裏世界【樹海】にてまつリスという動物を見つける。
(ここではまつりちゃんのリスナーさんの事ではなく小動物の事)
その中に稀に手紙を背負っているまつリスがいるので、捕まえて手紙を取る。
手紙を見た後、【学園】にいるまつりに会う。
俺は今、【ホロライブワールド】にある6つの高難易度世界、通称裏世界の1つ【樹海】に来ていた。
この裏世界【樹海】は他の世界と違い、入った瞬間レベルは1になりアイテム、装備、スキルまで無くなり(完全に消えるのではなく、【樹海】から出ると戻る)配給されたアイテムでここを探索しなくてはいけない。
ちなみに最低限の生活スキルを習得しているので、この【樹海】で生活するのはそう難しくないのだが、戦闘方法もサバゲーみたいな感じになるので、慣れてない人はかなり大変だ。
ここには、腕試しやサバゲー好きな人が来ていたり、ここでしか手に入らないアイテム、スキルを求めて来る人がいる。
ちなみに俺は前者、ここでしか手に入らないアイテムが目的だ。
「今日で1ヶ月か…」
俺はステータス画面の暦を見ながら呟く。
俺はある情報屋から仕入れたイベントを起こす為にここに来ている。
そのイベントはまつりちゃん関係。
まつりすである俺としてはぜひ発生させたい。
そして、その1歩がこの【樹海】だ。
「お~い、調子はどう?」
テントの前でたき火を見ながら独り言を言っている俺に、兎を捕まえた白色の獅子のかぶり物を被った女性が声をかけてきた。
「あ、ししさんお疲れ様っす。
なかなか、見つからないですよ」
(この【樹海】で生活して半月ぐらいの時に知り合った人だ。
白獅子のかぶり物をしているのでししさんと俺は呼んでいる)
「そっか、あたしも探してはいるけどなかなか見つからないね」
そう言って、ししさんもたき火の近くに座る。
「そんないいっすよ。
あれは俺が見つけないといけないものっすから」
「そう?
ま、見かけたら教えるよ」
「ありがとうございます」
「あ、そうそう、これよかったら食べて」
仕留めた兎を俺に差し出すししさん。
「良いんすか?
いつもいただいてばかりなんすけど」
「あ、いいよ、いいよ。
あたしのはあっちに置いてるから」
そう言って森の方を指差すししさん。
そこには巨大な猪が狩られていた。
(さすがししさん。
あのでかさの猪となるとかなりの腕が必要だ)
俺がこの【樹海】で危うくやられそうになっていたところを、たまたま助けてくれたのが出会いのきっかけだが、凄まじい強さは相変わらずだ。
「正体を隠すため」と言ってかぶり物をかぶっているが、さぞ名のあるプレイヤーさんなのだろう。
「それじゃ、頑張って」
ししさんはそう言ってたき火から離れていった。
その後、ずしんずしんと巨大猪が離れていくのを俺は唖然として眺めていた。
「さ、さて、俺も頑張るか」
気を取り直して、たき火を消して俺は森へと入った。
俺が今探しているのはまつリスと呼ばれる小動物。
けっして俺達のようなまつりちゃんのリスナーの事ではない。
普通のリスなのだが、背中にいろいろと背負っているのが特徴だ。
その中で手紙を背負っているまつリスを見つける事。
それが俺がここで粘っている理由だ。
(確か昨日、この近くにどんぐりの食べカスがたくさん落ちていた場所があった)
俺は目的の場所の近くに向かった。
(ちょうど昼頃だ。
食事しているならこのぐらいの時間のはず)
俺は目的の場所近くの茂みに隠れて様子をうかがった。
(いた)
数匹のまつリスがどんぐりを食べている。
(後は手紙持ちがいるかどうかだが)
俺はまつリスを1匹ずつ確認する。
そして、とうとう俺は見つけた。
(手紙を背負ってる!)
危うく大声が出そうになったがここはぐっと堪える。
ここで逃げられたら今までの苦労が水の泡になってしまう。
さぁ、ここからが本番だ。
俺はアイテムボックスからある物を取り出した。
まつリスから手紙を取る方法はいろいろあるが、俺が今回選んだのはこれだ。
俺はゆっくりと茂みから出る。
まつリス達がこちらを見た。
俺は取り出したアイテムをゆっくりと前に出す。
キュピンと音がした気がする。
俺の持っているアイテムに視線が集中している。
俺が持っているのはトウモロコシ。
しかし、普通のトウモロコシではない。
探しに探しまくった道端に露店を出している怪しいトウモロコシ売りから買った物だ。
(やはり噂は本当だった。
あの露店で売られているトウモロコシがまつリスの大好物だと)
俺はゆっくりと手紙を背負うまつリスに近づく。
そして、背中の手紙とトウモロコシを交換してくれるようにジェスチャーした。
「…」
(あれ?通じてないか?)
そう思ったがまつリスは手紙を背中から下ろして差し出してきた。
俺はその手紙を掴み、トウモロコシを渡す。
まつリスは嬉しそうにトウモロコシを受け取るとさっそく食べ始めた。
(やった!)
俺は受け取った手紙を見る。
『この手紙を読んでいるという事は、ある秘密に手を出そうとしているという事になる。
もし、この秘密を知ってしまったらきみは、もう戻れないかもしれない。
それでも、秘密を知りたいのか?
いや、愚問か。
知りたいからここまで来たのだろう。
なら、今から言う事をしてみるといい。
まず、【学園】に行き、食堂のおばちゃんにまつりちゃんの場所を聞け。
そして、その場所に会いに行った後、すぐに用務員を探してまつりちゃんの場所を聞き見つける。
その後、部活をしている野球部監督にまつりちゃんの場所を、売店のおばちゃんにまつりちゃんの場所を聞き、会いに行け。
そして、放課後、【学園】1階第7教室に行き、まつりちゃんに会う。
そして、この言葉を言え』
俺はしっかりとその言葉を記憶した。
『最後に、この秘密を知ったきみが無事にきみとして帰ってこれる事を願う』
手紙はそこで終わっていた。
これで、次に行く場所が決まった。
俺は【樹海】の出入口である門へと向かう。
「やぁ、帰るのかい」
出入口付近でこちらに軽く手をあげるししさんに出会った。
「はい、やっと例の物を手に入れたんで」
「お、よかったじゃん」
「いろいろとありがとうございました」
俺はししさんにお礼を言った。
「いいっていいって、ま、頑張りなよ」
「あ、はい」
俺はししさんにもう一度頭を下げた後、門へと向かった。
「あ、そうそう」
そんな俺にししさんが背後から声をかける。
「え?なんすか?」
俺は振り向きししさんを見た。
「もし、どうしても困ったら、ここで会った私が、よろしく言ってましたって、今から会う人物に伝えたらいいよ」
「え?」
「今は分からなくてもいいからさ」
そう言ってししさんは手を振りながら【樹海】へと戻って行った。
(どういう事だ?)
俺は訳が分からないが、一応、その言葉を胸にしまう。
そして、俺は次の目的地【学園】へと向かった。
「相変わらずでかい校門だな」
俺はあれから何日かかけてここ【学園】の前に来ていた。
【学園】は前と違いいくつかのバージョンアップに伴い、入学や卒業難度も下がりほぼ誰でも通える場所となった。
しかし、入学すれば卒業まではエリア移動が出来なくなるのは相変わらずだ。
(【バーチャル】から【ファンタジー】や【ゲーマーズ】などへの移動が出来なくなる)
なので、【学園】に短期間どうしても入りたい時は、3ヶ月(ゲーム時間)に1度、1週間以内の体験入学が出来る。
今回俺はそのシステムを使って【学園】に入るつもりだ。
俺は【バーチャル】の服屋で購入した【学園】専用の学生服を着る。
校門で受付を済ませて、銀の校章をもらい制服に付けた。
ちなみに制式な学生は金色の校章だ。
銀色の校章は1週間すると自動的にアイテム欄から消えてしまうように出来ているらしい。
「さて、まずは食堂だな」
案内のマップを確認しながら俺は食堂に向かった。
(まだ、昼間でもないが、賑わってるな)
基本自由に動ける【学園】なので、昼前の時間でも案外混んでいた。
(さて)
俺はテーブルではなく、カウンターに向かう。
「すいません」
「あら、なんだい。
注文はテーブルについてから係の者が聞きに行くよ」
カウンター奥からおばちゃんが現れた。
「あ、違うんです。
人を探していて、まつりちゃんのいる場所知りませんか?」
俺がそういうと、おばちゃんは俺の顔を見て一瞬止まる。
「あ、ああ、まつりちゃんかい。
そうだね。
今の時間なら屋上じゃないかい?」
おばちゃんはそう言うとカウンターの奥へと入っていった。
(なんか一瞬、間があったけど)
俺は疑問に感じながら屋上へと向かった。
そこは誰もいない屋上だった。
暑くもなく寒くもないいい風が吹いている。
「誰もいないじゃないか」
俺はそう思いながら、一応屋上を散策してみた。
(こんなところに)
それは俺が屋上入り口の建物の上を梯子を使い上がった時に見つけた。
誰かがそこで寝そべっていたのだ。
「こんにちは」
俺はそう声をかける。
「う、ふぁ、こんにちは」
寝そべったいた相手は軽くあくびをして、こちらを見る。
(やっぱり)
「まつりちゃんですよね」
「ん?
そうだよ。
よろしく」
寝そべりながら微笑えむまつりちゃん。
「何をしてるんですか?」
「ん?
日向ぼっこ」
まつりちゃんはそう言ってまた目をつぶる。
確かに日向ぼっこするにはいい環境ではあるな。
「きみはここに何をしに?」
目をつぶったままのまつりちゃんが聞いてくる。
「え?
いや、ちょっと野暮用で」
「ふぅん」
俺の答えにまつりちゃんは目を開けてこちらをじっと見た。
「そんな用事ほっぽいて、ここで一緒にサボらない?」
まつりちゃんからの魅惑的な提案だが。
「いえ、まだ行くところがあるので」
俺はイベントの為に断る。
「それじゃ、これで」
「はい、ま、気をつけてね」
まつりちゃんからそう言われて俺は梯子を降りた。
(さぁ、次だ)
俺は用務員を探す。
途中いろいろな人から情報をもらって、まつりちゃんの場所を聞いた。
(確かここだよな)
俺はある1つの教室を覗く。
そこには確かにまつりちゃんがいた。
一番後の窓際の席に座るまつりちゃんは、退屈そうに肘をついて外を見ていた。
(退屈なら授業にでなくていいのに)
俺はそう思いながらまつりちゃんを眺める。
ふと、俺はそのまつりちゃんの姿を見て疑問が浮かんだ。
近くにいる学生に声をかける。
「あのう、この部屋の授業って始まって何分ほどたってますか?」
「え?確か45分授業だから、だいたい30分くらいかな」
学生はそう言ってどこかに行ってしまった。
30分?
屋上で会ったまつりちゃんとは違うのか?
しかし、イベント以外でまつりちゃんって複数いるのか?
俺はシステム画面のイベント欄を開くが、受けているイベントはない。
まだ、例のイベントは発生していない。
次だ、多分この先進めば分かるはず。
そして、俺は次に校庭にいる野球部監督にまつりちゃんの場所を聞いて、教えてもらった学園裏に行く。
「おら!」
「ぐぁ!」
誰かが喧嘩してる?
「く、くそ、覚えてろよ」
感じ悪い男子学生が逃げていく。
(なんだ?)
俺は男子学生が逃げてきた方に向かった。
そこには1人の女子学生がいた。
「なんだよ」
女子学生がこちらを見る。
(まつりちゃん?)
見た目はまつりちゃんだけど、なんか雰囲気が違うような。
「お前も俺に喧嘩うってるのか!」
声もまつりちゃんだけど、なんか口調と圧が。
「い、いえ、ただ通りかかっただけです」
「ふん」
まつりちゃんはそう言って足元の子犬を抱き上げる。
「子犬?」
「あ?俺が子犬抱いてたらおかしいのか?」
「い、いえ、可愛いなって」
俺の可愛いに気をよくしたのか、まつりちゃんはにかっと笑う。
「そうだろ、それなのにさっきのやつら、この子をいじめやがって」
(あ、そういう事か、それを助ける為に)
「それよりお前」
まつりちゃんが近づいてくる。
そして、ドン。
「う」
「なかなかいい体してんじゃん」
かなり手加減しての一撃を胸に打ち込んできた。
手加減されてるの分かってるけど、かなり強い。
「はは、冒険者してるもので」
「へぇ、今度殺ろうぜ!」
拳を握り笑うまつりちゃん。
「はは、なんか物騒に聞こえるのでやめときます」
「ふぅん、残念。
それじゃな」
まつりちゃんはそう言って子犬を連れてどこかに行ってしまった。
なんか、ああいうまつりちゃんもいいかも。
次はここか。
【学園】にある中庭。
売店のおばちゃんに言われたのがここだけど。
俺は中庭を見渡す。
といってもかなり広い。
(ん?)
ちょっと小高い丘に誰かいる。
俺はそこに向かって歩いた。
そこには1枚のキャンバスの前に座って、筆を動かすまつりちゃんがいた。
(ん?なんかまた雰囲気が違う?)
「こ、こんにちは」
俺はちょっと声をかけづらいまつりちゃんに挨拶をする。
無言でこちらに向き、じっとこっちを見るまつりちゃん。
「えっと、何をされているんでしょうか?」
「絵を描いてるけど?」
「み、みても?」
「好きにすれば」
そう言ってまた、キャンバスを見るまつりちゃん。
ちょっと冷たい感じがするなぁ。
俺はそう思いながら絵を見た。
風景画だ。
それにしても「綺麗ですね」
素直にそう俺は言った。
ここから見える風景。
写真ではない。
人が描いた。
そう言える暖かみのある綺麗な絵だった。
「そ、そう」
「ん?」
まつりちゃんを見ると少し顔が赤いような。
「ま、ぼくが描く絵だからね」
(ぼ、ぼくぅ?)
「素直に感想ですよ」
一人称にビックリしながら、俺はそう答えた。
「ふぅん」
また、こちらを見るまつりちゃん。
「それで、何かぼくに用事?」
「え、あ、ちょっと野暮用で」
「?」
俺の返事に不思議そうにこちらを見るまつりちゃん。
「あ、なるほどね」
何か分かったようにまつりちゃんは頷く。
「1つだけ言っとくけど、深入りしない方がいいと思うよ、ぼくは」
それだけ言うとまつりちゃんはまた、キャンバスに見る。
「忠告ありがとう」
俺はそう言うと、最後の場所へと向かった。
「気に入られすぎるとヤバイんだよ」
最後にそうまつりちゃんが言ったように聞こえた。
トントン
「どうぞ~」
俺は放課後、1階の第7教室のドアをノックした。
中から声が聞こえたので中に入る。
「いらっしゃい。
まつりの学園探偵団へ。
依頼かな?それとも入部?」
教室の中ではまつりちゃんが椅子に座り出迎えてくれた。
このまつりちゃんは普段のまつりちゃん?
ちなみにここに入部するという事は、この【学園】を卒業する為に必ず通らねばならない事だそうだ。
「あ、体験入学の人か」
まつりちゃんは俺の校章を見て笑う。
「あ、はい。
そうなんです」
「じゃ、ここには何をしに?」
まつりちゃんは笑顔のまま俺に聞く。
俺は手紙の内容を思い出す。
そして、まつりちゃんを見てその書かれていた最後の言葉をまつりちゃんに言った。
「あなたは?誰ですか?」
その言葉にまつりちゃんは笑顔のまま黙った。
静寂が教室を包む。
そして、まつりちゃんはふぅとため息をついた。
「やっぱり、その言葉を言いに来たんだ。
冬が言ってきた時にそうじゃないかなぁって思ったんだよね」
まつりちゃんが机に頬杖をつく。
「冬?」
「あ、そっか、今日きみが会ってきたまつりはまつりであってまつりではない。
でも、まつりでもある」
「?」
「春色まつり、秋色まつり、冬色まつり、黒色まつり、そして、夏色まつり。
後何人かいるけど持っていた情報にはこの人数だけだったのかな?」
「え?
な、なんですか?
そのまつりちゃんの亜種みたいなのは」
「ははは、亜種か。
いい得て妙だね。
そう、まつりの中のまつり達。
この【ホロライブワールド】の中には別々に存在するの。
どうしてこうなったか分からないんだけどね。
さて、これからきみは最後のまつりに会うんだけど」
「え、なんですか、最後って」
「ふふ、会ってからのお楽しみ。
でも、冬も言ってたでしょ。
まつり達の好感度上げながらここには来ない方が良かったんだけどね。
それじゃ、面白いプレイヤーさん、また会えたらいいね」
そして、世界は暗転した。
「ここは?」
何もない世界。
俺はそこに浮いていた?
いや、何かの上には座ってる?
(いらっしゃい)
「え?」
頭の中に直接声が聞こえる。
俺は思わず振り返る。
そこには想像と違うものがいた。
「な、なに?
なんだここ」
俺は驚き後ろに下がる。
(あまり下がると落ちちゃうよ)
そう言って巨大な手は俺を優しく包む。
俺は今、巨大なまつりちゃんの手のひらの上にいた。
その姿は神々しい。
光に包まれていた。
(初めまして虹色まつりです)
ポン
高い機械音が鳴り、イベント欄が勝手に開く。
そして、そこに【虹色まつり】イベント開始しました。と出ていた。
これが例のイベント。
まつりちゃんの秘密が分かると言われたイベントか。
(さて、あなたのこれからですけど)
そう言って虹色まつりちゃんは目を閉じる。
(はい、合格です。
あなたはこれから私の使徒として、この世界を楽しんでくださいね)
「え?」
突然の言葉に俺は驚く。
「使徒ですか?」
(はい、これからこの世界で発生するイベントは、私だけしか出ないイベントのみになります。
その代わり、恩恵として常にこのまつり人形があなたの側にいます)
そう言って俺の前に可愛いまつり人形が現れた。
「え?え?どういう」
(あなたが会ったまつり達からの好感度が一定以上だったので、あなたを私のものにしちゃいますね)
「ええ~」
そういう事か、だから、好感度を上げすぎるなって。
そんなのどこにも書いてなかった。
(あ、そうだ。
私だけを見てもらいたいから、あなたの推しも私だけにしておきます)
「え?ちょ、ちょっと」
俺、実は他にも推してるから、それ困るんですけど。
だから、最後にきみとして帰って来れることをみたいな事を書いていたのか。
確かにこのままじゃ、まつりちゃん単推しになってしまう。
確かにまつりちゃんは好きだ。
でも、俺は白上フブキちゃんも好きなんだ。
もう、2人のてぇてぇなんて尊死してしまう程なのに。
このまま、この世界で夏色吹雪が見れないなんて耐えられない。
くそ!このままだと。
(では、変えちゃいますね)
だ、だめだ。
そんな俺の頭にある言葉が唐突に浮かぶ。
「じゅ、【樹海】で白い獅子の被り物をしていた女性がまつりちゃんによろしくって言ってました!」
その言葉にまつりちゃんの動きが止まった。
そして、じっとその大きな瞳でまつりちゃんは俺を見る。
(はぁ、まさか先手をうたれているとは。
なら、ここにも来ているんでしょうね)
まつりちゃんが独り言を呟く。
(分かりました。
今回は、まつり使徒計画は諦めます)
本当に残念そうな顔のまつりちゃん。
(しかし、せっかくここまで頑張ってくれたので。
これが報酬です)
俺の前に光の玉が降りてくる。
それを手に取ると、光が弱まり1本の短剣が現れた。
(【夏色ダガー】です。
結構レア物なんですよ)
そう言ってまつりちゃんが笑う。
(では、今回は残念でしたけど、使徒になりたかったらまた来てくださいね)
そうして、俺はまつりちゃんの手に包まれた。
「は!」
「あ、帰ってきた」
「え?」
ここは?
教室?
「へぇ、無事に帰ってこれたんだ」
声のする方を見ると、まつりちゃんともう1人誰かが一緒にお菓子を食べていた。
「え?ここって第7教室?」
「そうだよ、まさか虹に会って普通に戻って来るなんてね。
まさか、ぼたん何かした?」
「さぁ、何も?」
そう言ってまつりちゃんの前に座る女性が答える。
「あ、獅白ぼたんちゃん」
「やぁ」
そう言ってぼたんちゃんはこちらに軽く手をあげる。
(ん?何かデジャヴを感じる。
あ、まさか…)
そんな俺にぼたんちゃんは、口に人差し指を当てた。
(そうか、俺が使徒にならないようにしてくれたのは)
俺は立ち上がりぼたんちゃんに頭を下げる。
「やっぱり何かしてるでしょ」
棒状のお菓子をぼたんちゃんに向けながら、まつりちゃんが言う。
「さ、なんの事でしょう?」
そう言ってぼたんちゃんが笑う。
「ま、でも、良かったよ。
まつりの使徒にならなくてさ」
そうまつりちゃんが俺を見て言う。
「え?」
「だってあれ、虹が勝手にしてる事だからさ。
まつりとしてはプレイヤーのみんなには、この世界を存分に楽しんでもらいたい。
何者にも縛られずにね」
そう言ってウインクするまつりちゃん。
「だったら、まつり先輩が虹まつり先輩止めればいいじゃないですか」
「それがそうもいかなくてね。
なんか、システム面にかなり絡んでるみたいなのよ、あの子。
だから、無理に止めちゃうとこのゲーム事態おかしくなっちゃう可能性があるのよね」
「はぁ、まつり先輩って」
まつりちゃんの言葉にぼたんちゃんが呆れたようにため息をつく。
「あ、この話はオフレコでね。
システム面の話なんかされても萎えるっしょ」
俺はそんなまつりちゃんの言葉を聞いて、微笑んでしまう。
「まつりちゃん。
ダガーありがとうございます」
「ん?
あ、それ貰ったんだ。
それ、結構レア物なんだよ」
その言葉聞いて俺は笑ってしまう。
やっぱりまつりちゃんはまつりちゃんだ。
「では、また違う用事で今度来ますね」
「そうだね、待ってるよ。
◯◯◯」
そう言ってまつりちゃんは手を振る。
ぼたんちゃんも軽く手を上げて見送ってくれた。
俺はゆっくりと第7教室を後にする。
さぁ、今度は誰のイベントをしようか。
そう思い俺は進む。
今回のまつりちゃんの秘密は誰にも言わないようにしないと。
あれは知られない方がいいに決まってる。
更新遅くなりました。
今回はまつりちゃんのイベントです。
このイベントなんですが、実はこのイベントを起こした人からのリークからではなく、他の方からのリークでした。
その人は今、まつりちゃんの使徒として、このゲームを楽しんでいるそうですよ。
ん?だったらこのイベントの内容はなんなんだって?
そうですね。
この手順を教えてくれたのは、実は獅子の被り物をした人物に教えてもらいました。
ゲーム内で情報収集している時にばったりお会いしましてね。
ただ、最後に使徒にならないようにする方法は他にもいくつかあるそうですよ。
それはご自身でゲームの中にて探してみてください。
ま、使徒になりたくなかったらですが。
では、また、新たな情報が入りました更新しますね。