潰し宴と天地漫遊   作:じょうじょうじ

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天地の首都どこだよ!

追記:コメントで教えていただけたので首都名修正しました!


孵化

 

「ここが刀都か…」

 

見渡すといかにも和風な建築物と散り続ける桜、当然のように帯刀して闊歩する性別も肌色も髪色も千差万別のマスターとティアンたち

 

「まずは何をしようか…」

 

やはりレベリングだろうか

 

しかし狩場が分からない

 

クランに入るべきだろうか

 

しかしどこで出来るのかも分からない

 

「とりあえずレベリングかなあ」

 

効率が悪くても敵を倒せればレベルは上がるだろう

効率的な狩場やクランもエンブリオが孵化してからでも遅くはないだろう

適当なマスターに声をかける。ガラが悪い気もするが人は外見じゃない

 

「すいませーん!」

 

「あん?…初心者か、どうした?」

 

「今日始めたばかりで何もわからなくて…レベリングをしたいんですがおすすめの狩場とかありますか?」

 

「おすすめの狩場ねえ…そうだ、西の山の麓に竹林があるんだ。そこなら初心者にも手頃なモンスターがいるぜ」

 

「!ありがとうございます」

 

強面に見合わず優しく教えてくれて助かった。やっぱり人は顔をで判断すべきじゃないな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竹林の影から一体のティールウルフが飛び出してくる

 

身をそらして軌道から体を外し背中を斬りつける

 

刃は潰されているので途中で止まってしまったが大ダメージだ

 

背中を蹴飛ばして刃を引き抜くそのまましばらくすれば死ぬだろうが気にかける余裕はない

 

群れの残りの数体が続けざまに襲いかかってきた

 

(これ…本当に初心者向けか!?)

 

余りにも息つく暇がない

 

子供の頃から武術を齧っているので人より動ける自信があったが他の初心者がこれを楽にこなせるならプライドはズタズタだ

 

 

「やっと終わりだ!」

 

群れを全滅させ一息つく頃には日が沈みかけ夜にさしかかろうとしていた。

 

さてレベルは

 

 

「上がってねえ!」

 

0のままだった

 

レベルを上げるのはジョブを取得してからでなければならないとはこの時知るよしもない俺のレベリングは徒労に終わった

すわバグか不具合かと首を捻っていると

 

「ん?」

 

竹林の中に踏みいる人の足音が聞こえてきた

 

 

「よお、レベリングは順調か?」

 

「あの時はどうもありがとうございました。それがなんでかレベルが上がらなくて困ってまして」

 

「ああ、知ってるよ」

 

「?知ってるってどういう」

 

ぞわり

 

突如感じた悪寒に従いとっさにかがむと首があった空間へ銀閃が走った。

 

「おいおい、ほんとにレベル0かよ?躱されたのは初めてだぜ」

 

「てめえ・・・」

 

「おいおい、そんなにかっかすんなよ?【初心者狩り】なんてよくあることだろ」

 

「何が楽しくてそんなことをしてんだよ?経験値でも美味いのか?」

 

「初心者が絶望して、怒って、恐怖しているのを眺め、甚振る。この風情がわからないとはガキだねえ・・・じゃあ死ね」

 

「!くそが・・・」

 

再び迫るステータスにものを言わせた一閃をなんとかかわし逃走を図る。

 

「おいおい隠れんぼか!?いいねえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

竹林をジグザグに走り竹藪に身をひそめる

 

一直線ににげつづけてもAGIで勝るあいつを振りきることなんてできない

なら身を潜めてあいつが見失ってからログアウトするしかないだろう

 

あの野郎は心底憎たらしいが今の俺じゃあ一泡ふかせることすら

「みーつけた」

 

「!?」

 

とっさに身を翻すが右手を斬り落とされる

 

「見失ったと思ったか!?残念でした!お前は俺のエンブリオを欺くことなんで出来ねえんだよ!」

 

「クソ!」

 

どうやら奴のエンブリオは索敵系のエンブリオなようだ

 

初心者狩りするようなやつだからエンブリオも戦闘系かと思っていたがどうやら陰湿さが反映されたらしい

 

俺にも、エンブリオがあれば

 

「ま、そろそろ飽きてきたから死んでくれ」

 

 

あいつに、この窮地に勝てるようなエンブリオがあれば!

 

「ちくしょう」

 

 

 

 

 

刹那、男の体が横に吹っ飛んだ

 

「え?」

 

そしてさっきまで男がいた場所には狐耳が特徴的な女性が蹴りを放った状態で立っていた

 

「あ、ありがとうござい」

 

 

通りすがりのマスターが助けてくれたのかと礼を言おうとして気づく

その左手には紋章が、マスターの証がなかった

そして俺の左手の甲にあった宝石は月を背にした狐の紋章へと変わっていた

 

「ようやっと会えたわ、マスターはん?」

 

「お前が俺の…?」

 

戸惑う俺を見てその女は妖艶に、無邪気に微笑んだ

 

「ウチの名前はギンセツ。【饗宴妖華 ギンセツ】や。これからよろしくな、マスター?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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