ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩⅩⅢ 戦士たちの休息

 

〜レイside〜

 

アルテミスが終わり、クリスさんたちと話していると端末にアルテミス大会実行委員からの連絡が来て、その連絡を受けた僕はその実行委員に呼ばれた場所にいた。

 

「―――パーティー・・・・・・ですか?」

 

実行委員の人に唐突にそんな事を言われた僕はポカンとなる。

 

「はい。アルテミスが無事終了したことを祝って、関係者各位を集めて慰労会を行おうと思ってるんです」

 

「はぁ・・・・・・でも、なんで僕を?しかもキヨカも一緒になんて」

 

本来ならそう言うパーティーには子供の僕は呼ばれない。

まぁ、経験したことが無い、と言う訳では無いけど。

 

「山野さんは、世間的にも注目されてるプレイヤーですし、なにより今回のアルテミスでの決勝進出者です。是非ともご参加を頂きたいと思いまして」

 

「ぁー・・・・・・ちょっと、待ってもらっても良いですか?」

 

「あ、はい。構いませんよ」

 

ちょっと断りの言葉を入れて、端末を取り出し連絡をする。

相手は―――

 

「カイオス長官、ちょっといいですか?」

 

カイオス長官だ。

 

『どうしたのだね?』

 

「実はですね―――」

 

カイオス長官にパーティーについて話し、参加しても構わないのかどうか尋ねる。

 

『その事ならジェシカから聞いている』

 

「え?ジェシカから?」

 

『ああ。どうやらジェシカたちの方も誘われたらしくてな。許可はもちろん出したとも』

 

「そうなんですか?」

 

『うむ。レイ君、君も少しは羽を伸ばしたらいい。ジェシカには伝えてあるが、明日の午前までは自由に過ごしてもらって構わない』

 

「あー、わかりました」

 

『うむ。それと実行犯の移送はつい先程完了した。これから取り調べを行うつもりだ』

 

「了解です。気をつけて。万が一の事もあるので」

 

『分かった。気をつけよう』

 

「はい。では」

 

カイオス長官との通信を切り端末を仕舞う。

万が一の事というのは、実行犯を口封じに始末される事があるかも知れないという事だ。

事が事なので厳重に警戒されるだろうが・・・・・・

そう思いつつ、実行委員の人に向き直る。

 

「あー、大丈夫そうなので、パーティーに参加させてもらいます」

 

「ありがとうございます!こちらは、今パーティーの招待状になります。ドレスコードが必要なのですが、衣装はパーティー会場のホテルにて貸し出しておりますので」

 

「わかりました」

 

「それと、今夜はホテルにお泊まり頂いても構いません」

 

「はい」

 

「では、失礼致します」

 

僕に招待状を渡して実行委員の人は立ち去って行った。

招待状を開き、パーティー会場について視る。

パーティー会場はこのアロハロア島でも最高級のホテル。ホテル〈グランドアロハロア〉の特別展望室らしい。

・・・・・・・・・・無駄にお金使ってんなぁ・・・・・・。

そう思いながら僕もその場をあとにして―――

 

「―――てな訳で、パーティーに参加することになりました」

 

再びクリスさんたちに会い、事情を説明する。

僕が話すとシリウスさんだけが苦笑していて、クリスさん、リズさん、レアさんはニコニコ微笑んでいた。

ああ、シリウスさんの気苦労が増える気がする。

 

「奇遇ね。実は私たちもそのパーティーに出席するのよ」

 

「はい?」

 

「本当なら私たちじゃなくて、私たちの上の人が出る予定だったんだけど、メンドクセェー、とかパース、とかでここにいる私たちに回ってきたの」

 

「ぇー・・・・・・」

 

ICPOの上層部がそんなんで大丈夫なの・・・・・・

ふと不安になって来てしまう僕であったが、誰が聞いてもそう思うはずだ。

 

「まぁ、目的はアルテミス上層部への挨拶回りなんですが。アレでもアルテミス上層部には各著名人など各方面で有力な方がいるので」

 

「本当ならアタシらもスルーするつもりだったんだが」

 

「ええ。レイくんが出席するのなら私達も出席しましょうか」

 

そんなこんなで何故かお仕事らしくクリスさんたちも出席確定。

各著名人や各方面での有力な人がいるならコネクションを作るのに良いかも。

で、またまたクリスさんたちと別れてキヨカと連絡を取り待ち合わせの場所に行くと。

 

「レイ」

 

「あ、居たキヨカ」

 

ホテル〈グランドアロハロア〉の前にキヨカがいた。

キヨカから聞くと、兄さんたちはもう〈グランドアロハロア〉の中にいるらしい。

キヨカに悪いことしてしまった。

 

「行きましょう。お兄ちゃんたちがもう中にいるし」

 

「そうだね」

 

キヨカと少々場違いな五つ星高級ホテルに入り、ロビーのホテルマンにパーティーのことを話してドレスコードに必要な服が置かれてる部屋へとやって来た。

扉を開け中に入ると。

 

 

「―――待ちたまえバン君!オール白はダメだ」

 

「えぇ!?」

 

「僕がコーデしよう。少々待ちたまえ」

 

「いや、いいよジン・・・・・・」

 

 

兄さんとジンの声が聞こえてきた。

少し離れたところからは。

 

 

「―――ファイヤァーー!!」

 

 

ジェシカの声が。

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

その声らを聞いて思わず互いの顔を見合わせる僕とキヨカ。

 

「ジェシカはともかくジンが熱いのは初めて見た」

 

「そうね」

 

普段なら全く出さない大きな声で言うジンに驚く僕ら。

ジェシカに関しては、まぁ、予想してた。

 

「・・・・・・このまま私も行ったら、私も巻き込まれそう」

 

「僕もそう思う」

 

あのジェシカの所にキヨカが行ったら、キヨカもジェシカの着せ替え人形の如く次々と服を着飾られること間違いない。

かくいう僕もジェシカの所には行きたくない。

確実に、巻き込まれるだろうし。

どうしようか悩みあぐねていると―――

 

「レイ?」

 

「それにキヨカも」

 

後ろから声をかけられた。

振り向くと、そこにはつい数十分前に別れたばかりのブレ姉とジャス姉の2人がいた。

 

「あれ?どうして2人ともここに?」

 

2人に訊ねると。

 

「アルテミス実行委員に、アルテミス成功の打ち上げパーティーに誘われたのよ。決勝進出者としてね」

 

「ええ。そう言う貴方たちもそうじゃないの?」

 

と返ってきた。

どうやら2人にも声がかかっていたらしい。

もしかしてオタゴールドにも声がかかってんじゃ・・・・・・

そう思い付くが、あの人たちがパーティーなんてのに参加するのを想像できない為、この案は無くした。

 

「まぁね。あ、兄さんたちにも声が掛かってて、今着替えてるよ」

 

「へぇ」

 

「なるほど」

 

ジャス姉が一瞬ギランと眼を光らせたのを見逃さなかった僕。

僕たちを呼んだということは、なんとなく実行委員たちの思惑が解る。

大方、余興として僕らにパーティーでLBXバトルをして欲しいのだろう。

いわゆる、非公式アルテミス決勝戦の再来だ。

 

「あ、ブレ姉、ジャス姉。キヨカのドレスコードお願いしてもいい?」

 

暴走しているジェシカに任せるよりは大人の2人に任せた方がいいと思い、2人にお願いする。

 

「ええ、いいわよ」

 

「ありがとう。それじゃあ、お願いね」

 

「任せて。うんと、可愛くしてあげるから」

 

そう言うと、ブレ姉とジャス姉はキヨカを連れて女子の服が掛けられてるドレスの方へと歩いていった。

 

「さてと、僕も着替えるか」

 

僕に合うサイズを探し、自身でコーディネートする。

さすがに女子の服はコーディネートするのが難しいのでブレ姉とジャス姉に任せる。

まぁ、メアにしょっちゅう着せ替え人形されたりしていたからなんとなく出来るが、ドレスコードに関してはさすがに難しい。

程なくして、自分のサイズに合うドレスコードの服を見つけ、吟味していく。

そんなこんなで時間が経ち―――

 

「―――うん。これでいいかな」

 

鏡に映る自分を見て呟く。

黒のズボンに黒のシャツ。そして黒の裾の長いジャケットと、オール黒。

白のネクタイをして、黒と白の二色で統一している。

 

「ありがとうございますシリウスさん。お陰で助かりました」

 

「気にしないでください。自分も少し悩んでいたので」

 

そう言うシリウスさんの正装は、黒のズボンに白いシャツ。上に黒のジャケットを羽織り、紺のネクタイをしている。

まさに大人な男性って感じだ。

どちらにしようか悩みあぐねている所に、ちょうどシリウスさんが助言してくれたのだ。

 

「それでは、自分はお先に」

 

「はい」

 

そう言ってシリウスさんは立ち去って行き。

 

「さてと、僕も兄さんたちと合流するか」

 

兄さんたちのいる場所に向かうと、すでに兄さんたち男子陣は揃っていた。

どうやらジェシカとランの女子陣はまだのようだ。

キヨカもまだのようだね。

 

「ハロハロ〜」

 

手を振っていつもの様に挨拶をする。

 

「レイ、その服・・・・・・もしかして一人で選んだのか?」

 

「ん?まぁ、ね。知り合いに少し助言してもらったけど。・・・・・・変?」

 

首を傾げて兄さんに聞くが。

 

「い、いや、変、というより・・・・・・」

 

「すっごい、様になってます」

 

「うん。なんていうか、着慣れてる感じがする」

 

兄さん、ヒロ、ユウヤが感嘆したように言ってくる。

 

「ふむ・・・・・・服はオール黒に、白のネクタイか。華美な装飾もなくシンプルなスタイル。見事に合っているな」

 

「あははは。ジンにそう言ってもらえて嬉しいよ」

 

ジンの評価に苦笑を返す。

そのまま郷田とダイキさんのいつもの言い争いを見つつ話していると、そこに。

 

「お待たせー!」

 

「来た!」

 

「あー!みんなカッコイイじゃん!」

 

「ホントだ!」

 

ジェシカとラン。さらに何故か古城アスカがやってきた。

 

「アスカさん!」

 

「お前も招待されていたのか!」

 

「へっへー!オレはチャンピオンだぜ?」

 

あー、そっか。

僕らが呼ばれてるんだから今回のアルテミスチャンピオンの古城アスカが呼ばれてても不思議じゃないかー。

面倒事にならなきゃいいけど、と思いつつ視る。

 

「どぉ?アスカのファッション」

 

「似合ってるよ!」

 

「カッコ可愛いですね!」

 

「コーディネートは私。帽子とパンツのチェックを合わせて、アクセントにループタイ。シャツはちょっとラフな気崩し感を出して、遊びに見せて、個性を出してみたってわけ」

 

元々ボーイシュな古城アスカなだけあって、ジェシカのコーディネートはバッチし決まってる。

遊びに見せて、個性を出してるシャツのラフな気崩しはボーイシュな古城アスカならではだ。

ジェシカがコーディネートした当の本人たる古城アスカはと言うと。

 

「オレは自分でやるって言ったんだ」

 

やや疲れたように言う。

どうやらジェシカのコーディネート魂(着せ替え人形)に疲れたようだ。

うん。これに関しては彼女に同意するし、同情する。

なにせ、僕もメアやキヨカ、ルナの着せ替え人形になった事が、たまに・・・・・・な所ではない。よくされた。

しかも何故か大半が女子の服という、何気に精神をすり減らされる。

いや、まぁ、もう慣れたけど。

そう追想して内心空笑いしていると。

 

「ジャジャーン!あたしはどう!?」

 

「可愛いです!」

 

今度はランが見せてきた。

 

「ふっふっふ〜。肩を出してセクシーさを演出して、黒のリボンとドレスには、アクセントでピンクのフリル。ストッキングの色も合わせたの!」

 

「いいでしょ![ミネルバ]カラーなの!」

 

普段のランならしないような格好に少し新鮮味を覚える。

全体的に明るく、ランの性格を表すような色合いだ。

ミネルバカラーってのも案外ハズレではない。

ジェシカの説明と、ランのコーディネートした姿を見てそう思ってると。

 

「じィ〜〜〜」

 

ダイキさんがランを、じィー、と視ていた。

え!?

 

「仙道、その眼はまさか・・・・・・!?」

 

「ば、バカを言うな!」

 

郷田のマジか!?という驚きの声を慌てたように否定するダイキさん。

いや、今のは僕も郷田と同じ問いだよ!?

僕もダイキさんに驚いている中。

 

「ヒロ、その眼鏡可愛いじゃん!」

 

「あ、ありがとうございます!全部ジンさんに見立ててもらいました![ペルセウス]を意識して、青のストライプのパンツに黒ジャケット。ネクタイは赤のストライプです!」

 

「バンもいいじゃない?ノーネクタイなんて、意外にワイルドね」

 

「そ、そうかな?」

 

ランとジェシカがヒロと兄さんの服装を見てそれぞれ感想を言う。

ヒロが、ジンが見立てたって言ってたから兄さんのもジンが見立てたんだろうね。

ヒロもランと同じく、ペルセウスを意識して黒と青のコーデで、ネクタイは赤。

ペルセウスのカラーリングと同じだ。

対して、兄さんは[エルシオン]が白と青だからか、これと言ってエルシオンカラーというわけではなく、無難に黒のパンツにグレーのシャツ。黒のジャケットにノーネクタイと意外にワイルド感が高い。

アミ姉とカズ兄が見たら、意外、って言うんじゃないかな。

それに―――

 

「・・・・・・バンが照れてる」

 

兄さんがこれまた珍しく照れてる。

 

「仙道さんは、胸はだけすぎですけどね」

 

「ほっとけ!」

 

あははは。

ダイキさんの服装スタイルに苦笑が浮かぶ。

 

「ジンは流石ね。黒のタキシードに、赤のシャツがいいアクセントになってる!」

 

「これが一番落ち着くんだ」

 

さすがジン。この一言しか浮かばない。

伊達に男性陣の中で社交界などに慣れているわけじゃない。

なんというか、貫禄が違う。

 

「ユウヤも、ジンのカラーにちょっと合わせた?」

 

「そういう訳じゃないけど・・・・・・」

 

「で〜も、赤いシャツで合わせてるじゃない?」

 

「そ、そっか」

 

「黒に赤は合うからな」

 

白に赤、というのもあるけど、今回のは黒に明るさを控えめにした赤なので、コントラストが対比してなく、調和している。

 

「そう言うジェシカこそ、オール黒で来たか」

 

「ちょ〜っと、セクシーでしょ?ランが肩で魅せてるから、私は脚で魅せちゃう!」

 

そう言って脚を見せるジェシカ。

いや、でもそのドレス・・・・・・

 

「でも、そのスリット。ちょっと深過ぎるんじゃないか、って思うんだけどなぁ」

 

うん。同感。

 

「はい・・・・・・ドキドキします・・・・・・」

 

思春期男子には目に毒なような気がするけどね?

ちなみに僕は別に気にしない。

 

「いいのいいの。ラインを綺麗に魅せたいんだから。これに合うブーツとハット。探すの大変だったのよ?」

 

「帽子のバラがポイントだな」

 

「ジンはホント分かってる!」

 

・・・・・・ジンとジェシカ、何気に相性がいいのでは。

片や財閥の御曹司。片やNICS長官の令嬢。

ジンは海道義光に連れられて内外のVIPパーティーに幾度と出席したことあるだろうし。

海道義光って、アレでもキチンと親をしていたんだなぁ、と思う。

まぁ、それを抜きにしても色々許さないけど。許すつもりもないしね!

ジェシカは、まぁ、あの性格からパーティーとか慣れてるだろうし。

 

「意外に、一番冒険してないのは郷田かな?」

 

「なんだと?!このベストが良いだろうが!ジャケットはこう・・・・・・肩に背負って!」

 

「雑なだけだ。着こなしも何もない」

 

郷田の服装を見てるとLEXを思い出す。

何処と無く、ブルーキャッツでマスターをしていた時のLEXと似た服装なのだ。

 

「郷田の見てると、マスターをしていた時のLEXを思い出すよ」

 

「「っ!」」

 

僕のつい出た呟きに、ブルーキャッツのマスターの時のLEXを知ってる兄さんと郷田が反応する。

 

「そう・・・・・・だな」

 

「ああ・・・・・・。特に、これといって意識した訳じゃねぇが・・・・・・」

 

僕と兄さん、郷田が感慨深くなる。

 

「??ところで、仙道は黒の光沢が似合ってるわね」

 

LEXの事を知らないジェシカが疑問符を浮かばせながら、ダイキさんに言う。

しまった。場の空気を悪くしちゃった。

 

「シルバーアクセもカッコイイよ」

 

「渋すぎず。定番過ぎず。で、ここに落ち着いた」

 

古城アスカの褒め言葉にダイキさんはいつも通りに答える。

 

「ピッカピッカして、ピエロにはピッタリだ!!」

 

「ガサツな奴には理解出来ないだろうな」

 

「なんだと、テメェ!!」

 

「はぁ〜」

 

何でこの2人はすぐに喧嘩をするんだろうねー。

呆れてため息が出る。

そこに。

 

「お待たせ、レイ」

 

ブレ姉の声が聞こえた。

声のした方を向くと、そこには肩を出して、赤と黒のドレスを着たドレスコードをしたブレ姉とジャス姉がいた。

それぞれ対象的に、ジャス姉は左手に銀の腕輪を。ブレ姉は右手に銀の腕輪を着けている。

2人の姿を見た兄さんたちは驚き半分、呆然半分な感じだった。

なにせ、ブレ姉もジャス姉も大人な女性だ。

子供の僕らとは違う、大人の色香というものがある。

 

「どうかしら?」

 

「あんまり慣れてないのだけど」

 

どう?と聞いてくるブレ姉に、苦笑して言うジャス姉。

 

「2人ともとってもよく似合ってるよ!腕輪のアクセサリーが対象的なのも良いよ!」

 

「ありがとうレイ」

 

「ありがとうね」

 

僕の褒め言葉に照れたように笑みを浮かべる2人。

 

「さてと。レイ、お待ちかねのあの娘の番よ」

 

「え?」

 

ジャス姉の言葉に、そう言えばキヨカは?とキョロキョロ見る。

その僕の様子にふふっ、と笑みを浮かべるブレ姉とジャス姉。

その2人の後ろから―――

 

「―――お待たせ」

 

キヨカの声が聞こえてきた。

ブレ姉とジャス姉が間を開け、その間からドレスを纏ったキヨカが現れた。

 

「ど、どう、かしら・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ドレス着たキヨカを見て、茫然となる。

キヨカのドレスコードは、黒と紫を基調としたワンピース型で、スカート丈は長く、薄紫色の髪の毛の左側に金木犀(キンモクセイ)を模した銀色の髪留めが留められており、両手に黒の薄手袋を着けてる。

さらにジャス姉とブレ姉が化粧をしてくれたのか、いつもとは違うキヨカの姿に声も出ない。

というか、めちゃくちゃドギマギする。

 

「レイ?」

 

「レイさん?」

 

「?どうしたのレイ」

 

「どうかしたのかしら?」

 

「どうしたんだいレイくん?」

 

「???レイ?」

 

「おーい、レイ?」

 

「どうしたレイ」

 

上から兄さん、ヒロ、ラン、ジェシカ、ユウヤ、ジン、古城アスカ、郷田が声をかけてくる。

ダイキさんは、妹のキヨカのドレスを見てほぅ、と小さく呟いてる。

 

「れ、レイ?どうかしら?」

 

キヨカにそう言われ、ハッ!と正気を取り戻した。

危ない。意識が吹っ飛んでた。

 

「う、うん。そ、その・・・・・・よく似合ってる。可愛いよ」

 

「あ、ありがとう///」

 

顔が少し赤くなりながらキヨカに感想を言い、キヨカも頬を赤らめて返す。

ヤバい。めちゃくちゃ恥ずい。

ジェシカやランのドレス姿を見ても何とも無かったのに、キヨカのドレスを見てめちゃくちゃドキドキする。

僕の様子を見て微笑ましそうに、僕とキヨカを見るブレ姉とジャス姉。

 

「レイもその服装・・・・・・とっても似合ってる」

 

「あ、ありがとう」

 

顔がちょっと熱い。

そんな僕の耳に。

 

 

「レイが照れてる」

 

「レイさんが動揺しているの初めて見ました」

 

「へぇ〜」

 

「青春ねぇ〜」

 

「あれを見るとレイくんって僕らより歳下なの思い出すよ」

 

「まぁ、レイはいつも何処か大人びてるからな」

 

「すっげぇー。アイツのあんな様子初めて見たぜ」

 

「妹とその恋人候補の様子になんとか言ったらどうなんだシスコン?」

 

「あ?何か言うことでもあるのか?」

 

「お、お前なぁ・・・・・・」

 

 

兄さんたちの話し声が僅かに断片的に聞こえた。

っ〜〜!!

古城アスカは後で絞める!!

 

「良かったわねキヨカ」

 

「レイに喜んでもらえたわね」

 

「はい!」

 

ブレ姉とジャス姉はキヨカに嬉しそうに言う。

 

「と、とりあえず!もう時間だし会場に行こっ!ねっ!?」

 

キヨカの手を取ってその場から離れる。

ちょっと駆け足気味なのは、決してその場にいたくないとか、恥ずかしいとか、兄さんたちと顔を合わせづらいとか、恥ずかしいとか、恥ずかしいとかじゃない。

恥ずかしいとか、そうじゃないからぁ!!!!!

心の中でそう声に出して僕はキヨカの手を握って、逃げるように足早にその場を後にする。

そんな僕とキヨカの後ろで、兄さんたちは。

 

 

「あ、逃げた」

 

「逃げました!?」

 

「逃げた!」

 

「逃げたわね!」

 

「逃げたね」

 

「逃げたな」

 

「逃げたぞ!」

 

「逃げやがった」

 

「・・・・・・良くやったレイ」

 

「あらあら」

 

「ふふふっ」

 

 

と次々に言いたいこと言っていた。

なんか後ろから暖かい眼差しで見られてる気がするが、振り向かずにその場から去る。

 

「っ///」

 

キヨカの手を無意識に握り締めて、手を握って。

 

 

 

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