Blue Archive:Task Force 作:タクティカルおじさん
新年初投稿です。
<20██年春/8時54分>
アレックス 第一武装偵察分隊・中尉
アビドス/アビドス砂漠・カイザーPMCの基地から20kmほどの位置
アレックスたちは現在ある任務が与えられている。その任務は航空支援の誘導である。そしてその航空支援の誘導先はカイザーPMCの基地だ
先日からアビドスではゲヘナ風紀委員会の行政官による独断専行の侵攻に対する衝突、対策委員会がカイザーローンへの襲撃、PMC基地への攻撃といった波乱万丈な出来事が多かった。
そのためアレックスたちのような職業軍人にとっては非合法的な内容ばかりであることから、それらに協力するのは控えていたのだ。
しかし、カイザーローンへ彼女たちが襲撃したことで重要な書類の回収に成功。これによってカイザーコーポレーションがカタカタヘルメット団に対し資金援助を行っていることが判明した。
彼らはそこら辺にいる不良に資金を与え、アビドス高校を攻撃させた上で廃校に追い込むことを目的としただけではなく。自分たちがアビドスの土地という土地をすべて奪うということを目論んで、立派な代理戦争を行わせていたのだ。
そしてホシノが先生曰く、''
またカイザーPMCがアビドスの自治区へ侵略を開始し、地元住民に対して暴力を振るうようになった...。
対策委員会はこの侵略に対して激しい抵抗を行うが、このままだと根本的に解決しないのは明白であり時間の問題であった。これに先生はアレックスたちの上層部もとい司令部に治安維持協力を求めた。
立派な戦争犯罪(キヴォトス派遣隊基準)が行われたことを確認し、その協力要請を受け入れた上司令部は攻撃を行うことを計画。その作戦に参加する者には対策委員会や他校の生徒。そしてアレックスなどのキヴォトス派遣隊に所属する部隊も含まれていた。
そして一度、深夜に無人機による偵察が行われたことによって敵戦力の把握が完了。あとは攻撃を実行するだけとなった。
その攻撃にあたって第一武装偵察分隊が航空支援の誘導。そして、それによる効果の観測も任せられているのだ。
「ストライカー3-1、こちらレッド1-1。配置についた、既に目標にマーキング済みだ。どうぞ。」
アレックスが観測装置で目標であるPMC基地の航空機などが格納されている格納庫にマーキングする。
「レッド1-1、こちらストライカー3-1。目標を確認。投下。」
無線から投下の報告が入る。その10秒後には格納庫が大きな爆発を起こしたのち、遅れて爆発音が耳に届く。
「ストライカー3-1、こちらレッド1-1。目標に命中。まだ仕事は残っているからやるぞ。」
アレックスは格納庫とは別の建物....それは敵の司令部であり、彼はその建物にマーキングをした。
「目標をマーク。」
「了解。投下!」
精密な誘導によって敵の司令部に命中。格納庫ほどの爆発は起きなかったが、司令部としての機能を喪失させるには十分な威力だった。
「ヒュー、最高だな。」
アレックスの部下は煙が上がる格納庫の光景を見ながらそう呟く。
「オーバーロード、こちらレッド1-1。全目標の破壊を確認。どうぞ。」
「レッド1-1、こちらオーバーロード。了解、これより作戦を第二段階に移行する。」
アレックスは司令部に報告を入れ終わるとPMC基地がある方向の反対側を眺めた。
「そろそろ来るか....。」
今回の作戦ではPMC基地に存在する戦力全てを基地内に侵入しホシノを救出する対策委員会への集中を逸らすため、戦車中隊が陽動を担うことになっているのだ。
突然無線が入る。
「アンヴィル中隊前進!索敵を怠るな!!」
<20██年春/9時00分>
M1A2エイブラムス アンヴィル中隊 中隊長
アビドス/アビドス砂漠・カイザーPMCの基地から25kmほどの位置
「この光景が見られるなんてな....。」
アンヴィル中隊を指揮する中隊長はカイザーPMC基地へ前進するM1A2エイブラムスのハッチから顔を出し、景色を眺めていた。
周囲にはほとんど何もなく、なだらかな起伏が一面に広がっていた。そしてそんな砂漠をアンヴィル中隊の
中隊長は目の前に広がる砂漠の景色に圧巻しながら眺めていると無線が入る。
「アンヴィル中隊長、こちらオーバーロード。作戦はさっきから聞いているように第二段階に入った。アンヴィル中隊は敵戦力を陽動せよ。どうぞ。」
「オーバーロード、こちらアンヴィル中隊長。了解、敵戦力をこちらがひきつける。終わり。」
司令部であるオーバーロードとのやり取りを終えると中隊長はハッチから顔を出すのをやめ、車内に戻る。
「中隊長より、全車へ。これからいつ敵と交戦してもおかしくない。気を抜くなよ。」
アンヴィル中隊はM1A2エイブラムスと呼ばれる主力戦車13両とM3A3ブラッドレーと呼ばれる騎兵戦闘車3両によって編成されている。M1A2エイブラムスはキヴォトスにおいては最もモダナイズされた戦車といえるだろう。
ただでさえ、各学園が採用しているのはエイブラムスより二回り小さい戦車でしかも彼らにとっては旧世代の戦車でしかない。
彼らと違い乗員が一名でも操作できる点は技術的に素晴らしいものだが、戦闘においては高度な
そんな現代の主力戦車が索敵を行うとすぐに敵の戦車を発見することができた。敵の戦車はFLIRを通すと白色で強調表示され、どこにいるのかやどのくらいの数がいるのかも容易に把握できる。
中隊長は無線で呼びかける。
「クソみたいな砂漠のパーティーを始めるぞ!!交戦開始だ!!!」
この合図を皮切りに中隊のエイブラムスたちが主砲から轟音を発した。ついに、アビドスでの大規模な戦車戦が幕を開けたのだ。
しばらく時間が経つと狙いの先である戦車から炎が上がる。エイブラムスから放たれたのは徹甲弾であり、弾道は狙い通りに描き見事に砲塔に命中。弾薬庫までしっかりと貫き、誘爆し炎上したのだ。
突然攻撃をくらった敵戦車部隊は狙われていることに気付いたのか、反撃として撃ち返し始める。
しかし、敵の砲弾たちはどれもエイブラムスに到達する前に地面に落ちてしまった。そして何事もなく主砲を再装填できたため、二回目の斉射をエイブラムスから貰い、残った戦車は全てスクラップと化してしまった。
そんな感じで接敵から30秒ほどで敵の戦車部隊は壊滅。アンヴィル中隊の被害はなし。これはPMCが使っている戦車はエイブラムスの主砲よりも短い射程であるため、アンヴィル中隊を発見しても攻撃が届かないのだ。
「中隊長より、全車へ。まだ陽動は完全に終わっていない!!さらに接近して引き付けるぞ!」
そう無線で呼びかけると再びアンヴィル中隊は前進し始めた。
しばらく前進すると突然、一両のエイブラムスが火花を散らした。中隊長はどこからか攻撃されたのかを特定するため車長用の観測器で索敵をすると、800mほどの位置の砂丘から白く表示された煙が確認できた。
その煙を確認してまもなく音と共に、砂埃が火花を散らした方とは別のエイブラムスの周りを覆った。おそらく迫撃砲か何かで攻撃しているのだろう。
「中隊長より、アンヴィル6-4、6-5へ。10時の方向、800m先の砂丘の稜線の向こうに迫撃砲がいるはずだ。攻撃せよ。」
中隊長からの命令を受けた二両のエイブラムスたちは、傘型隊形を組んで砂漠を突き進んでいるアンヴィル中隊から離脱する。
離脱した二両はスピードを上げてさらに接近。あっという間に稜線を越えた。
そして大きな砲声が聞こえる。それに続いて乾いた銃声が連続して聞こえた。
「アンヴィル6-1、こちらアンヴィル6-4。大量の歩兵と装甲車まみれだ!!迫撃砲を破壊したが対処しきれない!!」
「指揮官より、アンヴィル5-1、5-2、5-3へ。6-4、6-5の援護をしろ。」
傘型隊形で突き進んでいるエイブラムスの後方にはM3A3ブラッドレーと呼ばれる騎兵戦闘車が随伴していた。
ブラッドレーはエイブラムスと違い、一回りほど小さく戦車ではない。この車両は偵察などを目的に作られた装甲車なのである。
そして搭載している主砲は25mmであるためにエイブラムスの120mmという大きなものに比べれば小さく、威力も戦車と戦うのであればそこまでない。一般的な戦車砲を防げる装甲も持たないのだ。
そのような事情から被害を無くすために、エイブラムスの盾に守られて随伴していたが遂に出番が回ってくる。
ブラッドレー達は中隊から離脱し、全速力で二両のエイブラムスの元へ救援に向かう。
駆けつけるとそこには迫撃砲、装甲車の残骸が至る所に点在した。しかし歩兵もといPMC兵達の数は多く、歩兵に対して戦車は苦戦していたということを物語っていた。
「6-4、6-5。こちら5-1。助けに来たぞ!!」
一両のブラッドレーがそう無線で伝えると同時にブラッドレー達はPMC達に向かって射撃を加える。
ブラッドレーは戦車などの重装甲の相手となると歯が立たないが、歩兵や軽装甲の目標に対しては十分な威力を発揮するのだ。
連続して発射される25mm弾がPMC兵達に炸裂し、多くの敵を薙ぎ倒す。中にはオートマタも混じっており、直撃をしたオートマタは身体をそのまま保つことはできず、文字通りにスクラップとなってしまった。
「6-4、RPGがそっちの10時の方向にいるぞ!!」
そう仲間が叫んだのと同時にエイブラムスに向かって煙が高速で飛来し、爆発音と共に黒煙をまき散らした。
エイブラムスに襲い掛かったのは対戦車用のロケット弾であった。
「やったぞおおおおおおおおおおおお!!!!!」
命中させたPMC兵は喜びの声を上げる。しかし──
「いやまだ動いて──」
ちょうどエイブラムスが黒煙から出てきたのと同じくらいに25mm弾の掃射が再び襲い掛かる。これによって完全に歩兵部隊は全滅。
残念ながらエイブラムスに命中したのは砲塔の前面部分でありしかも、貫通するにはそのロケット弾の貫徹力は不十分だった。そのようなことから、命中したエイブラムスは装甲を窪ませただけだった。
「おい6-4無事か?装甲が窪んでいるぞ。」
「ああ。多分大丈夫だ....。死ぬかと思ったぜ。」
味方とのやり取りを終えると彼らは離脱した中隊の元へ戻るのだった....。
<一方...>
一方、カイザーPMC基地では初めに空爆を喰らい航空戦力が使えなくなってしまったこと。また周囲を警戒していた戦車部隊との連絡が取れなくなり混乱が生じていた。
彼らが何が起きているのかがわかったのは先ほどアンヴィル中隊が接敵した敵歩兵部隊との連絡だった。
「方位220より敵戦車部隊接近!!!きっと基地を目指している!!援護が必要だ!!!」
カイザーPMCを統率しているカイザー理事は最初その報告に疑った。
「嘘だろう?ただでさえ対策委員会は少数でそんな大量の戦車を扱うことすらできまい。それに借金を背負ってでも戦車を用意するほどのバカではない。」
「それに今朝、空爆を喰らいました!きっとアビドスじゃない奴らです!!」
理事はその報告を受けると唖然とした。空爆が出来るほどの組織力となるとこの攻撃を実行できる勢力は限られてくる。
それらの事情から何を目的でアビドスではない者がこの基地を攻撃しているのかが理解できなかった。だからある可能性に彼は至った。
「もしかしてだが....。例の奴らか?以前雇った出来損ないの不良たちが言い訳で『シャーレの先生と別の大人がいた。そしてそいつらは戦うことができる。』と言ってただろう?あれは本当なのか?」
「わかりませんが.....そうかもしれません。」
「ならば全戦力をその戦車部隊に向かわせろ。おそらく敵は戦車のみの戦力だ。あれから空爆もないんだろう? きっとその部隊が主力のはずだ!!」
「全戦力をですか....。」
「ああそうだ。一応、一個歩兵小隊だけ基地の警備に残しとけ。」
「わかりました。直ちに実行します。」
<歩兵部隊からの戦闘から数十分後>
大規模な歩兵部隊との戦闘を終えたアンヴィル中隊は広大な砂漠を突き進んでいた。
「あともう少しでPMC基地から1kmほどの位置だ!!」
中隊長が無線でそう叫ぶと同時に部下から報告が入る。
「アンヴィル6-1、こちら6-7。熱源を確認した。距離1500m、真正面だ。」
その報告を受けてから数秒後にいきなり衝撃と轟音が襲いかかった。つまり敵の砲撃を受けたのだ。
「クソ!!隠れていたか!?全車撃ち返せ!!」
中隊長がそう命令すると轟音が空に響き渡る。発射された砲弾はそれぞれ敵の戦車に命中。どれも致命的な一撃であり、破壊に至った。
「アンヴィル6-1、こちら5-1。敵が左右からも展開している模様。歩兵だ。」
どうやら敵は歩兵を側面から展開することで戦車の装甲が薄い部分を狙い、破壊するようだった。
「指揮官より、全車へ。ただちに後退せよ。」
流石に危険だと感じた中隊長は後退する命令を出す。しかしその後退の際、一両のエイブラムスが泥穴にはまってしまい中隊から落伍してしまった。
その泥穴にはまってしまったエイブラムスは残った敵戦車3両に狙われ始める。
一両目は砲塔正面を狙って射撃をした。しかし命中したが重大な損傷とはならずお返しにエイブラムスが撃ち返すと、敵戦車の装甲を貫通し内部の砲弾を誘爆させ砲塔を吹き飛ばした。
さらにもう一両が近づき、撃たれる。だが、これも装甲を貫通せず結局エイブラムスからの反撃を受け同様に倒されてしまう。
最後の一両は400m近くまで接近し、砲撃をエイブラムスに叩き込んできた。残念ながら結局カイザーPMCが採用している砲弾はエイブラムスの装甲を貫くことはできず、先に倒された二両と同じ結末を辿ることとなった。
「ああクソ!!こんな泥穴にはまった戦車の中で死ぬなんて最悪だったぞ....。」
「でも生きているだろう?」
「どっちにしろこの戦車に乗っている限り、俺たちは死ぬまで一緒さ。」
そんな風にエイブラムスに乗車していた兵士はやり取りをする。だが、戦車を倒したところで次は歩兵の波に圧倒されそうになっているのだ。危機的状況である。
そして少数ながらPMC兵たちは泥穴にはまってしまった不運なエイブラムスの後ろに気付かれることなく近づいていた。
「後ろのエンジンにC4を設置でいいんだよな...?」
「もたつくな!!早く設置──」
設置しようとしたPMC兵たちは甲高く、耳をふさぎたくなるような音が連続した銃声が響いたのち、薙ぎ倒される。
「おい!アレを見ろ!」
特徴的な銃声に気付いた他のPMCはその音を放った張本人に注目を向けるように呼び掛ける。しかしPMC兵たちは不幸にもその姿を見ることなく倒されてしまった。
PMC兵たちを圧倒した小さい女の子は白い髪が特徴的で、背中にはコウモリのような翼が。触れることはできないにもかかわらず見た目から禍々しく、触るとケガがしそうなヘイロー。
そして彼女の愛銃である"終幕:デストロイヤー"ことMG42を持つのは誰か。それはゲヘナ学園風紀委員会の委員長である空崎ヒナである。
「はあ....。」
「間に合ったみたいですね。私達が戦った数が少なかったもので援護しに来たら、この有様ですよ。」
溜め息を吐く彼女に話しかけているのは甘雨アコである。彼女は風紀委員会の行政官であり、戦地には直接赴かずいつも風紀委員会のサポートをしているのだ。
「周辺には歩兵大隊一個。小規模ですが戦車や装甲車も確認されています。」
「分かった、準備して。」
「なんで私もここにいるんだ....。」
そんな風に愚痴を漏らすのは銀鏡イオリである。彼女は褐色の肌が特徴的であり、この作戦が発動する数日前、先生に足を舐められたこともある生徒だ。
まあ、そもそも彼女の足を舐めた理由は先生のやましい欲望とかではなく
それはさておき、ヒナを筆頭とした風紀委員会が他校の自治区にいるのは紛れもない事実。しかし彼女にはやらなければいけないことがある。
「まだ、風紀委員会の仕事も残っているし早く終わらせよう。
彼女たちの後方からは態勢を立て直したアンヴィル中隊が接近していた。
「こちらアンヴィル6-1、援護に感謝する!!」
突然、無線で呼びかけられるが彼女は動じない。そして余裕をもって返す。
「本当の戦いはこれからでしょう?行こう。」
──彼女は再び愛銃の引き金に指を掛ける。
──アンヴィル中隊は停車し射撃態勢に移る。
──皆は戦っていた。先生が願う、ただ大切な生徒のため、ホシノのため。