Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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14:エデン条約編:Swimsuit party

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<20██年初夏>

 フォード 特殊戦開発グループ 大尉

 トリニティ総合学園・別館/合宿所の一室

 

 

 

 

 

 

 

 ミカとの折衝から数時間後、フォードたちは合宿所に戻ると昨日のように補習授業部の生徒たちの監視。また、ハナコの知り合いである''伊落マリー''との接触。といった、特に危惧するような出来事が起こらない日中を彼らは過ごした。

 

 そして、現在は深夜。いつもなら生徒を監視するために宿舎内の巡回をしていたが、日中のミカの話を踏まえて彼らは話し合っていた。

 

 「....少なくとも、ミカが本当の裏切り者なんだろうな。」

 

 「そしてアズサを守れ.....ですか。彼女は暗殺されるとまではいかないものの、退学させられそうになっているのは事実ですからそういうことなのでしょうね。」

 

 「いや、わからない。もし退学することが出来なかったら、暗殺をするかもしれない。」

 

 フォードはピアーズが話しているように彼女が退学させられそうになっている状況は事実だが、暗殺されるという状況についても想定をしていた。最悪の想定である。

 

 「でも暗殺するなんて彼女には出来ますかね?」

 

 「この学園の治安維持組織である正義実現委員会が、暗殺するとは考えにくいが.....彼女の権力を使えば、ああいった組織ぐらいは動かせそうじゃないか?」

 

 「彼女直轄の実働部隊....もしかしたらティーパーティー直轄の部隊がいるかもですね。」

 

 「もし存在するとしたら、俺たちは戦う羽目になるのかね....最悪だよ。」

 

 フォードは戦うことに嫌気が差していた。いくら彼らは特殊な訓練や実戦といった経験を積んでいたとしても、先生のような普通の人間と変わらず一発で死ぬこともある。それに比べて、ヘイローを持つ生徒たちは1、2発程度じゃ死ぬことなんてなく、せいぜい運と当たり所によって一時的に気絶させることしかできない。

 

 それに数がいくらいるのかもわからない。もしかしたら、フォードたちと同じ二人かもしれないしフォードたちよりも多いかもしれない。数で押されるとなると彼らは厳しいと考えている。どちらにしろ、今いる彼らのみで戦うのは不利でありフォードがそれらの理由から、戦うことを避けようとするのは当然だった。

 

 「それと戦うとしたらこの校舎内におびき寄せるしかなさそうな気がします。」

 

 「ああ、ゲリラ戦に持ち込んでしまおうってことか?それならアズサでもなんとかなりそうだが...。」

 

 ゲリラ戦、それはアズサが得意とする戦術だ。一般的にゲリラ戦は待ち伏せ攻撃や奇襲攻撃といった相手の不意を突く戦法であり、上手くいけば一度にかなりの損害を与えることができる。彼らはもし戦うのであれば、この宿舎に引き寄せてゲリラ戦に持ち込もうという考えに至っているのであった。

 

 「そういえば、日中たしかシスターフッドの生徒が誰かが仕掛けたブービートラップに巻き込まれていましたね。」

 

 「あれか....ただ訪問しに来ただけなのにあれは不憫すぎるな。」

 

 彼らは日中、ハナコに会うために訪れたシスターフッド所属の生徒であるマリーと接触した時のことを思い出す。彼女は何者かが出入り口やドアに仕掛けているブービートラップの存在を知るわけでもないので、まんまと引っ掛かるという不運な出来事に見舞われた。それも一回だけでもなく、数回も。

 

 当時、彼らは巻き込まれた彼女を見て同情してしまうほどの出来事だったのだ。

 

 「俺たちは幸運にも引っ掛かることはなかったな....怖いものだ。」

 

 フォードがそう呟いていると、ピアーズは就寝するときに着ている黒色の短パンからスマホを取り出す。そしてスマホを操作すると、フォードに写真を見せた。

 

 「これは....宿舎内の地図だな。」

 

 「そうです。あと、あの(マリーの訪問)後に自分たちが調べたブービートラップの場所もちゃんと記してあります。」

 

 「助かる。」

 

 ピアーズは右にスマホの画面をスワイプすると、地図に赤色の印で記された画像が出てくる。これがブービートラップが仕掛けられた箇所である。

 

 「ええと、本当に至る所にあるな....。」

 

 「一体誰が何の為にしたのでしょうかね?」

 

 「....これって利用できそうじゃないか?」

 

 「何にです?ティーパーティとの戦いですか?」

 

 「その通りさ、もし誘い込むとしたら──────────」

 

 それから彼らは敵が襲撃するであろう場所を予測、そしてどのように戦うのかを議論した。宿舎内に存在する数多のトラップ、弾薬の保管場所、侵入可能な出入り口、医療品の在処といった戦闘時において役に立つであろう情報なども整理した。

 

 それらの情報の整理や、戦闘時の対応について議論しているとあっという間に時間は過ぎていった。

 

 「────────いや、やっぱりここの入り口を封鎖してだな。」

 

 「────────いえ、封鎖するだけではだめです。バリケードの設置を...。」

 

 そして、彼らの議論をしている最中に一つの叫び声が聞こえたことで議論が中断させられた。

 

「さ、3人......!?バカ、ヘンタイ!淫乱族っ!!」

 

 その声を耳にした兵士たちであるフォードとピアーズは一体何が起こったのか、ということを理解出来なかったが万が一に備えて、彼らのサイドアームを携帯し声が聞こえてきた場所へと全速力で向かった。

 

 なお彼らは黒色の短パンを履き、タンカラーのインナーの上にボディーアーマーを着用している。そんな姿で全速力で駆け付けると、声の主であるコハルは夜の密会を開いていた三人(先生、ヒフミ、ハナコ)たちを叱っているようだった。

 

  もちろん、すぐに現場に到着したフォードはその状況が理解できず何が起きたのか尋ねる。

 

 「どうしたんだ!?何があった!?」

 

 フォードがMP17に取り付けているライトを照らしながら、そう叫ぶとコハルは振り向く。そして彼女はフォードたちの姿を目にしたところ、こう言い放った。

 

 「い、淫乱族が5人も!?こ、このヘンタイ──────!!」

 

 彼らは普段よりも露出があまりにも多い姿で駆け付けたためか、コハルに叱られる羽目になった。もちろん、その場にいた5人全員はコハルからのお叱りを受けてから就寝するのであった。

 

 

 

 

 

 

<翌日>

 

 

 

 

 

 

 空から低く大きな音が耳に鳴り響くとフォードは目を覚ます。

 

 「.....なんだ....?」

 

 重たい瞼を開けながら、仰向けになっていると再びその音が聞こえた。

その音は砲撃が地面に着弾する時そのものであり、耳にしたフォードは宿舎は現在攻撃され、ただちに戦う必要があると考え起き上がる。

 

 「クソ!砲撃だ!起きろ!」

 

 フォードはぐっすりと寝ている、ピアーズを叩き起こす。

 

 「....ほ、砲撃....?....っ!!!」

 

 フォードに言われるがままに起き上がると、すぐさま個人装備であるボディーアーマーとヘルメットを身に着ける。そして、Mk.18を手に取る。これで反撃の準備ができた。

 

 再び音が聞こえる。まだ合宿所に着弾しているわけではないが、敵は宿舎を狙おうとしているのは明白だ。

 

 「ピアーズ、急げ!!!」

 

 フォードがそう叫ぶが、ピアーズは動かない。そして、ピアーズは身に着けている装備を解除し始めた。

 

 「何やっているんだ!?俺たちは攻撃を受けているんだぞ!!」

 

 フォードはピアーズに叱責する。しかし、そんな叱責は次の言葉で無意味となる。

 

 「....え?何を言っているのですか、これって雷ですよね?」

 

 「え?そんなはずは────」

 

 「いやいや、さっきの音は雷ですって....。」

 

 そう、フォードは雷が空に鳴り響く音を砲撃と勘違いしていたのである。そのため、攻撃を受けていないため損害も何もない。しかし、フォードはそのような真実を信じることはできずまだ攻撃を受けていると勘違いしているのだ。

 

 「本当か?」

 

 「本当です。10ドルを賭けられるくらいにはです。」

 

 「そうか、俺は雷じゃないにビールを2杯賭け────ー」

 

 そうやって賭けた直後、雷鳴が響く。そうすると視界が突然に暗転した。暗転した原因はフォードが気絶をしたわけでもなく、落雷による停電だった。

 

 そして信じられないと賭けたフォードは目の前で起きた停電が落雷によるものだと認識し、賭けに負けるのであった。

 

 「だから雷だと.....それはそうとビール奢ってくださいね。」

 

 「あ、ああ....。」

 

 

 

 

 

 

 

<一時間後>

 トリニティ総合学園・合宿所 体育館

 

 

 

 

 

 

 「まあ、こうなるのは仕方ないような気もする....。」

 

 そう告げるのは先生である。補習授業部の生徒たちとフォードたちは、かなりの広さがある体育館にて集結していた。

 

 そして集まる彼女たちはいつもの制服を着用しているのではなく、水着を着ている。そもそも彼女たちが水着を着る機会は本来はなかったが、朝からの悪天候により着替えがないこと。そしてそれらを洗濯したが不幸にも、宿舎に襲い掛かった雷が電源等をノックアウトしてしまったことにより、洗濯も不可能な状態に陥ってしまった。

 

 すなわち八方塞がりである。

 

 そして、いくらなんでも下着のままでいるわけにもいかない。そして彼女たちは水着を着用するという選択肢しか残されていなかった、というのが事の経緯だった。

 

 「そうですよ。こうなっては、パジャマパーティーならぬ水着パーティーくらいしかすることがありません♡」

 

 ハナコがそう口に出すと、ヒフミは返す。

 

 「あうぅ....な、何か他にもありそうな気がしますが....。」

 

 「なるほど、下着パーティーとかもありそうですね♡確かに昨晩は、フォードさんたちは下着で私たちのところまで駆け付けたものですから、意外と賛成する方はいるかもしれませんよ?本当に良いんですか....?ふふっ。」

 

 「一応、あれは戦闘用のインナーでもありますから....。」

 

 ハナコの誤解を生むような発言にピアーズはそう返すが、ハナコはニッコリとした顔でいる。きっと彼女はこういった話においては、無敵の存在なのだろう。

 

 「こうなると授業もやりにくいし....こんな落雷くらいで全部の建物が機能不全だなんて、酷いセキュリティだ。」

 

 アズサはM4A1を携帯しながら、そう不満を漏らす。それどころか、この建物は酷いことに廊下の照明の数が圧倒的に皆無であり、夜中は他の明かりが無ければまともに出歩くことすら出来ないも不満の一つでもあるのだが....。

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 この突発的に開かれた水着パーティーは誰かが考案したのかは分からないが、ある変態....という噂が密かに広まっている人物から考案されたものでもあった。

 

 そんなこともあってか、コハルは若干反発していた。

 

 「水着パーティーって何なの!!卑猥!!どうして水着を着てこうやって、皆で集まるのよ!!!」

 

 昨晩と変わらない調子で叫ぶコハルは今日も元気である。そんな頭の中がピンクに染められている彼女にハナコが話しかける。

 

 「みんな寄り添って、お互いの深い部分をさらけ出し合う....雨も降っている上に停電で何も見えませんし、雰囲気は最高です!」

 

 ハナコは続けて。

 

 「うふふふ.....♡せっかくの休み時間なんですし、有意義に過ごしません?」

 

 「あはは....確かにこういったのは合宿の定番という感じはしますね。」

 

 ヒフミの言う通り、こういったことは合宿の定番でありとても楽しいものだ。ただ水着を着てまではしないが....。もちろんこのことは再び、コハルに突っ込まれる。

 

 「いやいやいや、納得するか!!水着と掛け合わせる意味は!?」

 

 「まあまあ、せっかくなんですし楽しむことにしましょう。」

 

 ハナコは元気そうに喋る。おそらく、彼女はこういった学生らしいことをあまりしたことがないのだろう。

 

 「あ!あと、せっかくフォードさんたちとも関われるのですし互いを知る良い機会だとも思いますよ。」

 

 先生と補習授業部の生徒たちは密接な関りがあるが、彼らはほとんど彼女たちと関わる機会がなかった。しかし、この機会を有効に利用すれば彼女たちについてさらに知れるほか、信頼関係の構築が可能といったメリットがある。それらの理由から、彼らはこの水着パーティーに参加していた。

 

 「俺たちもこうやってゆっくりと話せる機会なんて無くてな、嬉しい限りさ。」

 

 「自分たちはほとんど警備の業務とかで、関われなかったのですからね。」

 

 フォードたちは話す。実際は警備という業務は大嘘であり、監視といったものであったが....。

 

 「まあ、ただのおしゃべりですし話題は何でもありということで♡」

 

 それから、楽しいおしゃべりの時間が幕を開けるのであった。一同は他愛のない話を交わした。時にはキヴォトスにまつわる噂であったり、彼女たちや彼らのユニークかつ貴重な経験についての話。そして、ジョークなどといったものであった。

 

 ────────「そういえば、今トリニティのアクアリウムにはゴールドマグロというのが展示され.....」

 

 ────────「......水着で街や学園を歩き回るやつがいるか!!公然淫猥罪だよ!?」

 

 ────────「海か.....とても楽しいのはわかる。ただ地獄週間(ヘル・ウィーク)は勘弁だな。」

 

 

 

 

 「アズサちゃんはもっと、夜はきちんと寝たほうが良いと思いますよ?」

 

 「....うん。今朝は寝坊をして迷惑をかけてしまった。慣れない場所で寝坊なんて、ほとんどなかったのに....。」

 

 話題が転々と変わっていくと、今度はアズサの睡眠についての話となった。皆はアズサがあまり寝れていないことに、心配しているのだ。

 

 「.....とにかく、もっと寝たほうがいいです。深夜の見張りは減らしていただいて。」

 

 「見張りは俺たちで十分さ。こういったことは俺たちの仕事さ。」

 

 フォードたちはアズサに助言を伝える中、先生も加わる。

 

 「ハナコ、アズサのことを心配していたよ。」

 

 その言葉を聞いたアズサは少し目線を逸らして答える。

 

 「....そうなのか?実は、見張りは言い訳で...ブービートラップとかを設置していたんだ。」

 

 「.....どうして設置したんだ?もしかしたら引っ掛かって、俺たちや先生が巻き込まれたら死んでいたかもしれない危険な行為だ。」

 

 フォードは問いかける。なぜアズサがブービートラップを仕掛けたのかが、理解出来なかったからだ。

 

 「それはそうだけど....ここに悪意を持って侵入しようとするルートだけに設置してあるから。普通の生活をする上では、問題ない。」

 

 「なるほど....ですが、それなら教えてくれると嬉しいです。どうしても、心配しちゃうので...。」

 

 ハナコはそう伝えると、アズサは申し訳なさそうな顔を見せる。

 

 「ごめん、これからは気を付ける。私のせいで、先生たちとみんなが被害を受けるのは私の望むことじゃないから....。」

 

 「アズサは優しいんだね。」

 

 「なっ....子供扱いしないで、先生。」

 

 先生が放った言葉はアズサの顔を赤面にさせた。おそらく、アズサ自身も褒められるようなことが嬉しいのだろう。そして、顔の赤面が収まるとアズサは続ける。

 

 「私は別にそんなのじゃない。だってこの世界は全てが無意味で、虚しいものだ。だから、もしかしたら....。私はいつか裏切ってしまうのかもしれない....みんなのことを、その信頼を、心を。」

 

 「「「「「「.....。」」」」」」

 

 一同はなんと返せばいいのか分からず、固まってしまった。その沈黙から数秒後、薄暗い体育館は明るくなる。

 

 「あ、電気が....。」

 

 「直ったみたいですね。」

 

 「あ、雨もいつの間に!」

 

 どうやら、朝の悪天候とは打って変わって快晴となったようだった。

 

 「そうですね。では、もう一度あらためて洗濯をしましょうか。」

 

 「うん、じゃあ第一回水着パーティーは閉幕か。二回目も楽しみにしてる。」

 

 「ああ、俺もだ。今度は俺も着ることにしよう。」

 

 「自分もです。」

 

 アズサに続いて、少し冗談交じりにフォードたちは伝えたところコハルは声を荒げて。

 

 「二回戦とか無いから!こんなの最初で最後だから!!!!」

 

 とにかく、こうして楽しい第一回水着パーティーは閉幕するのだった。

 

 

 

 

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