Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

34 / 55
1/21 メモ:人には言えないほど恥ずかしすぎる誤植を修正。


34:エデン条約編:Time to Decisive Battle

 

 

 

 

 

 

<20██年秋/6:00>

アレックス 第一武装偵察隊・レッド分隊 中尉

古聖堂周辺・制圧作戦中

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────「ブラボー2、こちらレッド1-1。作戦地域に到着した、これより古聖堂周辺を制圧する。どうぞ。」

 

 「レッド1-1、こちらブラボー2。了解、貴下の部隊には上空にて待機中のAWACSとの通信を許可する。コールサインはレッドアイ1-1、どうぞ。」

 

 「了解した。終わり。」

 

 アレックスはM-ATVの車内に取り付けられた広域通信用の無線機で、通信を行うと次はM4A1を持って車外に出た。車外に出ると、M4A1に初弾が装填されているかを確認してから安全装置を解除する。

 

 そして、彼はやや懐かしむような感じで、高く聳え立つビル群を視界に収めたところで彼は呟いた。

 

 「俺はもう砂まみれの世界に飽きたところなんだ。」

 

 アレックスがキヴォトスで派遣されていた地域はアビドスであった。彼はビナーと初遭遇したその後は、部隊に管理休暇を与えられたのだった。そして、数日後に彼らはまたキヴォトスに戻り....さらにとある任務を与えられた上でアビドスに再び派遣されたことがあった。

 

 それ以来、アレックスはアビドス以外の地域に訪れたことがないのだった。しかし、今回のアリウス制圧作戦にあたりビナー討伐作戦に参加していた部隊が呼び戻されてから数時間後に、彼らにも再配置命令が下されたのだった。

 

 そして、その再配置命令の際に彼らと共に────────

 

 ──────「うへ~テレビで見ていたけど、こんなに街が酷い状況だったなんてね~?」

 

 「ん、ファウ....じゃなくてヒフミからの連絡が無ければここにも来ることもなかった。」

 

 「まったくもー。カタカタヘルメット団とカイザーの次は一体何なのよ?この有様。」

 

 アビドス一同はそのように戦闘によって破損した道路や建物群を眺めると、各々コメントした。そもそも、なぜ彼女たちが砂まみれのアビドスではなくコンクリート製の建物が多くある古聖堂まで来たのか。

 

 それは彼女たちはヒフミから連絡を受けて、アレックスと共にここまで来ることとなったからなのである。もちろん、アレックスは彼女たちを連れていくことは拒否しようとしたが....彼女たちの熱心な勢いに押されてしまったのである。

 

 「全員傾注。レッド分隊及びアビドスは先導する海兵隊の装甲車両と共に、古聖堂周辺を確保する。」

 

 「....建物を壊しても大丈夫でしょうか?」

 

 アヤネは尋ねる。

 

 「(ネガティブ)。我々に建造物の破壊の許可は一切出ていない。破壊したら借金額がその分増えると思った方が良いだろう。」

 

 アレックスは冗談交じりに応えると、レッド分隊の数名は苦笑する。そして、彼は続けて尋ね返す。

 

 「ほかに質問は?」──────……

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────「こちらイオタ3-1。カイザーインダストリー周辺を制圧、周囲には銃を持った亡霊もどきがいるから注意────」

 

 ────────「こちらイオタ3-5。激しい銃撃に巻き込まれて負傷者が7人。そのうち2人は重傷のため直ちに医療ヘリを────」

 

 制圧作戦が開始されてから40分近くは経過した。キヴォトス派遣隊の無線では様々な要請が飛び交う。エリアの制圧報告から、重傷者の搬送要請までと多種多様であった。

 

 なお、レッド分隊が担当している古聖堂周辺では激しい銃撃戦が続いていた。

 

 「コプス、あの左前方のビル窓から射撃を加えている重機関銃陣地を吹き飛ばせ。」

 

 「了解。」

 

 アレックスは擲弾兵であるコプスに命令すると、M27 IARによる制圧射撃が陣地に加えられる中すぐさま彼はM203の引き金をリーフサイト越しに絞った。

 

 '' ポンッ ''

 

 一発の40ミリグレネード弾が発射される銃声が聞こえると、そのうち狙いを付けていた先である敵の重機関銃陣地の近くにある土嚢に命中。爆発音と共に土煙が激しく生じた。

 

 しかし、陣地を破壊することは出来ずオレンジ色の曳光弾がこちらに向かって飛び交ってくる。

 

 「まずいな...。」

 

 アレックスがそう呟いたところで、シロコがこう言った。

 

 「ん、私に任せて。」

 

 彼女はそう告げると、ドローンをどこからか取り出して起動させる。そして、ドローンはすぐさま上昇し圧倒的な量のミサイルを放つ。一発のミサイルのサイズはそこまで大きくはなく、500ミリペットボトル一本分と同じような感じであった。

 

 ただ、それがいくつも飛翔していく。そして、一発一発の爆発はコプスが放つ40ミリ高性能炸薬弾とは違い、小さいものであるが数は多いためクラスター弾が子弾をぶち撒けるが如く、何度も小規模な爆発が広範囲に生じる。

 

 「うわぁぁぁっ!?」

 

 「逃げられな──────」

 

 重機関銃を担当しているアリウス生たちは、そのように断末魔を上げると数秒後には陣地が沈黙した。いくらなんでも、あの爆撃から逃れることは流石に難しいだろう。

 

 「よくやった、だがまだ進めないな。」

 

 アレックスはそう褒めたたえたところで、次にある問題に直面する。それは、彼らが敵の圧倒的な防衛陣地により前にこれ以上進むことが出来ないことだった。

 

 レッド分隊よりも前方にはLAV-25が数台先導しており、事前に見つけることが出来た脅威は彼らが排除している。

 

 しかしそれでも彼らのような重装甲目標はアリウス生の標的にはされにくいようで、積極的に歩兵を中心に待ち伏せ攻撃しているようであった。また、それだけではなく敵は強固な防衛陣地を築いており、あちこちのあるビル内から何人ものアリウス生がこちらに射撃を加えてくる。

 

 

 「いくらなんでも多すぎるよ~。これじゃあ、おじさんの盾とノノミちゃんの制圧射撃だけだと無理そうだよ。」

 

 ホシノは敵の攻撃を惹きつけながらそう述べた。確かに、敵の数はあまりにも多く部隊の全滅は時間の問題である。そのため、アレックスはAWACSを通して近接航空支援を要請することにした。

 

 「レッドアイ1-1、こちらレッド1-1。近接航空支援が必要だ、どうぞ。」

 

 「レッド1-1、こちらレッドアイ1-1。了解、目標にマーキング又は座標を教えてくれ。どうぞ。」

 

 「了解、目標周辺に発煙弾を展開させる。」

 

 次にアレックスは近接航空支援を呼ぶために、コプスに命じる。

 

 「コプス、射撃を加えてくるビルにスモークを炊いてやれ!!」

 

 「隊長、了解です。」

 

 コプスはそう返事するとM4A1のアンダーバレルに取り付けられているM203のバレルを前方にスライドさせ、40ミリ高性能炸裂弾を取り出して発煙弾をリロード。そして、彼は銃口炎が見える範囲でありとあらゆる建造物の近くに発煙弾を撃ち込んでいく。

 

 発煙弾が撃ち込まれると徐々に緑色の煙が発生していき、そのうち徐々に煙が上昇していった。

 

 「目標に緑色のスモークを炊いた!見えるか!?」

 

 アレックスはAWACSに尋ねる。

 

 「目標を確認。少し待ってくれ。」────────…………

 

 

 

 

 

 

 

 

<同時刻>

AC-130J コールサイン“ウォーハンマー3-1”

古聖堂周辺・上空

 

 

 

 

 

 

 

 古聖堂周辺、高度4000メートルにも及ぶいわゆる高高度ではAC-130Jと言われる大型の対地攻撃機が左旋回していた。そしてこの機体に搭乗している機長は、先ほどアレックスから要請を受けたAWACSに搭乗している隊員と交信をしていた。

 

 「ウォーハンマー3-1、こちらレッドアイ1-1。地上部隊より近接航空支援の要請。目標座標は────────」

 

 AWACSに搭乗している隊員は、アレックスたちが放った緑色のスモークにあたる地図座標を的確に伝えていく。そうして、彼が伝え終わったところで機長は冷静に尋ねた。

 

 「待ってくれ。これだと多くの建造物を破壊するのじゃないか?」

 

 彼らには建造物に破壊は一切認められておらず、機長はこれは命令違反なのではないかと考えたのだ。もちろん、昨夜行われた空爆に関しては破壊対象であるカタコンベは建造物ではなく自然によって形成された地下空間だという解釈だった故に出来たことだ。

 

 「....今すぐ確認するから、すまないが少し時間をくれ。」

 

 AWACSに搭乗する隊員はそう告げたところで、1分後ほど経った頃に隊員から再び連絡が入った。

 

 「建造物の破壊を許可が下りた。繰り返す、建造物の破壊が許可が下りた。」

 

 その報告に機長はすぐさま反応する。

 

 「了解。火器管制官へ、交戦を許可する。石器時代に戻してやれ。」

 

 機長はFCOこと火器管制官に攻撃の指示を許可すると、さらに許可された彼は武装を操作するTVオペレーターにも許可を出す。

 

 「方位2-2-3のビルを吹き飛ばしてやれ。」

 

 「了解!30ミリ、ファイア!!」

 

 30ミリが何発も連続で発射されて、狙いの先であるビル屋上に飛翔。ビルの屋上には何人もの狙撃手らしきアリウス生が、赤外線カメラ越しに映っており必死に地上部隊に射撃を加えていた。

 

 しかし、突如として高度4000メートルからの贈り物である105ミリ榴弾が着弾。あっという間に、屋上に群がっていた彼女たちは設置されていた貯水タンクやらと共に吹き飛ばされたのだった。

 

 「グッドキル、グッドキル。次はあの電化製品の広告塔があるビルだ。」

 

 火器管制官がそう伝えると、TVオペレーターはその建物屋上に敵がいないかを確認する。赤外線カメラは基本、熱である赤外線を放出する物体に対して白色で強調表示する索敵に優れたものである。そのため、一目で敵がいるのかどうかを判別することが可能である。

 

 そんな赤外線カメラを通してビルを見てみると、攻撃目標である建物の屋上には敵が見られなかった。つまるところ、建物内部にいるのだろう。

 

 「105ミリ、発射。」

 

 TVオペレーターは武装を105ミリ榴弾に選択すると、照準を屋上にある広告塔から何枚もの窓ガラスが見られる方へと狙う。赤外線カメラは残念ながらガラス越しに熱源を感知することは出来ない。そのため、正確に内部にいるアリウス生を狙うのではなく建物を文字通り破壊する方針に彼は切り替えた。

 

 105ミリ榴弾が発射されると数秒後に、命中。完全に一部分を吹き飛ばした。しかし、まだ敵がこのビルにいる可能性があるため彼は30ミリに切り替えて、攻撃を続けた。そうして、そのビルを蜂の巣状態にしてやると一部分が倒壊し始める。

 

 倒壊し始めるともう誰もそれを止めることは出来ない。程なくして、道路上にビルの瓦礫やらまるごと一部分が降り注ぐのだった。

 

 「わーお、やっちまったな。」

 

 火器管制官は人生で初めてAC-130Jによる攻撃で倒壊するビルを目撃した彼は、そのようにややふざけた調子で呟く。

 

 「方位1-5-4の屋外駐車場に10門の迫撃砲を確認。」

 

 それに対して赤外線検出担当士は冷静に報告。すぐに、火器管制官はその報告が伝えられるとTVオペレーターに続けて命令をした。

 

 「方位1-5-4にある屋外駐車場に攻撃をせよ。」

 

 「了解、射撃する。」

 

 TVオペレーターは赤外線カメラで何門もの迫撃砲を操作している少数のアリウス生を捉えると、正確に30ミリを叩き込んでいった。そこで、30ミリ砲弾が迫撃砲の砲弾を備蓄している弾薬箱に命中すると大規模な爆発が発生。派手にその屋上にある車両たちも綺麗に吹き飛ばされた。

 

 「方位0-9-0よりA-10が二機進入。誤射に注意せよ。」

 

 突然であったが機長がそのように報告を行うと、火器管制官はTVオペレーターに向けて適切な指示を行う。

 

 「射撃中止、射撃中止。」

 

 「了解、射撃を中止する。」

 

 誤射を避けるために彼らは一度、攻撃を止める。そして、A-10がどこに対して攻撃を行うのかを伺う。

 

 「A-10は方位2-5-5の路上にある大型の陣地を破壊するようだ。それが終わり次第、射撃せよ。」

 

 機長はそんな風に、射撃を止めた彼らに対して空爆の位置を伝えると彼らは赤外線カメラ越しであるがA-10の攻撃がそれらの陣地に始まるのを待機していた。そうすると、ほどなくして遂に攻撃が始まった。

 

 初めにA-10はGAU-8通称『アヴェンジャー』と呼ばれるアメリカ空軍において、史上最大の攻撃力を持つ30ミリガトリング砲が放たれた。

 

 GAU-8は焼夷徹甲弾PGU-14B(劣化ウラン弾)と焼夷榴弾PGU-13Bが4:1の割合で装填されている。焼夷徹甲弾は対戦車戦においてもっとも威力を発揮し、焼夷榴弾は軽装甲目標や対人目標に効力を発するのだ。

 

 そのため陣地内には複数ものアリウス生や、重火器等がみられたが二機のA-10が鉄の雨を降らせたことよって、焼夷榴弾により連続的な小規模の爆発が生じ一気に陣地内は壊滅的な被害を負った。

 

 しかし、彼らは彼女たちがもう戦える能力や士気を一瞬で失ってしまったことも気に留めず、一度目の射撃を加えた後に再び攻撃態勢に移る。

 

 そして、二回目の射撃で完全に陣地は崩壊どころか更地にしてしまった。道路は空からでも分かるほどズタボロであり、かつアリウス生やら様々な兵器の破片が路上に無様に散乱していた。

 

 「機長より、射撃を許可する。繰り返す、射撃を許可する。」

 

 どうやらこれでA-10による近接航空支援が終了したようであった。機長が再び射撃を許可する声が聞こえると、同じようにして火器管制官が復唱し、次に攻撃をする目標の指示をする。

 

 「射撃を許可する。次はあのムカつく顔をしたロボットの広告塔があるビルを吹き飛ばせ。」

 

 「了解、105ミリ発射!」──────……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<20██年秋/6:40>

古聖堂周辺・制圧作戦中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空からの強力な近接航空支援によって、アリウス生が築いた防衛陣地は崩壊しつつあった。もちろんこれらの絶好の機会を逃すことなく、彼らよりも数十倍も頑丈なホシノ達は徹底的に破壊された陣地に侵入し接近戦を仕掛けていた。

 

 ──────「あ~ら、よっと。」

 

 ホシノはベネリM4のトリガーを引き、物陰から顔を出してきたアリウス生に向かって射撃。命中すると、断末魔を上げたりすることは無く静かに地面に倒れる。

 

 「この────」

 

 もちろん、後続にいたもう一人のアリウス生は銃を構えて射撃をしようとする。対して、ホシノはコッキングすることなくそのまま盾をすぐさま展開。盾が展開されると同時に相手が発砲するが、銃弾は盾に防がれる。そして、そのままお互いに近距離であったためホシノは盾を使って思いっきりの力で殴った。

 

 「ぐへツ!?」

 

 「盾って殴られると意外と痛いんだよね~。どう?」

 

 ホシノは相変わらず余裕そうに振る舞っている中、大して最も情けない声を出してアリウス生は地面に倒れ込んでしまっており、彼女はまだ気絶はしていなかった。ホシノは倒れている彼女を逃すつもりは一切ない。そのため、盾を構えたままコッキング。そして、引き金を絞って確実に気絶させた。

 

 「ん、私も一人片づけた。」

 

 「こっちも!!」

 

 「私もです〜♠︎」

 

 セリカとシロコはそのように報告を交わして、彼女たちは陣地内にまだ無力化されていないアリウス生を見つけようとする。

 

 「古聖堂跡地の近くに....どうやら強力な存在がいるようです。」

 

 自身のドローンから正体不明の何かを確認したアヤネは警告を発した。確かに、これまでの道中にアリウス以外の敵対勢力(ユスティナ信徒)と遭遇した。ただし、どれも彼女たちが攻撃を加えようとする前にレッド分隊やLAV-25による攻撃ですぐに排除されていたのだった。

 

 「アビドス、片付けたか?」

 

 アレックスが無線越しに確認を要求した。これにアヤネが応答する。

 

 「たった今片付けましたが....この先には手強い敵がいるようです。」

 

 「了解、我々はそちらの後方から近付く。皆が我々のことを先導しても構わないが、どうする?」

 

 アヤネは悩んだ。確かに、アレックスや先生のようにキヴォトスの外部の存在である彼らはたった一発の銃弾ですら致命的であるのは事実だった。そのため、彼らにこれ以上の被害や危険を冒す必要はないように先導するという点は良いことだと脳裏に浮かんだからだ。

 

 実際、先生は数時間前の銃撃戦で重傷を負ってしまったのだから──────。

 

 彼女は数時間前に発生した悲劇を伝聞であるが認知しているがゆえに、最善の手を尽くすことにした。

 

 「私たちが先導します!!」

 

 無線越しであるが彼女は声をはっきりと出して、伝えると彼からその返事が来た。

 

 「了解、幸運を祈る。」

 

 通信が終わると、彼女たちは更に先を進んだ。道路上の殆どは崩壊したビルの瓦礫やら、数時間前に古聖堂を破壊したミサイルの爆圧によって吹き飛ばされた車たちが重なっており、凄まじい光景だった。

 

 あの破壊された古聖堂に近づく度に、道路や標識には火山灰のように黒い煤がこびり付いていた。

 

 「ほんっと、酷い様子....。」

 

 街の朽ち果てている様子を見て、セリカが顔を顰めたところだった。

 

 ──────「っ!!セリカちゃん危ない!!」

 

 ホシノが急に語気を荒めたかと思いきや、彼女はセリカを守るように盾をしっかりと構える。そして、何処からか大量に放たれた弾丸を盾で受け止めた。

 

 「あいつをやらないと!!」

 

 シロコはすぐに射撃音から攻撃を加えている彼女(バルバラ)を捉えると、彼女はF1グレネードを取り出して安全ピンを抜く。そして、勢いよくバルバラの近くで爆発するように自慢の腕力で投げつけた。そうすると、ターミネーター如くミニガンを両腕で射撃を行っている彼女の足元に転がった。そのまま、一秒ほど経過したのちに遂にグレネードは爆発。

 

 もちろんそれだけでは倒しきれないとわかっているが、バルバラの射撃を一時的であるが止めさせることができた。この隙に、ノノミが反撃と言わんばかりにありったけの7.62ミリ弾を何発もぶちまけた。そのようにして通常のアリウス生よりは少なくとも手強かったバルバラは消滅したのだった。

 

 「ホ、ホシノ先輩ありがとう。」

 

 「いいのよ~別に~。」

 

 セリカとホシノはそのように会話をしてから程なくしてだった。古聖堂近くの瓦礫から轟音が響いてきた。

 

 「ってもー、今度はなんなのよ!?」

 

 「ん、戦う準備は出来ている。」

 

 「はい~♠」

 

 皆はそう言いながら轟音の方へ、注目する。瓦礫の中から黒く、時々禍々しい翡翠色の模様をした巨大な何かが起き上がる。今まで彼女は目にしたことすらないものであった。

 

 「アビドス、何が起きた?凄い音が聞こえるぞ。」

 

 アレックスたちは彼女たちとはやや離れているが、その音を遠くからでもしっかりと聞きとっていたようで尋ねてきた。

 

 「ん、アヤネが言ってた強敵が姿を現した。」

 

 「了解した。もう少しで着くから待ってくれ。」

 

 彼女たちはアレックスとの通信を終えると戦闘を再び始めるのであった。

 

 まずノノミによるM134の弾幕が、アンブロジウスに襲いかかった。しかしいくら命中しても相手は怯む様子すら見せないようで、全く効果がないようだ。それがわかると次は、シロコがドローンを展開した。

 

 展開されたドローンには既に十分な量のミサイルが装填されているので、すぐさま上昇し爆撃が行われた。小規模な爆発を何度も繰り返すあの攻撃は、一見あの怪物にも有効そうに思われたがその浅はかな期待は外れた。

 

 アンブロジウスは展開したドローンを飛び回る蝿を叩くが如く、撃墜したのだ。無念にもドローンはミサイルを一発も発射していない。

 

 「そんな....。」

 

 アヤネは驚いた。アンブロジウスはあの巨体であるにも関わらず、攻撃に対する反撃や対応速度が速いのだ。そんな風にやや戦闘が停滞し始めたところで、何発もの小規模な爆発が怪物に襲いかかる。

 

 爆発を発生させた本人は、シロコではなく。アメリカ海兵隊に所属するLAV-25による25ミリ高性能炸裂弾であった。LAV-25に搭載されているM242は最大200発もの砲弾を1分間で発射することが可能である。そのため先導している3両のLAV-25から、アンブロジウスは集中攻撃を受けた。しかし、なんとか動きを封じることが出来ても倒せそうにない。

 

 そのためアレックスは無線で近接航空支援を要請することにした。

 

 「レッドアイ1-1、こちらレッド1-1。近接航空支援を要請する。座標は────」

 

 アレックスは座標が付された地図を頼りに、的確な攻撃座標を伝達した。そうすると、返答が来た。

 

 「了解、至近距離弾に注意せよ。」

 

 AWACSがそう返答してから10秒ほど経った頃だった。いきなり、アンブロジウスの頭付近で大きな爆発が発生したかと思いきや、何回もの中規模の爆発がアンブロジウスを包み込む。それに遅れて空から、AC-130が搭載している30ミリ機関砲の連射音が聞こえてきた。

 

 もちろんそれだけで近接航空支援は終わらず、更にA-10しか搭載していないアヴェンジャーの着弾音と共に、連続した爆発が瓦礫周辺に発生。土煙が空に舞うのと同時に、一連の爆発こと空爆は止んだ。更にそこから遅れて、アヴェンジャーの独特な空を切り裂くような発射音がやって来た。

 

 「うっわぁぁ....やばいわよ....。」

 

 セリカは一連の激しい攻撃に腰を抜かしたのか、尻もちをつく。もちろん他の生徒は唖然としているようであった。そうして土煙が晴れると、綺麗にアンブロジウスは消滅していた。

 

 そうして大方の戦闘が終了したところでアレックスの無線から、声が漏れ出た。無線にはノイズが走るが、今回は一層酷かった。通信相手はどうやら航空機にでも乗っているのだろう。

 

 「近接航空支援はこれで終わりだ。良い一日を(Have a Nice Day)。」

 

 そう伝えられると同時に二機のA-10が彼らの頭上を通過。彼らはそれに気づくと、空を見上げた。空は既に青く透き通っており、A-10の勇姿を見届けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ワンポイントミリタリー
 
アヴェンジャーくんって実はあのヴィー(迫真)と聞こえる発射音よりも先に、砲弾が着弾します。そのため、もし狙われた際、爆発が起きたと思いきや理不尽にも死んでしまうということが起きるそうです。そのため「着弾音が聞こえたらあなたは狙われていない」という恐ろしいネタがあります。怖いですねえ....。

<参考>
・3Dでわかるアヴェンジャーの仕組み
https://youtu.be/XZHrm45katg?si=_O6gnQ-8WIbPz72a

・アヴェンジャー発射音集
https://youtu.be/NvIJvPj_pjE?si=SMsm21C7ndqqwr1a
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。