ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩⅩVI 日常へ

 

〜レイside〜

 

アルテミスでの大統領暗殺阻止からの、アルテミスでの戦い。

そして夜に行われたパーティーでの大バトルロワイヤルを終えた翌日。

僕は今水着に着替え、海を眺めていた。

 

「・・・・・・日に焼ける〜・・・・・・」

 

日差しを避けるため、パラソルの下。日陰から兄さんたちが遊んでる姿を眺める。

 

「レイって肌弱いものね」

 

そう言うのは、同じく隣に座ってる薄紫色のワンピースタイプの水着を着たキヨカだ。

 

「弱いっていうか、日に焼けたくないというか・・・・・・」

 

あはは、と苦笑して返す僕。

何故僕らが水着に着替えて海で遊んでるのかというと―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――数刻前

 

 

「ん〜〜・・・・・・!」

 

朝日がカーテンの隙間から入り、上体を起こして伸びをする。

 

「もう朝かぁ〜・・・・・」

 

昨日のパーティーの後、それぞれお風呂に入った後少し遅めの夕飯を取り、それぞれ部屋に戻ったあと僕とキヨカは来れなかったルナと通話で話していた。

 

『―――優勝、惜しかったねレイ』

 

「まぁね。でも、来年は必ず優勝するさ」

 

『なら、その時は私とチーム組んでよね』

 

「うん。もちろんだよ」

 

苦笑しながらルナのお願いに答えてると。

 

「む〜〜・・・・・・」

 

隣でキヨカがムスー、とむくれた顔をしていた。

 

「キヨカ?」

 

首を傾げながらキヨカに訊ねる。

 

「・・・・・レイの浮気者」

 

「なんで!?」

 

ぷいッ、と横を向くキヨカ。

いや、ナンデェ!?

 

『大丈夫だよキヨカ!キヨカもまた一緒に組めば良いんだから!』

 

「っ!そうね!」

 

『あ、でも、メアもだろうし・・・・・・』

 

「?????」

 

キヨカとルナ。

女子二人の会話がイマイチ分からない。

ま、まぁ、誰とチームを組むかはその時になったら考えようかな。

苦笑しながらそう思ってると。

 

「『ジィー・・・・・・・・・・』」

 

隣からキヨカが。

画面からルナがジト目で視てきた。

いや、無言で見られると怖いんだけど・・・・・・

 

「レイのバカ・・・・・・」

 

「へ!?」

 

『レイの無自覚たらし・・・・・・』

 

「はい!?」

 

なんでか分からないけどキヨカとルナに悪口言われてる。

いやナンデェ!?ホントになんで!?

ワケもわからずにオロオロとしてると、キヨカとルナは互いに顔を見あわせて、はァー、と溜め息を吐いたのだった。

頭の上で疑問符が飛び交いながらも色々なことを話して―――

 

「あー、ルナと話し終わったあとキヨカと話していて寝落ちしちゃったのか」

 

反対側で寝巻きを着て寝てるキヨカを見て昨夜の事を思い出す。

まぁ、昨日は昨日で色々大変なことあったからなぁ。

結構疲れが溜まってたんだろうなぁ。

端末を手に取って何か連絡がないかチェックする。

今の時間は朝の6時半すぎ。いつもより少しだけ早い感じだ。

室内に取り付けられているTVで朝のニュースを確認する。

話題はやはりアルテミスと大統領の平和演説に関することだ。

大統領の暗室未遂については、暗殺の"あ"の字すら無かった。

しばらくして、廊下から聴こえ覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

『じゃーん!どう?!』

 

『派手な水着でしょ?』

 

 

「ん?」

 

声からジェシカとランのようだ。

二つ隣の兄さんとヒロの部屋の方から聴こえるが・・・・・・

疑問符を浮かべながら扉を開ける。

扉を開けると、兄さんたちの部屋の扉が開いていて、その前にジェシカとランがいた。

ランは何時もの服だが、ジェシカに関しては水着姿だった。よく分からないけど、ひと目で派手な水着だと判る。しかも結構派手。

何してんのやら・・・・・・

溜め息を吐きながらジェシカとランの後ろに移動し。

 

 

スパンッ!!

 

 

「痛ったぁぁーーっ!!」

 

「うわっ!?」

 

ジェシカの頭にハリセンを一閃した。

そんなに痛くしたつもりは無いんだが・・・・・・

蹲るジェシカに片眉を上げて思ってると。

 

「な、何すんのよ!」

 

ジェシカが涙目で言ってきた。

続けてランも驚いた顔をしながら。

 

「レイ!?何してるの!?」

 

「いや、朝早くから廊下で騒いでいて、しかもこんな所で水着姿のジェシカにそれを言いたいんだけど?」

 

二人に向かって呆れた眼差しで返す。

 

「ランはともかく、ジェシカはなんで水着姿なのよ」

 

「いいでしょ!?」

 

「いや、嫁入り前の娘がにこんな所で妄りに肌を晒すのは問題だと思うけど・・・・・・」

 

「よ、嫁入り前の娘・・・・・・っ」

 

肩を竦めて言う僕にジェシカは何故か顔を紅潮させた。

まぁ、普段からヘソ出しスタイルのジェシカだし。

さすがA国女子か。

日本人のアミ姉やリコさんとは違うね。

 

「うわぁ・・・・・・」

 

「だ、大丈夫ですかジェシカさん・・・・・・?」

 

部屋の中では兄さんとヒロが頬を引き攣らせている。

 

「って!アンタは私のお母さんか!!」

 

「???兄さんの弟だけど?」

 

紅潮させた顔から、ツッコミ?をしてくるジェシカ。

いや、僕別にジェシカのお母さんじゃないんだけど?

 

「そういう意味じゃないわ!」

 

「???」

 

ジェシカの言葉の意味が解らず首を傾げてると。

 

「・・・・・・ねぇ、バン。レイってもしかしてかなりの天然?」

 

「あ、ああ。かなり、っていうか滅茶苦茶天然」

 

「うそー・・・・・・これを無自覚でやってるの?!」

 

「噂ではレイのこと『天然母(ピュアマザー)』なんて言う二つ名もあるみたい」

 

「いや、レイさんは男ですよ?」

 

「あー、まぁ、そうなんだが・・・・・・。レイ、家事炊事なんでも万能だし」

 

「た、確かに、レイの作った料理は美味しかった。癪だけど」

 

「ホント、レイさんって僕らより歳下なんですか?」

 

・・・・・・なんていう兄さんとヒロ、ランの会話が耳に入ってきた。

料理とか普通にやってるだけなんだけど?

 

「とにかく、ジェシカは服を着直してきなさい。それから朝食。その後にまた着替えて海に行けばいいでしょ」

 

「うぐぐぐっ・・・・・・」

 

ジェシカにそう言うと僕は欠伸をして部屋へと戻った。

部屋へと戻ると、寝惚け眼を擦ってるキヨカがいた。

どうやらキヨカも起きたようだ。

その後、寝巻きから何時もの服に着替えて、ホテルの食堂で朝食を食べ、水着に着替えて海に向かった。

ちなみにだが、ホテルの朝食はバイキング形式で結構美味しかった。

今度作ってみたい料理も色々あったし。

 

とまあ、閑話休題―――

 

で、話は戻り、僕は黒のトランクスタイプの水着を着てパラソルの下にいた。

上には日焼け防止のため、ラッシュガードと薄手のカーディガンを着ている。ちなみに日焼け止めクリームはちゃんと塗ってある。

 

「キヨカは行かなくてもいいの?」

 

視線の先ではジェシカやランが海に入り、ビーチボールで遊んだりしていた。

 

「私は休んでるわ。疲れるし、ジェシカさんたちの体力にはついてけないし」

 

「あははは・・・・・・」

 

確かに、ジェシカとランは女子にしてはお淑やか、というより活発だ。

まぁ、2人とも気が強いってのもあるのだけど。

それにしても―――

 

「兄さんたちの水着、上手い具合にそれぞれの個性を出してるよなぁ」

 

兄さんたちの水着を見てボソッと呟く。

ヒロはセンシマン、兄さんはLBX、ジンは戦闘機、ダイキさんはジョーカー、と。

僕のは何もプリントされてないシンプルなやつなんだけど。

 

「ところで」

 

「?」

 

「私の水着・・・・・・どう?似合ってる?」

 

ボソボソ、と少しずつ声を小さくして聞くキヨカ。

キヨカの水着は薄紫色のワンピースタイプで、華美な装飾もなくシンプルだ。

ジェシカやランのように肌を多く露出している訳では無いが、キヨカの魅力を十全に引き出している。

 

「そ、その・・・・・・に、似合ってます・・・・・・可愛いと思う、よ・・・・・・」

 

ジェシカの水着を見てもなんとも思わなかったんだけど、キヨカの水着を見てるとちょっとドキドキする。

昨夜のパーティーの時に、キヨカのドレスを見た時と同じだ。

そう思ってると―――

 

 

「し、しまった!」

 

「―――あっ !レイ、避けて!!」

 

 

「?」

 

ランの慌てた声が聞こえてきた。

何事かと視ると、ジェシカがビーチボールを打ち終わった姿で、そのビーチボールがコッチに向かって来ているのが見えた。

 

「へ?」

 

思わず目が点になる。

いや、なんでビーチボールがコッチに来るの?

そんな疑問が浮かぶ中・・・・・・

 

 

「―――(ヴォーパル・ストライク!)

 

 

視界がスローモーションになり、さらに身体が自然と動いて、迫り来るビーチボールが次の瞬間にはジェシカの方に反転(リバース)しているのが視えた。

 

「え?」

 

何が起きたのかわからない中、自分の姿を見る。

蹴りをした体勢のままの自分に呆然となる。

 

 

「ぐぺっ!!」

 

 

呆然としていた僕のところにジェシカの、女子がしてはならないような声が耳に入った。

それと同時にバシャン!という水の中に何かが倒れる音が。

そしてその近くにはビーチボールがプカプカと浮いていた。

 

「え・・・・・・?今、何が・・・・・・??」

 

訳の分からない中、自分に起きたことを把握する。

多分、ビーチボールを蹴り返した、と思うんだけど、その蹴ったという記憶が無い。

無意識下に行われたのか、分からないが・・・・・・

 

「レイ、今の・・・・・・」

 

「え?」

 

そんな僕にキヨカが目をぱちくりして言う。

兄さんたちも僕の方を看ている。

 

「今、何が起きたか覚えてる?」

 

「いや・・・・・・」

 

「レイ。ビーチボールを物凄い勢いで蹴飛ばし返してたわよ。しかも一瞬、赤い閃光が見えたし」

 

「はい?」

 

赤い閃光?

キヨカの言ってる意味がよく分からないけど、キヨカが嘘を付くとは思えないし・・・・・・。

ポカンとして自身の脚とジェシカとビーチボールを見る。

てか―――

 

「ジェシカ、大丈夫?!」

 

ジェシカのこと忘れるところだった!!

慌てて駆け寄りジェシカの容態を見る。

幸いにもビーチボールというビニール製のボールだったためそんなに痛くはなかったようで、すぐに起き上がった。

 

「た、大丈夫ジェシカ?」

 

「だ、大丈夫じゃないわよ・・・・・・!!」

 

「ご、ゴメン・・・・・・?」

 

というか、ボールを投げたジェシカに問題があるような気もしなくもないが・・・・・・

そう思ってると―――

 

「っ!」

 

「嘘っ!避けたの!?」

 

身を捻った所をランが回収して投げたビーチボールが通り過ぎた。

視覚外からの投擲。

なんとなく気配で分かったから避けたけど・・・・・・

思わず反射的に反撃しそうになったよ?

 

「いきなり何さラン」

 

ジト目でボールを投げたランを見る。

 

「いやー・・・・・・なんとなく・・・・・・」

 

「なんとなくでボールを投げるな」

 

はァー、と何度目か知らない溜め息を吐く。

溜め息を吐くと幸せが逃げる、とか言うけど・・・・・・僕の幸運値って低いのかなぁ・・・・・・。

ははは、と乾いた笑みを浮かべて空を見上げる僕。

 

「というか、間違えて僕とキヨカの方にボールを投げたことへの謝罪はないわけ?」

 

「あ、ご、ゴメンなさい」

 

あ、と気づいたように言うジェシカ。

忘れてたなコレ。

そう思ってると。

 

「ところでなんでレイはカーディガン羽織ってるの?」

 

「下もラッシュガード着てるわね」

 

ランとジェシカが訊ねてきた。

 

「なんでって・・・・・・日焼けしたくないし。それに―――」

 

視線をずらして告げる。

日に焼けると痛いんだよね。

敏感肌体質だから尚更。

それに、もうひとつ理由があり―――

 

「監視員に女子と間違わられるから」

 

遠い目をして告げる。

その一言を聞いたジェシカとランのみならず、ヒロたちもなんとも言えない表情を浮かべた。

性別は男子なのに、容姿が中性的(微妙に女子に偏ってる気もするけど)な為、僕を初見で見る人はまず間違いなく僕のことを男子ではなく、女子として見る。

普段ならいいのだが、こういう海やプールとかで上を着ないでいると何処からかすぐに監視員などが現れ、なんで上を着ていないの!?や、女子なんだから!!、と言われる始末。

僕が性別は男子だ、と言ってもそんな訳ないでしょ!?と驚いた顔をして言ってくるわ、上を強引に着させるわで。

そのため、もう予め上にラッシュガードを着ることにしたのだ。

まぁ、一応日焼け防止にもなってるからいいんだけど、正直少し複雑な気分。

 

「はぁ・・・・・・僕は第三の性別"秀吉"かよ・・・・・・」

 

ははは、と力ない。空笑いどころか自虐気味な笑いをする。

てか、秀吉って誰さ・・・・・・

何故か分からないがこの言葉が正しいと本能的に解った。

 

「た、確かに、レイって初見からしたら男子とは誰も思わないものね」

 

「あ、あたしもそうだったし」

 

「それ、フォローになってないよ。まぁ、もう慣れたから良いけどね」

 

ジェシカとランのフォローとも言えない言葉に苦笑しながら返す。

 

「と、とにかく!レイもせっかくの休みなんだから遊びましょうよ!」

 

「う、うん!!そうした方がいいよ!」

 

苦笑する僕を励ます2人。

そうだね〜。せっかく海にいるんだし遊ぶかなぁ〜。

 

「そうだね〜。じゃあ・・・・・・」

 

返事を返すや、近くに浮いていたランの投げたビーチボールを取り、

 

「お返し!!」

 

思いっきりランに向かってビーチボールを投げ付けた。

 

「うわっ!」

 

さすがの反射神経で受け止めるラン。

 

「やったな!フンっ!」

 

今度はお返しにランがビーチボールを投げ付けて来る。

 

「はあっ!」

 

投げつけられたビーチボールを取り、今度はジェシカに投げる。

 

「今度はコッチ!?」

 

慌てて避けるジェシカ。

避けられたビーチボールはジェシカを通り過ぎ―――

 

「後ろがガラ空きよ」

 

「キヨカ!?」

 

後ろにいつの間にか居たキヨカがキャッチしてジェシカに投げた。

 

「お返しよジェシカ」

 

どうやらビーチボールを投げたジェシカに対して少しお怒り気味だったらしい。

 

「ご、ゴメンって!!」

 

「許さない」

 

「ヒエッ!」

 

撤回。

少しどころか、かなりらしい。

 

「レイとの時間を邪魔したのだから覚悟出来てるわよね」

 

「ご、ゴメンなさい!!」

 

・・・・・・・・・・。

ボールだけでなく、今度は海水を掛けるキヨカ。

キヨカの言葉に少し恥ずかしくもなるが・・・・・・

その後、ジェシカとランへの制裁?を済ませたキヨカは良い顔で、満足そうにパラソルの元に戻った。

僕もキヨカに連れられてパラソルの元に戻り、兄さんたちが必殺ファンクションを叫びながらビーチバレーをするのを眺めつつ、近くの人気のない所へと涼みに行った。

 

「元気だなぁ兄さんたちは」

 

「そうね」

 

岩場に腰掛け、足を海水に浸からせて潮風を浴びる僕とキヨカ。

 

「あと少しでまた離れ離れね」

 

「うん」

 

「メアの事・・・・・・。お願いね」

 

「うん。メアは必ず助ける。カズ兄も」

 

アミ姉は中国で兄さんたちが助け、後はカズ兄とメアだけ。

未だにディテクターの行方は分からないけど、絶対に見つけだしてメアとカズ兄を助け出す。

そしてメアたちを拐った罪は絶対に購ってもらう。

 

「ディテクターに会ったら、取り敢えず一発はぶん殴る」

 

これは絶対にする。

今回のアルテミスでの件と言い色々気になることはあるけど、取り敢えずディテクターは絶対に潰す。

見敵必殺。滅殺。抹殺。消滅。殲滅あるのみだ!

 

「気をつけてね」

 

「うん。キヨカも気をつけて。何かあったら紳羅さんや八神さんに連絡して」

 

八神さんは財前総理のエージェントのため難しいかもだけど、公安の紳羅さんなら部下に命じて陰ながら安全を保証してくれるはずだ。

 

「もちろん、僕にも連絡して。必ず行くから」

 

「ええ」

 

兄さんたちの声とビーチボールを叩き付ける音を聴きながら、僕とキヨカは残りわずかの時間を過ごした。

数時間後、僕や兄さんたちはダックシャトルでNICSへと帰投し、キヨカとダイキさん、郷田、アスカとは空港で別れた。

NICSに戻りひと休憩付くや、僕たちは司令室で会議を行うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時まだ僕は気づいてなかった。

キヨカたちにディテクターの魔の手が、もう既に掛かっていた事に。

そして再会が最悪な事になることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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