Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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読者の皆様には申し訳ないですが政治の話を書こうとしましたが、ある程度書いたところで「なんか違うな」と違和感を感じたので辞めることになりました。申し訳ございません。


49:閑話:Indication(予兆)

<20██年/03:20>

ウトナピシュティム空軍基地 応接室

 

 

 

 

 海神の槍作戦が成功したという一報が入ったのと同時に、姿をくらませていたセイア達がウトナピシュティム空軍基地にやって来たと、警備兵から伝えられた。彼ら曰く、彼女たちはキヴォトスの未来に関することで彼らに話したいということが伝えらた。

 

 時刻は深夜の3時頃であったが、滞りなくすぐさま彼女らは応接室へ通された。

 

 

 「どうぞ、こちらへ」

 

 

 ケリー陸軍少佐はそう言いながら木製のドアを開けて、セイアとミネの二人を案内する。

 

 星条旗が飾られる応接室にはキヴォトス派遣隊もといアメリカキヴォトス統合方面軍の最高司令官であるミリー大将が革製のソファに腰を掛けていた。それだけではなく、他の幹部級隊員も応接室に数人ほど集まっていたようだった。

 

 

 「そちらのソファにご自由にお座りください」

 

 「感謝致します」

 

 「感謝する」

 

 

 戦闘時でもないため透明な防弾盾を背中に背負っていたミネは、セイアと共に言った。それから、ミネは座ろうとするソファのすぐ傍に盾を立てかけると、二人はソファに腰を下ろした。

 

 

 「トリニティ総合学園の最高権力であるユリゾノセイア氏と、アオモリミネ氏がご無事であったことはなんと幸運なことです。さて、この度は私たちに『重要なことを伝えたい』ということを既に伺っておりますが、いやはやどういうことでしょう?」

 

 

 ミリー大将は尋ねた。

 

 

 「単刀直入に伝えるが、私には未来が視える。私は夢で、何時しか至る未来の片鱗を視ることが出来る。まずこのことを信じて貰えるのなら....荒唐無稽だと感じても耳を傾けて貰えないだろうか?」

 

 「ええ、既に我々の調査で貴女が予知夢の能力を持っていることはご存知です。我々にとってそれは非常に疑わしいことですが、この際はそれを問いませんので続けてください」

 

 

 彼らにとって予知夢は、事前に聞いていた情報であるがやはり信じ切ることは出来ない。だがその前提(予知夢)からなり得る今後の話の為に、その前提を一蹴するにはいかなかった。彼女らがアメリカ軍へやって来たということは、何か交渉でもするつもりだと判断するべきだからだ。

 

 

 「私は今、誰にも告げられない未来を手にした...世界が、キヴォトスが終焉を迎える光景を見た」

 

 

 『終焉』という単語にミリーも含めて、何人かは軽く反応を示す。宗教でよく語られる審判の日が来るとでも言うつもりなのだろうか────と、彼らは疑った。

 

 

 「終焉を迎えて滅亡したというべきか...結果的にそこへ至ってしまうのか...それは杳としてしれないけれどね。天から巨大な塔が飛来し、虚空が緋色に染められ────不吉な塔は、まるで悲鳴を上げるように鳴動し...この世界を少しずつ削り取って、そうして世界を()()に被せていった」

 

 

 ケリー陸軍少佐は、セイアから伝えられる内容をメモに向かって走り書きする。

 

 

 「削られた世界の欠片が嵐のように吹き荒れる中で、黒い光が天から舞い降りて...世界が終焉に傾いていく。そうしてキヴォトスのすべてが崩壊し、塵一つ残さずにすべてが虚無へと消えた」

 

 

 セイアは予知夢で視た全てのことを伝えた。そこで彼女はさらに続けて本題を伝える。

 

 

 「出来ればアメリカ軍の方々に...この最悪な未来に至る()()をどうにか対処してもらいたい」

 

 「なるほど...そう来ましたか」

 

 

 ミリーは何となくであるが彼女が彼らアメリカ軍に、伝えたい真意を察することが出来た。恐らく、彼女たちはその最悪な未来に至る何か────敵、災害とでも言うべき存在を撃退することを仰いでいるつもりなのだろう。

 

 

 「つまるところユリゾノ氏は、我々アメリカ軍に軍事的行動が必要であるということですか?」

 

 「早急に必要な状況だ。それだけではなく、アメリカ軍だけではなくキヴォトス全体として協力しなければならない問題だろう」

 

 

 セイアからそう伝えられると、ミリーは他の幹部らとともに思案する。そうして彼らの中で、結論が出たようでそれを彼女に伝える。

 

 

 「残念ですが我々は軍人です。この場で外交方針と国政に関わる決定を、我々武官がこの場で下すことはできません」

 

 

 ミリーが伝えるのは至極真っ当な意見だった。少なくとも彼らのような軍人には判断しかねる内容だったからだ。それにキヴォトス全体として協力する必要があるのならば、それこそ外交官が彼らには必要だ。

 

 

 「...ですが、貴女が伝えて頂いた内容は国務省に相談します。決定には時間が掛かるかもしれませんが、そう遠くない日に分かることでしょう。それに...まだその()()が来るまでには時間の猶予があるでしょう?」

 

 「...私には何時やってくるのか分からない。ただ言えることは近いうちに、起こりえることだ」

 

 「分かりました。出来る限り早く決定を出すように、とキヴォトス統合方面軍の最高司令官として私から文言を添えておきましょう」

 

 

 ミリーは冷静にそれだけを伝えた。しかしながら、セイアは落ち着かない様子...というよりも今この場で決定を出してくれないことに焦っているのか、動揺しているように見えた。

 

 だからミリーは彼女を落ち着かせるのと、彼らの事情を説明するために更に言葉を付け加えた。

 

 

 「貴女が見た予知夢はそれほど恐ろしい出来事であったでしょう。お気持ちは分かります。ですが、我々には時間が必要です。最短で一か月ほど待っていただければ...必ず我々の外交官が返事をします」

 

 「...分かった」

 

 

 セイアは不安そうな目でそういった。やはり事態はそれだけ深刻なのだろう。

 

 

 「それと我々から貴女の予知夢で見た出来事について、もう少し詳しくお伺いしたいです。内容によっては、国務省からの返答が早くなるでしょう」

 

 「っ! どのような質問でも構わない、些細なことでも私が答えよう」

 

 

 そうして質問として、ケリー陸軍少佐がすぐさま彼女に尋ねる。

 

 

 「私はアメリカ陸軍所属のケリー少佐です。質問ですが、それはゲマトリアが関与しているということでしょうか?」

 

 

 ケリー少佐は、米軍内においてゲマトリアや色彩、そして神秘といったキヴォトスに関わる重要な情報を知っている数少ない人物である。勿論、海軍特殊部隊が持ち帰った色彩や神秘に関する詳しい資料を入手した後は、それの解析にCIAや他の隊員らと共に尽力しており、セイアたちが訪れるまでの間も解析に専念していた。

 

 そして最も不可解な組織であるゲマトリアの存在を知っていた彼は、キヴォトス崩壊の出来事に暗躍している可能性を指摘したのだった。

 

 

 「おそらく...彼らがキヴォトス外部の存在を呼び寄せ、終焉に導こうとしている。破滅を防ごうとする方法があるかもしれないから、私が────」

 

 「ユリゾノさん、初対面で失礼でしょうが私から一つ警告させていただきます。外部(地球)で相応の実績を誇る我々の諜報機関でさえ、あの組織の詳細について掴めていません。

 先日アリウス分校の生徒会長の居場所について調べようとしたところ、ゲマトリアによって我々の諜報員と兵士が数名殺害されました。ユリゾノさんだけで彼らを調べる必要はありません。危険な仕事は我々で十分です」

 

 「...そうか」

 

 

 セイアはその出来事があったことを伝えられると、びくっと動揺した。きっと彼女にとって伝聞形式でありながらも、大人の死について語られるというのは恐ろしいことなのだろう。

 

 そしてもしかしたら調査を進めようとした彼女に起こり得るかもしれない結末について、今ここで知ったということもあるだろう。

 

 

 「セイア様、件の襲撃事件といい私もこれ以上セイア様の身に危険が及ぶことは好ましくありません」

 

 「ミネ団長、君がそこまで言うのなら...分かった。ゲマトリアの調査は彼らと協力することにしよう」

 

 

 セイアの襲撃事件以降、救護騎士団団長として彼女の身を守っていたミネの言うことに従うことにしたようだった。それほどセイアはミネに信頼をしているということの表れでもあるのだろう。

 

 ミリーは彼女たちにある提案をすることに至った。

 

 

 「では、こうしましょう。数日以内に、エデン条約調印式の襲撃事件に関する調査を合同で行いましょう。既に我々でも進めてますが、やはり多角的な視点が必要だと感じています。

 そこで当事者であるトリニティの者たちだけでも調査をご一緒に出来れば、こちら側としてもスムーズになりますが...如何でしょう?」

 

 「出来ればそうしたいが....ミネ団長。君は、私一人で決定をして大丈夫かと思うかね?」

 

 「あくまで襲撃事件の調査をするというだけなのであれば...ナギサ様も反対はしないでしょう」

 

 

 ミネに確認を取ったセイアはついに決めたようだった。そうしてアメリカ軍とトリニティ総合学園の間で、調印式の合同調査を行うことを決定されたのだった。

 

 それから細かな日程についてお互いに協議したのちに、解散する流れとなった。彼女たちは応接室から完全に退室すると、ミリーは座っていた疲れからか軽く体を伸ばした。そしてミリーは軽く息を吐くと、ケリーに尋ねてきた。

 

 

 「ケリー少佐、もし終焉をもたらす敵が居るとしたら我々で勝てるか?」

 

 「私には...見当がつきません。少なくともビナーのような存在ならまだ、やりようはあります」

 

 

 調印式襲撃事件の日と重なっていたビナー討伐作戦は、救出作戦の都合で中止された。彼らの想定では、ビナーが保有する白い装甲板はエイブラムスが発射するM829A4では簡単に貫徹することが可能であり、装甲板の黒色部分である繋ぎ目ならば40ミリ多目的榴弾でも貫徹することが可能であると分析されていた。

 

 ビナーが搭載している武装はひとまず火力が高いことが特徴である。口部の高出力レーザーは非常に危険であり、恐らく瞬時にエイブラムスの複合装甲を融解させるほどの威力がある。また背部には無誘導ロケット弾を発射できるランチャーが備え付けられているようで、70ミリハイドラロケット弾よりも爆発範囲、威力が共に高いと分析されている。

 

 また対空火器を搭載していないように思われるため、航空機による飽和攻撃に対して非常に脆弱だろうと予測されていた。そのため、陸軍と空軍による攻撃計画が立案されたのだった。しかしながら、前述したように襲撃事件が発生したため、戦闘前に撤退させることとなってしまった。

 

 現在はアビドス地域におけるカタカタヘルメット団による前哨基地の攻撃が後を絶たないため、部隊が攻撃に晒される可能性を考慮し、ビナー討伐計画は凍結中である。

 

 ────ここは異世界の地ということもあり、彼らの想像を超えるような存在がいることが予想される。そして終焉をもたらす敵が居るとするならば、ビナーよりも強く────下手をすれば彼らの軍事技術でも太刀打ちできない存在がいる可能性もあり得る。

 

 

 「やはり情報が欲しいな。何も分からないのでは手の打ちようがない」

 

 「ええ。ある程度落ち着いてきたらユリゾノさんから、終焉の正体についても伺いましょう。何より現時点では、彼女の能力(予知夢)のみしか当てになりませんから」

 

 

 ケリー少佐はキヴォトスが破滅する未来を回避する方法について再び思考するのだった。




人物紹介
名前:ミリー
所属:アメリカキヴォトス方面統合軍 最高指揮官
階級:大将
詳細:湾岸戦争時代からアメリカ陸軍に従事。イラク戦争時には、M1エイブラムス戦車の搭乗員として勤務していた。


さて次話からのナンバリングですが私的にこのまま三桁までカウントするのが嫌なので、パヴァーヌ二章から新たに一話としてカウントします。
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