Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
<20██年秋/4:10>
ウトナピシュティム空軍基地・通信指令室
──────「将軍、QRF....もとい陸軍及び海兵隊の混成部隊が2時間後に古聖堂周辺に到着します。」
ミリーよりも20歳ほど年が離れたそれなりの年齢である隊員は、そう報告した。これから、古聖堂周辺に残っているアリウスの戦力を殲滅するための戦いが始まろうとしているのだ。
「了解した。空の方はどうなっている?」
ミリーは報告を受けると、次は航空管制を担当する空軍出身の隊員に尋ねた。
「40分前から既に、AWACS及びEP-3は上空にて待機中。近接航空支援も準備が完了しています。対空火器は一切見られません。」
「了解、作戦開始時刻まで指示を待て。」
「了解です。」
空軍出身の彼は、そう告げると次はAWACSと通信することが可能な回線に繋いでミリー将軍から受けた命令を的確に伝達しようとする。着々と時が進むとともに、準備も並行して行われているのだ。
今回のQRFはかつてないほどの規模である。ビナー討伐作戦に参加していた機甲部隊を中心に、海兵隊を中核とした歩兵部隊。そして、空軍の強力な近接航空支援も完備している。
これほどの戦力があれば、いくらトリニティとゲヘナ学園の両方を混乱に陥れることが出来たアリウスでも太刀打ち出来ないだろう。しかし、一つ問題がある。
それは彼女らの戦力は出処不明の地下通路を通じて送り込まれていること。アフガニスタンでも確かに地下道や洞窟を基に、強固な拠点を築いたりしていた武装勢力が存在していたことは確かである。
それどころか、かつては忌々しき
────残念ながら昨夜、B-1爆撃機が発射した掩蔽壕破壊用弾頭を搭載した巡航ミサイルであるAGM-154Cによる攻撃によって、その地下通路が崩落を起こしたことは確認済みだ。
これからの戦いでこれ以上増援の部隊が送られることは無いという点では良いことだが、最終目的である彼女らの首謀者を捕らえることも出来ないのだ。
そんな風に頭を抱える問題が存在していたが、ある報告が空軍出身の隊員から告げられた。
「EP-3が電子妨害を既に昨夜からしていますが.....別の周波数にて敵の無線を傍受しました。」
「というと?」
「アリウスには....おそらく別の活動拠点が──────」──────…………
<同日/4:20>
バンダーマン 特殊戦開発グループ 大尉
ゲヘナ自治区・FOS前方作戦拠点''クランプス''
「負傷者の収容状況はどうなっている?」
電話越しにポースティン大佐の声が聞こえると、バンダーマンは報告する。
「重傷者2名と軽傷者3名を6時間以上も前に収容しました。ですが大佐、状況はそこまで良くありません。」
「...続けてくれ。」
「2名の重傷者は残念ながら、我々の拠点の医療設備では最善な治療を施すことは不可能です。このままだと死────」
バンダーマンが伝えたいことは現実だった。確かに先生とヒナを救出することは出来た。しかし、ここの拠点はあくまで特殊作戦仕様であるがゆえに戦闘時の救護に関しては最低限度のものであり、重傷者が居た場合は各自治区が運営している病院に移送する必要があった。
「よせよせ、わかったぞ。こちらから、どうにかできないか各学園に収容出来ないか働きを掛ける。ご苦労だ。」
「...感謝します。」
彼は大佐に向けて感謝を述べたところで、向こうから電話を切られる。大佐は所属している部下から要請されたことにはしっかりと向き合う人物だ。だからこそ、バンダーマンは大佐のことを信頼しているし大佐からも信頼されているのだ。
バンダーマンは彼自身で考えたやるべきことを遂行すると、次に時刻が迫ってきている特殊作戦に向けての準備を始める。太陽が昇っているであろう時間帯での作戦のため、まずFASTヘルメットのヘルメットマウントに取り付けられているGPNVG-18を取り外す。
そして次に、彼が着用しているプレートキャリアのマガジンポーチに各弾倉に5.56ミリ弾が装填されていることを確かめると準備が完了した。
そうして準備を整えた彼は、基地の建物から外に出た。
外に出ると、私服を着こなしさらにバンダーマンと同じくプレートキャリアを着用しているブラボーチームの隊員が数名と、マルチカム迷彩が施された装備を纏うアルファチームの隊員も数名待機していた。
また既に何名かはSUVに乗車しており、彼らもいつでも出撃できる様子だった。
「バンダーマン、俺たちはお前のことを待っていたんだぞ。」
バンダーマンの名を呼んだのは、フォードであった。勿論、呼び掛けられた彼はそれに反応した。
「すまない、少し手間取ったものだから遅れてしまった。」
彼はさらに続けて。
「....
「感謝する。」
フォードはそうして彼に向けて感謝の言葉を述べると、SUVに乗り込んだ。それに続けて、バンダーマンも乗り込んだのだった。
<同日/5:30>
古聖堂周辺・交差点上
「オールクリア。」
フォードたちは車両から下車し、しばらく進んだところである交差点上のクリアリングをMk.18に取り付けられたマグニファイア越しに行うと、そう報告したのだった。
「...バリケードを撤去しろ。」
「了解。」
そして、彼は次に車道上に設置されているバリケードを撤去するよう命じたのだった。これは彼らの任務であった。アリウスの残党戦力を殲滅する際に、送られる部隊は主に装甲車で構成されているため、装甲車両の通行を止めさせることが可能なバリケードはまさに障害であるからだ。
そうして、命令を受けたブラボーチームの数名の隊員が撤去を開始。撤去を行う際は、周辺のビルの窓や屋上などに彼らを狙う狙撃兵がいないかを警戒する数名の隊員に分かれた。
フォードも警戒にあたっているのと同時に、ヘッドセットから報告が聞こえてきた。
「ブラボー6-1、こちらレッドアイ1-1。現在地の交差点から、北東100メートルの位置に敵小隊10人を路上に確認。注意されたし、どうぞ。」
彼はそれに応じた。
「レッドアイ1-1、こちらブラボー6-1。了解した引き続き警戒する、終わり。」
彼に報告を行ったAWACSは恐らく、上空にて旋回中であるAC-130JかEPー3による赤外線映像から発見されたものだろう。
本来なら、AC-130JやA-10といった近接航空支援を担う航空機がそれらを発見した際は真っ先に攻撃を行うが、こうして報告のみされたのは理由がある。
それは上空にいる彼らの攻撃の頻度が増す度に、敵は建物に潜伏してしまいそこからゲリラ攻撃される可能性が高まるからだ。そのため、わざと上空からの攻撃を控えることで敵の警戒を避けたまま、地上の特殊部隊による作戦が立案されたのであった。
「ブラボー6-1、こちらアルファ6-1。報告のあった方位に向かい、敵部隊を排除する。どうぞ。」
フォードがAWACSに対して応答してから、数分後だった。彼が装着しているヘッドセット越しに聞き慣れた声が漏れた。もちろん、彼はそれにも返答する。
「アルファ6-1、こちらブラボー6-1。アリウスの排除はそちらに任せるぞ、どうぞ。」
「了解。さて、狩りの時間だ。」
バンダーマンがヘッドセット越しにそう呟いたところで、彼とのやりとりをフォードは終えるのだった。
<同日/5:42>
バンダーマン 特殊戦開発グループ 大尉
古聖堂周辺・一般道路
「
バンダーマンはそう告げると、初めに無警戒なアリウス生にセミオートで射撃を加えた。すると、あっという間に照準に定まっていた彼女は倒れこんだ。もちろん、それと同時にアルファチームの隊員が射撃を加えていく。
彼らは全員サプレッサーを標準装備として銃に取り付けているためほとんどの場合、撃たれた者がどこから攻撃を受けたのかを銃声で特定することは困難を極める。
そのようにして一方的に攻撃を加えていったため、10人ほどで構成されていた彼女らはあっという間に全滅するのだった。そこで、バンダーマンはさらに敵戦力を殲滅するためにAWACSと通信を行う。
「レッドアイ1-1、こちらアルファ6-1。敵一個小隊を片付けた、残党兵の位置を教えてくれどうぞ。」
「アルファ6-1、こちらレッドアイ1-1。そちらから北北東の公園にて、偽装された重火器陣地を確認。どうぞ。」
AWACSが確認した敵陣地は迫撃砲や、対戦車砲及び重機関銃を配置しておりしかもカモフラージュが施されていたのだった。そのため本来なら上空の偵察からは見つけることは出来ないはずだったが....米軍の索敵能力を舐めてはいけない。
彼らは偵察衛星をキヴォトスにも打ち上げていたのだ。偵察衛星は数基も打ち上げてさえいれば、地球だろうが異世界であるキヴォトスであろうがほとんどの場合24時間の監視体制を築くことができる。
それゆえに、数時間のうちで地上において僅かな動きがあれば偵察衛星の画像によって、すぐに察知して彼らはあらゆる行動を選択することが可能なのだ。
「了解、アルファは敵陣地を強襲する。終わり。」
バンダーマンはAWACSに対してそう伝えると、彼らの部隊は急いで敵陣地がある公園に向かう。幸いにしても直線距離で200メートルほどしか離れていないため、走れば数十分以内に着くだろう。
そうして彼らは公園へと急いで向かう。
時折、路上には昨夜からの空爆を受けて気絶していたが、ちょうど今になって目を覚ましてしまった哀れなアリウス生たちを彼らは見かけたため、再び弾丸を撃ち込んで差し上げていく。
そんな風にアリウスの支配下である古聖堂周辺を侵攻していくと、ついに公園に辿り着いた。公園には偽装網で覆われた複数の60ミリ迫撃砲に、8.8センチ自走砲が配置されていた。またどうやら、さらなる隠密性を維持するためか外周のフェンスにも偽装網が施されていた。
「目標を確認。」
バンダーマンはHK416に取り付けてあるLPVOスコープで、公園の入り口を遠くから捉えるとそう告げた。そして、彼は公園内を巡回していたり、定点監視を行っているアリウス生を捉えるとどのように公園を制圧するのか考える。
敵の数はそこまで多くはなさそうであった。少なくとも、ここにいる25名の特殊部隊員の数よりは少ないことには違いはない。そのため、閃光弾を投擲してからの制圧を行っても良さそうだと、彼は考えた。
「オールチーム、
何名かはベストのポーチからM82閃光手榴弾を取り出して、安全ピンを引き抜いた。そして、偽装網が施されたフェンス越しに投げつけた。すると、短い時間で起爆するように設計されている閃光手榴弾は強烈な光と音を発した。
「行け行け!!」
バンダーマンはそう言いながら、公園に真っ先に突入。後方からも隊員が続く。
「ぐぁぁっ!!目が──────」
「待って!!たくさんてきが入ってきて────」
バンダーマンたちは一気に公園内にいるアリウス生たちに向かって、弾丸を撃ち込んで制圧していく。制圧時間は10秒ほどだった。あっという間に、公園を彼らは掌握するのであった。
「レッドアイ1-1、こちらアルファ6-1。公園を確保した、周辺にも脅威は見られない。どうぞ。」
彼がそう報告すると、直ぐに返答が来た。
「アルファ6-1、こちらレッドアイ1-1。了解、まもなく地上部隊が到着する。このまま君の部隊も古聖堂に向かってくれ、どうぞ。」
「了解、アルファは直ちに向かう。終わり。」
地上部隊のために安全な進路を確保したバンダーマンはそう告げると、古聖堂に向かうのであった。