『うひゃー!今日もすっっごい霧〜!!』
「わぁ〜。前が見えませんね…」
『ふふふ。今日は霧が晴れるまで出ちゃダメだって。書類整理しよこっか!』
「は、はい!」
『そのあと一緒に…「仁間くん」………何っすか?』
「頼みたいことがあるんだけど…着いてきてくれる?」
『えぇ〜…嫌です。例えそれが上司であるマキマ……さんの頼みだとしても』
「仁間くん」
『……』
「これは命令です」
『…………はぁ…。ハイハイ、分かりましたよ。ごめんね?コベニちゃん。すぐに戻るからね?』
「い、いえ!お、おお…お気になさらず…!!」
__はぁ〜。本当に今日も可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い!!
『で?外に出てまで頼みたいことって何っすか?』
「仁間くん。君は自分が何者か覚えてる?」
『……人間。多分』
「君のDNAを検査した結果の紙がコレなんだけど…。見る?」
『アンタ何で俺のDNA検査してんだよ?!あと、いつ取った!?怖っ!!』
「見ないの?」
『見るよ!見れば良いんだろ…ったく……』
__…………ハ?
『お、おい……。嘘、だよな?なぁ!おい!!?』
「残念ながら本当だよ」
『じ、じゃぁ…俺の今までの記憶は何なんだよ?!雑音が聞こえ始めた時のあの苛立ちは?!空腹がなくなった時のあの喜びは?!………………何だったんだよ』
「………大丈夫。私がいるから。だから、私の側にいなさい」
『…………』
「仁間くん」
『……………ろ…!!』
「え…?」
『嫌に決まってんだろ!!俺はコベニちゃんが好きなんだ!好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで!!あの子を助けるためなら命だって捧げてやる!!!!アンタの側にいたらコベニちゃんが離れちまう!!離れたくない!あの子が……あの子が俺を本気で嫌うまでは』
__俺はそう言ってマキマから逃げた。何でマキマが苦手なのか分かった。ヒトを従わせる為には手段を選ばないからだ。何で俺とヒロカズくんが似てるのか分かった。でも、霧の中だと俺は誰でもない!そうだ、だって!
『こんな霧の中なら誰も俺を見つけられない!誰も、俺を…俺を…………』
__あぁ……寂しいなぁ。
『っ……寂しいよぉ…!』
__こんなに寂しいのはいつぶりだろう?こんなに寒いと感じたのはいつぶりだろう?
『コベニちゃん……』
「は、はい…」
『…………え?』
「仁間さんが、いなくなったってマキマさんから聞いて……荒井さんと探してたんです……」
『コベニちゃんと、ヒロカズくんだけで…?』
「は、はいぃ…!!」
『………そっか、ありがとう』
「仁間さん…泣いてたんですか、?」
『?……あ、本当だ。俺、泣いてた』
「仁間さんって…ちゃんと泣けるんですねぇ…」
『みたいだね!俺もビックリ!』
「自分のことなのに……」
『自分のことなのにね〜!』
「コベニちゃーん!仁間さーん!!」
『あ、ヒロカズくんの声だ!』
「い、行きましょう…!霧も晴れてきましたし……」
__コベニちゃんが俺に手を伸ばす。俺はそれを見つめてから握った。
『暖かい…』
「あ、荒井さん!ココです…!仁間さんを、見つけましたぁ…!」
「コベニちゃん!仁間さん!」
『……ごめんねー心配かけて』
「本当ですよ!いくら霧が出ても見えるからって…?仁間さん…泣いてたんですか?!」
『え?そんなに分かりやすい??』
「目元が赤いです」
『えぇ…?うっわ!マジだ!!』
「はぁ…何で泣いたんですか?」
『うーん……』
__アレかな?
『寂しかったからかな?』
「「………」」ギュッ…
『え?コベニちゃん、ヒロカズくん。急に抱きついてどうしたの?』
「寂しいならいつでも言ってください」
「わ、私も力になりますぅ…!」
『え〜、2人とも可愛すぎない?3人で結婚しちゃう??』
「「それは無理です」」
『フラれた〜!!』
__そういえば…コベニちゃんと会った日も、今日みたいな霧が濃い日だったなぁ。