シャロン准将は金でしか動かない――インサイダーは生中継で踊る   作:むーんしゃいん

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こんにちは。さようなら。イチゴシロップ

≪イチゴシロップ上空18万km(M E O)付近。EDSF002-222(バニラ) 艦橋≫

 

 このマグマの大地の下にはEDFにとって有益な多くの資源が眠っていた。

それを、いろいろな惑星に輸出をしている。

 マグマ惑星の白い居住棟が均等な感覚を保って点在していた。

熱を避けるため、白の耐熱コーティングのためしている。

 この白いコーティングは巡洋艦バニラも使用されている。

ルーン級艦はその美しさから【戦火を舞う鶴】との銘を受けている。

 

…と、普段は耳も貸さない副長のうんちくにも艦橋クルーが一同、ふーん。と素直にうなずく。

 

 艦橋のクルー一同は、居心地の悪さを感じ、艦橋電磁ディスプレイの真下の景色を見ていた。

その諸悪の根源、声の主が大声で愛想笑いをしている。

 

「ははは。それはないですよ。ディル大将」

 

「あなた、ロミオ・タンゴ・エコー・アルファ・アルファって言ってたじゃないですか。あっはっはっは!」

 

 そんな状況を知ってか知らずか。フォネティックコードの怪文章が続く。

 

 シャロン准将は、核ミサイルのコードとかを受信するEDF秘匿回線で嬉しそうに会話している。

 数々の戦争紛争を体験し、勝利を重ねてきた超実力派。鋼鉄の鬼の英雄にしてEDF四軍統合総司令官。

 この大将の配下になった新兵は、まず、自分の大将の名前を暗記するところから始める。

 

『ゴバルド・エグイルス・ヘンリー・ダグイード・ゼッフェンス・フォルト・ディル大将』

 

 その人。と。シャロン准将は和やかにベースボールの話をしている。

 

「どこに、アルファとフォックス間違える軍人がいるんですかぁ?あはは」

 

 野球賭博を仕切っているのは胴元シャロン准将みたいだ。

 

「もたついてると、フィン・イリル上級管理官がまた一人勝ちしちゃいますよ?はは」

 

 この人は誰を相手に何をしているんだ。と、艦橋クルーの一同が、いまさらながら畏怖を感じる。

 

「はは。じゃあ、2500ですか?」

 

 そして、この国の国防に、不安を感じえない。

 

「サーイエッサー。では、交信終了。はーい、どうもです」

 

 ふぅ。と一息つき通信を切る。

 

 一同の視線に気づいて、きょとんとしているシャロン艦長が艦長席のデスクを、バン。とたたいた。

 

「ほーら。サボってないで、演習準備だよ。君たち」

 

 いつもの通りのシャロン艦長だった。ルナ絵本も見てないで。配置につきなさい。と諭す。

 

「今回は私が作ったからね。サボれないよ」

 

「さて、作戦を開始しよう」

 

「シャロン艦長。EDSF第一艦隊総司令部から緊急通信が入ってます」

 

 今度はまじめな本部からの通信だ。

 

「あぁ?」

 

 いいところだったのに。と足早に通信を回してもらう。

 

「こちら。司令のシャロンです」

 

 シャロン准将は、至ってまじめな顔をやり取りをしていた。

 

「…はい。では、現在のデフコン5はそのままで。はい。了解しました」

 

 デフコン。その言葉に場の空気が凍り付く。核兵器の脅威に対する警戒度を示す指標だ。

 

 シャロン艦長は、副長に状況を耳打ちをする。

 

「演習は中止だ」

 

 そういうと艦内無線で状況を知らせる。

 

「こちら艦長。バニラの総員に通達する」

 

「えーっと、先ほど7分前だから。1635時。ブルーハワイで大規模な爆発を感知した」

 

「司令部は、止事無き事態(クーデター)も視野に調査する」

 

 笑えない暴力の波及は止めなければならない。たとえ、身内を売ったとしてもだ。

 

「なお。我々の任は変わらず。アズキ・キントキ星系へ辿り着くことである」

 

戦闘指揮所(C I C)は、EDSF艦載作戦システム(L I N K 18)を封鎖。艦橋はIFFを民間偽装(ダミーコード)に変更しろ」

 

「以上」

 

 副長が耳打ちする。

 

「ブルーハワイへ救援に向かわないのですか?」

 

「それは、EDSF第3機動艦隊が管轄する」

 

 シャロンはそうつぶやく。

 

「ルナ。艦載ワープによる最適連続ワープ航路を算出」

 

「わかった」

 

 ≪イチゴシロップ上空18万km(M E O)付近。LCDH002-2222(貨物船バニラ) 艦橋≫

 

 仕事の早い防諜監査委員(EDF情報省)から、AIS(自動船舶識別装置)並びEACCS(輸出入・港湾システム)欺瞞情報(カバーストーリー)が巡洋艦バニラに割り当てられている。

 貨物は、可燃性危険物。広い宇宙で外観を見られることはないので偽装は完璧のはずだった。

 

「シャロン艦長。アズキ・キントキで、何をするのです?」

 

「うん…。皇族が一人が地球へ亡命する。それの移送だ」

 

 いま、この時分で亡命とは。と副長は違和感を感じる。

 

「亡命とはどういうことです。今回の事件と何か関係が?」

 

「わからない。現状では、情報が掴めていない」

 

 シャロンはそういうと、電磁ディスプレイをぼーっと眺める。

艦長、何か隠している。副長はそう睨んでいた。

 

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