Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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1.ルミのメモロビがエッッッッッッッ!!!
2.ストーリー更新が目前。嬉しすぎる
3.ペロロジラいんさね無理ぽ.....
4.リアルが忙しい。許さん

 前書き四段活用


21:殺人罪

 

 

 

 

 

 

 

 

<20██年夏/09:27>

 門上ツバサ

 トリニティ総合学園

 

 

 

 

 

 

 

 わたしは射撃場へと足を進めます。ここ数週間ほど、わたしは射撃場へと通い続けるのが日課であり今日も向かっている最中です。

 

 そしてあと一週間も経たないうちに私に銃の扱い方を教えてくれる大人────────フォードさんはいなくなります。

 

 それ以上、わたしとは会えることはないでしょう。それ以上、わたしに教えてくれることはないでしょう────だから。

 

 だからこそ、わたしは何が何でも教えを身に着けようと時間さえあれば通うようになりました。

 

 さて、彼はどうやら今日は午前中は用事があるらしく、来れないそうですがその間にもっと練習に励むために向かっているのでした。

 

 そしてその道中、わたしは後ろにいる人からでしょうか。突然声を掛けられます。その声はどこかで聞いたことがあり、それはわたしにとって忌々しく感じるものでした....。

 

 「あれ~?まだここにいるんだ~?」

 

 「....っ。」

 

 わたしは内心、その声が似ている者から発せられたことを願いながら恐る恐る振り返ります。

 

 しかし振り返ると、そんな願いはあっけなく打ち砕かれました。

 

 「何が用ですか。」

 

 わたしは声を掛けた人物に対し、やや睨みながらそう言います。

 

 「いや~、あれほど可愛がってあげたのにまだいるとはね~~?もしかしてこういうのが好きなのかなぁ?」

 

 「....。」

 

 振り返ったわたしの前で仁王立ちする女の子....その子はわたしを散々虐めてきたグループの一味。彼女はわたしを嘲笑うかのような目つきでこちらを見つめます。いや、実際嘲笑っているのですが。

 

 「そんなに可愛がられるのが好きなら今度はこっちがいいのかなぁ!?」

 

 彼女は咄嗟に銃を構えて撃とうとします。しかし、わたしはその時とっさの判断で相手に突進します。

 

 「ちょっ!?」

 

 タックルを喰らわせると彼女は流石に体重とスピードによる衝撃でよろけます。よろけると彼女はドスっと大きな音を立てて尻もちをつきました。そして負け惜しみか。

 

 「あんた重いわね!!」

 

 「...まだ軽い方だとは思いますよ。」

 

 わたしはそんな言葉を吐き捨てながらその場を急いで去ろうとします。その時でした。

 

 「逃がすな!!追え!!!」

 

 尻もちをついた彼女はその場で大声で叫ぶと、どこかに隠れていたのでしょうか茂みから沢山の追手が現れました。

 

 「ふふっ、逃げきれるかしら。」

 

 「大人しくしていたほうがまだ痛い目に合わないのにね....。」

 

 彼女たちはそんなことを言いながら、距離を置こうとしているわたしの方へと向かおうとしてきます。それだけではありません。

 

 向かってくる彼女たちの後ろには、わたしに向けて銃を構える者すらいました。どうやら、わたしは思ったより危険な状況にいるのでしょう。

 

 「せっかくなら、ヘイローを()()()()()()()ことが出来る銃弾を使ってしまいましょうよ!もし当たったらまともに逃げることもできないでしょうね!!」

 

 「っ!!」

 

 わたしはその言葉が聞こえた瞬間、MCXを彼女たちに向けて構えました。ヘイローを痛み付けることができる銃弾....。わたしは今までそのような銃弾があるとは一度も聞いたことがありませんでしたが、もし本当ならわたしを半殺しにでもするつもりでしょう。

 

 '' ピシッ ''

 

 銃声と共に一発。銃弾が地面に当たって擦れる音が聞こえます。わざと外しておいた上での脅しのつもりかもしれませんが、ここで屈するわけにはいきません。

 

 もし屈したら、何が起こるか分かったものではありません──────

 

 わたしは生きていないかもしれません。

 

 わたしは二度と、フォードさんから教えてもらえないかもしれません。

 

 わたしは二度と、アズサさんともお会いすることが出来ないかもしれません。

 

 わたしの全身が強張ります。死に対する恐怖でしょうか、それとも今たった一人でいる恐怖からによるものでしょうか。

 

 ────いいえ、両方とも。

 

 「.....来るなら来てください。捻り潰してあげますから。」

 

 「面白いですね...今ここで痛い目にあってもらうわ。」

 

 わたしたちはそれから銃撃戦を始めます。すぐに正義実現委員会が駆けつけ、わたしのことを助けてくれるのを願うばかりでした。

 

 

 

 

 

 

<約2時間後>

フォード 特殊戦開発グループ 大尉

トリニティ総合学園/屋内射撃場

 

 

 

 

 

 「いないのか。」

 

 フォードはそう言いながら室内を見渡す。いつもなら彼が来る前にツバサが射撃をしていたが、今日は珍しくいない。

 

 「モモトークは....?」

 

 彼はキヴォトスの通信規格に合わせられたスマホをズボンのポケットから取り出す。そしてキヴォトスにおけるメッセージアプリであるモモトークを開いた。

 

 モモトークを開くと唯一のやり取りを交わしているツバサのトークを見るが、既読が付いていない。彼はここに来る30分ほど前に用事が終わったため射撃場にいるかの確認をするメッセージを送っていたのだった。

 

 既読がついておらず、ここに来た痕跡もないとなるとそもそもここに来ていないかもしれない。彼はおそらく寝坊か、たまたまそういう日なのだろう。とでも考えつつ、射撃場から出るのだった。

 

 射撃場から出ると何やら騒がしい様子だった。何人もの女子生徒たちがそこら中にいた。そして彼女たちは井戸端会議でもしているのだろうか、会話が耳に入る。

 

 ──────「ねぇねぇ、知ってる?殺人犯を捕まえたって。」

 

 ──────「犯人はどうやら二年生らしい。」

 

 ──────「実は失踪してたって噂の子って殺されたらしいね。」

 

 周囲の話を聞く限り、かなり物騒なことが起きたようだ。

 

 「厄介なことに巻き込まれていないといいが....。」

 

 フォードはそんなことを呟きながらあたりを見渡していると、正義実現委員会の生徒が。彼女はフォードを見つけるとこちらに向かってきた。

 

 そして近付いてきた彼女は口を開いた。

 

 「あの、ツバサさんのことについて色々とお話したいことがあるのですが──────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<数分後>

 

 

 

 

 

 

 

 

 フォードが呼び出されたのは正義実現委員会の生徒から説明された通りツバサについてのことだった。

 

 彼は現在、正義実現委員会が管理する教室においてトリニティの教員という名の自ら、二足歩行をすることが可能かつ言語を話せるロボットから説明を受けていた。

 

 「────まぁ、暴力沙汰があったからというよりは殺人犯がいたから捕まえたそうですが。」

 

 「.....。」

 

 「実際に二週間前から一人の生徒の安否が取れなくてですね、捕まえた子たちによるとネットの掲示板にある犯人の特徴と一致したそうですよ。」

 

 彼は頭の電子版に映し出される表情を変えながら。

 

 「犯人はガスマスクを着けていたようで顔は分かっていないそうですが、白髪であるというのが一致していますし。」

 

 「....たったそれだけか?」

 

 「はい、そうですが。」

 

 犯人であることを示す証拠はたったそれだけ。犯人の身体的特徴の一部と一致したから、という理由はいくらなんでもツバサが殺人犯であることを示す証拠としては弱いように感じた。

 

 しかし、教員はそれにこう付け加える。

 

 「それに複数の目撃者によるとツバサさんにある生徒が声を掛けた際、どうやら逃げ出したあといきなり暴力を振るったそうです。そのせいで近くにいた静止しようとした、生徒たちにも暴力を振るわれたらしいです。」

 

 そして彼は最後に。

 

 「明日には....退学.....いやさらに重い処分が彼女には下されるでしょうね。」

 

 「.....。」

 

 フォードはほとんど、無言を貫いていた。彼にとってツバサが殺人やら暴力を他人に振るったというのが信用できなかった。

 

 いつも彼女は真面目に訓練に取り組んでいた、それだけではない。褒められたり嬉しいことがあったら眩しい笑顔を見せる子供だった。

 

 そんな彼女がそのような事態を引き起こしたことにフォードは信じられなかった。信じたくなかったのだ。

 

 そして彼は重い口を再び開いた。

 

 「彼女に会えるか?」

 

 本当に他人を殺したのか、本当に暴力を振るったのかを彼は確かめたい気持ちでいっぱいだったがゆえに、彼は尋ねた。

 

 「面会は色々と制限がありますが、それでも?」

 

 「ああ。頼んだ。」

 

 「では、こちらへ。」

 

 教員はそう言いながら、フォードを引き連れて教室を出るのだった。教室を出た先に向かったのは拘置所だった。こちらも正義実現委員会の管轄にあるらしく、拘留中の生徒を逃がさないように厳しい警備が設けられていた。

 

 警備ゾーンを通り抜けいくつもの収容室を目に入れたのちにある部屋に案内された。

 

 「こちらです。私はここで。」

 

 教員はそんなことを言うとさっさと去ってしまった。おそらく案内以外のことは全て、ここでは権限が無いのだろう。

 

 「こっちに座ってください。」

 

 すぐそばにいる正義実現委員会の生徒に言われるがまま、座る。座るとアクリル樹脂か何かで出来ているはずの透明な仕切りが目の前にある。

 

 そして数分ほど待つとツバサが入室した。彼女の手には手錠が付いており、そのままフォードと対面するような形で座る。

 

 しばらく二人の間に沈黙が流れた。二人ともどういった言葉を口に出せばいいのか分からなかったのだ。

 

 そんなずっと続くかと思われた沈黙はツバサが破った。

 

 「.....わたしは人を殺したりなんかしていません。それに....。」

 

 たった一言だったが、その言葉は重しく感じられた。そして彼女はどこか悲しそうで、それをどうにか堪えようとする顔を浮かべていた。

 

 「わたしを信じてください。わたしはそんなことを絶対に....。」

 

 彼女は最後の言葉を詰まらせながらそう言った。しかし、あまりにも長い沈黙が流れていたせいか、どうやら面会の時間は終わりに近づいてきているようだった。

 

 フォードは終わりの時間が近付くと、そのまま部屋から退出させられるを得なかったのだった。そして退出する際に、ツバサの顔を見ると虚ろな目でこちらを見つめていた。

 

 まるで彼女のことを見捨てたのか──────でも言うように。

 

 

 

 

 

 

 

 フォードはその後、屋内射撃場へと戻った。それまでの間、彼はとても複雑な気持ちであった。彼女は殺人を犯した挙句、周囲の生徒にさらに暴力を振るったこと。それがいかに彼にとって受け入れがたい事実であることか。

 

 「はぁ....。」

 

 彼はそう嘆息を漏らしたときだった。

 

 「あれ?フォードもここにいたのか。」

 

 この建物の入り口のほうから聞こえる声。そしてそれは聞き覚えがある声であった。彼は入り口の方へ振り向くと。

 

 「アズサじゃないか。」

 

 そう彼に声を掛けたのはアズサであった。

 

 「どうしてここに?」

 

 「そっちこそ。今日はここで射撃の練習をしようと思って来たんだ。」

 

 アズサはフォードに問われると、そう答えた。対して、フォードも。

 

 「俺は....射撃の練習というよりかはそれを教えるために来たのだが....。」

 

 「誰に教えるのだ?」

 

 「ああ、ツバサだ。だが実は...。」

 

 それからアズサに伝えてあげた。ツバサが殺人の罪を着せられてしまっていること。そして残された時間はそこまで余裕がないこと。

 

 これらのことがアズサに伝えられると、どうやら彼女もそれなりに事態がまずいと感じたのか動揺を示していた。

 

 「嘘だ....。」

 

 「信じられないだろ?俺もだ。」

 

 そんな風に二人は言葉を交わしていたところ。

 

 「アズサちゃーん、どこにいっちゃったのですか──?」

 

 「ヒフミ!?」

 

 「もー、探していたのですよ。って、あれ?フォードさんじゃないですか、どうしてアズサちゃんとここに?」

 

 阿慈谷ヒフミ。どうやら彼女はアズサのことを探していたようで、たまたまここに来たところ見けることができたようだった。

 

 そしてフォードはヒフミからされた質問に答えた。同様に、ツバサの件についても話してあげた。

 

 そうするとやはり、彼女はアズサと同じ反応を示した。

 

 「そんな.....ツバサさんが....。」

 

 そして彼女はそうやって呟いたのちに何かを知っているようだったのか。

 

 「私さっき、ここに来る途中に聞こえた話なのですが、明日の午前中にその...退学者を学園の外に連れて行くみたいなことを聞きました....。」

 

 「つまり.....もうそこまで残された時間はないというのか。」

 

 学園の外に連れて行くそれは一見単縦な行動に見えるが、不可解だ。どうして学園の外にわざわざ連れて行くのか。自らの足で学園の外に歩かせればいいはずだ。

 

 もしかしたら何か裏があるかもしれないと彼は考えたのだった。そうやって思案している中、アズサが。

 

 「私は.....ツバサが殺人犯だとは思えないな。犯人との特徴が一部として一致しているだけだ。こんなのおかしいはずだ。」

 

 そして。

 

 「......ツバサを助けよう。彼女は無実であると私は....信じる。ヒフミは?」

 

 突然、ヒフミに問いかけられたところやや驚いたような顔を見せながら彼女は答えた。

 

 「あうう.....私も流石に殺人をするようには見えませんし.....アズサちゃんの言う通り.....信じますよ。」

 

 「ならよかった。」

 

 アズサは微笑みながらヒフミに抱きつく。

 

 「ちょっと!アズサちゃん!?」

 

 突然の出来事に抱きつかれたヒフミは驚く反応を見せるが満更でもなさそうな顔をしていた。

 

 なおこれを見ていたフォードはというと。

 

 「......。」

 

 彼は閉口していた。そして、長くこの状態が続くのも困るため彼は咳払いした。

 

 「「.....っ!!」」

 

 イチャついていた二人は咳払いで察したのか、頬をやや赤く染めながら離れた。

 

 「すまなかった。ところでフォードは.....ツバサのことを信じるのか?」

 

 先ほどまでヒフミと抱き合っていたアズサは冷静になり、フォードに尋ねる。彼はこれにどう答えてばいいのか少し悩んでしまった。

 

 学園の問題に介入して彼女を助ける必要はあるのか。ただそんなことはもう今更だ。あそこまで色々と教えた挙句、見捨てるなんてことは彼には出来ない。

 

 フォードはそれらを踏まえて答えた。

 

 「当たり前だ。」

 

 さらにそれに付け加えて彼は。

 

 「俺の大切な教え子でもあるからな...俺は先生ではないが、あいつとは生徒みたいな関係だ。俺は信じているし、信じ続けるつもりだ。」

 

 「じゃあ、作戦を立てよう。ツバサを助けるために。」

 

 アズサがそう言うとフォードとヒフミは頷いた。しかし、それにヒフミが待ったの声を掛けるかのように。

 

 「....そういえばさっき、ここまで来る途中に聞こえた話なのですが.....。」

 

 「なんだ?」

 

 「学園の外に連れて行った後、ヘイローを破壊する銃弾があるからそれで遊ぼう....。みたいなことを言っているのが聞こえました....。」

 

 ヘイローを破壊することが出来る銃弾。そのような銃弾をここにいる誰もが聞いたことはなかったが、ヒフミが伝えられた内容は嫌な雰囲気が僅かに漂っていると感じた。

 

 「ここにいる学園の生徒は一部どうやら猟奇的な思考を持っているのか?」

 

 フォードはやや呆れつつ、悪態を突く。

 

 「....そいつの顔や名前を教えてくれ。」

 

 「え?どうしてですか?」

 

 ヒフミは困惑した表情を見せるが、彼はそれに対して。

 

 「わかっているだろ?俺たちはこれから()()()()()をとっちめるためだろ。」──────────………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<翌日/10:20>

 

 

 

 

 

 

 

 「臨時ニュースです。昨日、長くの間失踪していた生徒はある犯人によって殺害されているということが明らかとなりました。でも安心してください。現在、その殺人犯は捕まりました。そして緊急処分として学園から追放しようとしている最中で──────」

 

 「ねえ、見てあれが犯人らしいよ。」

 

 「怖いねぇ。」

 

 何人かの生徒はスマホから映し出される中継された映像を眺めていた。ある生徒は殺人犯に怯え。ある生徒は殺害された生徒に憐れみを向けていたりと様々な反応を示してるのだった。

 

 「あんな卑劣な犯罪者は死んでしまえばいいのに。」

 

 一部の生徒はそんな風に暴言を吐くものすらもいた。そんな風に混沌とした学園内はまるで歓声のように、交じり合って聞こえるのだった。

 

 「予定の時間まであと30分か。そっちはどうだ?」

 

 フォードはインカムで連絡を取る。するとアズサが。

 

 「こっちは準備が出来ている。それと...そっちは?」

 

 「俺は今、ちょうど寮の近くだ。今から()()()()()()()()()。どれくらいの()が溜まっているのだろうな。」

 

 フォードはそんな風にやり取りをしながら、ホルスターからMP17を取り出す。MP17はサプレッサーにダットサイト、そしてライトが装着されている。

 

 それに加えて寮内はきっと狭く、いくらCQB戦に特化したMk.18といえども扱いにくいだろうと彼は判断したのだった。

 

 彼はMP17のスライドを左手で後退させ、初弾が装填されていることを確認する。

 

 「さて、始めるとしよう。」

 

 確認を終えたフォードは寮の敷地に堂々と侵入する。そして、彼は外階段を登る。目的の階は3階。

 

 しばらく登ると目的の階に着く。そして、彼は作戦を立てた際に教えてもらった寮の部屋へと向かう。

 

 寮の扉は白色であり、見えやすいように部屋番号が書かれている。彼は書かれている部屋番号が合っていることを確認すると、扉をノックした。

 

 「何か用ですかー?」

 

 扉越しに声が聞こえる。もちろん、彼は見つからないように扉のすぐそばにMP17を構えて、待機している。

 

 カチャリ────と、開錠する音が聞こえた。

 

 「いたずらぁ...?」

 

 そうやって扉を開けて、確認した時だった。すぐさま彼は胴体に9mmパラベラム弾を数発撃ち込んだ。

 

 「うわっ!!」

 

 鈍い声が発せられると共に倒れこんだが、彼はその横たわった体を越えて中に入る。

 

 「え!?」

 

 「襲撃!?」

 

 部屋の奥の方から声が聞こえ、こちらに向かってくる足音が聞こえたが彼は部屋にある一直線上の扉のすぐそばに移動。

 

 そしてその扉が開けられ、相手の姿が見えたときだった。

 

 「誰────」

 

 目の前に現れた生徒はそんな言葉を放つ。中にいるのは目の前にいる生徒を含めて、二人。フォードは目の前にいる生徒の頭を左腕でヘッドロックする。

 

 「あいだだだだっ!!!!」

 

 左腕から悲鳴を上げる声が聞こえるがそんなことは気にせず、奥にいる生徒に向かって撃つ。

 

 何回か空薬莢が部屋に落ちる音が響く。奥の生徒を倒すと、次はそのまま締め上げている生徒のお腹に向かって至近距離で撃ち込んだ。すると、悲鳴は止んだ。

 

 彼は悲鳴が止んだところ、左腕の力を抜く。フォードの左腕に支えられていた体はバランスをとることが出来なくなり、そのまま倒れこんでしまった。

 

 「本当にこれだけか?」

 

 彼はそう呟くとMP17のマガジンを交換しながら、部屋の中を見渡す。リロードの完了と同時に、ライトを点灯させて残った部屋の中をクリアリングしていく。

 

 そして最後の部屋をクリアリングしようとした際、いきなり扉が開かれた。そして開かれた扉から勢いよく、銃のストックを構えて殴りかかろうと向かってきた。

 

 「っ!!」

 

 フォードはとっさの判断で避けると、突撃してきた生徒はこちらに振り向き。

 

 「流石、キヴォトス派遣隊の兵士って感じ。どうしてこんなところに来たのかなぁ!?」

 

 生徒はそう言うと、再び殴りかかろうとしてきたためフォードはMP17をダットサイト越しに構えて、撃ち込む。

 

 「いっったい!!!」

 

 撃ち込まれた彼女はそんな悲痛な声を叫びながら、倒れこんだ。しかし、気絶することはなかった。フォードはこれが好機だと思い、彼女の顔に銃を構えたまま馬乗りになる。

 

 「何をするつもり?」

 

 「黙れ。お前が何をやったのかは知っている。どこでヘイローを破壊する銃弾を手に入れた?」

 

 「ちっ。」

 

 彼女は舌打ちしながら、フォードのことを睨みつける。

 

 「それとどうしてツバサにこんなクソッタレなことをしやがった?」

 

 「あなたはあの子が人を殺していないとでも言うの?」

 

 と、彼女は首をかしげる。

 

 「あいつはそんなことをするわけがない。」

 

 「どうせあの子のことを知らないあなたがよくそんなことを言えるわね。」

 

 フォードが知るツバサというのは真面目で一生懸命に努力をしようとするところだ。それでいて、やや自分に自信がなく辛いときは泣きついてきた一般的な女の子だ。それでも、彼女は自分自身を変えようと努力を続ける。そんな彼女が一人の生徒を殺しただなんて、ありえない。

 

 「....お前は彼女を虐めていたグループの主犯だろ?」

 

 「ええ。」

 

 「それで学園の外に連れ出した後、ヘイローを破壊することが出来る銃弾で殺すのがお前の計画じゃないか?」

 

 「それで何を言いたいのかしらぁ?」

 

 「()()()()()()()()()()()?」

 

 「....。」

 

 流石に彼のその威圧に彼女は負けたのか沈黙する。そして、しばらく沈黙が続くと再び彼女は口を開き。

 

 「でも....私たちの仲間が失踪しているのは本当よ。どこにいるのかすらもわからない、ただ今回はそれを利用しただけよ。」

 

 「失踪?」

 

 これまで失踪していた生徒は実はツバサに殺されたという話は何度か聞くことがあったが、改めて疑問点として浮かんだ。

 

 「どうせあなたは知らないでしょう?それでいいわ。」

 

 「....ヘイローを破壊する銃弾はどこで手に入れた?」

 

 「....なんかガスマスクを身に着けたよくわからない集団から貰ったわ。それを使って、好きな事をしろとね。」

 

 ガスマスクを身に着けた集団...彼はもしかしたら────と思ったが、フォードはやるべきことを思い出す。

 

 「お前たちを正義実現委員会に突き出す。大人しくしてろ。」

 

 フォードはそんな風に伝えると、体をうつ伏せにさせ白いプラスチック製のハンドカフを両手首に。そして、倒れこんでいる仲間にも同様のことをした。

 

 それらが終わると彼は。

 

 「こちらフォード、掃除が済んだ。ばっちり映っていたか?」

 

 「は、はい!ちゃんと映っていましたし、たった今助け出しました!!」

 

 「ナイスだ。例の場所で合流しようじゃないか、()()()()()。」

 

 彼はファウストことヒフミとの通信を終え、寮から撤退するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<一方>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「俺は今、ちょうど寮の近くだ。今から()()()()()()()()()。どれくらいの()が溜まっているのだろうな。」

 

 フォードがそうやって通信を終える一方で、アズサとヒフミによるツバサを連れ出す作戦が行われるのだった。

 

 「アズサちゃん....以前、隠している秘密があると言っていましたよね。」

 

 「うん、そうだけど。」

 

 「私にも人に言えない秘密があるのですよ....。」

 

 ヒフミはそう言ってポケットから紙袋を出し....あろうことかそれを被り。

 

 「実は私は.....覆面水着団のリーダー、ファウストなんです!!」

 

 ヒフミの顔は大きく数字の5と掛かれた紙袋を被っており、表情が見えないが目つきを見ると真面目そうに告げているようだった。

 

 「.....え?」

 

 もちろん、アズサは目の前の光景に困惑を示すが。

 

 「見てください、この恐ろしさ。アズサちゃんは氷の女王だとか言われていますが、私だって変わらないでしょう!?」

 

 「?????」

 

 「あ、アズサちゃん私をそんな目で見ないでください~~~~。」────────

 

 

 

 

 

 それから二人は学園の校門の近くへ移動した。彼女たちが立てた作戦は校門で、ツバサとそれを連れて出てくる生徒を脅して無理やりツバサを助け出すといった強引なものであった。

 

 「ヒフ....じゃなくてファウスト、準備は出来ている?」

 

 「はい!ばっちりです!!」

 

 二人はゲリラ兵のごとく茂みに潜伏。なおアズサはガスマスクを着けており、いつもの戦闘状態だ。

 

 二人はそれからツバサを連れた集団が通るのを待つ。その待ち時間は長いように感じた。しかし、遠くから複数の足音が聞こえてくるのはあっという間だった。

 

 「来た。」

 

 アズサはガスマスク越しにそう呟くと右手に白い筒状の物体を持つ。

 

 「それは何ですか?アズサちゃん。」

 

 ヒフミはその物体について尋ねると。

 

 「逃げるときに使うスモークグレネード。これを使えば視界を奪えるから追われることもないと思う。」

 

 「流石アズサちゃん、逃げるときのことも考えているのですね。」

 

 ヒフミは感心していると、茂み越しに何本かの足が動いているのが見えた。あれが恐らく、ツバサたちを連れた集団なのだろう。

 

 「....ヒフミ、行くよ。」

 

 アズサはそう言うと、ヒフミと一緒に勢いよく茂みから飛び出す。すると茂みからはもちろん音が出るので、後ろを振り返った集団....いや正義実現委員会とツバサ一行が。

 

 「そこを動くな。」

 

 「い、痛い目に合いますよ!!」

 

 二人は警告を飛ばして、それぞれ銃を構える。

 

 「な!?」

 

 「なんだあいつら!?」

 

 もちろん突然現れた彼女たちにそういった反応を示すものの冷静さを保っていた。しかし、一部の正義実現委員会の生徒はというと。

 

 「あれは覆面水着団だ!!あの紙袋を着けているのはファウストだ!!!そして....仲間が増えている!?」

 

 「覆面水着団ってなんですか?」

 

 一年生の生徒は存在を知らないのか尋ねる。

 

 「し、知らないだと!?ブラックマーケットで暴れている上、PMCを捻りつぶした奴らだ!!」

 

 「そ、それって....。」

 

 「怖気づけるな....こっちの方が数が多い!!さあ、かかってこ────ってあれ?」

 

 隊長格の生徒はそんな風に鼓舞しようとしたとき、残念ながら目の前から消えていた。

 

 「逃げちゃったのですかね?」

 

 「さ、さあ....仕事の続きを....ってあれ?いない....。というかこの煙は....ごほっ!ごほっ!!」──────…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんか咳き込んでいたのですがあれって本当にスモークなのですか?」

 

 ヒフミはアズサと共にツバサを連れていく中、質問する。彼女は逃げる最中、後ろを振り返った際に咳き込んでいる様子が見えたからだ。

 

 これに対しアズサは。

 

 「あっ.....あれは催涙ガスだった。」

 

 どうやら彼女が使ったのはただのスモークグレネードではなく、催涙ガスが発生する代物だったようだ。どうりで、彼女たち正義実現委員会は咳き込んでいたのだ。

 

 「あ、あの....アズサさんとヒフミさん....その....。」

 

 一緒に連れられているツバサは少し申し訳なさそうな顔をしながら、二人を見つめる。

 

 「もう大丈夫だよ。」

 

 「そうですよ。大丈夫ですから。」

 

 「....ありがとう。」────────………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<撤退期限の日>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの騒動の日から一週間が経ち、ついに撤退期限がやってきた。まず最初に、騒動の顛末を話すとしよう。

 

 主犯のグループは構成していた全員が捕まり、今は正義実現委員会による捜査が行われている最中だ。そして、ツバサはというと....退学処分を一度課せられたがフォードに装着させたボディカメラの映像を通じて無罪であるということに。

 

 晴れて彼女は殺人を犯した────ーなどというのは真っ赤な嘘であったというのが示された。それだけではない。統合特殊作戦コマンドセンター通称、JSOCの下では現在新たなに''ヘイローを破壊する銃弾''の捜査が行われることになったのだった。

 

 そして失踪した生徒の調査もだ。

 

 そうやって色々とこの一週間の間にあったものであり、濃密であったのは事実。そして今日はトリニティから撤退する日。いつの間にか、トリニティにおける活動拠点と化していた合宿所の空き部屋から弾薬やら医療品といったものをMH-60に詰め込む。

 

 そういった作業が単調に行われ、いざあとはヘリに乗り撤退するのみとなった。

 

 「もう行ってしまうのですね。」

 

 「ああ。」

 

 フォードとツバサはヘリのランディングポイントからやや離れ、ローターによる風圧の影響を受けないところで話す。

 

 「俺たちにはまた新しく課せられた任務があるからな。仕方ないさ。それに、トリニティでの任務は達成出来たからな。」

 

 トリニティの任務。それは『神秘と恐怖』であったり、『色彩』といったまるでカルト宗教が信仰していそうな単語であったがそれに関する、情報をある程度シスターフッドから得ることが出来た。

 

 「....ねえ、フォードさん。」

 

 不意に彼女は彼の名前を呼ぶ。

 

 「なんだ?」

 

 「本当にここでお別れですか。」

 

 「.....。」

 

 ただツバサはフォードの言葉を待たずに。

 

 「また会えるかもしないでしょうから....それまでのお別れですね。」

 

 どこか寂しそうに彼女は呟いた。それに対してフォードは。

 

 「....そうだな。でも連絡は取れるから....な。」

 

 「.....。」

 

 「.....。」

 

 そう応えてから、ほんの数秒だったが長いように感じる沈黙が続いた。少しそよ風が吹き、。別れの時間は近づいている。

 

 「本当ならこういう場面はお礼をするのが良かったかもしれませんね。」

 

 ツバサは恥ずかしそうにくすりと笑った。

 

 「別に大丈夫さ。」

 

 フォードもまた笑う。

 

 「....わたしは今、何も持っていないのでお礼が出来ません。だから────」

 

 そう彼女が呟くといきなりフォードの体に抱き着いてきた。

 

 「え?」

 

 フォードは驚いた声を上げるが、ツバサには聞こえていないのか。

 

 「わたしのことを信じてくれてありがとう。」

 

 彼女は言った。

 

 「ああ。」

 

 「わたしにたくさん教えてくれてありがとう。」

 

 「.....ああ。」

 

 「わたしのことを助けてくれてありがとう。」

 

 「.....どうも。」

 

 彼女は伝え終わると、強く抱き締めてきた腕を離す。そして距離をやや取ると、真っ赤になった耳が見えた。

 

 「ねえ、フォードさん。またいつか会いましょう。だからそれまで....。」

 

 彼女は震えた声で語り掛ける。

 

 「またいつか俺も会えることを願っている。幸運を。」

 

 彼はそう伝えるとそそくさにMH-60の元へと向かった。

 

 今は9月の上旬。顔が熱くなっているように感じるのはきっと残暑によるものだろう。

 

 きっと二人はまたどこかで会える。そんなことを願いながら、二人は別れていくのだった。

 

 

 

 





 さてとこれで前々から予告していた通り、三話で完結する番外編的なお話は終わりです。お気づきかもしれませんが、実はこの話の文字数がなんと約1.2万といういつも書いている量の二倍です。(色々と詰め込み過ぎたせいだけど、書きたいもの書けたからヨシ!)

 次回からはエデン条約編三章からスタートすると思います。そろそろ銃器描写だけではなく、曇らせとかに力を入れていきたい....。(え?タグに曇らせがないって?必須タグじゃないからさ!)

 ということで次回からもよろしくお願いします。感想・評価等も励みになるのでお待ちしております。
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