Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
あと思ったのですがミサキのスティンガーミサイルは一応、人相手に撃てるので現実のモノとは違い、捏造設定マシマシで書きました。子弾付き弾頭を撃てる携帯式ミサイルとは一体....
<作戦開始から1時間後>
「レッドチーム、負傷者の治療完了!!」
「了解、
ジェロニモ殺害を担当するアルファチームの背後を守るためにカタコンベの地下道で戦闘中であったフォードは、無線でそう伝えた。彼が指揮するブラボーチームは、単騎でありながらも高い戦闘力を誇るミカを目の前にしたため、持久戦狙いで引き気味の指揮を執っていたのだった。
そして彼らの目的は『ジェロニモの殺害』である。アルファチームがそれさえ出来れば、
「チームリーダーへ、各グレネーダーに伝えてくれ。各自の判断で撃ってよし」
フォードはたった一人の生徒が、25人で構成されている特殊部隊とまともにやり合えていることに脅威を感じたため、より強力な40ミリグレネード弾の使用を許可した。屋内での使用は破片の跳弾や爆風に晒される可能性がより高いことから、出来れば避けたかったことだった。だが、今ここで出し惜しみをすれば、最悪の場合は火力差によって悲惨な結果になるだろうと想像がついたからだ。
「擲弾発射!!」
そうこうしているうちにブルーチームのグレネーダーは、ゴテゴテにカスタムがされた得物のM4A1のアンダーバレルに取り付けられたM203────ではなく、スリングで吊り下げていた6連式のリボルバー型擲弾発射機であるMGL-140を構える。そして彼は安全装置を解除し、近くにいた味方に向けて警告を発すると戦っている彼女の足元を狙って、遮蔽物越しに6発全てを発射する。
擲弾発射機の特有の軽快な射撃音が屋内に響いてからすぐに、高性能炸薬弾によって爆風や破片が彼女の足元で炸裂した。本来ならば、ただの人相手には過剰すぎる火力投射だがヘイローのおかげか彼女はそれすら物ともせずこちらに射撃を加えてきた。
「マジか、化け物だろ!?」
発射したグレネーダー本人は驚いた声を上げるのと同時に、装填に入った。先程の6発分の高性能炸薬弾の爆風を直撃しても、難なく戦闘を続行しているミカにはあの程度の攻撃は擦り傷未満の効果しかないように思えた。
「フォード大尉、彼女の様子が何かおかしい気がしますが気の所為ですかね...? 特にヘイローの色ですけど────暗視装置を外してみたのですが、若干ですが青白いような気がします」
ピアーズはフォードに対して無線で呼び掛けてきた。どうやら彼は目が疲れてしまったからなのか、戦闘中にも関わらず暗視装置を目元から離したようであった。その際、彼は彼女のヘイローの色を確認したのだろう。
同様に、フォードはその話を疑いながらも4眼式の暗視装置を目元から離して、彼女のヘイローを観察してみることにした。明瞭に確保されたホワイトフォスファーに染められた世界が彼の目から切り離されると、カタコンベ内にある照明から与えられる僅かな光量とミカのヘイローの発光色を見つけた。
ヘイローは確かに青白かった────本来ならば、彼女のヘイローはピンクに近い色はずだった気がする。それに加えて、ヘイローの輪郭が僅かに欠けているように見えた。数日前、ヒナが猛攻撃を受けてヘイローに
この目に分かりやすい違和感────特に
「多分ですけど、例の神秘の影響では?」
「...だとしたら、あのクソレポート通りなら────彼女を止めるのは無理だ」
フォードはそう告げると、次は無線で指示を下す。
「レッドリーダー、こちらゴールドリーダー。M72を使え、俺たちよりも後方にいるから十分に狙えるはずだ。準備が出来たら教えてくれ」
「了解」
レッドチームリーダーであるホプキンス准尉は返事をすると、すぐさまチーム内の
それに加えて、軽量でありながら火力支援としても十分な効果を発揮するのだ。
普通、このような特殊作戦では使用することがない装備であるが、調印式襲撃事件では重戦車が見られたため、アリウス自治区に戦車が配備されている可能性が高いとみて持ち込んだ対戦車装備のうちの一つだった。
LATは背負っているM72 LAWの前後と後方に取り付けられた蓋を取り外し、格納されている発射機後部を後方に引き伸ばして展開した。そして照門を起こして一連の準備を終えると、LATはM72をミカに向けて構えた。一連の動作を完了したのを見たホプキンスが報告する。
「発射準備完了!!」
「
フォードは無線で完了の報告を受けたのちに、まだ命令が明確に伝わっていないブルーチームにも向けて改めて、全員にこれからやることについて伝えた。それからすぐさまホプキンスたちは彼から命令を受け取った。
「レッド、撃て!!」
無線を聞いていたLATは、すぐさま押し込み式のトリガーに力を加えた。狙いはミカ本人。少なくとも先ほどから、素早く動いておらず、しかも遮蔽物を一切使わずに銃撃戦を行っていた。彼女の動きからみるに、避けることも無いだろうと思っていた上で彼女本人を照準に定めていたのだった。
そうして完全にトリガーを押し切ると、発射音と共に反動で発射機本体が後退した。それからすぐさま、彼女本人に命中した成形炸薬弾は40ミリグレネード弾が爆発した際よりも、激しい爆発と噴煙が彼女を覆った。
「よし、後退だ」
フォードはそう言うとブラボーチームは急いで後退するのだった。彼女とこれ以上、戦ってもこちらにはどうしようもないからだ。少なくともテラー状態となった生徒にはこれでも無いほどのダメージを加えない限り、戻ることは無いとレポートにはそう書かれていた。そして彼らは銃弾一発ですら致命的であるため、あのような銃弾がほぼ効果を示さない彼女とは分が悪いのだ。
だからこそ撤退の選択肢を彼は取るのだった。撤退した後は、ターゲットエリア2の周囲を封鎖しているチームと合流すればいい────彼はそんなことを考えながら、バンダーマンらが居る方向へ向かうのだった。
──敵が目の前まで来ている。きっと奴らに違いないはずだ。
彼女────ベアトリーチェは目の前の扉から僅かに聞こえる銃声を頼りにそう考えた。
──儀式はもう既に完了した。ここに至るまで最悪なことにパニッシャーは全滅し、生贄も手に入らなかった。
彼女はそう思考を巡らすと、まるでスターウォーズで登場するかのような通話者同士の姿をホログラムを映し出すことが可能な近未来的な通信装置を用いて、防衛部隊の生徒と連絡を取る。
「防衛部隊はまだですか?」
「申し訳ありません。バシリカ外周に展開している敵部隊に完全に足止めされています....現在、全防衛部隊を搔き集めて突破しようと────」
「...チッ」
舌打ちをした彼女はその報告を受け取ると、苛立ちを表しながら通信を一方的に終了させた。
──防衛部隊は間に合わない。イライラする。
彼女は眉間に皺を寄せ、今までの行動を振り返る。その中で、マエストロの言葉を思い出した。
『もう一度、伝言しておこう。奴らは絶対に、貴下のことを
──調印式襲撃からたった一週間で奴らはここまでやって来た。不可解な異世界軍は本気で、私を殺すつもりなのだろう。ならばせめて一人でもいいから道連れにでもしてやりたい。
そう考えた瞬間、扉で爆発音が生じた。そしてそれと同時に扉が完全に破壊されたようで、埃が至聖所内に舞う。もう聖女はやられた上に、これ以上出せる駒が無い。つまり後に引けない状態だ。
──大人が到達すべき境地を見せしめてあげよう。
ベアトリーチェは大胆不敵にも敵軍と対抗しようとするのだった。
バルバラを倒した彼らは、再び扉を爆破させる前に至聖所内に射線を通すように廊下内の左右にそれぞれ隊員を配置した。そして爆破させると扉は吹き飛ばされそれと同時に至聖所に埃が舞った。暗視装置では少々、視界が悪く爆破してから数秒間はまともに至聖所内の様子を伺うのは不可能だった。
しかし、視界が明瞭になると至聖所内にそこらへんの成人男性よりも背が高いであろう怪物────ジェロニモの姿を発見した。バンダーマンは彼女の姿を確認すると、すぐさま頭部に1発の5.56ミリ弾を命中させる。
他のキヴォトス人のように耐久度も持たない、彼らと何ら変わりのない大人である彼女はレンガ造りの荒れ果てた床に血を流して倒れこんだのと同時に、バンダーマンはこれを好機とみて倒れこんだ体へと向かった。
そして彼は近付く間に彼女の胴体に向けて、1発。それから彼女の体の目の前まで来たところでもう3発撃った。その間他の隊員らは至聖所内を警戒しつつ、バンダーマンのカバーに入った。
「...な、なんで貴方たちは私の邪魔を....私の高位な存在をその目に────」
ジェロニモは致命的な一撃であるヘッドショットを含め、胴体に4発もの銃弾を受けていたにも関わらず何か伝えようと口を動かしていた。彼女の右額から右頬に掛けては命中した1発の5.56ミリ弾が大きく引き裂いた傷が、顔の皮膚を見事に抉り取っていた。
次にバンダーマンは暗視装置を目元から離してFASTヘルメットの左のマウントレールに取り付けてあるライトを点灯させた。そして彼は幸運にもまだ生きているジェロニモの胴体に向けてHK416Dを構えた時、彼女は右手の指から伸ばしてきた鋭利な爪が彼に襲い掛かろうとする。
「....ふんッ!!」
しかしその声と共に彼女の爪がバンダーマンに到達する前に、狙いをつけている胸に向かって再び2発の5.56ミリ弾が襲い掛かった。そうすると追加の射撃を受けた彼女は、与えられた痛みのせいで力一杯腕を持ち上げることはできなくなったのか、彼女の右腕が床に向かってぐったりと振り下ろされた。
「不意打ちも通じない...小癪な大人め...」
「....」
バンダーマンは彼女と目を合わせた。すると、瀕死状態の彼女は吐血しながらもまた再び口を開いた。
「不可解な軍人よ。大人とは子供を搾取し支配することが────うぐッ!!」
彼女が再び喋り、そして何かを言い終える前に次は左胸に向かって2発撃ち込んだ。すると彼女は完全に死んだようで、呻き声を出すと口は二度と動かなくなった。
「アルファ6-1、ジェロニモを確保。繰り返す、ジェロニモを確保」
彼は冷静に無線に向かってその言葉だけを告げると、最後に1発を右胸に目掛けて撃った。彼女は確実に死んでいる────彼はそう確信すると、死亡確認の射撃を止めて死体を回収することにした。ロサンゼルスの虐殺の首謀者でありながら、子供たちを戦争の道具として使っていた汚い
「あの子たちには見させるなよ」
彼は死体袋を持ってきた他の隊員らの前でそう告げると、すぐさまジェロニモの死亡した姿の撮影が行われた。フラッシュが何回か炊かれて彼女の死体が撮られた後に、死体は真っ黒で不透明な袋に収められた。そして死体袋がしっかりとファスナーで閉められると、いつでも運べることが可能な状態となる。
「これで任務達成か」
今回の任務はジェロニモの殺害だけだ。
そして他の隊員がそう言ったところで次に彼は、外周で展開しているチームから報告を受ける。
「デルタリーダー、こちらエコーリーダー。敵一個大隊規模と交戦中、包囲される恐れがあるためエコー及びゴルフは共にバシリカまで後退中」
「デルタリーダー、了解」
バンダーマンは他のチームからの報告を受けると次は、同じくミカと交戦中のブラボーと連絡を取ることにした。
「ブラボー6-1、こちらアルファ6-1。そちらの状況を報告せよ、どうぞ」
「こちらブラボー6-1、ミカとの戦闘で4名被弾し、1名失血により重傷状態。俺たちはバシリカに後退中。悪い知らせだが、彼女は''テラー状態''だ。既に彼女の姿は見失ったが、恐らくそっちに向かっている。あの
「わかった」
報告を受けた彼は軽く返事をしてやると、次に回収用のヘリを要請するために、ウトナピシュティム空軍基地と繋がるDEVGRU専用の周波数に切り替えて報告を行う。
「こちらアルファ6-1、ジェロニモを確保した。なお4名被弾、うち1名重傷。また周囲には敵の防衛部隊が居る様だ。近接航空支援とヘリを要請する、終わり」
「了解...ヘリはETAまで15分だ」
そうして一連の報告を行ったところで、改めて彼にはまだやるべきことがあった。
それはテラー状態のミカを打ち倒すことだった。件のレポートでは、テラー状態から元の状態に戻すには少なくとも、火力が必要だ。そして火力を保ちながら、被弾しても戦闘が可能な生徒らが此処に居る。彼らよりも幾分も相性は良い。あの状況を打破出来る適任者はあの子達しかいないのだ。
「今更だがお嬢さん方に頼みたいことがある」
バンダーマンはサオリ達の方へ向かうと、彼女たちに語り始めるのだった──────・・・・・
────「デカルコマニー。どうやら彼女はたった今、死んだようです。回収はいかがいたしますか?」
「...異世界の軍勢がいる目の前で、わたくしが出ることは不可能ですね。せめてあそこにいるのが先生であれば────」
ゲマトリアが主に利用する空間内では彼らは、ベアトリーチェが死ぬまでの様子を一通り見ていたようで、彼女の死体の回収について議論していた。そしてたった今、デカルコマニ―が結論を出したところで、黒服は口を開いた。
「どうやら異世界の軍勢は儀式を止めるのが、間に合わなかったようです。トリニティの生徒は反転しただけではなく、その影響でこのキヴォトスに色彩が到達するのは時間の問題のようですね...全く、彼女は面倒なことを────」
「でも、我々の
「わたくし達の手を煩わせるあの者を消え、ここは広くなり十分に快適といったところでしょうか?」
「そういうこった!!」
ゴルコンダがそう叫んだところで、黒服は彼らに尋ねる。
「マエストロ、ゴルコンダ&デカルコマニ―、私のやり方は厭わしいですか?」
「躾がなっていないあの女よりは、わたくしはそうは思っていませんので────」
「うむ。同胞が消えたことは惜しいが、それ以上に
────「不本意だが地下回廊から行くぞ。まだミカも来ていないからチャンスだ」
フォードは無線でチームに向かって、そう伝えると彼らは地下回廊の道を進む。彼らはなんとか、敵の防衛部隊が敷いている包囲網を一部であるが突破しバシリカに入ることが出来たのだ。
このままバンダーマンらが居る至聖所に到着すれば、作戦目標を達成出来たうえでヘリでアリウス自治区から離脱することが出来る。後は、追手のミカさえ撒ければ問題ない────と彼は考えた。
「アルファ6-1、こちらブラボー6-1。地下回廊に入った、このままそちらと合流────」
彼は無線機でそう伝えようとしていた時だった、不意に地下回廊で揺れが始まったのと同時に彼らの近くにあった柱が大きな音を立てて崩壊する。そして最悪なことに柱は彼らの行く手を阻む、障害物となってしまったのだ。
「柱が...」
「いや、それよりもあの子がいる...ミカだ」
彼は地下回廊の壁とその柱を丸ごとぶち抜いてきたミカの姿が、外から降り注ぐ僅かな月明りと共に目に入った。そして彼女のせいで、合流が難しくなったどころか迂回せねばならなくなってしまった。
「全チーム、距離を取れ。遮蔽は一切無いから、気を付けろ」
「あの
「ったく、テラーでも頭は回るのか。全く嫌な相手だよ」
ミカのヘイローは未だに青白く発光しており、カタコンベで接敵した際と何ら変わらない状態だった。加えて、この一直線上で狭い場所となれば彼女の火力がかなり脅威だった。また遮蔽物が一切無いので、彼女が本気を出せば簡単に彼らを殺すことが出来てしまう。
このまま地下回廊から脱出して地上から行くにしても、防衛部隊が居るため危険すぎる────彼はそんなことを考えながら、彼女と距離を取り始めた。まだ彼女とは互いに睨み合っており、撃ち合っていない。だが、こちらとしても危険な状況で彼は嫌な気分に襲われた。
そんなさなか、彼のヘッドセットから声が漏れ出た。
「アリウススクワッドがそちらに向かっている。彼女たちなら────」
────「聖園ミカを確認。これより交戦する」
彼らよりも後方でバンダーマンから渡されたであろう無線機を手に取って、そう報告した彼女は他の子たちを引き連れて彼らの元にやってきた。そしてフォードの方へと辿り着くと、彼女は尋ねてきた。
「状況は?」
「儀式で反転して────制御が効かない暴走機関車と近い感じだ。少なくとも彼女に多くのダメージを与えることが出来れば、戻るはずだが....確証はない」
最も不安な点はあのレポートで反転した生徒は多くのダメージを受けると、テラーの効果が一時的に消える
だが、やる価値は十分にある。加えて、それを実行出来るほどの撃ち合いに特化した生徒が居る。実行を拒否する理由など一切無かった。
「サオリ...あとは君たちに任せたぞ。援護は────要らなさそうだな」
彼は何となく彼女たちの手慣れた様子を見るに、ここで彼らによる援護はむしろ邪魔になるだろうと判断し、後方で待機することにした。
「ふひひっ、ミカとの戦闘なんて辛いですねぇ...」
「気を付けてティーパーティーとしては異様なほど、それこそ群を抜く武力を持っている。おまけにさっきの様子から、地下回廊の壁を壊す程度の威力があるから
「バシリカに増援が来る前────5分で片付ける」
サオリがそう言うと、彼女たちは手慣れた様子でミカとの戦闘を開始した。まず初めに前衛であるサオリ達とは違い、更にフォード達よりもやや後方に位置するヒヨリが持っている大きな得物であるNTW-20から、重い一撃が放たれた。それと同時に、機敏な動きをしながらサオリが精密なセミオート射撃を加えていく。
もちろん先制攻撃を受けたテラー状態のミカも反撃をする。そして数発の9ミリパラベラム弾がサオリに命中するが、元々他の生徒と比べて耐久性がそれなりにある彼女は倒れるはずもなく果敢に攻める。
そして彼女が銃に挿しているワンマガジン分を撃ち切ると、ミカから距離を取る。そうすると丁度よく、ミサキのスティンガーミサイルが彼女に命中した。しかしながら盛大な爆発は発生せず、ただ単にミサイルの破片が宙に飛び交った。
「ふむ、どうやら俺たちが知っているモノとは違うらしい」
後方で眺めていたホプキンス准尉は、戦っている彼女らの姿にあっけにとられていながらも、スティンガーミサイルが発射から命中までの様子を見ていた為、そう言ったのだ。
ミサキが使用するスティンガーミサイルは、本来であれば対空用の代物であるが、あれは彼女が独自に改造したモノだった。航空機に対しては撃ちっぱなし能力の他に無誘導でミサイルを発射することが可能であり、更には使用する弾頭が異なるミサイルを場面に応じて彼女は使い分けてることで対人用途でも使っていたのだ。
そして先程ミカに命中したのは、炸薬が一切入っていない運動エネルギーによる威力を期待した弾頭で、炸薬を持たない代わりに6つの刃が内蔵されていたのだった。発射されると刃が展開し、そのまま勢いよく
「耐えられたね」
「ミサキ、もう一回撃てるか?
「わかったよ、リーダー」
「ヒヨリも出来る限り、彼女の動きを制限するように撃ってくれ」
「了解です!」
リロードを終えたサオリはそう指示を出すと、再び前に距離を詰めようとする。そして彼女が銃を構え、ミカの頭部に狙いを定めた上で引き金を絞ろうとした際に、もちろんミカはそれに対して反撃を加えようとした。ミカはサオリから何発か撃たれながらも、十数発の弾丸をばら撒き、それはサオリを怯ませることに成功する。
「うぐっ!」
それを好機とみたミカは地下回廊の石造りで出来ているであろう床を勢いよく、左の拳で殴った。すると恐ろしいことに地下回廊内で沢山の破片が舞い、極めて細かい石の破片による煙が発生していた。
「マジかよ、下がるぞ」
その瞬間を見ていたフォードは危険と判断し、急いで暗視装置を目元から離して、部隊と共に更に後退する。
「み、見えない!」
「来るぞ」
ヒヨリはミカの気迫にやや怖気付いたが、サオリは依然として警戒する。そして遂に彼女たちは小さな破片が舞う中に引き込まれてしまう。
きっと彼女の狙いは、ヒヨリとミサキの援護を妨害するため────とサオリは考えていたが、それは見事に的中した。
「うわぁ...嫌だなあ...」
主に前衛を担当しているサオリよりもほんの少ししか距離を取っていなかったミサキは、煙の中から勢いよく左手を伸ばしてきたミカの姿を見て、そのように言った。そして伸びた左手はミサキの首をがっちりと掴んだ。それから強い圧力が首に掛かった。
「くっ....」
ミサキは強い痛みと共に苦痛な声を漏らした。だがテラー状態のミカはそんなことも気に留めず、更に強く力を加えた。
「ぐ、あっ....」
ミサキはさらに悶えた。しかし、未だに煙が周囲に舞っておりサオリ達からの援護は期待出来なさそうだった。そんな状況のなか、一発の弾丸がミカの左手に命中した。放たれた弾丸は、ヒヨリによるものだった。流石に20ミリもの大口径弾を左手一本が耐えきることは無理だったようで、ミサキの首から手を放した。
そしてそれと同時にミサキはミカの元から離れようとする。だがミカはそれを逃さないように、ミサキに狙いを定めようとした時だった。不意に煙の中から、サオリが現れ────更にミカの方へと接近した彼女は、ライフルを構えた。狙いはミカの頭部でこの距離なら絶対に外すことは無い。
────サオリはミサキが首を絞められている間に、弾薬を通常のものからより高いストッピングパワーと初速を誇る強装弾が入った弾倉へとリロードしていたのだった。
「Vanitas Vanitatum Et Omnia Vanitas」
彼女はそう言うと、まず強烈な一撃を彼女の頭部に命中させた。至近距離でその一撃を喰らったミカは流石に怯んだようだった。しかし、サオリは攻撃を止めることなく続けて4発撃った。
するとミカの青白く染まったテラー状態を示すヘイローは消失し、彼女は床にぐったりと倒れこんだ。完全に無力化したようだった。そのころには、彼女たちの周囲を覆っていた煙は晴れたようで、煙の外に居たフォードたちやヒヨリは彼女たちの姿を確認した。
「聖園ミカは無力化した...ミサキ、囮になってくれてありがとう」
「けほっ、リーダーこそあの状況で...特にヒヨリの一発が無かったら危なかったかも」
「音を頼りに撃ったら当たりましたね...」
何とかミカを無力化してくれた彼女たちはそんな風に互いに言葉を交わした。そうしている間にフォード達は伸びているミカに近付き、しっかりとプラスチック製のハンドカフで拘束をした。恐らく、目覚めたらこのハンドカフが破壊されるかもしれないが。
拘束を確認し終えたピアーズはフォードに向かって呟いた。
「それにしても...凄かったですね。彼女たちは5分で終わらせると言っていましたが....3分で終わりましたね」
「ああ...怖いな」
彼はそう告げると、遠回りであるが皆で地下回廊から出ることにした。
────海神の槍作戦は間もなく終了へと差し掛かっていたのだった。
あと2話程度でエデン条約編が終わりそうなのでアンケート取ります...というより正直なところ
パヴァーヌ二章→カルバノグ一章→最終章行くか、エデン4章→カルバノグ一章→最終章で進むほうがいいのか凄く迷っています。プロット的にはどちらに転んでもあまり変わらないというのもあるほか、パヴァーヌにおいて兵士をどうねじ込むのかについて思いつかないので初期の段階から避けていました。(一応既にパヴァーヌ2章に行くための布石は作中に描写しています)
一応、エデン完結後はベアトリーチェの殺害をしたので、目的を達成したアメリカとしては講和とは言いませんが適切な関係となるべきだと思いますので、連邦生徒会と条約締結云々の話(ほぼ政治)を投稿しようと予定しています。