Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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41:エデン条約編:Bring Order to Chaos

 

 

 

 

 

 

<20██年/11:10>

尾刃カンナ 公安局

市街地 追跡中

 

 

 

 

 

 

 

 病院から出てすぐさま部下と共に追跡用のパトカーに乗り込んだ彼女は、逃走中のアリウス生が乗っている装甲車を警告灯を点けながら白昼堂々とカーチェイスは行われていた。

 

 

 「コラァ! 早く止まりなさい!!」

 

 

 互いに時速70キロ近い速度で市街地の車道を走行するため、通常の速度制限を大幅に上回っており非常に危険な状況であった。そのためカンナはパトカーに搭載されている拡声器のマイク越しに警告を発する。しかしそれでも止まる様子はなく、何とか追跡を振り切ろうと速度を徐々に上げられてしまう。

 

 

 「スピード、こっちも上げますよ!」

 

 

 運転席に座る同じく公安局に所属する彼女はそう言いながら、アクセルを一段と強く踏み込む。そうすると慣性が働き、静止しようとするカンナの体は後方に動こうとする。スピードが直に伝わっているような気がした。

 

 

 「ちょっと、あいつらはどこに行くつもりなんだ?」

 

 

 対象の車両が左折し、それに伴って同じ進路に進もうとした時だった。運転席にいる彼女は市街地から、段々と離れていこうとすると気付いてそう言った。それに入院中のアリウス生の4人のうち、たった一人を連れ出していくのは非常に不可解な出来事だった。

 

 なぜ他の仲間を置いていくのか?────という疑問をカンナも彼女と同じく抱いたことだった。

 

 

 「このままだと振り切られるぞ!!」

 

 

 カンナは段々とハンヴィーから距離を離されていることに気付くとそう言った。そもそもあのハンヴィーはアメリカ軍が連邦生徒会所属のシャーレを通じて、有償供与として与えられたものだ。

 

 彼らは潤沢な予算がない上で法執行が不可能な法執行機関は、如何なものかという経緯がある。それに伴って紛争地域ということで、もう使用することがない兵器の墓から一部を掘り出した他、自国の軍需産業を活性化するために再生産された強化装甲型ハンヴィーが供与された。

 

 そしてその強化装甲型ハンヴィーは、大きく防御能力が向上したものだがそれを犠牲に走行速度が低下した。だが、ヴァルキューレの兵器管理の担当官は何を考えたのか更にミレニアム製の最新技術によって作られたエンジンと交換することにした。

 

 それによって馬力が向上。積載量や速度が大幅に向上した改良型だった。それは今となっては、仇となって追跡が振り切られそうになっている。単に言えば最悪すぎる現実だ。当時の担当官に対して十分に追及する必要はあるだろう。

 

 

 「っ!!」

 

 

 カンナは一か八か、ホルスターに収められていた第17号ヴァルキューレ制式拳銃を取り出して、助手席から身を乗り出す。それから銃口をハンヴィーのタイヤに向けた。そして、装填されている9ミリパラベラム弾を全て撃ち尽くすまで発砲。

 

 しかし残念ながら全て命中したものの、ライフル用の小口径高速弾や大口径弾をも防ぐ防弾製のタイヤを貫通し、パンクさせるなんて芸当は出来なかった。

 

 

 「体当たりしかないのか!?」

 

 

 あまりの頑丈さにカンナは苛立ちを覚えた。そうこうしている間に更に距離が離されていく。このままだと追跡は到底不可能だろう────と、そう思った時だった。

 

 カンナらが乗っている車両よりも後方から、鋼鉄の羽音が聞こえてきた。それも何回も連続かつ重なるように。

 

 

 「ん? あれは....ヘリ!? しかもあれはキヴォトス派遣隊の!?」

 

 

 運転席に乗る彼女はミラーを見るや否や、驚きの声を上げる。それもそのはず、特殊作戦仕様のMH-60Mブラックホークが2機。それと同じく特殊作戦仕様のMH-6Mリトルバードが1機、高速で接近していたからだ。

 

 そんな風にヘリの様子を眺めているとそのうちミラー内から消えてしまい、彼女らを追い越していく。彼らの狙いはきっとあのハンヴィーなのだろう。

 

 それから追い越してすぐに無線機から声が漏れ出た。それは聞いたことのない男の人の声だった。

 

 

 「ようお嬢さん。あとは俺たちに任せてくれ」

 

 

 その声が聞こえると同時に、編隊を組んでいるヘリは更にあのハンヴィーに接近するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<同時刻>

ホプキンス 特殊戦開発グループ 准尉 

市街地郊外・アリウス自治区の近く 追跡中

 

 

 

 

 

 

 

 「ジョーカーリーダより、ジョーカー各機へ。あのハンヴィーが追跡対象だ。あれに乗っているのは二人のうち一人は人質だから誤射に注意」

 

 

 MH-60Mブラックホークに搭乗するホプキンスはそう言った。彼はDEVGRUブラボーチームに属する隊員であり、管理休暇中で居ない上官二人の代わりに臨時としてチームの指揮を任せられていたのだった。

 

 彼は道路に沿うように空高く飛ぶブラックホークから、段々と近付いてくるハンヴィーを見つめたところで、他の機体に指示を出す。

 

 

 「ジョーカーリーダーより、ジョーカー2へ。あのハンヴィーにミニガンで警告射撃をやってくれ」

 

 

 その指示が伝えられると、編隊を組んでいたもう1機の方のブラックホークが勢いよく前進。それからあっという間にハンヴィーを追い越すと、機体を左旋回をさせながら左舷のM134のドアガンを担当するガンナーが撃ちやすいように、機体を傾けた。

 

 そうすると左舷のドアガンナーは、待っていましたと言わんばかりにハンヴィーの進路方向より10メートルほど手前から、わざと道路に向けて掃射する。5発に1発の割合で装填されている曳光弾の赤い光と共に、道路上に幾つもの破片が宙に激しく舞う。

 

 その威嚇射撃が行われると、ハンヴィーは減速を開始し掃射が行われていない方向へ逃げようとするが────流石に急な減速に合わせて曲がるという行為は無謀だったようだ。近くにある廃墟と化しつつある建物の壁に激突するのと同時に停車することとなった。

 

 もちろんその様子は彼らよりも後方にいるはずのヴァルキューレの生徒が見ていたようで、無線から怒りの声が聞こえてきた。

 

 

 「ちょっとやりすぎよ!! あそこまでしなくても────」

 

 

 無線越しにパトカーに乗っている生徒の声が漏れ出てくるが、ホプキンスは無線の周波数帯を調節出来るつまみを弄り、周波数を変えた。そうすると勿論、その声は聞こえなくなった。それから彼は2機のブラックホークから隊員を降下させて、乗っていたアリウス生を拘束するように命令を下した。

 

 そうするとすぐさまブラックホークは離陸出来そうな位置にまで移動し、着陸する。それからホプキンス及びその他大勢の隊員らが隊列を組むと、警戒しながらゆっくりと前進した。その間、MH-6Mリトルバードに搭乗している隊員は怪しい動きが無いかを銃を構えながら警戒を行う。

 

 そうした援護の下、彼らは車両から10メートルほどまでの位置に接近した時だった。突如としてリトルバードに乗っている隊員から無線越しに報告を受ける。

 

 

 「運転手に動きあり。銃を持ち出したぞ」

 

 

 その報告があるのと同時に運転席のドアが開かれた。そして車内から銃のみを晒しながらこちらの方に向けて、フルオートで発砲してきた。

 

 

 「下がれ下がれ!!」

 

 

 何も遮蔽物が無い状態でそのような射撃をされた為、接近していた一同は急いで後退する。その間にリトルバードに乗っていた隊員は、運転席に向かって射撃を加える。そうするとそのうち相手の銃の機関部に5.56ミリ弾が命中し、射撃を不可能にさせた。

 

 

 「車から出てきやがれ!!」

 

 

 ホプキンスはハンヴィーの運転席をロックすると大声でそう叫んだのだった。しかし相手はそこから出て来そうになかった。そのため彼らは再び隊列を組んで、車両に近づく。

 

 車両に近付くとまずフロントガラス部分に目掛けて、M82閃光手榴弾が投げつけられ凄まじい音と光が炸裂する。それからもう一度接近して、運転席のリアドアを開ける際にそれと同時に、車内に向けて投げつけられた。それも炸裂したところで、彼らは運転席に乗っていたアリウス生を引き摺り下ろし、完全に地面で降伏させたのだった。

 

 

 「調子に乗るなよ.....」

 

 

 拘束に伴って武装解除をするのと同時に、ガスマスクも外されたことで素顔が明らかになったアリウス生は、ホプキンスを睨みつけてそう言った。

 

 しかしホプキンスはその挑発に乗ることはなく、残されていた人質のアリウス生ことアツコを回収するのだった。それから彼らはヘリに乗り、そのままウトナピシュティム空軍基地へ帰投しようとした矢先だった。パイロットから報告を受ける。

 

 

 「作戦成功早々、悪いお知らせだ。どうやら入場管理ゲートで自爆攻撃があったらしい」

 

 

 ホプキンスはその知らせを受けたのと同時に、胸騒ぎが起きたのだった。

 





バンダーマンらがアジトを襲撃→その数時間後に聖テレサ病院でテロ→ほぼそれから間も無く基地で自爆攻撃

時系列をまとめてみましたが一日で起きているとは思えない....
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