Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
<20██年/11:18>
ソフィア 中央情報局 CIA分析官
ウトナピシュティム空軍基地・入場管理ゲート
残暑が未だに続く中、私たちCIA職員は重要なモノについて到着するのを待っていたのだった。そのため、私たちの上司であるアビゲイル主任のほか元退役軍人であるマイクもウトナピシュティム空軍基地の玄関である入場管理ゲートで待機していた。
入場管理ゲートには施設警備に割り当てられている数名のUSAFと刻まれた徽章を持つ兵士が厳重に警戒していた。入場管理ゲートではアメリカ軍関係者以外の者が簡単に立ち入ることが出来ないように警戒しているのは勿論のこと、暴走した車両が基地に侵入するのを防ぐために鉄柵でゲートは封鎖されていた。
それだけではなく更に、減速させることを目的としたコンクリートブロックを蛇行しないと通れないように設置されている。十分に厳重な体制だ。
「主任間もなく、到着するようです」
「予定時刻通りね...車両が見えたならゲートを開けて頂戴」
アビゲイル主任は部下からの報告を受けて、何も知らされていない警備兵に対してそう言ったところでゲートが開放される。その間も私たちCIA職員は雑談やら仕事の話が行われていたのだった。
「そういえば、20分前に基地からブラックホーク2機とリトルバード1機が飛んで行ったが、何か戦闘でも起きているのか?」
ふと、マイクは入場管理ゲートの警備に割り当てられている兵士に対してそう尋ねた。
「さぁ? 私どもには何が起きているのか分かりません」
尋ねられた彼がそう答えた時だった。入場管理ゲートから100メートルほど前の位置から、一台の車両が向かってくるのが見えた。車両はシルバーの塗装がされており、車種はそこら辺にある一般車と遜色ないものだった。少なくとも装甲車ではない。
それから車両は入場管理ゲートから30メートル前方に設置されている手動式のパスゲートに行く手を阻まれた。見張り台に立つ二人の隊員のうち一人は無線機で交信すると、手動式のパスゲートが担当の警備兵によって開放された。そうすると車両は私たちの現在位置に向かってくる。コンクリートブロックにぶつからないように速度を落としつつ蛇行しながらも、30メートルという車にとって短い距離はあっという間に到着したのだった。
それから入場管理ゲートの鉄柵が開放された。車両が基地に入った。それからゲートの付近で停止すると、マイクは車の窓越しに乗っている生徒を眺めたところで呟いた。
「ミカ...だったか? あの子曰く、あれがトリニティを襲撃した他の生徒らしいが...」
「ええ。奴の居場所を割り出すために必要な情報よ」
「なるほどな」
私とマイクは言葉を交わす。数週間前の尋問であの子から聞き出せたのはこの重要な情報を握っている生徒だけだった。彼女はベアトリーチェの居場所であるアリウス自治区の正確な場所を知っていた。数少ないアリウス関連の情報を持つ人物だからこそ、聞き出すことが出来て良かった。
しかし、彼女の問題点として尋問中にセイアという友人を尋ねたところで泣き出してしまった上に、独房の鋼鉄製のドアを破壊しようとも試みた。正直言って、あれがお嬢様とは思えないほど不思議な人物...いやクレイジーといっても過言ではない子だった。少なくともセイアという人物の居場所は今のところ、私たちですら分からなさそうだ。
────そしてこれから情報を聞き出す為にその人物を接触しなければならない。私たちがここ3週間ほどアリウス自治区の正確な居場所の他、必ず通過しなければならない広大な地下迷路の突破の道筋を明らかにするために奔走していた。そして、やっとの思いで奴の居場所を割り出すことが出来そうだった。
約11か月────ほぼ一年に渡る捜索に我々CIAは莫大な予算と人員、そして時間を費やしてきたつもりだった。そしてあの虐殺をきっかけに衝動に駆られてこの捜索作戦に参加していた者は、少なくはない。何なら私もその人たちの一人に入るほどだ。家族を失った悲しみは深いことは間違いないが、それが立派な原動力となったと言える。
私はどうにか聞き出したい気持ちが強かったため、早くあの人物に接触しようと車両に近付こうとしたところでアビゲイル主任に呼び止められた。
「待って、ソフィア。ここは上司である私が行くわ」
「...はい、お願いします」
流石に上司から言われたことには従うしかないため、モヤモヤとしたものを抱きつつも私は車両から遠ざかる。そうするとマイクがこう言った。
「主任、俺も同行していいか?」
「ええ、構わないわ。だけどあの子は私から話を聞くよ」
そう交わされるとマイクもアビゲイル主任に同行し、車両に近付いた。それから入場管理ゲートを警備していた兵士のうち三人も車両に向かってくる。彼らは、車両や乗っている人に基地に危害を加える物の有無を調べる義務があるのだ。本来ならそういったことは基地に入る前にやるべきことだったが、ミスが起きてしまったようだった。
一方、アビゲイル主任は後部座席の窓を拳で軽く二回ほど叩き、乗っている人物に出てきてもらおうとする。窓越しに座っていたガスマスクを着用しておらず素顔のままである彼女は、主任と目を合わせた。それから彼女は、後部座席から降りて出てくる。
「へい! ちょっと左のポケットにある手を出してくれ」
警備していた兵士は、M4A1を構えつつも彼女に銃口は向けずにそう呼び掛ける。そうするとマイクも彼女に対して指を指しながら、呼び掛けた。
「左手を見せて欲しい」
しかし彼女はその言葉を聞かずに、歩き出す。それと同時に最初に呼び掛けた兵士は、M4A1の銃口を彼女に向けた。それを皮切りに他の兵士も銃口を彼女に向け、マイクはズボンのベルトに隠していた護身用のグロック22を取り出し、狙いをつける。
「早くポケットから手を出せ!!」
兵士とマイクたちもそう呼び掛けた。しかし彼女は全くもって聞く耳を持たないが、口を開いた。
「いや私は何も────」
それから私は身の危険を感じ、咄嗟の判断で偶々配置されていた近くにあるM-ATVの陰に隠れた時だった。
'' ドオォォォォォ──ーン "
その瞬間、爆発した。大きな爆発音が聞こえるのと同時に、地面が恐ろしいことに揺れた。そして肌に衝撃波が伝わった。それから基地内でその爆発に気付いた隊員や車両たちが遠くから、向かってくるのが見えたのだった。
<同日/11:37>
聖テレサ病院 臨時指揮所
死亡及び逃亡した二名を除く、4名のアリウス生を武装解除した上で白いプラスチック製のハンドカフを後ろに回して両手に掛けた状態で病院から連行し、ヴァルキューレ警察学校の生徒らが臨時に指揮所として置いてある場所まで彼らはやって来た。
それから彼らは拘束した4名の生徒を渡す────ということはなく、バンダーマンが大声で生徒らに向けて呼び掛けた。
「ここにいる責任者は誰だ? 話がある」
「「.....」」
呼びかけられた彼女たちは、彼らを注目するものの誰一人として責任者を名乗り上げなかった。確かにこの場で指揮権を付与されていたカンナは追跡中であるため、第二の指揮を任された者は居ないようであった。しかし、これは彼らにとって好都合だった。
「よしじゃあ、居ないということは我々との交渉の放棄....すなわち、この4人と可哀そうな怪我人たちを基地に連行しても構わないということだな」
バンダーマンらがやろうとしていることは、入院していたアリウススクワッドとその拘束された4人組を基地に連れて帰るというものだった。
・・・・──────「それでは次の議題を...」
「そういうこった!」
殆どの者が知らず、ゲマトリア陣営のみがアクセスすることが可能な空間にて彼らは議論に熱中していた。そして黒服が次の議題に移ろうとした際に、写真枠に収められどこぞの美術展にでも展示してそうな男性が映る写真ことゴルコンダはその場で喚く。
流石、愉快な探究者たちと言ったところだ。
「いや、その前に確認したいことがある」
マエストロは新たな議題に移る前に、どうやら確認したいことがあるようだった。もちろんそれについて、司会を務める黒服は承諾したところで、マエストロが続けて喋る。
「ベアトリーチェ、貴下は狂気的だ」
マエストロはまず彼女の名を呼んでそう言った。これは傍から聞こえれば、侮辱と遜色ない言葉だろう。もちろん、名指しされてしまった彼女はやや怪訝な表情を作るも、冷静に答える。
「...はい。一体どういうことでしょう?」
「まさかアリウス自治区の情報を消そうとするためにロイヤルブラッド以外のアリウススクワッド、先生を殺し、居場所を割り出そうとする敵国の諜報員をも抹消するためにあのような命令を下すとは...」
「別にいいでしょう。邪魔者でしかありませんから」
ベアトリーチェは冷徹な態度でそう言った。彼女にとってはどれも邪魔な変数でしかなかった。
先生、アリウススクワッド、アメリカ軍────・・・
それらは全て彼女がやろうとしている計画に差し支えるものである。だから彼女にとってその変数を消すという行動は必要だった。
「私の計画に凍結などの予定はありません」
「ただ...貴下は一つ重大な間違いを犯しているようだ」
マエストロは続けて彼女に対し、警告をする。
「奴らは絶対に貴下のことを許さないだろう。そして彼らは必ずしも、貴下の元にやってくるだろう」
その言葉を聞いたベアトリーチェは怪訝な表情をしたところで、尋ねる。
「どうしてそう言い切れるのですか? 私は敵国の諜報員を殺し、居場所を掴む手掛かりであるアリウススクワッドも殺しました。情報など渡っているはずがありません」
「それが間違いだ」
「...!」
ベアトリーチェは彼女が下した命令は完璧に遂行されたものだと思っていた。しかし現実としては違う。まず彼女にとって目である隠匿されていたはずのアジトが米海軍特殊部隊に強襲され、地上の様子を伺うなんてことはもう二度と出来なくなってしまった。それどころか、彼女が命令した聖テレサ病院にいるアリウススクワッドの抹消とロイヤルブラッドの奪還も、同特殊部隊によって阻止されたのだった。
そして唯一成功したのは、諜報員を自爆攻撃によって消したことぐらいだ。結局のところ、何もかもが失敗に終わっていたのだが、彼女はその知らせを受けておらずその旨をマエストロから経った今、伝えられたのだった。
「もう一度、伝言しておこう。奴らは絶対に、貴下のことを
「...そうですか。なら問題はありません、私が無礼な襲撃者共をこの手で消せばいいですから」
ベアトリーチェは不機嫌な態度を見せる。そしてそれを追撃するかの如く、マエストロが喋る。
「戒律を守護せし者たちを複製して、そちらの計画に付き合わせた件を覚えているか?」
「ええ、それについて感謝しています」
ベアトリーチェは感謝の言葉を述べるものの、マエストロは表情を何一つ変えずに伝える。
「私は貴下に芸術を利用させた...だが、貴下は私たちにそれに相応する対価を見せていない。そう...アリウス自治区についてのことだ」
「マダム、あなたはアリウス自治区で何をしているのですか?」
マエストロに便乗して黒服は尋ねた。
「祭壇を準備しています」
「面白いことを言うな。もう既に計画は破綻しているのだと言うのに」
マエストロはかなりキツイ口調でそう言った。確かに、この色彩を呼ぶ儀式はロイヤルブラッドの末裔であるアツコの奪還には失敗している。そのためこの儀式などの準備はもう無意味に等しいはずだ。しかし、それでも彼女は続けるようであり彼らはそれを不思議に思った。
それでもベアトリーチェは声高らかに告げた。
「私の計画はアレを呼び起こせばいいのですから────それに、準備が終わろうとも終わらなかろうとも来ることは避けられないでしょう....誰もアレからは逃れることはできません」
彼女は
ヒナちゃの曇り要素は次あたりで書きます
いや~楽しみだなぁ(ニチャア)