Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
カヤギはどうなるんですかねぇ....。
<20██年秋/14:54>
空崎ヒナ ゲヘナ風紀委員長 風紀委員長
車内
「.....。」
私は中から見える外の流れていく景色を眺める。私は今、調印式に向かっている最中だ。
このまま何事もなくトリニティとゲヘナ両者が調印することが出来たら、私はもう引退する。
そうなれば私が風紀委員長だという肩書きを背負うことはもうない。私はただの一般的な生徒になるのだ。
「委員長、あと5分で着きます。」
私の左隣に座っているアコはあわただしく書類やらをチェックしながら告げた。
「....わかった。」
私はあまり素っ気ない返事をする。が、アコはそれについて気にしていないのかせっせと書類仕事に集中していた。
風紀委員会が抱える仕事は多い。問題児の鎮圧はもちろんのこと、書類仕事もありかなり肉体的にも精神的にもハードなものだ。
それにこうやって私たちが調印式に向かっている間でも、学園の方では美食研や温泉開発部が問題を引き起こしているのは違いない。そして常に多忙な仕事を貯めるのは良くないという持論から、アコはこうやって車内でも仕事に取り組んでいるのだ。
私は再び、景色を眺めようとしたところふと、昨日連絡された内容を思い出した。
昨日。私はフォード大尉から突然、電話がかかってきた。なぜ私の電話番号を知っているのかは不思議だったけど、何やら重要なことがあると開口一番に伝えられた。
曰く、古聖堂に爆弾を仕掛けられている可能性があるとのこと。いったいどの組織、人物がそのようなことをしたのかは機密だから伝えられないと言われた。ただ彼らの諜報機関....CIAという組織から得た情報らしい。
もちろん私はその情報が本当であるかは分からなかったから、アコたちに調印式に向かう前に調べさせた。だけど調べ終わったところで、爆弾なんて存在しないと言われた。
私は流石に彼がこういった嘘を吐くことはないと思っていたから、きっとただ単に偽の情報を掴まされただけだろうと思ったのだった。
──────「委員長、着きました。降りましょう。」
アコは調印式の会場である古聖堂に辿り着いたことを知らせると、私は車内から地面に降り立った。
「めんどくさい....。」
私は公の場であるにも関わらず誰にも聞こえないほどの声の大きさで呟いたときだった。
閃光。熱風。
それらが一瞬にして襲い掛かった。
私は押し倒された。そして何が起こったのか全く理解出来なかった。だけど、ほんの一瞬の出来事が終わると何が起きたのかがわかった。
私は立ち上がった。頭がずきずきと痛みを伴った。でもここには先生がいる。私が守らないといけない。.....なぜなら私にしかそれは出来ないことなのだから。
周りを見渡せば古聖堂は木端微塵となっているようだった。様々なサイズの瓦礫が散らばっている。それだけではなく、ティーパーティー所属の生徒や私たち風紀委員会の生徒は横たわっていた。
「アコは....無事。」
もちろんアコも横たわっていたが、重傷を負っている様子でもなかった。それならあとやるべきことはたった一つだ。
私は痛みを伴う体を動かして、やるべきことを遂げるために向かおうとした時だった。
「ひ、ヒナさん、まだ立ってますねぇ....。あれほどの傷を受けているのにまだ戦うだなんてどうして....痛いはずなのに、苦しいはずなのに....。」
私に声を掛けた彼女は水色の髪型をしていた。そして、彼女の服を見やると以前どこかで見たことがある紋章....アリウス分校のものだ。そして後方にはガスマスクを被っては彼女と同様に武器を構えた生徒たちがいた。
きっと彼女たちがこの攻撃を仕掛けた張本人。フォード大尉が言っていた爆弾を仕掛けたのも同じく彼女たちのはず....。
私は愛銃のデストロイヤーを構え、そして引き金を絞る。これから長い戦いが始まるのだろうと覚悟をしたのだった。
<同日14:56>
フォード 特殊戦開発グループ 大尉
MH-60・████上空
「ピアーズ、まさかお前が迎えに来てくれるとは。」
「流石にトリニティから撤退する時ぐらいには顔を見せようと思っていたのですよ。」
二人の男はブレードが空気を切り刻みして発生するけたたましい音が響く中、言葉を交わす。
「それはありがたいな。それで、
「ああ、たまたまデモ隊が警官隊と衝突していましたがそれ以外は普通の冬でしたよ。あとうちの女房は相変わらず煙草を吸うなって言われましたけどね。」
ピアーズは苦笑いした。
「おいおい、中尉さん。うちの機内では喫煙とポルノは禁止だって離陸前に言っただろ?」
「ウォルコット、黙れ。」
MH-60の
そしてウォルコットに先ほど言われたピアーズはこう返した。
「自分はまだ吸っていないしあっちに着いてしまう前に、先にエンジンから煙が出てしまうんじゃないか?そして地上でドカーンだ。」
彼に言い返されたウォルコットは数秒前にレイに咎められたことを気にせずに軽口を叩く。
「地上で爆発が起きているなんてそれは陸軍のことか?今、怪獣を殲滅しようとしているらしいぜ。」
「怪獣....?もしかしてだが──────」
フォードはウォルコットの放った怪獣という単語に言及しようとしたところ、遮るかのようにレイが話し始めた。
「ああ、今アビドスでビナーというクソデカ蛇とドンパチやっているぞ。それに空軍のAC-130やA-10も参加しているからな。」
「マジですか.....。」
「マジだよ。」
ピアーズはあっけにとられた顔をしながらレイの話を聞いたのだった。彼が不在の際に行われることが決定したビナー討伐作戦はまさに行われている最中なのだ。もちろん、彼は知る由もなかったため滅多に見ることは出来ないA-10やAC-130を拝めてみたいと内心で思ったのだった。
そんな風に彼らは言葉を交わしたところ、大きな轟音が右斜め前方から聞こえた。そして数秒後にその衝撃がヘリに伝わり、派手に揺らす。
「おっと、何が起きた?」
「ビナーはアビドスじゃなくて市街地にでも来たのさ。」
ウォルコットは状況を把握しようとするレイのそばで冗談を放つと、レイはやや怒り気味に返す。
「いい加減にしろ、あの煙を見ろ。どうやら爆発でも起きたのじゃないか?」
レイがそう言うと皆は煙が出ている方へと視線を移す。たしかに黒煙は高く空に向かって伸びていた上、火の手が上がっているようにも見えた。
そうして視線を移して眺めていたところ、無線が入る。
「ノーマッド6-1、こちらセクター。エデン条約調印式が行われていた古聖堂と呼ばれる場所にて、大きな爆発が発生した模様。ドローンでは現場の状況が煙によって確認できない。君たちは最も近い場所にいるから、ただちに状況の把握をしてもらいたい。どうぞ。」
JSOC主導の無人機による監視がほぼ毎日行われている中、どうやら確認が出来ないようだ。もちろん、レイはその無線にあわただしく返答する。
「セクター、こちらノーマッド6-1。了解、これより現場に向かう。終わり。」
彼はそう告げると機体は古聖堂へと向かっていく。高く空に伸びた黒煙は風に揺らいでおり、遠くからでも見ることができた。
<同日15:08>
「はぁ、はぁ。」
私は息をやや荒くしながら瓦礫の山を進んでいく。
「いたぞ!!増援を──────」
「っ!!!」
私は道中にいたアリウスの生徒をなぎ倒す。周りはアリウス生か倒れたゲヘナ、トリニティの生徒だらけだ。
木製の構造物だった瓦礫には火がついているものもあり、そこから煙が上がっては私の視界を妨害していた。しかし、そんな見えない視界の中でも私は進まなければならない。
私が頑張らないと先生が傷付いてしまう。たとえ、私の頑張りが褒められなかったとしても。
私は戦闘中だというのにそんなことを考えながら進んでいる時だった。空から轟音。
煙が私の視界を妨害するが、たまに煙の隙間から見える灰色の空。そんな隙間から目をやると、空で何かが燃え上がっていた。
「あれは....飛行船。」
私は独り言でぽつりとつぶやく。確かに先ほどみたあの特徴的なシルエットは飛行船だ。あれに乗っているのはマコトたちのはず。つまるところ、彼女たちが乗っている飛行船は墜落してしまう。
私に向かって「キキキ!!!地べたで這いつくばっていろ。」なんて言葉を行く直前に吐いて、私はいつものように面倒臭いと感じながらあしらった。それでも、流石に墜落してしまうなんて現状に私は動揺を隠せなかった。
今起きているのはただ事ではない。ティーパーティーやゲヘナの主要人物を巻き込んだ立派な大事件だ。
そう考えていながら私は激しく漂う煙を突き抜けた。突き抜けた先には、銃声が鳴り響くうえガスマスクを身に着けた正体不明の者たちとスティンガーを持ったアリウス生が取り囲んでいるようだった。そして取り囲んでいるとトリニティの正義実現委員会所属の生徒であることを示す、特徴的な黒を基調とした制服を着た二人の女の子。
そしてもう一人はシスターフッドの女の子。三人はけがをしており、制服には所々に穴が開いていた。
また取り囲んでいる何かは明らかにその三人に向かって銃を向けては、放っていた。私はそれが敵であると判断し、デストロイヤーを構えて掃射する。
紫色の曳光弾が体に向かって命中。すると砂のように消え去ってしまった。
奴らが消え去ると視界が明瞭になり、その三人以外にも一人の大人がいるのが見えた。私がやるべきことを為すために探していた人物、先生だ。
私は大声で叫ぶ。
「こっち!!!」
傍から見ればただの怒号にしか聞こえないだろう。だけどそんなことは今、戦場と化したここでは怒号なんかは気にする必要はなくどうでもよかった。
「ゲヘナの風紀委員長!?」
もちろん
「正義実現委員会、先生をこっちに!今は時間が無い!!」
「....。」
「....。」
私は彼女と目を合わせ、沈黙が流れた。しかし、その沈黙はすぐに破られ。
「不快ではありますが.....先生の退路を私たちが守ります。」
と彼女が言うと私も。
「急いで!!」
先生はこちらに向かって走り出した。そして私は先生を連れて瓦礫まみれの古聖堂から遠ざかっていく。
「風紀委員長!!先生のことをよろしくお願いします!!」
背後からはあの正義実現委員会の子の声が聞こえた。私はその言葉で信頼を、先生を私に託された気がした。
走り続けると至るところにあの化物どもがいた。私はそれを見つけるとすぐに射撃し、薙ぎ倒す。
それを複数回繰り返しながら、緊急時の際にセナと合流する予定の場所へと向かおうとする。
「逃がすか。」
突然、低い声が聞こえると同時に銃声が。体に痛みが走った。
「っっ!!!」
撃たれたと思われる方向へと視線を向けた。たくさんの化物たち。さらにそこには私に向かって
そしてガスマスクを身に着けて、素顔が見えない
「下がって。」
私は先生にそう言い終わる前に、デストロイヤーを放つ。
時々、目に見える紫色の曳光弾が化物たちに襲い掛かる。奴らを倒し終わったらあとは一際違う、彼女たちに向けて放とうとした時だった。
「流石に聖徒会だけじゃダメか。私たちスクワッドからやはり、ヒナを倒す必要があるようだ。」
そう告げられると共に、スクワッドと名乗る彼女たちは私に集中砲火の射撃を加えてきた。
「ああっ!!!」
私はあまりの痛さに声を上げる。何発もの銃弾が私に襲い掛かかってきた。
「ひ、ヒナさんまだ立ってますねえ。今もこうやって銃弾をくらっているのにまだ生きているだなんて。」
「黙れ!!」
私に向かってそう言い放った彼女を真っ先に狙う。軽くトリガーを引き絞ったが、放たれた無数の弾丸は彼女に当たり倒れこんだ。
「しぶとい....。」
と、あのスティンガーの子は言い放った。彼女を見ると、既にこちらに構えていた。発射されるまで目前だ。
私は再び痛みが襲ってくるのを覚悟する。その時だった。
いきなり空から鋼鉄の羽音とヴ―という銃声と共に、赤色の光が降ってきては彼女にたくさん襲い掛かった。
「あ──」
もちろん光を浴びたあの子はまるで事が切れたかのように倒れた。
「っ!?」
私は突然の出来事に驚き、空を見上げた。空を見るとヘリコプターが私の真上を通り過ぎてからビルと激突しないように、再び急上昇していくのが見えた。
そして急上昇を終え、右に旋回したとき。ヘリに乗っている人は見たこと覚えがある人物....フォード大尉とピアーズ中尉だというのに気付いた。
「あのヘリめ....。姫...?」
姫と呼ばれた彼女はスッスッと手話で何かを伝えているようだった。
「なるほど....あれが例の軍隊か。ならば、また来る前に.....。」
何かを察したのか彼女は私のことを睨みつけながら。
「ヒナ。今ここでお前を殺す。そして.....先生もだ。」
彼女はそう言い終えると同時に私に向かって射撃を加えてきた。
痛みが伝わる。
「くっ!!!」
私は咄嗟に遮蔽物に隠れてから、撃ち返す。しかし彼女は身のこなしが軽く、避けてしまう。
そして避け続ける彼女に狙いをさらに定めようとした時。
いつの間にか回り込んだのか、姫と呼ばれる子は私に至近距離で撃ってきた。
「ふっ、いくらゲヘナの風気委員長でも姫と私には勝てないようだな。」
嘲笑。
しかしその言葉によって私は今ここで戦うべきじゃないということに気付いた。私は先生に向かって叫ぶ。
「走って!!!!」
私はそう叫んで遮蔽物から体を出しては、先生の背中を守るように彼女たちに弾をぶち撒けた。
「っ!?迂闊に近寄れないな.....。」
彼女はそう言いながら適当にぶち撒けられた弾丸に当たらないように距離を取った。好都合だ。
私も一気に合流地点に向かって走り出す。
「クソ!!!ユスティナ信徒を集めろ!!!絶対に逃すな!!!!」
その言葉が遠くから聞こえつつも、私は走り続ける。
「ヒナ!!」
先生は少し先で待ってくれたようで私の名前を呼ぶ。しかし背後には、あの化け物が何人もいた。
「後ろ!!!」
私が再び叫んだが、あの化け物どもは銃を既に構えており、あとは引き金を引く寸前だった。そして、丸腰である先生が私の言葉の意味を悟ったのか、後ろを振り返った時。
あの化け物どもに空から沢山の赤い光が降ってきた。この射撃は言わずもがなフォード大尉達が乗っているヘリによるものだとわかった。
そして赤い光はアスファルトに当たっては破片が飛び散る上、土埃が激しく舞う。
先生が近くにいるのも気にせず至近距離の射撃。
そしてヘリは射撃を終えると急旋回し、私たちより50mほど離れた大通りに着陸。
「ヒナたち!!!早く来い!!!!」
大声でフォード大尉は私の名前を呼んだ。彼は機内から、周囲から続々と襲いかかってくる化け物どもに向けて射撃を加えていた。
同時にヘリに取り付けられたドアガンも射撃を加える。
私はその援護射撃を受けながら、先生と共に向かう。そしてあと20mほどとなった時。
「1時の方向にスティンガー!!!機体を上げろ!!」
ドアガンナーはそう叫ぶと機体は上昇する。そして数秒後に、私たちの目の前に一瞬黒い筒が映り込んでは本来ならヘリが直撃し、当たらないはずだったビルに向かっては爆発が起こる。
「ッチ、流石に無誘導弾じゃダメか。」
後ろから声。
「ミサキ、あのヘリを落とせ。」
「っ!?」
私はその言葉を聞くと後ろに振り返って、真っ先に倒そうとするが。
「遅い。」
再び痛みが襲う。ずっと戦い続けているせいか、今までよりも何倍も痛い。
「ヒヨリ、今だ。」
その声と共に私の胴体は重い一撃をくらった。
「がぁっ!!」
私は苦しい声を上げて、仰向けに倒れ込んでしまった。私はどうにかして、体を動かして立ちあがろうとするが。
「やれ。」
しかしその声と共に私は彼女たちから一斉に射撃を喰らった。
何発もの銃弾が私に当たり、意識がだんだんと薄れていく。
徐々に痛み感じていた部分が熱くなってきた。
「あああああああっっっ!!!!!」
私は痛さと熱さに耐えられず、声をあげる。私はこのまま死んでしまうのだろう。
先生を守ることはできず。そしてフォード大尉に信頼してもらっておきながら、彼を少し疑ってしまったこと。
ふと色々な後悔が頭に浮かんできた。
視界がだんだん白と黒の世界に変わっていく。鮮やかな色調が薄れていく。
銃声もだんだんと聞こえなくなっていった。
「ま、またヘリが!!!」
「ミサキ!!」
「ロックオンする!!」
微かに声が聞こえてきた。
「当たれ!!」
その声と同時にスティンガーを発射する音が聞こえた。私は仰向けになっており、状況を上手く把握することが出来ないがヘリは今、まさにミサイルから狙われているのだろう。
「み、見てください、フレアが....。」
「当たらないか....。」
「うっ、はぁっ....。」
私は彼女たちがヘリに集中しているうちに移動しようとする。苦しい喘ぎ声を漏らしながら、無理やり体を動かす。体中が悲鳴を上げたが、そんなことはどうでもよかった。
そして私が立ち上がれたところ、猛スピードでまだ先の合流地点にいるはずの....セナの緊急車両11号が私たちの目の前にやってきた。
車両はダイナミックなドリフトをしながら、後部座席を私たちに向ける。
しかし、その時に彼女たちは気付いてしまった。
「逃がすな!!!!あの先生をやれ!!!!!」
「っ!!!先生行って!!!」
「こちらへ!」
突然、先生を標的にする声が聞こえたとともに私は咄嗟の判断で、派手に弾を互いにぶちまけた。
「ま、まだそんな力が...。」
ヒヨリと呼ばれる狙撃手はそう言いながら倒れこむ。
そして私は被弾しながらも、車両後部に乗り込む。頑丈な扉を閉めると、車両は急発進した。
「ああっ、ううっ.....。」
先生は苦しい声を上げていたため、私は先生の体を見つめる。
被弾していた....下腹部から激しい出血を伴っていた。
私はその姿を見て、ひどく後悔した。守り切れなかった。
もっと私が頑張っていれば....と。
「っ!!!」
突然の出来事。
いきなり車両は大きな轟音と共に下から激しく揺らされ────私の視界と意識は暗闇に落ちていくのだった。
<同日15:29>
「おい見ろ!!!彼女たちが乗っている車両は爆発したぞ!!!!」
レイは声を上げる。ヒナたちを乗せた緊急車両11号は猛スピードで戦場から離脱していったが.....道路で突如爆発した。
幸いにも車両は原型そのまま留めており、炎上している様子でもなかったため、まだ中にいる彼女たちは助かる可能性がある。
「IEDか何かにでもやられたんだ....きっと....。」
右側のM134のドアガンの担当をしているガンナーはぽつりとそう呟く。
「レイ!!!」
不意にフォードがレイの名前を叫ぶ。
「俺たちを降下させてくれ。」
「自分もさっきから言っているように覚悟が出来ています....だから....。」
「おいおい、中尉と大尉さんそれはダメだぜ?さっきお偉いさんにも咎められただろ?」
と、ウォルコットは返す。
彼らは定期的に急降下してはミニガンの掃射をぶちまけてはヒナの追手たちや、無限に湧き出てくる異形たちに攻撃を加えていた。しかし、その際にフォードとピアーズは地上に降下することを上に要求したが許可を貰うことは出来なかった。
そしてさっきの要請で三回目。三回目の正直なんて言葉があるが、そんな言葉はここでは通用しなさそうな雰囲気だ。
「でも...あれを見てください。今、敵は彼女たちを包囲しています。このままでは....。」
「ああそうだ、彼女たちは死ぬ。降下することは危険なのは分かっている、どうにかできないか?」
「「....。」」
レイとウォルコットは沈黙を貫く。彼らは個人的な感情でフォードたちの降下を拒んでいるわけではない。降下すれば彼らも死んでしまう状況。あの異形たちは無限の兵力であり、それに包囲されてしまう可能性。
それらを踏まえると、いくら特殊部隊所属の二人の隊員だとしてもこのまま降下させることはただの自殺行為なのだ。
そんな風に沈黙を保っていた二人だが、レイは無線で誰かと通信する。
「ええ、はい。.....先ほどの通り、はい。....二人います。」
レイはそう言って通信を終えると、フォードたちのヘッドセットに突然通信が入る。
「降下を要求しているDEVGRU二名がいると聞いた。私はキヴォトス派遣隊司令官のミリー将軍だ。君たち二人に確認の意思を取りたい。」
ウトナピシュティム空軍基地
説明:キヴォトス派遣隊の根城。3000人近い隊員が配置されており、さらには強力な兵器たちが集結している。なお基地の外周は鉄条網とヘスコ防壁によって守られている上、クレイモアなどが設置されている。
メタ:どうして最終編の箱舟と名前が被るんですか!?!?