Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
<20██年秋/16:29>
フォード 特殊戦開発グループ 大尉
敵地にて孤立中
ビルから勢いよく飛び出し、近くにある支柱に隠れてから最初に発砲したのはフォードであった。彼はMk.18のセレクターをよく使うセミオートから、滅多に使うことはないフルオートに切り替えた。
そしてマグニファイア越しに覗いては、彼らを包囲しているユスティナ信徒にぶちまけた。たった30連発分の5.56mm弾は同口径で、装弾数がさらに倍のM249よりも素早く撃ち尽くしてしまう。
ぶちまけられた5.56mm弾は正確ではなかったものの、少しだけでも敵の数を削ることが出来た。それでも、まだ数は多い。
やはり火力が不足している────と、彼は痛感させられた。
「援護するよ!!!」
フブキがそうやってリロードを行おうとするフォードに対して伝えると、三点バーストによる射撃が加えられる。
彼女はフォードとは違って三点バーストによる射撃を活かして、正確に一体ずつ倒していく。その間に、フォードがリロードを済ませると次はフブキがリロードを行う。
こうした相互援護を行うことで、地道に敵の数を減らしていく。そして、ある程度数を減らしたところで彼らは次の行動に映ろうとした。
フォードは腰のベルトから一本のM18スモークグレネードを手に取り、安全ピンを抜く。キリノも同様にスモークグレネードを取り出し、いつでも投擲が出来るように準備をする。
そして、準備が出来た二人は勢いよくヒナが倒れこんでいる周辺に向かって投げつけた。
投擲されたスモークグレネードはしっかりと白色の煙を発生させて、周囲の射線を一時的に遮ることが出来た。
そして、それは絶好の機会であり待ち望んだ瞬間だった。フォードは装甲車のそばで倒れているヒナに駆け寄っていく。
フォードは彼女に近付く間、周辺のビルの屋上や窓に狙撃手が居ないかどうかを警戒しながら進んでいった。そして、うつ伏せになっている彼女の元に遂に辿り着けた。
「ヒナ、大丈夫か!?」
「....足...首が....。」
呼び掛けられたヒナは震えながら小さな声で答えた。ヘイローには小さな傷が入っているが、まだ生きているようだ。
そしてうつ伏せから仰向けに姿勢を変えさせ、彼女の言う通りに足首に視線を移した。すると、片足が足首から切断されかけていた。
ヒナは腹部と足の傷から出た血で、ズタズタに裂けた制服が真っ赤になっており、両足が弾痕やスティンガーの弾子だらけだった。かなりの出血をしており、アスファルトには黒く滲んだ血が染みついていた。
フォードは彼女のそばでしゃがみ、手当てを始めた。まず足に止血帯を巻くと、彼女の足にある傷がきつく締め付けられたことで、悶えた。
「ううっ!!痛い!!!」
あまりの痛さからか、彼女はしゃがんでいるフォードの右足を拳で何回も叩いた。しかし、止血帯を巻かなければ彼女は失血死してしまう。悶えている彼女にそうしなければならないのが、フォードにとって辛い瞬間だった。
「大丈夫だから、絶対に死なせない。」
彼はそう言って、それから腹の傷にガーゼを押し込んだうえで絆創膏でふさいだ。
最後に、彼のポーチに収められている空のマガジンをちぎれかけている足首に副木として添えた。
応急手当を終えると、投擲されたスモークグレネードの煙の発生量が弱まり始めていた。煙が消えてしまう前に今すぐ、安全な場所である装甲車の中に移さなければならない。
フォードは
再び、彼は倒れているヒナに近付き。
「腕を肩に回して。」
「無理...ここで死ぬ....。」
しかし、ヒナはそう言っては腕を肩に回そうとしなかった。だから、彼は無理をしてでも持ち上げようとした。
そうするとさらに彼女は痛みからか、苦しい声を出した。
「やめて!!」
これから痛がっている彼女に、無理強いさせるのはとても酷いことだろう。しかし、瀕死状態の彼女にとって最も安全な場所はハンヴィーの車内だ。
「絶対に死なせないから.....俺のことを信じてくれ。」
さらにフォードは続けて。
「腕を肩に回せ!!」
「うッうッ、ううううぅぅぅ!!!」
呻き声を上げつつ、痛みに耐えるヒナは彼の肩に腕を回す。これでなんとか運び込むことが出来る。
「クソスモークめ。」
フォードは彼女を持ち上げた後に周囲の状況を見て、悪態を突いた。
スモークはもう発生しきっており、だんだんと量が少なくなっては敵の射線が通るようになるだけとなっていたのだ。
敵の射撃が加えられる前に、急いでフォードは持ち上げたヒナの体を後部座席に運びこんだ。
「痛い痛い痛い!!!」
ハンヴィーの後部座席にヒナを横にさせたが、少し狭かったようだった。フォードは痛がる彼女のために、後部座席の背もたれを倒す。
すると大人一人分を横にしても大丈夫そうな広さを確保できた。流石にこれなら、ヒナが痛がることはないだろう。
フォードはリアドアを閉じては、次は運転席のドアを開けて乗り込む。作戦通りに銃座を撃つ者が居なかったが、敵の数はフブキたちのおかげで減っておりなんとかなりそうだ。
彼はハンヴィーを運転し始めた。
ハンヴィーはかつて彼らの世界において、使われていた装甲車だ。
しかし、採用から数年が経ってからIEDや地雷による待ち伏せ攻撃に対する脆弱性が指摘されたことで、現在採用されているLATVなどの待ち伏せ攻撃に耐性がある車両に、更新が進められたという歴史がある。
それゆえに、フォードはハンヴィーがどういったものかを既に知っていたため、キリノたちが居るビルに向かって車両を動かしながらこう呟いた。
「俺はこの車を世界で、一番嫌っているんだ。」
時々ハンヴィーの装甲板に敵の銃弾が当たり、不快な金属音が至るところから聞こえてきたが、銃弾が装甲板を貫通することはなかった。
そして、なんとかハンヴィーをビルの近くにまで到達させたところリアドアが開かれキリノ、フブキ、アコたちの三人が流れ込んできた。
「風紀委員長!!」
と、叫びながら横たわっているヒナの容態を心配するアコ。
「フブキ~、もうちょっと詰めてくださいよ。乗り切れませんよ。」
「ええ~、皆が後ろの席に乗りすぎだからキリノが助手席にいけばいいじゃん~。」
「ええい!!!」
「ちょっと!?痛いってば!!強引に詰めないでよ!!!」
そして、二人で揉み合いになりそうなキリノとフブキたち。とにかく、全員を回収することが出来た。あとはここから、逃げ切れば良いだけだ。
「フォードさん、本官が運転をしてあげましょうか?」
キリノはすし詰め状態になっている後ろの席から、フォードに向かって伝えた。
「わかった。俺は銃座をやる。」
と彼は答えると、キリノは後ろの窮屈な席から助手席に移動して、フォードと入れ替わる。
「運転経験は?」
立ち上がりながら彼は尋ねた。
「ぜ、ゼロです。」
「....実は人質の脳天をぶち抜くよりも簡単だぜ。」
と、彼は戦闘中にも関わらず冗談を飛ばし、銃座に移動するとM240のチャージングハンドルを引いた。そして、フォードはM240に取り付けられているベルトを確かめた。
するとどうやら300発ほどあり、しかも車内にはまだ7.62mm弾が何発も入った弾薬箱があるようであった。
弾薬は十分すぎる。これならなんとかなりそうだ。
フォードはM240のアイアンサイト越しに狙いを定めた。アイアンサイトはホロサイトや、マグニファイアといった見慣れた光学照準器とは打って変わって見にくい。
それでも彼は引き金を絞った。そして、それと同時にハンヴィーは動き始める。
引き金を絞ったフォードには5.56mm弾を扱うMk.18のフルオートよりもきつい反動が肩に叩きつけられた。
しかし、それと引き換えに高威力で貫徹力が高い7.62mm弾はしっかりと火力を発揮し、異形たちに1、2発でも命中すると消え去っていく。
彼は正確に狙いを定め、撃ち抜いていった。
しっかりと整備がされたM240は理論上950発もの銃弾を一分間に発射することが出来る。だが、多くの射手はそのような撃ち方を避ける。それはフォードも同じであった。
絶え間なく撃ち続けると銃身が摩耗して広がってしまい、使い物にならない状態になってしまうからだ。それに銃身が過熱によって溶けてしまうのもあるだけではなく、給弾不良が発生する割合が多くなる。
彼はそれらを避けるため、正確な三点射撃を加え続けたのだ。
そして出来る限り、ハンヴィーが進む方向に合わせて敵たちを排除していく。時折ビルの移り変わっていく情景から、どうやら先ほどまでフォードとピアーズたちが進んでいた道を引き返しているようだった。
もうすぐ大通りに出る....すなわち、走行が不可能になってしまった緊急車両11号が見えるはずだ。
「キリノ、どこに向かっているんだ?」
フォードはM240の鋭く貫くような連打が響く中、大声で尋ねた。
「遠回りですが、トリニティ総合学園です。一番近くて、安全でしょうから。」
「わかった、頑張ってくれ。」
あの包囲されたビルからそこまで離れてはいないが、敵の数は少なくなっているようであった。
きっと敵の戦力が集中した地点から、抜け出すことは出来ただろう。
しかし、まだあの手強い四人組は見かけていない。彼女たちはどこかで待ち伏せをしており、攻撃の機会を伺っているのかもしれない──────と、彼は考えた。
そうやって思考を巡らすなか、遂にハンヴィーは大通りに出た。十字路となっているこの大通りの中央には、あの放棄された車両が位置している。ハンヴィーはそこからさらに、左折しようとする。
それに合わせて左側の警戒をしようと、銃塔をちょうど旋回させたフォードはある物を目にし、叫んだ。
「擲弾兵!!左に擲弾──────」
MGL-140を構えたアリウス生が複数。ハンヴィーと彼女たちとの距離は20メートルほど離れており、ちょうどハンヴィーの死角となっていた。
発見した張本人であるフォードはすぐさまM240の引き金を絞り、7.62mm弾をぶちまけた。
少なくともゲリラ攻撃を仕掛けようとしていた彼女たちは10人近くおり、M240から発射された7.62mm弾を受けた彼女たちは少しずつ倒れていく。
しかし、待ち伏せ攻撃を仕掛けようとしていた彼女たちは反撃を喰らっても後退することはなく、必死に40mmグレネード弾を何発も連射してきた。
グレネードランチャーから発せられる軽快な音が響くと、すぐさま地面で爆発が生じる。最初の数発はハンヴィーから狙いを逸れて、反対側の道路やビルに命中した。
そしてそのうち、ハンヴィーが走行する地面の近くにて爆発が生じた。ハンヴィーに取り付けられた装甲板に、破片が命中して嫌な音を何回も立てた上に、ハンヴィーの左側の窓にも蜘蛛の巣状のひびがいくつか入った。
「失せろ!!」
フォードは悪態を突き、発射される前に倒しきれなかったアリウス生に制圧射撃を加える。教範通りの三点射や五点射でもなく、フルオートによる射撃だった。
そうすると高い威力を誇る7.62mm弾の雨によって、最初の連射から生き延びたアリウス生は倒された。
なんとかあのゲリラ部隊を排除することができた。しかし、それと同時にM240のベルト一本分を使い切ってしまった。
早く装填しなければならない。
フォードは姿勢を低くし、車内にある弾薬箱からベルトリンクで繋がった7.62mm弾を一本分取り出した。それから、彼はM240の再装填を行っていく。この間、彼らは反撃を行うことは出来ない。
そうやってM240の装填に取り掛かっている時だった。
「今だ!!!撃ちまくれ!!!」
どこからかその声が聞こえたのと同時に、あらゆる方向から銃声が聞こえた。そして、ハンヴィーの至る所から銃弾が当たる音が聞こえてくる。
「ひゃっ、窓が!!」
キリノがそう叫ぶ声が聞こえると同時に、走行していたハンヴィーが歩道の縁石に乗り上げてしまった。
なぜなら待ち伏せていたアリウス生たちはフロントガラスを集中的に狙い、キリノがまともに運転が出来ないようにさせたからだ。
そして、キリノは乗り上げたハンヴィーをどうにかしようとするが状況は変わらなかった。
「ま、まずいです!!動きません!!!」
そう縁石に右前輪が乗り上げたことで、ハンヴィーは動けなくなってしまったのだ。車外に出ようにも、敵に蜂の巣にされるだろう。最悪な状況だ。
「応戦するしかないぞ!?」
「もう~次から次へと...。」
フブキはそう言っては防弾製の小窓をスライドさせ、AC556を撃ち込んだ。
しかし、数秒後には次第に小窓付近に銃弾が当たり始めたので、彼女は再びスライドさせた。
「おっかないねぇ...。」
フブキがそうやって反撃を行った後、やっとフォードはM240の再装填が終わったのだった。そして、彼はM240を用いて反撃を始める。
フォードがかつて戦闘訓練の際に、頭に植え付けた重要な注意点は複数の方角から攻撃されているときには、一人もしくは一つの集団のみに集中してはいけないことだった。
その忠告がしつこく頭に残っていた彼はまず左手の歩道上にいる敵、そしてビル内、コンビニとあっちこっちにいる敵の小集団へ掃射した。
何度かは効果があった。8人からなる小銃チームを二個排除できた。一個は歩道上、もう一個はコンビニの周りにいた。
しかし、掃射するものの新たな増援なのかさらに何十人もの敵が至る所から狙ってきた。
「クソ!!ベルト、ベルト!!!」
二本目のベルトに交換する際は、アコが弾薬箱から取り出してくれた。なおアコはどうやら、ヒナの容態を観察していたのだった。
アコによる見立てではヒナは酷く失血したせいで、そこまで長く持たないとのこと。
あと一時間以内に、輸血しなければいけない────と装填が終わる間際に伝えられた。
急いで、あいつらを排除しないと────と、フォードは使命感に駆られた。
二回目の装填が終わると再び、敵の射撃を沈黙させるために掃射する。しかし、敵の数は多い上に銃塔にも沢山の銃弾が襲い掛かってきた。
そうすると、さらにフォードは激しく射撃を加えた。一連射ごとにもっとターゲットを集中的に撃つようにする。
そうするうちに、彼の頭の中にある忠告をすっかり忘れてしまい一つのターゲットに拘るようになった。
ビル内の窓から、絶えず銃口炎が輝いていた。そのため、全体の状況を見失い──────────
'' ガァン!!! ''
一発の銃弾がM240の給弾受けに命中した。もちろん、M240の破片が射手のフォードの顔にいくつか突き刺さっただけではなく、M240は給弾不良を引き起こして使い物にならなくなってしまった。
「
彼は今日一番と言っても過言ではない盛大な悪態を突いて、車内に戻る。そして、彼は口を開いた。
「俺たちは釘付けにされている!!!」
絶望的な状況だった。多くの敵に囲まれている上、一時間以内に輸血しないと死んでしまうヒナがいる。
「風紀委員長....死なないで....ください。」
「....私は....大丈夫....だからっ...。」
ヒナの顔には苦痛が刻まれていた。顔の肌がどす黒いグリーンがかった色になり、両眼はすざまじい痛みによって泳いでいるようだった。
そんな痛ましい様子を見たフォードは、キリノやフブキたちと共に次の行動を捻り出そうと考えるのだった。
<同日/16:47>
バンダーマン 特殊戦開発グループ 大尉
トリニティ自治区・救出作戦中
唯一、トリニティ自治区において救出作戦を担っているのは彼らDEVGRUアルファチームのみだった。
近接航空支援や情報支援も何もない状況下。それどころか、無線機の通信ですら使うことのできない最悪な状況であった。
しかし、彼らは依然と古聖堂に向かて前進し続けていた。
──────「FTエコーは
「隊長、了解です。」
FTエコーを指揮するファイヤーチームリーダーがバンダーマンの指示を受け、
その目標とは一体なにか。それは──────
──────「こちらピアーズ中尉。生徒及び先生含む、複数名の負傷者を引き連れてきました。」
そうDEVGRUブラボーチームに所属するピアーズであった。彼はセナたちと共に一時、フォードたちと分断されたが何とか逃げ切ってバンダーマンたちと合流することが出来た。
「ピアーズ中尉、よくここまで頑張った。褒めてやる。」
「...いいえ、褒められるほどのことではありません。まだ、フォード大尉と生徒が.....。」
と、ピアーズがバンダーマンに向かって伝えたとき。バンダーマンは、担架に乗せられている負傷した先生の体を見て。
「....にしても、酷くやられたな。それに....。」
彼はそう言いながら次は先生ではない、生徒
「....正義実現委員会とシスターフッドの生徒もひどい状態だな。この戦場は地獄か何か?」
あの時ピアーズとセナは先生を担架に乗せて、そのまま走り続けた。道中、ノーマッド6-1が彼らを空から援護してくれたものの、あわや撃墜されかけた。
それ以降、彼らは援護なしに走り抜ける羽目になりかけたが幸運にも、三人組の生徒たちと合流できた。そうツルギ、ハスミ、ヒナタたちであった。
彼女たちはヒナに先生を引き渡した後、なんとかアリウス生の小部隊を叩きのめすことに成功した。そして、彼女たちは敵を引きつけつつも古聖堂から撤退し....ピアーズたちと出会った。
「ピアーズ中尉、我々はこれからフォードが居る所へと向かう。君たちは帰投してくれ。」
「了解です....ブラボーの皆を集めて再出撃しますから...。」
「わかったよ。中尉の君の分も残しておくさ。」
二人はそうやって冗談を交えると、後送にあたるFTと共に別れたのだった。
「あと、もう少しだ...。」
バンダーマン率いるFTデルタは更に、前進をし続けるのであった。
そういえば気付いたら調整評価が1近く下がっていましたね(涙目)
まあ、周りが調整平均8.5~9近くの作品が居るのにも関わらず、嬉しいことに作者の処女作であり妄想程度の米軍要素をぶちこんだこの作品がそれとほぼ互角状態(調整8.89)であったのが驚くべきことでした。
とにかく嘆いても作品の評価は変わりませんから、ひたむきに高品質な作品を提供して、読者が楽しめたら作者である私は嬉しいですので、頑張っていきます。
応援してくださっている方は改めて、今後ともよろしくお願いします!