台風ライブの帰り道、虹夏先輩にギターヒーローがバレた事を詳しく聞いたが、何とか穏便に済みそうな感じだったので、俺は特に干渉しない事にした。一応ひとりに確認したがドラムヒーローについては何も聞かれていないようだ。まあそりゃそうか、名前が似てるだけでひとりに結び付けるほど、虹夏先輩も荒唐無稽では無いらしい。
新学期を目前に控えた八月三十日、夏休みの宿題がまだ少し残っていた俺は、何かと誘惑の多い自室を抜け出してひとりの部屋にやって来ていた。
俺がひとりの部屋の机を占領して宿題の残りを片づけていると、すでに宿題を終わらせているひとりが畳に寝転がりながらスマホで動画を見ていた。意外かも知れないが、ひとりは宿題はコツコツとやるタイプなので割と早い時期に宿題を終わらせて、例年のこの時期は新学期に向けて精神統一している。
聞こえて来る音声からどうやら宇宙に関する動画を見ているらしい事は分かったが、その様子は酷く真剣だった。
「入るわよー。太郎君、どう宿題は?」
「あっはい。なんとか終わりそうです」
「それは良かった。ひとりちゃんもそろそろ新学期なんだから、いつまでもだらだらしてちゃダメよ~」
おばさんは麦茶を持って来てくれたついでに、ひとりにやんわりと釘を刺して戻っていった。おばさんが去っていくと、ひとりは緩慢な動作でスマホを脇に置いて虚ろな目をして呟いた。
「ここは銀河だから……地球とは時間の流れが違うもん……」
「いや銀河だったら三日で夏休みが終わっちまうぞ。宇宙の一年が地球の十年だってさっき動画で言ってたじゃねーか」
手を動かしながら先程聞こえて来た動画の音声で指摘してやると、ひとりは飛び起きてこちらを見たが、またゆっくりと仰向けに寝転がると、虚ろな目で天井を見つめて何事か呟き始めた。
「アセトアミノフェン……イブプロフェン……ロキソプロフェン……」
何やら頭の良さそうな単語を呟き始めたひとりに俺は困惑した。毎年この時期はナーバスになるひとりだが今年はちょっといつもと違う気がする。
しかしこちらも宿題がまだ終わっていない身だ。ひとりの事はとりあえず置いておいて、さっさと残りを片づける為に集中することにした。
結局俺の宿題が終わってもひとりの様子が戻る事は無かったが、代わりに虹夏先輩からロインが届いた。
『悪いけど明日ぼっちちゃんと一緒に来て!』
はて、いったい何の用だろうか? ひとりに聞く限り、確か明日も結束バンドの練習だったはずだ……まさかドラムヒーローの事だろうか? ひとりの話では何も言っていなかったらしいが、虹夏先輩は変な所で勘が良いからな。
あまり考えても仕方ないので、虹夏先輩に『分かりました』とだけ返すと、いまだに難しそうな単語を呟き続けるひとりに、明日は俺もついて行く事を伝えて自宅へ帰ったのだった。
夏休み最後の八月三十一日、俺は未だナーバスなひとりと一緒にSTARRYへと訪れていた。
「あ! 太郎君ごめんねー! 喜多ちゃんがなんかぼっちちゃんの事で相談が有るらしくて……」
STARRYに着いて荷物を置くと、すぐに外へ出て行ってしまったひとりをスルーした虹夏先輩に声を掛けられた。今日俺が呼ばれたのはここ二、三日のひとりの奇行を心配した喜多さんの提案らしい。
「ひとりの様子が変、ですか?」
取りあえずドラムヒーロー関連でない事に安堵した俺は、喜多さんに詳しく話を聞いた。どうやらひとりはここ数日、目は虚ろで会話もままならないらしい。あれ? それいつものひとりじゃないか? なんて思っていたらリョウ先輩からも同じ意見が飛び出してきて、虹夏先輩も概ね同意見のようだった。
「それいつものひとりじゃないですか?」
「無いです! だって泣き始めたかと思えば、急に陽気になってサンバを踊り始めるんですよ……?」
「ああ、あれが始まるとそろそろ夏休みも終わりだなーって感じるんですよねぇ……夏休み終わりの風物詩って奴です。……でも確かに今年はちょっといつもと違う感じもあるかも……?」
ひとりの行動になんとなく引っかかる部分があったが、毎年の事なので俺がのほほんと語ると、皆にドン引きされた。そんな話をしているとSTARRYの扉が開き店長が帰ってきた。
「ちょっとぼっちちゃんにあれやめさせてくんない?」
店長の言葉に皆で外へ出て見ると、ひとりは一心不乱にセミの墓を作り続けていた。
「太郎君!? あれもそうなの!?」
「い、いや……まあ新学期への拒絶反応なんでしょうけど……確かに今年はちょっと例年より酷い感じはありますね」
虹夏先輩の必死の問いかけに、俺は困惑しながら答えた。確かにちょっと今年は変だ。いつもなら部屋に閉じこもって精神統一したり、もう少し軽症なんだが……
ひとりの奇行に俺達が困惑していると、店長が口を開いた。
「っていうかさ、お前らこの夏どこか遊び誘ってやったの?」
店長の何気ない一言に虹夏先輩が動揺した。
前に店長がひとりにバイトの無い日の過ごし方を聞いたらしいが、どうやらふたりちゃんになかなか辛辣な事を言われたらしい。しかし俺は疑問に思った。毎年俺達の夏休みは大体楽器の練習漬けだ。俺もひとりも出不精なので今までと大して変わらない筈なのに何故今年はこんなにも重症なのだろうか?
店長曰く、ひとりは予定を空いてるんじゃなくて
喜多さんも虹夏先輩も、一応リョウ先輩も。各々ひとりを気遣ったり用事があったりで誘えて無かったらしい。
「た、太郎君は!? 幼馴染だしどっか行ったんじゃない!?」
「俺ですか? うーん……ひとりの家にはちょくちょく行きましたけど、どっかに遊びには……」
一応廣井さんとの路上ライブの帰りに花火大会の屋台をちょろっと巡ったが、アレは多分ひとりの中ではカウントされてなさそうだしなあ。やはり計画していた俺とひとり(ギター)と廣井さん(ベース)と大槻さん(ボーカル)を誘っての渋谷TSUTAYA前での路上ライブを決行するべきだったか……?
ひとりがどこからか己の身長以上の
「ごっごごご後藤さん遊びに行きましょう! そうだ! 皆で今から海に行きましょうよ! 江の島とか!」
「いいね! 下北からなら一本で行けるし!」
喜多さんや虹夏先輩の提案にひとりは今日のこの後のバンド練習を心配したり、時期的にもう泳げないというリョウ先輩の言葉に、泳げなければ意味がないなど、遊びに行きたいくせに行けない理由探しをしているように見えた。
どうにもひとりは何事も遠慮をし過ぎているきらいがあると俺は思っている。それは昔ひとりのおばさんに聞いたことが関係しているのか分からないが、もしそうならここは俺が一肌脱いでやろう。
「……えっ! そ、そんな事言わなきゃダメ……?」
「お願いします喜多さん。俺も詳しくは知らないんですけど、おばさんに聞くとひとりの奴
俺が喜多さんに耳打ちしてお願いすると、喜多さんは少し頬を赤らめて恥ずかしそうに聞き返してきた。俺がなんとか頼み込むと、喜多さんは覚悟を決めたように声を出した。
「え、江の島行く人この指止~まれ」
「…………え」
その言葉を聞いた瞬間、驚いて振り向いたひとりの瞳が僅かに揺れたのが見えた。
「はいはい! 俺行きます!」
そう言って俺は喜多さんの人差し指を掴む、喜多さんに恥ずかしい真似をさせてしまったのだ、道化を演じる一番槍は、俺が行かなきゃならんだろう。指を掴むと、虹夏先輩とリョウ先輩に目線を送った。
「……あたしも行きまーす!」
「私も行く」
俺の意図を察してくれた二人は一瞬困ったように笑うと、揃って喜多さんの人差し指を掴んだ。そして未だに瞳を揺らしてこちらを見ているひとりを全員が見つめた。
「あっあの……私は……」
未だ揺れる瞳でこちらを見つめるひとりに、俺はチラチラと視線を送りながらわざとらしく声を掛ける。
「ひとりが行かないんじゃなぁ……このままじゃ俺の夏休みの思い出なんもねぇなぁ」
ここでひとりの手を取って指を掴ませることは簡単だ。しかしそれでは意味が無いのだ。ひとりが自分の意志でその指を掴むことにこそ意味があるのだ。
おばさんは言っていた。昔、俺と出会う更に前。ひとりは
「後藤さんも一緒に行きましょう!」
やっぱりこの年でこんなことするのは少し恥ずかしいのか、わずかに頬を赤くした喜多さんに声を掛けられて、困惑した表情でひとりはこちらを見て来たので俺は一つ頷いてやった。
「あっわ、私も……行きます!」
そう言うとひとりは手を伸ばして喜多さんの指を掴んだ。
「よーし! じゃあみんなでシラス丼食べて、砂浜で海を見よう!」
「……海……砂浜……」
皆の意志が固まった所で、景気づけに宣言した虹夏先輩の言葉を聞いたひとりは、呆然と呟いた。
「ねー? 想像するだけで楽しいでしょー!」
虹夏先輩が畳みかけるように続けると、ひとりは虹夏先輩を虚ろな目で見つめながら動きをしばらく止めて――突然力なく倒れた。
「うわ、どうしたひとり!」
「後藤さん!?」
「トロピカルラブ…………フォーエヴァー……」
仰向けに喜多さんに抱き留められたひとりはまた意味不明なうわ言を呟いていた。また何かが急所に入ったのか……相変わらず面倒な奴だな。しかしひとりがトリップしている今がチャンスだ。
「あの、虹夏先輩。そういう事なんで俺も付いて行っていいですか?」
あそこまで言って、じゃあ俺はこれで帰りますってのもアレなので小声で虹夏先輩にお願いすると、虹夏先輩は怒ったような呆れたような、そんなジト目で俺を睨んできた。
「太郎君。君はぼっちちゃんの事はあれだけ理解してるのに、自分の事は全然だね……」
「はぁ……」
俺が曖昧な返事を返すと、虹夏先輩は今度こそ呆れたように一つため息を吐いた。
「あたし達はもう友達なんだから、そんな事いちいち聞かなくていーの!」
そう言って虹夏先輩はその名前の通り、夏の虹の様に笑った。
……くそう、今のはかなりぐっと来てしまった。
虹夏先輩に心を許すといつも後で痛い目に合うのだが、今回ばかりは仕方ないだろう。
「……よし! じゃあまたぼっちちゃんが暴走する前に急ごう! 喜多ちゃん、太郎君。ぼっちちゃんの事お願いね!」
「えっ!?」
俺が感動していると、これ以上ややこしい事態に発展する事を嫌った虹夏先輩とリョウ先輩は、ひとりを俺達に任せてさっさと先に歩いて行ってしまった。え? もしかしてひとりちゃん係にする為に俺の同行を許してくれた訳じゃないですよね? 虹夏先輩? やっぱり心を許すと刺すんですか!?
残された俺と喜多さんは困り顔でお互いに顔を見合わせると、喜多さんは何かを決意したようにひとりに語りかけた。
「後藤さん! あと少しで夏の思い出出来るからね! 行きましょう山田君!」
「あっはい」
Tシャツデザインで後藤家を訪ねた時に、あれだけ見たがっていた前髪を上げたひとりが今まさに目の前にいるのだが、そんな事にも気が付かない程喜多さんは使命感に燃えているようだった。やはり陽キャの血がそうさせるのだろうか?
そうして俺達は二人で肩を貸してひとりを運びながら、先輩達の後を追うのだった。
喜多さんと協力してなんとかかんとかひとりを電車に乗せると、未だにtropicalloveなるものに怯えているひとりを見て虹夏先輩が心配そうにしていた。
「こんなになるなんて、よっぽど学校嫌いなんだね……」
いやこれはどう考えても学校じゃなくてtropicalloveが原因ですよ。それが何なのかは誰も分からんが。
リョウ先輩の校則が厳しいのかという疑問に、喜多さんは自由な校風で文化祭も盛り上がると答えていたが……
「俺文化祭って苦手なんですよねえ……」
「えっなんで!? 屋台とか出るんでしょ!? あたし達の学校、結構厳しめだから……文化祭のポスター、研究の展示とかばっかなんだよー……いいなあー」
俺の口からつい零れてしまった言葉に、虹夏先輩は羨ましそうに声を上げた。まあ普通の人ならそうなんだろうなあ……でも俺の様なぼっちは結構困るイベントなのだ。
「いやあ、文化祭ってみんなで協力して何か作ったりするじゃないですか。でも俺みたいな浮いてる奴は仕事が回ってこないんですよねえ。かといって何もしないのも悪いと思って手伝おうと思うんですけど、一体感に水差すのも悪いかなと思って……」
「ぼっちちゃんもだけど、太郎君も中々拗らせてんなー……」
俺がしみじみと言った言葉に虹夏先輩はドン引きだった。くそぉ、俺もtropicalloveの妄想に逃げ込むべきだったか……
「そっか、下北沢高校って進学校ですもんね。じゃあ二人とも頭いいんですね!」
「いやぁ、別にあたしは普通だし。リョウは……ネ……」
なんだその、なっちゃたからには……もう……ネ……みたいな言い方は……
意味ありげな虹夏先輩の言葉に、喜多さんはその先を予想して絶句していたが、やはりリョウ先輩はあまり成績が良くないらしい。受験も一夜漬けで突破したようだ。
「勉強頑張ると、ベースの弾き方忘れる」
「まるでスポンジみたいですね」
「スポンジ? まあ確かに吸収力は凄いけど……」
俺が言った言葉に虹夏先輩は不思議そうに答えた。まあ大体スポンジの様な吸収力って言うのは良い意味で使われるよな。
「そうですね……よく吸って、押せばすぐ出ていく感じですね……」
「「……おお~~!!」」
虹夏先輩だけでなく、なぜかリョウ先輩も感嘆の声を上げた。いやこれあんまり良い意味じゃないですからね?
虹夏先輩がリョウ先輩の頭を掴んで揺らすと、カラコロと綺麗な音がした。
「わぁ、赤ん坊が泣き止みそうな綺麗な音ですね……」
「おっ! いいね太郎君! 次の曲は子守唄ロックで行ってみる!?」
「やめてー! 私のイメージを壊さないでー!」
俺達の冗談に喜多さんが悲鳴を上げていると、ひとりが小さく呻き声を上げた。
皆がひとりに視線を向けると、リョウ先輩がポツリと漏らした。
「学校でぼっちなの不思議。こんなに面白いのに」
「まあ人より何かが突出してる奴は、多かれ少なかれはみ出してしまうんですよ」
「……ぼっちちゃんが本当は凄い子って学校の皆に分かって貰えるといいね」
恐らく虹夏先輩はギターの腕前の事を言ってるんだろうが、俺としてはひとりのセンスの事なんだよなあ。いまだにピンクジャージどころか、ジャージの人間を学校で見た事が無い。ひとりは未来に生きてるからな、先頭を走る奴はいつだって孤独なのだ。
その後喜多さんは新学期からはちょくちょくひとりに会いに行ってくれると言っていたが、程々にしてあげてね。ひとりちゃんは繊細だから陽キャに囲まれるとストレスが発生してしまうんだ。
電車が江の島に到着すると、ひとりはようやく自分で立って歩けるくらいに回復してきたが、喜多さんがひとりを画面に収めて自撮りを始めると、またへたりこんでしまった。
「おいおいひとり、大丈夫か?」
ひとりの腕を掴んで立ち上がらせようとすると、喜多さんがスマホを高く掲げてレンズをこちらへ向けて来た。
「山田君も一緒に写真撮りましょう!」
喜多さんは画面に俺が入っても躊躇なくシャッターを切った。
「喜多さん!? ちょっと、まずいですよ!」
「えっ!? 何がまずいの?」
まさか抗議されるとは思っていなかった喜多さんは、俺の発言に心底驚いていた。
「それ結束バンドのイソスタじゃないですか? ガールズバンドに男の影があったら駄目ですって! こういうの嫌がる男性ファンが太いファンになるんですから! ちょっと今の撮った写真見せて下さい……うわ俺の顔がはっきり写っちゃってるじゃないですか。こういうのはヤバイんですよ……」
「山田君が何言ってるのかよく分からないわ……でも大丈夫! これは私の個人的なイソスタ用だから!」
「まぁそれなら……いや、やっぱ駄目ですよ。将来有名バンドになった時に、こういうのが火種になるんですよ……」
俺が将来の危険性を説いて今の写真を消すように頼んだのだが、喜多さんにはどこ吹く風のようだった。陽キャはネットの怖さが分かっていないのだ……
リョウ先輩がアイスを買って戻って来たので、皆で辺りを歩くことにした。喜多さんと共にひとりを運びながら歩いていると、目の前に海が見えて来た。はしゃぐ虹夏先輩と皆で海を眺めていると、ようやくひとりが意識を取り戻した。
「はっ! あれ? いつの間に……あ、ありがとう喜多さん、太郎君」
「お、ようやく起きたか。見ろよひとり、海なんていつぶりだろうな」
俺達の肩から腕を離したひとりは、お礼を言って辺りを見渡した。来るまでは渋っていたひとりも、やはり実際にみて見ると海に思う事があるのだろう。熱心に海を見ていた。
「ねえお姉ちゃんたち、暇ならウチの海の家で食べていきなYO」
「うわぁ!!」
急にガタイの良い兄ちゃん達に話しかけられて、ひとりが盛大に怯えている。ひとりの怯えっぷりにも怯まずに話しかける色黒の兄ちゃんは、かけている星型眼鏡も相まってまさにリアルパリピだ。しかし色黒の兄ちゃんは良いガタイだ。俺も少し体を鍛えた方がいいのだろうか? ドラムは体重があった方が良い音が鳴ると見た事あるし。
虹夏先輩も喜多さんも困り顔で応対していると、その陰でひとりは見る見る膨らんでいき――乾いた音を立てて風船の様に爆発した。
皆パリピの兄ちゃん達に割と困っていたようで、爆発してペラペラになったひとりを虹夏先輩が担いで、俺達は海を離れる事にした。
海を離れて江の島神社方面へとやって来た俺達は、たこせんなる店に興味を持って、買って一息つくことにした。
「はい! これ後藤さんの!」
「あっどうも……これは……?」
たこせんを渡されたひとりは、うすい長方形のせんべいを見て不思議そうに呟いた。
「たこせん。蛸を一トンの力でプレスするんだって」
たこせんの説明をした虹夏先輩に、俺は咄嗟に声を上げた。
「えっ!? 二トンの力じゃないんですか!? 俺どっかで見ましたよ二トンの力って! 喜多さんは聞いたことないですか!? うっ頭が……」
「もー! 急になに言ってるの山田君。そこにちゃんと一トンって書いてあるじゃない。うっ頭が……」
「えぇ……なになに怖ぁ……どうしたの二人とも……」
俺と喜多さんが馬鹿な話をしながら、急に頭痛を訴えると虹夏先輩が怖がっていたので、申し訳ない事をした。でも本当なんです! どっかで見たんですよ二トンの力だって!
俺達の馬鹿話を聞きながらたこせんを齧っていたひとりは楽しそうだった。そんなひとりの様子を見た虹夏先輩が「写真撮ろう!」と言い出して、喜多さんが自撮り棒を構えたので俺は慌ててたこせんで顔を隠した。たこせんがデカくて良かった、まあ顔が写ってなければ大丈夫だろ。
しかし喜多さんはこれを大きくてかわいいし映えると言っていたが、俺にはかわいいの部分だけがよく分からなかった。やっぱり陽キャ女子高校生の言う事ってよく分からんね。
皆で写真を撮ると、今日のクライマックスを迎えたように涙を流し始めたひとりを宥めて、俺達は江の島神社入り口までやって来た。
「よーし、ここから頂上まで登りますよ~! 自力で上って見る景色ほど素敵なものは無いと思いません……?」
江の島神社の階段を見た俺以外の三人は上るのを酷く嫌がっていたが、潮風と陽の光を浴びてリミッターを解除した、生き生きとした喜多さんに気圧されて渋々階段を上り始めた。
「もう無理~……」
「景色とか知らんどうでもいい……」
「二人ともしっかりしてください。まだ始まったばかりですよ」
昇り始めて早々にダウンした先輩二人に、喜多さんは呆れたように声を掛けていた。周りを見ればひとりがゾンビのように階段を這う這うの体でよじ登っていた。
「流石は男の子! 山田君はまだまだ大丈夫よね!」
「いやまだ上り始めたばっかりじゃないですか……」
まだ階段を上り始めてすぐのところだ、ここでへばっているようではとてもじゃないがドラムを叩きにレンタルスタジオまで辿り着けないだろ。
先輩二人が回復するのを待っていると、地面を這っていたひとりが何かを見つけたらしく、どこかを指さして叫んだ。
「エ、エスカー……エエエ、エスカレーターで行けるみたいですよ……!」
ひとりの叫びに先輩二人が歓声を上げた。喜多さんは階段で上りたがっていたが、体力の無い三人が食いついたのでとりあえずエスカレーターを見に行ってみる事にした。
エスカレーター乗り場に着くと券売機が置いてあった。
「えっ……お金かかるの……」
「江の島エスカーに乗るにはチケット買わないと」
喜多さんの指摘に悩み始めたリョウ先輩の後ろから券売機を覗き込むと、いろいろと料金が書いてあるのが見える。
エスカー全区間が三百六十円で、シーキャンドル(展望灯台)セットが八百円か……確かシーキャンドルが入場料五百円だっけ? という事はシーキャンドルに昇るなら実質エスカー三百円か……三百円、STARRYのバイト一時間の約三分の一、あと少し出せばスタジオ一時間分の値段なんだよなぁ……廣井さんにも上手くなりたいならもっと生ドラムを叩けって言われてるし……
リョウ先輩と共に悩んだ挙句、俺は決断した。
「俺は階段で行きますよ! エスカー乗るのとスタジオレンタル一時間がほぼ同じ値段ですからね」
「うわ、すごい生々しい喩え!」
「本当!? じゃあ一緒に上りましょう山田君!」
「!」
俺の決断に虹夏先輩は困ったように笑い、喜多さんは大喜びで、ひとりは驚いていた。スマホで調べると江の島神社の階段は二百五十四段、頂上まで登るのは約ニ十分らしい。ニ十分登れば一時間ドラムが叩けるのだ、もう登るしか無い。というかSICKHACKライブでの散財が痛かった。後悔はしてないけど。
「じゃあ早速行きましょう喜多さん。エスカー組は上まで五分で着くらしいんで」
「そうね! じゃあ行きましょう!」
「……あっ、じゃ、じゃあ私も階段で行こうかな……」
「「えっ!?」」
俺達が出発しようとすると、ひとりが一緒に来ると言い出したので、喜多さんと二人して驚いてしまった。さっきまでへばってたのに大丈夫か?
「大丈夫かひとり? 上まで結構あるらしいぞ?」
「だ、大丈夫、大丈夫。私も最近は外に出るようになったし……こ、これくらい朝飯前だよ」
朝にセミの墓を作っていた奴とは思えない発言だ。だがまあやる気があるのはいい事だし、断る理由もないので一緒に上るとしよう。
「……そっか。よし、じゃあ一緒に行くか」
「一緒に上りましょうね、後藤さん!」
「は、はい」
「じゃあ虹夏先輩、俺達は階段で行きますね。上で待っててください」
そう言って虹夏先輩の顔を見ると、何やらすごく微妙な表情だった。
「う、うーん……ぼっちちゃんまで階段で行くとなんだかあたし達だけ罪悪感が……」
「虹夏、エスカー代貸し……」
「よーし! あたしも階段で上っちゃおうかなー!」
虹夏先輩の突然の宣言に、リョウ先輩がこの世の終わりみたいな顔をしていたけど大丈夫だろうか……
なんだかんだで結局全員で階段を上ることになった。
階段を上り始めてしばらくすると、やはりというか当然と言うか、上る速度に差がある為に自然と互いの距離が離れてしまった。
いつの間にか先頭になった俺は時々後ろを振り返りながら、最後方のひとりを確認する為に立ち止まっていると、喜多さんが近寄って来た。
「山田君、ありがとね」
「? どうしました急に」
「だって山田君が階段で行くって言ってくれたから、みんな付いてきてくれたでしょ? だからありがとう!」
「偶然だぞ」
俺は喜多さんの溢れ出る陽キャオーラに目をやられながらなんとか返した。実際偶然だし。
喜多さんは元気だ。さっきからこの人だけ階段を下りたり上ったりしてあっちこっちで自撮りをしているのに、まるで疲れた様子が無い。やはり陽キャは陽の光の元なら三倍くらい元気なんだろうか? しかし陽キャで気配りも出来て元気でかわいいとか完璧超人かな?
喜多さんと立ち止まって話をしていると、三番手の虹夏先輩がゆっくりと階段を上って来た。
「伊地知先輩もう少しですよ! 頑張りましょう!」
「頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるってやれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだ! そこで諦めるな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張る頑張る北京だって頑張ってるんだから!」
「暑苦しいわ! ふぅ……ふぅ……まったく……二人とも元気だねぇ……お先ぃ~」
俺達の激励を呆れ顔で笑いながら上っていく虹夏先輩を二人で見送ると、続いてリョウ先輩が上って来る。
「お疲れ様ですリョウ先輩、もう少しですよ」
「ゼェ……ゼェ……郁代……太郎……助けて……」
「~~~! リョウ先輩一緒に上りましょう!」
「いやそんなのはいいからエスカー代を……」
喜多さんはリョウ先輩を支えると、こちらへ手を振って階段を上っていった。リョウ先輩が幽鬼のような足取りだったが大丈夫だろうか……
リョウ先輩を見送ってしばらく待っていると、ようやっとひとりが階段を這うように上って来た。朝飯前に死にそうじゃねーか。
「コヒュー……コヒュー……た、太郎君……助け……」
「なにやってんだおまえは……大人しくエスカーに乗っとけよ……」
「だ、だって……」
グロッキーな顔をしているひとりの右側に回って肩を貸してやる。このままじゃ頂上に着く前に日が暮れてしまいそうだ。
ひとりをサポートしながら階段を上り始めると、ひとりと同じような貧弱さのリョウ先輩にはあっという間に追いついた。
「ゼェ……ゼェ…… ! 太郎、私も助けて」
「いやもう喜多さんが手助けしてるじゃないですか……流石に二人は無理ですって」
「そうですよリョウ先輩! 私と一緒に頑張りましょう!」
俺達を見たリョウ先輩は一も二もなく救援を求めて来たが、喜多さんは嬉しそうにリョウ先輩を励ましていた。しかし喜多さんはすげー余裕あるな。俺でももう大分疲れて来たのに。
俺と喜多さんがそれぞれを支えながら階段を上ると、少し前を進んでいた虹夏先輩にもすぐに追いついた。あまりリョウ先輩と距離が離れていなかったので虹夏先輩も意外と体力が無いのかもしれない。
「ふぅ……ふぅ……って、えぇ!? 皆何してんの!?」
「ハァ……ハァ……オエ……に、虹夏先輩……もうすぐ頂上ですよ……」
ここまでくると、もうあと少しなんだが正直かなりしんどい。とくにひとりが完全にへばっているのがきつい、もう少し頑張って足を動かせ。
虹夏先輩は俺達の事をじっと見つめていたが、疲れているのか、それとも自分だけ一人で歩くという仲間外れが寂しかったのか、白々しく呟いた。
「……あ、あー……なんだかあたしも疲れたな~……」
そう言って虹夏先輩は躊躇する事無く俺の首に腕を回して体重を預けて来た。
「はぁ~……らくちんらくちん」
「ちょっ……虹夏先輩重……」
「ん゛ん゛っ!?」
「あっいやなんでも無いです……さぁ張り切って上りましょう!」
猫のようなジト目で睨んできた虹夏先輩が怖かったので、俺はそれ以上何も言えなかった。喜多さんを見れば相変わらず元気だ、流石にリョウ先輩に肩を貸しているし、額に汗を浮かべて息を乱しているので疲れてはいるのだろうが、凄い笑顔を浮かべているので精神的に元気そうだ。
今回の事で思ったが、やっぱり体を鍛える必要があるかもしれんねこれは。
「やっと着いたー!」
「あー楽しかった! せっかくだしこのまま展望台まであがりましょう~!」
頂上に辿り着くと、虹夏先輩が階段から解放されて喜んでいた。嘘でしょ……喜多さん全然疲れてない……見ればリョウ先輩とひとりは大分疲れた様子だった。
しかし疲れてはいるが、やはり自力で頂上まで登り切った高揚感からか、俺と喜多さんを除いた三人は急にハイテンションになって自撮り棒を使って三人で自撮りを始めていた。
俺もひとりを支えて階段を上り切ったのは本当に何となく達成感があるので、柄にもなく海の写真でも撮ってみようかと思いスマホを取り出してレンズを海へ向けた。
「何撮ってるの?」
「うおっ!?」
シャッターを切った瞬間、急に画面を覗き込むように横から入って来た喜多さんに驚いて変な声を上げてしまった。
画面を見ると、カメラを覗き込むようなブレた喜多さんの顔が写っている。
「いえ、せっかくだから海でも撮ろうかなと思ったんですけど……喜多さんちょっとロックなポーズお願いします。こう中指を……」
「え? こう……? って何させるの!?」
うーん、なんだか喜多さんならやってくれそうな気がしたんだが、やっぱり無理か。仕方ないので海をバックにメロイック・サインをお願いした。やっぱり喜多さんは写真撮られ慣れてるせいか様になってるな。
その後喜多さんに連れられるように皆で展望台へ行くと、喜多さんは大興奮だったが、他の三人は景色にあまり興味が無いらしく、リョウ先輩なんて何故かバベルの塔の話なんぞをし始めた。
俺も初めこそ景色に圧倒されていたが、写真を撮りながらぐるりと一周する頃にはあまり感動も無くなりクーラーの効いた部屋でぼーっと景色を見ているだけになった。
「喜多ちゃん満足したみたいだし降りよっかー」
喜多さんはまだ全く満足していない様子だったが、その内皆飽きてしまったのか、虹夏先輩の言葉を皮切りに外へと歩いて行ったので、俺もそれについて展望台を降りる事にした。
展望台を後にした俺達は、あちこち散策しながら歩いていた。
「あっ、アイス食べよーよ」
ソフトクリームを売っている店を見つけた虹夏先輩の提案で、その辺に腰掛けてアイスを食べる事になった。
正直階段の上り下りで疲れたので、休憩と糖分補給はありがたかった。
「あっあの……アイス代返してくださいね……」
「来月には必ず」
「じゃあ俺のカレー代もお願いします」
「……」
リョウ先輩はひとりの言葉には返事をしたのに、何故か俺の言葉はスルーした。逃がさん……お前だけは……
アイスを食べていると空から高い鳴き声が聞こえて来た。見上げると無数のトンビが上空を飛んでいる。
そういえば立て看板が沢山あったなと思いスマホで調べてみると、どうやら人の食べ物を後ろからかっさらっていくらしい。対処法は屋根やひさしの有る場所、後ろが壁の場所、あとは体で食べ物を隠す……って所か。
ひとりも鳴き声に気付いて虹夏先輩達と空を見上げてトンビの説明を受けていたので、真っ先に狙われそうなひとりに対処法を教えてやろうと顔を向けると、今まさにひとりのアイスが後ろからトンビに攫われて行った。
「あー! 言った傍から……」
「おいおい、大丈夫かひとり」
「後藤さん、私のアイス食べる?」
ひとりが怪我などしていないか駆け寄ると、ひとりは顔を後ろに回して空を見上げて
ひとりの向けていた視線の先を見ると、無数のトンビが旋回している。ああ、アレに襲われると思って抱き着いてきたのか。確かに怖い、ヒッチコックの『鳥』みたいだ。
「あんまり遅くなってもアレだし、そろそろ帰ろっか。ぼっちちゃんも怯えちゃったし」
「じゃあ最後に、お参りだけして帰りませんか?」
俺の腹に抱き着いて震えるひとりのあまりの怯えっぷりに、撤収を提案した虹夏先輩に、喜多さんがそんな事を言ってきた。
喜多さんに案内されたのは、音楽・芸能を司ると言われている妙音弁財天という女性の神様が祭られている神社だった。
「皆で江の島来れるなら、絶対行きたいって前から思ってた所で……」
「じゃあ、わたし達バンドの今後の活躍をお願いしないと……」
皆で五円玉を用意して投げ入れると手を合わせた。
手を合わせているひとりはえらく真剣な表情だったが、ありゃ碌な事考えてないな多分。
神社からの帰り道、虹夏先輩の手を合わせていた理由を聞いたひとりは突然立ち止まって涙を流し始めた。
「何泣いてんだよ……どうせお前の事だから売れてお金持ちになりたい! とかだろ? 大丈夫大丈夫、虹夏先輩もきっと分かってるよ」
「うっ……そ、そう言う太郎君は何をお願いしたの?」
「俺か? 俺はバンドメンバー見つかりますように! ってな。まぁ後は……」
「後は?」
「……内緒」
「! どーせ太郎君もビッグになりたいとかでしょ!」
俺の言葉にひとりは頬を膨らませているが、知ってるかひとり。神社ってお願い事したら駄目で、本来はお礼を言いに行く場所らしいぞ。詳しくは知らんけど。
だから、多分お前は言ってないだろうから、俺が代わりに言っといてやったぞ。結束バンドが、虹夏先輩がひとりを見つけてくれてありがとうございますってな。
帰りの電車に乗ると余程疲れていたのか、喜多さんに下北沢に着いたら起こしてくれるように頼んだ虹夏先輩とリョウ先輩は眠ってしまった。
「あーあ、本当は鎌倉も観光したかったし、みんなで晩御飯したかったんだけどなぁ……」
喜多さんはまだまだ元気のようだ。俺も流石に朝から歩き通しは疲れた。やはり陽キャパワーは凄い。
喜多さんは今回の夏休みの失敗を生かして、もう既に結束バンドで遊びまわる冬休みの予定を考えているようだったが、そう考えると陽キャも大変だな、なんて思ってしまう。いや、これを大変だと思わないから陽キャなのか……
「山田君も冬休み一緒に遊びましょう!」
「えぇ……まぁ考えときます……それにしても喜多さんは元気ですね……俺も今日は疲れました……そう言えばひとりは大丈夫そうだな?」
「あっいや……行きの電車でずっと意識無かったから、割と目は冴えてて……」
あっそっかぁ……だから俺はこんなに疲れてるんだな。そう言えば今日はひとりを支えてた記憶しかねぇわ。あれでも喜多さんも同じような感じだったのにおかしいな?
「そう? じゃあ藤沢までまだまだ楽しいが続くのね!」
笑顔でそう言った喜多さんに、ひとりはおずおずと切り出した。
「あ、あ、あの……喜多さん。今日はみんなと遊べて楽しかったです……明日から頑張れそうです……多分……」
「……本当!? 良かったぁ! 新学期も一緒に楽しみましょうね!」
夕焼けのせいか、少し頬を赤くしたひとりと喜多さんを見て俺はスマホを取り出した。
「今日の思い出って事で写真撮ってもいいですか?」
「もちろん! 後藤さん一緒に写りましょう!」
ひとりの隣に座っている俺がレンズを向けると、喜多さんは笑顔で、ひとりはぎこちなくピースサインを向けて来た。虹夏先輩とリョウ先輩は眠っているが勘弁してもらおう。
手前のひとりから奥の眠っているリョウ先輩まで、四人が画面に入るようにして写真を撮ると喜多さんから声が上がった。
「山田君も一緒に写りましょう!」
それから喜多さんに自撮りの方法を教えて貰って先程と同じような構図の写真を撮った。自撮りなんて初めてなので俺の姿が見切れてしまっているが、まぁいいだろう。
「さっきの写真とその写真送って貰っても良い!?」
「わっ私も! 太郎君、私にも送って」
喜多さんに送るとSNSに上がりそうだし、ひとりに送るとアー写の様にプリンターで量産しそうで怖いのだが……まあいいか。
そうして俺達二人が乗り換える藤沢まで、楽しい時間を過ごしたのだった。
明けて九月一日。新学期が始まる日の朝に、俺は大変な目にあっていた。
「うへぇ……体中バッキバキじゃねーか……完全に筋肉痛だなこりゃ……」
特に足と背中。恐らく江の島の階段を上った事と、ひとりに肩を貸していた事が原因だろう。この分じゃひとりも相当大変な事になっているだろう。
痛む体に鞭打って登校の準備をしてひとりを迎えに行くと、後藤家の前に既にひとりが立って待っていた。よく見ると随分と姿勢が良い。
「ようひとり。体は大丈夫か?」
そう言って何気なくひとりの肩を叩くと、ひとりの叫び声が住宅街に響き渡った。
今回当初の予定では話の中にあったように、夏休みの思い出作りとして廣井さんとヨヨコ先輩を誘って渋谷に路上ライブに行く話の予定だったんですが、この時期にひとりちゃんとヨヨコ先輩が顔を会わせる事による今後の影響が予測出来なかったので中止になりました。