Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
<20██年/7:30>
アレックス 第一武装偵察隊・レッド分隊 中尉
古聖堂
二機のA-10による近接航空支援によって、完全に古聖堂を確保することが出来た彼らは引き続き周囲を警戒しつつあった。LAV-25は巡回し、さらに海兵隊と陸軍の歩兵部隊が警戒配置に付いていた。
「ブラボー2、こちらゴールドクロ―。古聖堂を確保し、捕虜も既に何人か確保しています。どうぞ。」
「ゴールドクロ―、こちらブラボー2。よくやった、暫くは占領し続けろ。」
上層部と部隊指揮官の会話が無線を通じて聞こえるなか、アレックスたちは古聖堂の瓦礫の上を歩く。数十時間ほど前に巡航ミサイルによって建物が破壊され、かなり小さくなってしまった建物の一部だったものや彩るステンドグラスの破片らが彼らのブーツの足音を奏でる。
「...君たちはこういう光景には慣れているのか?」
アレックスはふと共に歩いているアビドスの面子に声を掛けた。彼女たちは暗い顔を見せないどころか、平然としていたからだ。アレックスよりも10歳ほど年下であるはずの彼女たちはまだ子供であり、こういった光景には慣れていないかもしれないと思っていた。しかし、それは違った。
彼女たちはしっかりと現実を背けることなく、向き合っているのだ。その異様さを彼は感じた。
「うーん、一応ね?」
ホシノはいつものように気怠そうな顔をしながら答えた。
「やはり...借金を背負っているからか?」
アレックスは場違いと言われても過言ではないブラックジョークを飛ばす。
「あはは....それもありますけど...。」
アヤネはそれに反応し、無線越しであるが苦笑した。彼らはそんな風にやり取りをしつつ、瓦礫の山を探索していると一つ大穴を見つけた。大穴といっても既にそれも瓦礫で埋まっており、その奥には何があるのかは分からない。
「全く気味が悪いな。」
大穴の瓦礫片から僅かに何かが埋まっていたのが見えた。金色の金属製の何かだ。これを見てから、彼は突拍子に変な考えに至った。
「なぁ、借金を効率よく返す方法は何があると思う?」
「バイトをするとかじゃない?」
セリカは一人のアルバイターとして答えた。しかし、アレックスが求めていた答えは違った。
「それもいいが....正解は埋もれている埋蔵金やら宝を掘り出すのさ。」
「は?一体どういう────」
冷ややかな目線をアレックスに彼女は送ったところで、彼は埋もれている瓦礫片から撤去しやすそうなサイズのものを両手で掴む。そして勢いよく彼は瓦礫を取り出した。すると埋もれていた瓦礫たちはバランスを崩し落下する。そして本来なら失ったはずの古聖堂の地下があらわになった。
「きゃっ!?」
「危ないな...」
「隊長、危なすぎます」
アレックスは何とか古聖堂地下に落ちなくて済んだが、見る限り10メートル近くの深さがありそうだ。もし落ちてしまえば彼は骨折を負うか、当たり所によっては死んでいたかもしれない。
「これは...怪物?」
コプスは大穴から崩れ落ちた瓦礫と共に、横たわっている赤く染まった大きな亡骸らしきものを発見した。普通の人間よりも数倍も巨体である亡骸らしき体は損傷が激しく、まるで爆殺されたかのような状態であった。そして幾つかの装飾品らしき、売ればそれなりに儲けることができそうな金色の金属製の物体が見られた。
「わ〜これを売って、借金を返すのでしょうか?」
「ん、それよりも銀行強盗の方が早いし利益が────」
「だから先輩それはダメだって────」
彼女たちはそうやって騒いでいるうちに、彼はこの気味の悪い
「ゴールドクロー、こちらレッド1-1。古聖堂の瓦礫の中から、エイリアン...いや既に死亡しているのが出てきた。どうぞ。」
「レッド1-1、こちらゴールドクロー。本気か...?確認に向かうから待機してくれ。終わり。」
無線でのやり取りを終えると、次に彼は彼女たちに今後どうするのかを尋ねる。
「ところで君たちは、アビドスからここまで来たわけだが....どうす──────」
彼がそう言い終えるよりも先に、どこからか爆発音がこちらまで聞こえてきた。
「っ!!警戒しろ。」
もちろん、まだ残存のアリウス生がいるかもしれないため彼らは直ちに戦闘態勢に移った。そして、現在の状況を知らせるためにAWACSからの無線が飛び交う。
「通信可能な全ユニットへ、こちらレッドアイ1-1。敵部隊の動きは一切見られない。だが油断するな、警戒し続けるんだ。終わり。」────•••
<同時刻>
バンダーマン 特殊戦開発グループ 大尉
廃墟ビル
AWACSからの情報を頼りに彼らは廃墟ビルに向かった。事前に知らされた情報によればどうやらこのビルにアリウススクワッドと呼ばれる敵一個分隊がいるそうだ。
その敵分隊は彼らよりも数は少なく、たった4人であるのは勿論知っている。そして空爆から逃れるためか、まだこの建物に立て籠っているということだった。
「骨が折れるな...。」
彼は廃墟ビルの高さに絶句した。少なくとも10階以上の高さがあり、クリアリングを行うのは幾らなんでも25人の部隊でも、厳しそうだと感じたからだ。
「アルファチームはこれより、廃墟ビルを制圧する。」
バンダーマンは通信相手を呼ばずに、そう無線で伝えると遂にビルの制圧が始まった。勿論、この廃墟したビルにはエレベーターなんて便利な移動手段はないので、階段を登る必要がある。むしろそれ以外の方法がない。
ひとまず彼はFTごとに別れさせて、建物の探索を行う。バンダーマンが属するFTデルタは3階から、それ以外のFTは1、2階を担当する。
廃墟と化したビルは、恐らく巡航ミサイルによる爆発のせいで窓ガラスが全て割れており、冷たい風が突き抜けてくる。そしておまけに電力も失っているため、明るさは微塵もなく太陽光が唯一の光源だ。
そんな風に暗すぎるため、各隊員は銃に取り付けてあるフラッシュライトを点灯し索敵する。
「FTエコー、1階クリア。」
「FTゴルフ、2階クリア。」
「FTデルタ、3階クリア。」
各チームがクリアリングを終えるとそのように報告し、まだクリアリングが出来ていない階を再び行うのを繰り返していく。
そうしてもう一回繰り返したときだった。バンダーマンたちは6回よりも上の階層から、乾いた銃声が連続して聞こえた気がした。
「オールチーム、7階から敵がいるかもしれない。気をつけろ。」
彼がそう報告している間にも、銃声は止まないどころか激しさを増していった。彼らは直ちに制圧をしようと、一気に7階に駆け上がっていく。
「アルファ6-1、こちらブラボー6-1。君たちがいるであろうビルに到着した。このまま銃声が聞こえる階に向かっても、宜しいか?どうぞ。」
7階に続く階段をちょうど登り終えたところで、ふフォードからそのように連絡が来た。
「ブラボー6-1、こちらアルファ6-1。今、その階にいるからお前らも来い。まだ戦っていないが、激しくなりそうな予感がする。どうぞ。」
「了解、直ちに向かう。終わり。」
フォードと一連のやり取りをバンダーマンは終えると、7階から響く銃声の方へと向かう。銃声は一度に激しくなったと思いきや、単発での射撃。時折、銃声では無いことが分かるあからさまな爆発音がヘッドセット越しに伝わった。
「こっちだ。」
彼はそう呟きながら、長い廊下に出るとそこから先では戦闘が起きていた。トリニティの制服を着用し、M4A1を装備している子と例のアリウススクワッドが熾烈な戦いを繰り広げていた。
彼らの目標はアリウススクワッドの無力化と捕縛である。勿論、彼らも戦闘に参加した。
まずバンダーマンはHK416に装着してあるLVPOの倍率を拡大し、引き金を数発絞った。そうすると、狙いの先である脅威が最も高いであろうスティンガーミサイルを携行している生徒に命中。彼女は一瞬、怯んだが倒し損ねた。
「うっ!?リーダー!!例の軍隊が来てる!!!」
「....。」
「何!?」
アリウススクワッドである彼女たちはそう発すると、すぐさまこちらに射撃を加えてきた。
「撃って来たぞ!!」
「スティンガー持ちをやっちまえ!!!」
バンダーマンたちはビル内に落ちているそれぞれのブロック片やらを盾にし、反撃する。まずは最も脅威度が高く、しかも手負いであるミサキを無力化することに成功する。
「ミサキ!!」
アリウススクワッドのリーダーであるサオリは無力化されてしまった彼女の名をそう叫ぶ。そうしている間に彼女のオフアングルから、アズサのM4A1のストックで殴られそうだったが────
「甘いな!!」
彼女は先に人間離れした反応速度で、ストックの攻撃を回避する。そしてお返しと言わんばかりに彼女からダブルタップで反撃をされてしまう。しかし、それの更なるお返しとして彼らから5.56ミリ弾の嵐が襲いかかる。
「卑怯じゃないか!?」
彼女は射撃を加えてくる数多の大人に対して不満の声を漏らした。しかし、彼らには命が掛かっている。ヘイローを持つ彼女たちのように撃たれて数時間気絶するだけ────なんて甘ったるい現実は彼らには存在しないのだ。
だからこそ彼らは攻撃の手を一切、緩めることなく射撃を加えていく。数多のサプレッサーでの射撃音が、壁に反響することで増幅されてビル内に響き渡った。そうしてDEVGRUのアルファチームとアリウススクワッドの激しい銃撃戦が行われた。
「マガジンを変える!!」
HK416に挿していた窓付きのPMAGを交換するために、マガジンリリースボタンを押してそのまま空となっているマガジンを捨てる。そうしている間に彼は、ベストのポーチ内に収められていた新しいマガジンを左手で取り出し素早く装填。マガジンキャッチボタンを叩くと、初弾が装填されて撃てる状態になった。
この一連の動作を素早く彼は行ったが、激しい銃撃戦の展開はそれに反して遅い。
「あの子を狙うんだ!!」
バンダーマンは大声で仲間にそう呼び掛けるものの、まったく彼女に命中する様子はなかった。彼女は誰よりも素早くこちらの狙いを回避し、射線から逸れる。そうして隠れたかと思いきや、突然こちらに向かって9ミリパラベラム弾をぶちまけてくるので厄介な存在だった。
そしてそんな風に攻撃を加える彼女を援護しているのが、サオリとヒヨリであった。彼女らは互いにリロードする際に、交互に精密な制圧射撃を加えてくる。そのような完璧な連携で為された攻撃は、彼らを苦戦させていた。
「うっ!?被弾した!!」
そのうち一人がアツコの銃撃を受けて被弾した。彼らが着用しているセラミック製のアーマープレートを貫通することが不可能な9ミリパラベラム弾と言えども、あたまや動脈に命中すれば致命傷となり得る。そのため、彼らは被弾した隊員を一直線の長い通路から射線が遮るような小部屋に連れていく。
「いってぇ...。」
「大丈夫だ、俺が付いているからな。」
そんな隊員らの会話を彼は耳にすると、あの子を真っ先に倒すことに決めた。
「破片に隠れている二人に制圧射撃をしろ!!俺が前に出る!!!」
そう叫ぶと、まずは顔を出すことが出来ないように制圧射撃をしながら距離を詰める。HK416のトリガーを素早い指切りで絞り、隠れた遮蔽物から顔を出せないようにする。
そうしている間に彼はだんだんと距離を詰めていく。そうして装填されている弾薬が尽きる前に彼は、彼女との距離を2~3メートルまで縮ませることに成功した。流石にこれほど距離を詰めてしまえば、彼女が隠れられるような破片はその役目を果たしていなかった。
そのため彼は、マガジン内に僅かに残っている全ての弾丸を素早く狙撃手に撃ち込んだ。そして次に腰のベルトに収めてあるサプレッサーと光学照準器付きのFNX-45に切り替え、小柄でガスマスクをしている彼女に一マガジン分撃ち込んだ。
「アツコ、ヒヨリ!!」
彼女らが撃たれた際、もう一人の生徒は制圧射撃が加えられる中そう叫んだ。彼女はもう一人だ。あとは彼女を無力化さえしてしまえば、あとは捕縛しクランプスに連れて帰るだけだ。
「アメリカ海軍だ!!降伏するんだ!!!」
バンダーマンは大声でそう叫ぶと彼女は制圧射撃が加えられる中、遮蔽物から飛び出して逃げた。彼女の逃げる速さは異常で、彼らが確保している射線ではない方向へと逃げ込んだ。逃げいている方向は明らかに、屋上であった。
「一人逃げたぞ。屋上に向かっている!!」
彼はブラボーチームとの通信が可能なマイクに向かって、そう伝えると彼らは追った。そうして屋上まで向かうと、彼女は銃を捨てて突っ立っていた。しかし、両手を挙げていない。
「両手を見せて、跪け。」
バンダーマンは警告し、他の隊員は銃をしっかりと彼女に向けていた。そうしている状況に、フォード達も到着したようだった。
「なんだ警察ごっこか?俺の方が上手いぞ。」
フォードは開口一番にバンダーマンに向かって冷やかした。なぜなら彼は元警察官であり、この状況を幾度も見たことがあるからなのだ。
「うるさい。」
バンダーマンはそう告げるも、彼女はしっかりと命令に従っているようで両手を見せた上で地面にひれ伏してくれた。いくらなんでもこの多数の兵士と戦うという愚かな選択は避けたのは、賢明だろう。
「俺が縛りにいく。」
フォードはそう言うと、彼女にMk.18を向けながら近付く。
「余計なことはするなよ?」
「....。」
紫色の小さな花が咲いているそばにある彼女の体に接近して、完全に手足を縛ろうとしたときだった。遠くから、少女の声が聞こえた。
「やめて、リーダーを放して....。」
「降伏しろ。」
バンダーマンが鋭い声で、HK416の銃口を向けながらアツコに対して言い放った。何がなんでも、今ここで彼らは彼女達を生け捕りにする必要がある。彼女らを支配している大人かつ、彼らの国家を侵略したテロリストの居場所を聞き出すには彼女らが必要だからだ。
「ッ!?姫喋ったら駄目────」
「何の音だ...?」
何か、嫌な羽音のようなものが近くから聞こえた気がした。きっと虫なのだろうとフォードは思ったが、その期待は裏切られた。
「爆弾だ!!伏せ────」
バンダーマンが気付き、危険を知らせようとしたところで突如爆発した。
爆発した原因は、どこからか飛来した自爆ドローンだった。もちろん、近くにいたフォードたちはその爆発に巻き込まれた挙句、他の隊員らもその爆発の際の衝撃で吹き飛ばされてしまう。
そして自爆ドローンに搭載されていたのは、ヘイローを破壊する爆弾だった。本来なら、アズサがペロロ人形に仕込んでいたことによりアツコが致命傷を負うはず────だが違った。それ故に存在することがない自爆ドローンによる爆発に巻き込まれた理由は彼、彼女らは一切知らない。
爆風に吹き飛ばされ、状況を先ず把握したのはバンダーマンだった。比較的、遠くにいた彼は爆風に押されたおかげで背中を地面に強打することになってしまったが、特に異常はない。
次に爆発の中心部にいた彼女達の様子を見て、彼はコールサインを名乗らずに無線で要求を伝えた。
「今すぐ、医療ヘリを寄越しやがれ。」
爆風と共に儚く散った紫色の花弁と、地面に滴る紅色の血は一向に止まるはずがなかった。
Q.どうして二ヶ月近く投稿しなかったの?
A.死ぬほど楽しいパルワールドのせいで殆ど遊んでいたから(怠慢)
さてとりあえずここでエデン条約編第3章は終了とさせて頂きます。リアルの方で色々と忙しかったり、描写にこだわっていたりしたらいつの間にかほぼ1年経過していましたね。とにかく次話からは遂にエデン条約第4章に入ります。そう遠く無い日に更新しますので、その時またお会いしましょう。