シャロン准将は金でしか動かない――インサイダーは生中継で踊る 作:むーんしゃいん
《
バニラを避けるようになった海賊船のため騒動が落ち着いた。
シャロン准将は、とりあえずは平時運用に戻す。
はー。やっと入れた。シャロン准将がシャワーをしていた。
もこもこ。と頭皮をマッサージしながら泡を流している。
『こちら艦橋。艦長。至急艦橋に出て下さい』
艦内放送でシャロン准将を副長が呼び立てる。
「え…。このタイミングで…」
シャロン准将は、バスタオルで軽く泡を拭き取る。
大ピンチのシャロン准将は、まだビショビショの状態で、バスタオルで押さえながら、急ぎ
艦橋に向かった。
《
「どうした?」
なんていうカッコしてんだ。この人。バスタオル一枚でペタペタと艦橋にやってきたシャロン准将を皆が見てないふりをしている。
「EDSF所属艦が感知した該当航路を通る船舶をチェックしています」
「このままでは、本艦は10分後には接触します」
シャロン准将はアワアワな頭にヘッドセットをつける。
「他船との無線交信を聞かせて」
「無線交信は一切ありません」
「ただ、通り過ぎる船舶の貨物スキャンを、無言で行っているようです」
これ。絶対ウイルスに感染してんじゃん。そんなん。シャロン准将は作業手順とは明らかに違う味方艦を敵とみなす。副長は信じたくないようだった。
「ディスプレイに拡大映像が出ます」
「シャロン艦長。これ、脱出舟艇が全部出てますね」
「退艦命令が出てるのに動いているって…あり得ない。こんなの先制攻撃だ」
シャロン准将のそこからの行動は早かった。
「型式番号からパトロール・パセリ艦隊所属
パセリ艦隊と思われます」
3隻からなるパセリ艦隊は、辺りを見張っているのが確認されている。3隻とも回避は不能だ。
「無線で呼びかけてみます」
「無駄よ。副長」
シャロン准将は、艦長席について戦闘配備を下令した。アラームのあと、艦橋の照明が蒼色から赤色に転嫁した。
「こちら艦長。
パセリ艦隊の先行艦に照準を付けHLLを充填した。
『こちら
「こちら
副長、無駄だって。シャロン准将が指揮をする。
『こちら
ルナの的確な偏差撃ちが
反撃がないので、アイギスバリアが融解するまでHLLを撃ち続ける。HLLの放射熱で艦内の室温が1度上がた。
『
艦橋は完全に破壊されている。通常なら、総員退艦命令が下ってる。
あのパセリ艦隊には誰も退艦しないというか。退艦するべき人も居ない。
『こちら
「アイギスバリアとエネルギーマスカー展開」
『こちら
いつか。副長が紙製の刃を付けた電動ノコギリで木材が切れるのと
アイギスバリアがHLLを防ぐのは同じ原理だ。そうクルーに言っていた。
「第三戦速。トラフィックパターンE3で回避開始」
艦橋航宙員が、バニラの回避行動を開始した。
もちろん、シャロン准将は紙で木材が切れること自体信じていない。
それでは、輪切りのマグロ刃でマグロの解体ショーが見れてしまうことになる。それはおかしいのだ。
「…いやまてよ、しっぽの部分を円形に切っているのは、そのためなのか?」
シャロン准将が艦長席でブツブツ言い始めた。
『こちら
あれ。今。私何考えてた。シャロン准将は、意見具申にはっとした。
「…艦長から。
『
初弾の3発のミサイルが放たれる。さらに15秒後発射を繰り返す。
『
無数の軌線が敵艦隊からVLSから放たれた。
バニラの報復にフルボッコにされながらも、殴り続ける戦い続ける。パセリ艦隊。
そのファイティングポーズは、EDSF隊員なら素晴らしいと高く評価されて宇宙軍十字章モノだが。残念ながらそれは勲章の受勲は出来ない。なぜなら、相手は形のないコンピューターウイルスだからだ。
シャロン准将と麾下クルーなら交戦記章はいただけるか。嫌だな。あれ左右を間違えるんだよ。
『同時順次、こちらも撃ちます』
バニラへの被害はなく。フェンリルを沈黙させた停止に成功した。
「最初に撃破した
「生体反応ありません。また、遺体らしきものも見えません」
発信されたウイルス説は証明されたが、甘くはない状況だ。
めんどくさいものをつくったものだ。通信封鎖を続けよう。何かの拍子で感染したらかなわない。
「EDSF艦艇感知しました。敵性艦と思われます」
さて、バニラは皇女を渡すわけにはいかない。面白くなってきた。シャロン艦長は、不適な笑みで浮かべた。
「総員、全速力で逃げるぞ!」
とりあえず、EDFの技術開発部がワクチンを作って。援軍が到着する間は。隠れなければならない。
なんか、ベタつく…。いまさらながら、シャロン准将は泡を落としたい衝動に駆られる。
「…副長。少しの間。指揮を任せて良い?」
好都合にも、残存艦影は回避出来そうなコースである。
「どちらに?」
シャロン准将はバスタオル一枚だったのを失念していた副長が呼び止める。
「おま。全身の泡を落としに行くんだよ…」
シャロン准将は顔を赤らめて、副長の肩にぐーぱんした。