ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩⅩIV 夜会戦闘(バトルパーティー) (前編)

 

〜レイside〜

 

 

『御来場の皆様!今回のアルテミスの成功を祝いまして、関係者一同をお招きして、感謝のパーティーを始めたいと思います!!』

 

 

「元気だなぁ・・・・・・MCといい勝負かも」

 

司会者の開会挨拶を聞いて、ふとそう思ってしまった僕。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「どうしたのキヨカ?」

 

黙りこくってるキヨカに首をかしげながら聞く。

 

「いえ。ただ、レイ、貴方物凄く慣れてない?」

 

「そう?まぁ、これが初めてって訳じゃないし」

 

苦笑混じりにキヨカに返す。

現に『ブリュンヒルド』を優勝し欧州地区(ヨーロッパエリア)チャンピオンになった当日の夜、僕はこういうパーティーに呼ばれたりしたからね。

ちなみに、その時の付き添い人はクリスさんだ。

さすが、子供の僕一人ではアレなので、クリスさんにちょっと無理を言って付いてきてもらった。

他にも色々パーティーに参加したりしたので慣れてはいる。

まぁ、ジンやジェシカ程ではないが。

そう思い出し苦笑を浮かべてると。

 

「ミスター山野。ご無沙汰ですネ」

 

「あ、お久しぶりです。(シン)さん」

 

何度か会話したことのある、中国にある会社の社長の星 宇(シン ユー)さんが声を掛けてきた。

スラっとした、いかにも高そうなスーツを着て、歳は確か50代とかのはずだが一見して見ると30代にしか見えない男性だ。

 

「今回のアルテミス、とても素晴らしいモノでした。貴方もさらに強くなりましたネ」

 

「ありがとうございます。でも、兄さんには負けてしまいました」

 

「デスが、それを糧に貴方はさらに強くなる。そうデショウ?」

 

「ええ。もちろんです」

 

「期待していマス。もし何かありましたら遠慮なく言ってください。貴方には助けてもらった恩がありますし」

 

「いえ。あれはたまたまですから」

 

「それでもです。助けて貰った恩は必ず返さなければ私の義に反しマス」

 

「あははは。もしもの時はお力を貸してください」

 

「もちろんですヨ。オット、これ以上はそちらのレディーに失礼ですね」

 

「え」

 

「ふふっ。青春、ですネ。では、これで、私は失礼しますね」

 

クスッと笑って星さんは立ち去って行った。

 

「あ、相変わらず掴めない人だなぁ〜」

 

ボソッと小さな声で呟く。

だが、あれでも会社の業績は良く、中国の中でもトップの業成績だ。しかも超ホワイト企業らしい。

まぁ、あんまり僕は興味無いけど、それでも企業の社長とのコネクションというのは僕にとっては重要だ。

苦笑を浮かべて思ってると――

 

 

『どうも!山野レイさん!!』

 

 

「うわっ!?」

 

急に目の前に司会者の人が現れた。

え?今どこから現れたのこの人?空間転移とかでもしたの!?

キヨカもビクッ!としてるし。

 

 

『ちょーっとお話聞かせてもらってもいいでしょうか!?』

 

 

「あ、はい。いいですけど」

 

唐突の現れに驚きを隠せない中返す。

司会者に言われて兄さんたちの方へ行く。

 

 

『今最も注目されているLBXプレイヤーとして、山野レイさんは有名ですが、ご自身はどうでしょうか!?』

 

 

「あははは。注目されている、というのは初耳ですけど、そうですね・・・・・・欧州地区(ヨーロッパエリア)チャンピオンという肩書きに恥じないような戦いをこれからもしていきたいと思います。もちろん慢心はしません」

 

 

『おおっ!?まだ10歳なのに大人顔負けの貫禄ですね!?』

 

 

「そうですか?」

 

僕としては普通のことだと思うのだが?

欧州地区チャンピオンというのは、あの大会に参加した全てのプレイヤーの頂点にたった人の事だ。

そして現在のチャンピオンは僕。

つまりは、あの大会に参加した全ての人の代表と言っても過言ではない。

現にこうして注目されてるし。

 

「レイ、さすがに淡白過ぎるよ・・・・・・」

 

「彼らしいな」

 

兄さんとジンの2人からそう言われるが、別にそんな気はないのだけどなぁ。

 

 

『ではでは!これからの意気込みをお願いします!!』

 

 

「そうですね・・・・・・来年のアルテミスは絶対に優勝してみせます・・・・・・!」

 

 

『おおっと!!まさかの優勝宣言が来たァ!!これに対して今アルテミスチャンピオンの古城アスカさんと山野バンさん、海道ジンさん、いかがでしょうか!?』

 

 

「誰が相手だろうと負ける気はねぇぜ!」

 

「レイならやりかねないなぁ」

 

「来年が少し怖いな」

 

兄さんとジンの返し酷い!

古城アスカはともかくだけど!

 

 

『ではでは!古城アスカさん!!今回のアルテミス、いかがでしたでしょうか!?』

 

 

司会者が今度は古城アスカに話を振る。

話を振られた古城アスカは。

 

 

「すっごい楽しかった!サプライズも沢山あったし」

 

 

『ほほう?サプライズですか?』

 

「うん!大会やってる最中、A国大統領が演説やってただろ?その場外乱闘が面白かったんだよね!!」

 

と笑顔で言った。

 

「「「っ!!?」」」

 

場外乱闘の一言で僕と兄さん、ジンがビクッとなる。

場外乱闘ってまさか暗殺のこと!?

実情を知っているヒロやキヨカたち、会場にいるクリスさんたちもビクッとしてるし。

 

 

『確かに!演説は平和公園で行われてましたが・・・・・・しかし、場外乱闘、ですか?』

 

 

「うん!いいよね、平和って!オレ、この大会ですっごく感じたんだ!!あー、でも、その場外乱闘にオレは参加できなかったよね。参加したかったのにさ、レイが入るな〜、って言って追い出されちゃった」

 

 

『ほうほう!山野レイさん、古城アスカさんの言ってる場外乱闘って一体・・・・・・?』

 

 

・・・・・・・・・・うん、本気(マジ)のO★HA★NA★SHI★をして説教(調教)しないといけないみたいだな、古城アスカには・・・・・・!!!!

 

 

『え、えーと、山野レイさん?』

 

 

訪ねてくる司会者に微笑みながら返す。

 

「はい?なんでしょうか?」

 

 

『っ!?』

 

 

ん?何故引き攣った顔を浮かべてるんだ?

司会者は何故か僕を見てヒッ!?と悲鳴を上げた。

 

 

『そ、その古城アスカさんの仰った場外乱闘についてお聞きしたく・・・・・・』

 

 

「何もありませんよ?」

 

 

『え、でも・・・・・・』

 

 

「何もありませんよ?」

 

 

『あー・・・・・・』

 

 

「何も、ありません、よ?」

 

 

『は、はい!!』

 

 

再三何もないと告げるが、何故そんなに怖がるのだ?

首をかしげながら僕は古城アスカに近づき。

 

「あ、司会者さん。ちょっと古城アスカをお借りしますね」

 

「へ?」

 

「10分ぐらいで戻ります」

 

と告げる。

 

 

『え?あ、はい、どうぞ?』

 

 

「では・・・・・・ちょっと説教(調教)するからさっさと来い、この駄猫」

 

「ひっ!?ご、ゴメン!ちょっ、まっ!まってレイ!!!い、痛たたたたたっ!!あ、頭が割れるっ!!!」

 

古城アスカが何か言ってくるが無視して古城アスカの頭をガシッと掴み、会場から出る。

その際物音が一切しなかったのだが・・・・・・

会場から出て少し離れたところに移動しながら騒ぐ古城アスカ(駄猫)に言う。

 

「あの時言った言葉の意味を理解してないようだね?だから、本気で調教(説教)してやるから。覚悟しろ駄猫」

 

「本音と建前が逆だぞ!?」

 

「五月蝿い。さっさとそこに正座しろ愚猫」

 

「せめて名前で読んでくれない!?」

 

「しらん」

 

愚猫の言い訳など知らないわ!

冷たく言い放ち、愚猫を正座させO★HA★NA★SHI★を実行する。

 

「時間はそんなにないからさっさと済ませるか」

 

「ヒッ!?」

 

「覚悟、しろよ?こぉ〜のっ・・・・・・・愚猫が!!!」

 

「ご、ごめんなさいぃっ!!!!」

 

時間が無いので極短時間のO★HA★NA★SHI★をする。

 

「アルテミスで、あれほどっ!!言ったよね!?なのになんでこんな無関係の、第三者のいる大きな場所で言うのかな!?下手したら勘づかれるということ考えなかったわけ?!お前の頭にあるのは脳みそじゃなくて右から左へ、左から右へと受け流す通気口か?!それともニワトリと同じで3歩も歩けば忘れるバカなのか!!?」

 

「そ、そんなことは・・・・・・」

 

「あ"ぁ?!誰が喋っていいって言った駄猫!!」

 

「ヒッ!」

 

「しかも僕にまで飛び火してきたし、なんなの?ねぇ!!お前は!口が!軽いにも!!程があるだろうが!!!」

 

「あだだだだだだだっ!!!あ、頭が!!頭が割れる!!!」

 

「人の話を聞かない頭なんか割れたら!!?」

 

「し、死ぬわっ!!」

 

「一回死んだらその馬鹿な愚直な行動も治るんじゃない?!」

 

「ぎにゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

―――それから愚猫の頭をアイアンクローしながらマジの本気でO★HA★NA★SHI★をした。

さすがに今回ばかりは看過できなかった。

それから数分後、O★HA★NA★SHI★を終え、駄猫を連れて戻った際、駄猫はもう精気を無くしたように白くなり、口から魂が抜け出たようになっていた。

ふむ・・・・・・もう少しやってもよかったかな?

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜バンside〜

 

 

レイがアスカの頭を掴み・・・・・・ていうか、あれアイアンクローじゃないか?

アスカとともにどこかに行って少しして、パーティー会場全体に音が戻ってきた。

なにせ、さっきまで物音なんてしなかったのだ。

全員、レイの威圧感に恐れ慄いていた。

いや、威圧感、と言うより、絶対零度級の極寒の冷気にの方が正解・・・・・・なのか?

会場に来て、俺はレイがジェシカみたいに様々な大人の人と普通に会話しているのを見て驚いた。

てか、なんか慣れてないか?

いや、ホント、この半年の間に一体どんな旅生活をしていたんだ!!?

一体何度目のツッコミなのか判らない。

 

 

『え、えーと・・・・・・や、山野レイさんが古城アスカさんを連れてどこかに行ってしまったのですが・・・・・・』

 

 

「あー、たぶん、すぐに戻ってくると思うので」

 

「・・・・・・」

 

司会者の戸惑いに淀みつつもそう答える。

ジンも静かに首を縦に振ってる。

 

 

『は、はぁ。で、では引き続き、御2人にも話を聞きたいと思います』

 

 

そうしてレイとアスカが戻ってくるまでの間、俺とジン、アレキサンダーシスターズも巻き込んでMCの質疑応答に答えたのだった。

そして、レイが言った約10分後―――

 

『『『『『『『・・・・・・・・・・』』』』』』』

 

俺たちは全員またしても茫然となり動きを止めた。

何せ―――

 

「お待たせしました」

 

「・・・・・・」

 

戻ってきたレイは変わらずだったが、アスカに関してはもはや屍のように真っ白くなっていたのだから。

思わず二、三度見してしまった人もいる程だ。

どうやらレイのお話(極短時間Ver.)を受けてしまったようだ。

―――説明しよう!レイのお話(極短時間Ver.)とは、少ない時間(30分以内)の中でレイによるお話の1分が受けてる側には1時間、または半日という体感を感じさせる、超絶凝縮されたマジで怖い、最凶に恐いお話なのだ!!

ちなみに俺やアミ、カズもされた事ある。(1年前)

アレは怖かった。泣きそうになるほどに。

 

「?」

 

やった当の本人たるレイは首をかしげてるけど、アスカに同情する。

何せ俺もレイのお話しをしょっちゅう喰らってるから。

いや、まぁ、自業自得なのではあるが。

ちなみにだが、アミやカズもやられてるし、なんなら拓也さんもされている。

噂ではレイたちの通う学校では、レイだけは絶対に怒らせてはならないという不文律があるとか無いとか。

教師ですらもその噂の不文律を遵守してるらしい。

・・・・・・うん。俺の弟は一体なにをしたらあそこまで恐れられるの?

常日頃から思っていることを思ってると。

 

「ところで司会者さん?」

 

アスカを引き連れて来たレイが司会者に訊ねた。

 

 

『な、なにか?』

 

 

「僕たちプレイヤーをこのパーティーに呼んだ理由、もしかして余興でバトルでもしてもらおう、ということですか?」

 

え?バトル?

レイの唐突の言葉に首を傾げる。

 

 

『えっ!?な、なんで解ったんですか!?』

 

 

「まぁ、なんとなく」

 

本気で驚いている司会者。

どうやらレイの問いに驚いているらしい。

 

 

『山野レイさんの言う通り、みなさんをパーティーにお招きした理由は、今ここで盛大にバトルをしてもらおうと思ったからです!!』

 

 

・・・・・・レイってホント未来でも見えてるんじゃないか?

何度も思うけど。

 

 

『いかがでしょうかプレイヤーのみなさん!!バトルロワイヤルは代表者1名のみの戦いでした!!で・す・が!!今度は全員参加の総力戦のバトルロワイヤル!!!』

 

 

司会者の言葉に会場全体から歓声が上がる。

この場にいるプレイヤーは全員が今回のアルテミス参加でファイナルステージにまで進んだ指折りの実力者だ。

そのバトルがもう一度。それも、全員参加の総力戦バトルロワイヤルとなれば、歓声が上がるのは道理か。

 

「みんな、どうかな?僕は司会者さんの提案いいと思うよ」

 

そしてなんと一番最初に乗ったのはレイだった。

 

「僕としても、まだ戦い足りないんだ」

 

クスッと笑って言うレイ。

その表情からは普段見れない、バトルジャンキーのような表情が垣間見えた。

 

「どうする?」

 

レイの問い。

レイの問いにヒロたちはやる気満々だ。

仙道なんか何処からか何時ものタロットを取り出して言ってるし。

 

「私も賛成よ。レイとは今回戦えなかったし」

 

「私も、レイと山野バンにはリベンジをしたいわ」

 

アレキサンダーシスターズの2人も乗り気だ。

こうなったからにはもう俺たちも参加するしかない。

 

「決まりだね」

 

ふふっ、と微笑むレイ。

その横で未だに真っ白なアスカがいなければ絵になっていたのだが・・・・・・

 

 

『それではジオラマ、カモォォォン!!』

 

 

「え、ジオラマ!?」

 

司会者の声に反応して、会場中央の床下から大きなジオラマが現れた。

大きさが半端なく、通常の3、4倍はありそうな巨大なジオラマだ。

ジオラマのフィールド種類は草原。

遮るものが何も無く、わずかな高台がある至ってシンプルなフィールドだ。

 

 

『御来場のみなさん!世紀の一戦ここに開幕です!!総勢13名、超実力派プレイヤーが今夜限りの大乱戦!!草原のジオラマの大きさは通常のなんと4倍!!さぁっ!この広大な戦場を縦横に駆け回ってもらいましょう!!!』

 

 

〜バンside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

司会者さんにより、会場中央の床下から通常の4倍近いジオラマの縁にそれぞれ立つ僕ら。

すでにそれぞれ自身のLBXとCCMを手にして準備万端だ。

ちなみに古城アスカ(駄猫)については頭に手刀を落として正気に戻し、さっさと準備させた。

え?やり方が荒くないか?

別にこんなの普通でしょ?

 

 

『それではプレイヤーのみなさん!自慢のLBXをいざ出陣!!』

 

 

「行け、エルシ―――!」

 

「ちょっと待ったァ!!」

 

司会者さんの促しに兄さんが[エルシオン]をジオラマに投下しようとした時、何故か郷田が待ったを掛けた。

 

「え?」

 

出鼻をくじかれた兄さんはガクッとなりながら郷田を見る。

 

「まだエルシオンを入れるんじゃねぇ!」

 

郷田の発言に、全員が郷田を見る。

 

 

『おおっと!!ここで郷田さんからの物言いだ!!』

 

 

「どうしたんですか?」

 

「どうしたの?」

 

ヒロと僕が郷田に訊ねると、郷田は腕を組み。

 

「今キタジマ模型店で流行ってることがあってなぁ」

 

「えっ!?」

 

「まさか!?ここでアレをやるのか!?」

 

「???」

 

郷田の言葉の意味を隣にいるキヨカとダイキさんは知ってるようだけど・・・・・・

キタジマ模型店で流行ってることがあるって・・・・・・何が流行ってるんだろ?

疑問符が頭の上を飛び交ってると。

 

「どうせ余興なんだ。それなら、派手にいきてぇじゃねぇか!」

 

「仙道、一体何が流行ってるんだ?」

 

この中でキタジマ模型店常連なのは僕と兄さん、キヨカ、郷田、ダイキさんのみだ。

そして、その中でキヨカ、郷田、ダイキさんは知っていて、僕と兄さんは知らない。

今キタジマ模型店で何が流行ってるのかかなり・・・・・・いや、滅茶苦茶気になる!

 

「俺にはどうにも理解できないけどな。自分のLBXをジオラマに投下する時、一々決めゼリフを言うんだ」

 

兄さんの問いに、ダイキさんがやれやれと肩を竦めて答えた。

え?決めゼリフ?

 

「決めゼリフ!?」

 

「何それ?」

 

「なんだか楽しそうですね!」

 

困惑する兄さんとランに対し、興奮して目を輝かせるヒロ。

いや、え?決めゼリフが今キタジマ模型店で流行ってるの???

 

「え、そうなのキヨカ?」

 

眼をパチクリさせてキヨカに真偽を問う。

キヨカは苦笑しながら。

 

「ええ」

 

と答えた。

 

「おお!これが盛り上がるんだよ!リコが例によって演歌な感じで決めゼリフを言いながら[クイーン]を出したら対戦相手に大ウケでな!!それから、あっちこっちで流行り出したって訳だ!」

 

郷田の説明を聞き、納得してしまった。

郷田の仲間にして郷田四天王(3人しかいないけど)の1人にして紅一点の矢沢リコさんは大の演歌好きだ。

何度か戦ったことあるけど、確かに演歌な物言いをしてる。

にしても、リコさんから始まった?決めゼリフがあっちこっちで流行るなんて・・・・・・

そんなに良いんだ。

 

「へぇー」

 

唖然としてる兄さん。

いや、うん。まぁ、判る。

 

「僕それやります!!僕だったら、必殺ファンクションを撃つ時も言っちゃいますよ〜!!」

 

うわっ!すっごいノり気だヒロ。さすが。

 

「なんかイイじゃん!盛り上がりそうだぜ!!」

 

駄猫ももうすっかり元の調子に戻ってヒロに賛同してるし。

 

「そろそろ名前で読んでくれないかなレイ!?」

 

読心術でも身につけたのか!?

ちょっと驚く僕。

駄猫呼びを辞めるかどうかは少し考えよう。

なんかまたやらかしそうだし。

 

 

『チャンピオンのアスカさんもノってきました!!それでは今回、LBXを登場させる際、それぞれ独自の決めゼリフを叫ぶ、特別ルールで参りましょう!!』

 

 

司会者さんもノリ気だ。

結果、今回決めゼリフを叫ぶルールが決まってしまった。

 

「郷田、どんな風に言うのか手本を見せてくれよ!」

 

「おお!任せときな!!」

 

駄猫の問いに郷田がニヤリと笑いCCMを操作する。

 

「―――吼えろ、漢の心意気!目覚めよ、地獄の破壊神!![ハカイオー絶斗]、降臨!!!」

 

郷田の決めゼリフと共にハカイオー絶斗がジオラマに登場する。

周囲の人たちは拍手や歓声をしている。

 

「どうだぁ?ウケてるだろ!」

 

「初めて聞いたから新鮮なだけだろ」

 

ニヤリと笑う郷田に冷静にいつも通り返すダイキさん。

 

「アレを、やるの?」

 

「あたし、嫌いじゃないかも!!」

 

「ええっ!!??」

 

微妙な顔を浮かべるジェシカに対して、さっきのヒロ同様眼を輝かせるラン。

どうやらラン的に刺さったらしい。

確かに。カッコイイ。

郷田の決めゼリフを聞き思った。

 

「ほら、オマエら!!さっさと自分のLBXを登場()しやがれ!!ハカイオー絶斗が待ってるだろうが!!」

 

「僕こういうの大得意です!行きます!!」

 

次にCCMを操作したのはヒロだ。

 

「―――闇を斬り裂け、正義の(やいば)!青い閃光[ペルセウス]、二刀流が悪を斬る!!」

 

ペルセウスの登場でまたしても拍手と歓声が上がる。

 

「決まったねヒロくん!」

 

「ありがとうございます!!」

 

「そうそう、その調子!!」

 

「みなさん、気持ちいいですよコレ!!バンさん、どうですか!?」

 

「いや、俺はまだ考え中」

 

あははは。

ヒロに促された兄さんは引き攣り笑いを浮かべて告げる。

兄さんこういうの苦手だよね。

 

「よっしゃー!次はオレが行くぜ!!」

 

次は駄猫(アスカ)が行くらしい。

 

「アスカさん、お願いします!」

 

「―――魔界からの使者、召喚!行け、LBX最強の猫[ヴァンパイアキャット]!!」

 

「猫?」

 

「そう、猫だ!」

 

「いいんじゃないですか!オリジナリティに溢れてます!!」

 

いや、LBXなのに猫?

少し疑問が出るが・・・・・・まぁ、いいか。

 

「今度は僕だ!」

 

次はなんとユウヤだ。

 

「―――大地揺るがす燃ゆる守護神!龍虎相打ついぶし銀、[リュウビ]見参!!」

 

ジオラマに降り立ち、右手の剣を振るうリュウビ。

 

「どうかな?」

 

「最高ですユウヤさん!!」

 

「はいはーい!次はあたし!!行っきまーす!!」

 

元気よく手を挙げるラン。

 

「―――闇を砕け、正義の拳!電光石火で今参上!(あか)き閃光[ミネルバ]登〜場!!」

 

ジオラマに降り立ち拳を振るうミネルバ。

そのミネルバに満足したのかドヤ顔中のラン。

 

「ふっふっふーん!決まったぁ・・・・・・!!」

 

いや、ドヤ顔中のところ悪いんだけど・・・・・・

 

「あれ?今の決めゼリフって・・・・・・」

 

「ダメですよランさん!僕の決めゼリフそのまんまじゃないですか!!」

 

そう。ほぼヒロの決めゼリフのパクリなのだ。

所々違うけど、そこは言い換えただけで、9割がたはヒロの決めゼリフのまんまである。

 

「あ〜、バレた?」

 

いや、普通にバレるでしょ。

 

「あ、でも、青と紅をちょっと変えたんだから、ねぇいいでしょ?だって難しいんだもん」

 

「まぁ、確かに難しいかもしれないですけど・・・・・・」

 

「その点、もうニックネームを持ってる奴は楽だよなぁ。【地獄の破壊神】とか、【箱の中の魔術師】とか、【秒殺の皇帝】とか、

【カリブの赤いハリケーン】とか・・・・・・」

 

駄猫(アスカ)は何故か途中で止めて僕の方を見て。

 

「【黒閃の双剣】とかさ」

 

と告げた。

いや、え!?もうその名前拡がってるの!?

つい数時間前にアルテミスでジェイソンさんが付けた僕の二つ名【黒閃の双剣】がもう拡まってることに驚く僕。

 

「ではそろそろ、【箱の中の魔術師】の決めゼリフを聞いてもらおうか」

 

「なに勿体つけてるんだよぉ。大したフレーズもないくせに」

 

「初披露だ、即興は得意でね」

 

「お兄ちゃん・・・・・・」

 

ダイキさんを少し呆れたように視るキヨカ。

あははは。

苦笑を浮かべる中ダイキさんはCCMを操作し、決めゼリフを告げた。

 

「―――幻惑せよ、[ナイトメア]・・・・・・っ!!」

 

と。

 

「え、それだけですか?」

 

「長けりゃいいってもんじゃない」

 

「なんか物足りないよなぁ」

 

「ほっとけよ。こうやってわざと短くして、自分だけ目立とうとしてるんだ。ちっちぇ男だぜ」

 

「ふんっ!」

 

なんというか・・・・・・ダイキさんらしい決めゼリフだ。

僕とキヨカはやれやれとなる。

 

「それじゃあ、今度は私が行こうかしら」

 

「ブレ姉?」

 

次に名乗り出たのはブレ姉だ。

ブレ姉はCCMを操作し。

 

「―――血塗られし赤で、敵を撃ち穿て!鮮血の皇女[クイーン]、その弾丸は貴方の(ハート)を撃ち抜く!!」

 

と最後に小さくバーン、と右手の指をピストルの形にして撃つ仕草をする。

 

「なら、お姉様に続いて次は私が行くわ」

 

そして続けてジャス姉も名乗り出る。

 

「―――鮮血に染められし赤き弾丸(ハリケーン)は、貴方を射止める!カリブの狩人[アマゾネス]、赤き衣纏いて撃ちぬけ!!」

 

ブレ姉と同じく、左手の指でピストルの形をしてふぅ〜、と硝煙を消すような仕草で息を吐く。

 

「おおっ!!」

 

ヒロが目を輝かせ、ブレ姉とジャス姉の決めゼリフにあちこちから割れんばかりの拍手歓声が盛り上がる。

大人の色気を出し、自身たちの異名の【カリブの赤いハリケーン】を存分に使った決めゼリフだ。

 

「じゃあ、次は私が行くわ」

 

「キヨカ!?」

 

まさかの今度はキヨカが行くことに驚く。

 

「―――携えし叡智の剣にて、未来を切り開け!来臨せよ、知恵の女神[メティス]。暗雲を振り祓い(かがやき)を示せ!!」

 

武装の鎌『ソフィアサイス』を回して、降り立つと同時に切り払うメティス。

確かメティスは、ギリシャ神話で叡智や知識を象徴する知性の女神とされている。

そしてメティスの持つ『ソフィアサイス』のソフィアはギリシャ語で、意味は【知恵】だ。

女神としての神性を込めた決めゼリフ。

まさにキヨカらしい決めゼリフだ。

 

「どうかしら?」

 

「うん。すっごく良いよ!」

 

僕に聞いてくるキヨカに頷いて返す。

まぁ、少なくとも、ダイキさんよりは良いよ。

ダイキさんは、まあ・・・・・・あれだネ。

 

「後は、バンさん、ジンさん、ジェシカさん、それとレイさんだけですよ!」

 

「〜〜っ。普通に、『行け、[ジャンヌD]』じゃダメ?」

 

「ダメです!みなさんもそう思うでしょ?!」

 

ヒロの問いかけに会場のあちこちから拍手が湧き上がる。

これはどう見ても、普通のではダメらしい。

 

「ジン、なんか思いついた?」

 

と訊ねる兄さん。

訊ねた兄さんに、ジンはふむ、と呟き。

 

「披露しよう」

 

と言った。

 

「えぇっ!!?」

 

うん、兄さんが驚くのも判る。

だって、あのジンだよ?ハイスペックチートのジンだよ?

そのジンが決めゼリフを披露しよう、などというものなら、付き合いの長い僕や兄さんからしたら、えぇっ!!?となる。

ちなみにキヨカ、郷田、ダイキさんも驚いてた。

 

「―――波涛より来たれ[トリトーン]!大海原の王者!!」

 

「シンプル且つ、力強い感じが良いですねバンさん!!」

 

「あ、ああ。カッコよかったね・・・・・・」

 

「ヒロたちが色んな例を出してくれたからな、思いつくことが出来た」

 

「あ、相変わらずのハイスペックチート・・・・・・」

 

ジンの言葉にマジですか〜、と感嘆を漏らしながら呟く。

ヒロの言う通りシンプル且つ、力強い決めゼリフだ。

 

「〜〜っ!あぁ〜っ!もうっ!!コレでどうだぁ!!」

 

もはや破れかぶれになってるジェシカ。

というより、やけくそ気味?

 

「―――ジャンヌD!すごーく、強いの!二丁拳銃!!」

 

・・・・・・・・・・。

ジェシカの決め、ゼリフ??よく分からないセリフに茫然とする。

そして会場からは、絶賛ブーイングの嵐が・・・・・・。

 

「えぇっ!!?ブーイング!!?」

 

「まぁ、センス0だったな」

 

「LBXが哀れだ」

 

「そんなぁ〜〜っ!!」

 

うわー。

アスカとダイキさんの痛恨のダメだしにジェシカが倒れた。

いや、まぁ、なんと言うか・・・・・・

 

「ジェシカ」

 

「レイ?」

 

「ドンマイ・・・・・・?」

 

「グホッ!!」

 

・・・・・・あれ?

なんか今ジェシカが吐血したような絵が見えたような。

 

「うわぁ・・・・・・」

 

「容赦ないわね・・・・・・」

 

「レイがトドメを刺しちゃった」

 

「えぇっ!?」

 

ジャス姉、ブレ姉、キヨカの言葉に困惑する。

なんでっ!?

しかも何故か他のみんなもマジか、って顔してるし!!?

 

「さ、さすがのパーティークイーンもこれじゃ形無しだね」

 

よく分からないけど、ランがジェシカの事そう呼んでる。

パーティークイーン・・・・・・ね。

なんとも言えないなぁ。

 

「うぅっ・・・・・・!さ、サイテーよ!!特にレイ!!」

 

「えぇっ!!?なんでっ!?」

 

「まさかの無自覚なの!?」

 

いや、何が!!?

ジェシカの逆ギレに困惑する僕。

 

「レイって天然だからなぁ・・・・・・」

 

「確かに・・・・・・」

 

「そうだよな・・・・・・」

 

「やれやれ・・・・・・」

 

兄さん、ジン、郷田、ダイキさんまでもなんか言ってるし!!

 

「バン!次は貴方がやりなさい!!」

 

「えぇっ!?」

 

「期待してますよ、バンさん!!」

 

なんか今度は兄さんがやるらしい。

大丈夫、かな〜。

 

「バン、ビシッと行け!親父さんが感激するようなやつをな!!」

 

「なんで父さんのこと持ち出すんだよ・・・・・・」

 

いやー、父さんなら兄さんの言葉に感激するんじゃないかな?

息子が自分の生み出したLBXについて言うんだから。

多分。

 

「とにかく、やってみるか・・・・・・みんな、笑わないでくれよ。特にレイは」

 

「なんで僕」

 

直接名指ししてきた兄さんに、ぇー、ってなる。

 

「―――行くぞ、俺の夢LBX!最強の騎士エルシオン、出撃せよ!!」

 

兄さんの決めゼリフとともにジオラマに降り立つ、白きLBXエルシオン。

エルシオンの登場に、ジェシカのブーイングから一転、歓声が湧き上がった。

 

「ふぅ・・・終わったぁ・・・・・・」

 

「お疲れ様、兄さん」

 

疲れたような表情をして額を拭う兄さんに言う。

 

「どう思う、今の?」

 

「熱さが、足りねぇな・・・・・・」

 

「でも、俺の夢って結構いいと思ったよ?」

 

「悪くもないけど、良くもない・・・・・・普通のデキ、ですかね?」

 

上からアスカ、郷田、ラン、ヒロが微妙な表情を浮べて感想を言う。

 

「みんな、厳しいな・・・・・・」

 

感想に苦笑する兄さん。

 

「レイさんはどう思いました?」

 

「んー」

 

ヒロの問いに、少し間を置き。

 

「ちょっと、物足りないかなぁ、って感じたけど、兄さんらしくていいと思うよ?」

 

と素直な感想を言う。

うん。俺の夢LBX、ってのが少しだけ、んー、ってなったけど、最強の騎士エルシオンってのは良かった!

 

「兄に甘いなぁお前は」

 

「そう?」

 

僕の感想に郷田がはぁー、と溜息を吐いて言う。

んー、兄さんに甘いってわけじゃないと思うけどなぁ。

そう思ってると。

 

「最後はレイさんですよ!」

 

「トリなんだからバシッと決めてよね!!」

 

ヒロとランがプレッシャーをかけてきた。

あー、もう僕で最後かぁ。

 

 

『最後を飾るのは山野レイさんだ!!山野レイさんと言えば、LBXを登場させる際必ず、疾く、と言いますが、今回はどう出るのでしょうか!!?』

 

 

特にこれと言って意識したことないけどなんでか、相機を出す時って『疾く〜〜』って言うんだよなぁ。

まぁ、LBXってもう1人の自分にして大切な相棒だから当然といえば当然だけど。

会場にいる全員の視線が僕に集まる。

ふむ。

 

「それじゃあ、最後らしくビシッと決めますか!」

 

懐からCCMと相機の[エレボス]を取り出し。

会場がシンと静まり返り―――

 

「―――白き輝き、黒き静寂。深き暗黒の闇夜(やみよ)より(いづ)る双剣!疾く来たれ、原初の幽冥エレボス!黒と白交わりて閃光となれ!!」

 

カツンっと靴音を鳴らしてエレボスをジオラマへと登場させる。

エレボスの登場に会場全体から、割れんばかりの歓声と拍手があちこちから響く。

 

「か、カッコイイです!!レイさん!!」

 

「流石だぜレイ!!」

 

「うん!思わず見蕩れちゃった!!」

 

「所作も様になってたなぁ」

 

興奮したように言うヒロ、郷田、ラン。

アスカは唖然としたように言う。

 

「く、悔しい〜〜っ!!」

 

ジェシカはなんか悔しそうに顔を歪めてる。

 

「すっごく良かったレイくん!」

 

「ああ。LBXや意味も全て込められていた」

 

「なんか負けた気分だ・・・・・」

 

続けてユウヤ、ジン、ダイキさんが感想を告げ。

 

「「(グッ!)」」

 

ジャス姉とブレ姉はグッ!と右手を上げてサムズアップしてる。

いや、なんか感想を言って欲しい。

 

「レイ、それ今即興で考えたの?」

 

「んー、まぁ、ね」

 

兄さんの問いに苦笑しつつ答える。

なんとなく頭に浮かんで思いついたんだよね。

 

「とっても良かったわレイ」

 

「ありがとうキヨカ」

 

ふふっと微笑む。

これで全員のLBXが登場し、ジオラマ内で今か今かと待ち望む。

 

 

『さぁ!全LBXがジオラマに集結!!これは壮観だぁ!!どの決めゼリフもカッコよかった!!LBXプレイヤーのみんな、そろそろバトルロワイヤル開始といきたいところですが、準備は、良いですか!!?』

 

 

『『『『『おう(ええ)(もちろん)(いつでも)!!!』』』』』

 

司会者さんの問いかけに僕らは同時に返事を返す。

 

 

『気合いたっぷりの返事をありがとう!!では―――バトル、スタァーート!!!』

 

 

司会者さんの開始宣言とともに、総勢13名による大バトルロワイヤルが火蓋を切って落とされた。

 

 

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