「大変な目にあった」
あの後サジンのランダムドロップを回収した俺は一度ログアウトしてジョブやエンブリオについてwikiで調べた後再度ログインし刀都に帰ってジョブに就くことにした。
『スキル解除するの忘れてへん?』
「そういえばそうだった」
スキルの解除を念じるとステータスが元に戻りギンセツが傍に現れる
「ふーええもん見せてもろた…わ…」
楽しげに話しかけてきたギンセツの声が詰まる
怪訝に思ってギンセツを見るとポカンと間の抜けた顔をしていた
「どうしたギンセ…ツ?」
声がおかしい
いや確かに先ほどまでと声は変わっていないが変わっていないのはおかしい
鏡を確認するとそこにはもう一人のギンセツがいた
違うところといえば髪色が白髪のままだということだけだ
「どうなってんだ…」
結局どうにもならなかったので刀都に帰って来た。ギンセツには紋章に戻ってもらうつもりだったがギンセツが拒否したため一緒に歩いていると周囲からの視線が刺さる。
エンブリオがマスターの心理に影響されるとまことしやかに囁かれいるせいで端から見れば俺は自分そっくりなエンブリオになるほどのナルシストに見られているのだろう。
(むしろギンセツがナルシストだから俺の姿が変わっちゃったのかもな)
益体もないことを考えていると2.3歩先を歩いていたギンセツが急にグリンと首を振り返らせて見てくる
「なあマスター知っとる?エンブリオってなぁ、マスターの考えてることがわかるんよ」
「へぇ~、あっ」
ギンセツは変わらず笑顔を浮かべている
しかしその笑顔の背後に極寒の氷河が見えた…気がした
「申し訳ありませんでした!ギンセツ様!」
「くるしゅうないな~♪」
尻に敷かれる未来を感じさせつつ歩いているとジョブクリスタルの前にたどり着く。ここでジョブに就いたりメインジョブとサブジョブを入れ換えたり出来るのだ。
「最初のジョブはもう決めたん?」
「やっぱ和風の国なら武士かなって」
「単純やねえ」
「うるさいですね…」
軽口を叩きつつジョブクリスタルを操作し武士を選択する
イズモ
【
「おお・・・!」
ただのゲーム内の表記だが武士になったという表記に心が躍った
「俺武士だってよ!」
「馬子にも衣裳やねえ」
「はあ!?」
なんかギンセツが冷たい気がするが心当たりがないから困る
ジョブを決めてから目も合わせてくれてないような
「なんか怒ってる?」
「気遣ってくれるなんて涙でるわあ」
怒ってますね
「・・・普通はエンブリオとの相性を考えてジョブを決めるらしいなあ」
あ
「そういえばギンセツもスキルとかも口頭で聞いただけだったっけ」
ギンセツは顔を逸らして続けていて顔が見えないが黙って聞き耳を立てているのか耳がピクピク動いている
「ギンセツのステータスは…っと」
ウインドウを開きパーティー画面からギンセツを選択する
【饗宴妖華 ギンセツ】
TYPEメイデンwithガードナー
到達形態:Ⅰ
HP :1800
MP :1350
SP :900
STR:225
AGI:450
END:90
DEX:45
LUC:9
ステータス補正
HP補正:B
MP補正:C
SP補正:E
STR補正:D
AGI補正:C
END補正:F
DEX補正:D
LUC補正:G
『保有スキル』
《狐憑き》Lv1:
マスターに憑依しエンブリオのスキルとステータスが加算される
憑依時LUC以外のステータスに100%の補正
《一ツ尾狐》Lv1:
MPを払い【一ツ尾狐】を召喚する。上限は3体
「一ツ尾狐って?」
「この子のことや」
と言うと狐が一匹召喚される
【一ツ尾狐】
HP :900
MP :100
SP :50
STR:100
AGI:100
END:100
DEX:10
LUC:9
「お、俺より強い…だと…?」
このままではマスターとしてのプライドに傷が付く
狐が心なしかドヤ顔をしているような気もする
「早くレベリングに行こうぜ!」
エンブリオを守れるようなマスターに早くなりたい
今のままでは情けなすぎるだろう
「ふふ、ああおかし」
ギンセツの機嫌も治ってきたようで良かった。理由はわからないが