンパイアキャットだ!!!今年の優勝は、初出場古城アスカとなりましたぁ!!!』
MCの実況にシンと静まり返っていた会場全体から拍手歓声の絶叫が響き渡った。
それにしても、古城アスカが優勝か・・・・・・
ちょっとなんとも言えないなぁ・・・・・・
内心苦笑を浮かべて結果を見る。
まぁ、兄さんに負けちゃったし、僕が言える立場じゃないか。
そう思いつつ、アルテミスの閉会式が進んで行く。
『それでは優勝者には、優勝商品スパーク3000が贈られます!』
『ありがとう』
壇上ではコンパニオンから商品のスパーク3000を受け取る古城アスカの姿が。
『それでは、優勝の感想を聞かせてもらいましょう!』
『タケル!姉ちゃん勝ったぜぇ!!』
「え!?姉ちゃん?」
「アスカさんって、女の子だったんですか?」
「え?気づいてなかったの!?」
古城アスカの感想に僕以外の全員が驚いた顔してる。
ジャス姉辺りは気づいていると思っていたのに。
「ま、全く気づかなかったわ。いえ、レイの事も初めて見た時は女の子だと思ったし・・・・・・まさか、ボーイッシュ系なんて」
あははは。
ジャス姉の驚いた顔をしながら言う言葉に苦笑を浮かべる。
そう言えば、初めてあった時ジャス姉とブレ姉に女の子だって間違わられたんだよね。
まぁ、もう慣れてるけど。女の子に見間違われるのは。
もしこれで髪を伸ばしたりしたら本当に初見では男だって見られないんじゃないかな。
ちょっとそんな予感を感じつつ、今年度のアルテミスの閉会式を観た。
閉会式が終わり、兄さんとヒロは古城アスカを追いかけに行った。たぶん、仲間に誘う気だろうね。
ま、僕はどっちでもいいけど。
「それじゃあレイ、またね」
「また会いましょうレイ!」
「うん。ブレ姉とジャス姉もまたね!」
僕はブレ姉とジャス姉に挨拶をし。
「優勝、惜しかったわねレイくん」
最後まで観ていたクリスさんたちと話していた。
「あははは。兄さんのには一番驚いたよ。でも、これで僕はさらに強くなれると思う」
敗北は何も全てが敗北という訳では無い。
敗北を受けて知ってこそ、人は強くなれる。
敗北を知らぬ者は、強者にはなれない。とも言うね。
「にしても、今回はホント色々あったなぁ」
「ええ。ですが、大統領を護れ、実行者を捕縛できたことは良かったですわ」
「ええ。今回の件、警察庁とNICS、そして我々ICPOが連携して事件の詳細を見出していくでしょう」
「そうね。それに今回の件は色々不可解な事があったし、どうにも安心出来ないのよね」
クリスさんの意見には同意だ。
正直、今回の件本当にディテクターが関与しているのか解らない。
わざわざ犯行声明を出したり、司令コンピューターが無かったりと。
それに何より、アルテミスと演説が同日同島で開催されたのが気掛かりだ。
そう思ってると。
「ん?」
突然、端末のCCMに着信が鳴った。
起動して通話を繋げると、相手はアルテミス大会実行委員会だった。