猫又おかゆのイベントを30個以上クリアしている。
戌神ころねのイベントを30個以上クリアしている。
最近、妙な噂を耳にする。
僕がこの【学園】に入学して1年。
大好きなおかころに会う為に、2人のイベントをたくさん受けてきた。
今では2人に名前を覚えてもらえるまでになった。
そんな時だ、【学園】のNPC学生達から怪盗キャットの噂を聞くようになったのは…
曰く、満月の夜に現れる。
曰く、その動きは神をも越える早さ。
曰く、覆面をしていて素顔は分からないが、すごく色気がありプロポーションが抜群。
そんな噂が【学園】の至るところで聞いた。
僕はその噂が気になり、【学園】の主と言われる友人、エリトアさんに話を聞くことにした。
「ああ、おまえそこまで到達したんだ」
【学園】の食堂でいつものラミィ水を飲みながらエリトアさんがにこにこしながら言った。
「到達ですか?」
僕は頼んだオレンジジュースを飲む。
「そう、その噂話なんだけどな。
あるイベントのトリガーなんだよ」
「イベント?」
「そうそう、おまえはそのイベントの初期条件を満たしたんだよ。
だから、俺にはそんな噂話聞かないからなぁ」
「あ」
エリトアさんのその言葉で納得する。
イベントはそのイベントに関係する人しか体験できない。
だから、エリトアさんは怪盗キャットの噂を聞いていないと言う事か。
「ま、噂話は聞かないが、そのイベントの情報なら知ってる」
「本当ですか?」
僕は机の上に乗り出した。
「おいおい、焦るなって座れ」
「あ、すいません」
エリトアさんに苦笑いでそう言われて僕は椅子に座り直す。
「それで、俺が持ってる情報はこのイベントのネタバレありの全てだが聞きたいか?」
「え?」
エリトアさんが真剣な顔で僕に聞く。
(ネタバレありの全て…
確かに聞けば選択肢があっても間違いなく最後まで行ける。
でもそれって…)
「面白くないですよね」
僕のその言葉にエリトアさんは笑う。
「だな。
なら、このイベントを受ける場所だけ教えてやる。
開始条件が案外ややこしいからな。
まず、ころねちゃんがいる時間にパン屋でその話をころねちゃんにしてみろ。
そうすれば後はトントン拍子に進んでいく」
「え?
開始は【学園】の中ではないんてすか?」
「そう。
そして、この開始場所のヒントは誰も言ってないから、案外見つけにくいんだよ」
エリトアはそう言って席を立つ。
「それじゃ、俺は行くよ」
「あ、情報料は?」
僕はエリトアさんに慌てて聞いた。
「情報料?
そうだな、何かまたいい情報があったら教えてくれ」
エリトアさんはそう言って笑いながら去っていった。
(僕がエリトアさんの知らない情報なんて持ってないですよ)
僕はそう心で思いながら、去り行くエリトアさんに頭を下げた。
お昼時のパン屋。
この時間、ころねちゃんのパン屋は大忙しだ。
しかし、この時間帯ならころねちゃんは確実に、このお店にいる。
僕は列に並んで順番を待つ。
しばらくすると自分の番になった。
パン屋の中もプレイヤーが多い。
レジにころねちゃんの姿を発見。
俺はチョココロネを取ってレジに向かう。
「あ、いらっしゃい。
今日も買いに来てくれたんだ」
ころねちゃんは笑顔で僕に言ってくれた。
「はい、後、怪盗キャットについて聞きたい事が」
僕がそう言うところねちゃんの顔が一瞬、真剣になった。
「わかった。
落ち着いたら行くからちょっと待ってて」
ころねちゃんの言葉に僕は頷くと外に出る。
買ったチョココロネを食べながら、外のガードレールに座ってパン屋を見る。
なかなか列はなくならない。
(ま、ころねちゃんに会える場所の1つだからなぁ)
それからお昼が過ぎるまで列は続いていた。
「ごめんごめん、待ったよね」
ガードレールで待つ僕の元にころねちゃんが現れる。
(他のプレイヤーは気づいていないという事は、もうイベントに入ったんだ)
僕は周りの反応を見てから「いえいえ」ところねちゃんに笑顔で答えた。
「それで?
怪盗キャットについて聞きたいって?」
「あ、ありがとうございます。
はい、【学園】内でその噂をよく聞くので」
僕はころねちゃんが持ってきてくれたミルクを受けとりながら、噂について聞いてみる。
「そっかぁ、噂聞いちゃったんだ。
怪盗キャットはね。
満月の夜に現れる魅惑の猫又義賊なんだよ」
「義賊?」
「そう、盗品や違法な方法で手に入れた物を盗み元の場所に戻すっていう怪盗なんだ」
「それって別に悪い事ではないんじゃ?」
「人の物を盗むって言うのは相手がどれだけ悪人でも悪い事だからね」
ころねちゃんは苦笑いしながら言った。
「た、確かに」
悩む僕を見てころねちゃんは何かを考えていた。
そして、笑顔でこう言った。
「◯◯◯なら大丈夫かな?
今から【学園】の学園長室に行ってもらえるかな?」
「学園長室ですか?」
「うん、待ってるね」
そう言ってころねちゃんはパン屋へと帰っていった。
僕はもらったミルクを飲んでから、ころねちゃんに言われた通り【学園】に戻った。
学園長室前。
(何か緊張しするなぁ)
「あれ?
◯◯◯くん、どうしたの?」
部屋の前で入るのを躊躇っている僕に、廊下で声をかけられた。
見るとそこには学生服を着た猫耳の可愛い女性。
「おかゆちゃん?」
「こんにちは」
笑顔でおかゆちゃんが手を振る。
「学園長室に何かようなの?」
おかゆちゃんが近くに来て聞く。
「あ、はい、ころねちゃんにここに来るように言われて」
「へぇ、そうなんだ。
なら、中に入ればいいじゃない?」
トントンとおかゆちゃんがノックする。
「はい、どうぞ」
中からころねちゃんの声がした。
僕はおかゆちゃんと部屋に入る。
「いらっしゃい」
豪華な机の奥にびしっとしたスーツを着たころねちゃんが座っている。
その横にはこれまたびしっとしたスーツを着たおかゆちゃんが立っていた。
「え?」
横を見るとさっきまでいたおかゆちゃんがいない?
「え?」
もう一度おかゆちゃんを見るとにこっと微笑んでくれた。
(これがおかゆちゃんの早業?)
「待ってたよ。
それで、怪盗キャットの事だよね?」
ころねちゃんが話し始める。
チラっと横のおかゆちゃんの顔を確認したが冷静だ。
(怪盗キャットはおかゆちゃんじゃないのか?)
「はい、噂話が気になって」
僕の言葉に頷くおかゆちゃん。
「実はその怪盗キャットがある屋敷から王冠を盗むと予告状がきたらしいんだ」
「王冠ですか?」
「そう」
「なぜ、ころねちゃんに?」
「学園長はこの町の警部も勤めていますので」
おかゆちゃんが静かに教えてくれる。
「ま、そう言うことだから、もし良かったら警備に参加しない?」
「え?いいんですか?」
「もちろん」
そう言ってころねちゃんは笑った。
ころねちゃんに誘われて来た屋敷はもう警察官でいっぱいだった。
屋敷の入り口にいた警官に事情を話すと、持ち物検査と身体検査の後、中に入れてくれた。
「やぁ、来たね」
警官の姿をしたころねちゃんが中で待っていた。
「犬のお巡りさんですね」
「確かに」
ぼくの言葉に笑うころねちゃん。
「それじゃ、狙われている王冠を見に行こう」
ぼくはころねちゃんに案内されて王冠を見に行く。
「これがそう」
目の前にある王冠はすごい豪華な物だった。
「すごい豪華ですね」
ぼくは素直に感想を言う。
「ここだけの話なんだけど、もともとこの王冠は博物館にあった物らしい。
それをこの家の主が強引な方法で買い取ったらしいの」
「なるほど、それで義賊の怪盗キャットが狙ったんですね」
ぼくの言葉に頷くころねちゃん。
「さて、◯◯◯くんにはこの部屋の外の警備をお願いするね」
「分かりました」
「じゃ、時間まで少しあるから、それまで誰も部屋には入れないように」
『分かりました』
ぼくの他にも警備をしている警官が返事をする。
そして、ころねちゃんは他の警備を確認しに言った。
それから1時間後。
予告された時間10分前になった。
「そろそろですね」
一緒に警備しているNPCの警官が声をかけてくる。
ぼくは時計を見て頷く。
すると、中からころねちゃんの叫ぶ声が聞こえる。
(え?
まだ、時間になってない)
ぼくはそう思いながら、部屋の中に入った。
そこには紫のレオタードを着たスタイル抜群の美女が王冠を持って立っていた。
「誰だ!」
ころねちゃんがその美女に声をかける。
「私は怪盗月光兎」
そういう彼女は確かに兎のドミノマスクを付けていた。
「この王冠は私の主にこそふさわしい」
そう言って月光兎は天井近くにある窓を突き破って外に出た。
「お、追って~」
ころねちゃんの声が響く。
警官達は急いで月光兎を追う為に外に出て行った。
ぼくはゆっくりと月光兎が破った窓を見る。
(ここから行った方が追い付くには早いか…)
ぼくはそう思い、破れた窓へと飛び上がった。
「上手く行きました。
これをぺこら先輩に届ければ喜んでくれるはず」
屋根を飛ぶように移動する月光兎。
その顔にはもうドミノマスクは付けられていなかった。
「まさか、ムーナちゃんが出てくるなんて」
「!!」
月光兎は屋根の上で立ち止まる。
「先回り?」
「そう、ある人から連絡がきたからね」
僕はそう言って月光兎ことムーナちゃんを見る。
「ふぅ、まさかプレイヤーさんに追い付かれるとは思いませんでした」
笑うムーナちゃん。
「それで、あなたに連絡したのは…」
「ぼくだよ」
突然の声にムーナちゃんは後ろを振り返る。
そこには紫のアイマスクを付けた猫娘が立っていた。
「怪盗キャット…」
「はじめましてかな?
怪盗月光兎さん」
怪盗キャットはアイマスクをゆっくりと外す。
「おかゆ先輩…」
「この姿ははじめましてじゃないね」
そう言って怪盗キャット、おかゆちゃんが挨拶した。
「その王冠はあるべき場所に返したいんだ。
譲ってくれないかな?」
おかゆちゃんは笑みを絶やさずムーナちゃんに言う。
「これは私の主に捧げる物ですので、それは無理ですね」
「そう…
じゃ、戦おっか」
おかゆちゃんの言葉に身構えるムーナ。
そして、ホロメン同士の戦いが始まる。
イベント中(戦闘と言っても、2人が王冠の取り合いをする。
ちなみに2人とも早さが尋常じゃない為に目で追うことが出来なかった)
「ぼくの勝ちかな?」
おかゆちゃんは王冠を被りながらムーナちゃんに向かって言った。
ムーナちゃんは肩で息をしながら「ふぅ」と息を吐く。
「今回は諦めます。
まだ、チャンスは星の数ほどありますから」
ムーナちゃんはそう言って夜の空へとジャンプして消えていった。
「今日は協力してくれてありがとうね」
おかゆちゃんは王冠を被ったまま、僕の方を見て微笑んだ。
「いえいえ、お役に立てて良かったです」
僕はそう言っておかゆちゃんの方を見ながら笑った。
後日談。
あの後、僕はころねちゃんと合流した。
怪盗キャットを逃した事を教えてもらい、こちらも力になれなかった事を謝った。
しかし、ころねちゃんは笑いながら「仕方ないよね」と言ってくれた。
今、僕は第2の町の商店街を歩いている。
なぜ、僕がおかゆちゃんの手伝いをしたのか。
実を言うと、ころねちゃんに警備の話をされて学園長室から出た後、学生服のおかゆちゃんが待っていた。
え?
さっきまで学園長室にいたんじゃなかったのかって?
それは僕が聞きたい。
ま、ホロメンだからね。
そして、おかゆちゃんから今回の話を聞き、僕はおかゆちゃんを手伝う事にした。
怪盗月光兎の噂はおかゆちゃんから聞いた。
王冠を盗みに来るかもしれない。
もし来た時に補佐して欲しいと言う相談だった。
そして、僕に変装したおかゆちゃんが警備に参加。
僕は屋根の上で待機という役割だった。
そして、予想通り月光兎が現れて、今回のような事になった。
その後、王冠は博物館の元に返されたと聞いた。
「ふぅ、これでイベントはクリアになったのかな?」
僕は独り言を言いながら花屋の前を通りかかる。
「もちろん、クリアになってますよ。
あなたは怪盗の邪魔をきちんとしたんですから」
「え?」
花屋の前で花の手入れをしている女性は僕に背を向けながらそう言った。
紫の長い髪。
背後から見てもそのスタイルが抜群なのは分かる。
「もしかして、ムー」
「しー」
花屋の店員さんが振り向き、その愛らしい唇に人差し指を当てる。
(ムーナちゃん)
店員のムーナちゃんはにこっと笑うと花屋の中に入っていった。
「ははは…」
(世の中狭いとは良くいったものだ)
僕はそう思いながら商店街を歩く。
どうしてホロメンIDである彼女がこの【ホロライブワールド】にいるのか分からないけど、まだまだこれからもこの世界は楽しめそうだと思った。
お待たせしました。
次はころねちゃん、おかゆちゃん、そしてホロライブIDのムーナちゃんのイベントでした。
ムーナちゃんは【ホロライブワールドID】のキャラですが、よく【ホロライブワールド】の方には遊びに来ているみたいで、このイベントでは現れるみたいです。
ちなみにこのイベントはおかゆちゃんサイドのイベント進行でしたが、もう1つころねちゃんサイドのイベントも用意されています。
それは実際にプレイヤーの方で体験してみてください。
分岐はおかころのどちらのイベントを多くクリアしているからしいです。
同数の場合はランダムだという事です。
それでは、また情報が入りしだい更新します。