Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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31:エデン条約編: B - 1(ボーン)

 

 

 

 

 

 

 

<20██年秋/17:48>

フォード 特殊戦開発グループ 大尉

戦闘中

 

 

 

 

 

 

 

 

 AC-130やA-10が行った近接航空支援によって、敵の部隊のほとんどが潰走しつつあった。そんなさなか、戦友であるバンダーマンから伝えられたAWACSが上空にいるという情報を受けて、フォードは周囲の状況を正確に把握するためにAWACSと通信する。

 

 「レッドアイ1-1、こちらブラボー6-1。周囲の状況を教えてくれ。どうぞ。」

 

 「ブラボー6-1、こちらレッドアイ1-1。そちらの半径200メートル以内に敵はもう殆どいない、負傷者が居ると聞いたが君たちで運べるか?どうぞ。」

 

 「空爆さえあれば。」

 

 フォードがそう答えた。

 

 「了解、負傷者を運ぶ準備をしてくれ。ドカンという音が聞こえたら、東にあるコンビニを目指して左折しろ。そのあと、しばらく真っすぐ行けばアルファチームと合流が出来る。」

 

 「わかった、準備する。」

 

 フォードとAWCASの通信はそうして終了すると、次はヒナを運ぶ準備をすることにした。なんとかヒナの体を乗せて運べるようにするために、緊急車両11号の車内から一つの折り畳み式を見つけ出した。

 

 次に、その担架を広げてはヒナの体を乗せようとする。ハンヴィーのリアドアを開き、横たわっている体を輸血中のパックと共に外へ移動させた。その際、ヒナがフォードに尋ねた。

 

 「...ねぇ、どうしてそこまで....私のことを?」

 

 擦れた声だった。そして、彼を見つめる目はやや虚ろであるから彼女の状態はそこまで良いとは、言い難いものだった。

 

 「仕事に過ぎない。」

 

 「....前もそう言ってた。本当は?」

 

 尋ねられた彼は、少し戸惑った上で答えた。

 

 「....兵士としての信念。」

 

 ────────フォードはDEVGRUに所属する世間一般から見れば、やや特殊な兵士だ。しかし、そのような部隊の所属の違いによって仲間を救うかの有無は一切関係ない。

 

 高校を卒業してすぐに入隊した青年や、金の為に軍に入隊した者だろうが、彼ら兵士は必ず信条として胸に刻むことになる。

 

 軍に入隊して間もなく、彼ら兵士はまず()()()というものについて学ぶ。ここでいう兄弟愛は家族関係についてのことではなく、仲間のことを指す。

 

 苦楽を共にした兵士たちはそこで、仲間との間に信頼や友情が育まれることになる。いわゆる絆だ。

 

 そして、その絆はさらに訓練で()()()()を信条として叩き込まれることで強まる。

 

 

 

No one Left behind(誰も見捨てない)

 

 

 これは彼ら兵士が必ず学ぶ言葉であり、彼らの信条だ。

 

 仲間の大切さというのを学んだ彼らが実際の戦場に送り込まれた時に、この言葉は真価を発揮することとなる。

 

 仲間が負傷しているなら、もちろん助ける。もし、仲間が既に死体であるならばちゃんと回収する。

 

 そう例えば、今回のような戦いでもだ。

 

 ヒナのようなキヴォトスにいる生徒たちはきっと、これらのような信条を知る機会がないだろうし、知る必要もないことだろう。

 

 しかし、それらの信念から、フォードのような一人の兵士が彼女を救おうとした動機であるというのは確固たる事実だ。

 

 ──────「キリノ、フブキ、アコ!!話を聞いてくれ!!!」

 

 フォードは彼女たちに向かって、大声で叫んだ。

 

 「これから、空爆が始まる。大きな爆発音が聞こえたら、担架を運ぶ。それで各々の役目は....。」

 

 彼はそう言いながら、彼女たちに役割を与えていくのだった────────・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<同時刻>

ウトナピシュティム空軍基地・通信指令室

 

 

 

 

 

 

 

 通信指令室内では空軍機の航空管制を担う隊員がAWACSによる情報を頼りにB-1爆撃機に直接、攻撃指示を出している最中であった。

 

 本格的な嵐が始まる前に、B-1による攻撃が行うことが出来なければ、もう二度と地上にいる彼らを救うことは出来ない。

 

 なぜなら、嵐によって上空から地表は見えなくなり、上空にいる航空機は墜落の危険性が増すだけではなく、地上の観測員が伝える座標をもとにGPS誘導のスマート爆弾による攻撃しか出来なくなってしまう。

 

 そのような困難な状況を避けるために、投下するのに必要な情報を素早く伝えていく。

 

 「南の大通りにスマート爆弾を落としてくれ座標は....。」

 

 「それが終わったら、次は古聖堂の北側の道路を...。」

 

 「カイザーインダストリーの駐車場沿いを....。」

 

 隊員は一気に、多くの要請を行う。確かに、敵はほとんど潰走しているとのことだがそれでも、残存している敵がいるとAWACSから伝えられたための要請であった。

 

 そして、隊員が一通りの要請を終えたところでB-1に搭乗しているパイロットから返答が来た。

 

 「了解。一分後にそれらの座標に対して一斉に空爆を行う。それまで待機してくれ。」

 

 爆撃が始まるまで、あと一分。

 

 カップラーメンや袋麺を茹でる時間とは一般的に短い時間であるが、ここは厨房でもなければ家庭でもなく戦場であるということを忘れてはいけない。

 

 一般的に戦場では時間の素早さが求められており、特に屋内での近接戦闘となればコンマ単位でのスピードが求められるほどだ。

 

 そして、そのような素早さは死にも直結する。たった一分。

 

 これが戦場で意味することは、非常に長いということだ。

 

 爆撃はまだなのか?────と思いながら待っていたところだった。広域用の無線機から、B-1爆撃機に搭乗しているパイロットの声が漏れ出た。

 

 ────「爆撃まであと10秒。」

 

 その報告が耳に入ると、彼は素早く地上にいる彼らと繋がっている無線機でこう伝えた。

 

 「空爆が10秒後に始まるぞ。」

 

 そう伝えてからさらに10秒待ったとき、再びパイロットからの声が耳に入る。

 

 「爆装投下。」

 

 そう告げられたのと同時に、B-1爆撃機は指示された座標通りに6発のスマート爆弾をはじめに投下したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<同日17:53>

 

 

 

 

 

 

 

 「空爆が10秒後に始まるぞ。」

 

 ヘッドセットから聞き覚えの無い声が漏れ出る。フォードたちは既にハンヴィーの車外に出ており、爆発音が聞こえればすぐさま持ち上げれるように担架の前の持ち手を握っていた。

 

 担架を持ち運ぶのはフォードとキリノだった。そして、アコはヒナに輸血をしている血液パックを手に持ってもらい、フブキはMG42でもし近くに敵がいれば反撃を行う役目を担っていた。

 

 数分前にAWACSから伝えられた場所へ、今から向かう。距離は大体300メートル以上。今から二時間ほど前に、脱出しようと向かっていた道とほぼ同じだ。

 

 そして、遂に盛大な爆発音を聞いた。

 

 爆発音が聞こえた方向へ、視線を向けると空に向かって街路樹であったはずの数多の木や道路の破片が舞っているのが見えた。そしてどす黒い煙は、高層ビルよりも高く伸びていた。

 

 「いくぞ!!」

 

 フォードはそう言うと、キリノと共にふたりで担架を持ち上げた。そして、バンダーマンたちがいる場所に向かって走っていく。

 

 その間も、盛大な爆発音が耳を塞ぎたくなるほど響き渡っていた。

 

 「うっわ~、よくこんな兵器を持っているものだねぇ~。」

 

 フブキは、そうやってB-1爆撃機が爆装を投下したことによる爆発音に、驚きの声を漏らした。彼女にとって、この迫力のある空爆は人生で初めてのことであったからだ。

 

 

 '' ガラガラガラ────ズズーン

     ガラガラガラ────ズズーン ''

 

 

 '' ガラガラガラ────ズズーン

     ガラガラガラ────ズズーン ''

 

 

 '' ガラガラガラ────ズズーン

     ガラガラガラ────ズズーン ''

 

 

 一回の爆撃につき、6発分の爆装投下から爆発するまで耳に聞こえる連続的な攻撃は、彼女たちが経験したこともないようなものであり、そして恐ろしい瞬間であった。

 

 「わっ、物凄い振動ですね...。」

 

 殆どのことは風紀委員長を除いて、動じることはない冷静なアコが珍しく驚いてもいる瞬間でもあった。

 

 対して、ヒナのことを担架で運び込んでいるキリノとフォードはそのようなことを気に掛ける必要もないぐらい、肉体の酷使をしていた。

 

 ふたりは渾身の力を振り絞りながら、疾走していく。まずは、東にあるコンビニを目指したところで左折。そこからは二時間ほど前に、見たことがある光景であった。

 

 ヒナが集中的に銃撃を受けて、黒く滲んだアスファルト。

 

 スティンガーミサイルで吹き飛ばされた遮蔽物────

 

 それらを通り過ぎて、しばらく走り続けたところだった。

 

 遠くに迫撃砲と共に、何人も待機しているマルチカム迷彩を施した軍人たちが見えた。そう、バンダーマンたちであった。

 

 「こっちだ!!!」

 

 大きな叫ぶバンダーマンの声が、遠くから聞こえた。

 

 あと50メートル。

 

 あと30メートル。

 

 あと10メートル。

 

 担架を抱えながら足を動かしていた彼らは、やっとバンダーマン達に合流することが出来た。

 

 「担架を下ろしてくれ。」

 

 一人のバンダーマンのチームに属する衛生兵が二人にそう告げると、二人は地面にへたり込んだ。

 

 キリノはすぐ後ろの持ち手を離したが、フォードはすぐに前の持ち手から両手を離れようとはしなかった。

 

 「フォード大尉、やめてください。」

 

 「おい、やめろ。」

 

 衛生兵とバンダーマンがそう呼び掛けるも、中々手を離すことはなかった。そのためバンダーマンと衛生兵の二人係で、力づく引き離すしかなかった。

 

 無理やり引き離したところで、フォードは息を切らし続けながら呟いた。

 

 「一時間半...。彼女は....一時間半も失血し続けている...。」

 

 そして、地面を見つめながら続けて。

 

 「二単位分輸血をしているが....早くしないと...死んでしまう。」

 

 「.......大尉、よく頑張ったな。ほら立て、急いで帰還するぞ。」

 

 バンダーマンはフォードに右手を差し伸べた。すると、彼はそれに気づき、右手を力強く握りしめて立ち上がった。

 

 彼は立ち上がると、ヒナの方へと目を向けた。

 

 彼女の体は、他の隊員に担架を持ち上げてもらい移動しつつも、衛生兵による治療を受けていた。

 

 それでも未だに、B-1爆撃機による激しい攻撃は止むことは無かった。バンダーマンは爆発の振動で左右に揺れ動く、ビルを見かねてからか無線機を通じて。

 

 「レッドアイ1-1、こちらアルファ6-1。俺は建築士じゃないが、ここにあるビル群が衝撃にどれくらい耐えられるか分からない。どうぞ。」

 

 「アルファ6-1、こちらレッドアイ1-1。あー、つまるところ爆撃をやめてほしいのか?どうぞ。」

 

 バンダーマンはその応答に対して、思案した後に応えた。

 

 「いや、続けてくれ。ビルが倒壊して生き埋めになっても、自力で脱出するつもりだから大丈夫だ。」

 

 「分かった。引き続き負傷者の後送を頑張ってくれ、終わり。」

 

 そうやって無線機を通じてバンダーマンのジョークが混じった報告を終えたところで、彼は通信を終了させた。

 

 そして。

 

 「さぁ、帰還しよう。」

 

 バンダーマンがそう呼び掛けると、彼らは部隊に護送されながらやっと帰還するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

<同日18:07>

コールサイン''ウォーハンマー3-1''・AC-130J ゴーストライダー

戦闘地域外上空

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウォーハンマー3-1、こちらレッドアイ1-1。B-1爆撃機による空爆は終了したから、もう戦域に戻っても大丈夫だ。どうぞ。」

 

 「レッドアイ1-1、こちらウォーハンマー3-1。了解した、戦域に戻る。終わり。」

 

 機長はAWACSに対して、そう返答すると機体は航路を変更して古聖堂がある方へと向けて飛行していく。

 

 そして、次に機内に対して報告する。

 

 「総員、戦域に戻るぞ。」

 

 そもそも彼らが戦闘地域上空から、離脱したのには理由があった。

 

 それはB-1がA-10やAC-130Jが位置する高度よりもさらに高い高度からによる爆撃を行うため、誤爆をしてしまう恐れがあった。

 

 それだけではなく、爆弾による衝撃波や爆炎によって上空にいる彼らに対しても危害を加える可能性もあった。それらの理由から、彼らは戦闘地域上空から離脱したのであった。

 

 そうして、再び地上にいるアリウス分校の生徒たちを殲滅するために、彼らは向かったところだった。

 

 不意に、地上の様子を監視している赤外線検出担当士が報告する。

 

 「方位1-5-5にある古聖堂にて、複数の熱源を感知。どうやら地下に通じる入り口から、敵が出てきているようだ。」

 

 地下に通じる入り口.....。それはカタコンベのことだった。

 

 「攻撃してもいいか?」

 

 「ネガティブだ。またそこからゴキブリのように、敵がやってくるだけだ。キリがない。」

 

 彼女たちを上空から攻撃したいという気持ちが抑えられない火器管制官の言葉は、機長によって却下された。

 

 機長がここでそういった判断を下したのには、確かに彼に伝えた言葉通りでもあった。

 

 敵の数は、かなり多いということは今回の戦闘を通じて分かったこと。

 

 そのためこの入り口にいる彼女たちを攻撃するというよりは、巣穴のような役割を果たしているカタコンベ諸共、木っ端微塵にする必要があるというのが機長の持論だった。

 

 それにはAC-130Jが搭載している105ミリ榴弾や、ヘルファイアでは全くもって火力が不足している。恐らく、A-10ですらカタコンベの入り口を封鎖するということができないだろう。

 

 地中貫通爆弾や、MOABそして巡航ミサイルといった途轍もない威力を誇る攻撃でなければ厳しい──────。

 

 彼はそれらの考えに至ると、AWACSに報告を行う。

 

 「レッドアイ1-1、こちらウォーハンマー3-1。敵の巣穴を発見、そいつを破壊しないと敵の戦力を抑えられなさそうだ。巡航ミサイルか、バンカーバスターでもいいから寄越してくれ。どうぞ。」

 

 切実な火力支援を求める機長の声が、無線で伝えられる。それから、数十秒ほど待機したところで遂に返答が来た。

 

 「ウォーハンマー3-1、こちらレッドアイ1-1。ちょうどB-1爆撃機が、巡航ミサイルを搭載しているようだ。それで破壊しようだが、それには座標が必要だ。教えてくれ、どうぞ。」

 

 そう伝えられた機長は、すぐさま座標を伝える。目標は、古聖堂地下ことカタコンベの入り口。

 

 B-1爆撃機はGPS誘導が可能ないくつものスマート爆弾を搭載しているだけではなく、掩蔽壕(えんぺいごう)破壊用の弾頭を搭載した仕様であるAGM-154Cを運良く搭載していた。

 

 AGM-154Cまたの名をJSOW-Cと呼ばれているこの巡航ミサイルは、装甲やコンクリート、そして土などを貫通することが可能だ。

 

 そのため、これまでの戦争で彼らは敵の洞窟や地下施設を破壊するために使われてきた。

 

 これを使えば、敵の増援や撤退する方法は断たれる。残骸と化している古聖堂跡地に対しては、死体蹴りと言われてもおかしくはない仕打ちであるが致し方のないことだ。

 

 「発射の準備が出来たら、石器時代に戻してやろう。」

 

 「了解した。期待している、終わり。」

 

 AWACSとそうやって物騒な言葉を交えて、通信を終了させたところだった。間も無くして、2度目の報告として赤外線検出担当士が行う。

 

 「方位1-5-5の湖から、救助を終えたゲヘナ学園の車両の列が離脱中。」

 

 赤外線を放つ物体に対して白色の強調表示を行うモニター越しに、彼はきちんと移動する車両たちを捉えていた。

 

 車両の列は連なっては、無残にも飛行船の大きな残骸が水面に向かって突き刺さっている湖を通り、彼女たちがやって来たルートを辿っていた。

 

 しかし、それなりに大きな商業施設が聳え立つT字路にて、彼女たちの先頭の車両が何かの爆発に巻き込まれたことで突如として列は停止した。

 

 きっと、彼女たちはゲリラ攻撃に遭遇したのだろう。

 

 「方位1-5-9のT字路にて、車列が停止。攻撃を受けている模様。」

 

 「射撃許可を。」

 

 火器管制官はその言葉を受けて否や、機長に対し承諾を求めた。

 

 なお機長は火器管制官の言葉が意味することが、ただの許可願いではないことは気付いていた。きっと、彼女たちを助けるつもりなのだろう。

 

 「ちょっと待ってくれ。」

 

 機長は、そう伝えて一人の空軍所属のパイロットとして考えた。彼女たちを、見捨てるべきか助けるべきか。

 

 しばらく熟考すると、ついに答えが出た。

 

 そして、機長はその答えを伝える。

 

 「....交戦を許可する。本当の雨が降る前に、死の雨を降らせようじゃないか。」

 

 「射撃を許可する。」

 

 「了解。30ミリ、ファイア(地獄に堕ちろ)!」

 

 上空を旋回している死の天使から、圧倒的な火力制圧が再び始まろうとしていた。

 

 





いや~一か月近く失踪してましたね....。

B-1爆撃機やAC-130について色々と調べるのに時間がかかったり、仕事が忙しかった挙句コロナに感染したりして、色々と大変で執筆できませんでした。ごめんなさい。

またリアルが立て込んでいるので9月中にあと一話投稿できたらいいなぁ...と思っているので、気長に待ってもらえると嬉しいです。

そうそう、ベアおばはエデン4章で死んでもらいます(唐突な死の宣告)
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