Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
<20██年秋/17:21>
ウトナピシュティム空軍基地・通信指令室
「シエラ2-1が敵の電子妨害を阻止することに成功。」
と、男はミリー将軍に報告する。彼は、空軍の航空管制を担う一隊員であった。
「わかった。」
報告された彼はそう返事をすると、次は航空管制の隊員ではなく、違う隊員に向けて。
「QRFはビナー討伐作戦の部隊が到着するまで、待機させろ。」
このときミリーはQRFを今から送り込んだとしても到着までにかなりの時間を要する上、QRFの大部分を担っている海兵隊以外にもさらなる戦力が必要だと判断した。
そのため、彼は出撃を見送ったのだった。そして次に、航空管制担当の隊員が。
「現場上空にはまもなく数機のA-10、AC-130が到着します。あと先ほどペンタゴンからB-1爆撃機の出撃が許可されたため、出撃準備中です。」
B-1爆撃機は
キヴォトスではビナーの脅威を感じた彼らがA-10、AC-130や原潜の追加配備を行った時に、密かに配備されたという経緯があった。
ボーンと呼ばれるB-1爆撃機は、空軍の装備にあるすべての誘導・無誘導爆弾を大量に搭載することが可能であり、ほかに類を見ないほどの多種多様な攻撃が可能であった。
しかしB-1爆撃機による攻撃以外にも、AC-130やA-10による航空支援が始まるため航空機の調整はAWACSが行う必要がある。
その航空機の調整が失敗すれば、友軍機同士の衝突や地上にいる味方への誤爆を招きかねない重大な事態に繋がる。そういった神経質にしなければならない役割を、上空で旋回中のAWACSが担う。
気に掛ける必要がある問題として、一ポンドあたりの爆弾につき90センチ以上、爆発点から友軍の隊員を遠ざけなければならない。
もし、その半径内にいた上でそこに遮蔽物等が無かった場合には、衝撃波や弾子を喰らってしまう。そうなってしまったら、生き延びるのは無理に等しい。
また、敵であるアリウスの戦力を出来る限り削ぎ落すには沢山の攻撃をする必要がある。その分、爆発地点やB-1の進入経路を計画しなければならない。
航空管制を担う隊員はそれらのことをもちろん理解しており、現場での指示を出すAWACSに向けてやり取りをする。
「B-1爆撃機が30分以内には到着するから、それを視野に入れて調整してくれ。」
「了解です。それとA-10、AC-130の交戦許可を。」
「....交戦を許可する。死の雨を降らせてやれ。」──────────────・・・・・・・・
<同日17:25>
コールサイン''ウォーハンマー3-1''・AC-130J ゴーストライダー
戦闘地域上空
「ウォーハンマー3-1、こちらレッドアイ1-1。交戦を許可するただし、こちらから許可がない限り建造物に危害を加えるな。終わり。」
瓦礫と化した古聖堂の高度4000メートル上空には、たった一機の輸送機と思われてもおかしくない見た目をした機体であるAC-130Jが左旋回していた。
そして、AC-130Jは近接航空支援の指揮を担っている真っ最中であるAWACSのコールサイン''レッドアイ''から、先ほど交戦許可を得られたばかりであった。
AC-130Jは、AC-130シリーズの最新型の機体であり30ミリ機関砲、105ミリ榴弾砲、ヘルファイヤ等の各種誘導ミサイルが搭載されている。
また、それらの武装のほとんどが機体の左側面に集中しているため、AC-130Jは左旋回する必要があるのだった。
「攻撃を許可する。車両が放棄されている十字路の西側にいる敵を殲滅せよ。」
火器管制を担当する隊員は、武装を操ることが可能なTVオペレーターに向けてそう告げた。
「了解、30ミリ発射。」
TVオペレーターはそういうと、武装を30ミリ機関砲に選択して引き金を絞る。高度4000メートルからによる攻撃は、アリウス生たちが気付くはずもない。
そのため、白色に強調表示されている彼女たちの体は30ミリによってあっという間に吹き飛ばされる。
「グッドキル、グッドキル。」
火器管制官はその様子をもちろん見ていたため、実際には彼女たちを殺害してはいないがTVオペレーターをそう褒め称えた。そして、次に。
「次は西側の....あー、方位2-3-0だ。車道上にいる重機関銃チームを排除しろ。」
そう命令されたTVオペレーターは、再び30ミリを発射する。高度4000メートルから発射されると、地上に届くまで数秒ほどの時間差が発生する。
もし、走行している車両や歩兵となるならばそれらの進行速度や方向に注意して、予測して発射する必要がある。しかし、重機関銃チームのような後方から射撃を加える部隊はその場に待機することになる。
したがって、それらの予測位置等のことを考慮する必要もないのでしっかりと狙った暁として、アリウス生の体に30ミリが直撃した。
「わーお、直撃だ。やるな。」
「...体が千切れないのはいいな。」
機内に映し出される映像は、白と黒を基調とした赤外線映像である。しかし、決して高解像度の映像ではない。その理由は、TVオペレーターが文字通り爆殺した敵の死体を見てしまうことで、PTSDを患わせてしまう可能性が十分にあるからだ。
ガンシップやヘリに搭載されている兵器は強力であり、ヘイローを持たない普通の人間であるならば直撃や至近弾を受けてしまえば、五体満足なんてことは決してない。
それらの理由から、低解像度の映像が今になっても採用されている。それゆえに技術が進歩したとしても、決して高解像度の映像が実装されることは、未来永劫無いことなのだ。
「そんなことを言うのはよせ。」
TVオペレーターが心配そうに述べていたので、そのやり取りを聞いていた機長はそう伝えた。
そして。
「新たな熱源を感知。方位1-3-5の地下鉄近くにて、車道上に重戦車が複数で進行中。」
赤外線検出担当士が、新たな敵を発見したため報告する。もちろんその報告を受けた火器管制官は、命令を下した。
「敵重戦車をすべて破壊しろ。105ミリを使え。」
「了解、105ミリ発射。」
TVオペレーターは武装を30ミリ機関砲から、M102こと105ミリ榴弾砲に切り替える。それから、何両にも連なっている重戦車たちの先頭を狙うように予測した上での照準を合わせると、引き金を絞った。
機内が105ミリ榴弾砲の発射と共に、派手に揺れた。しばらくすると、105ミリ榴弾が戦車の天板に命中した。天板に命中した105ミリ榴弾はそのまま貫通し、砲塔内部で爆発。
そのまま砲塔内部の弾薬にも誘爆を引き起こすことが出来たため、戦車の砲塔を吹き飛ばした。吹き飛んだ戦車の車体には、炎の柱が勢いよく伸びているのが空からも捉えることが出来た。
「105ミリ、装填完了!!」
機内の装填手がそう叫ぶと、再び引き金を絞る。TVオペレーターが次に狙ったのは、最後尾の戦車であった。発射された105ミリ榴弾は照準通りに飛翔し、車体の後ろにあるエンジンに命中した。
エンジンに命中すると、そこから火の手が上がった。そして、火の手が上がった戦車は停止せざるを得なくなり重戦車の列は、完全に停止した。
市街地における車道は、重戦車が走行するには狭い。彼らはそれを利用したのであった。完全に停止させることが出来ると、TVオペレーターは武装を30ミリ機関砲に切り替えて徹底的に戦車の天板にしこたま撃ち込んだ。
そうやって撃ち込まれた戦車は、無残にもスクラップと化していく。そして、最後の一両に30ミリを撃ち込もうとしたときだった。
火器管制官が赤外線カメラに映っているまだ破壊されていない戦車から、4人のアリウス生が外に逃げ出したのを捉えた。
「乗員が逃げているぞ。やっちまえ。」
と、TVオペレーターに向かって伝えると逃げようとする彼女たちに向けて30ミリを叩き込む。最初のうちは偏差が掴めなかったため、彼女たちに命中することはなかった。
「逃れると思うなよ。」
TVオペレーターは先ほどまでのように弱々しい姿を見せていたのと一変して、語気を強めた。そして、改めて彼女たちに当たるように引き金を絞る。すると遂に、命中した。
「
火器管制官はそのようなTVオペレーターの態度が豹変してしまう様子を終始見ていたため、冗談を交わした。
「ええ、良い仕事だと思いますよ。ただ爆散する死体を見れない状況のみですがね。」
もちろん火器管制官の言葉に、TVオペレーターも冗談を交えて答える。
「ハハッ、君たちは面白いな。」
笑い声の主は機長であった。機長は彼らの会話をヘッドセット越しに聞いていたのだった。そうやって、彼らはしばしの談笑に浸ったところで。
「熱源を感知、方位1-5-5の瓦礫と化した古聖堂より30人以上の敵小隊を発見。」
と、赤外線検出担当士は報告をした。その報告を受けると、談笑していた彼らは真面目に各々の仕事に戻った。
「あー、了解。攻撃を許可する。」
火器管制官は、冷静な口調でTVオペレーターに攻撃を許可。そして、TVオペレーターは武装を105ミリに選択して攻撃を加えた。
そうして着弾するまでの数十秒後には赤外線カメラ越しに、狙いの先である彼女たちの足元にて、派手に白い色の爆発が起きたのがわかった。
「うひゃー、一網打尽だ。」
カメラに捉えられているのは、着弾地点から大きく離れたところで横たわる彼女たちの体であった。105ミリ榴弾の爆発は凄まじく、きっと吹き飛ばされたのだろう。
「レッドアイ1-1より報告、敵の大規模部隊を方位1-5-5の湖近くに確認したそうだ。直ちに攻撃せよ。」
機長がヘッドセット越しに、火器管制官に告げた。
「あーそれは、飛行船の残骸が湖にあるところか?この残骸は敵のものか?」
「待ってくれ、確認する。」
火器管制官が、湖に墜落している正体不明の飛行船を発見した。飛行船は真っ二つに割れており、それなりに大きい破片などが湖に漂流していた。
それはゲヘナ学園に所属するマコトたちのものであるが、彼らはそのことを知らなかった。そしてちょうど、湖に墜落した彼女たちを確実に殺害するために、アリウス生たちが包囲をしている最中であった。
そして、墜落した飛行船から見える彼女たちに攻撃をしても良い対象なのか、彼らには分からなかった。
下手に攻撃をしてしまうと戦争犯罪となってしまい、誰もが望んでもいない展開である軍法会議行きとなってしまう。
そして、20秒ほど沈黙が流れたところで機長から。
「飛行船の残骸には、生存者と思われるゲヘナ学園の生徒が何人かいる模様。彼女たちには危害を加えるな。」
「了解。」
そのように火器管制官が返事をしたところで、次にTVオペレーターに向けて命令を下す。
「装甲車を破壊する、ヘルファイアだ。発射準備。」
「了解、ヘルファイア発射準備。」
AC-130Jに搭載されているのはAGM-114Lこと、ロングボウ・ヘルファイアである。
ロングボウ・ヘルファイアは、いわゆるホーミング機能である''
この機能はTOWのように目標に命中するまで照準を狙い続ける必要がなく、一度ロックオンしてしまえばミサイルが自動的に追尾をし続けるものだ。
火器管制官はまず、一台の装甲車をロックオンした。ロックオンをし終えると、TVオペレーターが。
「ヘルファイア発射。」
と告げて、ヘルファイアを発射する。そして次に、火器管制官が新たなターゲットにロックオンをしている間に武装を切り替えて、30ミリや105ミリによる砲弾の雨を敵に降らせた。
「戦車ロックオン。」
「発射。」
火器管制官の声が聞こえると、再びヘルファイアを発射する。そして、また火器管制官がロックオンしている間に──────と、何度も繰り返していく。
そうやって何回もAC-130Jによる激しい攻撃を加えているうちに、敵の数はみるみるうちに減っていく。しかし、それでもまだ数は多い。
「方位3-0-8より、2機のA-10が空爆を行うようだ。攻撃を中止せよ。」
機長が、射撃の指揮を行っている火器管制官に向けてそう伝える。
「了解した。射撃中止、射撃中止。」
報告を受けた火器管制官は、TVオペレーターに命令する。それから、10秒ほど待機したところだった。
突然、赤外線映像越しに捉えている密集している歩兵に向かって、縦に長く伸びた小さな白い爆発炎が連なって発生。
それが2回ほど続いたところで、2機のA-10が大量に横たわっている生徒の上空を通過していく。
「もう一度、来るぞ。」
機長がそう伝えると、彼らは再び待機する。次は、戦車や装甲車などの各種敵車両が密集しているところに向かって、同じように爆発炎が炸裂した。
これによって、敵装甲車の部隊はほとんど壊滅してしまう。
ところが、A-10によるGAU-8の30ミリ徹甲弾、劣化ウラン弾を喰らってもまだ健全としている戦車たちがいた。
だが、そんな戦車たちをA-10は逃すわけもなく、複数のAGM-65''マーベリック''を放った。
マーベリックは敵戦車部隊に達すると、激しい爆発を引き起こして、一瞬にして戦車たちをスクラップと化させた。
その圧倒的な火力によって、殲滅させてしまうA-10による迫力のある攻撃を、見てしまった彼らの興奮は最高潮に達させた。
「「「うおおぉぉぉぉ、最高だ!!!」」」
と、機長を含め地上の様子を見ていたものは盛り上がる。だが、たった一人を除いては。
「新たな熱源を感知。方位1-6-8より、複数の装甲車.....?いや、走行中の一般車を確認した。」
赤外線検出担当士はもちろん、A-10の凄まじい攻撃を見たが何とか興奮を収めて、自制していた。
「あー、方位1-6-8のどこにいる?」
「車両はガスステーションに沿っていて、たった今過ぎたところだ。」
「了解、捉えた。」
「敵なのか確認するから、待ってくれ。」
火器管制官とやり取りを終えたところで、機長が上空にて待機しているAWACSのレッドアイ1-1と交信する。そして、しばらく待つと。
「味方、ゲヘナ学園の救急医学部の車両だそうだ。」
「彼女たちはどこへ?」
「正確には分からないが....おそらく古聖堂周辺にいるトリニティ、ゲヘナの学生を救助しに来たんだろう。」
機長は推測であるが、そう答えた。
「じゃあ、地上の救助を必要としている部隊には行けるのか?」
「ネガティブだ。彼らに到達する経路にはバリケードが築かれているから、車両は通れない。外郭の大橋から、歩いて行かないと無理だ。」
火器管制官の質問に、次は赤外線検出担当士が答える。地上の救助を必要としている部隊は、フォードたちのことである。
彼らは完全に孤立しており、なんとか近接航空支援によって助かったがそれは一時的である。今はなんとか悪天候となっておらず、航空支援を十分に受けられる状態。
もし、悪天候となってしまうと上空に待機している航空機はそこから退避をしなければ、墜落してしまう危険性がある。そうなってしまう前に、彼らを助け出す必要があるのだ。
「近くにいる地上部隊は?」
火器管制官が尋ねると、機長が答える。
「DEVGRUアルファチームだ。彼らなら、きっと....。」
AC-130Jは誰にも気付かれることもなく、上空で旋回をし続けていた。
<同日/17:48>
「ベアトリーチェ、貴下の用意した重戦車隊とチームⅠが壊滅したらしい。どうする?」
──────なんですって?あの小癪なシャーレの先生は、負傷させたとスクワッドから聞いた。じゃあ一体、誰が?
「それだけではない。他のチームもかなりの損害を被ったそうだ。きっと
──────
煩わしいものだ。私の計画を邪魔されるわけにはいかない。
今回のために、わざわざ黒服の外部の技術を利用して強力な重戦車をも用意した。トリニティやゲヘナが使っている戦車よりも、数十倍強力な。
──────計画はこのまま進めますよ、マエストロ。
「ああ。あと、ゴルコンダから聞いたが貴下は、どうやら黒服の技術から''ヘイローを破壊する銃弾''なるものを手に入れたらしいな。」
ヘイローを破壊する銃弾は、生憎にもヘイローを破壊するにはやや威力が不足している上にコストが高すぎた。だから、大量生産させて装備させることはできなかった。
もし、あの弾薬さえ今ここにあれば私の計画は一つも、支障をきたすことは無かっただろうに....。
いや、あの弾薬があっても奴らがいることは忘れてはいけない。
奴らの力はキヴォトスを壊滅させようと思えば、簡単に実行できるほどのレベルを持っている。そして先生と同じく、予測不可能な変数もしくはそれ以上の何かがある。
同じ大人、同じ外部の存在。それにもかかわらず、私たちゲマトリアとは根本的に違っている。
嫌いだ。消えてしまえばいいのに。
「それとだ。電子妨害さえも無効化されて、挙句の果てには報復として同じく電子妨害を食らうとは予想外だ。」
──────あの黒服の技術は頼りになりませんね。マエストロ、貴方の技術には感謝しますよ。
「どうも。」
まだ戦略兵器がある。それに、太古の威厳が確保されている。きっと、それなら──────
空爆で大量の敵が殲滅されていくのはいいよね。好き。