Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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うおおおおおおおお、忙しい!!
あとカルバノグ2章とか来るの楽しみすぎる!!


17:エデン条約編:No Room for Civility

 

 

 

 

 

 

 

<20██年初夏>

 空崎ヒナ ゲヘナ風紀委員会 風紀委員長

 ゲヘナ学園/とある一室

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「委員長、何かお探しですか?」

 

 「.....キヴォトス派遣隊に関する情報。」

 

 「わかりました。えっと確かこっちに.....。」

 

 彼女の衣服から胸の一部が横にはみ出ている。そのような姿は傍から見れば、痴女と思われてもおかしくない少女....いや、ゲヘナ学園の行政官であるアコは私が何か探しているのかを察し、私が求めているものを探し出そうとする。

 

 昨夜のフォード大尉たちと先生との接触が経ってから数時間が経ち、日付が変わった。私は彼らが所属する軍である、キヴォトス派遣隊の情報について、再び確認しようと考えて今に至るのだった。

 

 「はい、この資料です。」

 

 アコは私に、しっかりとファイリングされたやや分厚い紙束を渡す。

 

 「アコ、ありがとう。」

 

 私は差し出された資料を受け取り、本屋での立ち読みのように立ったまま内容を確認し始める。中身は基本的な情報....例えば、彼らがいつキヴォトスに派遣されたのかや、彼らが使用している装備品についての私たちなりの考察が事細かに、記されている。

 

 「そういえば、こんな戦車があったわね。」

 

 私は独り言でそう呟きながら、真正面から撮影された戦車(M1A2エイブラムス)の写真を見つめるのだった。

 

 「こんな戦車はキヴォトスにはありませんね。トリニティ学園が採用しているクルセイダーや、私たちのティーガーⅠよりも砲が大きいですよ。」

 

 アコは私が見ているページを見ながら、そう伝える。確かに、私はあのアビドス砂漠での戦いの時この目で見たことがあった。その時、私は確かに大きいと感じたがまさか、全ての学園が保有している戦車砲を上回るとは思ってもいなかった。

 

 「推定で120mm....。この砲の威力はとてつもないのでしょうね。」

 

 トリニティが採用しているクルセイダーの口径は40mm。そして私たちが採用しているティーガーⅠの口径は88mmだ。120mmという口径の砲を搭載した戦車は今のところ、キヴォトスにはない。最大で100mmの砲を搭載しているレッドウィンター学園の戦車ぐらいしかいない。

 

 これが意味することは彼らの世界ではおそらく、根底的な戦術や技術力などがキヴォトスとは違うのだ。その差異が勝敗を決定したのか、カイザーPMCの一個大隊をあっさりと彼らは打ち破ってしまった。恐ろしいものだ。

 

 「....それにチナツはよくこんな写真を撮れたわね。」

 

 そして私は資料に添付されている、さまざまな角度から撮られた戦車の写真を眺めた。中にはカイザーPMCからの攻撃を受けたからなのか、砲塔の装甲がへこんでいる写真や、泥沼にスタックしてしまった写真などと豊富な写真が貼られている。

 

 私はそれらの写真を見たのち、ページをめくり続けると遂にお目当てのページとなる。

 

 ''特殊戦開発グループ''と太字で書かれた目次。それをめくると、彼らが使用している銃や装備の写真。そして、部隊の編制や戦術についての考察及び研究されている情報が載せられている。

 

 私は写真に載せられているDEVGRUの隊員の写真たちに着目する。

 

 「改めて見ると、彼らはやっぱり他の兵士たちの装備と違うわね。戦闘服にアーマーから銃、そしてヘルメットまで....。」

 

 「そうですね。それに最初は不良にすら勝てない役立たずの大人かと、思いましたが違いましたね。」

 

 アコの言う通り、私たちは彼らが不良を倒すことすら出来ない大人の集団だと思っていたが違った。実際は、私たち風紀委員会には勝るとも劣らないほどの強さを誇るどころか、ある時は彼らの拠点に攻め込んできた大量の集団をあっさりと返り討ちにしてしまうほどの強さ。

 

 それほどの強さを持つ部隊がなぜゲヘナに来たのかは不明だったけど、確かに強いのは事実であった。

 

 「それに....あの時、私たちが救援を拒んだにも関わらず助けに来てくれましたよね。まさか、あそこまでするとは....。」

 

 「ええ、そうね....。大人ってあんな存在だったかしら?」

 

 私たちが不良の罠に引っかかった時は、拒んだにもかからず助けに来てくれるほどの優しさ。大人とはこういうものだろうか?私は大人といえば、子供を騙し、自らの欲を満たすためだけに行動する薄汚い存在とは思っていた。

 

 しかし、彼らは違った。あの時、フォード大尉は「仕事の一部」だとが言っていたが、わざわざ私たちのために戦ったのかが今でも理解が出来なかった。

 

 先生は謎の信頼感がある。温かく、私が努力や苦労しながら頑張ったことは先生が褒めてくれる。だけど、彼は違う。

 

 先生のような温かい包容力があるわけでもないし、褒めてくれるわけでもない。以前がそうだったように。でもあの時は、なぜか信頼できた。それはなぜだろうか?

 

 私は昨日のピアーズ中尉の言葉が気がかりであった。「戦場で結びついた絆は深い。」私は軍人でもないし、ただの生徒、子供であるからその意味は分からない。

 

 でも、その言葉の意味が分かる日はいつか来るのだろうか?大人になったら?軍人になったら?私にとっては謎だらけすぎるから、今考えていることはやめにした。

 

 ──────「そういえば、突然その資料を探し始めたことについて聞きたいのですが、何かあったのですか?」

 

 資料を読み漁り、熱心に考え込んでいる私に尋ねてきたので、数秒の沈黙の後に答えた。

 

 「いや、知りたいことがあったの。ただそれだけよ。」

 

 私が知りたいこと。それはフォード大尉が所属する特殊部隊はもちろんのこと、彼に関する情報でもあった。しかし本当のお目当ては、彼らと私たちが去年の冬に共闘したときの戦闘記録であり、それを入手できたので十分だった。

 

 「さて、これからもまだ書類仕事が残っているから、ちゃんとこなさいとね。」

 

 私はそう言って書類仕事に励むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<翌日>

 フォード 特殊戦開発グループ 大尉

 トリニティ総合学園/合宿所の教室

 

 

 

 

 

 

 「....ゲヘナまで行かされて、試験を受けようとしたが爆発に巻き込まれた?正気か?」

 

 「本当だよ。」

 

 「よく生きて帰ってこれたな...。」

 

 そのように言葉を放つのはフォードである。彼は補習授業部が第二次特別学力試験を受けにゲヘナまで行ったが、結果は無駄足であったことを先生から先ほど伝えられた。

 

 なお今回の試験は突然、試験範囲の拡大やら実施時間が変更されたとのこと。

 

 もちろん、フォードたちはそのことを知る由もなかったため合宿所で深夜の与太話やら、ゲロを固めてレンガにしたような見た目であるMREの野菜オムレツを吐き戻さないように食べたり。と、彼女らがゲヘナに向かっている間はそうやって時間を過ごしたのだ。

 

 そして彼らが就寝してから、6時間ほど経ったころに彼女らはようやく合宿所に戻ることができた。なお、彼女たちが戻ってきたときは皮肉なことに既に朝だったのだが。

 

 それはさておき、どうやら第三次特別学力試験なるものが一週間後に控えているらしく、合格点は今回の試験と同じの9割以上。それに対して彼女たちの学力は今のままだと4人仲良く、退学なんてことになってしまう。

 

 非常に由々しき事態だ。

 

 ────「とりあえず、退学を避けるためには必ず次の試験で合格しないといけないのか....。」

 

 「「「「......。」」」」

 

 退学を免れる最後のチャンス。それを逃してはいけないという重荷を彼女たちは背負っており、四人ともそれを分かっているのか彼女たちの目つきは真剣になっていた。

 

 「....ちょっと悪いが、抜けさせてもらう。ピアーズ、ついてこい。」

 

 「了解です。」

 

 彼らはそんな風にやり取りをすると教室から抜け出し、廊下に出る。

 

 「ナギサを探すぞ。あいつがやっていることは間違っている。いくらなんでもこんなやり方は....。」

 

 フォードはナギサに対する不満を口にした。それもそのはず、彼は彼女が試験範囲の拡大や合格ラインの引き上げといった明らかに、汚いやり方をしていることを知ったためだ。

 

 「ええ、そうです。自分もこんなやり方を見ていては黙っていられませんよ、どうにかして止めないと....。」

 

 彼らの考えは一致していた。少なくともナギサのこのやり方に対して不満があり、どうにかしたいという考えがあった。例え、これが彼らの与えられた仕事・任務でないにせよ少々、心底から悪く思ってしまっている。

 

 そのため彼らは彼女を探し出すという行動に出るのであった。

 

 「早く探すぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<数時間後>

 トリニティ総合学園/合宿所の一室

 

 

 

 

 

 

 

 

 捜索から数時間経ったが、彼女を見つけることはできなかった。しかも、彼女をよく見かけるテラスまで行ったがそこには何も姿がなく、誰も腰を掛けていない椅子や清潔なテーブルしかなかった。

 

 そしてもう一つ。彼らにもう一つの取引を持ち掛けたミカにも会うことすら出来なかった。

 

 「まさかいなくなるとは....。」

 

 「こういうことは既に想定済みだったかもしれませんね。」

 

 「いくらなんでもあいつら(アズサ、ヒフミ、コハル、ハナコ)が可哀そうだ。このままだと、あいつらは理不尽な退学を受ける。」

 

 フォードたちは短い期間でしか、彼女たちと過ごしたことが無かったが初めて出会った時よりかは信頼できるようになった。

 

 そのためか、彼らは彼女たちの力になれることをしようと思っているのだ。

 

 「ナギサを見つけて、説得させるなりしたほうが今の状況から脱することが出来るのでしょうけど....。」

 

 「ああ、その通りだと思う。でも結局のところ失敗した。それに....。」

 

 「変な刺激を与えたくない。ということですか?」

 

 4人全員をわざわざ裏切り者だとみなして、退学にさせるという荒業をしようとしているあたり彼女は相当な自信を持っているに違いない。そんな自分が正しいと思い込んでいる彼女に反対の意見などを口に出せば、何が起こるのか分からない。

 

 それゆえに彼らは彼女と接触すべきではないのだ。

 

 「....まさかここまで事態が捻じれてくるとは困ったものだ。」

 

 フォードは呆れの声を上げる。本来の任務から目的が失われつつあるなか、この複雑なトリニティ内部の問題をどうにかさせなければならない。

 

 「今これ以上自分たちがやれることはありません。ただ、違う方法ならあるかと。」

 

 「違う方法?気になるな。」

 

 「はい。彼女たちが合格出来るように勉強を教えるしかありません。」────────────…………

 

 

 

 

 それから怒涛の一週間を彼らは過ごすこととなった。最初は彼女たちになぜフォードたちが教えるのか?などと問われたが、彼らにとってはその質問はどうでもよかった。彼らが考えていることは彼女たちのためにどうにか力になれるかどうかであったからだ。

 

 そんな風に朝から夜まで勉強漬けの日々を送ることになる。しかし、その日々の成果として模擬試験の点数も順調に伸びていき.....試験残りの一日前となった模擬試験ではほとんど合格点に達することが出来ていた。

 

 そして試験一日前の夜。フォードたちはいつの間にか彼らの拠点と化した部屋で明日の試験について話し合っていた。

 

 「またナギサが変なことをしないといいですね....。」

 

 ピアーズは自身のMk.18の清掃を行いながらそう述べる。

 

 「俺もそう思う。ハナコにさっき聞いたが予定は午前9時ほどらしいな。」

 

 「何かあった時のために自分たちも、早く寝たほうが良さそうですね....。この掃除が終わってからですけど。」

 

 「ああ。」

 

 ピアーズだけではなく、フォードも自身のMk.18の清掃に勤しんでいた。Mk.18は基本的に清掃をしなければ動作不良や命中精度にも関わるほどデリケートな銃だ。

 

 これは同様にMk.18と機関部が同じであるアズサが使用するM4も、前述のとおりこまめに清掃する必要がある。そして、彼らは銃を清掃が出来るような装備を持ってきていなかったが幸運にも姉妹といっても過言ではない、M4A1の使い手のアズサが清掃用の道具やらを持っていたため、彼らはそれを貸してもらうことで今の状況に至った。

 

 「.....。」

 

 「.....。」

 

 清掃中は終始無言の時間が続いた。それから、しばらく彼らは集中して銃身にこびりついた汚れであるカーボンなどを取り除くのが終わると、銃の組み立てを行おうとした。その時、ピアーズから声が掛かる。

 

 「....そういえば、結局自分たちは彼女たちをある程度信用していますよね。」

 

 「....どういう意味だ?」

 

 フォードはまだ分解されたままのMk.18からピアーズに視線を移す。

 

 「最初、彼女たちが裏切り者だとか疑っていたじゃないですか?でも、あの夜に必死で考えた推察がまるで奇跡のように当たっていたじゃないですか。」

 

 「そうだな。あの夜が原因なのか分からないが一方的でも、彼女たちのことを信頼するようになったな。」

 

 ピアーズは銃の組み立てを行いながら、再び話す。

 

 「そうですよ。あと水着パーティーでしたっけ?多分、あの時自分たちは決定的な信頼感をいつの間にか抱くようになったような気がします。」

 

 水着パーティー。最初はただの暇つぶしのための雑談会かと思っていたが、今となっては違う。彼らにとっては最も彼女たちと交流することができ、そして信頼を強固にするためのきっかけとなった。

 

 「....そう言われてみれば確かにだな。あいつらはゲヘナの風紀委員長のようにどう俺たちを思っているのか分からんが....。」

 

 「自分たちこそ怪しい大人として疑われているかも...ですね。」

 

 補習授業部には圧倒的な信頼感を置かれている先生がいる。先生と彼らを比べれば信頼の差は大きいとピアーズは考えたのだ。

 

 「....冗談きついぜ。でも俺たちがやったことは傍から見ればストーカーと変わらないから、そう思われても仕方ないな。」

 

 フォードは苦笑いしながら返す。実際、彼女たちが裏切り者であると判断するために盗み聞きしたり、ストーキングをしたのだ。これは事実であり、言い訳の仕様がない。

 

 「....さて、もうそろそろ自分は組み立て終わってしまいますよ。」

 

 ピアーズはほとんど部品を取り付けることができ、あと2~3パーツほど付ければ動作確認をするだけだ。対してフォードはというと。

 

 「遅いな、俺はもう付け終わっているぞ。」

 

 フォードは彼よりも早く、取り付けることが出来ていたため動作確認を行っている最中だった。もちろん、その光景をみたピアーズは悔しがっていた。

 

 「ちくしょう!ビール二杯目の賭けをしたかったのに....。」

 

 「おいおい、そんなに上官に奢ってもらいたいのか?」

 

 彼らはそんなやり取りをしながら、自身の作業を勤しむと次はAN/PEQ-16と呼ばれるレーザー装置やら、マグニファイアの取り付けも行う。

 

 それらが終わると同時に突然、彼らの部屋の扉が勢いよく開かれた。扉の方を見やるとそこには先生と後ろには補習授業部一同の姿が。そして先生は口を開き。

 

 「君たちの力が必要だから協力して。」

 

 「一体なんだ...?」

 

 そんな風に返すと後ろにいたハナコは先生よりも前に出てきて、唖然としているフォードたちに告げた。

 

 「これからトリニティを転覆させるのですよ♡」

 

 「「....!?」」

 

 「うふふ...。」などと言いながら笑みを浮かべるハナコがいた。

 

 

 

 

 

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