Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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恐らく刺激的な描写が苦手な方はブラウザバックすることをお勧めします.....。


─Bite The Dust─
22:エデン条約編:Called Home to.....


 

 

 

 

 

 怒号と銃声が空に響き渡っている。

 

 そして微かに生臭い鉄の匂いが鼻につく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<████████>

 フォード 特殊戦開発グループ 大尉

 古聖堂近く 防御中

 

 

 

 

 

 

 

 辺り一面はまさしく戦場と化していた。

 

 上を見上げれば、空はだんだんと灰色に染まっているだけではなく、至る所から煙が上がっていた。

 

 「クソ!!こいつら無限に出てきやがる。」

 

 戦闘時では口調が荒くなるフォードは悪態を突きながら、目の前にいる異形たちに対して銃弾を浴びせる。しかし、不思議なことに異形が消滅するとそれと入れ替わるかのようにおかわりがやってくる。

 

 「このままだと全滅してしまいます!先生だけでも....。」

 

 ハスミは先生を連れての撤退を進言する。

 

 「ああ、わかっている。君たちは急いで先生を連れて離れろ。いいな?」

 

 「.....あなたたちはまだ戦うというのですか?」

 

 「当たり前だ。ヘリの墜落現場に向かう。まだ生存者がいるかもしれないからな。」

 

 ヘリの墜落。彼らはトリニティ総合学園からの撤退時、たまたま古聖堂で謎の爆発が起きたため生存者や状況の確認のため向かった。

 

 しかし、現場は完全な戦場へと化していた。もちろん彼らは上空から航空支援を行うが、ほとんどの効果が見られなかったため上の許可すらも得ずに地上に降下。

 

 そしてヘリは再びドアガンによる航空支援に戻ったが....地上から発射されたRPGらしきものによって墜落したのだった。

 

 「先生!!今すぐこっちに来て!!!」

 

 ヒナの叫び声が聞こえるとハスミ達に護衛されながら、先生はヒナの元へと向かい現場から遠ざかっていく。

 

 「....ヒナ、お前は大丈夫なのか?」

 

 彼は彼女の頭から流れ出ている血を見て、尋ねると彼女は。

 

 「私が頑張らないと皆が傷付いてしまうから....。大丈夫。」

 

 そう言いながら彼女は自分が負っている傷を目にもくれず、射撃を加えてくる異形達に撃ち返していた。MG42の射撃音はけたたましく、ヘッドセットをしている彼にもよくその特徴的な音が伝わる。

 

 「俺たちは墜落現場に向かう。それと....。」

 

 「何?」

 

 「もし助けがいるなら叫べ。ちゃんと家に帰してあげるからな。」

 

 彼はそうやって冗談交じりに伝えると、ヒナは笑いながら。

 

 「ええ。」

 

 二人は最後の言葉を交わしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 道中、MG42のあの独特で、甲高い射撃音は遠くでも聞こえていた。フォードはきっと撤退中にいた少数の敵を蹴散らしているのであろうと勝手に推測した。

 

 「にしても、墜落現場に辿り着けないな。」

 

 「全くその通りですよ。」

 

 ピアーズとフォードは共に、目の前にいる異形たちに射撃を加えていた。コンクリートブロックから射撃を加えていたが、それに敵の銃弾が当たると不快な跳弾の音が発生する。

 

 敵が持っている銃はおそらく形状からSVD。SVDは強力な7.62mm×54mmの弾丸を発射でき、それは彼らが着用しているセラミック製のボディアーマーですら防ぎ止めることすら出来ない可能性がある。

 

 「クソ!リロードする!!」

 

 彼はマガジンを投げ捨て、新しい方を取り出そうとするが。

 

 そのリロード時の隙を突いてきたのか、敵が一気に肉薄してきた。彼は、リロードを諦めホルスターからMP17を取り出し9mmパラベラム弾を撃ち込む。ある程度撃つと、異形はまるで砂のように消え去った。

 

 しかし、また別の方向からやってきたので彼はそのままMP17を構えて、放つ。そうすると、これもまた消え去った。

 

 「移動しないと囲まれてしまいますよ!!」

 

 ピアーズがそう言うと、フォードを先頭にして墜落現場に向かうには遠回りであるものの別の方向に続く道路へと向かう。

 

 遮蔽物から移動する際、低いうめき声が発生した。

 

 「っ!!」

 

 フォードはその音が発生したのは誰かと分かっておきながら振り向く。

 

 どこからか放たれたドラグノフの一発の銃弾が、ピアーズの顔に命中していた。

 

 顔の原型はある程度留めているのの、茹でたかぼちゃが一気に圧力で潰されたかのように激しい損傷だった。左頬に対して右斜めから小さな穴をあけた弾丸の射出創は、そのまま後頭部に向かって大きな花を咲かせて貫通。

 

 それがアスファルトの舗装がなされている地面に倒れ、ぐちゃぐちゃに掻き混ぜられた脳みその細胞たちは散らばったうえで血が流れ出ていた。

 

 明らかに死んでいたとわかる光景だった。

 

 「ああ────」

 

 彼はキヴォトスに派遣される前にありとあらゆるおぞましい死体を見たことがあった。それでも戦友の突然の死は受け入れがたく、思考は白紙にされてしまう。

 

 彼はこのまま墜落現場に向かうのは危険と判断し、先生たちがいる方向へと向かうことにした。

 

 「すまない。」

 

 敵の射撃は激しくて近寄ることは出来きない。彼は死体どころか彼のドッグタグですら回収できないことに悔やみながら、走り出す。

 

 それでもまだ遠くからでもわかるMG42の銃声は聞こえていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どこにいる!?」

 

 彼はMG42の銃声を頼りに走っていたが、今はもう聞こえない。最後に聞いたのは激しい銃声と終幕デストロイヤーの合唱と共に、一発の爆発音が響き渡って以降聞くことはなかった。

 

 おそらくヒナ達は撤退中にいた敵を全て排除することに成功したか、もう既に戦場から離脱しているのではないかと彼は考えた。

 

 しばらく先ほどまで聞いていた音を頼りに向かい、角を曲がると一つの見覚えのある車両が目に入った。

 

 「救急医学部のやつが...?どうしてここに?」

 

 道路にあるのは放棄された緊急車両11号だった。前輪は脱輪していた上に、明らかに運転席のフロントガラス部分に目掛けて、何故か対空用途のはずのスティンガーミサイルがまるまる突き刺さっており、運転席からは一本の左腕がはみ出ていた。

 

 「.....。」

 

 彼は周りを警戒してから、生きているかを確認するために近付く。

 

 「酷いな.....。」

 

 運転席のドアが変形し、その隙間から見えるのはおそらくセナ。彼女の胴体には、スティンガーミサイルが突き刺さっており背中には彼女の血がべっとり着いた弾頭が貫通していた。

 

 また発射された弾頭は不発であるようだった。

 

 そしてまだ息はあるようだが、ヘイローは薄く輝いており彼女は危険な状態であることを示していた。しかし、彼女を助けるにはこの変形したドアをどうにかしないといけなく、それには特殊な機材が必要であり今は不可能だ。

 

 それにもしQRF(緊急対応部隊)が彼らの救援として出動したとしても、陸路で2時間はかかる距離。では空路はどうなのか。陸路よりも早くここに来れるものの、先ほど撃墜されたヘリのように二の舞いになるのを恐れるため、空路は使われないだろう。

 

 つまるところ、この状況では遅かれ早かれ彼女は死ぬ。最悪だ

 

 

 

 次はその車両後部周辺に散乱している物に目が行った。色々な医薬品やはたまたは擲弾までが道路に散らばっている。そしてそのまま後部座席の方を確認すると血がべっとりと担架にくっついていた。

 

 色を見るにどす黒く変色しており、時間が経っているようだった。

 

 そしてその血は道路に向かって続いていた。

 

 おそらくこの中に運ばれていた人物は生きていたのだろうが、なんらかのことがあって逃げ出したのだろう。

 

 彼は生存者を確かめるためにその血痕の跡を追う。

 

 しばらく警戒しながら進むと三人の横たわっていた体をビルのそばで見つけた。ヘイローを確認することは出来なかった。

 

 「誰がこんなことを....。」

 

 この三人は先生を護衛していたあの子たち.....ハスミ、ツルギ、ヒナタだった。どれも頭に一発は確実に銃弾が入れられており、無数の銃創が彼女たちの制服を貫いては赤黒くなった血で染まっていた。

 

 そして奇妙なことに見覚えのあるサイズ感の空薬莢...それは5.56mm弾のものが地面に散らばっていた。それだけではなく、三人の死体は綺麗に並べられていた。どれも気絶している間にでも、無理やり引きずり出してからの、殺害....といった具合であった。

 

 きっと彼女たちを殺したのはあの異形ではない何か。正体不明の敵だ。

 

 

 

 

 彼は痛ましい現場から離れて、再び血痕を追い続けた。するとまた一人。横たわっていた。きっと死体だ。

 

 死体に近付くとそれは先生。腹部からは大規模な出血をしており、苦しい喘ぎ声が小さく聞こえた。まだ生きている。

 

 「おい、大丈夫か!?」

 

 彼は生きていることに気付くとすぐにベルトにあるメディカルポーチから包帯を取り出し、止血をしようとする。すると先生は。

 

 「こ....れ....。」

 

 あまりの痛さからか擦れた声になっているが、フォードに白いタブレットを差し出してきた。

 

 「お、お願いが....ある....のだけど....。」

 

 「駄目だ。諦めるな。生きて俺たちは家に帰るんだ。」

 

 「きっと......あなた....なら.....導ける....だろうから....。」

 

 「やめろ。」

 

 フォードはそう言いながら下腹部に包帯を巻き終えて、次は止血帯で足の出血を止めようとする。しかし、先生は左手でフォードの止血帯を持っている右手を静止させた。

 

 それは弱々しい力で彼は振り払おうと思えばできたが、振り払おうとはせずに。

 

 「もう.....私は....助からない....。」

 

 だから──────と、先生は言い。

 

 「......生徒、達のことを.....よろしくお、お願いします....。」

 

 「っ。」

 

 彼は先生の左手を振り払い、そしてタブレットを受け取った。そうすると、先生は安堵した顔を見せながら目を閉じた。

 

 その目は二度と、開くことはなかった。

 

 もう二度と体が動くこともなかった。

 

 「最後の最後で、どうして....。」

 

 先生は生徒の足を舐める生粋の変態であり、どこかの風紀委員会の髪の毛を麻薬のごとく吸ったりするので有名だった。そんな先生は目の前で死んだ。

 

 もし少しでも、ここに来るのが早ければ....。

 

 もしヒナたちと一緒に行動していれば......。

 

 フォードはそんな取り返すことが出来ない過去のことを考えた。

 

 しばらく時間が経ち、彼は落ち着きを取り戻すとヒナを探しに向かった。先生と一緒に行動していたはずであり、まだ見つかっていない。

 

 彼女は強い。

 

 これは彼が率直に抱いている印象だ。だからおそらく、あの異形たちに圧倒されるような状況でも優位を保っているはずだろうし、死んでいるはずはなくてたかが軽傷程度で済んでいるはずだ。

 

 と、彼は思った。思いたかった。

 

 しかし、現実は違った。

 

 「....。」

 

 彼は沈黙する。

 

 目の前にあるのは彼女の亡骸。彼女の近くには弾薬を全て使い切ったMG42が。

 

 血の色は今まで見てきたものよりも、黒く。かなり時間が経っている。おそらく、最初に死んだ。

 

 彼女の右脇腹からおびただしい量の血が出ており、彼女はそれを抑えるかのように右手を添えていた。頭部は、死ぬ直前に見た血以外にも口からも微かに出ていた。

 

 彼女の瞳孔は虚ろだった。そしておびただしい量の血は彼女の白い髪の毛に染み、一部を染め上げていた。

 

 原因はおそらく失血死。

 

 「.....家に帰してやれなくて....すまない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピアーズと同じく戦友の死。彼にとって受け入れたくないものだった────────

 

 

 

 

 

 「全員死んだ....。」

 

 

 

                   

Blue Archive :Task Force

 

──Bite The Dust──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







Called home は家に帰る的な意味ではなく、死を表すイディオムだそうです。

曇らせ要素はもうちょっと先かな....
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