Blue Archive:Task Force   作:タクティカルおじさん

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前回の投稿から3か月も経過しちゃった...


4:Abduction(略取)

 

 「少佐、医療ヘリがサイバモモイの搬送を開始しました。20分ほどで基地に到着するようです」

 

 「了解しました。先生にはしっかりと伝えておきます」

 

 

 無線機から漏れ出るホプキンスの声に、ケリーはそう伝えると通信を終了する。そして、腰のベルトに取り付けられたポーチに無線機を収納した。

 

 アリスによる砲撃から1時間ほど経過した。モモイはすぐさま学園内の医務室に運び込まれ、出来る限り応急手当てを施したが、頭部の出血などから緊急性が高いと判断されて、医療ヘリによってウトナピシュティム空軍基地付属の軍病院まで後送されることとなったのだった。

 

 軍病院であれば少なくとも医務室よりも高度な設備が整っているうえ、優秀な軍医が従事している。彼女が重傷を負った今こそ、彼らの力が必要なのだ。

 

 それから彼は、医務室内の窓から鋼鉄の羽音と共に澄み渡る青い空を駆ける医療ヘリの姿を目にしたところで、彼から少し離れた位置にいた先生に声を掛ける。

 

 

 「サイバさんはヘリで基地に向かっています。20分もすれば基地に着くでしょう」

 

 '' ケリーさん、医療ヘリを呼んでくれてありがとう ''

 

 「いいえ、頭部の損傷は危篤な状態であることには変わりませんから。私は緊急性が高いと判断したまでです」

 

 

 彼は率直にそう返した。それから先生は彼の姿をまじまじと見て。

 

 

 '' ところでケリーさん、そのシャツは... ''

 

 「あぁ、これ不衛生ですよね」

 

 

 先生の視線の先は、ケリーが着ている血濡れたサービスシャツとスラックスだった。シャツの下腹部は、血液が十分に酸化したことから赤黒く染まっており、スラックスの一部分も同様だった。

 

 彼はシャツの裾を見下ろした。こびりついた血はもう乾き始めており、鉄のような匂いが鼻をついた。衛生上の観点から血液に汚染されているシャツとスラックスは、どうにか脱ぎたかったが、替えの衣服が無いため、今すぐにそれは不可能かと思えた。

 

 

 '' ケリーさん、私の替えのシャツだけど.... ''

 

 

 先生は革製の鞄から、綺麗に折り畳まれたシャツを一枚、彼の前に差し出す。

 

 

 「良いのですか? それは貴方のものですし、ましてや軍人である私が教職の方の衣服を借りるのは...」

 

 

 突然の出来事に、ケリーはまごつきながらそう言った。確かに血液に汚染されたシャツは、不衛生であることから着替えるべきである。しかしそうでありながらも、学校関係者の衣服を借りるのは如何なものかと考えたからだ。

 

 

 '' シャツの一枚ぐらい、安いものだよ ''

 

 「...感謝します」

 

 

 ケリーは首を垂れて、先生からシャツを受け取る。一瞬、もう一度断ろうかと考えていた彼だったが、袖を取る指先に宿る温かさに、わずかに肩の力が抜けた気がした。

 

 

 

 

 

 

 「生徒さんたちはどういう状況ですか?」

 

 

 新しいシャツに袖を通し、アルコールワイプでスラックスに滲んだ血をある程度拭きとったところで、彼はそう言った。血に染まったシャツは、汚染物としてビニール袋に包んで足元に置かれている。

 

 

 '' ゲーム開発部はアリスを連れて部室に戻ったよ。ヴェリタスの皆はあのロボットたちについてまた調べているけど... ''

 

 「あの子(アリス)に何が起きたのか知りたいところですね。先生もそうでしょう?」

 

 

 彼はそうぼやいたところで、幾つかのポーチとホルスターが連なるナイロンベルトを腰に着けた。そして足元に置いてあるビニール袋を左手で持ち上げると、彼の準備は完了する。

 

 それから彼らは言葉を交わすことを必要とせずとも、共にゲーム開発部の部室に向かう。ケリーは先生の考えていることが分かっただけではなく、理解もしていた。

 

 部室の扉がある廊下へ入ると、ユズとミドリの姿が見えた。彼女らは部室の前で、立ち尽くしていた。

 

 

 「ホプキンス准尉、聞こえますか? 私は先生と共にゲーム開発部が所有している部室にいます。そちらで合流をお願いします」

 

 

 部室に到着する寸前ケリーは無線機を取り出し、彼らの位置を報告する。

 

 

 「お言葉ですが少佐殿、あまり長居しますと午後の予定に間に合いませんよ」

 

 「問題ありません...30分以内に終わらせます」

 

 

 その言葉を発すると、無線越しに短い嘆息の音が聞こえた。

 

 

 「少佐殿、了解しました。すぐそちらに向かいます」

 

 

 その応答を聞いたケリーは、無線機越しの通信を終えた。それと同時に先生が彼女たちに尋ねる。

 

 

 '' アリスはどうしたの? ''

 

 「あ...先生」

 

 

 目を泳がし、そわそわとしているミドリにそう声を掛ける。仲間だったアリスが何らかの原因で突如モモイを流血を負わせてしまったことは、それを間近で見ていた彼女にとって、至極当然の反応に過ぎなかった。

 

 

 「その....アリスちゃんは...部室から...」

 

 

 近くにいたユズがミドリの代わりに答える。どうやらアリスは既に意識を取り戻しているようだが、部室に閉じ籠っているらしい。

 

 

 「何度も声をかけてみましたが...どうにも...」

 

 「こ、こんな時...どうすればいいのか、わからなくて....」

 

 

 彼女たちの歳がまだ高校生である以上、こうした時に最適解が分からないのは当たり前だった。実際のところ、彼女たちよりも10年以上も先に生きているケリーですら、こうしたことは悩み物である。

 

 しかし先生は一切躊躇うことも無く言う。

 

 

 '' 大丈夫。ここは私に任せて ''

 

 

 先生はそう言うと、部室の扉の目の前に移動する。それから少し間をおいて、深呼吸をする。そして呼吸を整えて、意を決した彼は次にノックを3回した。

 

 

 '' アリス、ちょっと入っていいかな? ''

 

 

 そう呼び掛けるが扉の向こうからは何も聞こえない。

 

 

 '' 入るよ ''

 

 

 間をおいてから先生は優しい声色でそう伝えると、遂に扉を開けて薄暗い部室へと進んだ。その後にミドリ、ユズが続く。彼女たちにとって殆ど無関係であるが、ケリーはこれからの様子が気になったため中へと入る。

 

 部室には金属製の棚にゲーム機やありとあらゆるゲームソフトが積み上げられ、ノートやゲーム機のコントローラーなどが床に散乱していた。さらに奥にはカーテンで閉め切られた窓と、そこから薄暗い明かりがゲーム機本体と接続されているブラウン管テレビに差し込んでいた。

 

 そんな鬱蒼とした気分をも感じさせる部屋の中で、アリスは体育座りでテレビと向かい合っていたようだった。

 

 

 '' アリス...大丈夫? ''

 

 

 先生は彼女にそう声を掛けると彼女はそれに気付き、先生に振り向く。アリスが振り向いたところで、彼女の表情がはっきりと捉えられた。彼女は涙を流していたのである。

 

 数時間前、恐らくあのロボットと接触したことで何かしらの異変がアリスに起こり、スーパーノヴァの凄まじい火力がモモイを襲うことになってしまった。

 

 

  '' ずっと籠ってるって聞いたよ。みんな心配しているよ、行こう...? ''

 

 

 先生は彼女にそう問いかける。しかしアリスはそれでも座り続け、一瞬ユズやモモイたちを目にしたところで、彼女たちから視線を離す。それにユズは気付いたが、彼女に伝える言葉に詰まってしまった。

 

 

 「アリスには、できません」

 

 

 アリスがやっと言葉を発したかと思うと、暗い声色でそう答えた。

 

 

 「アリスのせいで...モモイが怪我をしました。全部アリスがやったことです。どうしてこうなっているのかも...アリスにはわかりません...」

 

 

 それから続けてあの出来事が起こった時、彼女の体で何が起きたのかを説明する。

 

 

 「まるで...まるでアリスの知らない『セーブデータ』が、アリスの中にあるかのような...」

 

 

 先生とユズたちはその話に耳を傾ける傍で、ケリーはボールペンとメモ帳を取り出し、書き記す。

 

 

 「アリスの体が反応しました、動きました。あの時、アリスが何をしたのか...何も、思い出せませんが...それでも一つ確かなのは────アリスが、モモイを...!」

 

 '' アリス、落ち着いて! ''

 

 

 先生はアリスを宥めるように言葉を掛ける。実のところ、あの時に起きたことについては彼女は何も覚えていないようだが、おそらく事の顛末を聞かされたのだろう。

 

 

 「先生、アリスは一体どうすれば...」

 

 

 その返事に先生は答えようがなく、言葉を詰まらせた。ヴェリタスの生徒たちによれば、原因は掴めているものの、その解決策が明確にあるとは言えず、せいぜいあの奇妙で恐ろしいロボットたちと接触を避けることしかないのだ。

 

 ────だがそれで本当に解決するのか? 

 

 その疑念は先生やケリーの大人だけではなく、アリス自身もそう思い当たる節がある。

 

 

 「サイバモモイさんは先程、我々の医療ヘリで基地に運ばれました。あのヘリには優秀な衛生兵だけではなく、医官も随伴しています。基地に到着すれば直に詳細が分かるでしょう....」

 

 

 ケリーは彼女の心を少しでも落ち着かせられるようにそう伝えた。それでも彼女はやはりモモイが傷付いてしまったことに心を痛めているのだろうか、気に病んでいる様子に見えた。そうして、次は何の言葉を掛けようかと悩んだところだった。

 

 

 ────「貴女が彼女を怪我させた。それは逃れられない事実」

 

 

 不意に背後から見知らぬ誰かの言葉が部室に響いた。

 

 

 「ああ、やはり────危惧していた通りになってしまったようね」

 

 

 ケリーは一切面識がない女性が部室に入る。彼女は漆黒を基調とするスーツを着こなし、長い黒髪をしていた。

 

 

 " 会長...? "

 

 

 先生のその言葉でケリーは察しが付いた。あの目の前にいる黒髪で長身の女性がミレニアムの会長であり、情報として名前のみ知っていた調月リオである────と。

 

 

 「貴方が、噂のシャーレの先生? それにそちらの方は...」

 

 「初めまして、アメリカ陸軍のケリー少佐です。公式任務で来ております」

 

 

 ケリーは初対面であり、彼女の物言いがやや威圧的であると感じながらも()()()()()()そう言った。そうして彼は左手を彼女の前に差し出したところ、リオは彼の左手を暫く見つめて、嘆息を漏らしてから言った。

 

 

 「なぜ敵国の兵士がこの場にいるのかしら?」

 

 「え、敵なの!?」

 

 「ど、どど、どういうこと!?」

 

 

 リオはケリーに対してそう発言すると、ユズやミドリは驚いた反応を見せる。もちろん、ケリーは『敵国の兵士』などと呼ばれる所以が彼には分からなかった。少なくとも、一度もこの学園を攻撃したりしたことは一切ないのだからだ。ひとまず、彼は左手を差し出すのはやめることにした。

 

 

 「敵とはどういうことでしょうか? 先日の友好条約を連邦生徒会と締結した以上、貴女の学園とは戦争状態ではありません」

 

 「そう。まぁ今はそれよりも重要なこと────先生と貴方。そして、彼女たちに『真実』を教えに来たの」

 

 

 それから彼女はその真実について語り始める。

 

 

 「単刀直入に言えば、貴方の後ろにいるその少女は────少女の外見を備えた()()は、普通の生徒ではないわ。生徒たちがアリスと名付けたソレは──未知から侵略してくる『不可解な軍隊(Divi:Sion)』の指揮官であり、名もなき神を信仰する無名の司祭が崇拝したオーパーツであり──古の民が残した遺産、『名もなき神々の王女AL-1S』」

 

 

 リオが話した内容に出てきたいくつかの単語は、キヴォトスに関するあらゆる情報を収集するケリーが事前に知っていたものが含まれていた。彼はアリス自身がオーパーツであるという情報は知らなかったとしても、ある程度の単語の意味は理解も出来る。そのため、彼は軽く反応を示す。

 

 ケリーは彼女がどこからその情報を入手したのか知りたかったが、現在はそのようなことを問いかけるような場合ではない。

 

 

 「一方的に脳内の独自設定を話さないでください!!お姉ちゃんみたいに、勝手にアリスに設定を付与しないで」

 

 

 ミドリは冷淡な目で見つめてくるリオに対してそう言った。すると、リオはその抗議の声に言い返す。

 

 

 「私の配慮が足りなかったわね。あなたたちでも理解しやすいようにゲームで例えましょう。アリス、貴女はこの世界を滅ぼすために生まれた魔王なのよ」

 

 

 一方的にリオはそう言い切る。口調からして、かなり言葉が強く感じられた。ケリーはリオに対して彼女がアリスをどのような処遇にするのかを口に出せる立場、状況ではない。だから、いくら発する言葉や表現に、不快感があっても何も言わないことにした。生徒に対し言及することは先生の仕事だ。

 

 

 " リオ、やめて "

 

 

 先生は優しくそう言った。彼自身も生徒に何らかの問題が生じたとしても、そのように攻撃をすることは許すつもりが無いのだろう。

 

 

 「やめる? 何を?」

 

 

 彼女は不思議そうな顔をして言った。

 

 

 「事実から目を背けるのは思いやりではないわ、先生。それは単なる現実逃避にしか過ぎない────負うべき責任の放棄は極めて非合理的な行動よ」

 

 " 合理、非合理の問題じゃないよ "

 

 「さっきも言った通り────全ての元凶はアリス、貴方がここにいるから起きている。ならば、貴方のヘイローを破壊すれば解決する、という事よ」

 

 

 ヘイローを破壊する────という言葉に皆驚く。キヴォトスにおいてヘイローを破壊することはすなわち、殺人と等しいわけである。リオはアリスのヘイローを破壊さえすれば、あの忌々しいロボットたちが出現しないとでも言うつもりなのだろう。

 

 

 「さぁ、貴方の出番よ──美甘ネル」

 

 

 ネルはリオにそう呼ばれると、薄暗い部室に入る。きっと彼女は先ほどから部室の廊下で待機していたのだろう。そして、ネルは気怠そうな態度を見せながらズカズカとアリスの前に立つ。その様子に、ミドリとユズは暗い表情を見せていた。

 

 C&Cに所属するネルは、ミレニアムサイエンススクールにおいて最強の戦闘力を持つ生徒として、多くの学園の生徒には知られている。そんな最強の生徒をアリスを捕縛するために使われるのであれば、抵抗などしたところで無意味だ。

 

 

 「この周囲は既にAMASで掌握しているわ。救援が間に合うことは無い」

 

 

 AMASと呼ばれるMPXを両手に二丁、防弾製の鋼鈑を同じように搭載し、履帯によって自走が可能な白く塗装された自律型ロボットが二台、姿を現す。アリスが呼び起こした不可解な軍隊のロボットよりもずいぶん、強そうな見た目をしている。

 

 

 「さあ、仕事の時間よ。ネル、アリスを────」

 

 

 彼女がネルに命令を言い終えるよりも前に、連続して乾いた銃声が部室に響いた。ネルが持つ二丁のMPXの銃口は、リオに向かっていた。そして発砲されると、すぐさま二台のAMASはリオを守るように前に立ちはだかる。そして、数発の銃弾をしっかりと受け止めた。

 

 

 「くっそ、やってられっかよ!!」

 

 

 ネルは顔を赤くし、激怒しながらそう言い放つと次はガードをしたAMASに肉薄する。そして二台が反撃するよりも素早い速度で、二台に強烈な蹴りを制御装置らしき部分にそれぞれ叩き込む。するとその機械が異音と火花をまき散らしながら、壊れると同時にAMASは動力を失い、停止した。

 

 その様子を見ていたリオはすぐさま、手持ちのタブレットを弄り増援のAMASを要請する。そんなさなか彼が装備している無線機から声が漏れ出た。

 

 

 「少佐殿、先ほどの銃声は部室からですか? ああ、クソッ────どこもロボットが通路を封鎖してやがる」

 

 「部室の前の廊下まで来れますか? 私もそちらに出ます」

 

 「ロボットは壊すと問題になりそうだ...俺たちは迂回してそちらに合流しますよ」

 

 

 ケリーは素早くそうやり取りすると、部室から離れようとする。今はもう彼が介入すべき事態ではないからだ。学校内での争いは介入しないように、とハンプトン大佐からも散々言い聞かせられていたことだからだ。

 

 

 「この状況だって、全て想定していたのだけれど....トキ────貴方の出番よ」

 

 

 ケリーが開放されている部室のドアのところまで行き、出ようとしたときだった。彼の前に素早く何かが通り、それはあっという間にネルの背後に達する。

 

 

 「ネル先輩!後ろ!」

 

 

 ミドリがネルに向かって言い終えるよりも素早い速度で、背後に達したトキはネルの両手の腕を無理矢理であるが、背後に回すように強く掴んだ。嫌な音がネルの両腕から、部屋に響き渡る。これで彼女は完全に拘束されたわけである。

 

 その様子を目前にして、ケリーは廊下に出ようとするときだった。

 

 

 「クソッ、放せ!?ぶっ壊されてぇのか!?」

 

 「そうやって暴れたら、曲がってはいけない方向に腕が曲がりますよ、先輩」

 

 

 ネルは声を荒げながらも必死に抵抗する。しかし、床に押さえつけられてしまった上で、両腕も制圧されている状態だ。それからトキは周囲に対して言い放つ。

 

 

 「みなさんも、下手に動かないでくださいね。無駄な抵抗はおすすめしません」

 

 

 彼女は部室から出ようとするケリーを強い眼差しで牽制した。そうするとその目線を察した彼はこれ以上、事態を悪化させないためにも彼女の言う通りに従うことにした。

 

 そうして部室が完全にトキによって制圧されたところで、新しく増援としてやってきた2台のAMASの姿が見えた。

 

 

 「さあ、AMAS。アリスを回収しなさい」

 

 

 彼女は冷酷に、そう命令する。アリスをまるで生徒ではなく、今にも爆発しそうで危険な爆弾として扱っているようにも見えた。それからAMASがアリスを取り囲み、いつでも回収できるように準備を整えている最中だった。

 

 

 「...やはり敵国の兵士がこの場にいるのは頂けないわ。トキ、あの大人を捕縛しなさい」

 

 「イエス、マム」

 

 

 二つ返事でトキはリオの要求に答える。するとすでに制圧していたネルは他のAMASに任せることにし、すぐさまケリーのほうに素早く接近する。ケリーはそれに気付き、身の危険を感じてホルスターに収めていたM9を引き抜こうとするが────

 

 ────それよりも一歩早く、G11の銃床による衝撃は鈍い雷鳴のように頭蓋へ響いた。体全体に力が入らなくなり、膝が勝手に折れる。最後に見えたのは、淡々と命令をこなすトキの冷淡な表情だった。

 

 

 「確保完了」

 

 

 意識が遠のき、闇がすべてを飲み込んだ。




オラトリオ編良かったですわ。特にマイアちゃんが可愛い。
次話はすぐ上がると思います(多分)
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