Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
<20██年/10:43>
フォード 特殊戦開発グループ 大尉
聖テレサ病院・警戒線 管理休暇中
フォードの車両は道中で今回の事件によって発生した渋滞に巻き込まれてしまい、1時間近く到着するのに遅れてしまったものの、聖テレサ病院の警戒線に着くと彼はラジオのマイクを手に取って通信を取り行う。
「こちらフォード、現着した。チームはどうなっている?」
「アルファチームはまもなく到着する...ブラボーチームはナイトストカーズにより輸送中だ。各チームの到着予定時刻としてブラボーは40分後、アルファは10分後」
「了解」
彼はそう返事するとトランク内に収めてあるMk.18とヘルメットを取りに行くために運転席のドアを開けて、外に出てトランクに向かう。トランクを開けると、そこにはマルチカム迷彩が施された新品のFASTヘルメットを取り出して装備する。しっかりと被ると次に、彼はライフルバッグの中から、窓付きのPMAGが挿されているMk.18を一丁持ち出す。
愛銃を持ち出した彼は、左手の人差し指と親指を用いてチャージングハンドルを後退させる。カチャリーーーーと金属音が奏でられると同時に、チャンバー内に初弾を送り込んでやったのだった。
そうして一連の動作を10秒以内に完了させると、彼はヴァルキューレ警察学校の生徒によって包囲されている聖テレサ病院の方へと向かった。しかしもちろん、その包囲網には警戒線が敷かれており、只では入れるわけがない。
「向こうに行かせてくれ、時間が無いんだ」
「危険ですから駄目です」
「上司を呼んでくれないか? どうしても向こうで起きている事件について話したいことがあるんだ」
「だから無理ですってばーーーー」
そうしてフォードと一人のヴァルキューレの生徒と揉め合っていると、彼女の応援として他の生徒もこちらへ向かってくるのが見えた。これは大事になりそうな予感だ。
「ちょっと...なんでキヴォトス派遣隊、もといアメリカ軍の兵士がいるのですか?」
応援に来た生徒がフォードがコンバットパンツに黒のTシャツをベースにプレートキャリアを着用している姿を見るや否や、そんな質問を投げかけてきた。
「テロリストと戦うために来たんだ」
「テロリスト....ですか」
キヴォトスでは常日頃から突発的な銃撃戦が起きているためからか、『テロ攻撃』という言葉にも馴染みがないのだろう。そのため初めてテロリストという単語を聞いたヴァルキューレの生徒らは困惑していたのだった。そんな風に彼女らが困惑している間に、フォードの後ろからはアルファチームに属するバンダーマンらが到着していた。
「フォード、一体どうなっているんだ?」
「足止めを喰らっているんだ。上司を呼べって言っているものの...」
そうやってバンダーマンはフォードと共に話していたところ応援の生徒だろうか、もう一人の生徒がこちらへやって来るのが見えた。少なくとも彼女は、他の生徒と違って兎に角目つきが鋭かった。そして右手には肉球のマークが付いたマグカップを手に持っていた。
「初めまして、現場での指揮権を付与されました公安局所属の尾刃カンナと申します」
カンナはフォードらに自己紹介すると、次に彼女から質問を投げてきた。
「単刀直入にお尋ねします。なぜアメリカ軍が連邦生徒会の要請無しにここへ? もし治安維持協力要請を発するならば、連邦生徒会防衛室から連絡が来るはずなのですが....」
「防衛室やペンタゴンは関係ない。アリウスの部隊が集まっていると聞いている、我々アメリカ海軍特殊部隊が関わってはいけない理由が?」
バンダーマンがカンナの質問に答えると、彼女はさらに続けて。
「連邦生徒会からの要請がない以上、軍事的介入は一切認められません」
「じゃあ、君たちはテロリストと戦えるのか? あのテロリスト共と戦うなんて無謀だ。リスクが大きすぎる。我々なら確実に制圧できる」
「無理してアリウスと戦うなんて馬鹿らしい。危険だ」
フォードもその場に加わり、彼らがテロリストの危険性というものを明示したところで、カンナも流石に引き下がった。
「...いいでしょう。あなた達にこの現場を任せます....ただし条件があります。それは私を同行させて頂けないでしょうか」
「わかった」
バンダーマンがそう答えると、彼らは規制線を越えて急いで聖テレサ病院への入口へと向かった。聖テレサ病院の入り口付近に到着すると、現場は悲惨なことになっていたのが目に見えた。
「こいつは酷いな....クソッタレ」
フォードが入り口近くに屍の山が積み重ねられ、正面玄関の床が血で染まっているのを見るや否や、そう愚痴を吐いた。彼らだって今までこのような虐殺の光景を見たことは無い。彼らにとってとても不愉快なものだった。
「テロリストの数は?」
「6人です...そのうち一人は自爆ベストを着用しています」
「わかった、さあ行くぞ」
カンナからアリウスの部隊の情報を知ることが出来たところで、フォードらは素早く聖テレサ病院内部に向かう。一見これは危険かつ無策な行為であると思われるが、既にテロリストがこの病院に入ってから、一時間近く警戒しており悠長に作戦会議などしている場合ではないのだ。特にこういった虐殺を目的としたテロ攻撃の場合は、大きな危険が伴うものの即時の対応が求められる。
カンナも自身の
「上の階だな」
バンダーマンは冷静に銃声がどこから来ているのかを判断し、そう呟いた。
「にしてもホールもここまで酷いとは...」
同時に彼は病院内の受付窓口としての役割を果たしている中央ホールの悲惨な姿を見て、そう言った。なぜならホール内の床は血に染まっているのは勿論のこと、特に死体が彼らの近くにある非常用の出口付近に集中していたからだ。
きっと逃げようとしたところを纏めて殺されたのだろう。
「さっさと上に行くぞ...」
「...」
フォードがそう言ったところで彼らは上階に続く階段へと向かうことにした。しかし、後続に居たカンナは出入り口の積み重なっている死体をじっと見つめた。そして何かを考えたのか彼らに何か伝えようとした時、バンダーマンがそれを遮る。
「お嬢さん、大丈夫かい? 床はもう既に汚れているから、君が汚しても気にしないさ」
「いえ、あそこの中央にある柱の近くに置かれている段ボールが気になりまして....」
バンダーマンはこの悲惨な状況だと言うのにブラックジョークを口にする。そうでもしないと精神をまともに保つことはできないからである。しかし、カンナが気にしていたことはそのことでは無かったようだった。
そしてカンナが目を付けていたのは、この建物の支柱がある近くの床に置かれており、見るからに不自然かつ病院に持ち運んでくるにはやや大きすぎる段ボールであった。そして彼女は確認をしようと思い、そのまま周囲を警戒しながら、段ボールに近付く。それから辿り着いたところで、彼女は箱を開けた。
「...これはプラスチック爆弾!!」
「間違いないな」
段ボールの中身にはびっしりと隙間が無いほどにプラスチック製の爆弾が積み込まれていた。これが支柱の近くで起爆すれば、病院が倒壊する危険性もある。それに加えて設置されているプラスチック爆弾には携帯電話が取り付けられており、着信されれば直ぐにでも爆破する仕組みだった。
「
バンダーマンが尋ねた。
「いいえ。例え呼んだとしても、ここへ到着するのに1時間は掛かります」
「最悪だな。こっちには誰もEOD担当はいないから、急いで制圧しなければ....」
DEVGRUは元々、SEALSに所属する隊員から選抜された特殊部隊であるものの爆発物処理課程を履修した者は少ないため、今この場で解除することは不可能である。そのため彼らは諦めて、すぐに制圧することに切り替えることにした。
それから上階に昇ることが可能な階段へと到着した彼らは、銃声がする方へ急いで登る。ゆっくりと警戒などとする時間は一切ない。今もこうして銃声が響いている間は、誰かの命が奪われている。
「ここから凄い銃声がするぞ」
フォードが4階のドアに辿り着くと、セレクターをセーフティからセミオートに切り替える。そして、Mk.18の銃口を上方に構えてハイレディの状態に移行する。それから遅れてやってきたバンダーマンがドアノブに手を掛け、一気に扉を開くと突入した。
「なっ!? お前らはーーーー」
ちょうどバンダーマンがルームクリアリングの手順通りに、廊下に入ってから右側には、ガスマスクとG3を装備したアリウスの生徒がいた。しかし、彼女はちょうど倒れ込んでいた生徒に向かってもう一発加えようとしているところだった。
そんな彼女にとってはタイミングが悪すぎる瞬間だったが、なんとかバンダーマンに銃口を向けて撃とうとするがーーーー先に彼女は撃たれた。
バンダーマンはまず室内戦用にAN/PEQ-16Bというレーザーサイトを起動させていたのもあり、レーザーポインターを照準として防弾ベストに対して2発の5.56ミリ弾を放つ。勿論、防弾ベストは貫通することに成功する。
「がぁっ!? なんでベストをーーーー」
彼らが使用しているMk318は、銃身が短いM4カービンやMk.18でも効果的な火力を提供出来るように設計された5.56ミリ弾だ。それは徹甲弾の貫徹力にはやや劣るものの、十分に彼女らが着用しているプレートを容易く貫通することが出来たのだった。
さらにバンダーマンは追加で、もう一発防弾ベストに保護されていない箇所である彼女の左肩に食らわさせると、痛みに耐えきれず床に倒れ込む。しかしそれでもヘイローは消えていないため最後の仕上げに、頭に一発撃ち込む。
すると2度と彼女は動かなくなった。
「普通なら胴体にダブルタップで良いのにな....」
「まだこれで生きているんだぞ」
「ああ、そうだな」
そうしてフォードとバンダーマンは相互にやり取りをすると、更に銃声が響く方向へと急いで向かう。銃声が響く回数的に、恐らく3人ぐらいが同時に戦っているようだった。
そんな最中、彼らは廊下を進んで銃声が聞こえるであろう集中治療室の2個手前の部屋まで達すると、フォードは扉を一気に開けて素早い速度でクイックピークをして索敵する。
「クリア」
クイックピークは壁から一瞬だけ顔を晒し、部屋の中の様子を伺う方法で室内戦においては基礎中の基礎である。そして敵がいないことを確認し終えた彼は、そのまま部屋に突入する。そうすると一層、銃声が強調されて響いた。かなり近い。
流石にテロリストとの距離が近いため、彼らは銃を構えて警戒しながら進む。
ーーーー「
「いや流石に投げるには距離が遠すぎて----」
奥の部屋から二人の会話が響いて聞こえてくる。少なくとも会話の内容から、アリウスの生徒であることには間違いなさそうだった。何やら投擲物関係の話のようだったが、それは彼らの射撃によって妨げられることになる。
まず彼女らの背中に幾つもの5.56ミリ弾が命中する。何発かは彼女たちが装備している防弾ベストのプレートに命中し、阻まれてしまったがそれ以上にプレートが防御可能な範囲以外の部位にも命中する。そんな風に集中砲火を喰らった彼女たちは、苦痛を伴いながら床に倒れるのと同時にヘイローを破壊する爆弾と起爆用の携帯電話を地面に落とす。
「くそっ...!!」
それを落とした彼女は床を這いずりながら、携帯電話を取ろうとする。しかしーーーーそれよりも先に彼女の脳天に2発の5.56ミリ弾が至近距離で叩き込まれる。流石にこの射撃によって彼女の意識は刈り取られた。
そうして接敵した二人を無力化させると、この部屋のクリアリングを行う。そうするとやや遠く離れた所に、ヒナが数台もの担架台を重ねて即席のバリケードとして利用していたのが見えた。
「あの子は確か銃撃を受けて入院していたはずだが...これが異世界ってやつか」
なぜか元気に動くことが出来ているヒナの姿を見たことで、驚いたバンダーマンはそう言った。それから彼らは周囲の安全が確保されたことを確認すると、ヒナがいる方向へと向かった。
バリケードの近くに達すると、ヒナはそこでカチャカチャとMG42のリロードを行っている最中だった。そんな中、彼女も気付いているだろうがフォードが話し掛けた。
「元気か?」
「3日ほど寝ていた私がそう見えるかしら?」
彼女は冷静に答える。少なくとも、傷が治っているようで良かった。
「あと二人のアリウスを倒さないといけないんだがーーーーーー」
フォードがそう言い切る前に、ヒナの後方から乾いた銃声が一発聞こえた。その銃声はこの場にいる誰かを狙うものではなかったが、その場にいた彼らを驚かせるのには十分なものだった。
「早く始末しなきゃな。チームも一度分けよう」
バンダーマンがそう言うと銃声が聞こえた方へ向かいながら、FTごとに分かれさせて病院内のクリアリング及び銃声が聞こえたエリアの包囲をさせることにした。そうして整理が行われるとバンダーマンが属するFTデルタやカンナ、ヒナらを連れて銃声が聞こえた方へ向かう。
なお集中治療室近くの廊下や各部屋は酷いことに襲撃したアリウスの生徒らは手当たり次第に殺したのか、人が倒れていた。しかし彼らはその光景を目に入れないようにしつつ、進む。
「尾刃局次長!! 大変です、外に容疑者1人が入院していたアリウスの生徒を連れて逃げました!!」
突如としてカンナの無線機からヴァルキューレの生徒からの報告が流れる。もちろん、その内容を聞いた彼女は顔をしかめて無線機越しに怒鳴る。
「はぁ!? 急いで追跡をーーーー」
「それが我々が採用していた装甲車で逃げられましてーーーー」
「もういい! 今すぐそちらに向かう」
カンナはそう言うと出口へ向かう。その間、彼らは彼女の無線のやり取りを聞いていたが、危惧されるべき状況のようだった。それでも残り一人のアリウス生が病院内に残っているということになる。つまり彼女を探し出して無力化させればいいだけだ。
そんなことを考えていると再び銃声が遠くから聞こえる。それも一発、一発とフルオートではなく単発で何回も連射しているようだった。その音を頼りに向かう。
「ここら辺か?」
音を頼りにおおよその場所に辿り着くと、近くの手術室の周辺のクリアリングを素早く行う。無機質な器具やら機械が部屋にあるものの、空薬莢が地面に落ちていた。これは彼らが発砲したものでない。つまり、この近くにやはりいる。
それから手術室のクリアリングを行うために、部屋に入る準備を終えたところでヒナが突拍子に彼女は言い放つ。
「私が先に入る」
「
フォードは突入前だと言うのにそうやって冗談を言い放つものの、彼女は真剣だった。
彼女はそう言うと扉近くで待機している彼らよりも前に出る。そしてフォードが扉を開けるとーーーー扉に仕掛けられていたワイヤートラップが作動し、扉ごとヒナは爆発に巻き込まれる。
「クソ!?」
もちろん近くにいた彼らは破片などを喰らっていないものの、近くで発生した衝撃のせいでまともに動け無くなってしまった。しかし、爆風により生じた爆煙が晴れる前にヒナはMG42で手術室内を掃射する。
どうやらただの爆弾程度では彼女は微々たる攻撃なのだろう。恐らくここにいる大人達よりも大分、肝が据わっているかもしれない。
ヒナはMG42による激しい掃射で丸々一本分のベルトリンクを撃ち終わるのと同時に、爆煙が晴れた。そして彼女はこう言った。
「あんな爆弾程度で私を倒すことが出来ないわ」
それを聞いたバンダーマンはここにいる誰よりも強い行動とその言葉に感嘆し、口笛を鳴らす。そうこうしている間に、手際の良い彼女はリロードを終わらせた。そして手術室内を見ると幾つもの弾痕と共に、アリウス生が倒れていた。流石だ。
「逃げている奴を除いて、あと1人はどこだ?」
確認した本人であるフォードがそう言ったところで、ついでにあのアリウス生が持っていたAK-308に装填されている弾薬及び銃の研究のために回収した。
それから近くの部屋から扉が開く音がした。もちろんその音を聞いていた隊員らはフォードも含めて全員、そちらの方へ銃を構えて警戒する。
「誰かいるぞ」
フォードはそう言うと部屋の開いている扉の近くまで移動する。部屋の中は真っ暗であり、何も見えない。そのためフォードはMk.18のレールに取り付けてあるフラッシュライトを点灯させて、索敵する。すると中にはガスマスクを身に着け、長い白い髪を伸ばした上で、不鮮明であるが何やら分厚いベストを着用しているアリウス生がいた。
しかし手には武装を持っていなさそうだった。それでもフォードは警告する。
「手を挙げろ!!」
彼がそう発したのと同時に、バンダーマンらもフラッシュライトを点灯させ彼女に凄まじい光を浴びせた。そうして彼女の体がくっきりと映ると、彼女が身に着けているベストの全容が明らかになった。
ベストには幾つものプラスチック製の爆弾がガムテープによって張り付けられており、それらの爆弾らが黄色の導線によって彼女が左手に握っているレバーと一体化していた。完全な自爆ベストだ。
「あーあ、結局アジトも襲撃されちゃったし、病院でやっと上手くいくと思ったら貴方たちが来たね」
彼女はガスマスク越しに語った。しかしいつでも彼女によって
「でもしょうがないよね。マダムがロイヤルブラッドの血を連れてこいって言ってたから、こうなっただけだもんね」
「黙れ、とっととそのクソ起爆装置を捨てろ」
バンダーマンが呼び掛けた。だが、彼女は一向に起爆装置を手放す様子がない。このまま胴体に撃ち込めば、最悪の場合起爆させてしまう可能性がある。それゆえに、彼らは爆弾が取り付けられていない部位である肩や手足に狙いを定める。
「無駄な抵抗は辞めなさい。さもないとどうなるか分かっているわよね? こんなに大人数に囲まれたうえで投降しないのは愚かよ」
ヒナが彼女に向けてそう言った。それにアリウス生が答える。
「あれ? ゲヘナの風紀委員長ちゃんじゃん、あの後よく生きていたね。やっぱりしぶといねぇ...」
ヒナはそう言われても彼女に狙いを定め続ける。アリウス生は、彼女が置かれている状況を把握したところで続けて。
「実はこの起爆装置、病院の支柱ごと破壊出来るのよね。これが起爆したらここにいる皆、仲良くドカーンだねぇ」
「っ!!」
彼らに更に緊張が走る。あれが起爆してしまえば、唯一情報を握っているアリウススクワッドも死んでしまうだろう。それによってベアトリーチェの居場所を割り出すことが永遠に出来なくなってしまうかもしれない。何としてでも阻止する必要がある。
「...皆、悪を倒せばすべてが終わると思っているんだね。じゃあーーーー試練を課そう。私が起爆する前に貴方達は止められーーーー」
彼女がそう言い切る前に、フォードが肩に向けて1発放った。それを合図として彼らの銃に取り付けられているサプレッサーたちが火を噴いた。正確に爆弾が取り付けられている箇所以外に5.56ミリ弾が命中する。そんな風に1秒ちょっとの射撃が行われたところで、彼女は倒れこんだ。
その隙に彼女の手元から離れた起爆装置にフォードが近付く。そして鉄板入りのタクティカルブーツではなく、テニスシューズというラフな靴を履いていた彼は、起爆装置目掛けて力強く踏み込んで破壊した。
それが終わるのと同時に、彼女に巻き付けられている幾つもの爆弾を眺める。
「どこぞの
バンダーマンがそう言ったところで病院内にいるであろうアリウス生の制圧は完了したのだった。あとは逃走中のアリウス生だけとなったため、次にカンナに病院の制圧が完了したという連絡を取りたいところだった。
なおバンダーマンらは先程、別れされたFTごとに無線越しで連絡を取り行いながら今まで無力化させたアリウス生の拘束をしにこの場から離れていった。そこにはヒナとフォードが取り残される。
「流石、特殊部隊と言ったところかしら? あの状況で良く起爆させずに無力化させるだなんて....」
ヒナはフォードにそう話し掛けた。
「ああ...だけどあの状況は怖かった。今までの経験の中でどれよりもーーーー」
ーーーー「くらえ...!」
フォードが続けて言おうとするとそれは叫び声によって遮られた。それと同時にフォードが声がした方へ振り向く。そこにはもちろんヒナがいる上に、倒れていた
激しい閃光が発したのは、本来なら頑丈なキヴォトス人を一瞬にして死に導くことが出来るヘイローを破壊する爆弾だった。その爆風に彼らは巻き込まれーーーー吹き飛ばされた。
そして彼は爆風から何とか生き延び、まず状況を把握しようとする。所持していたMk.18が爆風で飛ばされるほか、証拠品として回収していたはずのAK-308もどっかに行ってしまった。サイドアームのMP17しか頼れない状況だ。
ヒナも同様で爆発地点にMG42が転がっており、それよりも遠くにAK-308と共に体が吹き飛ばされていた。ヘイローがまだ見えるから気絶したわけでもなく、意識が生きているようだった。
「いや~、隠し玉で持っておくべきだったね。流石にあの風紀委員長でもこれは避けられなかったね」
この爆弾を投げた本人はそう言いながら、ヒナの元へと一歩ずつゆっくりと近付く。そして何処かに隠し持っていたのだろうか、デザートイーグルを取り出した。きっとアレにもヘイローを破壊する銃弾が装填されているのだろう。
彼女を殺すつもりだ。
急いでフォードはMP17を取り出し、安全装置を解除する。それから発砲しようとするとーーーー
それよりも先に銃声と共にデザートイーグルを持つ彼女の頭から血が飛んだ。そして倒れた。
発砲した本人はヒナだった。たまたまAK-308が落ちていたので彼女はそれを拾い、反射的に反撃をしたのだった。しかしそれには一つ問題があった。それは、あの銃にもヘイローを破壊する銃弾が
そして綺麗にアリウス生の頭に命中して、辺りに血をぶちまけていた。出血は一向に止まる様子ではなかった。
「ヒナ、大丈夫か...?」
フォードは立ち上がり、彼女の方へと向かってそう尋ねた。しかし彼女は返事を一向にしようとせず、その場で震えていた。
「あ、あ.....あぁぁ....」
目の前で起きたことは明らかに彼女は死んだと言える。それから静寂がその場に訪れたところで、爆発音に気付いたバンダーマンらが戻って来た。
「おいこれどうなっているんだ?」
開口一番にそれを言い放つと次に、倒れこんでいるアリウス生の方へと歩く。そして彼は右足で、やや体を揺らしてみた。だが、反応はない。
「これは....治療よりも死体袋が必要だな」
床に倒れこんでる屍はそれ以上、一切動くはずがなかった。
人物紹介
名前:バンダーマン
所属:DEVGRU アルファチーム隊長
階級:大尉
詳細:大学を卒業後、海軍に入隊。それから本人が映画のような戦闘をやってみたいということで冗談半分でありながらSEALs課程を通過。その後、本人の能力も相まってDEVGRUの選抜にも通過した。
使用銃器:HK416D(LVPO+suppressor+vertical grip) FNX-45(suppressor)
服装:マルチカム迷彩が施されたコンバットシャツなどを着用。ベストはJPC2.0でヘルメットはFASTヘルメットを装備している。
(やったね!ヒナちゃがやっと曇ったよ!おじさん嬉しいね!!)