ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩⅩⅤ 夜会戦闘(バトルパーティー) (後編)

 

〜レイside〜

 

 

『では―――バトル、スタァーート!!!』

 

司会者さんの開始を合図に、総勢13名のLBXバトル。バトルロワイヤルが始まった。

 

「みんな!チャンピオンのこのオレに掛かってこいよ!」

 

バトルロワイヤルが始まるや、アスカが僕たち全員にそう言って挑発してきた。

アスカの挑発にみんなは―――

 

「言ったな!!」

 

「大した自信じゃないか!」

 

「風穴だらけにしてあげるわ!」

 

「遠慮なく!」

 

「行きますよ!」

 

と、血気盛んに返していた。(一部が)

まぁ、挑発するのは良いんだけど・・・・・・

 

「(完全にフラグ立てたよな〜)」

 

である。

真っ先に脱落するフラグを自分で立てた。

こういうのを言う人が真っ先に脱落するのは、お約束である。

最初に動いたのは、ヒロの[ペルセウス]だ。

 

「全てを切り裂け、必殺ファンクション!!【アタックファンクション!パワースラッシュ!!】」

 

決めゼリフと共に放たれたペルセウスの必殺ファンクションの光刃は一直線にアスカの[ヴァンパイアキャット]に向かう。

開幕初っ端からの必殺ファンクションにアスカは驚き、司会者さんは興奮したように実況する。

必殺ファンクションに驚きながらも、ヴァンパイアキャットはちゃんと避け、ペルセウスの繰り出した光刃はヴァンパイアキャットではなく、ダイキさんの[ナイトメア]に当たった。

 

「おいっ!」

 

「うわっ!す、すいません仙道さん!!」

 

ヒロを睨むダイキさんに、謝るヒロ。

いや、これ自分以外敵のバトルロワイヤルだからね?

すでにバトルフィールドたる草原のジオラマでは、あちこちでLBXがぶつかり合い、互いの武器をぶつけ合っている。

それは僕もで―――

 

「勝負よレイ!」

 

「行くよブレ姉!」

 

ブレ姉の[クイーン]と僕の[エレボス]が戦っていた。

クイーンの片手銃系の機関銃(マシンガン)『クイーンズハート』の弾丸を、双剣の『ノワール』と『ブラン』で斬るが、エレボスを近づけさせないためか、クイーンはホバー機動で素早く縦横無尽に動き弾丸を放って来る。

障害物が少ない草原フィールドのため、クイーンの弾丸から身を隠したくても隠せない。

だから―――

 

「前に出るしかないよね!」

 

CCMを操作してエレボスを前へと駆ける。

近づけばその分被弾確率も上がるけど、そこはブレ姉の動きを予測する。

もちろん、他のみんなのことも忘れない。

バトルロワイヤル故、何時狙われてもおかしくないのだから。

バトルロワイヤルでの戦術、それは―――

 

「必殺ファンクション!【アタックファンクション!グレイスミサイル!!】」

 

「必殺ファンクション!【アタックファンクション!サイドワインダー(エイト)!!】」

 

ブレ姉がクイーンだけが持つ固有必殺ファンクションを。

同じく近くにいたジェシカが[ジャンヌD]のこれまた同じく、固有必殺ファンクションを放った。

クイーンの脚部から。そして、ジャンヌDの両腕部から放たれたミサイルがそれぞれ空中でぶつかる。

 

「えっ!?」

 

「うそっ!?」

 

驚く2人。

そりゃそうでしょうね。

だって、全く示し合わせてないのに、同時に放たれた必殺ファンクションがそれぞれ全くの無関係者に相殺されたんだから。

バトルロワイヤルでの戦術、それは敵の動きを読み、理解して利用すること。

ちなみにだけど、今のは全くの偶然だ。

 

「今度はコッチがいくよ!必殺ファンクション!【アタックファンクション!ライトニングフォール!!】」

 

地面に突き刺した右の黒剣『ノワール』から蒼白い雷撃がエレボスを中心に全方位、広範囲に広がり迸る。

とっさに、慌ててその場から離脱するクイーンたちだが、幾つかは動きが遅れ【ライトニングフォール】を喰らい、追加効果のスタンが発生した。

 

 

『で、出たぁー!!山野レイさんの必殺ファンクション【ライトニングフォール】!!全方位広範囲に広がる雷撃はスタン効果を持つ!!全方位広範囲に加えスタン効果の必殺ファンクション!まさに死角など無い!!』

 

 

司会者さんが興奮して言うが。

実は弱点はあるんだよねぇ。

距離が離れ過ぎていると当たらないし、たとえ当たったとしても追加効果のスタンも発生しないから。

逆に発生地点から近ければ、威力もあるし確実にとは言えないが、高確率でスタンが発生させられる。

【ライトニングフォール】は1対1ではあんまり効果を発揮しないけど。

 

「―――こういう1対多の戦闘で一番効果を発揮するんだよね」

 

まぁ、集団戦では少し使いどころが難しいけど。

だって、チームの仲間にも行くからね。

でも、味方がいない。もしくは、周囲を敵に囲まれている状況なら100%の。十全の威力を出せる。

状況はご覧の通り。

 

「うわっ!!」

 

「な、なんだと!?」

 

「うそっ!?」

 

「しまった!」

 

アスカ、ダイキさん、ラン、ユウヤのLBX、ヴァンパイアキャット、ナイトメア、[ミネルバ]、[リュウビ]が動けなくなっている。

 

「相変わらずの無茶苦茶な必殺ファンクションだなぁ」

 

「そう?」

 

呆れたようにコッチを見て告げる兄さん。

兄さんの[エルシオン]は【ライトニングフォール】の射程範囲外だったので無傷だ。

それはエルシオンと戦っていたジンの[トリトーン]もで・・・・・・。

 

「余所見してる暇なんかねぇぞレイ!必殺ファンクション!【アタックファンクション!超我王砲(ガオーキャノン)!!】」

 

そこに、【ライトニングフォール】から逃れた郷田の[ハカイオー絶斗]が必殺ファンクション【超我王砲】を不意打ち同然に放ってきた。

 

「喰らうか!」

 

ハカイオー絶斗から放たれた砲撃を飛び上がって避け、今度はハカイオー絶斗と対峙する。

 

「ぐっ!」

 

「はあぁぁ!!」

 

飛び上がり、上から左の白剣『ブラン』の振り下ろしを、ハカイオー絶斗は刃の部分がビームになったチェーンソー型の、片手剣型の大剣『絶・破岩刃』の面部分で受け止める。

そのままエレボスの脚が地面に着くや、連続攻撃を放つ。

エレボスのアーマーフレームはナイトフレーム。

対してハカイオー絶斗のアーマーフレームはブロウラーフレーム。

汎用性に優れたバランス型のアーマーフレームのナイトフレームに対し、ブロウラーフレームは高出力、重量級なパワー型のアーマーフレーム。

パワーでは勝るが、その分速度はナイトフレームより低いブロウラーフレーム。

単純な力比べでは押し負けるだろうが、技と駆け引きがあればその差も覆せる。

ハカイオー絶斗の攻撃をただ受け止めるんじゃなくて、いなし、滑らせ、捌く。

 

「ちょこまかと・・・・・・!」

 

悪態吐く郷田だが、眼はギラギラと輝いている。

とても楽しそう。

そこに。

 

「よくもやってくれたな!」

 

「アスカ!」

 

ヴァンパイアキャットが槍で突いてきた。

 

「よぉレイ。さっきのお礼、たっぷりしてやるぜ」

 

ニッ、と笑みを浮べてCCMを操作しヴァンパイアキャットを動かすアスカ。

前門のハカイオー絶斗に、後門のヴァンパイアキャット。

 

「面白いっ!」

 

フッ、と笑みをニヤリと小さく浮かべエレボスを操作する。

 

 

『おおっと!!エレボスにハカイオー絶斗とヴァンパイアキャットが迫る!!』

 

 

「おりゃおりゃおりゃおりゃあっ!!」

 

「うおおっ!!」

 

覇気とともに迫り来る大剣(絶・破岩刃)三叉の槍(トリプルヘッドスピアー)

『絶・破岩刃』を『ブラン』で受け止め、『トリプルヘッドスピアー』を『ノワール』で滑らせる。

そのまま勢いを利用して、回転して『絶・破岩刃』と『トリプルヘッドスピアー』を同士討ちさせてその場から離脱する。

 

「なにっ!?」

 

「やるなレイ!」

 

驚くアスカに、想定通りだと顔をする郷田。

 

「いくよ?」

 

そう告げると、一気に肉薄する。

 

「っ!っの!!」

 

「速いっ!」

 

1対2を利用して上手く立ち回る。

すでにフィールドは混沌と化している。

絶え間ない剣戟音に銃撃音。そして操作する音に、必殺ファンクションによる爆発音とエフェクト。

少しでも気を抜いたら殺られる。

ステップを踏み、舞い踊るようにエレボスを動かす。

 

「チャンス!もらったよアスカ!!必殺ファンクション!【アタックファンクション!炎崩し!!】」

 

「させるか!必殺ファンクション!【アタックファンクション!デビルソウル!!】」

 

エレボスと戦ってる最中、ランのミネルバがヴァンパイアキャットに奇襲の必殺ファンクションを放つが、ヴァンパイアキャットも必殺ファンクションを放つ。

踏み込まず、バックステップで下がり範囲内から避ける。

 

「お"りゃっ!!」

 

「っ!」

 

避けたところに真横から薙ぎ払われたハカイオー絶斗の『絶・破岩刃』を瞬時に『ノワール』の腹で受け止め、その勢いに乗りその場から吹き飛ばされながら距離を取る。

 

「なにっ!?ハカイオーの攻撃を利用しただと!?」

 

「何も態と受けるだけじゃないよ。相手の攻撃を利用する手もあるのさ」

 

「はっ!相変わらずぶっ飛んでやがる!!」

 

「褒め言葉として受け取って、おくよっ!」

 

飛ばされて距離を取りながらも、左の『ブラン』を投げ付ける。

 

「なっ!?」

 

とっさにハカイオー絶斗が『ブラン』を『絶・破岩刃』で弾き飛ばす。

だが、それが命取り!

 

「っ!エレボスは!?」

 

視線が外れたその隙をつき、上へと飛び上がる。

 

「はあぁぁ!!」

 

「っ!」

 

弾き飛ばされた『ブラン』を掴み、上から一気に振り下ろす!

 

「やらせるかよ!!」

 

けど、郷田も伊達に場数を踏んでいない。

『ブラン』と『ノワール』の振り下ろしをギリギリ受け止めた。

 

「やるね!」

 

「これでどうだ!必殺ファンクション!【アタックファンクション!超我王砲!!】

 

放たれた砲撃をとっさに横に避ける。

ハカイオー絶斗の強力な必殺ファンクションは、避けたエレボスの横を通り過ぎて、背後にいたミネルバと戦っていたヴァンパイアキャットに当たった。

直撃を受けたヴァンパイアキャットは、蒼いエフェクトを発してその場に倒れた。

 

「うそだろっ!?もう終わりかよォ!!」

 

 

『ヴァンパイアキャット、ブレイクオーバー!!なんと、今回のアルテミスの優勝者の古城アスカさんがまさかの最初に脱落だぁ!!?』

 

 

うそだろっ!?と驚くアスカに、番狂わせが起こったと興奮して告げる司会者さん。

いや、普通でしょ?

アスカは強いけど、それは不意打ちなどという戦略があってこそ。

こういう真っ向勝負なら兄さんも郷田も負けるわけがない。

 

「ちぃ!レイには避けられたか・・・・・・まぁ、いい。次こそは仕留めてみせる!!」

 

「それはどうかな?」

 

「っ!仙道・・・・・・っ!!」

 

エレボスに接近しようとしたハカイオー絶斗の前に、ダイキさんのナイトメアが割り込み武装のスタッフ、『ナイトメアズソウル』でハカイオー絶斗を切りつける。

 

「いいぜ。今度の獲物はお前だ!!」

 

「そうはいかない!返り討ちにしてやるよ!」

 

ハカイオー絶斗の『絶・破岩刃』とナイトメアの『ナイトメアズソウル』がぶつかり合う。

まさかの因縁対決に苦笑が浮かぶが。

 

「必殺ファンクション!」

 

「っ!」

 

「【アタックファンクション!白虎衝破斬!!】」

 

そんな暇も与えないほど早くに、今度はリュウビの必殺ファンクションが襲って来た。

 

「必殺ファンクション!【アタックファンクション!ヴォーパル・ストライク―改!!】」

 

瞬時にこちらも必殺ファンクションで反撃する。

白いライトエフェクトを纏い突っ込んでくるリュウビと、エレボスの右の黒剣『ノワール』から放たれた深紅の光条がぶつかり合う。

 

「互角か!」

 

ぶつかり合い、爆煙が立ち上る中互いのLBXを見て、ユウヤが苦虫を噛み潰したような表情で言う。

今回使ったのは《真》ではなく威力は少し落ちるがその分少し早く撃てる《改》だ。

ちなみに、自由に威力調整などが出来るため、現状《初期》、《改》、《真》。三種類の【ヴォーパル・ストライク】がある。

まぁ、他にも色々あるけど。

で、【ヴォーパル・ストライク】は放つのに少しのチャージ時間が必要だ。

咄嗟だったため、《真》ではなく《改》にした。

そこに煙を振り払ってリュウビが右手の剣『武の剣』を突き出してきた。

 

「くっ!」

 

『ノワール』と『ブラン』のクロスガードで『武の剣』を受け止め、リュウビを右脚で蹴り飛ばす。

 

「っ!」

 

「やっぱり気が抜けない・・・・・・!」

 

正直ユウヤは気が抜けない。

もちろん、それは誰でもだけどユウヤに関しては兄さんやジンと同等ほどに。

ユウヤの最大の長所は器用なところだ。

それは一年前のアルテミスで実際に目にしてる。

片手銃で、相手の駆動部を撃ち抜き倒したのだ。

しかも五箇所五発。つまり、一箇所につき一発で。

出来ることなら早めに倒しておきたいほどに。

 

「ユウヤばかりに気を取られないでよね!!」

 

「っ!」

 

いきなりミネルバの手甲型のクローが襲って来た。

反射的にCCMを操作してクローによる直撃を『ブラン』で防ぐ。

 

「ぐっ・・・・・・!」

 

「防がれた?!」

 

ミネルバのクローを防いでる中、それを見逃すユウヤではなく、リュウビを操作して接近させてきた。

 

「もらった!」

 

「させるか!」

 

『ノワール』でリュウビの剣『武の剣』を受け止める。

 

「今度こそ!!」

 

「チィっ!」

 

思わず悪態吐く。

下がって、また迫ってきた今度は威力の高い『ミネルバクロー』を何とか受け止める。

『ノワール』をリュウビの『武の剣』。『ブラン』を『ミネルバクロー』が受け止める。

 

「え、ちょっ!?もしかして2人で協力して、僕を倒そうとしてない!?」

 

「「それがなにか!?」」

 

「即答!?」

 

「ユウヤ!レイを倒すまでは共闘ということでイイよね?!」

 

「うん!レイくんを一緒に倒そうランくん!!」

 

「なんで今そこでそんなに息が良いのかなぁ!?」

 

バトルロワイヤルなのに、まさか協力して倒そうとしてくるなんて!!

てか、この少しの間だけで何回ツッコミ入れたんだろ僕。

 

「ええぃッ!もうこうなったらやったるわぁ!!」

 

もはや破れかぶれのような言葉。

連携して攻撃してくるリュウビとミネルバを避け、捌くがキツイ。

振り下ろしてくる『武の剣』を躱して、持ち手を蹴り上げて剣を手から離れさせるが。

 

「せやあぁぁぁっ!!」

 

上から、飛ばされたリュウビの『武の剣』を握ったミネルバがエレボスを攻撃してくる。

すぐにクロスガードで防ぐが。

 

「ユウヤ!」

 

「任せて!」

 

いつの間にか、ミネルバの武器の『ミネルバクロー』を装備したリュウビも迫ってくる。

 

「ちょっ!!?」

 

防御、間に合わない。

回避、無理。

攻撃、逆にどちらかのダメージを食らう。

脳裏にそんな言葉が次々に浮かび上がり、その光景の映像(ビジョン)が視える。

クロスガードしてるから防御も回避も出来ない。

攻撃しても、どちらか片方の攻撃は食らうのは確実。

となると、残るは―――

 

「―――」

 

「「っ!?」

 

スッ、と目を細め集中力を一瞬で高める。

集中力を高めると、全ての事象がスローモーションに視え、自然と手が動く。

やることを考えなくても、最適解が解るし、どうするのか判る。

クロスガードして防いでる『武の剣』を振り下ろしてるミネルバを弾き飛ばす。

この工程で0.5秒。処理して動いたのは0.2秒。

すでに背後から迫る『ミネルバクロー』を構えたリュウビの突進を、クロスガードしていた『ノワール』でリュウビを見ずに、刀身を後ろに回してクローの射線上の隙間に当て、直撃しないように受け止める。

これで1.2秒。

そして0.3秒後、現実となる。

 

「なっ!?」

 

「なに今の動き・・・・・・!!?」

 

約1.5秒という僅かな秒数で反撃する。

 

 

『な、なんでしょうか今の動き・・・・・・!!まるでLBXが超高速移動したように見えましたが・・・・・・!!』

 

 

司会者さんも驚愕した声で告げる。

 

「ふぅ・・・・・・」

 

詰まっていた空気を吐き出す。

 

「反撃・・・・・・逝くよ、2人とも」

 

「「っ!!」」

 

ユウヤとランに告げるや、エレボスを動かす。

『ノワール』で『ミネルバクロー』を弾き上げ、後ろ回し蹴りでリュウビを吹き飛ばす。

吹き飛ばすのと同時に、エレボスが地を蹴りリュウビを追い掛ける。

 

「くっ!」

 

すぐに体勢を整えるリュウビだが、

 

「なっ!?」

 

すぐ目前に、エレボスが投げ付けた『ノワール』が迫る。

眼前にまで迫っていたため瞬時には反応出来ず、ダメージを受けるリュウビ。

エレボスは、そのまま投げ付けた『ノワール』の柄を握り、

 

「必殺ファンクション!!」

 

「しまった!」

 

超至近距離から必殺ファンクションを発動させる。

 

「【アタックファンクション!ホリゾンタル・スクエア!!】」

 

『ノワール』の刀身を蒼いライトエフェクトが覆い、水平4連撃の斬撃がリュウビに襲い掛かる。

正方形(スクエア)を描いたエフェクトが、残滓のように漂いリュウビが蒼いエフェクトを発光して後ろに倒れる。

 

 

『リュウビ、ブレイクオーバー!!灰原ユウヤさん脱落です!!』

 

 

これでユウヤは脱落。

リュウビが倒れるのと同時に―――

 

「もらった!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!蒼拳乱撃!!】」

 

ミネルバが必殺ファンクションを放ってきた。

息付く暇もないね!?

思わず苦笑する中、上に飛び上がりリュウビの『武の剣』を手放して素手のミネルバの両手を蒼白いエフェクトが包み込む。

エフェクトに包まれた両拳から4発の、拳大の気弾が放たれる。

 

「終わりよレイ!!」

 

「それはどうかな?!必殺ファンクション!!」

 

「え!?」

 

「【アタックファンクション!ホリゾンタル・スクエア!!】」

 

再び『ノワール』の刀身を蒼いライトエフェクトが覆い、今度は空中に正方形を描く。

描かれた蒼いエフェクトの正方形と、ミネルバの放った【蒼拳乱撃】による4発の気弾がぶつかり、爆発が発生する。

完璧に相殺、と言う訳にはいかなかったがある程度は威力を落とせた。

クロスガードで余波を防ぐ。

そこでふと気付いた。

リュウビの『武の剣』と『鏡の盾』は何処に行った?と。

 

「必殺ファンクション!!」

 

「っ!?」

 

爆発によって生じた爆煙の奥でミネルバが動いていた。

ランの声と同時に、ミネルバの右手が金色のライトエフェクトに包まれる。

やがて爆煙が消え、視界が見えるとそこにはリュウビの『武の剣』に金色のライトエフェクトを纏わせたミネルバの姿があった。

 

「【アタックファンクション!パワースラッシュ!!】」

 

視認するのと同時に、ミネルバから放たれた金色の斬撃が一直線にエレボスへと迫る。

不意を突かれた攻撃に、ギリギリのところでクロスガードで受け止める。

けど、今の一撃でエレボスのLPが1割弱削られた。

もしリュウビが放っていたらもう少し削られていただろうが、練度の低いミネルバが放った為何とか1割弱で抑えられた。

それにしても―――

 

「【パワースラッシュ】、覚えたんだ」

 

ミネルバが。いや、ランが片手剣の必殺ファンクションを覚えてた事に、驚き半分喜び半分の気持ちで少し苦笑しながら言う。

今のは完全に不意を突かれたし、予想外だった。

 

「ユウヤに教えてもらったの。レイ、貴方の対策としてね」

 

「僕対策?」

 

「レイは常にあたしたちの先を行ってる。だから、レイを倒すためにはあたしたちの知らない、あたしたちを切り札として使う必要がある。今のはその切り札よ!」

 

「なるほど、ね」

 

確かに、もしアルテミスで当たり、戦っていたら今のには虚を突かれて戦術が崩れること間違いない。

 

「ってことはユウヤも何か切り札を持っていたのかな・・・・・・?」

 

「まぁね。使う間すら無かったけど」

 

あはは、と苦笑しながら答えるユウヤ。

いやー、まさか僕対策として切り札を用意しているとはね。

となるとジェシカも用意してそうだなぁ。

 

「いくよレイ!アングラテキサスで変わったあたしとミネルバを見せてあげる!」

 

そう言うや突っ込んでくるミネルバ。

 

「くっ!」

 

左手に装備した『鏡の盾』で身を隠し、動きを読まれないようにして突っ込んでくるミネルバ。

ユウヤほどの片手剣の練度は無いけど、ランにはユウヤにはない格闘センスがある。

それを片手剣と組み合わせることで、ランは自分だけのオリジナルの戦闘技法を編み出した。

すぐにエレボスを動かし、兄さんたちのLBXが戦ってる混戦地帯へと移動する。

 

「今度こそ倒す!」

 

ミネルバの俊敏性を生かして追い掛けてくる。

うん。もういいかな?

 

「っ!」

 

エレボスを途中で止め、身体の向きを反転させミネルバの『武の剣』とエレボスの『ノワール』をぶつけさせる。

俊敏性が高いのはいい事だが、トップスピードの最中では急には止まれない。

 

「せりゃっ!」

 

「っの!」

 

鍔迫り合いからの『ブラン』の突きを『鏡の盾』で受け止めて威力を殺すミネルバ。

アングラテキサスの時より練度が上がってるね。

剣と盾の扱いからそう判断する。

そのままミネルバは『鏡の盾』で『ブラン』を滑らせて、後ろ回し蹴りをしてきた。

咄嗟に『ノワール』の腹で受け止め、お返しに足蹴りで吹き飛ばす。

周囲は既に混戦。

生き残ってるLBXがガチンコ勝負をあちこちで繰り広げていた。

次に、何時誰が倒れるか不思議ではない状況だ。

兄さんはダイキさん。ジンはジャス姉。キヨカはブレ姉。郷田はジェシカとヒロとの三つ巴状態。

あちこちで必殺ファンクションの応酬が繰り広げられている。

会場も司会者さんも、アルテミスさながらの興奮状態。

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!デスサイスハリケーン!!】」

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ホーリーランス!!】」

 

漆黒の嵐と、神々しい光条の槍がぶつかる。

少し離れたところでは。

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!オーシャンブラスト!!】」

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!フレイムバースト!!】」

 

激しい水の奔流と、灼熱の熱線がぶつかり合い水蒸気爆発が起こる。

そして別の場所では。

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ミスティックストーム!!】」

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!グレイスミサイル!!】」

 

蒼白の暴風と、幾多のミサイルが交り合い爆発音が連鎖するように鳴り響く。

また別の場所では。

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!超我王砲!!】」

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!コスモスラッシュ!!】」

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!サイドワインダー8!!】」

 

強力なエネルギー砲撃と、蒼い斬撃波、数多のミサイルがぶつかり爆風と閃光を発生させる。

もはや混沌(カオス)の一言では納められない。

混沌というより、終末の黄昏(ラグナロク)・・・・・・・いや、混沌の黄昏(ラグナロク)と言うべきか。

けど―――

 

「楽しくなってきた・・・・・・!!」

 

高揚する。

身体が熱くなる。

心臓が高鳴ってきた!!

 

「必殺ファンクション!!」

 

「っ!」

 

ランの声と同時にミネルバが『武の剣』を構える。

 

「【アタックファンクション!パワースラッシュ!!】」

 

再び放たれた金色の斬撃。

一直線にエレボスに迫る斬撃。

それを―――

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ヴォーパル・ストライク―改!!】」

 

真正面から迎え撃つ。

『ノワール』から放たれる深紅の光槍。

深紅の光槍と金色の斬撃がぶつかり少しの拮抗の後、斬撃を真っ二つに切り裂きミネルバへと突き進む。

 

「嘘っ!?」

 

驚くランの声と同時にミネルバに光槍が直撃し、ミネルバは蒼白いライトエフェクトを発光させてその場に倒れた。

 

 

『ミネルバ、ブレイクオーバー!!花咲ランさん脱落です!!』

 

 

「やられたぁ!!」

 

ミネルバのブレイクオーバーに続いて、

 

 

『ナイトメア!ハカイオー絶斗!アマゾネス!クイーン!ブレイクオーバー!!仙道ダイキさん!郷田ハンゾウさん!ジャスミン・アレキサンダーさん!ブレンダ・アレキサンダーさん脱落です!!!』

 

 

ナイトメアとハカイオー絶斗、アマゾネス、クイーンがブレイクオーバーしたアナウンスが流れた。

 

「くっ!」

 

「ちくしょう!もう終わりかよォ!!」

 

「そ、そんなぁ!!」

 

「つ、強いっ・・・・・・!!」

 

歯痒そうに歯を噛み締めるダイキさんに、悔しみの声をだす郷田。

悲嘆するジャス姉に、驚いたように感嘆するブレ姉。

これで一気に5人脱落し、残りは僕、キヨカ、兄さん、ジン、ヒロ、ジェシカの6人となった。

 

 

『残ったのはエルシオン、トリトーン、ペルセウス、ジャンヌD、[メティス]、そしてエレボスの6機!!最後まで残るのは一体誰だァ!!?』

 

 

「兄さん、アルテミスでの借りここで返させてもらうよ!!」

 

「望むところだレイ!!」

 

僕は兄さんのエルシオンと相対する。

ヒロとジェシカのペルセウスとジャンヌDはすでに戦いの続きをして。

 

「ジンさん、勝負です・・・・・・!」

 

「ああ!いくぞ、キヨカ!」

 

キヨカのメティスとジンのトリトーンが互いの武装。(サイス)とハンマーを衝突させていた。

そしてコッチも―――

 

「っ!!」

 

「んん"っ"!!」

 

エレボスの双剣とエルシオンの(ハルバード)が拮抗していた。

 

「やはり気が抜けないな!」

 

「それはこっちも同じ!」

 

ガギンッ!と互いの武器がぶつかる音を響かせて一進一退の攻防を繰り広げる。

 

 

『山野バンさんと山野レイさんの激突再び!!アルテミス決勝で行われた兄弟対決が今再び繰り広げられております!!山野バンさんがまた勝つのか!それとも、今度は弟の山野レイさんが勝ってリベンジを成すのかぁ!!?』

 

 

槍と盾の攻防一体。

攻めては防がれ、防がれては攻められる。

一瞬も気を抜けない緊迫した戦い。

エルシオンの『エルシオンハルバード』をエレボスは『ブラン』で受け止め、エレボスの『ノワール』をエルシオンは『エルシオンシールド』で受け止める。

 

「「〜〜っ!!!」」

 

ギチギチと拮抗する両者。

同時に拮抗から振り払い、距離を取ってから飛び上がって空中戦をする。

僕が兄さんの動きを理解しているのと同じで、兄さんも僕の動きを理解している。

兄弟だからこそ理解し、(わか)り、(わか)る。

どっちもLBXバカだから。

バカと言うが、このバカは阿呆者の馬鹿とは違う。

空手バカやゲームバカと同じで、ひとつの事が好きでたまらない人だ。

僕も兄さんも父さんが生み出し創り出したLBXが大切で大好きだから。

LBXの伝えることを指先で。感覚で。五感全てで感じる。

エルシオンの連続突きを『ノワール』で捌き、『ブラン』で連続突きの隙を突いて横薙ぎをする。

だが、それをエルシオンは『エルシオンシールド』で受け止め、そのまま滑り流す。

その滑り流しを利用して後ろ回し蹴りをして追撃をし、反撃をさせない。

 

「やるな!」

 

「兄さんも!!」

 

一進一退の攻防を繰り広げてる傍で、キヨカとジン、ヒロとジェシカの戦いも佳境に入っていた。

隙を突こうにも、罠と見えるため深追いが出来ない。

兄さんも僕と同じ心理なのか、エサに乗ってこない。

アルテミスで一度見せた戦法は使えない。

けど、それがどうした?

LBXバトルは"絶対"なんてない。

やりようによっては様々な戦術、戦略、戦法がゴマンと生まれる。

だから―――

 

「っ!もらった!」

 

敢えてエサに。罠に乗ってそれを利用する!

体勢が崩れたエレボスに、エルシオンが必殺ファンクションを発動させる。

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!グングニル!!】」

 

頭上に飛び上がったエルシオンの槍、『エルシオンハルバード』の尖端に、螺旋状に深紅の膨大なエネルギーが集束する。

それは兄さんの前機[オーディーン]の使っていた必殺ファンクション。

エルシオンで使うのは初めて見たけど、その威力は【ホーリーランス】を上回る。

マトモに喰らったら今のエレボスの残りはLPを考えたら一撃でブレイクオーバーするだろう。

けど―――

 

「それを待っていた!!必殺ファンクション!!」

 

「っ!?」

 

「【アタックファンクション!真―ヴォーパル・ストライク!!】」

 

驚愕する兄さん。

エレボスの右の黒剣『ノワール』の刀身を深紅のライトエフェクトが覆い、ジェットエンジンのような音を立たせる。

エルシオンの【グングニル】とエレボスの【ヴォーパル・ストライク】はほぼ同時に放たれた。

深紅の螺旋状の槍と、深紅の光槍がぶつかり衝撃波と衝突によって生じた閃光が眩く照らす。

 

「「「「っく!!」」」」

 

キヨカたちが思わず目を細める。

深紅の槍と深紅の光槍は盛大な爆発とともに対消滅し、エルシオンが空から降り立つ。

それが僕の狙いだった。

 

「必殺ファンクション!!」

 

「なっ!?」

 

もう一度必殺ファンクションを発動させる。

深紅のライトエフェクトが覆ったのは右の黒剣『ノワール』ではなく―――

 

「【アタックファンクション!真―ヴォーパル・ストライク!!】」

 

「左手で!?」

 

左の白剣『ブラン』だ(・・・・・・・・・・)

今まで僕は左手で必殺ファンクションを発動させたことは無い。

両手で。双剣の必殺ファンクションの時を除き、基本は右手が必殺ファンクションを発動させてきた。

ある時僕は考えた。

両手で必殺ファンクションを放てるなら、右手だけでなくもう片方、左手でも放てるのではないか?と。

何故何時も基本的に片手剣の必殺ファンクションは右手で放ち、右手に剣を持つのか疑問だった。

左手で放ち、左手で剣を持っても良いじゃないか。

だって、二刀流は左右に片手剣を。剣を持っているのだから、と。

だから僕は、右手だけでなく左手でも片手剣や細剣系の必殺ファンクションを放てるように密かに特訓した。

その特訓の成果もあり、今の僕は必殺ファンクションを右手だけでなく、左手でも放てるようになった(・・・・・・・・・・・・・)

左手の『ブラン』を覆う深紅のライトエフェクトはさらに深みを増す。

【ヴォーパル・ストライク】特有のジェットエンジンのような音を響かせ、放たれる深紅の光槍。

兄さんの反応が遅れたため、動きが遅れたエルシオンに『ブラン』から放たれた【ヴォーパル・ストライク】が直撃する。

 

「エルシオン!」

 

 

『エルシオン、ブレイクオーバー!!山野バンさん脱落です!!兄弟対決を制したのは山野レイさんだぁ!!』

 

 

青白いエフェクトを発光させて倒れるエルシオン。

 

「ふぅ」

 

これでアルテミス決勝での借りは返した。

心の中で小さな僕が軽く踊るほど歓喜する。

 

「まさか左手で必殺ファンクションを放つなんて・・・・・・」

 

「ふふーん。どう?驚いた?!僕の切り札!!」

 

笑みを浮かべて兄さんに言う。

アルテミスでは使わなかったしね。

いや、使わなかったのではなく、使えなかった(・・・・・・)の方が正解か。

本当ならまだ隠しておきたかったんだけどね。

使えなかった理由は、ミスったら自爆で終わりだからだ。

負けたら終わりのアルテミスでそんな賭け行為はしたく無かった。

僕の切り札のひとつだけどね。

左手を腰に当て不敵な笑みを浮かべる。

それと同時に―――

 

 

『ジャンヌD!メティス!ブレイクオーバー!!ジェシカ・カイオスさん!仙道キヨカさん脱落です!!』

 

 

司会者さんがキヨカとジェシカのLBXが脱落した事を告げる。

 

「また負けたぁ!ヒロ、アングラテキサスの頃よりさらに強くなったわね!」

 

「はい!ありがとうございますジェシカさん!」

 

「さすがジンさん。強い」

 

「いや、僕も危なかった。勝負は紙一重だった」

 

これで残りは僕とジン、そしてヒロの3人となった。

 

 

『さぁ!!残すところはあと3人!!山野レイに海道ジン!そして大空ヒロだ!!一体誰が勝ち残るのかぁ!!?』

 

 

「レイさん!ジンさん!お二人とこんな所で戦えて嬉しいです!!」

 

「ああ。だが、手加減はしないぞヒロ」

 

「ふふ。そうだね。本気で行くよヒロ、ジン?"本番は練習のように。練習は本番のように"ってね!」

 

「はい!望むところです!!」

 

「ああ!」

 

ヒロとジンと軽く会話をして三竦みの戦いを始める。

 

 

『まず最初に仕掛けたのはペルセウスだ!ペルセウスの双剣がエレボスに襲い掛かる!!』

 

 

仕掛けてきたペルセウスの双剣を受け止めるエレボス。

そしてそこに。

 

 

『ああっと!!トリトーンがペルセウスを攻撃だ!!』

 

 

トリトーンのハンマー『シーホースアンカー』がペルセウスを攻撃する。

トリトーンの攻撃を片方の剣で受け止めるペルセウス。

ペルセウスの攻撃の手がトリトーンへの防御に移り、今度はエレボスがトリトーンとペルセウスを攻撃する。

 

 

『エレボスの双剣がペルセウスとトリトーンに迫る!だが、そう簡単に殺らせはしないか、それぞれの武器がぶつかり合います!!』

 

 

ガギンッ!!と音を鳴らして3機の中央で互いの武器が交差する。

ジンはともかく、ヒロの操作スキルが上がってるのを感じ取る。

ディテクターとの戦いを始め、アングラテキサスやアルテミスでの強敵との戦いが今もこうしてヒロに経験値を与えている。

元々LBXに触ったことすらなかったため、ヒロの操作にはコレという癖があまりない。

LBXを長い時間触ってると、プレイヤーには微妙な癖が現れる。

癖というのは直したくても直せないものだ。

無理に直そうとすると、逆に変な癖が増える。

そしてその癖というのは、本人に自覚が無いのが大半だ。

ジンはコレという癖はない。

そしてそれはヒロも。

ペルセウスの双剣『ペルセウスソード』とトリトーンのハンマー『シーホースアンカー』を捌き、避け、躱し、弾き、受け止め、受け流す。

隙を見つけては突き、切り裂き、足蹴り、横薙ぎといった攻撃を仕掛ける。

ジンもヒロももう一歩踏み込む間合いを測ってる。

かくいう僕もだ。

踏み込む間合いを見誤ると一気に反撃される。

 

「喰らえ!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!コスモスラッシュ!!】」

 

距離を取ったペルセウスが必殺ファンクションを発動させた。

蒼いエフェクトの斬撃がエレボスとトリトーンに迫る。

 

「トリトーン、躱せ!!」

 

「エレボス、避けろ!!」

 

トリトーンとエレボスがペルセウスの放った【コスモスラッシュ】をそれぞれ避ける。

 

「ええっ!!?」

 

【コスモスラッシュ】を避けたトリトーンが一瞬でペルセウスに接近して、『シーホースアンカー』でペルセウスを高々に吹き飛ばす。

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ホリゾンタル・スクエア!!】」

 

ペルセウスを吹き飛ばして空いた胴体に4連撃の斬撃を叩き込む。

だが、それをトリトーンはペルセウスを吹き飛ばした時の遠心力を利用して『シーホースアンカー』の先端を地面に刺して空中で一回転して避けた。

 

「さすが!」

 

そんな避け方をするジンに感嘆とする。

そこを―――

 

「貰いましたレイさん!!必殺ファンクション!!」

 

空中に高く飛ばされたペルセウスの右の剣の『ペルセウスソード』に金色のライトエフェクトが煌めく。

 

「【アタックファンクション!パワースラッシュ!!】」

 

放たれた金色の斬撃がエレボスに迫る。

 

「させるかっ!!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ライトニングフォール―改!!】」

 

「なっ!?」

 

進化した雷撃が地面から壁のように立ち上がり障壁、エレボスとの障壁を成し【ライトニングフォール】の雷撃と【パワースラッシュ】の金色の斬撃が相殺される。

 

「もらった!」

 

「そんなっ!」

 

【パワースラッシュ】を放った空中のペルセウスに飛び上がったトリトーンが左の『ペルセウスソード』を弾き飛ばす。

左の『ペルセウスソード』が弾き飛ばされ、右手の『ペルセウスソード』だけでトリトーンの『シーホースアンカー』を相手にするペルセウス。

 

「ヒロ、持ちこたえろ!」

 

「分かってます!剣が一本だけでも!!」

 

兄さんの激励に答えるヒロ。

右手の『ペルセウスソード』だけで相手し、トリトーンを地面にたたき落とす。

 

「これで決めますジンさん!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!パワースラッシュ!!】」

 

地面に堕ちたトリトーンへと、上空からペルセウスの必殺ファンクションが迫る。

たたき落とされたトリトーンはなんとか体勢を取り直し。

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!オーシャンブラスト!!】」

 

必殺ファンクション【オーシャンブラスト】を放った。

激しい水の奔流が、ペルセウスから放たれた金色の斬撃波を飲み込みそのままペルセウスへと、水の奔流が迫る。

 

「っ!ペルセウス!!」

 

 

『ペルセウス、ブレイクオーバー!!大空ヒロさん脱落です!!』

 

 

空中では避ける場もなく、ガード虚しく【オーシャンブラスト】の一撃を受け、青白いエフェクトを発光させて地面に堕ちた。

 

「これで残ったのはジンとレイか・・・・・・」

 

「【秒殺の皇帝】VS【黒閃の双剣】・・・・・・か」

 

ダイキさんと郷田が難しい顔をしてつぶやく。

 

「ジン。残ったのは僕と君だけだ」

 

「ああ。特訓ではあるが、こうして君と1対1で戦うのは初めてだな」

 

「そうだね」

 

バチバチと激しい火花が僕とジンの間で飛び交う。

 

「じゃあ行くよ!」

 

「望むところだ!」

 

エレボスとトリトーンが同時に動く。

『シーホースアンカー』の尖端の突きをクロスガードの腹で受け止め、そのまま『ブラン』で薙ぐ。

けどそれを『シーホースアンカー』の持ち手を動かして直撃を避け、『ブラン』を受け止める。

 

「っくぅ・・・・・!!!」

 

「やるな・・・・・・さすがレイだ・・・・・・!!!」

 

互いに先読みをして相手より先を取る。

 

「レイ対ジン・・・・・・超人同士の対決か・・・・・・」

 

「バンさんは、どっちが勝つと思いますか?」

 

「さすがに予想つかないかなぁ・・・・・・」

 

「【秒殺の皇帝】のジンと【黒閃の双剣】のレイ・・・・・・実力はどちらも一級」

 

「勝つにはどちらかが先に相手の上を行くしかない」

 

「でも、ジンもレイも相手の上を行くことを理解してると思うよ?」

 

兄さんたちが僕とジンの対決を固唾を呑みつぶやく。

『シーホースアンカー』の上からの振り下ろし、それを右に反転して避けてそのまま『ノワール』を突く。

けどトリトーンは持ち手で『ノワール』の突きを防ぐ

そのまま追撃をせずに下がる。

 

「っ!読まれたか」

 

下がったと同時に、今までエレボスがいた所に『シーホースアンカー』が薙ぎ払われた。

 

 

『す、凄まじい戦いだ!!トリトーンとエレボスどちらも引けを取らない!!』

 

 

「・・・・・・」

 

ジンとのこれまでの戦いと、今までの戦いから動きを予測する。

地を蹴り、右上から『ノワール』を振り下ろす。

振り下ろされた『ノワール』をトリトーンは弾き飛ばす。

が、ハンマーを振り上げて空いた胴体に今度は『ブラン』で切りつける。

 

「っ!」

 

今の攻撃でクリティカルとはまではいかないが、ダメージを与えることは出来た。

そのまましゃがんで足祓いを仕掛け体勢を崩す。

体勢を崩したトリトーンだが、『シーホースアンカー』を右手に片手で持ち、空いた左手を地につけて転倒を防いで距離を取った。

距離を取りつつも『シーホースアンカー』を投げ飛ばし、エレボスを攻撃する。

咄嗟にガードするがハンマーという重装備なためトリトーンとは反対側に飛ばされる。

 

「流石だよジン。強い」

 

「それは僕も同じだ。油断も隙もない」

 

睨み合うように対峙するエレボスとトリトーン。

 

「けど、そろそろこの楽しい時間も終わりにしようか!!」

 

「ああ!そうするとしよう!!」

 

「「必殺ファンクション!!」」

 

ニヤリと笑うと同時に必殺ファンクションを発動させた。

 

「【アタックファンクション!真―ヴォーパル・ストライク!!】」

 

「【アタックファンクション!オーシャンブラスト!!】」

 

深紅の光槍と水の奔流が同時に放たれ中央でぶつかる。

威力は互角。

いや、僅かに【ヴォーパル・ストライク】が押してるか。

互いの必殺ファンクションはそのまま相殺され、

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ブレイクゲイザー!!】」

 

そのままジンは別の必殺ファンクションを発動させた。

【ブレイクゲイザー】・・・・・・ジンの前機[ゼノン]が使っていた必殺ファンクションだ。

激しい青い炎の奔流が凄まじいエネルギーを発して迫ってくる。

ジンが【オーシャンブラスト】を囮にして、本命の必殺ファンクションを放つこと、それは―――

 

「っ!それは読んでいた!!」

 

「何っ!?」

 

炎の奔流をエレボスは上に飛び上がって避け、

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!真―ソニックリープ!!】」

 

僕がこれまで使わずにいた、片手剣の必殺ファンクションの中で最速の必殺ファンクションを発動させた。

『ノワール』に青緑のライトエフェクトを纏わせて、ソニック(音速)の名の通り、『ノワール』を肩に背負い一気にトリトーンとの距離を詰めて右上斜め切りをする。

一瞬でトリトーンとの距離を詰め、斜め切りをしてエレボスはトリトーンの背後に降り立つ。

エレボスが『ノワール』を振り払うと、トリトーンは青白いエフェクトを発光させてその場に倒れた。

 

 

『き、決まったァーー!!トリトーン、ブレイクオーバー!!海道ジンさん脱落です!!最後まで立っていたのは山野レイさんのエレボスだぁ!!!』

 

 

ジオラマの結果を見て司会者さんが興奮したまま実況して結果を伝える。

司会者さんのテンションはもうボルテージマックスで、頬が赤くなるほどに興奮していた。

それは観ていた他の人たちも同じで、破れんばかりの拍手と歓声があちこちから響いた。

 

「・・・・・・負けたか」

 

「ふぅ・・・・・・。紙一重だったよ」

 

そう。

あの時ジンが【ブレイクゲイザー】を使ったため何とか上に飛んで避けたが、もし違う必殺ファンクションだったら負けていたのは僕だったかもしれない。

幾重にも読んではいたが、絶対がないのがLBXバトルだ。

番狂わせが起こるのもそう。

だからこそ面白いし、楽しいのだ。

 

「またこういうバトルをしたいな」

 

「そうだな。その時は僕が勝たせてもらう」

 

「いいや。その時も僕が勝ちます」

 

ふふっ、と笑みを浮かべてジンと話す。

兄さんたちもそれぞれ感想を言い合っていた。

そこに。

 

「楽しかった?」

 

と、キヨカが訊ねてきた。

 

「うん。キヨカは?」

 

「私もよ」

 

クスッと微笑むキヨカ。

アルテミスで優勝は出来なかったけど、アルテミスに参加して良かったと、僕は今日1日を振り返ってそう思ったのだった。

 

 

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