Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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18:エデン条約編:The End?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<20██年初夏/02:00>

 フォード 特殊戦開発グループ 大尉

 トリニティ総合学園/第78セーフハウス・屋上

 

 

 

 

 

 

 「こちらフォード。ラぺリングの準備は完了した、いつでも突入可能だ。」

 

 「了解です♡ たった今、警備の方々を排除しましたので私の合図に合わせて突入してくださいね。」

 

 静寂が支配するトリニティの深夜。そんな闇夜に紛れて屋上でインカム越しにやり取りをする軍人たちがいた。

 

 「まさか、ここできてラぺリングで突入だなんて....。」

 

 と、やや困惑しながら口に漏らすピアーズ。

 

 「ああ、驚きだ...。」

 

 彼らはわざわざトリニティという学園に来てまで、ラぺリング降下をするとは微塵にも思っていなかったからだ。

 

 しかし彼らはそう思いながらも、ラぺリングの準備は完了している。彼らはちゃんと衝撃を吸収するためのハーネスを身に着けることはもちろんのこと、ロープが体重によって勝手に解けたり動かないように固定。

 

 そうやってしっかりと準備した彼らは合図さえあれば、いつでも突入する準備が出来ているのだ。

 

 「さて、そろそろ合図が来る頃ですかね?」

 

 「さあ?」

 

 そんなやり取りをしている彼らは屋上の出っ張りの上に立ち上がりながら、顔を見合わせる。一歩でも動かせば本来なら、大怪我を負うかもしれない高さだ。

 

 突然、彼らのインカムに声が入る。

 

 「──────今です、突入してください。」

 

 突入を合図するハナコの声が聞こえると、即座に彼らのヘルメットマウントに取り付けられているGPNVG-18を起動。視界が緑色の映像として表示された。

 

 それから彼らは建物の壁を蔦って、屋上から急降下。窓まで近づくとフォードはMP17で数発ほど発砲し、ガラスを撃ち抜いた。派手にガラスが割れる音が響くが、周囲には警備や野次馬などがいないため聞かれることはない。

 

 そして撃ち抜くとM84スタングレネードを割れたガラス越しに、投げつける。手榴弾よりも短い間隔で起爆するように設計されているため、すぐに大きな音と猛烈な光が外にいる彼らにも伝わる。

 

 「っ!!!!」

 

 ナギサのあられもない声が聞こえたが彼らはそんなことはお構いなしに、割れた窓から突入。真っ先に突入したフォードは開口一番に。

 

 「両手を挙げて、地面に跪け!!」

 

 彼はMP17をホルスターに戻して、Mk.18をホロサイト越しに構えながらそうやって大きく怒鳴りつけると、ピアーズも侵入してきたので彼からもこう告げた。

 

 「動いても無駄ですよ。大人しくしてください。」

 

 彼らは至近距離で閃光弾を喰らった彼女にそのような言葉を浴びせると、遂にハナコとアズサがやってくる。

 

 「ふふっ♡、紅茶をお飲みになっても眠れないらしいので閃光弾と銃弾をお届けに参りに来ましたよ。」

 

 「なっ!?」

 

 「.....。」

 

 アズサがナギサの頭にM4A1の銃口を向ける。そして状況を悟ったのか、彼女は急に震えた声で喋り出した。

 

 「あ、あなたたちが....裏切り者....!?」

 

 「ふふっ、単純な思考回路ですねぇ♡ 私たちは駒に過ぎませんよ。」

 

 ハナコは不敵な笑みを浮かべながらナギサを尋問する。

 

 「....それとは別に。ナギサさん、ここまでやる必要はありましたか?」

 

 ナギサはその言葉に対し沈黙するがハナコは続ける。

 

 「いくらなんでも彼ら(先生とフォードたち)を利用してまでやる必要は無かったのでしょうに。そして私たちを疑って....。」

 

 「そ、それは....。」

 

 「──────特にヒフミちゃん。あなたと仲が良かったそうじゃないですか?こんなことをしては彼女が傷付いてしまうんじゃないのですか?」

 

 「....そう、ですね。ヒフミさんには悪いことをしたかもしれません。ですが....後悔はしていませんすべては大義のため────────」

 

 「大義のためか....一つ。軍人として、大人としての教えだ。親しい人のことを裏切るな。」

 

 フォードはそんなことを告げると再び変わってハナコからこう告げる。

 

 「あなたの親しい人であり、私たちの指揮官からのメッセージです。『あはは....えっと、それなりに楽しかったですよ。ナギサ様とのお友達ごっこ』だそうです♡」

 

 ナギサはその言葉を聞いた瞬間、痙攣するような動作を見せたがそんなことは構わずアズサに発砲するように命令。室内に耳を塞ぎたくなるような、けたたましいM4の射撃音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<同日02:28>

トリニティ総合学園/合宿所の周辺

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こちらフォード、目標を確保した。現在移送中、そっちは?」

 

 「バリケードや弾薬の準備は出来ている。」

 

 「了解。」

 

 フォードはインカムで先生とそのやり取りをしながら、気絶しているナギサをピアーズと二人がかりで合宿所へと運んでいる最中だった。

 

 彼女の頭部には5.56mm弾が一弾倉分撃ち込まれたため、一時間ほどは気絶状態だ。

 

 「....もうすぐ(アリウス)が来るはずですよね?アズサちゃん。」

 

 「既に、偽の情報は流しているから急いで襲撃してくるはず。」

 

 ハナコたちはそのやり取りを交わすとフォードが、その会話に割って入る。

 

 「これから、俺たちはどうするんだ?ナギサを合宿所に連れていくが、そっちは?」

 

 「私は時間稼ぎをするためにゲリラ戦を仕掛ける。トラップや塹壕があるから、かなり長く戦えるはず。」

 

 「「!?」」

 

 フォードたちはアズサが塹壕戦をすることに驚く。それもそのはず、彼女が学園のいたるところに塹壕やらトラップを仕掛けていると今知ったからだ。

 

 「ふふっ♡じゃあ、アズサちゃん敵の誘導を頼みますね。」

 

 「わかった。また。」

 

 彼女たちはそうやり取りすると、アズサはナギサが隠れ家として利用していたセーフハウスへと向かっていった。

 

 「....さて俺たちも戻って備えなければ。」────────────…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<同日02:36>

 トリニティ総合学園/合宿所・廊下

 

 

 

 

 

 

 合宿所の廊下には至る所に外の景色を眺めることが出来るように窓が取り付けられている。そんな外の様子を伺うことが出来る場所にフォードは立っており、合宿所の周囲をそこから監視していた。

 

 「あともう少ししたら籠城戦か...。」

 

 不意に彼はそんなことを呟く。実際、ハナコが立てたこの作戦はアズサが敵であるアリウスを誘導し、合宿所に正義実現委員会が救援に来るまでの間持ち堪えるというものだった。

 

 突然、インカムからアズサの声が聞こえる。

 

 「敵が来た!!!今、そっちに向かっている最中!」

 

 どうやら遂にアリウスのお出ましのようだ。フォードはそれに返答する。

 

 「了解、作戦通りに合宿所にてこちらは待機中。」

 

 彼女にそう伝えると、遠くから連続して乾いた銃声や爆発音などが耳に聞こえてきた。そしてその音たちはだんだんとこちら側に近付いてくるのが聞こえると、アズサの姿が目に入る。

 

 少し彼女から目を逸らすと、後方にはアリウスの生徒だろうか。頭にはガスマスクを身に着け、防弾ベストを着用している少女たちが後退するアズサに対して射撃を加えていた。

 

 フォードはそれを暗視装置越しに確認すると、アズサを援護するために射撃を加えている彼女たちに肉眼では確認できない赤外線レーザーを合わせ、数回にわたって引き金を絞る。すると、あっけない声を出して倒れこんだ。

 

 しかし、数は多い。ざっと50人近くいるのだろうか。まるで合宿所は地面に落ちているゴミを吸い取る掃除機のように作用しているのか、アリウスの生徒たちを一気に引き寄せつつあった。

 

 そのためフォードが射撃を加えていると、いつの間に撃ち込まれている方向に気付いたのか、狙われ始めた。

 

  ''ピシピシピシピシピシピシッ ''

 

 銃弾が壁に当たり跳弾する音が聞こえる。

 

 「クソッ!!」

 

 彼は狙われ始めたことに気付くと、悪態を突きながら制圧射撃を加えられている窓から遠ざかった。それと同時に。

 

 「今、中に入った。あとは敵を待つだけ。」

 

 インカム越しにアズサが合宿所に退避することが出来たという報告が入ると、彼は。

 

 「了解、外は完全に包囲されているみたいだ。窓から顔を出さないほうがいいぞ。」

 

 フォードはそう先ほどの出来事からそう報告すると、ハナコが立てた作戦に従って集合場所である体育館へと向かい始める。

 

 途中、合宿所内に仕掛けられたIEDやクレイモアの数々が作動し爆発する轟音と共に、アリウスの生徒たちの悲鳴が聞こえた。

 

 「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 「ぐぁぁっ!?」

 

 もちろん、フォードはそのような叫び声を耳に入るとこう呟いた。

 

 「....まさか、俺たちがトラップやらバリケードの設置位置を記した地図がここで使えるとはな。」

 

 以前、彼らは宿舎内のブービートラップや宿舎内の弾薬及び医療品を把握し、それぞれの場所について記したことがあった。

 

 その成果は本来なら、今回とは違う相手に対して使われるはずだったが、今となってはアリウスの襲撃に対する反撃の手段として使われているのだ。

 

 そのような事実にフォードは複雑な心境を抱くのであった。

 

 そんなことを彼は頭の中で考えながら、走り続けると遂に集合場所の体育館に到着することができた。中に入って、見渡すと先生含む補習授業部一同が待機していた。

 

 「こっちです!」

 

 ハナコが合流しようとするフォードに気付いたのか、手を振ってこちら側であると示す。もちろんフォードはそれに応える。

 

 「ああ!!」

 

 彼は彼女たちの元に着く。彼女たち4人の後方には先生がいた。先生は今のような危機的な状況でも相変わらず、フォードのようなヘルメットやボディアーマーを身に着けていない。そのような姿を見て、フォードは。

 

 「相変わらずだな、先生。こんな世界でよく丸腰で生きていられるなんて奇跡だ。」

 

 「...まあ、ね。」

 

 先生はフォードにそのようなことを言われたので返す。その時だった。体育館の扉が勢いよく開かれ、たくさんのフル装備の生徒たちが中に入ってきた。

 

 そしてそんな集団のリーダーであろう人物が体育館という、退路が一切ない場所に追い込んだことに好都合だと思ったのか、フォードたちに向かって話しかける。

 

 「こんな退路の無い場所でどうやって戦うつもりだ!?大人しくターゲットを引き渡せ!!!」

 

 「あぅぅ.....。」

 

 ヒフミはそのようなやや強気の言葉に弱いのか、怯える。しかし、フォードたちがやる手段は一つしかない。戦うのみだ。

 

 「お前たちの退路はもうない。」

 

 「さて、仕上げと行きましょうか♡」

 

 「う~、こんなたくさんの敵を相手にするなんて...。」

 

 「じゃあ、皆いこう。」

 

 先生がそう呟いたところで、本格的な戦闘が始まった。

 

 フォードは被弾しないようにするため、先生を連れて体育館倉庫から顔を出しては射撃を加えるという手段を取る。標的を定め、セミオートで数発ほど射撃を加えるとあっけなく敵は倒れこむ。そしてまた、狙いを定め────────

 

 あの四人はというと、被弾しながらも戦っているようだった。フォードと違い、ヘイローがあるものは簡単には死ぬことはない。弾丸が撃ち込まれてもただ痛覚があるのみ、出血や骨折といったことも起きることはないのだ。

 

 アズサはフォードのようにセミオートによる精密な単発射撃を加えて、確実に一人ずつ倒す。

 

 「コハル!グレネード!」

 

 先生からグレネードを使うようにコハルが指示されると、彼女は間違えて成人向けの本を取り出してしまう。

 

 その様子を見たフォードは戦闘中だというのに何をやっているのだと、思ったのだが。そのあとは彼女はちゃんとグレネードを取り出し、固まって射撃を加え続けている集団に投げつけた。

 

 「まずいぞ!グレネードだ!!!」

 

 「はっ、早く逃げ──────」

 

 地面に投げつけられると、グレネードはボーリング玉のように転がり.....数秒後には逃げ遅れた数人を爆発に巻き込んだ。

 

 「ぎゃぁぁぁっ!!!」

 

 断末魔が体育館に反響して響く。

 

 「ナイス!」

 

 先生がそのような言葉を投げかけると、コハルは褒められて嬉しくなったのか顔をニヤニヤとしながら戦闘に戻る。

 

 しかしながら、敵の数は減らしているつもりであるがそれでも多い。

 

 「敵はたった5人だというのに何をやっているんだ!!突撃用意!」

 

 アリウス側のリーダー格の人物がそう告げると、その命令を受けて彼女たちは突撃準備をしてくる。

 

 「おいおい、白兵戦が始まっちゃうぞ!!!」

 

 現代戦という比較的100m~300m前後の交戦距離がよく発生するものの、突撃からの白兵戦といったことは滅多にない。そのような事実から銃剣突撃を訓練で習ったとしても、実戦で使用する機会は無いのだ。

 

 しかし、敵はどうして突撃するという判断を下したのかは分からないが、数で押し切るつもりのようだ。

 

 「クソッタレ。」

 

 彼はそう悪態を突きながら、アリウス側の指揮官に照準を定める。そして、引き金を数回絞った。肩に強い衝撃が何回か叩くと、敵の指揮官は倒れこんだ。

 

 「もう深夜だ、悪い子は鉛玉でも喰らって眠ってろ。」

 

 彼は小声でそう呟いたのと同時に、敵の部隊には混乱が生じたようだった。

 

 「ま!まずい!小隊長を失った!!」

 

 「ど、どうすれば!?」

 

 現場指揮官を失ったアリウス側にさらなる攻撃が襲い掛かった。彼女たちが集団で固まっているところに、大きな爆発が生じた。

 

 「うわっ!?」

 

 不運にも爆発に巻き込まれた彼女たちはそのような悲鳴を上げると、倒れこんだ。彼女たちに襲い掛かったのは、ハナコのL86のアンダーバレルに装着してあるAG36から発射された40mmグレネード弾だった。

 

 「うふふっ♡、そんなに固まっていたらダメですよ♡」

 

 ハナコはそう口に出しながら使い終わった弾を排莢し、新たな弾を装填するのだった。そして装填が完了し、狙いを付けようとしたところ。彼女たちが戦っていた近くの体育館の壁が爆発した。

 

 もちろん、近くにいた4人は巻き込まれてしまい吹き飛ばされるのだった。

 

 「あいたた.....。」

 

 吹き飛ばされたヒフミは立ち上がろうとすると、爆発した壁に視線を向けた。壁は穴が開いておりそこからさらに、数人もの敵が突入してくる。

 

 「増援がこんなにも早く!?」

  

 「大隊一個単位が...ここに集まって来ている。」

 

 「まだ、正義実現委員会は来ないの....?」

 

 彼女たちがそうやり取りをしたところ違う方向から、聞き覚えのある声が入ってくる。

 

 「それは仕方ないよ。」

 

 彼女が呟くと、敵は射撃を加えるのを止めた。もちろん、その聞き覚えのある声に目線を皆は向けた。

 

 「ミカ...。」

 

 先生が落胆する声を上げた。彼女は裏切り者だったのだ、この世界線でも。

 

 ──────「どうせ、そっちの権限で正義実現委員会を待機にさせる命令でも下したのだろう?」

 

 フォードはミカの言葉に察し、救援が来ないことに彼の推察を見せつけた。

 

 「あら、先生だけじゃなくてあなたもいたのね。その通りだよ。」

 

 彼女は不敵な笑みをしながら話を続ける。

 

 「....黒幕登場☆ってところかな?というわけで、ナギちゃんの居場所を教えてくれないかな。」

 

 「それは無理だ。」

 

 フォードはミカの要求を拒否する。

 

 「どうしてこんなことを....。」

 

 先生はミカにどうしてこのようなことをするのか尋ねる。

 

 「ゲヘナが嫌いだからだよ....。」

 

 彼女はそう呟いた時だった。彼女はどこからか寒気がした、どこかで感じたことがあるような視線、そしてそれは今回ので初めてではない。

 

 「どうしてここまで事態を大きくして、第三者の先生や俺たちも巻き込んだのだ?」

 

 フォードが彼女の視線を向けた張本人だった。以前のように眉根を寄せており、表情を僅かに険しく。そして、鋭利な眼光で彼女を正確に射貫いていた。

 

 「それに....ハナコから聞いただけだがセイアの暗殺を計画したのは君だろう?どうして?」

 

 「え、えっと....。」

 

 彼女は焦る。

 

 「なぁ、他人を殺めた気持ちはどうだ?」

 

 「.....。」

 

 彼女はその言葉に返すことはできなかった。暗殺したのは()()()()()()は事実であった。しかし、それは本来なら望んでいたものではなかった。

 

 彼女はちょっとの嫌がらせのつもりみたいな気持ちでいたのであろうが、結果として今のような重大な事態へと事は進んでいった。いつから彼女は選択を過ったのだろうか。

 

 彼女はまだ子供であり、幼いという理由からだろうか?それを知る由は彼はない。

 

 「過去の憎しみ....。その憎しみを向ける矛先を間違えるな。特に大切な人に。」

 

 彼はそう言い残す。体育館は静寂が支配していた。ミカはフォードの言葉を聞いて、考え込んでいるのであろうか?表情は暗くしており、先ほどまでのような不敵な笑みはない。

 

 それから数秒。突然、彼女たちの頭上に円筒が二本飛来。そして、強烈な閃光と轟音が体育館に響き渡った。

 

 「っ!?」

 

 投げ込まれたのは閃光弾。フォードは何回か喰らったことがあるため平気だが、浴びた回数が少ない彼女たちは混乱に陥った。

 

 そして──────

 

 「行け、行け、行け!!!」

 

 そのような声が聞こえると同時に、サプレッサー越しの発砲音が様々な場所から聞こえた。閃光弾により、まともな抵抗すらできないアリウスの生徒たちはどんどん倒れていき.....最後に残ったのはミカだけとなる。

 

 「どうも、やっと部隊と合流出来ましたよ。」

 

 「い、今のは誰!?」

 

 ミカはその声が聞こえてきた方向に目を向ける。彼女も一度は見たことがある人物だった。

 

 「あなたは──────────」

 

 「はい、ピアーズ中尉です。今は動かないほうがいいですよ、自分含め20人以上があなたのことを捉えていますから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<数時間前>

 

 

 

 

 

 彼らが合宿所へナギサを運び込む途中にて。

 

 「なぁ、ピアーズ。俺は嫌な予感がするんだ。」

 

 「どういう意味です?」

 

 ピアーズはフォードの顔を見つめながら、尋ねる。

 

 「本当に救援の正義実現委員会が来ると思うか?」

 

 「うーん....どうでしょうね...。」

 

 この作戦は正義実現委員会の救援が来るまで、籠城するというものだ。だがしかし、万が一救援が来なかったら彼らは一巻の終わりなのだ。

 

 「俺はこのあと、部屋にある広域用の無線でブラボーチームを呼び出すつもりだ。お前は部隊の誘導を頼みたい。」

 

 「....了解です。それまで持ち堪えてくださいね。」

 

 彼はすんなりと上官からの命令を受け入れると、部隊の誘導のために彼は学園の外へと向かうのであった──────────………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 「武器を捨て、地面に跪け。」

 

 フォードはホロサイトの照準をミカに定めて、その言葉を投げる。が、彼女は一向に投降しようとはしない。

 

 そして彼女は彼の顔を見つめて。

 

 「.....何を見誤ったのかな。アズサちゃんが裏切ったから?シャーレの先生を呼び出したから?それとも....あなたたち兵士がこの学園に来たから?」

 

 彼は依然として照準を定めたまま沈黙する。

 

 「.....本当はセイアちゃんのことを殺すつもりなんか....。」

 

 「捕らえろ。」

 

 彼は強引ながら、部隊の隊員に命令すると数人がかりで力づくで押し倒し、彼女の両手首に白いプラスチック製のハンドカフを掛けた。

 

 そして。

 

 「....正義実現委員会に引き渡すぞ。」

 

 彼はそう呟くとミカを連れて、部隊は撤収しようとする。しかし、その時ハナコから彼に声が掛かった。

 

 「フォードさん、こちらに来てください。」

 

 彼は呼び出されたのでハナコに近寄る。そうすると彼女は小声で。

 

 「どうして、セイアちゃんが生きていると彼女に伝えなかったのですか?」

 

 それに彼はこう返答した。

 

 「彼女はセイアを殺めようとした。報復とは言わないが、少しは痛い目にあったほうが彼女(ミカ)自身のためだと思って、俺はあえて言わなかっただけだ。」

 

 「.....。」

 

 「ただ正直に言えば、あのままずっと()()()()()()()を背負わせるべきでないと思っている。だから、いつか彼女に知らせてやってくれ。彼女の罪の意識、心を楽にできるように。彼女のことを忘れないであげてくれ。」

 

 彼はそう言い残すと、部隊と共にミカを連れて去っていくのだった。彼らが去った後は体育館は静寂が再び訪れ、妙な雰囲気が残された者に襲われた。

 

 「.....誰の憎しみなのでしょうね。」

 

 まるで憎むべき敵が苦しまれた過去を語り、敵であるにもかかわらず同情心を抱いてしまうのと同じように。切なく、少し憂鬱で絶妙な気持ちだった。

 

 「....もうそろそろ試験だから、行こうか。」

 

 先生はその気持ちを振り切るかのように、補習授業部一同に呼びかけるのだった。ただ彼女のことを忘れないように。

 

 

 体育館を出ると、既に太陽は昇っていた。

 

 第三次特別学力試験が実施されるまであと2時間しかない。

 

 そして、まだ一週間の真ん中。今日も一日が始まるのだ。

 

 

 

 

 





これで原作のエデン条約編第一章から第二章は終わりです。ここまで私の自己満のストーリーに付き合ってくださりありがとうございました。

次回からは三話ほどで完結予定のオリジナルストーリーを展開していくつもりです。
具体的には、原作にも出てきたいじめられていたキャラ(こちらでは第9話に出てきた白髪の子です。)を題材にして書こうかなと思っています。

そして先日、人生で初めて執筆したこの二次創作で評価が真っ赤になることが出来ました。嬉しかったです。いや~評価が真っ赤だと嬉しくて顔も真っ赤になっちゃうよ。

ここまで応援してくださる皆様には感謝しかありません。これからもよろしくお願いします。
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