シャロン准将は金でしか動かない――インサイダーは生中継で踊る   作:むーんしゃいん

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何故か。決断を迫られる副長

 

EDSF001-696(グリフィン) 艦橋≫

 

「どうした!いますぐ撃たないか!」

 

 イライラとした様子でバイル大将はワイングラスを傾ける。

その原因は、ワインセラーの故障でワインの味が台無しになってしまったせいだ。

 

 銀河の食通を称する大将だけあって、各地のラーメン屋とかを食べ歩きしている。

 

「今撃てば小型艇に影響が出ます」

 

 そんな食道楽を週刊誌に小見出しにもならないけど。まあ、新米記者の初めてのネタだし載せとくか。という理由で載せられた。

 

 そのとき、昔はうる若き奥さんに。「あんた仕事さぼって何してるのよ!」と。こっぴどく小突かれていた。この事から、今回のクーデターを思いついた。

 

 莫大な慰謝料も離婚もせずに別居生活ができる。最高の対処法だ。

時に夫婦喧嘩は開戦理由よりも複雑怪奇になる。

 

「フッフッフ…。では、大型長距離主砲(H L L)を充填しておけ」

 

 そして、いま、たかだか、ラーメン(ごと)きのために

小型惑星をも粉砕するオーバーキル兵器・大型長距離主砲(H L L)・を巡洋艦バニラに照準を合わせた。

 

「そう…。いつでも、やれるよう。そう、恐怖を味合わせてな…」

 

 部下が、お釣りをごまかして適当にスーパーで買ってきた。

安いワインを後生(ごしょう)大事そうに舌に転がし味わいながら…。

 

 

≪同宙域 EDSF002-222(巡洋艦バニラ) 艦橋≫

 

戦闘指揮所(C I C)!依然。大型HLLのEEP反応上昇!」

 

 たぶん。パイル中将は大学を卒業しても、円の角度を365度とか言っちゃうだろうな。

 

『こちら戦闘指揮所(C I C)。すぐにアイギスバリアを展開しま…』

 

 内火艇が引っ込んだたら撃つ気満々かよ。ブロークン・アロー(核兵器の重大事故)。で全宇宙艦隊に発令してやろうか。シャロン准将は焦りつつ冷静に考える。

 

「こちら、艦橋。あの大型長距離主砲(H L L)では、バリアは反射しきれない」

 

 シャロン准将はバリアの指示を撤回。エンジンに回せ。と指示をする。

 あんなの、副長のたとえいわく。

マグロの輪切りを回して、防御してたらティラノサウルスが突っ込んできたでござる状態だ。

 

 どうする。反撃するか。いや。しかし…。シャロン艦長はすぐに考えをまとめる。

 

「シャロン艦長!反撃を!」

 

 副長がシャロン艦長に詰め寄る。

 

「…考える。まだ待て」

 

 あの艦にはEDFクルーが400名は乗っている。こちらも150名のクルーを死なすわけにはいかない。

 

「むざむざと犬死するのですか!」

 

 どちらが勝利しても、ただでは済まない。いや、この戦いに、そもそも勝利はない。

 EDF隊員は全員、遺書と遺言書を提出済みである。

 

「機動艦隊の援軍は間に合わない!攻撃を」

 

 その言葉に、シャロンは決断を下す。

 

「こちら艦長。戦闘指揮所(C I C)。攻撃はするな。繰り返す。攻撃されても、絶対に攻撃はするな」

 

戦闘指揮所(C I C)。了解。全火器管制システムをロックします』

 

 さあ、私は決断を下した。お前はどうする。副長?シャロン准将が悪魔の微笑で見つめる。

 

 シャロン准将と副長のお互いの視線が交差する。

 

 副長は、黙った。シャロン准将は、副長の額に汗がにじむ。

 

「で…どうする?」

 

「私は貴方の部下です。それに従うまで…」

 

「そんなことは聞いていない」

 

 シャロン准将は、艦長席の赤い受話器を手にした。

 

「これは。貴方のね。副長」

 

 受話器を副長に忍ばすようにゆっくりと。しかし、その緊張で汗ばむ手にしっかりと握らせた。

 

「…貴方は」

 

 ク…ッ。ついに私までシャロン准将にのまれた。と。口に広がるほろ苦い感覚をかみしめながら。副長は緊急連絡をつないだ。

 

 

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