【学園】で調理実習室に行ってはあちゃまの手料理を食べた事がある。
【ふぉーす】の第2の町にいるふらふらしている大道芸の話を聞く。
「さてと、今日は何をしよっか」
普段はパーティーメンバーと、この【ふぉーす】にあるダンジョン攻略をしているのだけど、今日はみんなの都合がつかないので暇になった。
(ま、リアル平日昼間出し、みんな仕事してるか…)
私がそんな事を考えながら、町を歩いていると、噴水の近くにふらふらしているピエロがいた。
(ピエロ?
昨日いたっけ?)
まだ、時間は朝早い。
なので、辺りには人がほとんどいないが、誰もそのピエロに話しかけようとしない。
(もしかしてイベント?)
確か、イベントのトリガーはそのイベントの条件を揃えてるプレイヤーしか見えないって言っていた。
(しかし、罠って事もあるわよね)
単に危ないキャラで他のキャラが関わらないようにしているの可能性もある。
(なんて、そこまで人間みたいに動かないよね、このNPC達は)
私はそう思い直しピエロに近づいた。
「どうかしました?」
(暇だったのもあったが、何かのイベントならやってみたい)
私はそう思って声をかけた。
「え?
あ、すいません」
何故かいきなり謝られる。
「い、いえ、ふらふらしていたので声をかけてみただけなんで」
「そう、なんですか?
すいません」
また、謝られる。
「ほら、座って」
私はピエロを支えながら、近くのベンチへと連れていく。
ゆっくりと座るピエロ。
何か目の焦点も合ってないし、ぼーとしてる。
(まさか、悪い薬を使っているとか?)
「何か具合でも?」
ピエロはゆっくりと顔を上げて私の目を見た。
そして、「眠いんです」と力なく答えた。
「じゃ、寝ればいいのに!」
それから、私はピエロの横に座り事情を聞いた。
何でも数日前に道に落ちていた赤い綺麗な石を拾ってから眠れなくなったそうだ。
不信に思ったピエロはその石を教会で見てもらうと案の定不眠の呪いがかかっており、すぐに教会で解呪してもらった。
石は手元から消え、不眠から解消されると思ったが、何故かまだ不眠が続いているという。
「どうやっても寝れないんですか?」
「はい、気絶もできません」
(気を失うこともないのか)
「なので、眠たくて眠たくてふらふらしていたんだと思います」
「それは大変ですね」
(私も仕事柄、徹夜をどうしてもしなくてはいけない時があり、あの後はハイにはなるけど、かなり疲れるんだよね)
「どうにもならないんですか?」
ピエロに親近感がわいて聞いてみる。
何か力になれるならなってあげたい。
「そうですね、私は行く事が出来ないのですが、【バーチャル】の世界にある【学園】に不眠を解除する情報があると聞いた事があります」
「【学園】に?」
「はい」
私の言葉にピエロは頷く。
(【学園】か。
久しぶりに行ってみるのもいいかも。
先輩元気にしてるかな?)
「分かったわ。
私がどうにかしてあげる」
「本当ですか!?」
私の言葉にピエロは嬉そうだ。
「あなたはここで待っててくれる?」
「はい、正直もう歩くのも辛いですから」
ピエロはそう力なく答えた。
「それじゃ、すぐに行ってくるね」
「すいません」
ピエロは謝る。
「ううん、ほっとけないからね」
私はそう言うとすぐに発掘屋に向かった。
「はい、いらっしゃい」
発掘屋のおじさんが元気に挨拶してくれる。
ここ発掘屋はダンジョンで発掘されたアイテムを専門に扱うお店だ。
買い取った発掘品はここで販売されている。
(確かここに)
私は目当てのものを探す。
(あ、あった)
私はその石を手に取るとカウンターに持っていった。
「お、思ひ出の石SPだな」
「そう、これを購入したいの」
「おう、それなら…」
私は思ひ出の石SPを購入した後店を出た。
さすがにSPは値がはったけど前に比べれば安い。
迷わず私は石を地面に投げる。
景色がぼんやりとし始めた。
(まずは【学園】)
そして、私は【学園】へと向かった。
「はは、すごい」
私は目の前にある【学園】の門を見て言った。
ここからさっきの場所まではかなり距離がある。
(それを一瞬とは)
私は感心しながら門へと向かう。
門番をしている黒服の人に、私は卒業証を見せた。
そう、私は前にこの【学園】に通い卒業していた。
すんなり中に入り、私はある人物を探す。
昔、卒業する時にお世話になった先輩だ。
(まだ、この【学園】にいるはずなんだけど)
私は【学園】の食堂に行ってみる。
(あ、やっぱり)
そこには1人お茶をする目的の人物がいた。
「エリトア先輩!」
「んぁ?」
名前を呼ばれたそのプレイヤーはこちらに振り向く。
「お、◯◯◯」
エリトア先輩は私の顔を見ると懐かしそうに笑っていた。
「へぇ、面白いイベントだな」
エリトア先輩は興味津々に聞いている。
「それで、【学園】に眠気を覚ますような物ってありますか?」
「眠気を覚ますか…」
私の質問に考えるエリトア先輩。
「確か◯◯◯って調理実習室に行った事あるよな?」
エリトア先輩の言葉にふと調理実習室の思い出が甦る。
「あ、あります…」
どもってしまう。
「なら、話は早いな。
調理実習室の主に聞いてみろ」
「え?
また、あそこに行くんですか?」
「そうだな、眠気を覚ます物ならあそこに行けば1つや2つ教えてくれるだろ」
「それって眠気を覚ますんじゃなくて、永遠の眠りにつかせる物じゃ…」
「人聞きの悪い事言うな。
たぶん違う」
「たぶんって」
愛想笑いのエリトア先輩を見て私は肩を落とす。
確かに調理実習室には行った。
卒業イベント関係で行ったのだが、あれは正直怖かった。
「やめるか?」
「い、いえ、行きます」
「それじゃ、今の時間に行くといい。
今なら大丈夫だ」
エリトア先輩はそう言って微笑む。
「わ、分かりました。
ありがとうございます。
お礼はいずれ」
「ああ、お礼はそのイベントの情報でいいさ」
「はい」
私はエリトア先輩にお礼を言って調理実習室に急いだ。
「来てしまった」
調理実習室前。
なかなかノックできずに5分ほどたっている。
周りの生徒から「チャレンジャーだ」とか「御愁傷様」とか聞こえてくる。
(いや、行かなくていいならいきませんけどね!)
私は決心してドアをノックした。
「は~い」
(ん?)
中から思っていた人物の声と違った声が聞こえた。
「失礼します」
私はゆっくりとドアを開けて調理実習室に入った。
「いらっしゃい」
明るい声に迎え入れられた。
「え?
まつりちゃん?」
そこにはお茶を飲むまつりちゃんがいた。
「何か用?」
「あ、はあとちゃんに用事があって」
「ん?呼んだ?」
奥のテーブルからひょこっと顔を出すはあとちゃん。
「ごめんね、今次の料理の食材探してて」
はあとちゃんは机の下にあった大きなキノコを机に上げながら言った。
そして、こちらに来て椅子に座る。
「それで何か用事?」
同じ事を聞かれた。
「え、あ、それは…」
私は【ふぉーす】の話とこの【学園】に来て得た話をする。
「そっかぁ」
まつりちゃんはそう言ってお茶を飲む。
「何かある?はあとちゃん」
「ん~どうだったかなぁ」
まつりちゃんに聞かれてはあとちゃんは首をかしげる。
「寝る薬だよね?」
「はい、そうです」
「なら、1つだけ。
薬じゃないけどね」
「あるんですか!」
私ははあとちゃんに勢い良く聞いた。
「あ、ある。あるけど、そんなにぐいぐい来ないで」
「あ、すいません」
私は1歩下がる。
そんな私とはあとちゃんのやり取りを見て、にやにやするまつりちゃん。
「さっきも言ったけど薬じゃないよ」
「はい、この際寝れるなら」
「自分が使わないからってめちゃくちゃ言ってるなぁ」
まつりちゃんがボソッと呟くが、今はスルーしよう。
「それじゃぁ、教えるけど【絶対眠れる?葉茶麻】ってのがあるの?」
「はい?」
聞き返す私。
「だからね、【絶対眠れる?葉茶麻】」
「は、はぁ」
そして、私は【ふぉーす】に戻ってきた。
今回、ここのある場所に私の求める【絶対眠れる?葉茶麻】があるらしい。
何でもはあとちゃんが言うには、【絶対眠れる?葉茶麻】と言うお茶っ葉はある羊さんが関係しているらしい。
ちなみにその羊さんは現在この【ふぉーす】のある草原で休んでいるとまつりちゃんが教えてくれた。
なので、私は今その草原を目指している。
「これが役に立つって言ってたけど…」
こちらに来る前にまつりちゃんから預かったじゃんけん棒を見る。
(本当に?)
すると、草原のある場所に来た途端、じゃんけん棒がくるくる回り始めた。
「え?え?」
そして、どこからか流れてくる見知った曲。
(こ、これは!)
「角巻じゃんけん?」
私はじゃんけん棒を咄嗟にぎゅっと握った。
止まるじゃんけん棒。
そして、運命の時。
私は勢い良くグーの棒を出した。
突然目の前に現れるチョキの棒。
「ああ、負けたかぁ~」
そう言って目の前に現れたのは私の推し、角巻わためちゃんだった。
「なるほどね、はあと先輩に言われて来たんだ」
ここはわためちゃんの結界の中。
辺りには沢山の羊が眠っていた。
(さっきまでいなかったのに)
ちなみにあのじゃんけん棒を持っていると、角巻じゃんけんが出来て勝てば結界に入れるらしい。
え?負けたらどうなるのか?
私も気になってわためちゃんに聞くと。
「勝つまで出来るよ」と笑って教えてくれた。
(そんなんでいいんだ)
私はまつりちゃんから預かったじゃんけん棒を渡して事情を話す。
「【絶対眠れる?葉茶麻】かぁ。
また、変な物欲しがるんだね」
「へ、変なんですか?」
「あ、危ない物ではないんだよ」
怯える私を見て慌てて手を振るわためちゃん。
「あのお茶は確かに使えばぐっすり寝れるけど、生えてる場所が、ねぇ…」
(いや、ねぇ…と言われても)
「ま、取ってきてみる?」
「は、はい、私はその為に来たので」
私の言葉に頷くわためちゃん。
「ついてきて」
私はわためちゃんについていく。
そして、1匹の羊の近くに来た。
(なんかこの羊、体毛が抹茶の色なんだけど?)
「この子の夢の中に【絶対眠れる?葉茶麻】が生えてるよ」
「はい?」
「だから言ったでしょ。
変な物って」
「夢の中になんて入れる訳が」
焦る私にわためちゃんはにっこり。
「この結界の中にいる時は夢の中に入れるよ」
「そうなんですか?」
「遭難です」
「なんかニュアンスが違うような」
「そんな事ないよぉ~
じゃ、行ってみる、夢の中へ」
「は、はい」
そして、私はわためちゃんの力でこの抹茶色の羊の夢へと入っていった。
イベント中(抹茶色の羊毛でできた迷路を進む。
ゴールの場所に目的の茶葉が生えている)
「おかえり~」
「はぁはぁ、もう身体中抹茶の香りです」
「だね」
わためちゃんは私の言葉に笑う。
迷路はかなり難しかったけど、それより何もかもが抹茶で出来ていて、もう一生分の抹茶を飲んだ感じになった。
「見つけたんだね」
私の手に持つ茶葉を見てわためちゃんが言った。
「これでいいんですよね?」
「うん、それで大丈夫だよ」
わためちゃんからお墨付きをもらって私は、わためちゃんにお礼を言った後、第2の町に向かった。
ベンチで待つピエロに早速【絶対眠れる?葉茶麻】を使ったお茶を飲ますと、その場ですぐに寝てしまった。
私はそんなピエロを見て微笑む。
(良かったね、眠れて)
アイテムボックスの中にはまだ【絶対眠れる?葉茶麻】が残っていた。
(自分も眠れなかったら飲んでみようかな?)
ふとそんな考えも浮かびながら、私はベンチにゆっくりともたれ掛かった。
お待たせしました。
次のイベントは角巻わためちゃんです。
どんなに眠れない人でも眠らせる?【絶対眠れる?葉茶麻】最近あまり眠れないのでリアルに欲しいですね。
ちなみにこの葉茶麻ですが【はちゃま】と読みます。
では、また新たな情報が入りましたら更新します。