第九話
日高と岩崎は、筑波山に来ていた。
レイプの依頼が来るまで暇だった彼らは、真冬の筑波山で特訓をすることにしたのだ。
「待ってくれよ。日高さン」
ジャージ姿にリュックサックを背負った岩崎は、半そで姿で先を行く日高を追う。
外気は氷点下2度だが、森林の中なので風がほとンど来なかった。
だから、モヒカンは熱くて半そで姿になっていた。
「それくらいでへこたれていたら、女一人レイプできねえぜ」
ちょうど弁慶茶屋跡に差し掛かったころ、一組の男女が山をかけて下ってきた。
「先に戻ってるわよ」
男女はアウラと
「いい年こいて、ジイさンがトレイルランニングとはね……」
「まったくだ。女が出来て、頭がおかしくなったんだろうよ」
早朝の筑波山で秘密訓練をしていた変態紳士たちは、急遽呼び出された。
閻魔王の前に行くと、アラブ人の男女が二人待っていた。
「さっそくじゃが、レイプの依頼が入ってな」
岩崎は顔は笑っていたが、心は既に変身していた。
目だけがレイプマンのそれになっていた。
「どこで……」
アラブの民族衣装を着た男が、レイプマンに話しかけた。
「ペルシャ湾岸の国、ラジャール国です」
閻魔王は説明を補足した。
「この人はな、ラジャール国の王で、隣の人はお妃さまじゃ」
「単刀直入に申しましょう。
私の妻の前の夫を、処刑してほしいのです。
ただ殺すのではありません、SM勝負の上、抹殺してほしいのです」
そう国王が言うと、妃は着ていたヒジャブを脱ぎ捨てた。
一糸まとわぬ姿となり、一同の目線が集中する。
女の体に残された、幾筋もの赤いみみず腫れの跡。
それはSM調教の結果によるものだという事が、変態紳士たちには理解できた。
「な、縄の跡……」
レイプマンは、王妃の背中の傷を一目見て、それが中近東で使われている鞭であることが分かった。
「お妃さま、背中の傷は鞭だね」
それまで黙っていた妃が口を開いた。
彼女は、美しいブロンドの髪の持ち主だった。
「ええ……
前の夫、ブロストにとって、私は快楽の道具でしかありませんでした」
王妃の表情が翳った。
「ですから、抵抗すると何度も……」
王妃はそれまでしゃべると王の胸に顔を埋めた。
忌まわしい過去を振り払うかのように、何度も顔を左右に振り回す。
「あくどい奴だ」
いちばん年齢の若い変態仮面は、ショックを受けていた。
レイプマンは、顔をしかめて怒りの言葉をつぶやいた。
「王様、何でアンタが殺さないんだ」
王は、複雑な表情になる。
「みなまでいうしかないか」
そう答えた後、殺す男の事を変態紳士に明かした。
「奴は、いま隣国のクウェートに亡命している。
かといって、私はこの気持ちを変えるわけにはいかない。
そこで、あなた方変態紳士を頼ることにしたのです」
閻魔王は悪人にしか見えない表情に、何かを張り付けて答えた。
「よし、そこまで話が判れば簡単だ。
変態紳士4人組、出動せよ!」
サスライガーは一路、中東の国クウェートに向かった。
ブロストの隠れ住むコンドミニアムを襲撃するためである。
作戦を成功させるため、変態仮面とレイプマンの二人に絞られた。
彼ら二人は、ロープを使っての潜入の専門家であるからだ。
暗視装置で、屋敷の様子をうかがっていたレイプマンはボウガンを取り出す。
矢には60メートルの長さのロープが付けてある。
ボウガンに矢をセットし、50メートルの距離から撃つ。
暗闇の中、どさりと言う音が聞こえる。
矢が壁に刺さったらしい。
レイプマンは愛用の手錠を取り出すと、ロープに引っ掛けた。
滑車の様にして、ロープを渡り、屋敷へと潜入を開始した。
レイプマンと変態仮面はゆっくりとブロストの住むコンドミニアムに潜入する。
施錠はされていなかった。
中は全くの漆黒である。
サイリウムの業務用ライトスティックを取り出す。
中には、ボディーガード数人が眠っていた。
変態仮面は素早い動きで男たちを亀甲縛りにした。
強盗の犯行に見せかけるために、さるぐつわを口にかませる。
仕上げとして、持って来たパンティストッキングを顔にかぶせる。
「誰じゃ」
暗闇から現れた髭面の偉丈夫。
彼こそがブロストであった。
その瞬間、手にした鎖の鞭でレイプマンに襲い掛かった。
レイプマンは避けながら、もっていた手錠をブロスとの手にはめる。
レイプマンは、下腹部から垂れ下がっていた物を勢いよく蹴り上げる。
男は悲鳴を上げて転がった。
「しばらく眠ってもらうぜ」
そういうなり、レイプマンは部屋中にスプレーをまき散らした。
ブロストを捕まえるために、レイプマン諸共催眠ガスを浴びたのであった。
昭和100年になってしまいました。
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